JPH0328764B2 - - Google Patents

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JPH0328764B2
JPH0328764B2 JP18495783A JP18495783A JPH0328764B2 JP H0328764 B2 JPH0328764 B2 JP H0328764B2 JP 18495783 A JP18495783 A JP 18495783A JP 18495783 A JP18495783 A JP 18495783A JP H0328764 B2 JPH0328764 B2 JP H0328764B2
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JP
Japan
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nonwoven fabric
resin
fibers
bdv
impregnated
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Shiro Yamamoto
Kazushi Yoshida
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0328764B2 publication Critical patent/JPH0328764B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は新規な電気絶縁材に関するものであ
る。さらに詳しくは、特殊な構造及び性質を有す
る耐熱性不織布と熱硬化性樹脂とからなる、絶縁
破壊電圧の大きい電気絶縁材に関するものであ
る。 従来技術 近年の技術的な進歩と省エネルギーの要請から
耐熱性絶縁材に対する要求は著しいものがある。
即ち、エネルギーコストの増加と世界的資源枯渇
に対する対策とから全ての機器の小型・軽量化が
求められ、これを可能にする技術の開発が進めら
れている。この流れの中で電気機器もまた例外で
なく、効率向上と小型化の要請から必然的に絶縁
材にも耐熱性の向上が求められるに至つた。 例えば、耐熱性、耐久性の向上という点から、
吸湿性、耐熱性、絶縁破壊電圧などを改善し寿命
を向上させるために樹脂含浸した絶縁材を用いる
ことが提案されている。 一般に耐熱性の薄葉材料としてはフイルムと紙
とがあるが、フイルムは一般に樹脂含浸には適し
ていない。一方、紙としては芳香族ポリアミド紙
(例えばデユポン社の「Nomex」(登録商標)紙)
がよく知られている。 この芳香族ポリアミド紙は、確かに耐熱性に優
れ、難燃性でもあり、樹脂含浸も可能であるが、
その構造上含浸性は余り良くない。また、これに
樹脂を含浸・硬化させたものの絶縁性も十分とは
言えない。 例えば、現在最も一般に用いられている耐熱合
成絶縁紙として「Nomex 410」(登録商標)を上
げると、本品の物性データは第1表の通りであ
る。これに例えばフエノール樹脂を含浸させた場
合、フエノール樹脂の含浸量とB.D.V.(絶縁破壊
電圧)との関係は第2表の通りになる。この樹脂
含浸によるB.D.V.の上昇は単に構造体に隙間が
多く樹脂が充分に浸透すればよいということでは
ないと思われる。例えば、「Nomex 410」(登録
商標)より粗なる構造を有する「Nomex 424」
(登録商標)の場合には、樹脂含浸を行つても第
3表に示す通りB.D.V.の上昇ははるかに少ない。
【表】
【表】
【表】 一方、比較的含浸性の良いものに乾式紙つまり
不織布があるが、これらは一般にポリエステルと
芳香族ポリアミドから成り(例えば日本バイリー
ン、ペロン、カールフロイデンベルグ等の各社の
製品)、その耐熱性はポリエステルにより制約さ
れている。何故ならば、かかるポリエステルは芳
香族ポリアミドの接着剤であつて、一般に樹脂含
浸させてもB.D.V.が上りにくいからである。 例えば日本バイリーン社のH8008CTの場合の
物性及び樹脂含浸後のB.D.V.は第4表に示す通
りで樹脂含浸してもB.D.V.の増加は望めない。
【表】 発明の目的 本発明の目的は、上述の如き従来公知の樹脂含
浸型の電気絶縁材における問題点を解決し、樹脂
含浸・硬化後のB.D.V.が飛躍的に向上した電気
絶縁材を提供することにある。 発明の構成 本発明は、実質的に耐熱性繊維のみからなり、
かつ空隙率が5〜30%、透気度が0.7〜7000秒/
100mlである不織布に、熱硬化性樹脂を不織布重
量を基準にして30〜300重量%含浸・硬化せしめ
て、絶縁破壊電圧を60KV/mm以上にしたことを
特徴とする電気絶縁材である。 本発明でいう耐熱性繊維とは、電気絶縁材の使
用温度において安定な繊維を総称するが、該繊維
としては、特に芳香族ポリアミド繊維が好まし
い。 芳香族ポリアミドとは、主として下記(1)及び/
又は(2)の繰返し単位からなる繊維形成性のポリア
ミドを言う。 −CO−Ar1−CO・NH−Ar2−NH− ……(1) −CO−Ar3−NH− ……(2) 前記Ar1,Ar2及びAr3は芳香族残基であり、こ
れらは互いに同一でも相異つてもよい。これらの
芳香族残基の代表例は、パラフエニレン、メタフ
エニレン、ビフエニンまたは下記(3)式で示される
残基である。 なかでも、ポリメタフエニレンイソフタルアミ
ド、又はこれを主体とする共重合体が最も好まし
い。 本発明では、不織布構成繊維として、他の耐熱
性繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊
維、ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維等
の比較的高融点のポリエステル繊維を用いてもよ
く、また、芳香族ポリアミド繊維とこれらの繊維
とを混合使用してもよい。 本発明では、これらの耐熱性繊維からなる不織
布を基材とするが、該不織布は、空隙率が5〜30
%、透基度が0.7〜7000秒/100mlの範囲内にある
ことが必要である。 本発明者らの研究によれば、樹脂を含浸・硬化
した後のB.D.V.が、基材となる不織布の構造、
性質に大きく影響され、特に空隙率及び透気度が
前記の範囲内にあるものは、適切な樹脂含浸量を
選ぶことにより、硬化後のB.D.V.が少くとも
60KV/mm(好ましい態様では80KV/mm以上)
のB.D.V.を示す電気絶縁材となし得ることが判
明した。このように、不織布の構造、性質によつ
て樹脂含浸・硬化後のB.D.V.が飛躍的に増大す
るという知見は従来全く存在せず、現に、通常の
不織布に樹脂を含浸・硬化させても、B.D.V.は
基材不織布のそれに比べて殆んど変化しないか又
は低下する傾向が認められる。 例えば、特開昭49−101897号公報に記載の如き
通常の芳香族ポリアミド不織布(密度0.65g/
cm3)に、樹脂を含浸・硬化させた物の、油中の
B.D.V.は、第5表(左欄)の通りであり、樹脂
の含浸・硬化によるB.D.V.の向上は比較的小さ
い。また、市販の芳香族ポリアミド繊維とポリエ
ステルバインダーとからなる不織布(日本バイリ
ーン社製H800CT)も第5表(右欄)に示す通
り、樹脂の含浸・硬化によつて、油中のB.D.V.
は幾分向上するが、その向上の程度は僅かであ
る。
【表】 本発明者らの新知見の如く、特定の構造・性質
をもつ不織布に限り、樹脂含浸硬化後のB.D.V.
が飛躍的に向上するという事実は、当該電気絶縁
材が不織布と樹脂との複合構造物であるため、基
材不織布が本発明で特定したものの場合には、繊
維と樹脂とがB.D.V.に関して好ましい複合状態
を呈することによると考えられる。 すなわち、本発明の電気絶縁材は、不織布と樹
脂との複合構造物であるため、不織布の細孔(空
隙)の大きさが重要な意義をもち、水銀ポロシメ
ータで測定した細孔分布の最頻値(分布曲線のピ
ークの位置)が0.1〜20μ(好ましくは1〜15μ)の
範囲内にあるものが適当である。 次に、芳香族ポリアミド(ポリメタフエニレン
イソフタルアミド)繊維を用いて、前述の不織布
を製造する方法の一例を説明する。 例えば、ポリメタフエニレンイソフタルアミド
繊維の製造方法としては、ポリメタフエニレンイ
ソフタルアミドを溶解した紡糸原液を乾式あるい
は湿式あるいは半乾半式湿のいずれかの方法で紡
糸し、次いで水洗し、沸水延伸を施した後、乾燥
し、更にガラス転移温度以上で延伸熱処理する工
程をとる。 本発明に於ては、前記工程のうち、1.05〜4倍
に沸水延伸後、更にガラス転移温度以上(例えば
250〜400℃)で全延伸倍率が2.5〜5倍となるよ
うに延伸熱処理された実質的に配向結晶化した繊
維Aと、沸水延伸を施した段階で取り出した部分
的に配向結晶化した繊維B1及び/又は、紡糸し
次いで水洗を施した後に取り出した配向結晶化の
していない繊維B2とを、混合して使用するのが
好ましい。本発明に於ては、ウエブの10〜90重量
%が部分的に配向結晶化した繊維B1及び/又は
未配向未結晶化繊維B2(以下、これらを「実質的
に配向結晶化していない繊維B」と総称すること
がある)より不織布を構成するのが好ましく、最
も好ましいのは、全体の30〜70重量%が実質的に
配向結晶化していない繊維Bにより構成する場合
である。 本発明者らの研究によれば、前記の配向結晶化
した繊維A及び部分的に配向結晶化した繊維B1
の繊度は、5デニール/フイラメント以下、特に
3デニール/フイラメント以下が好ましく、未配
向未結晶化繊維B2の繊度は、3デニール/フイ
ラメントより大きいものが好ましい。 前記繊維B2としては、その内部にアミド系極
性溶媒を含むものでもよく、例えば、紡糸直後の
水洗を全く又は十分に行わない未延伸繊維を用い
ることもできる。この場合、繊維中の溶媒含有量
は繊維重量に対し3〜20%が好ましい。溶媒含有
量がこの範囲内にある溶媒含有未延伸繊維を用い
るときは、後述のウエブ形成後の可塑剤処理を行
つた場合と同様の効果を得ることができる。 前記A,Bの繊維を用いて、不織布を製造する
場合、前記両繊維を混合して、それ自体公知の方
法でウエブ化し、得られた混合ウエブに極性アミ
ド溶媒及び/又は水よりなる可塑剤を付着せしめ
た状態で熱圧ロールにより高温高圧で加熱加圧処
理する方法を採用することもでき、また繊維Aか
らなるウエブと繊維Bからなるウエブを積層した
のち、前記と同様の方法によつて可塑剤処理し、
加熱加圧処理する方法を採用してもよい。後者の
場合は、繊維Bを主体とするウエブを中間層と
し、その両側に繊維Aを主体とするウエブを積層
して表層部を形成するように構成するのが好まし
く、該中間層は全体の不織布の20〜70重量%とな
るように積層するのが好ましい。このようにする
と、得られる不織布の断面方向に粗密の状態が好
ましく変化した構造を有する製品となり、前記の
場合は中間層が特に緻密な構造を有するものとな
る。もちろん、製品の用途に応じて、表層部に繊
維(B1及び/他はB2)を主体とするウエブを配
し、中間層に繊維Aを主体とするウエブを配する
ように積層してもよく、また、各層における繊維
の配合割合を変化させてもよい。 一般に、ウエブを製造する方法としては、例え
ば(a)捲縮を付与したステープルをフラツトカード
又はローラカード等のカード機により開繊化しシ
ート状にする方法、(b)長繊維のトウを積層したも
のを、針を植えた一対の末広がりベルトを用いて
幅方向に延展するいわゆる長繊維のトウ開繊法に
よつてシート状とする方法、(c)長繊維をベルト上
にランダムに積層することによつてシート状とす
る方法、あるいは、(d)5〜20mm程度の短繊維を水
又は空気を用いて分散後、網状に捕集して得られ
るシート状物等を、例えばニードリング、接着剤
処理等の手段を用い絡合もしくは結合させる方法
等が採用される。 ウエブに付着させる可塑剤として、極性アミド
系溶媒を用いる場合、好ましい溶媒としては、例
えばN−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホ
ルアミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロ
ラクタム、N−メチルピペリジン、あるいはこれ
らの混合物を挙げることができる。 前記溶媒の水溶液の場合は、その濃度を1重量
%以上、特に3〜15重量%とするのが好ましい。 前記極性アミド溶媒単独又はその水溶液の、芳
香族ポリアミド繊維からなるウエブへの付着量
は、ウエブに対し、極性アミド溶媒に換算して
0.5〜200重量%、特に1〜100重量%が好ましい。 一方、可塑剤が水である場合は、付着量はウエ
ブに対して10〜250重量%が好ましい。 ウエブに極性アミド溶媒及び/又は水からなる
可塑剤を付着する方法は、ウエブに均一に付着す
ることができる通常工業的に用いられている方法
が使用でき、例えばスプレー法又は含浸法等を挙
げることができる。 前述のウエブを加熱加圧処理して不織布とする
ための条件は、ウエブに付着する極性アミド溶媒
及び/又は水の付着量に影響されるので、これら
の条件を考慮して適宜選択することによつて決め
るべきであるが、通常、温度200〜400℃、圧力
(線圧)50〜600Kg/cmの条件で加熱加圧処理を行
う。なお、繊維中にアミド系極性溶媒を含むもの
を用い、可塑剤処理をしない場合は300〜400℃の
温度が好ましい。 加熱加圧処理の方法は、二本以上の熱圧ロール
を用いて行う。この際の通紙速度は3〜15m/分
が好ましい。 このような条件で加熱加圧処理すると、ウエブ
中の繊維Bの全部又は一部が軟化融着して、微細
な空隙を有する緻密性の高い強靭な不織布を形成
する。 得られた不織布に“たわみ”が存するときは、
さらに該不織布を縦横両方向に緊張した状態で、
前記加熱加圧処理温度よりも高温にて熱処理する
ことにより、“たわみ”を除去することができる。
この場合の処理温度は250〜400℃が適当である。 前述の方法で得られた不織布は、繊維の交点で
繊維同士が融着しており、かつ繊維の少くとも一
部は扁平化して強靭で緻密性の高い不織布であ
る。そして、繊維間に形成される空隙(細孔)
は、該不織布の両表面と連通した微細な空隙(細
孔)を有し、従来の芳香族ポリアミド紙にみられ
るような孤立した空洞部(ボイド)を含まない。
前記微細空隙の割合は、空隙率にして5〜30%の
範囲内にあり、また空気の透過度を表わす透気度
にして0.7〜7000秒/100ml、好ましくは1〜5000
秒、の範囲内にある。 また、好ましい不織布は、水銀ポロシメータで
測定した細孔の分布の最頻値が0.1〜20μにある。 これらの値は、次の方法により測定される。 (a) 空隙率 常法により、不繊シートを一定面積に切り出
し、その重量を化学天秤にて0.1mgまで測定し、
厚みを厚み計(ONO SHOKKI DG−211)に
より0.1μmまで測定することにより密度を求
め、これより次式により算出される。 空隙率=(1.37−密度)/1.37×100(%) (b) 透気度 透気度はJIS P 8177記載の方法に準じ、装
置はB型を使用して測定する。 (c) 細孔分布の最頻値 60000psi型ポロシメーター(American
Instrument Company 製)の装置で、0.1〜
0.5gの試料に、50ミクロンHgから25000psi迄
加圧し、Hgを侵入させ不織布における細孔
(空隙)の分布状態を測定することによつて求
められる。 従来の不織布は、いずれも空隙率が40%より大
きいが、空隙率が大きいものは、樹脂の含浸性は
良いが、樹脂が泌み過ぎて該樹脂の不織布内の保
持が出来難くなつて、複合化して電気絶縁材とし
た時のB.D.V.が上昇しなかつたり、不織布内部
に大きな空隙や孤立したボイドが存在する為、樹
脂の含浸量を極端に大きくしなければならないと
いう問題がある。 一方、極度に空隙率を小さくしたものは、構造
が緻密すぎ、フイルムに近い状態となつて含浸性
が極端に低下する。 また、合成紙は一般に7000秒/100ml以上で、
極めて通気性が低いが、これに樹脂を含浸させて
もB.D.V.が大幅に改善されない(第3〜4表参
照)。 不織布に含浸させる熱硬化性樹脂としては、エ
ポキシ樹脂、フエノール樹脂、ポリイミド樹脂な
ど耐熱性のすぐれたものが使用される。 これらの樹脂の不織布に対する含浸量は、樹脂
の種類によつても相違するが、一般に30〜300重
量%(対不織布重量)とすべきである。 前述した特定の不織布にあつては、樹脂の含浸
量を適切な範囲内に選ぶことにより、B.D.V.が
著るしく向上し、30〜300重量%では、含浸・硬
化後の電気絶縁材のB.D.V.が60KV/mmより大と
なる。 樹脂の含浸及び硬化は、樹脂の種類に応じて公
知の方法で行うことができる。 例えば、樹脂をメチルエチルケトン(MEK)
などの有機溶媒に溶解し、この溶液中に不織布を
浸漬して引き上げ、樹脂の硬化温度以上に加熱し
て、硬化せしめる方法が採用される。加熱時間は
樹脂の種類によつて異なるが、一般に100〜200℃
で30分〜3時間程度加熱するのが好ましい。この
際、樹脂の含浸量は、不織布の樹脂溶液への浸漬
回数によつて調整することができる。 また、例えばコイルを巻上げるに際して、導線
の層間に不織布を挿入し、コイル巻上げ後に全体
を樹脂液又は樹脂溶液に浸すか、又はこれらを塗
布して層間に浸入させた後、樹脂を硬化させる方
法等を採用することもできる。 本発明で基材とする不織布は樹脂の含浸性が良
好なため、従来の合成紙等では採用困難と考えら
れる前記の方法を採用することができ、したがつ
て含浸工程を簡略化することができる。すなわ
ち、含成紙の場合は、一般に真空含浸が採用さ
れ、予め紙中の空隙部の空気を抜き去り樹脂含浸
する方法が行われているが、本発明では、常圧下
で含浸できるので、あえて真空含浸を行う必要は
ない。 発明の効果 本発明の電気絶縁材は、樹脂の含浸・硬化によ
つてB.D.V.が大幅に向上し、硬化後のB.D.V.は
少くとも60KV/mmに達し、好ましい条件を選べ
ばフエノール樹脂を使用した場合でも80KV/mm
以上、エポキシ樹脂やBTレジン(ビスマレイド
ートリアジン樹脂)を使用した場合には
100KV/mmを超えるB.D.V.のものとすることも
できる。 第1図は、各種の基材にフエノール樹脂を含浸
し硬化させた電気絶縁材における樹脂含浸量と
B.D.V.との関係を示すものである。第1図にお
けるAは市販のアラミド合成紙(デユポン社製
「Nomex 410」(登録商標)厚さ2mil)のシート
をエポキシ樹脂〔シエル化学社「エピコート」
(登録商標)828 100部、「エピキユアZ」(登録商
標)20部の混合物〕のメチルエチルケトン溶液に
浸漬して乾燥し、これをさらに120℃、120分間加
熱硬化した後測定したB.D.V.を示す。Bは
1.5de′、51mm長の延伸程度の異なつた二種のポリ
(メタフエニレンイソフタルアミド)繊維〔帝人
(株)製「コーネツクス」(登録商標)〕をカード化
し、360℃、400Kg/cmでプレスロールで熱圧し、
密度0.70(空隙率49%)透気度1秒/100ml未満、
厚さ50μ(2mil)の不織布を作り、同様にエポキ
シ樹脂のメチルエチルケトン溶液に浸漬し乾燥し
て得たものを120℃、120分間加熱した後測定した
B.D.V.を示す。また、Cは本発明による電気絶
縁材(ただし、基材不織布の空隙率16%、透気度
37秒/100ml、細孔分布の最頻値13μ)における
B.D.V.を示す。 第1図より明らかな如く、本発明の電気絶縁材
Cは、樹脂含浸量に応じてB.D.V.が大幅に変化
し、ある適当な含浸量の範囲ではB.D.V.が非常
に大きくなるのに対し、従来の不織布や合成紙を
基材とする電気絶縁材は、B.D.V.は、樹脂含浸
量に応じて幾分増大するが、本発明の電気絶縁材
にみられるような顕著な改善は認められない。 この現象は、フエノール樹脂、ポリイミド樹脂
(ビスマレイドートリアジン樹脂)を用いた場合
も同様である。 このように、本発明の電気絶縁材は、すぐれた
電気絶縁性を有し、かつ良好な耐熱性を有するた
め、特に小型の電気機器の絶縁材として有用であ
る。 実施例 次に、本発明について、いくつかの実施例及び
比較例を挙げ説明するが、本発明は、これにより
何ら制約を受けるものではない。 なお実施例中の重合体の固有粘度は濃硫酸を用
い濃度0.5g/dl、温度30℃で測定した。 実施例 1 〔不織布の製造〕 極限粘度1.8のポリメタフエニレンイソフタル
アミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解した
溶液(濃度24重量%)を、塩化カルシウム水溶液
(濃度43重量%)からなる凝固浴中に押出して紡
糸し、沸水中で2.3倍に延伸して、X線回折によ
る結晶配向度63%、太さ2deの繊維を得た(この
繊維をDと称する)。 一方、同様に紡糸後沸水延伸し、更に345℃の
熱板上で1.75倍延伸して、X線回折による結晶配
向度95%、太さ2deの繊維とした(この繊維をE
と称する)。 前記繊維D、Eにそれぞれ捲縮を付与した後、
51mm長に切断し、繊維Dを60部、繊維Eを40部の
割合で混合し、シングルスカツチヤーで予備開綿
後、フラツトカードを2段通しクロスレイドウエ
バーでベルトコンベア上にウエブを形成し、引き
続きニードル機で9バーブの針を用い、針密度84
本/cm2のニードルをかけ目付80g/m2の絡合ウエ
ブを得た。このウエブの両面にスプレー装置を用
い、濃度3重量%のN−メチル−2−ピロリドン
3重量%水溶液をウエブに対し100重量%均一に
付着させた。次いで一対の熱圧ローラを用い温度
280℃、線圧400Kg/cm、速度8m/mmの条件でプ
レスし張力をかけながら連続的に巻き取つた。 得られた不織布の密度は1.14g/cm3、空隙率16
%、透気度は50秒/100mlであつた。また、水銀
ポロシメータで測定したHg侵入量は0.20ml/g、
孔径分布の最頻値は13μであつた。 〔電気絶縁材の製造〕 前記不織布に市販のフエノール樹脂〔「セメダ
イン#100」(登録商標)〕の20%メチルエチルケ
トン溶液に浸して引き上げたところ、不織布に対
して36重量%の樹脂が付着していた。この樹脂含
浸不織布を120℃に加熱して樹脂を硬化させた後
のB.D.V.は64KV/mmであつた。また、この樹脂
含浸不織布の2号絶縁油中のB.D.V.は77KV/mm
であつた。 実施例 2 〔不織布の製造〕 極限粘度1.8のポリメタフエニレンイソフタル
アミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液を用い
て、塩化カルシウム凝固浴中で湿式紡糸を行な
い、水洗乾燥後、捲縮を付与し、繊度1.5deの繊
維を得た(繊維Mと称する)。 同様に前記溶液を用いて、湿式紡糸し水洗後、
沸水浴中で2.3倍に延伸し乾燥後、捲縮を付与し
同様に繊度1.5deの繊維を得た(繊維Fと称す
る)。 同様に、前記溶液を用いて湿式紡糸し、水洗
後、沸水浴中で2.3倍に延伸し、乾燥後更に350℃
の熱板上で1.75倍に延伸したものに捲縮を付与
し、繊度1.5deの繊維を得た(繊維Rと称する)。 前記3種の繊維をそれぞれ5.1mm長に切断し、
第4表に示す割合で混合し、実施例1と同様にし
て不織布とした。 得られた不織布の特性を第5表に示す。
【表】 〔電気絶縁材の製造〕 実験No.1〜4で得た不織布を、常圧下で実施例
1と同様にフエノール樹脂20%溶液に含浸させ、
硬化せしめて電気絶縁材とした。 この電気絶縁材のB.D.V.を含浸前の不織布と
対比して第5表に示す。
【表】 比較例
比較例 1 比較のため、芳香族ポリアミド繊維のみを常法
により不織布(目付80g/m2)としたもの(試作
不織布)、市販の芳香族ポリアミド合成紙〔デユ
ポン社製「Nomex」410、424(登録商標)〕及び
市販の芳香族ポリアミド含有不織布〔日本バイリ
ーン社製H8008CT〕に、それぞれ、フエノール
樹脂を含浸して硬化させ、得られた物のB.D.V.
を測定した。 その結果を第6表に示す。
【表】 比較例 2 実施例1の不織布及び市販の合成紙
〔“Nomex”410(登録商標)〕にそれぞれJIS 2号
絶縁油を含浸させた結果を、第7表に示す。実施
例1の不織布は、油を含浸させた場合、B.D.V.
の上昇は認められない。
【表】 実施例 4 テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールか
らエステル交換でポリエチレンテレフタレートを
作り、熔融紡糸し、延伸し、捲縮をかけ、トウを
開繊し、長繊維のまゝアクリルアミド系の接着剤
を添加後、高温領域を通して不織布化した後、
240℃、600Kg/cm2で熱圧着させた。繊維は2de、
強力は6Kg/cm2、伸度20%であつた。不織布とし
ての厚さは74μ、目付は73g/m2であつた。ポリ
エチレンテレフタレート繊維の密度は約1.36であ
るので、空隙率は27%である。又、通気度は528
秒だつた。 この不織布はそのまゝでは絶縁破壊電圧は
0.3KVつまり4KV/mmである。この不織布をフ
エノール樹脂〔「セメダイン#100」(登録商標)〕
の30%メチルエチルケトン溶液に含浸させた場合
の含浸量は90%、硬化後のB.D.V.は50KV/mmで
あつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種の基材にフエノール樹脂を含浸・
硬化せしめた電気絶縁材における、樹脂含浸量と
B.D.V.との関係を示すグラフであり、Aは芳香
族ポリアミド合成紙を基材とするもの、Bは本発
明で特定した範囲外の物性を有する不織布を基材
とするもの、Cは本発明の電気絶縁材を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 実質的に耐熱性繊維のみからなり、かつ空隙
    率が5〜30%、透気度が0.7〜7000秒/100mlであ
    る不織布に、熱硬化性樹脂を不織布重量を基準に
    して30〜300重量%含浸・硬化せしめて、絶縁破
    壊電圧を60KV/mm以上にしたことを特徴とす
    る、電気絶縁材。 2 含浸前の不織布における細孔分布の最頻値が
    0.1〜20μである特許請求の範囲第1項記載の電気
    絶縁材。 3 不織布を構成する耐熱性繊維が、芳香族ポリ
    アミド繊維又はポリエステル繊維である特許請求
    の範囲第1項又は第2項記載の電気絶縁材。 4 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フエノール樹
    脂又はポリイミド樹脂である特許請求の範囲第1
    項、第2項又は第3項記載の電気絶縁材。
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