JPH03277870A - ピストンリング及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は内燃機関用のピストンリング及びその製造方法
に関する。

〔従来の技術〕

近年の自動車用内燃機関は、高速、高出力化の傾向が著
しい、このため、ピストンリングの受ける熱負荷はより
大きくなっており、このもとでの耐スカツフ性、耐摩耗
性が重要となってきた。従来、−船釣に用いられてきた
ピストンリングの摺動面の表面処理は、硬１ｉｃｒめっ
きあるいは窒化処理である。これらは耐スカツフ性の面
で充分とは言えない、最近、ピストンリングの表面処理
として、硬質Ｃｒめっき以上の耐摩耗性、耐スカッフ性
を示すＰＶＤ処理が注目されてきた（特開昭５７−５７
８６８号、特開昭５７−６５８３７号、特開昭５８−３
５６４８号等参照）、そして、実公平１−２２９２２号
及び特公平１−３３６５８号には、硬質Ｃｒめっき層の
上にＰＶＤ処理による硬質皮膜を被覆したピストンリン
グが記述されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、ＰＶＤ処理ピストンリングを鋳鉄シリン
ダと共に用いた場合、ピストンリング側にはスカッフィ
ングは発生しないが、シリンダ側には油膜切れによりス
カッフィングの発生することが多く完全なものではない
。

本発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、ピストン
リング側は勿論、シリンダ側にもスカッフィングが発生
せず、耐摩耗性、耐スカツフ性ともすぐれたピストンリ
ング及びその製造方法を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の構成は、少なくとも外周摺動面がｐｖＤ処理に
よる硬質皮膜で被覆され、その下地は硬質Ｃｒめっき層
であるピストンリングにおいて、前記外周摺動面に前記
硬質皮膜表面から前記下地硬質Ｃｒめっき層内へ達する
ビットポーラスが面積比で５〜４０％存在することを特
徴とする。

ＰＶＤ処理による硬質皮膜はＴ　ｉ　Ｎｓ　Ｔ　ｉ　　
（Ｃ１１、Ｎｖ　）　、ＣｒＮ、　Ｃｒ　（ＣＭ　％　
Ｎｖ　）から選ばれるｌｉｌ又は２種の皮膜であるのが
よい、皮膜は上記物質の単層の皮膜である他、上記物質
の複層又は混合の皮膜であってもよい、これらの硬質皮
膜の厚さはピストンリングの使用条件にもよるが、１〜
３０μｍとするのがよい、また、硬質Ｃｒめっきの厚さ
は５〜２００μｍとするのがよい。

そして、外周摺動面の円周方向に１本又は複数本の条痕
を形成するのがよい、この条痕は、ピストンリング外周
摺動面の当り幅の１／７〜１／２の幅で、深さ０．０３
〜０．５　ｍ　ｍとするのがよい。

前記ピットポーラスはＰＶＤ処理（温度は２００〜２５
０℃とする）の終了時にピストンリングの温度を３５０
〜４５０℃に上げることにより形成できる。

〔作用］ 外周摺動面が硬質Ｃｒめっき層上にＰＶＤ処理による硬
質皮膜を被覆しているので、耐摩耗性、耐スカツフ性に
すぐれる。そして、本発明においては、外周摺動面にビ
ットポーラスが存在するため、ビットポーラスが油溜り
となって、シリンダ側のスカッフィングも充分に防止で
きる。ここでピットポーラスの面積率は、５％未満では
油溜りとしての作用が不足し、４０％を超えると耐摩耗
性が不充分になる。

そして、外周摺動面の円周方向に１本又は複数本の条痕
を備えれば、これが油溜りとして作用するので、特に高
熱負荷のピストンリングの場合好ましい。

本発明のＰＶＤ処理の下地硬質Ｃｒめっきは、極めて硬
いＰＶＤ皮膜の下地として必要な硬さを有し、しかも摺
動面の油溜りとして作用するビットポーラスを形成する
際の起点となる。即ち、低温でのＰＶＤ処理の終了時に
ピストンリングの温度を上げることによって、硬質Ｃｒ
めっきにクランクが入り、ＰＶＤ処理による硬質皮膜の
表面から硬質Ｃｒめっき層内に達するピットポーラスが
形成される。そしてその面積率は硬質Ｃｒめっきの条件
や加熱温度によってコントロールできる。

この場合、最初から高温度でＰＶＤ処理を施すと、第３
図に示す如く、硬質ＣｒめっきＮ２のクランク部にもＰ
ＶＤ処理による硬質皮膜３が形成され、ピストンリング
の組み付は時リングが拡げられる際に、硬質皮膜３に割
れが発生し、欠け、剥離等を生じやすいので好ましくな
い。

〔実施例１〕 ピストンリングの外周面に硬質Ｃｒめっきを施した後、
研磨加工してＣｒめっき厚さを５０μｍに！１！整した
。その後、２００℃でＰＶＤ処理して厚さ２．５　＃　
ｍのＴｉＮ皮膜をＣｒめっき層上に被覆した。ＰＶＤ処
理の終了時にピストンリングの温度を３５０℃に上げて
Ｃｒめっき層にクランクを発生させ、ＴｉＮ皮膜の表面
から硬質Ｃｒめっき層内に達するピットポーラスを１５
％の面積率で得た。第１図は上記により作製したピスト
ンリングを示し、１はピストンリング母材、２は硬質Ｃ
ｒめっき層、３はＴｉＮ皮膜、４はピットポーラスであ
る。

〔実施例２〕 ピストンリングの外周面の母材表面に、円周方向に１本
の条痕を形成し、それから外周面に硬質Ｃｒめっきを施
し、研磨後実施例１と同様の製造工程によってピストン
リングを作製した。このピストンリングのＢ寸は１．２
　ｍ　ｍ、当り幅は１．０　ｍｍで、条痕の深さは０．
１５ｍｍ、幅は０．２ｍｍである。ＰＶＤ処理皮膜はＣ
ｒＮとした。硬質Ｃｒめっきの厚さは５０μｍ、ＣｒＮ
皮膜の厚さは１５μｍ１ピットポーラスの面積率は１５
％である。

第２図は上記により作製したピストンリングを示し、１
はピストンリング母材、２は硬質Ｃｒめっき層、３はＣ
ｒＮ皮膜、４はピットポーラス、５は条痕である。

〔実施例３〕 ＰＶＤ処理による硬質皮膜が厚さ２μｍのＴ　ｉＮ皮膜
で、その他は実施例２と同しピストンリングを、実施例
２と同様の工程で作製した。

（実機テスト〕 上記３種類のピストンリングと、Ｃｒめっきのみのピス
トンリング、及びＣｒめっき層上にクラ７りのないＴｉ
Ｎ−ＰＶＤ処理を施したピストンリングについて、二輪
車用空冷２サイクル１００ＣＣ単気筒エンジンでエンジ
ンテストを行った。

テスト条件を下記に示す。

慣らし運転；３５００ｒｐｍ、全負荷、０．５時間後、
４５００ｒｐｍ、全負荷。

０．５時間の計１時間 テスト運転：、６５００ｒｐｍ、全負荷評価方法　：ス
カッフの発生しなかった場合、１時間毎にガソリンに対
する潤滑 油の混合比を表に示すように減少 して、スカッフ発生の混合比で評 価した。

表１、表２にテスト結果を示すが、本発明のピストンリ
ングは比較例に比べ優れた耐スカツフ性を示す。

表１ （外周面に条痕なし） （注二〇印はスカッフ発生なし、 ｘ印はスカフ フ発生あり） 表２ （外周面に条痕あり） （注：Ｏ印はスカッフ発生なし、 Ｘ印はスカン フ発生あり） 〔発明の効果〕 以上説明したように本発明のピストンリングによれば、
耐摩耗性、耐スカツフ性がすぐれ、かつ外周摺動面のビ
ットポーラスが油溜りとして作用するため摺動面の保油
性を高め油膜切れを抑制し、シリンダ側のスカッフィン
グも防止できる。

そして前記ビットポーラスはＰＶＤ処理（温度は２００
〜２５０℃とする）の終了時にピストンリングの温度を
３５０〜４５０℃に上げることにより容易番こ形成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明のピストンリングの一部分を
示す断面図、第３図は比較例としてのピストンリングの
一部分を示す断面図である。 １はピストンリング母材、２は硬質Ｃｒめっき層、３は
硬質皮膜、４はピットポーラス、５は条痕。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. （１）少なくとも外周摺動面がＰＶＤ処理による硬質皮
   膜で被覆され、その下地は硬質Ｃｒめっき層であるピス
   トンリングにおいて、前記外周摺動面に前記硬質皮膜表
   面から前記下地硬質Ｃｒめっき層内へ達するピットポー
   ラスが面積比で５〜４０％存在することを特徴とするピ
   ストンリング。
2. （２）ＰＶＤ処理による硬質皮膜がＴｉＮ、Ｔｉ（Ｃ＿
   Ｘ、Ｎ＿Ｙ）、ＣｒＮ、Ｃｒ（Ｃ＿Ｘ、Ｎ＿Ｙ）から選
   ばれる１種又は２種の皮膜であることを特徴とする請求
   項１記載のピストンリング。
3. （３）外周摺動面の円周方向に１本又は複数本の条痕を
   有することを特徴とする請求項１記載のピストンリング
   。
4. （４）ピストンリングの少なくとも外周摺動面に硬質Ｃ
   ｒめっきを施した後、少なくとも外周摺動面の硬質Ｃｒ
   めっき層上に２００〜２５０℃でＰＶＤ処理により硬質
   皮膜を被覆し、その後このピストンリングの温度を３５
   ０〜４５０℃に上げて、前記外周摺動面に前記硬質皮膜
   表面から前記下地硬質Ｃｒめっき層内へ達するピットポ
   ーラスを面積比で５〜４０％形成することを特徴とする
   ピストンリングの製造方法。