JPH0330209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられ、車両緊急時に乗員拘束用ウエビ
ングの引出を阻止するウエビング巻取装置用ロツ
ク機構に関する。

〔背景技術〕

シートベルト装置では、乗員拘束用ウエビング
の一端が巻取装置へ所定付勢力の下に巻取られて
おり、かつ巻取装置には車両緊急時にウエビング
の引出を阻止するロツク機構が内蔵されている。

このロツク機構には、巻取軸のウエビング引出
方向回転に追従するようにロツク輪が設けられて
巻取軸との間に弾性体が介在されており、車両緊
急時には加速度感知手段によつてロツク輪が回転
抵抗力を受けるので、巻取軸と共に回転するロツ
ク部材がロツク輪の巻取軸に対する回転遅れで駆
動されてフレームのロツク歯とかみ合うようにな
つている（特公昭44−16969号、特開昭47−1115
号参照）。

ところがこのような従来のロツク機構では、車
両が凹凸の多い悪路上を走行した場合に、加速度
感知手段が作動したままの状態になることがあ
り、このためロツク機構がロツク状態を持続し、
乗員はウエビングの引出しが不可能となる。さら
に悪路走行時は乗員が振動によつて上下動を繰返
すため、ウエビングは巻取、引出が繰返されるこ
とになる。この結果ウエビングの巻取時にロツク
部材とロツク歯とのかみ合い位置が徐々に進行
し、ウエビングが次第に巻取装置へ巻取られ、乗
員への圧迫感が増大することがある。

〔考案の目的〕

本考案は上記事実を考慮し、ウエビングが所定
長さだけ巻取、引出が繰返された場合にも、ウエ
ビングが巻取装置へ次第に巻取られることがない
ウエビング巻取装置用ロツク機構を得ることが目
的である。

〔考案の概要〕

本考案に係るウエビング巻取装置用ロツク機構
では、巻取軸の端部へ車が取付けられ巻取軸と共
に回転するようになつている。一方、カバー等の
固定側には、該歯車の外周に沿い歯車と対応する
円弧状のラツクが設けられている。また、ラツク
の両端にはストツパー部が設けられている。

前記歯車及びラツクには押圧回転体に設けられ
た歯車が噛み合うようになつており、巻取軸のウ
エビング引出時にはアクチユエータと反対側のス
トツパーで押圧回転体が係止され、かつ、空転す
るようになつている。巻取軸のウエビング巻取時
には、押圧回転体はラツクと噛み合つてアクチユ
エータ側へ移動し、押圧回転体の押圧部がアクチ
ユエータを押圧してロツク輪からアクチユエータ
を離間させ、アクチユエータ側のストツパーで押
圧回転体が係止されて空転するようになつてい
る。

したがつて、悪路走行時にウエビングが巻取ら
れると、前記歯車により駆動される押圧回転体が
アクチユエータを押圧し、アクチユエータのポー
ルをロツク輪のロツク歯から離間させ、ロツク輪
をウエビング引出方向へ回転可能とする。このた
め、次のウエビング引出動作時にロツク輪は加速
度感知手段のポールと最初のロツク状態と同位置
で係合するか、またはロツク輪がウエビング引出
方向に回転した状態で加速度感知手段のポールと
係合することになり、ウエビング複数回所定長さ
だけ巻取、引出が繰返された場合にも、ウエビン
グを次第に巻取ることがないようになつている。

〔考案の実施例〕

第１図には本考案に係るロツク機構が適用され
たウエビング巻取装置の実施例が分解斜視図とし
て示されている。この巻取装置ではフレーム１０
が図示しない取付ボルトによつて車体へ固着され
ている。このフレーム１０の両側部からは一対の
脚板１２，１４が互に平行に延長されている。

これらの脚板１２，１４には第２図にも示され
る巻取軸２０が軸支されており、この巻取軸２０
の中央部へ半径方向に貫通される貫通孔２２には
乗員拘束用ウエビング（図示省略）の一端が係止
されるようになつている。この乗員拘束用ウエビ
ングは巻取軸２０へ層状に巻取られており、ウエ
ビング端部に取付けられたタングプレートを、車
体へ取付られるバツクル装置に係合させることに
より乗員はウエビングの中間部を装着することが
できる。

巻取軸２０は厚肉板材から形成される心金２０
Ａの回りに合成樹脂層２０Ｂが一体成形されて外
形が円柱状となつている。

この合成樹脂層２０Ｂの長手方向一端からは心
金２０Ａの端部が突出しており、突出部２０Ｃと
なつている。

突出２０Ｃの回りには第１図に示されるロツク
部材としてのロツクプレート２４，２５が配置さ
れている。これらのロツクプレート２４，２５は
それぞれ中央部に略Ｕ字形の切欠凹部２６が形成
された略Ｃ字状となつており、この切欠凹部２６
内へ突出部２０Ｃが対応して巻取軸２０と共に回
転するようになつている。この切欠凹部２６の幅
寸法は第３図に示される如く突出部２０Ｃの幅寸
法よりも若干大きく形成されており、ロツクプレ
ート２４，２５が巻取軸２０に対して所定角度だ
け相対回転可能となつている。

これらのロツクプレート２４，２５の一端には
それぞれ爪部２８，３０が形成されており、脚板
１２へ固着される内歯ラチエツトホイル３２のロ
ツク歯と対応している。

さらに、ロツクプレート２４，２５にはそれぞ
れ一対のピン３４，３６が突出しており、ロツク
輪３８へ形成される長孔４０内へ挿入されてい
る。このロツク輪３８は巻取軸２０の軸心部から
突出される小径軸部２０Ｅへ軸支されて巻取軸２
０と相対回転可能となつている。

またこのロツク輪３８は小径軸部２０Ｅの先端
へ嵌着される歯車４２のばね係止ピン４３との問
にねじりコイルばね４４が介在されている。この
ねじりコイルばね４４はロツク輪３８へ同軸的に
支持されその一端部は歯車４２の端面から突出し
たばね係止ピン４３へ当接し、他端部は、ロツク
輪３８から突出したばね係止ピン４５へ当接して
いる。このねじりコイルばね４４の付勢力を受け
て巻取軸２０のウエビング引出方向（第１図矢印
Ａ方向）に付勢回転されている。したがつてこの
ロツク輪３８はねじりコイルばね４４の付勢力で
第３図に示される如くロツクプレート２４，２５
のピン３４，３６を長孔４０の一端部へ収容して
爪部２８，３０を内歯ラチエツトホイル３２と離
間させている。

しかしこのロツク輪３８はウエビング引出方向
に回転する巻取軸２０との間に相対回転が生ずる
とねじりコイルばね４４の付勢力に抗して回転遅
れを生じ、この回転遅れ時にはロツクプレート２
４，２５を長孔４０の長手方向へ案内し、これに
よつて第４図に示される如く爪部２８，３０を内
歯ラチエツトホイル３２へかみ合わせるようにな
つている。

なお、歯車４２は第６図に示される如く一対の
係止爪４６が巻取軸２０の矩形孔４８へ入り込む
ことにより巻取軸２０へ係止されると共に巻取軸
２０と一体的に回転するようになつている。

この歯車４２には、押圧回転体５０の歯車５１
が噛み合うようになつている。押圧回転体５０は
順次拡径となつた歯車５２，５１、デイスク５３
が同軸的に一体成型されて構成されている。デイ
スク５３は、第６図に示す如く、その周縁部が歯
車４２とロツク輪３８との間に遊嵌されている。
歯車５２は、第１，７図に示されるカバー５４の
内側面に一体成型されたガイド５５の溝５５Ａ内
に嵌入されている。

溝５５Ａは、歯車４２と同心的な円弧状となつ
ている。この溝５５Ａは、ループ状の壁５５Ｂが
立設されて形成されている。壁５５Ｂの凸側（歯
車４２の半径方向外側）内面中間部にはラツク５
５Ｃが刻設されており、歯車５２と噛み合うよう
になつている。ラツク５５Ｃの上下端は無歯のス
トツパー部５５Ｘ，５５Ｙとなつており、それぞ
れ歯車５２の上方及び下方への移動を阻止すると
ともに、歯車５２を空転させるようになつてい
る。

したがつて、ウエビング引出時には歯車４２が
第８図時計回り方向へ回転し、押圧回転体５０の
歯車５２はストツパー部５５Ｘで空転するように
なつている。また、ウエビング巻取時には歯車４
２が前記と逆方向へ回転し、歯５２がラツク５５
Ｃと噛み合つて下方へ移動し、ラツク５５Ｃの下
端部の位置でアクチユエータを押下し、ストツパ
ー部５５Ｙまで下降して空転するようになつてい
る。次いで歯車４２が第８図時計回り方向へ回転
すると、押圧回転体５０は一定角だけ空転した後
ラツク５５Ｃと噛み合つて上方へ移動するように
なつている。加速度感知手段５８はボールケース
６４が脚板１２へ固着されており、このボールケ
ース６４内へ収容され転動体としてのボール６６
がボールケース６４の円錐状凹部６８内へ収容さ
れている。加速度作用時にはボール６６が円錐状
凹部６８を昇り上がるようになつている。このボ
ール６６にはブラケツト７０へピン７２で軸支さ
れたアクチユエータ６０が載置されており、ボー
ル６６が円錐状凹部６８を昇り上がると、ピン７
２周りに回転して先端部のボール６０Ａがロツク
輪３８の外周へ刻設されるラチエツト歯７４とか
み合うようになつている。

したがつて、巻取軸２０がウエビング巻取方向
（第８図反時計回り方向）へ回転すると、押圧回
転体５０が歯車４２に駆動されて降下し、アーム
６０Ｂを押し下げ、第８図Ｃに示す如く、ボール
６０Ａをラチエツト歯７４から離間させるように
なつている。

次に、本実施例の作用を説明する。

車両通常時には、第８図Ａに示される如く、ボ
ール６６がアクチユエータ６０を押し上げていな
いので、押圧回転体５０の位置にかかわらず乗員
は任意にウエビングを巻取軸２０へ巻取、引出し
て自由な運転姿勢となることができる。

車両が衝突等の緊急状態に陥ると、ボール６６
はアクチユエータ６０をピン７２周りに押し上げ
るので、ポール６０Ａがラチエツト歯７４とかみ
合う。

一方、乗員は慣性により加速度方向と反対方向
に移動するので、ウエビングが巻取軸２０から引
出され、巻取軸２０は第８図時計方向に回転す
る。このため、巻取軸２０と共に回転したロツク
輪３８はアクチユエータ６０によつてその回転が
阻止され、巻取軸２０との間に相対回転が生ず
る。この相対回転は第８図Ｄに示される如くねじ
りコイルばね４４を変形させることになり、巻取
軸２０と共に回転するロツクプレート２４，２５
はピン３４，３６がロツク輪３８の長孔４０によ
つて案内され、爪部２８，３０は内歯ラチエツト
ホイル３２とかみ合つて巻取軸２０のウエビング
引出方向回転が阻止される。この結果乗員はウエ
ビングによる確実な拘束状態となる。

車両が凹凸の多い悪路上を走行すると、ボール
６６はアクチユエータ６０を押し上げたままの状
態となる。またこれと同時に乗員が車体振動を受
けて上下動するので、ウエビングは巻取軸２０か
ら引出、巻取を繰返す。

ロツク輪３８と巻取軸２０との間に生ずる相対
回転を超えてこの引出、巻取が繰返されると、従
来の巻取装置ではポール６０Ａとラチエツト歯７
４と当接状態が維持されるのでウエビングの巻取
時に、第７図Ａの状態から反時計方向に回転した
ロツク輪３８が一歯分以上回転してアクチユエー
タ６０と再度かみ合い、次第にウエビングが巻取
軸２０へ巻取られることになる。すなわち、第８
図Ａの状態でラチエツト歯７４Ａがポール６０Ａ
とかみ合つていた場合に、車両振動によつてラチ
エツト歯７４Ｂまたはラチエツト歯７４Ｃがポー
ル６０Ａとかみ合うことになつてウエビングが次
第に巻取軸２０へ巻取られることになる。

しかし本実施例では第８図Ｂ，Ｃに示される如
く、巻取軸２０がウエビング巻取方向へ回転する
と押圧回転体５０が歯車４２に駆動されて降下
し、アーム６０Ｂを押圧してポール６０Ａをラチ
エツト歯７４から離間させる。また、第８図Ｃの
状態から巻取軸２０がウエビング引出方向に回転
しても、押圧回転体５０が一定角だけ空転した後
一定距離だけラツク５５Ｃと噛み合つて上昇する
までアーム６０Ｂを押圧してポール６０Ａをロツ
ク歯７４から離間させたままである。

したがつて、第８図Ａに示す状態から、巻取軸
２０がウエビング巻取方向へ回転し第８図Ｃに示
す状態になつた後に、巻取軸２０がウエビング引
出方向へ回転しても、直ちにポール６０Ａがラチ
エツト歯７４と係合することがなく、第８図Ｄに
示す如く、ボール６６が再度移動してポール６０
Ａがラチエツト歯７４と係合した場合には、ラチ
エツト歯７４Ａ，７４Ｍあるいは７４Ｎ等と噛み
合うことになる。すなわち、巻取軸２０は前のロ
ツク状態、あるいはそれよりもさらにウエビング
引出方向に回転した状態でロツクされることにな
り、ウエビングが次第に巻取軸２０へ巻取られる
状態となることはない。

このように本実施例では、車両が悪路上を走行
してもウエビングを巻取軸へ次第に巻取ることが
ないので、乗員は快適な運転状態となることがで
きる。

また、押圧回転体５０の駆動力はウエビング張
力に比し充分小さく、巻締防止機構を設けること
によつてウエビング張力にほとんど影響を与える
ことがない。

さらに、巻締防止機構は、歯車４２、押圧回転
体５０、ガイド５５という簡単な構成からなつて
おり、これらの組付も極めて容易に行うことが可
能となつている。

次に、第９図に従つて本考案の第２実施例を説
明する。

この第２実施例では、第７図に示す壁５５Ｂの
凹側（歯車４２の半径方向内側）が切り欠かれた
形状となつており、ループ状となつていない。ま
た、ラツク５５Ｃの下側のストツパー部は５５Ｙ
とアーム６０Ｂとで構成されている。さらに、押
圧回転体５０には歯車５２が設けられておらず
（図示しない）、歯車５１がラツク５５Ｃと噛み合
うようになつている。

他の点については第１実施例の場合と同様にな
つている。

なお、押圧回転体５０はデイスク５３を設けず
に、歯車５３が直接アーム６０Ｂを押下する構造
であつてもよい。

本考案は車両緊急時にロツク輪が巻取軸と相対
回転し、ロツク部材がフレームのロツク歯と係合
して巻取軸のウエビング引出回転が阻止されるロ
ツク機構にはしべて適用可能である。

また本考案の加速度感知手段として上記のボー
ル以外の構造が適用できることは言うまでもな
い。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案に係るロツク機構で
は、悪路走行中に加速度感知手段が作動しても、
巻取軸がウエビング巻取方向へ回転すると、巻取
軸と共に回転する歯車により駆動される押圧回転
体がアクチユエータを押圧しアクチユエータをロ
ツク輪から離間させるようになつているので、次
いで巻取軸がウエビング引出方向へ短時間回転可
能であり、ウエビングが所定量だけ引出、巻取を
繰返した場合にもウエビングを次第に巻取軸へ巻
取らせることがなく、不必要かつ不快な乗員の巻
締を防止することが可能である。

また、巻締防止機構は歯車、押圧回転体、ラツ
ク、ストツパー部から構成されており、簡単な構
成となつている。

さらに、歯車による押圧回転体の駆動力はウエ
ビング張力に比し充分小さいので、巻締防止機構
はほとんどウエビング張力へ影響を与えることが
なく、ウエビング張力が不必要に過大となつて乗
員に不快感を与えることがないという優れた効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るロツク機構が適用された
巻取装置を示す分解斜視図、第２図は巻取軸を示
す側面図、第３図はロツクプレートの内歯ラチエ
ツトホイルへの対応関係を示す正面図、第４図は
第３図の作動図、第５図はロツク輪とねじりコイ
ルばねとの組付状態を示す説明図、第６図は巻取
軸への取付状態を示す断面図、第７図はガイドの
斜視図、第８図Ａ〜Ｄは押圧回転体とアクチユエ
ータおよびその関連部品の作動説明図、第９図は
本考案の第２実施例を示す第７図に対応した斜視
図である。 １０……フレーム、２０……巻取軸、２４，２
５……ロツクプレート、２８，３０……爪部、３
２……内歯ラチエツトホイル、３２Ａ，３８，３
８Ａ……ロツク歯、４２……歯車、４４……ねじ
りコイルばね、５０……押圧回転体、５５……ガ
イド、５５Ｃ……ラツク、５５Ｘ，５５Ｙ……ス
トツパー部、５８……加速度感知手段、６０……
アクチユエータ、６０Ａ……ポール、３０Ｂ……
アーム、６６……ボール、７４……ラチエツト
歯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ウエビング巻取軸のウエビング引出方向回転に
   追従すべくロツク輪と巻取軸との間へ弾性体が介
   在され、車両緊急時に加速度感知手段のアクチユ
   エータがロツク輪のロツク歯とかみ合つてロツク
   輪に回転抵抗力を付与し、巻取軸と共に回転する
   ロツク部材がロツク輪の巻取軸に対する回転遅れ
   で駆動されてフレームのロツク歯とかみ合うウエ
   ビング巻取装置用ロツク機構において、巻取軸の
   端部へ取付けられ巻取軸と共に回転する歯車と、
   該歯車の外周に沿つて固定側へ設けられ歯車と対
   応する円弧状のラツクと、ラツクの両端に設けら
   れたストツパー部と、前記歯車と噛み合い巻取軸
   のウエビング引出時にはアクチユエータと反対側
   のストツパーで係止されて空転し巻取軸のウエビ
   ング巻取時にはラツクと噛み合つてアクチユエー
   タ側へ移動し押圧部がアクチユエータを押圧して
   ロツク輪からアクチユエータを離間させアクチユ
   エータ側のストツパーで係止されて空転する押圧
   回転体と、を有すること特徴とするウエビング巻
   取装置用ロツク機構。