JPH0327598B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

炭化水素系液状混合物はその混合する化合物の
組合せも多様で燃料用途を代表例として、その用
途は多岐にわたつている。例えば重質油の燃焼効
率を高め軽質油分野への用途拡大のため、該油中
に少量のメタノールを混合したり、あるいは微粉
石炭の安全かつ効率的な輸送を目的として、該微
粉をメタノールや炭化水素油に分散させること
等、実用化が期待されている。しかして、いずれ
の用途においても炭化水素系液状混合物が相分離
をおこさない様に、系を安定に維持するため各種
界面活性剤の添加が必要とされており、特に近時
ポリ酢酸ビニル部分ケン化物が好適な乳化剤とし
て使用し得るとの提案が行われている。 しかしながら、本発明者等が検討したところ上
記安定化剤は比較的、平均ケン化度あるいは平均
重合度の高い部分ケン化物であるため、安定化効
果を充分発揮させるには水の共存が必要となる難
点があることが判明した。水の共存は例えば前記
炭化水素系液状混合物を燃料として用いる場合、
燃焼効率の低下を引きおこすので好ましいことで
はない。又、混合物の長期保存安定性及び流動性
の点で更に改善の余地があることも明かとなつ
た。 しかるに、本発明者等はかかる問題を解決する
ため鋭意研究を重ねた結果、アルコール、固形状
炭化水素、液状炭化水素の少くとも二種の組合せ
よりなる炭化水素系液状混合物に、平均ケン化度
60モル％以下、平均重合度1500以下のポリ酢酸ビ
ニル系樹脂を添加する場合、かかる目的が達成出
来ることを見出し本発明を完成するに到つた。 本発明でアルコールとはメタノールが代表的で
あるがエタノール、プロパノール、ブタノール等
の高級アルコールも使用可能である。 又、固形状炭化水素としては石炭、アスフアル
ト、コールタール等が例示される。 更に、液状炭化水素としてはガソリン（自動
車、および航空用）、ジエツト燃料油、燈油、軽
質油、重質油（Ａ重油、Ｂ重油、Ｃ重油）あるい
は潤滑油等が例示される。 本発明の対象となる炭化水素系混合物は、アル
コール、固形状炭化水素、液状炭化水素のうちい
ずれか二種以上の組合せであればいずれでも良
く、要は混合物とした場合に液状となつているこ
とが必要である。液状であればスラリー状、エマ
ルジヨン状等の分散状態であつても又、見かけ上
均一な溶液状であつても差支えない。 実用上から考えて好ましい組合せはガリソン／
メタノール、軽油／メタノール、重質油／メタノ
ール、石炭／メタノール、アスフアルト／メタノ
ール等であるが、特に重質油／メタノール、ある
いはアスフアルト／メタノールが効果が顕著であ
る。該混合物における混合比率は特に制限はなく
目的に応じて任意の範囲から選定すれば良い。例
えば重質油にメタノールを混合する場合、実用上
30重量％以下のメタノールで使用される。 本発明における特徴点は安定化剤として平均ケ
ン化度60モル％以下、平均重合度1500以下のポリ
酢酸ビニル系樹脂を用いる点である。 かかる安定化剤の使用に当つては、水を共存さ
せなくても充分その効果が発揮出来る点、公知の
高ケン化度あるいは高重合度のポリ酢酸ビニル系
樹脂とは性能面で著しい差がある。 又、該安定剤の使用により混合物を長期間にわ
たつて保存しても相分離あるいは分散系の破壊等
の心配は全くない上、流動性の点でも取扱い上適
当な粘性を有するという利点もある。 上記のポリ酢酸ビニル系樹脂の中でも平均ケン
化度20〜50モル％、平均重合度50〜1000のポリ酢
酸ビニル部分ケン化物、即ち、低ケン化度及び低
重合度の部分ケン化物が特に効果的である。 該ポリ酢酸ビニル系樹脂の分子中には酢酸ビニ
ル基、水酸基以外に少量の他の官能基が含まれて
も差支えない。 又、該ポリ酢酸ビニル系樹脂は粉末状、ブロツ
ク状、溶液状のいずれの形態で添加されることも
可能であり、溶液状としてはメタノール溶液、エ
タノール溶液、メタノール／酢酸メチル溶液等の
アルコール系溶剤溶液が適当であり、必要に応じ
て該アルコールと相溶性のある他の溶剤の併用も
勿論可能である。 該樹脂の添加量は対象混合液の種類あるいはそ
の目的によつて多少変動するので一概に規定は出
来ないが、通常混合物全体に対して0.01〜５重量
％の範囲が適当である。 本発明の方法を実施する際、その混合手段に制
限はなく要はアルコール、固形状炭化水素、液状
炭化水素の少くとも二種類とポリ酢酸ビニル系樹
脂を撹拌下に混合しさえすれば良い。 その添加順序は任意である。 又、かかる操作の際必要に応じて各種界面活性
剤、燃焼助剤、各種有機溶剤等の各種添加剤、あ
るいは燃焼効率を低下させない程度の少量の水
等、任意の化合物の併用も差支えない。 かくして得られた炭火水素系液状混合物は極め
て安定性が良好で長期にわたつて保存が可能であ
り、適度の流動性を有するため、燃料をはじめ各
種用途に有用である。 以下、実例を挙げて本発明の方法を更に具体的
に説明する。部又は％とあるのはことわりのない
限り重量基準である。 実施例 １ Ｃ重油100部を室温下でステンレス容器に仕込
み撹拌下にメタノール10部、平均ケン化度45モル
％、平均重合度400のポリ酢酸ビニル部分ケン化
物0.5部を仕込んで混合物を得た。この系は完全
に均一であつた。 実施例 ２ メタノール80部、酢酸メチル20部の混合溶媒に
平均ケン化度25モル％、平均重合度300のポリ酢
酸ビニル部分ケン化物1.25部を溶解した。この溶
液20部とＣ重油100部とを撹拌下に混合した。こ
の系は均一であつた。 実施例 ３ 実施例１のＣ重油に代えてガソリンを使用した
以外は同例と同じ実験を行つた。系は完全に均一
であつた。 実施例 ４ 実施例２におけるＣ重油に代えてアスフアルト
を用いた以外は同例と同じ実験を行つた。 系は均一であつた。 実施例１〜４で得られた混合物の性能を次表に
示す。

【表】 尚、対照例は実施例３において平均ケン化度65
モル％、平均重合度2400のポリ酢酸ビニル部分ケ
ン化物を使用した。 注） 極めて良好 ◎ 良 好 〇 やや不良 △ 不 良 ×にて表示した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アルコール、固形状炭化水素、液状炭化水素
   の少くとも二種の組合せよりなる炭化水素系液状
   混合物に、平均ケン化度60モル％以下、平均重合
   度1500以下のポリ酢酸ビニル系樹脂を添加するこ
   とを特徴とする炭化水素系液状混合物の安定化方
   法。 ２ ポリ酢酸ビニル系樹脂として平均ケン化度20
   〜50モル％、平均重合度50〜1000の低ケン化度及
   び低重合度のポリ酢酸ビニル系樹脂を使用するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の安定
   化方法。 ３ 重質油／メタノール混合液に平均ケン化度20
   〜50モル％、平均重合度50〜1000の低ケン化度及
   び低重合度のポリ酢酸ビニル系樹脂を添加するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第２項記載の安定
   化方法。 ４ アスフアルト／メタノール混合液に平均ケン
   化度20〜50モル％、平均重合度50〜1000の低ケン
   化度及び低重合度のポリ酢酸ビニル系樹脂を添加
   することを特徴とする特許請求の範囲第２項記載
   の安定化方法。