JPH0322026Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は所謂スイングシートと称される自動車
用座席、即ち、シートバツクの後倒動作に伴なつ
てシートクツシヨンが前方に移動し、且つそのシ
ートクツシヨンの前部が上方に上昇する自動車用
座席、特に安全性の向上を目的としたものであ
る。

（従来の技術） この種の座席は前述の如く、シートバツクを後
倒すると、シートクツシヨンの前部は前方に移動
し乍ら上昇する。この上昇した状態においてシー
トクツシヨンの底部と車床側（例えば車床に固定
したスライドレール）との間に間隙が生じる。こ
の間隙は、シートバツクを元の状態に戻すと、シ
ートクツシヨンの前部が後方に移動し乍ら下降す
るので狭く、或いはなくなる。従つて、斯る場合
に、誤つてシートクツシヨンと車床との間に乗員
の衣服、身体の一部（指先など）を挾む虞れがあ
る。

また、シートクツシヨンの前部を上昇した状態
において、そのスイング機構（例えばリンク、リ
クライニング機構など）が外部に露出し座席の外
観を損なう虞れがある。

これらの問題を除去するために、スイング機構
を被うカバーが必要となる。

ところで、従来シートクツシヨン全体が一様に
昇降する自動車用座席において、その側面にカバ
ーを設けたものとして、例えば実開昭59−101836
号公報、実開昭60−8141号公報に記載したものな
どが開示されている。

これらはいずれも、カバー主体がシートクツシ
ヨン側に固定して、座席側面における外観品質の
向上を目的としている。従つて、カバー主体はシ
ートクツシヨンの外側面にビスなどの締結部材で
固定しなければならないため、シートクツシヨン
側に硬質板などの締結部材固定用の固定部材を設
けなければならない。また、車床側にも、前記カ
バー主体に対応するカバー補助体を取付ける必要
があるため、その構造が頗る複雑で低原価で提供
できない不具合があつた。

一方、本考案の対象であるスイングシートにお
けるシートクツシヨンはその左右側面が上方に向
けて膨出状に形成されている。従つて、前記実開
昭60−8141号公報記載のものの如く、カバー主体
をこのシートクツシヨンに取付けるには実開昭59
−101836号公報記載のもののように、直接シート
クツシヨンに固定できず、シートクツシヨンの外
側面より取付片を突出させ、この取付片にカバー
主体を固定せざるを得ない。

また、斯る先行技術は前述の如くシートクツシ
ヨン全体が一様に昇降する構造のものに装着する
ことを目的としているため、本考案の対象である
スイングシートには応用できない。けだし、スイ
ングシートはシートクツシヨンの後部（シートバ
ツク側）に対して前部の昇降量が大きいため、シ
ートクツシヨンの前部を上昇させた際に、カバー
の主体が補助体に対して傾斜した状態になり座席
の外観が損なわれるからである。

（目的） そこで、本考案はシートクツシヨンが昇降する
際、その後部であるリクライニング機構を有する
部分の移動量が少なく、前部の移動量が大である
点に着目してなされたものであり、前記スイング
シートにおいて、従来品に比べ構造が簡単で、外
観、安全性の向上を目的とする。

（構造） そのため、本考案は前記移動量が少ないリクラ
イニング機構と、車体側にカバーを固定し、且つ
このカバーの内側にシートクツシヨンが上昇した
際に、カバーとシートクツシヨンの外側面との間
に生ずる間隙を塞ぐ閉塞材を配設している。従つ
て、シートクツシヨンが上昇時においては閉塞材
がシートクツシヨンの外側面に当接して、カバー
とシートクツシヨンとの間に間隙が生じないよう
にすると共に、カバーによつてスイング機構、リ
クライニング機構は被覆されている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第４図は第１実施例を示し、図中Ａ
はシートクツシヨンａとシートバツクｂからなる
スイングシートで、その構造は例えば本願出願人
の出願に係る特開昭59−59531号公報に記載した
ものなど、リクライニング機構３によつてシート
バツクｂが後倒すると、シートクツシヨンａが前
方へ移動しその前部が上昇する従来品を使用する
ため、その説明は省略する。

斯るスイングシートＡにおけるシートクツシヨ
ンａはスライドレール４のアツパーレール４１に
固着したブラケツト５に、リンクなどのスイング
機構６を介して連結されており、また、リクライ
ニング機構３はブラケツト５の後部側とシートバ
ツクｂとに渉つて装着されている。

以上のスイング機構６、リクライニング機構３
を被うようにカバー１が前記ブラケツト５に垂直
状に締結され、このカバー１の前側内には閉塞材
２ａが配設されている。以下、これを具体的に説
明する。

カバー１は合成樹脂製で、前述の如くスイング
機構６、リクライニング機構３を被い、且つシー
トクツシヨンａが前方に移動し、その前部が上昇
した状態で、そのシートクツシヨンａの外側面下
端を被覆する程度の大きさに成形されている。そ
して、その周端縁は内側方向に折曲され、１１の
位置において、閉塞材２ａと共にブラケツト５
に、また、１２の位置においてリクライニング機
構３に、夫々ビス７止めされている。図中１３は
リクライニング機構３の操作レバー３ａを配設す
る凹部を示す。

閉塞材２ａは硬質合成樹脂板、金属板などの剛
性を有する芯材２１に、合成樹脂のコーテング材
などの滑走材２２を被覆してシートクツシヨンａ
の外側面を構成する表皮を傷付けないように、カ
バー１の前側においてブラケツト５に締結されて
いる。

第３図はシートクツシヨンａを最上昇させた状
態を示し、シートクツシヨンａはその左右外側面
が上方に向けて膨出状に形成され、また、カバー
１は垂直状に固定されている。従つて、カバー１
の上端とシートクツシヨンａの傾斜状外側面との
間には間隙が生じるが、この間隙は閉塞材２ａに
よつて塞がれ、カバー１の内側には乗員の衣服、
指先などが入り込む間隙が生じない。

第４図は、シートクツシヨンａを最下降させた
状態であり、シートクツシヨンａの下降時には、
カバー１の上端はシートクツシヨンａの外側に当
接し、閉塞材２ａはシートクツシヨンａの外側面
に喰い込む。そのため、乗降の際などシートクツ
シヨンａのサイド部ａ１にかかる負荷の一部を閉
塞材２ａで負担するため、カバー１の変形等が防
止される。また、斯る閉塞材２ａの支持によりシ
ートクツシヨンａのサイド部ａ１の保形性も向上
される。

第５図、第６図は第２実施例を示し、斯る実施
例は前記実施例のカバー１に対して、上下方向の
短いカバー１′を、また、閉塞材２ａに対して上
下方向に長い閉塞材２ｂを夫々使用した場合を示
し、シートクツシヨンａの昇降の際に、常時、カ
バー１の内側に配設した閉塞材２ｂの上端が、シ
ートクツシヨンａの外側面に接合するようにした
ものである。

第７図は、前記第１実施例と同一のカバー１を
ブラケツト５に固定するが、閉塞材２ｃはカバー
１の上端内側に固定して、シートクツシヨンａが
上昇した際に、閉塞材２ｃがシートクツシヨンａ
の外側面に当接するようにしたものであり、この
閉塞材２ｃは合成樹脂、ゴムなどの弾性材で成形
されている。

第８図は閉塞材２ｄを、シートクツシヨンａの
外側面に固定したものであり、図示するものはシ
ートクツシヨンａが上昇した状態であり、これを
下降させると、カバー１の上端がシートクツシヨ
ンａの外側面に当接し、シートクツシヨンａの外
側面に間隙が生じない。

（効果） 本考案によれば、そのカバーの内側に閉塞材が
設けてあるので、シートクツシヨンの上昇に伴な
つてカバー上端とシートクツシヨンの外側面との
間に生じる間隙は閉塞材によつて塞がれる。その
ため、乗員の衣服、指先などが誤つて、シートク
ツシヨンと車体側のスライドレールなどの間に挾
まれることがないので安全に使用できるし、ま
た、異物が入り込むことがないため、スイング性
が損なわれない。また、カバーは一枚で車床側と
リクライニング機構とに固定されているため、シ
ートクツシヨンのスイングによつても、常にカバ
ーは所定位置に固定され、座席の外観が損なわれ
ないし、カバーの構造、取付性が良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図乃至第４
図はその第１実施例を示し、第１図は要部を分解
して示す斜視図、第２図は側面図、第３図はシー
トクツシヨン上昇時における要部の断面図、第４
図は下降時の要部の断面図、第５図、第６図は第
２実施例を示し、第５図はそのシートクツシヨン
上昇時における要部の断面図、第６図は同下降時
の断面図、第７図、第８図は他の実施例の要部の
断面図である。 図中ａはシートクツシヨン、１，１′はカバー、
２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄは閉塞材を夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車床側に、外側面が上方に向けて除々に膨出状
   に形成されているシートクツシヨンを昇降機構を
   介して取付け、前記昇降機構を被うサイドカバー
   を有する車両用シートにおいて、前記サイドカバ
   ーはリクライニング機構および又は車床側に固定
   し、このサイドカバーの内側に、シートクツシヨ
   ンの昇降に伴なつてシートクツシヨンの外側面と
   前記サイドカバーとの間に生じる間隙を閉塞する
   閉塞材を配設したことを特徴とする車両用座席。