JP3553122B2 - ドリルのような回転装置を装着するツールホルダーチャック - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、ドリルのような回転装置を装着するためのツールホルダーチャックに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
駆動軸に対して穴明けビットやドリルビット、あるいはネジ回しの端部を固定するのに、チャックは最もよく使われる。工具の円柱状のシャンクをチャックに固定するための第１の可能な手段は、後者に、装置が使われる前に工具をキーの作用によって顎部により締め付けるラック機構を具備せしめることにある。このラックによれば、本体に対してこれを取り囲むスリーブが回転連動し、このスリーブの内周面に、顎部の外周ネジ山に内周ネジ山が相互に作用するナットが固定されている。この解決手段は、実際的な視点からは満足を与えるものであるとはいえ、使用者によりしばしば置き忘れられるキーを用いる必要があるという欠点を示す。このキーの使用は、装置の本体に一体化されたバッテリーにより駆動されて一層大きな移動性を有する、いわゆるコードレスドリルにおいて、さらに制限をもたらす。これらのコードレスの装置やドリルは、一般に工具を保持するためにキータイプのチャックが備えられている。この種のチャックでは、両回転方向での使用と、駆動軸の回転方向が駆動軸に対してチャックが緩み勝手である場合にドリルのスピンドルにチャックを保持するためのネジ軸の移動とが可能である。キーを使用せずに工具のクランプを満足させ得るチャックもある。
【０００３】
第１の公知の解決手段は、スリーブの後端に顎部を動かすナットの回転連動のための幾つかの歯、スリーブに対向する少なくとも一の歯を備えたスプリングの動作の下で、スリーブから軸方向に離れて保持された本体に同軸に装着されるリングより形成されて成る。このリングは、本体の周りを自由に回転できるように装着されている。
実際に、工具を咬止または解放するためには、使用者はリングを掴んで前方に動かせばよく、チャックの本体を駆動軸に対して一方あるいは他方に回転させると同時に、リングの歯がスリーブの歯に噛み合う。期待された回転の方向に応じて顎部の締付あるいは緩めを引き起こす一連の影響を引き起こすリングとスリーブとの反対の歯の相対的な回転運動が生じる。
【０００４】
他の公知のチャックにおいて、スリーブには、その先端に、後方に向けて尖った幾つかの切欠が突き出す放射状のカラー部が設けられている。さらに、先方に尖って、スリーブに設けられる切欠に噛合せしめられる切欠が設けられたリングが、顎部を動かすためにナットに強制的に取り付けられている。
チャックの本体を圧迫するスプリングは、特定の荷重に達しない限りは、それぞれリングとスリーブとの切欠の噛合を保持する。
この結果、スリーブの切欠に対してリングのノッチにより作用する一連の影響において、場合により締付あるいは揺るめが引き起こされる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら２つの公知のチャックは、高額な費用とかなり大きな容量とを要する複雑な構造を有している。
他の解決手段が、顎部における非常に細かいピッチの歯と、ナットと本体との間に配された一連のボールとを用いたチャックに関するＥＰ−Ａ−０，３００，３７５号公報において提供されており、後者の特徴、すなわちナットと本体との間のボールの介在は、既に工業チャックにおいて知られている。しかし、この公報に記載されたチャックは、完全な非緩み特性を備えておらず、またピッチの細かさのため締付および緩めの操作が非常に煩雑で、さらに良好な咬止を得るためにはチャックに大きな外径が必要とされるという欠点を呈している。
さらにまた、内部スラストボールベアリングを備えた自己締付チャックは、左回転の使用が不可能であり、装置のスピンドルにチャックを保持するための中心ネジの移動を許容せず、さらに打ちつけ作業の間の重振動下において緩むという欠点を呈する。
しかしながら、初めに述べた装置が、特に打ちつけ作業の際にチャックの解放を防止し得る機械的固定が必要とされる高性能装置に関して、満足を与えるというものでもない。
【０００６】
本発明の目的は、特に合成材料より成る特定数の部品を組み込んで軽量の材料から製造し得て、作業位置において固定する機構を有し、この機構は簡単な設計で単純に作動する簡略な構成のツールホルダーチャックを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
このために、それに係わるチャックは、内径にスライドして前方に収束する幾つかの顎部が装着されて装置の駆動軸に固定される本体を備え、この本体は、その後部において固定リングに固定され、この固定リングの前方にはスリーブが本体に回転可能に装着され、このスリーブの内壁は、上記顎部の外側ネジ山部に噛合するナットに固定されていて、上記本体が、上記スリーブと重なり合うその範囲において外周歯部を備える一方、上記スリーブは形成されたロック部材を含み、このロック部材は、チャックの上記本体先端に回転できるように装着されるリングにより動かされて、チャックの締付位置において上記本体の上記歯部に噛み合うようになされていることを特徴とする。
【０００８】
【作用】
解放および締付のためにスリーブの操作によってチャックが手動で動かされた後、締付の最後にはリングを動かしてロックし、チャックの解放に先だってはリングを動かしてロックを解けばよい。
一実施例によれば、本体に形成される上記歯部は真っ直ぐに刻まれた歯部である一方、上記ロック部材は板バネより構成されて、それに動作が働かない場合には上記歯に垂直な方向に関して傾けられるように形成される。
好ましくは、上記板バネは上記スリーブに設けられた凹部内に内側に突き出し、この凹部内においては、上記リングに設けられた舌状部が移動可能とされて、その先端角部がスプリングを圧迫して上記歯部から抜き外すようになされる。
【０００９】
本発明の他の特徴によれば、スリーブにはその先端を向く面に形成されてチャックの軸を中心とする幾つかの凹所が備えられおり、各凹所の内側には上記リングに設けられた指状部が嵌め合わされていて、上記凹所が延びる円弧の方向における指状部の長さは、対応する凹所のそれよりも短くなされている。
スリーブの各凹所とこれに対応するリングの指状部との長さの差は、スリーブに対するリングの回転可能道程を決定する。
好ましくは、スリーブには上記リングに面して位置する部分に弾性のある舌状部が備えられ、この弾性舌状部の自由端には凸部が設けられる一方、上記リングには、上記スリーブに対するリングの回転道程、すなわちスリーブの上記凹所とこれに対応するリングの上記指状部との上記長さの差と等しい距離だけ互いに離れて配置されて、上記リングの道程の両端の位置において上記凸部が嵌まり込むようにされた２つの切欠が設けられる。
このような構成により、スリーブに対してリングをその両端位置において弾性的に固定することが確実に可能となる。
【００１０】
一の可能な手段によれば、上記リングは、スリーブにその長さの大部分を覆って貫装される筒状の延設部を備えている。この場合チャックは、工具の咬止のすべての間および工具の解放のすべての間、リングの直接の操作によって動かされる。
軸方向におけるスリーブおよびリングの本体への固定を確実にするためには、上記本体には、その先端近傍に、チャックの軸に垂直な面によって本体先端側に境界がつけられた環状の溝が設けられる一方、上記リングにはチャックへの装着位置において本体の上記溝に係合するテーパーカラー部が設けられる。
異なった実施例によれば、本体に、その先端に近接して、チャックの軸に垂直な面によって本体先端側に境界がつけられた環状の溝が設けられる一方、上記リングには、その先端に、チャックへの装着位置において本体の溝に係合するように複数の弾性舌状部が設けられる。
【００１１】
【実施例】
いずれにせよ、本発明は、非限定的な例としての当該チャックの２つの実施例を表わす添付の概略図を参照して、以下の記載を用いて明確に説明される：
図１は、第１のチャックの透視図であり；
図２は、その縦断面図であり；
図３は、それを構成する主な部品の分解透視図であり；
図４は、上記チャックの先端に配置されるリングの内側からの透視図であり；
図５および図６は、それぞれチャックのロック位置および非ロック位置での、図２のＶ−Ｖ線におけるこのチャックの横断面を示す２つの図であり；
図７は、チャックの先端に配置されるリングの異なる例の透視図であり；
図８は、このチャックの異なる例の図２に相当する縦断面図である。
【００１２】
図面に示されたチャックは、図示されない回転装置のネジ軸に取り付けられるようにネジ穴３が後壁部に表れる本体２を備えている。本体２は、その後部に、合成材料より成る固定リング５を回転の間固定できるようにするための真っ直ぐに刻まれた刻み目が形成された部分４を備えている。
本体２内には、各々一の顎部７を案内する３つの穴６が形成されている。この穴は前方に収束していて、顎部の前方への移動によって顎部が互いに接近して、図示されない工具が咬止されるようになされている。
【００１３】
顎部７の外側部には雌ネジの形成されたナット９に噛合するネジ山８が設けられていて、ナット９の回転に連動する方向に応じて顎部を一方または他方に移動せしめるようになされている。このナット９は、止め輪１０によって軸方向に動かないようになされている。ナット９には、回転方向に固定されるように割り出された合成材料より成るスリーブ１３が装着されるように、真直ぐ刻まれた刻み目１２が設けられている。スリーブ１３には、その先端に近接して、ヘアピン状に形成された板バネより成るロック部材１４が、本体に形成された歯部１５に係合するように備えられている。この歯部１５は真っ直ぐに刻まれた歯部であって、バネ１４の自由端は歯１５に垂直に対してほぼ４５°傾けられている。本体２の先端にはまたリング１６が装着されており、このリング１６に設けられたスカート状の部分１７によってリングとスリーブとは部分的に貫装され、スリーブはその長さの比較的多くの部分をリングによって覆われている。
【００１４】
スリーブ１３は、等角配分によって配置された３つの凹所１９により隔てられる先端側に突き出した円筒状部１８を備えている。リング１６はその部分に対して、２つの同軸の環状面、すなわちスリーブ１３の筒状部１８内側に位置せしめられる第１環状面２０と、スリーブの環状部１８の外側に位置せしめられる環状部２２とを備えている。環状部２０と２２は指状に形成された３つの立体放射状の部分２３によって互いに連結されており、凹所１９と指状部２３との間の周方向における長さの差がスリーブ１３に対するリング１６の角度道程に対応するように、各指状部は凹所１９よりも短い長さとされている。
リングの内側の環状部２０は、スリーブ１３の板バネ１４が移動可能な開口部２４を備えている。この開口部２４の一端は舌状部２５によって境界がつけられており、板バネ１４を圧迫して、内側から外側に傾けて歯部１５から抜き外すようになされている。
【００１５】
さらに、スリーブ１３は、そのリングに面して位置する筒状部１８に弾性のある舌状部２６を備えており、その端部２７は凸状とされ、リングの環状部２２にその道程の両端の位置に形成された２つの切欠２８の一方または他方に嵌まるようになされている。
最後に、本体２には、その先端に近接して、チャックの軸に実質的に垂直な面３０によって本体先端側に境界がつけられる環状の溝２９が設けられている。リング１６には、その部分に対して、チャックの装着位置において本体の上記溝に係合するテーパーカラー部３２が設けられており、これにより回転の間リングとそれに連結されるスリーブとの固定がなされる。
【００１６】
図５に示すようにバネ１４が歯部１５から抜き外された位置にあるときは、スリーブ１３およびその結果として顎部７に連動するナット９を回転することにより工具の咬止または解放が可能である。これに対して、図６に示すようにバネ１４の自由端が歯部１５に噛み合っているときは、装置の作動や工具の作業から生じる振動の単一の動きでは、本体に対するスリーブの回転は不可能となる。
【００１７】
実際には、チャックの操作は、図１から図７に示されるように、以下の通りとなる。まず、顎部７が離れた位置にあり、リング１６，１７が図５に示す位置にあるところからリング１６，１７を回転連動させて、リングの切欠２８に係合した凸部２７を介してスリーブ１３を連動する。顎部が工具に接触すると、ナット９およびスリーブ１３の抵抗が増大する。スリーブ１３に対してリング１６，１７は、凹所１９と指状部２３との間の長さの差に従って限られた範囲で続けて回転される。このスリーブ１３に対するリング１６，１７の相対回転の間に、凸状部２７は切欠２８を移り変わり、舌状部２５はバネ１４に干渉することがなくなって解放し、リング１６，１７が３つの指状部２３を介してスリーブ１３を押圧する。そして、チャックが締められる。
緩めるには、作業者は、リング１６を反時計回り方向に回転して、逆の順で行う。最初に、スリーブ１３に対してリング１６が相対回転し、その動作の間に凸部２７が一方の切欠から他方に移り、舌状部２５がバネ１４を圧迫して歯部１５から抜き外す。さらに反時計回り方向の解放操作を作業者が続けることにより、指状部２３を介してスリーブ１３が連動する。そして、スリーブ１３は顎部を開放位置に動かすナット９を連動させるので、チャックが開かれる。
【００１８】
図８は、異なる実施例を示すもので、同一の要素には上記と同じ符号が付されている。この図において、スリーブ１３とリング１６との面は僅かに貫装しあって面している。従って、回転の際にナット９を連動させるにはスリーブ１３を直接操作すればよく、リング１６はそれぞれチャックのロックおよびロック解除を行うために、締付の最後または解放の初めにだけ操作される。
さらにまた、図７に示される実施例においては、スリーブおよびリングの軸方向の固定のためにリング１６に備えられるテーパーカラー部３２が、リングの周りに等間隔に配されて弾力性のある特徴を有し、チャックの本体２にリングを逆にできないように装着する複数の舌状部３３に代えられている。
【００１９】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明は、使用位置においてロックする機械的機構を利用して、使用者による操作がきわめて簡単である、単純な構造のチャックを提供することにより、従来の技術に対して大きな改善を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例のチャックの透視図である。
【図２】図１のチャックの縦断面図である。
【図３】図１のチャックを構成する主な部品の分解透視図である。
【図４】図１のチャックの先端に配置されるリングの内側からの透視図である。
【図５】チャックのロック位置において、図２のＶ−Ｖ線におけるこのチャックの横断面である。
【図６】チャックのロック解除位置において、図２のＶ−Ｖ線におけるこのチャックの横断面である。
【図７】チャックの先端に配置されるリングの異なる例の透視図である。
【図８】本発明のチャックの異なる実施例の、図２に相当する縦断面図である。
【符号の説明】
２ 本体
５ 固定リング
７ 顎部
９ ナット
１３ スリーブ
１４ 板バネ（ロック部材）
１５ 歯部
１６ リング
１９ 凹所
２３ 指状部
２５ 舌状部
２６ 弾性を有する舌状部
２７ 凸部
２８ 切欠
２９ 環状溝
３２ テーパーカラー部

Claims (7)

1. 内径にスライドして前方に収束する幾つかの顎部（７）が装着されて装置の駆動軸に固定される本体（２）を備え、この本体には、その後部に固定リング（５）が設けられ、その前方にはスリーブ（１３）が本体に回転可能に装着され、その内壁には上記顎部の外側ネジ山部に噛合するナット（９）が設けられており、上記本体（２）が、上記スリーブと重なり合うその範囲において外周歯部（１５）を備える一方、上記スリーブは、チャックの締付位置において上記本体の上記歯部（１５）に噛み合うようにされて、チャックの上記本体先端に回転可能に装着されたリング（１６）により動作される、形成されたロック部材（１４）を備え、上記スリーブ（１３）には、その先端を向く面に形成されてチャックの軸を中心とする幾つかの凹所（１９）が備えられており、各々の内側には、上記凹所が延びる円弧の方向における長さが、対応する凹所のそれよりも短い長さのである、上記リング（１６）に設けられた指状部（２３）が係合されており、さらに上記スリーブ（１３）には、その上記リング（１６）に面して位置する部分に、その自由端に凸部（２７）が備えられた弾性のある舌状部が設けられる一方、上記リング（１６）には、上記スリーブ（１３）に対する上記リング（１６）の回転道程、すなわち上記スリーブの凹所とリングの対応する上記指状部との間の長さの差と等しい距離だけ互いに離れて配置されて、上記リングの道程の両端の位置において上記凸部（２７）を受けるようにされた２つの切欠（２８）が設けられていることを特徴とする、ドリルのような回転装置を装着するツールホルダーチャック。
2. 上記本体（２）に形成される上記歯部（１５）は真っ直ぐ刻まれた歯部である一方、上記ロック部材（１４）は板バネより構成されて、それに動作が働かない場合には上記歯に垂直な方向に関して傾けられるように、その自由端が向けられていることを特徴とする請求項１に記載のチャック。
3. 上記板バネ（１４）は、上記スリーブ（１３）に設けられた凹部内に内側に突き出し、この凹部内において上記リング（１６）に設けられた舌状部（２５）が移動可能とされて、先端角部においてバネ（１４）を圧迫して上記歯部から抜き外すようになされていることを特徴とする請求項２に記載のチャック。
4. 上記リング（１６）が、上記スリーブ（１３）の端部に、互いの対向する端部を貫装させて配置されていることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のチャック。
5. 上記リング（１６）が、上記スリーブ（１３）にその長さの大部分を覆って重なり合う筒状の延設部（１７）を備えていることを特徴とする請求項４に記載のチャック。
6. 上記本体（２）には、その先端に近接して、チャックの軸に実質的に垂直な面（３０）によって本体先端側に境界がつけられた環状の溝（２９）が設けられる一方、上記リング（１６）にはチャックへの装着位置において本体の上記溝（２９）に係合するテーパーカラー部（３２）が設けられていることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載のチャック。
7. 上記本体（２）には、その先端に近接して、チャックの軸に実質的に垂直な面（３０）によって本体先端側に境界がつけられた環状の溝（２９）が設けられる一方、上記リング（１６）には、その先端に、チャックへの装着位置において本体の上記溝（２９）に係合するように複数の弾性を有する舌状部（３３）が設けられていることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載のチャック。

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