JPH0325282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は電動ドリルや電動ドライバー等におい
て、ドリルビツトやドライバービツト等のツール
の保持用として設けられるチヤツクと称される締
め付け具に関するものである。

［背景技術］ チヤツクハンドルを使用することなくツールの
着脱を行なえるようにした締め付け具において、
動力が伝達されるシヤフトに固着したハンドルの
他に、シヤフトに対して回転自在な回転リングを
設けて、この回転リングを回転させることで締め
付け用の複数個の爪の径方向移動を行なうように
したものがある。ハンドルをつかみながら回転リ
ングを回すことによつて、ツールの締め付け保持
及び取り外しを行なえるようにしているわけであ
る。

ところで、この種の締め付け具においては、シ
ヤフトに回転を加えて作業を行なう際に、シヤフ
トと回転リングとの間に相対的回転が生じるとい
う特性を有している。このために、ビスの締め付
け作業や穿孔作業を行なつている時にこの相対的
回転によつて爪が広がつて締め付け力が緩でしま
うおそれを有しているわけであり、これでは作業
を安心して行なえない。もつとも、この時に生じ
る回転リングの回転の方向が、爪を締め付ける方
向となるように設定しておけば、シヤフトを一方
向にのみ回転させるものでは別段問題となるよう
なことはないのであるが、電動ドライバーのよう
に、シヤフトを逆回転させることによつてビスを
暖める作業を行なえるようにしたものでは、この
作業中にシヤフトと回転リングとの間に生じる相
対的回転によつて、爪が広がつてしまい、ツール
が作業途中で外れてしまうことがある。

［発明の目的］ 本発明はこのような点に鑑み為されたものであ
り、その目的とするところは作業途中において爪
が広がつて締め付け力が緩んでしまうようなこと
がなく、確実に作業を行なうことができる締め付
け具を提供するにある。

［発明の開示］ しかして本発明に係る締め付け具は、動力が伝
達されるシヤフトと、このシヤフトに固着された
ハンドルと、シヤフトに対して回転自在とされた
回転リングと、シヤフトに対する回転リングの回
転に伴なつて径方向移動を行なう締め付け用の爪
とを備えた締め付け具において、シヤフトに対す
る回転リングの回転をロツクするロツク手段と、
このロツクを解除する解除手段とを具備するとと
もに、上記ロツク手段は軸方向に移動自在とされ
ている回転リングとシヤフトとの間に形成された
断面くさび型であり且つ軸方向において傾きを有
する複数個の溝と、角溝内に配設されている複数
個のころがり部材とで構成されてシヤフトに対す
る回転リングの一方向回転をロツクするものであ
ることに特徴を有している。

以下本発明を図示実施例に基づいて詳述する
と、第１図乃至第５図は一実施例を示している。
駆動軸１０に後端が連結される金属製筒状シヤフ
ト１は、その軸方向なかほどの外周面に、後方ほ
ど径が細くなるテーパ面１１が設けられていると
ともに、後端部に異形断面部１２が設けられてお
り、また前端部内周面に雌ねじ１３が切削されて
いる。このシヤフト１の異形断面部１２には、円
筒状のハンドル３が圧入固定され、雌ねじ１３に
はフロートねじ６がねじ込まれている。ドリルビ
ツトやドライバービツトであるツール４を締め付
ける複数本の爪５は、いずれも外面が傾斜面とさ
れたものであるとともに、後端に係合片５０を有
しており、この係合片５０を上記フロートねじ６
に設けられた係合溝６０に係合させている。また
各爪５は円錐体状の金属製ガイドブロツク７に形
成されたスリツト７０に納められているととも
に、ガイドブロツク７外面の円錐面に翼片５１を
係合させている。

回転リング２は円筒状の合成樹脂製本体部２０
と、同じく円筒状であり且つ本体部２０の後部内
に固定される金属製ロツク金具２３とからなり、
ロツク金具２３はその外周面に形成されている溝
２４を、本体部２０の内周面に形成されている突
起２１に係合させることで、本体部２０とともに
回転するものとされている。また本体部２０の前
端には、テーパブツシユ２５が連結されている。
そして回転リング２とテーパブツシユ２５とは、
本体部２０の内周面に形成されている突起２２
と、テーパブツシユ２５の後端に形成されている
溝２６との係合により、回転が一体になされ、そ
してテーパブツシユ２５に対して回転リング２の
軸方向移動が自在となるようにされている。

そして上記フロートねじ６とガイドブロツク７
及び複数本の爪５がテーパブツシユ２５及び回転
リング２の内部に納められて、テーパブツシユ２
５の後端部内面とシヤフト１の外面との間にはテ
ーパブツシユ２５とシヤフト１との軸方向係合の
ためのリング状のキヤツプ１６と弗化エチレン樹
脂製のワツシヤ１７とが配設されており、更にテ
ーパブツシユ２５とガイドブロツク７とが一体に
回転するようにテーパブツシユ２５の溝２６に係
合する突起７１がガイドブロツク７に設けられて
いる。ガイドブロツク７とフロートねじ６とは、
この両者に係合する爪５によつて一体に回転する
とともに、ガイドブロツク７に対してフロートね
じ６が軸方向に移動自在となるようにされてい
る。

次にロツク手段であるが、これは回転リング２
の内周面とシヤフト１の外周面との間に形成され
る複数個の溝４０と、各溝４０内に配設されるニ
ードルローラ９とによつて構成されるサイレント
ラチエツト（フリーホイール）としての一方向ク
ラツチで形成されている。各溝４０は、シヤフト
１におけるテーパ面１１と、回転リング２におけ
るロツク金具２３との間に、ロツク金具２３内周
面に設けた凹溝によつて形成されたもので、シヤ
フト１の軸方向と直交する方向の断面がくさび型
とされている。

また解除手段は、上記溝４０をシヤフト１のテ
ーパ面１１に沿つた傾斜を有するものとするとと
もに、回転リング２をシヤフト１に対して軸方向
に摺動自在として、この移動により溝４０の断面
積を可変とすることによつて構成されている。そ
して回転リング２はハンドル３との間に配設され
ているばね３０によつて軸方向前方へと付勢され
ている。溝４０の断面積が小さくなる方向に付勢
されているものである。

しかしてこの締め付け具において、ツール４の
取り付けにあたつては、先端開口からツール４の
後端部を差し込み、そしてハンドル３を握りつ
つ、第１図におけるＡ−Ａ線断面を示している第
４図中で矢印Ｆで示す方向に回転リング２を回転
させればよい。この時、ロツク手段は、回転リン
グ２とシヤフト１とを切り離した状態に保持する
ことから、シヤフト１に対する回転リング２の回
転が妨げられるようなことはなく、そして回転リ
ング２の回転とともに、テーパブツシユ２５とガ
イドブロツク７及びフロートねじ６がシヤフト１
に対して回転するものであり、シヤフト１と螺合
しているフロートねじ６は前進して各爪５を前方
へと移動させる。この結果、翼片５１をガイドブ
ロツク７とテーパブツシユ２５内周面との間に位
置させている各爪５は、径方向における中心へと
集まり、ツール４の締め付けを行なう。

ビス締め作業等にあたつて、シヤフト１を第４
図中のT₁方向に回転させると、この時、回転リ
ング２に矢印Ｆ方向の相対的回転が生じるが、こ
れは上述のようにシヤフト１に対して回転リング
２をロツクする方向ではないものの、ツール４を
締め付ける方向の回転であるために、かえつて好
ましいものとなつている。

ビスを緩める作業を行なう時には、シヤフト１
を第５図に矢印T₂で示す方向に回転させること
になる。この場合、シヤフト１外周面に接してい
るニードルローラ９が、断面くさび型の溝４０に
食い込む方向に動かされるものであり、この結
果、シヤフト１に対して回転リング２がロツクさ
れる。つまり、シヤフト１に対する回転リング２
の相対的回転によつて、爪５が広がつてしまうと
いうことがないものである。

次にツール４の取り外しは、シヤフト１に対し
て回転リング２を第４図及び第５図中に矢印Ｕで
示す方向に回転させて爪５を広げることで行なう
のであるが、そのままではロツク手段によつてシ
ヤフト１に対する回転リング２の回転がロツクさ
れてしまうことから、第２図に示すように、回転
リング２をハンドル３側へ移動させた状態を保ち
つつ、回転リング２を回すことで行なう。回転リ
ング２をばね３０に抗して後退させると、溝４０
の段面積が大きくなり、ニードルローラ９がシヤ
フト１と回転リング２との両者に共に接する状態
が生じなくなるために、回転リング２がロツクさ
れてしまうことはない。尚、回転リング２から手
を離せば、回転リング２はばね３０による付勢で
元の状態に復帰する。

尚、上記実施例におけるニードルローラ９に代
えて、ボールを用いてもよい。また回転リング２
を合成樹脂製の本体部２０と金属製のロツク金具
２３とで構成して、操作性及び外観の向上とコス
ト低減とを図つたものを示したが、両者を一体に
形成したものであつてもよい。

［発明の効果］ 以上のように本発明においては、シヤフトに対
する回転リングの回転をロツクするロツク手段
と、このロツクを解除する解除手段とを備えてお
り、このためにシヤフトの回転に伴なつてシヤフ
トと回転リングとの間に爪を広げる方向に生じる
相対的回転を、シヤフトに対する回転リングのロ
ツクで止めてしまうことができるものであつて、
不用意にツールが外れてしまうということがなく
て、確実な作業を行なえ、またこのロツクを解除
できるために、ツールの着脱も容易なものであ
り、特にロツク及びロツク解除操作が回転リング
の軸方向操作のみで行うができる上に、ロツク解
除は溝の形を変えることで行うことになり、ころ
がり部材が溝に食い込んだためにロツク解除操作
が困難になるというような事態を招くことがない
ものであり、また回転リング等の部材も簡単な形
状ですむものであつて製作が容易なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明一実施例の破断正面図、第２図
は同上のロツク解除状態における破断正面図、第
３図ａ，ｂは同上の分解斜視図と斜視図、第４図
は第１図中のＡ−Ａ線断面図、第５図は同上のロ
ツク状態を示す横断面図である。 １はシヤフト、２は回転リング、３はハンド
ル、４はツール、５は爪、６はフロートねじ、９
はニードルローラ、２０は本体部、２３はロツク
金具、４０は溝を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 動力が伝達されるシヤフトと、このシヤフト
   に対する回転自在とされた回転リングと、シヤフ
   トに対する回転リングの回転に伴つて径方向移動
   を行う締め付け用の爪とを備えた締め付け具にお
   いて、シヤフトに対する回転リングの回転をロツ
   クするロツク手段と、このロツクを解除する解除
   手段とを具備するとともに、上記ロツク手段は軸
   方向に移動自在とされている回転リングとシヤフ
   トとの間に形成された断面くさび型であり且つ軸
   方向において傾きを有する複数個の溝と、各溝内
   に配設されている複数個のころがり部材とで構成
   されてシヤフトに対する回転リングの一方向回転
   をロツクするものであることを特徴とする締め付
   け具。 ２ 回転リングは軸方向に弾発付勢されているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の締め
   付け具。 ３ 回転リングは合成樹脂材部と金属材部とで形
   成されており、溝はシヤフトと回転リングの金属
   材部との間に形成されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の締め付け具。