JPH0674472B2 - 耐食性に優れた高強度Ni基合金 - Google Patents
耐食性に優れた高強度Ni基合金Info
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- JPH0674472B2 JPH0674472B2 JP61001200A JP120086A JPH0674472B2 JP H0674472 B2 JPH0674472 B2 JP H0674472B2 JP 61001200 A JP61001200 A JP 61001200A JP 120086 A JP120086 A JP 120086A JP H0674472 B2 JPH0674472 B2 JP H0674472B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、腐食環境下、特に従来から注目されていた
所謂サワーガス環境(H2S−CO2−Cl-環境)よりも更に
腐食性が苛酷な、イオウ(S)がFeSやNiS等の硫化物と
してではなく単体として混入するサワーガス環境下にお
いても良好な耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性を有す
る油井管用高強度Ni基合金に関するものである。
所謂サワーガス環境(H2S−CO2−Cl-環境)よりも更に
腐食性が苛酷な、イオウ(S)がFeSやNiS等の硫化物と
してではなく単体として混入するサワーガス環境下にお
いても良好な耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性を有す
る油井管用高強度Ni基合金に関するものである。
〈従来技術並びにその問題点〉 近年のエネルギー事情は、油井の深井戸化やサワーガス
環境下での掘井が余儀なくされるところまできており、
高価ではあるが、上記苛酷な環境に十分耐えられるよう
な油井管用高強度・高耐性Ni基合金が開発され、適用さ
れるようになつてきた(例えば、特開昭54−107828号公
報や特開昭54−127831号公報参照)。
環境下での掘井が余儀なくされるところまできており、
高価ではあるが、上記苛酷な環境に十分耐えられるよう
な油井管用高強度・高耐性Ni基合金が開発され、適用さ
れるようになつてきた(例えば、特開昭54−107828号公
報や特開昭54−127831号公報参照)。
ところが、最近の油井情報によれば、腐食性が苛酷であ
るとされてきた上記サワーガス環境とは別に、該サワー
ガス環境に更にイオウ(S)が単体として混入している
環境が見出され、このような環境においては、これまで
に提案された如き耐サワーガス用Ni基合金をもつてして
も耐食性の点で十分に満足できるものでないことが明ら
かとなつた。
るとされてきた上記サワーガス環境とは別に、該サワー
ガス環境に更にイオウ(S)が単体として混入している
環境が見出され、このような環境においては、これまで
に提案された如き耐サワーガス用Ni基合金をもつてして
も耐食性の点で十分に満足できるものでないことが明ら
かとなつた。
この点について更に詳述すると、先にも説明した如く、
近年の新しい油井やガス井では油や天然ガスのほか、水
や塩類(Cl-、Br-等)と一緒にH2SやCO2等の腐食性ガス
の混在した環境が多くなる傾向にあつたが、地上にて実
施されるこれら環境成分の分析結果によると、最近、上
記腐食性ガスや、水、塩類等にまじつてイオウ(S)が
単体(FeSやNiS等の硫化物形態をとつていない)で認め
られるような新たな環境に属する油井の存在も確認され
るようになつたのである。このような環境に存在するイ
オウ(S)は、地中深くにおいて H2SxH2S+Sx-1 なる式で示される如く、ポリサルフアイド(H2Sx)にな
るとも、S単体のまま存在するとも言われているが、温
度や圧力(特にH2S分圧)の状態によつては、 4S+4H2O3H2S+H2SO4 なる式の如くにS或いはH2SO4等の形態となつているこ
とも否定できない。
近年の新しい油井やガス井では油や天然ガスのほか、水
や塩類(Cl-、Br-等)と一緒にH2SやCO2等の腐食性ガス
の混在した環境が多くなる傾向にあつたが、地上にて実
施されるこれら環境成分の分析結果によると、最近、上
記腐食性ガスや、水、塩類等にまじつてイオウ(S)が
単体(FeSやNiS等の硫化物形態をとつていない)で認め
られるような新たな環境に属する油井の存在も確認され
るようになつたのである。このような環境に存在するイ
オウ(S)は、地中深くにおいて H2SxH2S+Sx-1 なる式で示される如く、ポリサルフアイド(H2Sx)にな
るとも、S単体のまま存在するとも言われているが、温
度や圧力(特にH2S分圧)の状態によつては、 4S+4H2O3H2S+H2SO4 なる式の如くにS或いはH2SO4等の形態となつているこ
とも否定できない。
このうち、H2Sxは、H2Sガスのリザーバー(貯蔵役)と
してH2S濃度を増大させる働きがあり、一方、H2SO4はpH
を低下させる働きがある。
してH2S濃度を増大させる働きがあり、一方、H2SO4はpH
を低下させる働きがある。
ところで、これらの現象を確認するため、本発明者等も
H2S−CO2−Cl-環境下とH2S−CO2−Cl-−S環境下でのNi
基合金(含オーステナイト系合金)に及ぼす耐食性の差
異に関する調査実験を行つたが、その結果、イオウ
(S)添加の有無によつてNi基合金の耐食性に及ぼす影
響が異なり、イオウ(S)の存在がNi基合金の耐食性を
著しく劣化すると言う事実の確認はなされたが、イオウ
(S)が共存した場合の腐食機構については明晰な解明
がなされず、大別して H2Sx⇔H2Sのリザーバー説 式「H2S+Sx-1H2Sx」に従つてポリサルフアイド(H2S
x)が高温環境で発生し、H2Sのリザーバーとして働くの
で、H2Sxが材料に接すると高H2S環境と同様の作用をす
る、 H2SO4による低pH化説 H2Sが存在しない単体Sのみの環境下でも、水があれば
「4S+4H2O3H2S+H2SO4」なる式に従つてH2Sが発
生すると同時にH2SO4も生成され、これがpHを低下させ
る、 と言う2つの説のいずれかが有力であるとの推測の域を
脱することができなかつた。
H2S−CO2−Cl-環境下とH2S−CO2−Cl-−S環境下でのNi
基合金(含オーステナイト系合金)に及ぼす耐食性の差
異に関する調査実験を行つたが、その結果、イオウ
(S)添加の有無によつてNi基合金の耐食性に及ぼす影
響が異なり、イオウ(S)の存在がNi基合金の耐食性を
著しく劣化すると言う事実の確認はなされたが、イオウ
(S)が共存した場合の腐食機構については明晰な解明
がなされず、大別して H2Sx⇔H2Sのリザーバー説 式「H2S+Sx-1H2Sx」に従つてポリサルフアイド(H2S
x)が高温環境で発生し、H2Sのリザーバーとして働くの
で、H2Sxが材料に接すると高H2S環境と同様の作用をす
る、 H2SO4による低pH化説 H2Sが存在しない単体Sのみの環境下でも、水があれば
「4S+4H2O3H2S+H2SO4」なる式に従つてH2Sが発
生すると同時にH2SO4も生成され、これがpHを低下させ
る、 と言う2つの説のいずれかが有力であるとの推測の域を
脱することができなかつた。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明者等は、上述のような観点から、通常のサワーガ
ス環境(H2S−CO2−Cl-環境)のみならず、これにイオ
ウ(S)が単体で混入している環境においても十分に満
足し得る耐食性を有した高強度合金を提供すべく更に研
究を続けた結果、以下に示される知見を得るに至つたの
である。即ち、 (a)サワーガス環境に更にイオウ(S)の単体が混入
する環境においては、間違いなく従来のサワーガス環境
におけるNi基合金の腐食機構と異なつた腐食形態が存在
し、単体Sは温度及び圧力(特にH2S分圧)に依存して
「Sx-1+H2SH2Sx」の反応に従い3態(Sx-1、H2S及び
H2Sx)に変化することとなり、Sx-1として遊離したイオ
ウ(S)若しくはH2Sxが存在すると、これが油井管部材
に局所的に付着し、その部分において著しい孔食が発生
し、応力腐食割れを引き起すこと、 (b)従来のサワーガス環境においては上記反応式に示
されるようなイオウ(S)の形態変化がほとんど認めら
れず、従つてSx-1或いはH2Sxによる特違な腐食形態は生
じないが、イオウ(S)の単体が混入するサワーガス環
境で上記のような特異な腐食形態が起きる理由は、この
ような環境中においては「4S+4H2O3H2S+H2SO4」
なる反応もなされて、H2Sが発生すると同時にH2SO4も生
じることとなり、該環境のpHを低下させるためと考えら
れること、 (c)このような特異な腐食形態を呈する環境において
油井管用材料に十分な耐食性を発揮させるためには、従
来の耐サワーガス用Ni基合金において形成される耐食性
皮膜よりも更に強硬で、かつ修復性の良好な保護皮膜を
形成させることが不可欠であり、一方では、合金部材の
破壊特性を向上させて孔食の進展を阻止し、応力腐食割
れを未然に防ぐ手立てを講じる必要があること、 (d)サワーガス環境における従来のNi基油井管用材料
の保護皮膜強度やその修復能は、概ねCr、Mo、Wの含有
量に比例して向上するが、単体Sを含む環境では、これ
らに加えてCuの役割が極めて重要であり、0.30%(以
下、成分割合を示す%は重量%とする)以上のCuを含有
させた上で、環境温度が250℃以下の場合には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 を確保し、また環境温度がより高い300℃以下の場合に
は Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧180 を確保しなければ、十分に強硬でしかも修復性の良好な
保護皮膜が形成されないこと、 (e)更に、前記(c)項でも述べたように、特異な腐
食形態を緩和し合金部材の耐食性を向上させるには保護
皮膜強化策のみでは不十分であり、孔食の進展を阻止す
る内質的改善が不可欠であるが、このためには前記
(d)項で示した成分調整に加えてNbの添加をも実施
し、これらによつてMo−W−Cr−C系炭化物の析出及び
そのクラスター化を抑制することが極めて有効であるこ
と、 (f)通常は、上記のような高Cr−Mo系のNi基合金にお
いて安価なNによる強化を図ろうとしてもその耐応力腐
食割れ性に悪影響が及ぶのを防げなかつたが、Ni基合金
中のTi含有量を特に0.005%以下に抑えるとNによる固
溶強化・加工硬化能が飛躍的に向上することとなり、こ
れと Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる成分バランスの条件とを組合わせると、優れた耐応
力腐食割れ性と高強度とを兼備したNi基合金が得られる
こと。
ス環境(H2S−CO2−Cl-環境)のみならず、これにイオ
ウ(S)が単体で混入している環境においても十分に満
足し得る耐食性を有した高強度合金を提供すべく更に研
究を続けた結果、以下に示される知見を得るに至つたの
である。即ち、 (a)サワーガス環境に更にイオウ(S)の単体が混入
する環境においては、間違いなく従来のサワーガス環境
におけるNi基合金の腐食機構と異なつた腐食形態が存在
し、単体Sは温度及び圧力(特にH2S分圧)に依存して
「Sx-1+H2SH2Sx」の反応に従い3態(Sx-1、H2S及び
H2Sx)に変化することとなり、Sx-1として遊離したイオ
ウ(S)若しくはH2Sxが存在すると、これが油井管部材
に局所的に付着し、その部分において著しい孔食が発生
し、応力腐食割れを引き起すこと、 (b)従来のサワーガス環境においては上記反応式に示
されるようなイオウ(S)の形態変化がほとんど認めら
れず、従つてSx-1或いはH2Sxによる特違な腐食形態は生
じないが、イオウ(S)の単体が混入するサワーガス環
境で上記のような特異な腐食形態が起きる理由は、この
ような環境中においては「4S+4H2O3H2S+H2SO4」
なる反応もなされて、H2Sが発生すると同時にH2SO4も生
じることとなり、該環境のpHを低下させるためと考えら
れること、 (c)このような特異な腐食形態を呈する環境において
油井管用材料に十分な耐食性を発揮させるためには、従
来の耐サワーガス用Ni基合金において形成される耐食性
皮膜よりも更に強硬で、かつ修復性の良好な保護皮膜を
形成させることが不可欠であり、一方では、合金部材の
破壊特性を向上させて孔食の進展を阻止し、応力腐食割
れを未然に防ぐ手立てを講じる必要があること、 (d)サワーガス環境における従来のNi基油井管用材料
の保護皮膜強度やその修復能は、概ねCr、Mo、Wの含有
量に比例して向上するが、単体Sを含む環境では、これ
らに加えてCuの役割が極めて重要であり、0.30%(以
下、成分割合を示す%は重量%とする)以上のCuを含有
させた上で、環境温度が250℃以下の場合には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 を確保し、また環境温度がより高い300℃以下の場合に
は Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧180 を確保しなければ、十分に強硬でしかも修復性の良好な
保護皮膜が形成されないこと、 (e)更に、前記(c)項でも述べたように、特異な腐
食形態を緩和し合金部材の耐食性を向上させるには保護
皮膜強化策のみでは不十分であり、孔食の進展を阻止す
る内質的改善が不可欠であるが、このためには前記
(d)項で示した成分調整に加えてNbの添加をも実施
し、これらによつてMo−W−Cr−C系炭化物の析出及び
そのクラスター化を抑制することが極めて有効であるこ
と、 (f)通常は、上記のような高Cr−Mo系のNi基合金にお
いて安価なNによる強化を図ろうとしてもその耐応力腐
食割れ性に悪影響が及ぶのを防げなかつたが、Ni基合金
中のTi含有量を特に0.005%以下に抑えるとNによる固
溶強化・加工硬化能が飛躍的に向上することとなり、こ
れと Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる成分バランスの条件とを組合わせると、優れた耐応
力腐食割れ性と高強度とを兼備したNi基合金が得られる
こと。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、 Ni基合金を、 C:0.10%以下、Si:0.05超〜0.30%、 Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、 S :0.0050%以下、Ni:45〜60%、 Cr:15〜30%、 Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%、Ti:0.050%以下、 Nb:0.30〜3.0%、Al:1.0%以下、 N:0.050超〜0.25% を含有し、必要により、更に Co:5.0%以下、 V、Ta、Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以下、 希土類元素:0.10%以下、 Mg:0.10%以下、 Ca:0.10%以下、 Y:0.20%以下 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成することにより、最近
見出された油井やガス井における如き、イオウ(S)を
単体として含むところの250℃以下程度のサワーガス環
境下においても極めて優れた耐応力腐食割れ性及び耐水
素割れ性と、高強度とを発揮せしめるようにした点、 に特徴を有するものである。
見出された油井やガス井における如き、イオウ(S)を
単体として含むところの250℃以下程度のサワーガス環
境下においても極めて優れた耐応力腐食割れ性及び耐水
素割れ性と、高強度とを発揮せしめるようにした点、 に特徴を有するものである。
次いで、この発明において、Ni基合金の成分組成を前述
のように数値限定した理由を説明する。
のように数値限定した理由を説明する。
ア)C 合金中のC含有量が0.10%を超えるとM6Cタイプの炭化
物量(但し、MはMo、Ni、Cr、W等である)が著しく増
加し、合金の延性並びに靱性を劣化することから、C含
有量は0.10%以下と定めた。なお、好ましくはC含有量
を0.020%以下にまで低減することが推奨されるが、特
にその含有量を0.010%以下に抑制すると延性、靱性並
びに耐食性はより一層顕著に改善される。
物量(但し、MはMo、Ni、Cr、W等である)が著しく増
加し、合金の延性並びに靱性を劣化することから、C含
有量は0.10%以下と定めた。なお、好ましくはC含有量
を0.020%以下にまで低減することが推奨されるが、特
にその含有量を0.010%以下に抑制すると延性、靱性並
びに耐食性はより一層顕著に改善される。
イ)Si Siは、脱酸剤として有効な成分であるために添加される
ものであるが、多量に添加するとσ、P、Laves相等の
延性、靱性に対して好ましくない金属間化合物(以下、
“TCP"相と略称する)を生成しやすくなる。その上、Si
含有量が特に0.30%を超えると、凝固時のミクロ偏析が
助長され、前記M6C及びP相の形成が著しく促進される
傾向がみられる。このような理由で、Si含有量の上限を
0.30%と定めたが、その含有量を0.10%以下にまで低減
すれば、炭化物の粒界析出抑制効果も加わつて延性、靱
性並びに耐食性が更に向上する。一方、Si含有量を0.05
%以下にまで低減することは合金製造上面倒な操業を強
いられることから、Si含有量は0.05%を超える範囲と定
めた。
ものであるが、多量に添加するとσ、P、Laves相等の
延性、靱性に対して好ましくない金属間化合物(以下、
“TCP"相と略称する)を生成しやすくなる。その上、Si
含有量が特に0.30%を超えると、凝固時のミクロ偏析が
助長され、前記M6C及びP相の形成が著しく促進される
傾向がみられる。このような理由で、Si含有量の上限を
0.30%と定めたが、その含有量を0.10%以下にまで低減
すれば、炭化物の粒界析出抑制効果も加わつて延性、靱
性並びに耐食性が更に向上する。一方、Si含有量を0.05
%以下にまで低減することは合金製造上面倒な操業を強
いられることから、Si含有量は0.05%を超える範囲と定
めた。
ウ)Mn Mnは、通常、脱硫剤として添加される成分であるが、そ
の含有量が2.0%を超えるとTCP相生成を促進する場合が
あることから、この発明の合金ではMn含有量を2.0%以
下と定めた。
の含有量が2.0%を超えるとTCP相生成を促進する場合が
あることから、この発明の合金ではMn含有量を2.0%以
下と定めた。
エ)P、及びS P及びSは不可避的に混入してくる不純物であり、合金
中に多量に存在すると粒界偏析により熱間加工性を低下
させ、また耐食性をも劣化させることから、P含有量は
0.03%以下、S含有量は0.0050%以下とそれぞれ定め
た。
中に多量に存在すると粒界偏析により熱間加工性を低下
させ、また耐食性をも劣化させることから、P含有量は
0.03%以下、S含有量は0.0050%以下とそれぞれ定め
た。
しかしながら、S含有量を特に0.0007%以下に抑制する
と合金の熱間加工性が飛躍的に向上し、またP含有量を
0.0030%に抑制することで合金の耐水素割れ性が著しく
改善されるので、好ましくはP及びSの含有量をこのよ
うなレベルにまで低減するのが良い。
と合金の熱間加工性が飛躍的に向上し、またP含有量を
0.0030%に抑制することで合金の耐水素割れ性が著しく
改善されるので、好ましくはP及びSの含有量をこのよ
うなレベルにまで低減するのが良い。
なお、第1図は、この発明で規定される成分内にてP量
のみ変化させた合金を調整し、30%程度の冷間加工によ
つて高強度としたものより、平行部が4.0mmφでGLが30m
mの試験片を採取し、これに対して10気圧でH2Sを飽和さ
せたところのH2S−5%NaCl溶液(25℃)中にて5mA/cm2
の陰極電流を付加した状態で1×10-71/secの定歪速度
での引張試験を行い、その耐水素割れ性を評価したもの
である。
のみ変化させた合金を調整し、30%程度の冷間加工によ
つて高強度としたものより、平行部が4.0mmφでGLが30m
mの試験片を採取し、これに対して10気圧でH2Sを飽和さ
せたところのH2S−5%NaCl溶液(25℃)中にて5mA/cm2
の陰極電流を付加した状態で1×10-71/secの定歪速度
での引張試験を行い、その耐水素割れ性を評価したもの
である。
また、第2図は、この発明で規定される成分内にてS量
のみ変化させた合金を調整し、1150℃にて高温延性試験
(試験片10mmφ、歪み速度:11/sec)を行つて熱間加工
性に及ぼす影響を示したものである。
のみ変化させた合金を調整し、1150℃にて高温延性試験
(試験片10mmφ、歪み速度:11/sec)を行つて熱間加工
性に及ぼす影響を示したものである。
この第1図及び第2図からも、P及びS含有量は、でき
れば極低域にまで低減するのが好ましいことが明らかで
ある。
れば極低域にまで低減するのが好ましいことが明らかで
ある。
オ)Ni この発明の合金は、Niマトリツクスに固溶強化及び加工
硬化能の良好な元素たるMo、Cr、W、Nb等を添加して強
化することを基本としているが、上記元素の多量添加は
オーステナイトの不安定化を招くため、オーステナイト
基地を安定化するに足るNi量である45%をその含有量の
下限と定めた。一方、Niはそれ自身加工硬化能を向上さ
せる元素であるが、60%を超えて含有させると耐水素割
れ性が劣化することから、Ni含有量の上限を60%と定め
た。
硬化能の良好な元素たるMo、Cr、W、Nb等を添加して強
化することを基本としているが、上記元素の多量添加は
オーステナイトの不安定化を招くため、オーステナイト
基地を安定化するに足るNi量である45%をその含有量の
下限と定めた。一方、Niはそれ自身加工硬化能を向上さ
せる元素であるが、60%を超えて含有させると耐水素割
れ性が劣化することから、Ni含有量の上限を60%と定め
た。
カ)Cr Crは、Moと共に合金の耐食性及び強度を向上させる成分
であるが、この効果は15%以上の割合で含有させること
により顕著である。一方、30%を超えてCrを含有させる
と合金の熱間加工性が低下し、更にTCP相が生成しやす
くなることから、Cr含有量は15〜30%と定めた。
であるが、この効果は15%以上の割合で含有させること
により顕著である。一方、30%を超えてCrを含有させる
と合金の熱間加工性が低下し、更にTCP相が生成しやす
くなることから、Cr含有量は15〜30%と定めた。
キ)Mo、及びW これらの成分は、Crとの共存下で合金の強度と耐食性、
特に耐孔食性を著しく向上させる作用を有しているので
1種以上添加含有せしめられるものであるが、その含有
量が の値で12未満であると上記作用に所望の効果が得られ
ず、他方、Mo含有量が16%以上であつたり、W含有量が
5.0%を超えたり、或いは の値が16以上である場合には、Crの多量添加の場合にみ
られるようなオーステナイト基地の不安定化を招く。従
つて、MoとWの添加においては、Moは16%未満、Wは5.
0%以下であつて、かつ を満足する値にその含有量を定めた。
特に耐孔食性を著しく向上させる作用を有しているので
1種以上添加含有せしめられるものであるが、その含有
量が の値で12未満であると上記作用に所望の効果が得られ
ず、他方、Mo含有量が16%以上であつたり、W含有量が
5.0%を超えたり、或いは の値が16以上である場合には、Crの多量添加の場合にみ
られるようなオーステナイト基地の不安定化を招く。従
つて、MoとWの添加においては、Moは16%未満、Wは5.
0%以下であつて、かつ を満足する値にその含有量を定めた。
ク)Cu イオウ(S)が単体で認められるサワーガス環境下で
は、Cr、Mo、Wと共にCuは耐食性向上に極めて有効な成
分であるが、Cu含有量が0.30%未満では所望の耐食性が
得られず、一方、3.0%を超えてCuを含有させてもその
効果が飽和してしまうことから、Cu含有量が0.30〜3.0
%と定めた。
は、Cr、Mo、Wと共にCuは耐食性向上に極めて有効な成
分であるが、Cu含有量が0.30%未満では所望の耐食性が
得られず、一方、3.0%を超えてCuを含有させてもその
効果が飽和してしまうことから、Cu含有量が0.30〜3.0
%と定めた。
ケ)Ti この発明のNi基合金においてNによる強化を有効に行わ
せるためには粗大なTiNの生成を極力抑制する必要があ
るが、Ti含有量が0.050%を超えると上記粗大TiNが生成
する傾向となることから、Ti含有量は0.050%以下に抑
えることと定めた。
せるためには粗大なTiNの生成を極力抑制する必要があ
るが、Ti含有量が0.050%を超えると上記粗大TiNが生成
する傾向となることから、Ti含有量は0.050%以下に抑
えることと定めた。
コ)Nb Nbは、イオウ(S)が単体で認められるサワーガス環境
下での合金の耐食性能を著しく向上させる成分であり、
その上Cの安定化作用を有し、また強度上昇に寄与する
ものであるが、その含有量が0.30%未満では上記作用に
所望の効果が得られず、一方、3.0%を越えて含有させ
るとTCP相が生成しやすくなることから、Nb含有量は0.3
0〜3.0%と定めた。
下での合金の耐食性能を著しく向上させる成分であり、
その上Cの安定化作用を有し、また強度上昇に寄与する
ものであるが、その含有量が0.30%未満では上記作用に
所望の効果が得られず、一方、3.0%を越えて含有させ
るとTCP相が生成しやすくなることから、Nb含有量は0.3
0〜3.0%と定めた。
なお、第3図は、この発明で規定される成分内にてNb量
のみを変化させ、耐応力腐食割れに及ぼすNbの効果をみ
たものである。供試材は、強度(0.2%耐力)を100〜10
5kgf/mm2にほぼ一定としたものを用い、4.0mmφ、GL:30
mmの試験片を作成した後、20%NaCl−0.5%CH3COOH−1g
/lS−10atmH2S−20atmCO2の溶液(250℃)中にて1×1
0-71/secの定歪速度引張試験を行つて伸びを測定し、こ
れを大気中での伸びと比較して耐応力腐食割れ性を評価
した。
のみを変化させ、耐応力腐食割れに及ぼすNbの効果をみ
たものである。供試材は、強度(0.2%耐力)を100〜10
5kgf/mm2にほぼ一定としたものを用い、4.0mmφ、GL:30
mmの試験片を作成した後、20%NaCl−0.5%CH3COOH−1g
/lS−10atmH2S−20atmCO2の溶液(250℃)中にて1×1
0-71/secの定歪速度引張試験を行つて伸びを測定し、こ
れを大気中での伸びと比較して耐応力腐食割れ性を評価
した。
この第3図からも、Nb含有量が0.30%を越えた場合に優
れた耐応力腐食割れ性が得られることは明らかである。
れた耐応力腐食割れ性が得られることは明らかである。
サ)Al Alは有効な脱酸剤として添加されるものであるが、その
含有量が1.0%を越えるとTCP相が生成しやすくなること
から、Al含有量は1.0%以下と定めた。
含有量が1.0%を越えるとTCP相が生成しやすくなること
から、Al含有量は1.0%以下と定めた。
シ)N この発明のNi基合金はNを積極的に添加して強化を図つ
たものであるが、この場合、N含有量が0.050%を超え
て始めて固溶強化が顕著となるとともに加工硬化能が向
上して高強度化が達成できるが、0.25%を超えて含有さ
せると靱性等を劣化させる窒化物の析出が顕著となるこ
とから、N含有量は0.050超〜0.25%と定めた。
たものであるが、この場合、N含有量が0.050%を超え
て始めて固溶強化が顕著となるとともに加工硬化能が向
上して高強度化が達成できるが、0.25%を超えて含有さ
せると靱性等を劣化させる窒化物の析出が顕著となるこ
とから、N含有量は0.050超〜0.25%と定めた。
なお、第4図は、この発明で規定される成分内にてN以
外の成分をほぼ一定とし、Nのみを変化させたNi基合金
について、その冷間加工度を15%程度に一定とした場合
の強度(0.2%耐力)及び靱性の変化を示したグラフで
あり、また第5図は、同じNi基合金について冷間加工度
を種々変化させ、加工硬化特性に及ぼすNの効果を確認
したグラフである。
外の成分をほぼ一定とし、Nのみを変化させたNi基合金
について、その冷間加工度を15%程度に一定とした場合
の強度(0.2%耐力)及び靱性の変化を示したグラフで
あり、また第5図は、同じNi基合金について冷間加工度
を種々変化させ、加工硬化特性に及ぼすNの効果を確認
したグラフである。
この第4図並びに第5図からも、N含有量を0.050超〜
0.25%に調整することによつて、靱性をそれほど劣化さ
せることなく合金強度を向上させ得ることがわかる。
0.25%に調整することによつて、靱性をそれほど劣化さ
せることなく合金強度を向上させ得ることがわかる。
ス)Co、V、Ta、Zr、及びHf これらの成分には、合金の延性・靱性を改善するととも
に耐食性をも改善する作用があるので、必要により1種
以上含有せしめられるものであるが、以下、個々の元素
について含有割合を限定した理由を特徴的な作用ととも
に説明する。
に耐食性をも改善する作用があるので、必要により1種
以上含有せしめられるものであるが、以下、個々の元素
について含有割合を限定した理由を特徴的な作用ととも
に説明する。
i)Co Co成分は、特に合金の耐水素割れ性の向上に有効なもの
であるが、その含有量が5.0%を超えるとTCP相が生成し
やすくなることから、Co含有量は5.0%以下と定めた。
であるが、その含有量が5.0%を超えるとTCP相が生成し
やすくなることから、Co含有量は5.0%以下と定めた。
ii)V、Ta、Zr、及びHf これらの成分はCの安定化に有効なものであるが、それ
ぞれ1%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすくな
ることから、V、Ta、Zr、及びHfのうちの1種以上の含
有量は1.0%以下と定めた。
ぞれ1%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすくな
ることから、V、Ta、Zr、及びHfのうちの1種以上の含
有量は1.0%以下と定めた。
セ)希土類元素(REM)、Mg、Ca、及びY これらの成分は、少なくとも1種の微量添加により合金
の熱間加工性を向上させる作用を有しているので、必要
により1種以上含有せしめられるものであるが、希土類
元素含有量が0.10%を、Mg含有量が0.10%を、Ca含有量
が0.10%を、そしてY含有量が0.20%をそれぞれ越えた
場合には、低融点化合物を生成しやすくなつて逆に熱間
加工性を劣化するようになることから、希土類元素含有
量は0.10%以下と、Mg含有量は0.10%以下と、Ca含有量
は0.10%以下と、そしてY含有量は0.20%以下とそれぞ
れ定めた。
の熱間加工性を向上させる作用を有しているので、必要
により1種以上含有せしめられるものであるが、希土類
元素含有量が0.10%を、Mg含有量が0.10%を、Ca含有量
が0.10%を、そしてY含有量が0.20%をそれぞれ越えた
場合には、低融点化合物を生成しやすくなつて逆に熱間
加工性を劣化するようになることから、希土類元素含有
量は0.10%以下と、Mg含有量は0.10%以下と、Ca含有量
は0.10%以下と、そしてY含有量は0.20%以下とそれぞ
れ定めた。
ソ)Fe Feには、合金の強度を確保するとともに、Ni含有量を低
減ならしめて合金価格を引き下げる効果があるので、残
部成分は実質的にFeとした。
減ならしめて合金価格を引き下げる効果があるので、残
部成分は実質的にFeとした。
タ)Cr、Mo、及びWの含有量バランス H2S−CO2−Cl-−S環境でのNi合金の溶出(腐食)は、
Cr、Ni、Mo、W、並びにCu及びNbに依存する。即ち、耐
食性はこれらの元素から成る表面皮膜によつて確保され
るものであり、この表面皮膜中のこれらの元素の含有バ
ランスが耐食性を左右する上で最も重要な因子となる。
上記油井環境下での応力腐食割れに対しては、MoはCrの
10倍の効果があり、またWはCrの5倍の効果をもつてお
り、このCr、Mo及びWが、式 をそれぞれ満たすとともに、Crが15〜30%、Cuが0.30〜
3.0%、Nbが0.30〜3.0%、Niが45%以上であれば、単体
イオウ(S)を含んだ環境においても応力腐食割れに対
して優れた抵抗性を有する耐食性皮膜を得ることができ
る。
Cr、Ni、Mo、W、並びにCu及びNbに依存する。即ち、耐
食性はこれらの元素から成る表面皮膜によつて確保され
るものであり、この表面皮膜中のこれらの元素の含有バ
ランスが耐食性を左右する上で最も重要な因子となる。
上記油井環境下での応力腐食割れに対しては、MoはCrの
10倍の効果があり、またWはCrの5倍の効果をもつてお
り、このCr、Mo及びWが、式 をそれぞれ満たすとともに、Crが15〜30%、Cuが0.30〜
3.0%、Nbが0.30〜3.0%、Niが45%以上であれば、単体
イオウ(S)を含んだ環境においても応力腐食割れに対
して優れた抵抗性を有する耐食性皮膜を得ることができ
る。
つまり、Cr、Mo及びWの含有量バランスが Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)<140 の範囲では、250℃以下程度のH2S−CO2−Cl-−S環境
において十分な耐食性能を示さなくなる。
において十分な耐食性能を示さなくなる。
なお、その他のB、Sn、Zn、Pb等の元素は、微量ではこ
の発明の合金の特性に何ら悪影響を与えることがないの
で、不純物としてそれぞれ0.10%まで許容されるが、こ
の上限値を越えると加工性や耐食性に悪影響を与えるこ
とになるので注意を要する。
の発明の合金の特性に何ら悪影響を与えることがないの
で、不純物としてそれぞれ0.10%まで許容されるが、こ
の上限値を越えると加工性や耐食性に悪影響を与えるこ
とになるので注意を要する。
続いて、この発明を、実施例によつて比較例と対比しな
がら説明する。
がら説明する。
〈実施例〉 まず、第1表に示される化学成分組成の各合金を溶製し
た後、熱間加工によつて板材とし、これに20%程度の冷
間加工を施して所望の強度(室温での0.2%耐力にて80
〜110kgf/mm2)を得た。この板材から、引張試験、衝撃
試験及び腐食試験に供する各試験片を採取し、下記要領
にて各種試験を実施した。
た後、熱間加工によつて板材とし、これに20%程度の冷
間加工を施して所望の強度(室温での0.2%耐力にて80
〜110kgf/mm2)を得た。この板材から、引張試験、衝撃
試験及び腐食試験に供する各試験片を採取し、下記要領
にて各種試験を実施した。
なお、耐水素割れ試験を供した材料は、300℃にて1000h
rの長時間加熱処理を施工した後試験片とした。
rの長時間加熱処理を施工した後試験片とした。
(A)引張試験 試験温度:室温、 試験片:4.0mmφで、GLが20mm、 (B)シヤルピー衝撃試験 試験温度:0℃、 試験片:10mm×10mm×55mmの2mm Vノツチ付、 (c)耐応力腐食割れ試験 腐食溶液:20%NaCl−1g/ls− (0.1、1、10)atmH2S− 20atmCO2、 試験温度:250℃、 浸漬時間:500hr、 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長の R0.25Uノツチ付、 (D)耐水素割れ試験 NACE条件:5%NaCl−0.5%CH3COOH −1atmH2S、 試験温度:25℃、 浸漬時間:720hr、 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長の R0.25Uノツチ付。
このようにして得られた試験結果を、第1表に併せて示
す。
す。
なお、腐食試験の結果は、“割れ又は孔食のみられなか
つたもの”を「○」、“試験後に割れ又は孔食の発生し
たもの”を「×」で示した。
つたもの”を「○」、“試験後に割れ又は孔食の発生し
たもの”を「×」で示した。
第1表に示される結果からも、本発明合金は苛酷な腐食
環境下であつても優れた耐食性を示すことが明らかであ
るのに対して、合金の成分組成が本発明で規定する条件
から外れた比較合金では、いずれも十分な耐食性を示さ
ないことがわかる。
環境下であつても優れた耐食性を示すことが明らかであ
るのに対して、合金の成分組成が本発明で規定する条件
から外れた比較合金では、いずれも十分な耐食性を示さ
ないことがわかる。
〈総括的な効果〉 以上に説明した如く、この発明によれば、イオウ(S)
が単体として存在するサワーガス環境下においても抜群
に優れた耐食性、特に耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を有する油井管用として好適な高強度Ni基合金が得ら
れるなど、産業上極めて有用な効果が得られるのであ
る。
が単体として存在するサワーガス環境下においても抜群
に優れた耐食性、特に耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を有する油井管用として好適な高強度Ni基合金が得ら
れるなど、産業上極めて有用な効果が得られるのであ
る。
第1図は、本発明合金におけるP含有量と耐水素割れ性
(腐食性溶液中での伸び/大気中での伸び)との関係を
示すグラフ、 第2図は、本発明合金におけるS含有量と熱間加工性
(1150℃における絞り率)との関係を示すグラフ、 第3図は、Nbを除いては本発明と同様組成の合金におけ
るNb含有量と耐応力腐食割れ性(腐食性溶液中での伸び
/大気中での伸び)との関係を示すグラス、 第4図は、Nを除いては本発明と同様成分組成の合金に
おけるN含有量と強度(0.2%耐力)及び靱性との関係
を示すグラフ、 第5図は、各種N含有量のNi基合金における冷間加工度
と強度(0.2%耐力)、即ち加工硬化特性との関係を示
すグラフである。
(腐食性溶液中での伸び/大気中での伸び)との関係を
示すグラフ、 第2図は、本発明合金におけるS含有量と熱間加工性
(1150℃における絞り率)との関係を示すグラフ、 第3図は、Nbを除いては本発明と同様組成の合金におけ
るNb含有量と耐応力腐食割れ性(腐食性溶液中での伸び
/大気中での伸び)との関係を示すグラス、 第4図は、Nを除いては本発明と同様成分組成の合金に
おけるN含有量と強度(0.2%耐力)及び靱性との関係
を示すグラフ、 第5図は、各種N含有量のNi基合金における冷間加工度
と強度(0.2%耐力)、即ち加工硬化特性との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 史朗 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社中央技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−110856(JP,A) 特開 昭60−2653(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】重量割合にて C:0.10%以下、Si:0.05超〜0.30%、 Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.0050%以下、Ni:45〜60%、 Cr:15〜30%、 Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%、Ti:0.050%以下、 Nb:0.30〜3.0%、Al:1.0%以下、 N:0.050超〜0.25% Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性に優れた高強度
Ni基合金。 - 【請求項2】重量割合にて、 C:0.10%以下、Si:0.05超〜0.30%、 Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.0050%以下、Ni:45〜60%、 Cr:15〜30%、 Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%、Ti:0.050%以下、 Nb:0.30〜3.0%、Al:1.0%以下、 N:0.050超〜0.25% を含有し、更に Co:5.0%以下、 V、Ta、Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以下のうちの
1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性に優れた高強度
Ni基合金。 - 【請求項3】重量割合にて、 C:0.10%以下、Si:0.05超〜0.30%、 Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.0050%以下、Ni:45〜60%、 Cr:15〜30%、 Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%、Ti:0.050%以下、 Nb:0.30〜3.0%、Al:1.0%以下、 N:0.050超〜0.25% を含有し、更に 希土類元素:0.10%以下、 Mg:0.10%以下、 Ca:0.10%以下、 Y:0.20%以下、 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性に優れた高強度
Ni基合金。 - 【請求項4】重量割合にて、 C:0.10%以下、Si:0.05超〜0.30%、 Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.0050%以下、Ni:45〜60%、 Cr:15〜30%、 Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%、Ti:0.050%以下、 Nb:0.30〜3.0%、Al:1.0%以下、 N:0.050超〜0.25% を含有し、更に Co:5.0%以下、 V、Ta、Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以下のうちの
1種以上、並びに 希土類元素:0.10%以下、 Mg:0.10%以下、 Ca:0.10%以下、 Y:0.20%以下、 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性に優れた高強度
Ni基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61001200A JPH0674472B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 耐食性に優れた高強度Ni基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61001200A JPH0674472B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 耐食性に優れた高強度Ni基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62158845A JPS62158845A (ja) | 1987-07-14 |
JPH0674472B2 true JPH0674472B2 (ja) | 1994-09-21 |
Family
ID=11494819
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61001200A Expired - Lifetime JPH0674472B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 耐食性に優れた高強度Ni基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0674472B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3806799A1 (de) * | 1988-03-03 | 1989-09-14 | Vdm Nickel Tech | Nickel-chrom-molybdaen-legierung |
US5529642A (en) * | 1993-09-20 | 1996-06-25 | Mitsubishi Materials Corporation | Nickel-based alloy with chromium, molybdenum and tantalum |
JP5026686B2 (ja) * | 2005-09-26 | 2012-09-12 | 日本冶金工業株式会社 | 加工性および高温強度に優れるNi基合金材料とその製造方法 |
JP5082112B2 (ja) * | 2008-02-07 | 2012-11-28 | 日本冶金工業株式会社 | 常温での強度と加工性およびクリープ特性に優れるNi基合金材料とその製造方法 |
CN103243243A (zh) * | 2013-05-22 | 2013-08-14 | 江苏启迪合金有限公司 | 一种镍基耐蚀电弧丝材 |
WO2019146504A1 (ja) | 2018-01-26 | 2019-08-01 | 日本製鉄株式会社 | Cr-Ni合金及びCr-Ni合金からなる継目無鋼管 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57210938A (en) * | 1981-06-17 | 1982-12-24 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening type alloy for high strength oil well pipe with superior stress corrosion cracking resistance |
-
1986
- 1986-01-07 JP JP61001200A patent/JPH0674472B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62158845A (ja) | 1987-07-14 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |