JPH0320273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内容物を収容する内本体が外本体に取
外し可能に嵌装された二重壁容器に関するもので
あり、内容物の入れ替えを行なう化粧用コンパク
トなどに利用される。

（従来の技術） 例えば化粧用コンパクトにおいて、化粧料を使
用しつくしたとき或いは異色の化粧料に交換した
いとき、化粧料収納用の中皿を入れ替えて外本体
はそのまま継続して使用することがある。この中
皿のような内本体を外本体に嵌装固定する手段と
して、接着剤や永久磁石を用いる代りに機械的結
合手段によることが考えられており、第一に外本
体の底に植立形成した突起と内本体の側面に形成
した凹部とを互いに嵌合せて複数個の内本体を隣
接状態で外本体に嵌装すること（実開昭55−
159007号公報）、第二に外本体の内壁面に形成し
た十文字のリブと内本体の外側方に設けた垂下片
に形成した縦溝付き横リブとを互いに嵌合せて内
本体を外本体に嵌装すること（実開昭57−81710
号公報）、第三に外本体の底に斜めに植立形成し
た突起を内本体の外側面に圧接させて内本体を外
本体に嵌装すること（実開昭47−28200号公報）
などが提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） 前記の機械的結合手段によるものは、いずれも
内本体を外本体の空所へ必要により少し力を加え
て嵌込むことによつて固定可能とされているが、
前記第一のものは複数個の内本体を隣接させて外
本体に嵌装しているので寸法精度が低いとその一
個を入れ替えるのが困難または不可能なことがあ
る。そこで寸法的に余裕をもたせ、押え枠で保持
させるという手段を採つているが、嵌脱の方向へ
延びる突起と凹部とを単に嵌合せただけであるの
で押え枠を外したとき内本体の一部または全部が
不注意により脱落するという心配がある。また、
前記第二のものは外本体の内壁面に十文字のリブ
を形成するため成形用型の構造がきわめて複雑な
ものとなり、製造面で著しく不利であるばかり
か、入れ替えにより使い捨てされる内本体は垂下
片を有する複雑な構成であるため安価に提供でき
ないという難点がある。更に、前記第三のものは
内本体の構成が単純で安価に提供できる反面、傾
斜突起の圧接力のみで外本体に保持させる場合は
互いに係合していないため外れやすく不安定であ
る。

そこで本考案はこれらの問題に鑑み、使い捨て
される内本体は構成が簡単で安価に提供でき、且
つ外本体に安定よく固定できる取扱い容易な二重
壁容器を提供することを課題として考案されたも
のである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上面へ開放した少なくとも一個の空
所を有する外本体と内容物を収容して前記空所に
取外し可能に嵌装された少なくとも一個の内本体
とからなる二重壁容器において、前記外本体は皿
状の外枠とこの外枠に固定されて前記空所の周側
面を形成した中枠とからなり、前記中枠は上下お
よび背面に空隙を有して周方向へ延びる弾性壁を
有しており、前記弾性壁の内側面と前記内本体の
外側面とに周方向へ延びる係止部が形成されてい
てこれらの係止部が互いに係合することによつて
前記空所に嵌装した前記内本体が固定され、且つ
一個の前記空所に一個の前記内本体が嵌装されて
いる構成としたことによつて前記問題点を解決す
るための手段とした。

（作用） 内本体を空所に嵌込むと弾性壁が背後へ動いて
完全に嵌装するとともに弾性壁が復元して係止部
が互いに係合し、内本体を固定する。内本体を外
すときも弾性壁が背後へ動いて係止部の係合が解
除される。

（実施例） 本考案を化粧用コンパクト容器に実施した例を
第１，２図に基いて説明する。

外本体１は底壁２および外側壁３を有する皿状
の外枠４と、この外枠４に嵌込んで接着または溶
着により固定された中枠５とから構成されてい
る。中枠５は塗布筆などの化粧具を収納するくぼ
み６を前記底壁２と協働して形成する仕切壁７、
および内本体１７を嵌装する空所８を前記底壁２
と協働して形成する仕切壁９、ならびにこれら仕
切壁７，９の上縁を互いに結合する枠壁１０を有
しており、仕切壁７，９が底壁２に重なるととも
に枠壁１０の周縁部が外側壁３に重なつて例えば
高周波溶着により外枠４に固定されている。

空所８は三個設けられており、それぞれの仕切
壁９の対向する二つの部分に底壁２との間に空隙
１１を有するとともに枠壁１０との間に溝孔状の
空隙１２を有し更に隣りの空所８の仕切壁９また
は周壁３との間に空隙１３を有して周方向へ延び
る弾性壁１４が形成され、この弾性壁１４に周方
向へ延びる突条からなる係止部１５が設けられて
いる。

化粧料収納用の中皿として用いられる内本体１
７は一個の空所８に一個嵌装されるものであり、
前記仕切壁９と枠壁１０との間の段部１６に嵌る
フランジ１８を有するとともに周側壁１９の外面
に周方向へ延びる溝条からなる係止部２０が設け
られている。

そして、本実施例の二重壁容器は、内本体１７
を空所８に嵌装しその周側壁１９を仕切壁９にほ
ぼ密着させるとともにフランジ１８を段部１６に
嵌装し、係止部１５，２０を互いに嵌装係合する
ことによつて内本体１７を外本体１の空所８に嵌
装固定して構成されている。尚、外本体１の外枠
４にふた２１が蝶番結合されている。

内本体１７を空所８に嵌装するときは指の力で
押し込み、また取外すときは外枠４の底壁２の抜
き孔２２にピン等を差込んで押し出すもので、そ
の際に弾性壁１４が係止部１５を形成する突条の
高さだけ背面の空隙１３に引込まれるのである。

第３図は本考案の異なる実施例を示すものであ
つて、弾性壁１４および周側壁１９のそれぞれに
周方向へ延びる突条からなる係止部２３，２４を
設け、これらを互いに係合することにより内本体
１７を外本体１の空所８に嵌装固定したものであ
る。また、枠壁１０およびフランジ１８の対応個
所に切欠き２５，２６が設けられており、爪、ナ
イフ等を差し込んでこじることによつて内本体１
７を空所８から取外せるようになつている。

尚、内本体１７およびこれを嵌装する空所８は
一個以上任意であり且つその形状も角形に限らず
任意であることは言うまでもない。更に、係止部
１５，２３を有する弾性壁１４は二個所に設けた
が、一個所以上任意に設けることができ、例えば
第１，２図の実施例において四つの周面のそれぞ
れに形成することがある。更にまた、係止部１
５，２０，２３，２４は周方向の配列された二以
上ずつの半球状の突起とくぼみとの組合せによつ
て形成する等の設計変更ができることは勿論であ
る。

（考案の効果） 以上のように本考案によると、上下および背面
に空隙を有して周方向へ延びる弾性壁を有する中
枠によつて内本体を嵌装する空所の周側面を形成
し、弾性壁の内側面と内本体の外側面とに設けた
周方向へ延びる係止部を互いに係合することによ
つて内本体を固定したものであるから、内本体は
周方向へ延びる係止部が互いに広い範囲で係合す
るため寸法精度が低くても安定よく固定されると
ともに、弾性壁が前後へ動くことによつて容易に
嵌脱でき、且つ一個の空所に一個の内本体を嵌装
する構成であるため他の内本体に関係なく所要の
ものを入れ替えることができ取扱いが容易であ
る。また、使い捨てされる内本体は周方向へ延び
る係止部を外側面に設けるだけであるため構成が
簡単で安価に提供できるものであり、継続して使
用される外本体は弾性壁や係止部を有する中枠と
容器の外観を決定する外枠とを別体としたため成
形用型の構造が簡単化され製造面で有利なもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す分解斜視図、第
２図は拡大断面斜視部分図、第３図は本考案の異
なる実施例を示す縦断面部分図である。 １……外本体、４……外枠、５……中枠、８…
…空所、９……仕切壁、１０……枠壁、１１，１
２，１３……空隙、１４……弾性壁、１５，２
０，２３，２４……係止部、１７……内本体、１
９……周側壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面へ開放した少なくとも一個の空所８を有す
   る外本体１と内容物を収容して前記空所８に取外
   し可能に嵌装された少なくとも一個の内本体１７
   とからなる二重壁容器において、前記外本体１は
   皿状の外枠４とこの外枠４に固定されて前記空所
   ８の周側面を形成した中枠５とからなり、前記中
   枠５は上下および背面に空隙１１，１２，１３を
   有して周方向へ延びる弾性壁１４を有しており、
   前記弾性壁１４の内側面と前記内本体１７の外側
   面とに周方向へ延びる係止部１５，２３，２０，
   ２４が形成されていてこれらの係止部１５，２
   ３，２０，２４が互いに係合することによつて前
   記空所８に嵌装した前記内本体１７が固定され、
   且つ一個の前記空所８に一個の前記内本体１７が
   嵌装している二重壁容器。