JPH0326459B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、カセツト式テーププレーヤにおい
て、カセツトを再生位置に装着したり外部に取出
す為のパツクガイド機構に関する。

［発明の技術的背景］ カセツト式のテーププレーヤは、その基板上に
直立した２本のリール軸をカセツトの軸孔内に挿
入することにより、再生・録音等のプレイ状態と
なるが、この様なカセツトの装着手段としては、
テーププレーヤに対するカセツトの挿入方向によ
つて各種のものが知られている。その一つに、テ
ーププレーヤの全面に開口した挿入口からパツク
ガイド内に向かつて水平にカセツトを挿入し、そ
の後パツクガイド全体をリールベース上に下降さ
せ、カセツトにリール軸を挿入するいわゆる水平
ローデイングタイプのものがある。

［背景技術の問題点］ ところで、この種のテーププレーヤにあつて
は、テープの再生中にカセツトがリールベース上
から不用意に上昇したり、ガタ付かない様に、パ
ツクガイドを下降位置に確実に押えておく必要が
ある。その為パツクガイドには下降方向のバネを
設けるが、このバネの力が強いと、イジエクト時
にパツクガイドを上昇させることが困難となる。
即ち、強いバネの力に逆らつてパツクガイドを上
昇させる為に、イジエクトレバーの押込み力が大
きくなつて、操作性が悪くなる。しかも一般にパ
ツクガイドを押え付けるバネは、イジエクトレバ
ーの復帰用スプリングによつて兼用されることが
多い為、イジエクト操作時にはレバーの復帰力と
パツクガイドの押え力との双方に逆らつてレバー
を押込む必要があり、その押込み抵抗はかなりの
力に達するものであつた。

また、イジエクト状態では、パツクガイド下降
用のバネは伸びきつており、その強い力に逆らつ
てパツクガイドを上昇位置に保持しておかねばな
らないが、その為のロツク手段としてバネの力を
充分に係止できる大きなロツク力を持つものが必
要となり、このロツクを外す為にも大きな力が必
要となつて、カセツトの装着時の操作性も悪くな
る。この場合、ロツク解除を容易とする為にロツ
ク力の小さな外れ易い機構を採用すると、外部か
らの振動、衝撃等でロツクが外れるおそれが生
じ、パツクガイドの保持が不安定となる。

［発明の目的］ 本発明は、上記の如き従来技術の問題点に鑑み
提案されたもので、その目的は、パツクガイドを
下降位置に保持する力は充分にありながら、イジ
エクトレバーの操作力が軽く、しかもイジエクト
時におけるパツクガイドの保持が安定して行われ
るパツクガイド機構を提供することにある。

［発明の概要］ 本発明のパツクガイド機構は、パツクガイドを
昇降させるガイドアームに扇形に移動するＬ字形
リンクを連結し、このＬ字形リンクに設けたイジ
エクトレバーとの当接部とテーププレーヤのフレ
ームとの間にパツクガイド押え用のコイルバネを
張設したもので、特に、このコイルバネの取付部
をＬ字形リンクの回動中心である支軸より外側、
即ちＬ字形リンクの当接部と反対側に設定するこ
とにより、Ｌ字形リンクの回動途中でコイルバネ
の負荷方向を反転させ、一個のコイルバネがパツ
クガイドを下降位置に押え付ける作用とイジエク
ト状態に保持する作用との両方を果す様にして、
イジエクトレバーの操作力とイジエクト時のロツ
ク力の軽減を図つたものである。

［発明の実施例］ 以下、本発明の一実施例を第１図乃至第３図に
て説明する。

本実施例において、パツクガイドを昇降させる
ガイドアーム１は、その後部の支軸２を中心とし
て先端が昇降自在となつている。このガイドアー
ム１の先端にはピン３を介して扇状に移動するＬ
字形リンク４が連動されている。

Ｌ字形リンク４は全体として逆Ｌ字形をなすも
ので、そのガイドアーム側の腕の先端には前記ピ
ン３を挾んだコ字形の凹部５を有し、コーナー部
中央にて支軸６を介してフレーム７に回転自在に
取付けられている。また、Ｌ字形リンク４の下方
に延びる腕の端にはピン状をしたイジエクトレバ
ーへの当接部８が固定されており、この当接部８
はフレーム７に設けた開口部９を通り、フレーム
の内側へ突出している。

一方、フレーム７において、開口部９は当接部
８を扇形に移動させる形状を有し、フレーム前方
の右下に位置している。また、フレーム７の上部
には、Ｌ字形リンク４の支軸６を挾んで当接部２
８の反対側にバネ取付部１０が設けられており、
これと開口部９より突出した当接部８とを結ん
で、コイルバネ１１が張設されている。ここでＬ
字形リンク４の回動範囲はカセツトのイジエクト
状態には当接部８が取付部１０と支軸６を結ぶ線
ｌよりもテーププレーヤの奥側に位置し、カセツ
トの装着状態においては、当接部８が前記の線ｌ
よりも手前側に位置する様に設定されている。

フレームの前方側面には、３本のガイドピン１
２が固定されており、これを介してイジエクトレ
バー１３が前後動可能に取付けられている。イジ
エクトレバー１３は、長い帯状の板で中央にはフ
レームのガイドピン１２が挿入される３個の長孔
１４が横方向に形成されている。そして、このイ
ジエクトレバー１３は、復帰用スプリング１５に
よつて常にテーププレーヤの手前側に付勢されて
いる。また、イジエクトレバー１３の先端下部に
は、突起状の押圧部１６が設けられ、更にその先
端側には、押圧部１６と一定の間隔を保つて同じ
突起状の係止部１７が形成されている。

この様な構成を有する本実施例の作用は次の通
りである。

第１図に示す様にカセツトテープの装着時には
パツクガイドを上昇位置に保持するロツク機構が
解除されているので、パツクガイド及びこれを支
持するガイドアーム１は自由状態となつている。
その為、ガイドアーム１は、これと連結されたＬ
字形リンク４を介して作用するイジエクトレバー
１３のスプリング１５に牽引され、その先端が下
降している。即ち、イジエクトレバー１３がスプ
リング１５に牽引されて手前側に移動すると、そ
の先端の係止部１７がＬ字形リンク４の当接部８
を手前に引き寄せるので、Ｌ字形リンク４は支軸
６を中心として時計方向に回動し、それに伴つて
Ｌ字形リンク上端の凹部５が下降し、ガイドアー
ム先端も下降するのである。

この時、コイルバネ１１は当接部と共に時計方
向に回動するが、回動中心である取付部１０がＬ
字形リンクの回動中心より外側に設定されている
為、回動途中で取付部１０とＬ字形リンクの支軸
６を結ぶ線ｌ上にて負荷方向が反転する。よつ
て、カセツト装着状態においては、コイルバネ１
１は線ｌより手前側に傾いており、Ｌ字形リンク
を時計方向へ引張る力が働く。この引張り力によ
りＬ字形リンクは上端の凹部が下降した状態のま
ま保持され、これに伴いパツクガイドが下降位置
にて保持される。

一方、イジエクト操作時においては、第２図に
示した様にイジエクトレバー１３を押圧すると、
その先端部に形成された押圧部１６が、Ｌ字形リ
ンク４の当接部８を押圧し、当接部８はテーププ
レーヤのフレーム７に形成された円弧形の開口部
９内を移動する。それに伴つてＬ字形リンク４は
支軸６を中心として回動し、凹部５が上方向へ移
動してピン３が上昇し、ガイドアーム１及びパツ
クガイドも上へ引き上げられる。

この時、当接部８が線ｌを越えるまでは、コイ
ルバネ１１は引き伸ばされ、イジエクトレバー１
３の押込み力に対する抵抗として働く。

続いてイジエクトレバー１３がテーププレーヤ
の一番奥で押し込まれると第３図の如き状態とな
る。即ち、イジエクトレバー１３の先端部に形成
された押圧部１６に押されて当接部８が円弧形の
開口部９の最奥部に達し、この時、Ｌ字形リンク
４の凹部５によつて、ガイドピン３も最高位置ま
で押し上げられ、ガイドアーム１が支軸２を中心
として回動し水平位置に固定される。この際、当
接部８がリンクの支軸６と押圧部１０を結ぶ線ｌ
より奥側に位置した時点からコイルバネ１１の力
は、ピン３を上方向へ押し上げる力として働き、
ガイドアーム１及びパツクガイドの上昇をよりス
ムーズなものとしている。

なお、ガイドアーム及びパツクガイドが完全に
上昇すると、これらは図示しないロツク機構によ
り上昇位置に保持され、イジエクト状態となる。
そして、イジエクトレバー１３に対する押込み力
が解除されると、イジエクトレバー１３はスプリ
ング１５の力で手前側に移動するが、ロツク機構
によりガイドアーム１及びこれと連動するＬ字形
リンク４が固定されているので、係止部１７が当
接部８に当つた位置、即ちほぼ半ばまで引出され
た位置で停止する。そして、パツクガイド内への
カセツトの装着に伴いロツク機構が解除される
と、ガイドアームとＬ字形リンクは自由状態とな
り、イジエクトレバー１３はスプリング１５によ
り更に手前側に引出され、同時にＬ字形リンクと
ガイドアームも回動して第１図の如き装置状態と
なる。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明によれば、Ｌ字形リンクに
取付けたコイルバネの負荷を反転することによつ
て、一本のコイルバネを用いてパツクガイドを下
降位置に押える力とイジエクト状態に保持する力
とを充分に与えることができるので、パツクガイ
ドの押えを確実に行いながらもイジエクト状態の
ロツクが少なくて済む。しかも、イジエクトレバ
ーを押込んでパツクガイドを上昇させて行くと、
当初はコイルバネの力が抵抗となるが反転後はコ
イルバネが逆に作用し、あたかもイジエクトレバ
ーを引込む様に働くので、イジエクレバーの復帰
スプリングは伸びて抵抗が増大するにもかかわら
ず、押込み力全体としてみれば抵抗の増加はほと
んどなく、軽い力でイジエクトレバーの操作を行
える効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はカセツト装着時の側面図、第２図はカ
セツト取出し時の側面図、第３図はカセツト取出
し後の側面図である。 １……ガイドアーム、２……ガイドアームの支
軸、３……ピン、４……Ｌ字形リンク、５……凹
部、６……Ｌ字形リンクの支軸、７……フレー
ム、８……当接部、９……開口部、１０……取付
部、１１……コイルバネ。１２……ガイドピン、
１３……イジエクトレバー、１４……長孔、１５
……スプリング、１６……押圧部、１７……係止
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ イジエクトアーム側とパツクガイド側とに延
   びる２本の腕を持つＬ字形リンク４が、中央の支
   軸においてテーププレーヤのフレームに回動自在
   に取付けられ、前記Ｌ字形リンク４の一方の腕の
   先端部には当接部８が配設され、イジエクトプレ
   ート１３の先端部には前記当接部８を押圧する押
   圧部１６が設けられ、Ｌ字形リンク４の他方の腕
   の先端部はパツクガイド側に連結され、更にフレ
   ームの前記Ｌ字形リンク４の支軸６を挾んで当接
   部８と反対側にはバネ取付部１０が設けられ、こ
   のバネ取付部１０とＬ字形リンク４の当接部８と
   の間にコイルバネ１１を張設し、前記Ｌ字形リン
   ク４の回動範囲をバネ取付部１０とリンク４の支
   軸６を結ぶ線を越えて当接部８が移動する様に設
   定したことを特徴とするテーププレーヤのパツク
   ガイド機構。