JPH03260035A - 耐食性及び被削性を改善したNi―Cr系ステンレス鋼 - Google Patents
耐食性及び被削性を改善したNi―Cr系ステンレス鋼Info
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
〈産業上の利用分野〉
この発明は、Ni −Cr系5US304ステンレス鋼
をベースとしてその耐食性と被削性を改善し、特に食品
用機器の材料として好ましく利用することができるNi
−Cr系ステンレス鋼に関するものである。
をベースとしてその耐食性と被削性を改善し、特に食品
用機器の材料として好ましく利用することができるNi
−Cr系ステンレス鋼に関するものである。
〈従来の技術〉
JISに定められた5US304の化学成分は表1のと
おりである。
おりである。
表1− (重量%)
SUS304は耐食性材料として広く用いられているが
、被削加工性が非常に悪い。快削性が要求される場合に
は、従来、耐食性を大幅に犠牲にして意図的に硫化物系
介在物(MnS)を生成させる方法が一般に採られてい
る。しかし、耐食性を特に重視して、強腐食環境(例え
ば、塩化物環境や酸性飲料環境等)にも対応させるよう
にするには、さらにMnSの主成分である鋼中のS及び
Mnの組成化Mn/ S比を低下させ、MnS中の固溶
Cr量を多くすることが有効とされている(「鉄と鋼、
。
、被削加工性が非常に悪い。快削性が要求される場合に
は、従来、耐食性を大幅に犠牲にして意図的に硫化物系
介在物(MnS)を生成させる方法が一般に採られてい
る。しかし、耐食性を特に重視して、強腐食環境(例え
ば、塩化物環境や酸性飲料環境等)にも対応させるよう
にするには、さらにMnSの主成分である鋼中のS及び
Mnの組成化Mn/ S比を低下させ、MnS中の固溶
Cr量を多くすることが有効とされている(「鉄と鋼、
。
70(1984)、P、741)。
〈発明が解決しようとする問題点〉
上記したMnSの生成及びMn/S比の低下をバランス
よく調整することによって耐食性を損わず被削性を改善
することはある程度可能であるが、未だ充分満足できる
ものではなかった。
よく調整することによって耐食性を損わず被削性を改善
することはある程度可能であるが、未だ充分満足できる
ものではなかった。
そこでこの発明は、5US304をベースとして、耐食
性と被削性の両方がさらに優れたNi−Cr系ステンレ
ス鋼を提供することを目的としてなされたものである。
性と被削性の両方がさらに優れたNi−Cr系ステンレ
ス鋼を提供することを目的としてなされたものである。
く問題点を解決するための手段および作用〉第1の発明
による耐食性及び被削性を改善したNi−Cr系ステン
レス鋼は、5US304ステンレス鋼を基本成分として
これを一部変更した次のような化学組成を有するもので
ある:C0,08重量%以下、Si1.0重量%以下、
Mn0.7重量%以下、P 0.04重量%以下、s
0.oos重量%以下、Ni8.0〜12.0重量
%、Cr17.0〜20.0重量%、Mo0.40〜0
.80重量%、Cu 0.30〜0.50重量%、Sn
0.03〜0.30重量%、及び残部Feゎ 5nは被削性を改善するだけでなく、耐全面腐食性、耐
隙間腐食性、耐孔食性及び耐応力腐食割れ性を改善する
。その−例として希硫酸水溶液中では、最初にSnが優
先溶解し、次いで溶解したSnが再び鋼表面へ濃縮(析
出)することによってアノード・カソード両反応が抑制
されるため、耐硫酸性(この場合、耐全面腐食性)を改
善する。また、SnとCuを複合添加することにより耐
食性は一層改善される。(「防食技術」、37(198
8)、P、732)。上述したようなSn添加による耐
食性改善効果は、0.03重量%以下では効果がなく、
一方あまり多く添加した場合には鍛造性を害し、添加量
の割には耐食性改善効果も少なくなるため、被削性及び
耐食性を十分改善できる添加量範囲0.03〜0,30
重量%とじた。
による耐食性及び被削性を改善したNi−Cr系ステン
レス鋼は、5US304ステンレス鋼を基本成分として
これを一部変更した次のような化学組成を有するもので
ある:C0,08重量%以下、Si1.0重量%以下、
Mn0.7重量%以下、P 0.04重量%以下、s
0.oos重量%以下、Ni8.0〜12.0重量
%、Cr17.0〜20.0重量%、Mo0.40〜0
.80重量%、Cu 0.30〜0.50重量%、Sn
0.03〜0.30重量%、及び残部Feゎ 5nは被削性を改善するだけでなく、耐全面腐食性、耐
隙間腐食性、耐孔食性及び耐応力腐食割れ性を改善する
。その−例として希硫酸水溶液中では、最初にSnが優
先溶解し、次いで溶解したSnが再び鋼表面へ濃縮(析
出)することによってアノード・カソード両反応が抑制
されるため、耐硫酸性(この場合、耐全面腐食性)を改
善する。また、SnとCuを複合添加することにより耐
食性は一層改善される。(「防食技術」、37(198
8)、P、732)。上述したようなSn添加による耐
食性改善効果は、0.03重量%以下では効果がなく、
一方あまり多く添加した場合には鍛造性を害し、添加量
の割には耐食性改善効果も少なくなるため、被削性及び
耐食性を十分改善できる添加量範囲0.03〜0,30
重量%とじた。
またMOおよびCuは耐食性全般において改善効果があ
るが、Cuが多すぎると耐有機酸腐食性を低下させるこ
とがある。しかし、この発明のようにCuを0.30〜
0.50重量%程度に抑え、MoやSn、そしてその他
の元素を調整することにより耐重11m腐食性を高める
ことができる。またMoは0゜04重量%以下では耐食
性に無効となる場合があり、また0、80重量%以上で
は耐食性改善への効果が添加量の割には少なくなり、さ
らにコスト高となるため、この発明における0、40〜
0.80重量%が最適である。
るが、Cuが多すぎると耐有機酸腐食性を低下させるこ
とがある。しかし、この発明のようにCuを0.30〜
0.50重量%程度に抑え、MoやSn、そしてその他
の元素を調整することにより耐重11m腐食性を高める
ことができる。またMoは0゜04重量%以下では耐食
性に無効となる場合があり、また0、80重量%以上で
は耐食性改善への効果が添加量の割には少なくなり、さ
らにコスト高となるため、この発明における0、40〜
0.80重量%が最適である。
S及び加については、前述したようにこれらの量を低減
すると耐食性が改善されるが、反面において被削加工性
を低下させる。この発明においてはSを0.005重量
%以下、Mnを0.7重量%以下として耐食性を改善す
る一方、被削性の低下はSnを添加することによって補
うことができる。
すると耐食性が改善されるが、反面において被削加工性
を低下させる。この発明においてはSを0.005重量
%以下、Mnを0.7重量%以下として耐食性を改善す
る一方、被削性の低下はSnを添加することによって補
うことができる。
Niはオーステナイト(7)系ステンレス鋼の基本元素
で、7相を安定にする。強度面では靭性の改善に寄与す
る。低Niでは7相が不安定となり加工によりマルテン
サイトを誘発し、硬化して靭性を低下させる。NiはF
e 、 Crに比較して電気化学的に貴であるため、活
性態域での腐食を抑制する。
で、7相を安定にする。強度面では靭性の改善に寄与す
る。低Niでは7相が不安定となり加工によりマルテン
サイトを誘発し、硬化して靭性を低下させる。NiはF
e 、 Crに比較して電気化学的に貴であるため、活
性態域での腐食を抑制する。
また、中性塩化物溶液や非酸化性酸による腐食に対して
、顕著な抵抗性を与え、かつ不働態を強化する。この発
明では、フェライト生成元素であるSnを添加している
ため、5US304規格よりもNiを多くして7相を安
定にしている。
、顕著な抵抗性を与え、かつ不働態を強化する。この発
明では、フェライト生成元素であるSnを添加している
ため、5US304規格よりもNiを多くして7相を安
定にしている。
Crはステンレス鋼の基本成分で、酸化性環境下におい
てステンレス鋼の不働態化に寄与する。すなわち、ステ
ンレス鋼の耐食性はこの不働態皮膜によって維持される
ものであり、Crはステンレス鋼にとって必須の元素で
ある。
てステンレス鋼の不働態化に寄与する。すなわち、ステ
ンレス鋼の耐食性はこの不働態皮膜によって維持される
ものであり、Crはステンレス鋼にとって必須の元素で
ある。
この発明におけるその他の合金元素、すなわちC,Si
、Pにツイテは、JIS(SUS304)規格どおりの
組成範囲で使用することができる。
、Pにツイテは、JIS(SUS304)規格どおりの
組成範囲で使用することができる。
第2の発明による耐食性及び被削性を改善したNi−C
r系ステンレス鋼は、5US304ステンレス鋼を基本
成分としてこれを一部変更した次のような化学組成を有
するものである:C0,08重量%以下、Si2.0〜
4.0重量%、Mn0.7重量%以下、P0.04重量
%以下、S 0.005重量%以下、Ni 8.0〜
13.0重量%、Cr 1760〜20.0重量%、M
o0.40〜0.80重量%、Cu1.0〜3.0重量
%、Sn0.03〜030重量%及び残部Fe。
r系ステンレス鋼は、5US304ステンレス鋼を基本
成分としてこれを一部変更した次のような化学組成を有
するものである:C0,08重量%以下、Si2.0〜
4.0重量%、Mn0.7重量%以下、P0.04重量
%以下、S 0.005重量%以下、Ni 8.0〜
13.0重量%、Cr 1760〜20.0重量%、M
o0.40〜0.80重量%、Cu1.0〜3.0重量
%、Sn0.03〜030重量%及び残部Fe。
上記組成の第2の発明についても先に述べた第1の発明
と同様に以下、各元素毎に説明を加えるが、5n 、
Ni 、 Cr 、 Mnについては、第1の説明と同
じなために、ここで番ま説明を省略する。
と同様に以下、各元素毎に説明を加えるが、5n 、
Ni 、 Cr 、 Mnについては、第1の説明と同
じなために、ここで番ま説明を省略する。
MOおよびCuは耐食性全般において改善効果があるが
、Cuが多すぎると耐有機酸腐食性を低下させることが
あり、また、3%以上の添加は高温加工性を阻害する。
、Cuが多すぎると耐有機酸腐食性を低下させることが
あり、また、3%以上の添加は高温加工性を阻害する。
しかし、Cuを添加させることによる最大の利点は、N
i −Cr系ステンレス鋼の欠点の一つである応力腐食
割れを抑制することである。
i −Cr系ステンレス鋼の欠点の一つである応力腐食
割れを抑制することである。
例えば低濃度食塩水中(1000ppmCj!−及び2
1000ppmC1−水溶液、80℃)におけるオース
テナイトステンレス鋼の耐応力腐食割れ性に及ぼすCu
の影響について、2%のCuの添加は単独あるいはCu
とSi 、 Moとの複合添加のいずれにおいても有効
であるとする報告(「鉄と#、4.69(1983)、
P、837)があり、また、沸!l MgC1を溶液中
におけるオーステナイトステンレスt14ノ耐応力腐食
割れ性に及ぼすCuの影響について、1゜07%のCu
の添加は沸騰MgCL濃度が低い場合、すなわち低温側
になると割れ感受性を減少させるとする報告(「日本金
属学会誌J、37(1973)、P、1320)もある
。これらの他、Cuの応力腐食割れ改善効果を述べてい
る報告は多数ある。
1000ppmC1−水溶液、80℃)におけるオース
テナイトステンレス鋼の耐応力腐食割れ性に及ぼすCu
の影響について、2%のCuの添加は単独あるいはCu
とSi 、 Moとの複合添加のいずれにおいても有効
であるとする報告(「鉄と#、4.69(1983)、
P、837)があり、また、沸!l MgC1を溶液中
におけるオーステナイトステンレスt14ノ耐応力腐食
割れ性に及ぼすCuの影響について、1゜07%のCu
の添加は沸騰MgCL濃度が低い場合、すなわち低温側
になると割れ感受性を減少させるとする報告(「日本金
属学会誌J、37(1973)、P、1320)もある
。これらの他、Cuの応力腐食割れ改善効果を述べてい
る報告は多数ある。
したがって、第2の発明は、Cuを1.0〜3.0重量
%に調整し、MOやSnそしてその他の元素を調整する
ことにより、高温加工性を害することなく耐応力腐食割
れ性や耐有機酸腐食性をはじめとした耐食性を向上させ
ている。またMoは0.40重量%以下では耐食性に無
効となる場合があり、また0、80重量%以上では耐食
性改善への効果が添加量の割には少くなり、さらにコス
ト高となるため、この発明における0、40〜0.80
重量%が最適である。
%に調整し、MOやSnそしてその他の元素を調整する
ことにより、高温加工性を害することなく耐応力腐食割
れ性や耐有機酸腐食性をはじめとした耐食性を向上させ
ている。またMoは0.40重量%以下では耐食性に無
効となる場合があり、また0、80重量%以上では耐食
性改善への効果が添加量の割には少くなり、さらにコス
ト高となるため、この発明における0、40〜0.80
重量%が最適である。
Siは一般に耐食性の改善に効果がある。特に耐酸化性
に優れるため、本発明においては2.0〜4.0重量%
添加する。Siは非晶質のFe*510a 、 SiO
2皮膜をCr、0.下に形成し、スケールの固着性をよ
くするので耐酸化性を向上させる(ステンレス鋼便覧、
1975年発行、P、360)。また、耐食性を改善す
るSiの効果は選択酸化されて初期皮膜中にはいり、皮
膜の非晶質化に寄与するためであると考える報告(「日
本金属学会会報」、第18巻第8号(1979)、P、
547)もある。したがって本発明においては、Siを
2.0〜4.0重量%添加することで、不m態皮膜の強
化を図っている。
に優れるため、本発明においては2.0〜4.0重量%
添加する。Siは非晶質のFe*510a 、 SiO
2皮膜をCr、0.下に形成し、スケールの固着性をよ
くするので耐酸化性を向上させる(ステンレス鋼便覧、
1975年発行、P、360)。また、耐食性を改善す
るSiの効果は選択酸化されて初期皮膜中にはいり、皮
膜の非晶質化に寄与するためであると考える報告(「日
本金属学会会報」、第18巻第8号(1979)、P、
547)もある。したがって本発明においては、Siを
2.0〜4.0重量%添加することで、不m態皮膜の強
化を図っている。
上記第1の発明と同様、この第2の発明におけるその他
の合金元素も、すなわちC2Pについては、J l5(
SUS304)規格どおりの組成範囲で使用することが
できる。
の合金元素も、すなわちC2Pについては、J l5(
SUS304)規格どおりの組成範囲で使用することが
できる。
〈第1の発明の実施例〉
表2に示した化学組成をもつこの発明の実施例の試料1
、2 (M0.Cu、Snの複合添加鋼種)及び比較
用の試料3 (Mo 、 Cu無添加鋼種)を調製した
。ここで試料1,2はSnの含有量が異なるだけで、そ
の他の元素はすべて同量である。比較用の試料3はSn
を約0.2%添加し、Mo 、 Cuを添加せず、その
他の元素は試料1,2と同量である。
、2 (M0.Cu、Snの複合添加鋼種)及び比較
用の試料3 (Mo 、 Cu無添加鋼種)を調製した
。ここで試料1,2はSnの含有量が異なるだけで、そ
の他の元素はすべて同量である。比較用の試料3はSn
を約0.2%添加し、Mo 、 Cuを添加せず、その
他の元素は試料1,2と同量である。
(1)耐全面腐食性の改善
■腐食速度
第1図は、試料1〜3の希硫酸(5%硫酸、沸騰)及び
乳酸(50%乳酸、50%乳酸+1%食塩、各々沸騰下
)中での腐食速度を示す。どの溶液中においても、Mo
、 Cu 、 Sn複合添加の発明鋼種は、Sn単独
添加鋼種より腐食速度が小さく、耐食性が向上している
。特に50%乳酸においては、試RI、2はほとんで腐
食していない。
乳酸(50%乳酸、50%乳酸+1%食塩、各々沸騰下
)中での腐食速度を示す。どの溶液中においても、Mo
、 Cu 、 Sn複合添加の発明鋼種は、Sn単独
添加鋼種より腐食速度が小さく、耐食性が向上している
。特に50%乳酸においては、試RI、2はほとんで腐
食していない。
■アノード分極曲線
第2図社、試料1〜3の希硫酸(5%硫酸、3o ”c
)中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示さ
れた不働態化限界電流密度(ierit)は、発明鋼種
である試料1,2(■、■)の方が試料3(■)より小
さく、試料1,2は活性態溶解域が減少している。した
がって、MO。
)中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示さ
れた不働態化限界電流密度(ierit)は、発明鋼種
である試料1,2(■、■)の方が試料3(■)より小
さく、試料1,2は活性態溶解域が減少している。した
がって、MO。
Cu 、 Snを複合添加すると希硫酸溶液中での耐食
性が改善される。
性が改善される。
第3図は、試料1〜3の乳酸(SO%乳酸、30゛C)
中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示された
i critは、発明鋼種である試料1.2(■、■)
の方が試料3(■)より小さく、試料1,2は活性態溶
解域が減少している。
中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示された
i critは、発明鋼種である試料1.2(■、■)
の方が試料3(■)より小さく、試料1,2は活性態溶
解域が減少している。
この傾向は第2図の場合と同様である。したがっかって
、Mo 、 Cu 、 Snを複合添加すると乳酸溶液
中での耐食性が改善される。
、Mo 、 Cu 、 Snを複合添加すると乳酸溶液
中での耐食性が改善される。
第4図は、試料1〜3の〔乳酸十食塩〕溶液(SO%乳
酸+1%Nacl 、 30℃)中でのアノード分極曲
線である。図中■、■で示された1critは、発明鋼
種である試料1,2(■)の方が試料3(■)より小さ
く、試料1,2社活性態溶解域が減少している。同様に
図中■〜■で示された不働態保持を流密度(I p)は
、試料1,2(■、■)の方が試料3 (0)より小さ
く、試料1,2の不働態は試料3の不働態より安定であ
る。したがって、Mo 、 Cu 、 Snを複合添加
すると〔乳酸生食塩〕溶液中での耐食性が改善される。
酸+1%Nacl 、 30℃)中でのアノード分極曲
線である。図中■、■で示された1critは、発明鋼
種である試料1,2(■)の方が試料3(■)より小さ
く、試料1,2社活性態溶解域が減少している。同様に
図中■〜■で示された不働態保持を流密度(I p)は
、試料1,2(■、■)の方が試料3 (0)より小さ
く、試料1,2の不働態は試料3の不働態より安定であ
る。したがって、Mo 、 Cu 、 Snを複合添加
すると〔乳酸生食塩〕溶液中での耐食性が改善される。
(2)被削性の改善
第5図は、試料1〜3及び市販の5US304に対して
高速度鋼5KH−51(φ4)によりドリル穴あけ加工
をした場合の工具寿命を示しでいる。発明鋼種に対する
工具寿命は、Sn単独添加鋼種に対する工具寿命とほぼ
同等の値を示し、5US304に対する工具寿命の約3
〜4倍の値を示している。特に試料2においては、Sn
量は試料3と同量であるが、Cuの添加が工具寿命を試
料3より長くしているものと考えられる。したがってH
o 、 Cu 、 Sn複合添加は被削性を改善するこ
とがわかる。
高速度鋼5KH−51(φ4)によりドリル穴あけ加工
をした場合の工具寿命を示しでいる。発明鋼種に対する
工具寿命は、Sn単独添加鋼種に対する工具寿命とほぼ
同等の値を示し、5US304に対する工具寿命の約3
〜4倍の値を示している。特に試料2においては、Sn
量は試料3と同量であるが、Cuの添加が工具寿命を試
料3より長くしているものと考えられる。したがってH
o 、 Cu 、 Sn複合添加は被削性を改善するこ
とがわかる。
〈第2の発明の実施例〉
表3に示した化学組成をもつこの発明の実施例の試料4
(Si 、 Mo 、 Cu 、 Snの複合添加鋼
種)及び比較用の試料5.6(Si、Sn複合添加鋼種
)を調整した。ここで試料4〜6はSi 、 Mo 、
Cu 、 Snの含有量が異なるが、その他の元素は
すべて同量である。
(Si 、 Mo 、 Cu 、 Snの複合添加鋼
種)及び比較用の試料5.6(Si、Sn複合添加鋼種
)を調整した。ここで試料4〜6はSi 、 Mo 、
Cu 、 Snの含有量が異なるが、その他の元素は
すべて同量である。
(1)耐全面腐食性の改善
■腐食速度
第6図は、試料4〜6の希硫酸(5%硫酸、沸騰)及び
乳酸(50%乳酸、50%乳酸+1%食塩、各々沸騰)
中での腐食速度を示す。どの溶液中においても、Si
、 Mo 、 Cu 、 Sn複合添加の発明鋼種は、
Si 、 Sn複合添加鋼種より腐食速度が小さく、耐
食性が向上している。特に50%乳酸においては試料4
はほとんど腐食していない。
乳酸(50%乳酸、50%乳酸+1%食塩、各々沸騰)
中での腐食速度を示す。どの溶液中においても、Si
、 Mo 、 Cu 、 Sn複合添加の発明鋼種は、
Si 、 Sn複合添加鋼種より腐食速度が小さく、耐
食性が向上している。特に50%乳酸においては試料4
はほとんど腐食していない。
■アノード分極曲線
第7図は、試料4〜6の希硫酸(5%硫酸、3o ”c
)中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示さ
れた不働態化限界電流密度(icrit)は、発明鋼種
である試料4(■)の方が試料5.6(■、■)より小
さく、試料4は活性態溶解域が減少している。したがっ
て、Si、M0.Cu、Snを複合添加すると希硫酸溶
液中での耐食性が改善される。
)中でのアノード分極曲線である。図中■〜■で示さ
れた不働態化限界電流密度(icrit)は、発明鋼種
である試料4(■)の方が試料5.6(■、■)より小
さく、試料4は活性態溶解域が減少している。したがっ
て、Si、M0.Cu、Snを複合添加すると希硫酸溶
液中での耐食性が改善される。
第8図は、試料4〜6の乳酸(50%乳酸、30°C)
中でのアノード分極曲線である0図中■。
中でのアノード分極曲線である0図中■。
■で示されたi critは、発明鋼種である試料4(
■)の方が試料5,6(■)より小さく、試料1は活性
態溶解域が減少している。したがって、Si 、 Mo
、 Cu 、 Snを複合添加すると乳酸溶液中での
耐食性が改善される。
■)の方が試料5,6(■)より小さく、試料1は活性
態溶解域が減少している。したがって、Si 、 Mo
、 Cu 、 Snを複合添加すると乳酸溶液中での
耐食性が改善される。
第9図は、試料4〜6の〔乳酸生食塩〕溶液(50%乳
酸+1%Nacl 、 30℃)中でのアノード分極曲
線である。図中■〜■で示された1critは、発明鋼
種である試料4(■)の方が試料5.6(■、■)より
小さく、試料4は活性態溶解域が減少している。したが
って、Si 、 Mo 、 Cu、Snを複合添加する
と〔乳酸生食塩〕溶液中での耐食性が改善される。
酸+1%Nacl 、 30℃)中でのアノード分極曲
線である。図中■〜■で示された1critは、発明鋼
種である試料4(■)の方が試料5.6(■、■)より
小さく、試料4は活性態溶解域が減少している。したが
って、Si 、 Mo 、 Cu、Snを複合添加する
と〔乳酸生食塩〕溶液中での耐食性が改善される。
(2〉被削性の改善
第10図は、試料4〜6及び市販の5US304に対し
て高速度鋼5KH−51(φ4)によりドリル穴あけ加
工をした場合の工具寿命を示している。発明鋼種に対す
る工具寿命は、Si 、 Sn複合添加鋼種に対する工
具寿命より長く、また、5US304に対する工具寿命
の約4倍の値を示している。したがって、Si 、 M
o 、 Cu 、 Sn複合添加は被削性を改善するこ
とがわかる。
て高速度鋼5KH−51(φ4)によりドリル穴あけ加
工をした場合の工具寿命を示している。発明鋼種に対す
る工具寿命は、Si 、 Sn複合添加鋼種に対する工
具寿命より長く、また、5US304に対する工具寿命
の約4倍の値を示している。したがって、Si 、 M
o 、 Cu 、 Sn複合添加は被削性を改善するこ
とがわかる。
〈発明の効果〉
以上の説明かられかるように、この発明のステンレス鋼
は、5US304ステンレス鋼の耐食性と被削性の両方
を大幅に改善でき、耐食性を重視する食品用機器の材料
として特に好ましく使用できるものである。
は、5US304ステンレス鋼の耐食性と被削性の両方
を大幅に改善でき、耐食性を重視する食品用機器の材料
として特に好ましく使用できるものである。
第1図は、希硫酸、乳酸及び〔乳酸生食塩〕溶液中にお
ける試料1〜3と腐食速度との関係図である。第2図は
、希硫酸溶液中における試料1〜3のアノード分極特性
図である。第3図は、乳酸中における試料1〜3のアノ
ード分極特性図である。第4図は、〔乳酸生食塩〕溶液
中における試料1〜3のアノード分極特性図である。第
5図は、試料1〜3及び市販5US304に対して高速
度鋼によりドリル穴あけをした場合の工具寿命を示す図
である。 第6図は希硫酸、乳酸及び〔乳酸生食塩〕溶液中におけ
る試料4〜6と腐食速度との関係図である。第7図は、
希硫酸溶液中における試料4〜6のアノード分極特性図
である。第8図は、乳酸中における試料1〜3のアノー
ド分極特性図である。第9図は、〔乳酸生食塩〕溶液中
における試料4〜6のアノード分極特性図である。第1
0図は、試料4〜6及び市販5US304に対して高速
度鋼によりドリル穴あけをした場合の工具寿命を示す図
である。 第 図
ける試料1〜3と腐食速度との関係図である。第2図は
、希硫酸溶液中における試料1〜3のアノード分極特性
図である。第3図は、乳酸中における試料1〜3のアノ
ード分極特性図である。第4図は、〔乳酸生食塩〕溶液
中における試料1〜3のアノード分極特性図である。第
5図は、試料1〜3及び市販5US304に対して高速
度鋼によりドリル穴あけをした場合の工具寿命を示す図
である。 第6図は希硫酸、乳酸及び〔乳酸生食塩〕溶液中におけ
る試料4〜6と腐食速度との関係図である。第7図は、
希硫酸溶液中における試料4〜6のアノード分極特性図
である。第8図は、乳酸中における試料1〜3のアノー
ド分極特性図である。第9図は、〔乳酸生食塩〕溶液中
における試料4〜6のアノード分極特性図である。第1
0図は、試料4〜6及び市販5US304に対して高速
度鋼によりドリル穴あけをした場合の工具寿命を示す図
である。 第 図
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1、C0.08重量%以下、Si1.0重量%以下、M
n0.7重量%以下、P0.04重量%以下、S0.0
05重量%以下、Ni8.0〜12.0%重量、Cr1
7.0〜20.0重量%、Mo0.40〜0.80重量
%、Cu0.30〜0.50重量%、Sn0.03〜0
.30重量%、及び残部がFeから成ることを特徴とす
る耐食性及び被削性を改善したNi−Cr系ステンレス
鋼。 2、C0.08重量%以下、Si2.0〜4.0重量%
、Mn0.7重量%以下、P0.04重量%以下、S0
.005重量%以下、Ni8.0〜13.0重量%、C
r17.0〜20.0重量%、Mo0.40〜0.80
重量%、Cu1.0〜3.0重量%、Sn0.03〜0
.30重量%、及び残部がFeから成ることを特徴とす
る耐食性及び被削性を改善したNi−Cr系ステンレス
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06040590A JP3296554B2 (ja) | 1990-03-12 | 1990-03-12 | 耐食性及び被削性を改善したNi―Cr系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06040590A JP3296554B2 (ja) | 1990-03-12 | 1990-03-12 | 耐食性及び被削性を改善したNi―Cr系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03260035A true JPH03260035A (ja) | 1991-11-20 |
JP3296554B2 JP3296554B2 (ja) | 2002-07-02 |
Family
ID=13141237
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06040590A Expired - Fee Related JP3296554B2 (ja) | 1990-03-12 | 1990-03-12 | 耐食性及び被削性を改善したNi―Cr系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3296554B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003013189A (ja) * | 2001-07-05 | 2003-01-15 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼及び製造方法 |
WO2017081834A1 (ja) * | 2015-11-13 | 2017-05-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質電池および非水電解質電池用部材 |
-
1990
- 1990-03-12 JP JP06040590A patent/JP3296554B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003013189A (ja) * | 2001-07-05 | 2003-01-15 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼及び製造方法 |
JP4592224B2 (ja) * | 2001-07-05 | 2010-12-01 | 日新製鋼株式会社 | 被削性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼及び製造方法 |
WO2017081834A1 (ja) * | 2015-11-13 | 2017-05-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質電池および非水電解質電池用部材 |
JPWO2017081834A1 (ja) * | 2015-11-13 | 2018-05-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質電池および非水電解質電池用部材 |
CN108352557A (zh) * | 2015-11-13 | 2018-07-31 | 松下知识产权经营株式会社 | 非水电解质电池和非水电解质电池用部件 |
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---|---|
JP3296554B2 (ja) | 2002-07-02 |
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