JPH0317501B2 - - Google Patents

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JPH0317501B2
JPH0317501B2 JP56134562A JP13456281A JPH0317501B2 JP H0317501 B2 JPH0317501 B2 JP H0317501B2 JP 56134562 A JP56134562 A JP 56134562A JP 13456281 A JP13456281 A JP 13456281A JP H0317501 B2 JPH0317501 B2 JP H0317501B2
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JP
Japan
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blood
chamber
polyurethane
blood chamber
polyvinyl chloride
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JP56134562A
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JPS5836560A (ja
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Yasushi Jo
Noriaki Kaneko
Toshio Nagase
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は血液ポンプ、殊に人工心臓、補助人工
心臓に用いることの出来る拍動流を生じる血液ポ
ンプに関するものである。
血液ポンプとして、現在専らローラーポンプが
人工心肺用、あるいは人工腎臓用に用いられてい
る。人工心肺は開心手術に不欠可のもので心臓手
術中、血液を体外に循環させ人工肺によつて酸素
を血液に付加し再び体内にもどして手術中心臓ポ
ンプ及び肺の作用を代行するものであるが、この
場合血液の体外循環に用いられるローラポンプに
は血液に拍動流を与える機能がなく、生理的にも
又末梢血管への血液の循環維持にも問題があるこ
とが明らかにされている。
本発明は血液チヤンバーが外部圧の変動によつ
て圧縮、膨脹を交互に繰返す拍動流を生じるタイ
プの軟質ポリ塩化ビニルを基質とする血液ポンプ
であつて、前記血液ポンプに血液を導入するため
の血液導入管、前記血液ポンプから血液を排出す
るための血液排出管が前記血液チヤンバーに夫々
連通してつば部に配設され、前記血液チヤンバー
がその最初の接触点を特定領域内で行われるよう
に形成され、かつ少なくとも前記血液チヤンバー
の血液接触面がポリウレタン薄膜により一体に積
層成形されていることを特徴とする血液ポンプに
関する。
血液ポンプとして備えねばならぬ最も重要な条
件の一として、血液接触部を構成する物質の血液
適合性があり、この物質が優れた抗血栓性を備え
ていなければ使用中に血栓を生じ、その一部が栓
子となつて血流に入り、毛細管塞栓を生じ脳塞栓
症などを起す危険がある。
又血液ポンプのうち、人工心臓のように拍動を
伴う運動を交互にくり返すような場合、適度の弾
性、伸度、耐屈曲疲労性が要求される。
このような二つの重要な要件を備えた高分子物
質は少なく、本発明者らは、多くの高分子物質の
中で特にポリエーテル系のポリウレタンがすぐれ
た抗血栓性と、優れた機械的特性を有しているこ
とを見出し、この知見に基いてポリウレタン製の
血液ポンプを提案している(特願昭56−70519:
特開昭57−185865号公報参照)。しかしながらす
でに提案した方法では、製造に長い期間と労力を
必要とし、さらに、この方法ではデイツプ工程を
くり返すため、均質な膜厚の血液チヤンバーを品
質コントロールされた状態で製造することは極め
て困難であるという問題を有する。本発明は、こ
のような問題を解決したものであつて、まず第一
に拍動型の人工心臓として実用に耐える機械的特
性を有し、第二に充分な抗血栓性を有する拍動流
を生ずる血液ポンプの提供にあり、血液ポンプは
可塑剤を含むポリ塩化ビニルにより構成され、そ
の血液接触部には1μm〜300μmのポリウレタン
層が積層成形されたものであり、本発明によつて
短時間に目的とする品質のものが製造出来ること
を見出し本発明を完成した。
本発明に用いられる血液ポンプの基質層をなす
ポリ塩化ビニルの重合度は500〜2000のものが好
ましい。また添加される可塑性の量は重要であつ
て、ポリ塩化ビニル100重量部に対して40〜120重
量部、好ましくは50〜80重量部がよい。40重量部
以下では軟らかさに欠け、弁の装填、弁の作動状
態等において不良、不適であり、120重量部以上
では軟らかくなりすぎて、弁が使用中にはずれる
ことがあつて好ましくない。用いられる可塑剤と
してDOP(ジオクチルフタレート)、DOA(ジオ
クチルアジペート)が無毒性の観点から好ましく
用いられる。
本発明の血液接触部を形成するポリウレタンは
ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポ
リウレタンがともに用いられるがポリエーテル系
ポリウレタンがより好ましい。ポリウレタンはイ
ソシアネート基をヒドロキシル基の水素原子と反
応させてウレタン結合を形成させて製造される。
従来ポリウレタンの生成に用いられているイソシ
アネートはすべて用いることが出来る。
本実施例に用いることのできるジイソシアナー
トとしては、例えば、トリレンジイソシアナート
(TDI)、4,4′−ジフエニルメタンジイソシアナ
ート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アナート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシ
アナート(NDI)、3,3′−ジメトキシ−4,
4′−ビフエニルジイソシアナート(DADI)、3,
3′−ジメチル−4,4′−ビフエニルジイソシアナ
ート(TODI)、フエニレンジイソシアナート
(PDI)、4,4′−ビフエニルジイソシアナート等
がある。
ポリエステル系ポリウレタンのポリオール成分
としては、例えば、両末端OHのポリ(エチレン
アジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポ
リ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,
5−ペンチレンアジペート)、ポリ(1,3−ブ
チレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネー
ト)、ポリ(2,3−ブチレンサクシネート)等
がある。これ以外にポリエステル系のポリウレタ
ンとして公知のものがすべて用いられるがカプロ
ラクトン系ポリエステル、ポリ炭酸エステルを用
いたものも含まれる。
ポリエステル系のポリウレタンは、弾性率の高
い、引裂強度の大きい、固いエラストマーを生成
するのに適しているので、つば部及び血液導入
用、排出用管の血液接触面の構成成分として好適
に用いられる。
血液チヤンバーには弾性特性、弾性回復特性及
び耐疲労特性が要求されるので、ポリエーテル系
ポリウレタンを積層成形するのが好適である。
ポリエーテル系ポリウレタンのポリエーテル部
としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ペンタメチレングリコール、ジ
グライム等を用いることができる。これら各分子
量のグリコール類をジイソシアナートと反応させ
て両末端OH基のプリポリマーとなし、これを両
末端ジイソシアナートの化合物と反応させても良
いし、上記各分子量のグリコール類とジイソシア
ナートとを反応させて両末端ジイソシアナートの
プレポリマーを作り、ジアミンやジアルコールを
エクステンダー(分子量増大剤)として反応させ
てポリウレタンを作つても良い。又、ポリエーテ
ル部分の多い、即ち軟らかいセグメント(二次転
移点の低いセグメント)としての両末端OHのポ
リウレタンプレポリマーを作り、一方、芳香族環
及び/又は対称的な分子構造を有するイソシアナ
ート末端のハードセグメントを作つて、これら両
者を互に結合させた、いわゆるセグメント−ポリ
ウレタンを用いても良い。
ポリエーテル系ポリウレタンのソフトセグメン
トの主成分はポリエチレングリコール又はポリプ
ロピレングリコールが主として用いられるが、こ
の場合のポリエチレングリコール又はポリプロピ
レングリコールの好ましい平均分子量は200〜
30000であり、更に好ましくは600〜20000である。
これらのポリウレタンを用いた積層成形には、
その機械的強度を増強する為に架橋処理を行なつ
ても良い。架橋剤としては、N,N,N′,N′−
テトラキス(2−ヒドロキシプロピルエチレンジ
アミン)4,4′−メチレン−ビス(2−クロロア
ニリン)、4,4′−ジアミノジフエニルメタン、
3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフエニル
メタンベンジデイン、3,3′−ジメチルベンジデ
イン、3,3′−ジメトキシベンジデイン、3,
3′−ジクロロベンジデイン、p−フエニレンジア
ミン等を用いることができる。
ポリウレタンの架橋は、上記のような架橋剤を
適当量混合して熱処理することにより行なうこと
ができる。この場合、架橋剤の割合は、全ポリウ
レタン成分量に対して0.01〜5重量%であるのが
好ましく、0.1〜3重量%が更に好ましい。又、
熱処理温度の好ましい範囲は60〜150℃であり、
更に好ましくは80〜120℃、更に一層好ましくは
80〜110℃である。
すでにのべたように本発明に用いられるポリウ
レタンを得るにはイソシアネートを2個以上の
OH基を含むポリオールと反応させるが、この反
応に用いられる典型的なポリエステルはエチレン
グリコール、ジエチレングリコールのようなグリ
コール又はトリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール等のような多価アルコールとア
ジピン酸、コハク酸等のような多価カルボン酸と
のエステル化によつてつくられる。
又ポリウレタンをつくるのに用いられるポリエ
ーテルは例えばアルキレンオキシドの重合により
又はアルキレンオキシドを公知の多価アルコール
と縮合させることによつて得られる。アルキレン
オキシドの例にはエチレンオキシド、1・2−プ
ロピレンオキシド、1・2−ブチレンオキシド及
び1・3−プロピレンオキシドが含まれる。多価
アルコールの例にはプロピレングリコール、グリ
セロール、トリメチロール、トリメチロールプロ
パン、1・2・6−ヘキサントリオール、ペンタ
エリスリトール等が含まれる。
本発明の血液ポンプの一例として第1図にもと
づきサツクタイプの人工心臓用血液ポンプを説明
すると、本発明は、血液導入管2と血液排出管3
をほぼ並行させて配設したつば部5、該つば部に
前記血液導入管2、排出管3に連通させてサツク
状の血液チヤンバー4が連設され、この血液チヤ
ンバーは、流体の導入、排出のためのポート6を
そなえた耐圧性のハウジング7内に気密に取納さ
れ、前記ハウジングの内壁と前記血液チヤンバー
の外壁及び前記つば部によつて形成される隔室の
圧力変化によつて、前記血液チヤンバーが圧縮、
膨脹を交互にくり返すことにより、前記血液導入
管内と前記血液排出管内に設置された弁8,8′、
が開閉して拍動流血液を送り出すようにした血液
ポンプである。
弁を内蔵する血液導入管と血液排出管は必ずし
も一体に成形されている必要はなく、弁8,8′
を夫々内蔵するチユーブ状の結合素子を、血液チ
ヤンバーに連通した血液導入管と血液排出管に接
続して血液ポンプを形成してもよい。
本発明における血液チヤンバーの軟質ポリ塩化
ビニル基質層の厚みは0.2mm〜1.5mmが好ましく、
更に好ましくは0.3mm〜1.2mm、最も好ましくは0.5
mm〜1.0mmであり、血液の導入管、排出管の部分
の厚みは好ましくは1.6mm以上5.0mm以下である。
血液チヤンバー部の厚みが0.2mmより薄いと、
この部分が外圧によつて圧縮されるときの圧縮形
態が一定せず血液チヤンバー内の血液の流れが拍
動毎に異なり、そのため、一定の態様で血液を吐
出することが出来なくなり血液チヤンバー内で凝
血が生じがちとなる。又逆に1.5mmより厚くする
と外圧によつて圧縮、膨脹するとき、動作タイミ
ングが遅延したり変形時間が長くのびたりするの
で適当な血液の拍出挙動が得られない。又、血液
の導入あるいは排出管の厚みが1.6mm以下では血
液の拍出、あるいは吸入の際、この部分にまで変
形が及び好ましくない。血液チヤンバーが圧縮、
膨脹をくり返す間、この血液導入、排出口は変形
しないことが望ましい。なぜならこの部分が血液
の拍出毎に変形すると、折曲の拍動流の拍動がこ
の部分の変形で吸収されて、所望の拍動流が得ら
れないからである。しかし余りにこの血液導入、
排出管が厚いと、たとえば肉厚5mm以上になると
取扱いが難かくなる。
このポリ塩化ビニル基体に積層成形されるポリ
ウレタンの厚みは1μm〜300μmであり、好まし
くは3μm〜200μmである。1μm以下では、塗布
不完全なところが生じるおそれがあり、300μm
を越えると、血液チヤンバーが外力によつて変形
するとき積層された2つの層の変形対応が異なる
ために2層の間で剥離がおこる可能性がある。
本実施例に用いられる逆止弁8,8′としては、
公知の或いは市販の弁を用いることができる。こ
のような公知の或いは市販の弁には、ボール型、
デイスク型、リーフレツト型、中心流型等があ
る。
本発明における血液ポンプにおいては血液チヤ
ンバー4の変形開始様態を常に一定に保つことが
必要である。換言すると、この血液チヤンバー4
を空気圧によつて外部から加圧した時、或いはこ
の血液チヤンバーの内部を減圧した時に、血液チ
ヤンバーの相対する内壁面が双方から内に向つて
変形してこれらが最初に接触する点の位置を規制
することが極めて重要なことを本発明者らは見出
した。この点について、第1図及び第3図Fを参
照して説明する。なお、この第3図Fは、血液チ
ヤンバーをその偏平な側面(以下、「広面積面」
と言う)に沿つて切つた縦断面図に相当する。
上述した血液チヤンバー4の最初の接触点は、
図示のように、血液チヤンバー4の底部からの全
高(中央部における)をL、広面積面の巾即ち血
液チヤンバー4の最大巾をDとした時、その高さ
方向即ち広面積面の縦の(血液導入管2、排出管
3内における血流方向に沿つた)中心線p上であ
つて、血液チヤンバー4の底部から0.2Lと0.45L
との間、好ましくは0.2Lと0.4Lとの間の高さ範囲
の任意の一点Oを中心とする半径0.15D、好まし
くは0.1D、更に好ましくは0.08Dの円の内部(図
中斜線で例示する部分)に存在することが必要で
ある。
血液チヤンバー4の内壁面が最初に接触する接
触点を上記の領域内に規制すると、この血液チヤ
ンバー4の変形挙動を長時間に亘つて常に一定化
することができる。逆に、最初の接触点が上記領
域からはずれた場合には、血液拍出挙動に微妙な
変化を生じ、この為、このような人工心臓を適用
した患者に対して重大な悪影響を及ぼす恐れがあ
る。
本発明者は、この点について鋭意検討した結
果、第1図に示すように、血液チヤンバー4を偏
平形状とし、その横断面における偏平率(無負荷
状態で測定した血液チヤンバー4の最大巾Dとこ
の最大巾方向に対して直角の方向における最大巾
dとの比)を所定の範囲に設定することが、血液
チヤンバー4の最初の接触点を前記領域内に規制
する為に極めて有効であることを見出した。即
ち、この為には、血液チヤンバー4の偏平率F
(D/d)を2.0≦F≦4.0、好ましくは2.1≦F≦
3.5、更に好ましくは2.2≦F≦3.0に設定するのが
有効である。血液チヤンバー4の横断面の偏平率
が上記の範囲にある時には、この血液チヤンバー
4の変形挙動が極めて安定なものとなる。
この偏平率が2.0より小さいと、血液チヤンバ
ー4の変形挙動が歪んだ状態で起ることがしばし
ば生じ、実用化の点で不安が見られる。例えば、
本実施例1のようなサツクタイプの空動式あるい
は流動式血液ポンプを用いる場合において、血液
チヤンバーが円筒形(即ち、偏平率1)の場合に
は、加圧によつてその血液チヤンバーのひしやげ
る様態が一定しないことが実験の結果明らかにな
つている。即ち、空気圧によつて血液チヤンバー
がひしやげる際、円筒形状の場合には、そのひし
やげ始めの位置が定まらず、又、血液チヤンバー
のひしやげに伴なう血液チヤンバーの容積変化の
挙動もその度毎に千差万別であり、更に、血液チ
ヤンバーの最小容積も加圧の度に異なつてしまう
という現象が頻発する。この為、このような構造
の人工心臓ではとうてい血液の拍出量や血圧曲線
を一定に保つことは覚つかない。
一方、血液チヤンバー4の偏平率が4.0より大
きいと、今度は逆に、ハウジング1内が減圧され
て血液チヤンバー4の容積が増加する時の膨脹挙
動が不安定になつてくる。
このように、血液チヤンバー4の広面積面の最
初の接触点を上記範囲内に特定すると、まずその
接触点で相対する内壁面が接触し、次いで接触面
が前記接触点を中心に拡大するように拡がつてゆ
く。これによつて、血液チヤンバー内には、いつ
も一定の血液の流れを再現性良く作り出すことが
でき、従つて、逆止弁8′を通じて各心拍毎に全
く同じ挙動で血液が拍出されるようになる。この
ように、いつも一定の血流を血流チヤンバー内で
作ることは、抗血栓性保持の為にも必要なことで
ある。
本発明の、ポリウレタンの薄膜を積層成形する
手段であるが、前記ポリウレタンを有機溶剤に溶
解してなる溶液を、前記血液ポンプの血液接触部
に塗布、浸漬、噴霧その他の手段で均一に接触せ
しめ、溶剤を蒸発又は水系凝固液で凝固、抽出す
るなどの手段で溶剤を除く。ここで重要なのは上
記有機溶剤がポリウレタンを溶かすだけでなく、
ポリ塩化ビニルの溶剤もしくは膨潤剤としての作
用をもつことが必要である。そうでない場合、ポ
リウレタンと軟質ポリ塩化ビニル基質層の間での
接着がよわく使用中に剥離する危険がある。殊に
人工心臓ポンプの如く心拍数が60−120回/分と
いう頻度で圧縮、膨脹をくり返す場合、ポリウレ
タン層とポリ塩化ビニル層との接着が弱いと容易
に剥離してしまう。この場合、ポリウレタン層が
弾性に富んでおり適度の伸度があると剥離がおこ
り難いし、かつ積層成形に際し、ポリウレタンと
ポリ塩化ビニルの共通溶剤を用いて両者を接触さ
せると接触面で両者が混り合い接着力が非常に強
固となる。このことは第4図dの電顕写真でみら
れる如く、共通溶剤を用いたときは明瞭な境界面
が観察されないほど一体になつていることがわか
る。
さて、このような溶剤は、後に水洗で完全に除
く必要があることからし、水溶性でなければなら
ない。このような条件を満たす溶剤の例として、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等がある。この中でも沸点の低いテトラ
ヒドロフラン、ジオキサンが溶剤除去がし易いの
で好ましい。これらの溶剤にポリウレタンの溶解
性に悪影響を及ぼさない程度に他の第3物質たと
えばエタノール、アセトン、メタノール、酢酸等
を存在させても差つかえない。
本発明に用いられる前記ポリウレタン溶液の濃
度は3%〜30%が用いられ、好ましくは6%〜20
%、更に好ましくは8%〜18%である。濃度が3
%より少ないと一定の厚みにポリウレタンを積層
するのに異常なデイツプ回数(塗布回数)を必要
とし、又30%より濃い場合はポリウレタン溶液の
安定性が悪くゲル化するほど好ましくない現象を
生じることがある。
本発明における血液ポンプ基質層のポリ塩化ビ
ニル部分は、すでに本発明者らが特願昭55−
175257号(特公昭62−2538号公報参照)で提案し
た如く生産性よく得られ、品質コントロールも容
易である。このため本発明に係る血液ポンプは効
率よく生産でき、これにポリウレタンの薄層を積
層成形することにより、充分実用的にその機能を
全うするだけの抗血栓性と心機能を備えたものと
なり、人工心臓用ポンプとして優れた効果を発揮
するものである。
本発明を以下実施例によつて説明するが、これ
はあくまで説明のためのものであつて決して本発
明の特許請求の範囲を限定するものではない。
実施例 1 公知の方法でポリ塩化ビニルプラスチゾルを原
料とし、デイツプ法で第2図に示す如き導管のつ
いたつば部を作成した。なお、導管部2及び3の
厚みは2.4mmであつた。本図のようにつば部の導
管部に弁取付用として環状突起部を設けておいて
もよいし、又、弁を取付けた導管素子をあとで結
合させるようにしたものでもよい。ここで前記結
合素子は必ずしも塩化ビニル重合体で構成される
必要はなく、たとえばエポキシ樹脂製であつてよ
い。このようにできたつば部5を筒状部9の外側
に丁度はめ込むように、予め用意された金属製の
成形用金型10に第3図Aに示すように配置す
る。この場合該金型10は筒状部9と液密にあわ
せられる。次にこの金型10に第3図Bに示すよ
うにポリ塩化ビニルプラスチゾル(たとえば日本
ゼオン(株)製ゼオン131A)を図中の破線で示した
部分まで加える。次に加温浴に浸漬する。この場
合の加温温度は80℃、処理時間は3分である。プ
ラスチゾルは金属金型に接した部分は、熱のため
にゲル化し、第3図Cに示すように一定の厚さに
ゲル層11が付着する。上蓋部に一体成形された
筒状部9の内側にもプラスチゾルが存在するが、
この部分のゾルは、上記筒状部の断熱効果のため
ゲル化しない。そのため、この部分のプラスチゾ
ルは第3図Dのペースト排出工程で自然に流下し
その整面効果のために血液チヤンバー(ポンプの
上蓋部以下の袋部)は全く段差のない、いわゆる
継目のないシームレスな自由表面に仕上げること
ができる。後、第3図Eに示すように加熱キユア
(190℃)を行なう。
このあと、冷却し第3図Fに示すように金型を
離型すると、導管を具えたつば部と血液チヤンバ
ー部は第1図に示すように見事に継目なしに一体
成形することができた。このように成形した血液
チヤンバー部は第1図に示す全高Lが60mmであ
り、最大幅Dが63mm、この最大幅Dに対して直角
方向における最大幅dが27mm、従つて血液チヤン
バーの偏平率D/d=2.3であつた。また、血液
チヤンバー部の膜厚は0.9mmとして軟質ポリ塩化
ビニル製の血液ポンプを製造し、以下の実施例に
用いた。
実施例 2 グツドリツチ社製のポリウレタン(エステン
5714)をテトラヒドロフランにとかし12%溶液と
し、実施例1で作つた軟質ポリ塩化ビニル製のポ
ンプ基質層の内部に満たし、直ちに傾斜してのぞ
く。この操作を2回くり返して前記ポリ塩化ビニ
ル製のポンプ内面にポリウレタンをコーテイング
した。これを真空乾燥して充分に溶剤を除き、所
定の弁座部にブジヨークシエリー弁を設置し血液
ポンプをつくつた。この場合に於てポリウレタン
層の厚みは27μmであつた。この血液ポンプを人
工心臓として用いて山羊を使つた動物実験を行つ
た。この結果、心機能として優秀で人工心臓とし
て充分使用に耐え、しかも1ケ月間の使用におい
て全くポンプ内に血栓を生成しなかつた。なを、
本実施例において、血液チヤンバーの相対向する
壁面の最初の接触点は血液チヤンバーの全高Lに
おける底部から12mm〜27mmの範囲で半径0.1Dす
なわち半径6.3mmの範囲内に存在していた。
なお、本実施例で用いた血液チヤンバー部の軟
質ポリ塩化ビニルとポリウレタンとの積層の状態
を第4図dに光学顕微鏡写真(50倍)で示すが、
層の界面が共通溶剤を用いたときはほとんどみら
れないほど接着は良好である。また、共通溶剤と
ならないヘキサンを用いて同様に積層した状態を
第4図bに示した。図にみられる如くポリ塩化ビ
ニル層とポリウレタン層に明確な境界がみられ
る。
実施例 3 日本エラストラン社製のポリウレタン、エラス
トランE−500をテトラヒドロフラン−ジオキサ
ン混合溶媒(2:1)に溶解し、実施例2と同様
にポリ塩化ビニル基質層の血液ポンプの血液接触
部にポリウレタンを3回コーテイングした。この
場合におけるポリウレタン層の厚みは60μmであ
つた。この方法によつて基質層のポリ塩化ビニル
とポリウレタン層とは、きれいに積層成形体とな
る。
このポンプの血栓性と心機能が優れていること
は山羊を使つた1ケ月の動物実験において、ポン
プ内部に血栓の生成が全くみられないことにより
証明された。
実施例 4 ポリウレタンとしてパラプレンP300(日本エラ
ストラン製)をジメチルアセトアミドに溶かして
12.5%溶液とし、この溶液を用いて実施例1の方
法で得た軟質ポリ塩化ビニル製の血液ポンプ基質
層の血液接触面に、実施例2の方法によつてポリ
ウレタンを積層成形した。ポリウレタン層の厚み
は30μmであつた。充分真空でジメチルアセトア
ミドを除いたのち、更に水洗して残留したジメチ
ルアセトアミドを除去し弁を所定の場所に設置し
て人工心臓を組立てた。山羊による1月間の動物
実験の結果、人工心臓として充分に実用に耐える
抗血栓性と心機能を備えていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
第1図は人工心臓用血液ポンプの分解斜視図で
あり、第2図はつば部の斜視図であり、第3図A
〜Fは人工心臓血液ポンプの成形過程を示す説明
図であり、第4図は軟質ポリ塩化ビニルとポリウ
レタンとの積層状態を示す光学顕微鏡写真(倍率
50倍)である。 図中、 符号2は血液導入管、3は血液排出管、4は血液
チヤンバー、5はつば部、6は流体の導入・排出
用ポート、7はハウジング、8,8′は弁、10
は金型を各示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 1.6乃至5mmの厚みからなる血液導入管及び
    血液排出管をほぼ並行させて配設したつば部、該
    つば部に前記血液導入管及び血液排出管に連通さ
    せて連設した血液チヤンバー及び該血液チヤンバ
    ーを収納し前記つば部に取着させたハウジングか
    ら構成され、前記血液チヤンバーが容積を縮小さ
    せる際に、前記血液チヤンバーの互に対向する内
    壁面の最初に接触する接触点を前記血液チヤンバ
    ーの底部から0.2Lと0.45Lとの間(L:血液チヤ
    ンバーの全高)の高さ範囲内であつて、前記血液
    チヤンバーの広面積面の縦の中心線上の任意の一
    点を中心とする半径0.15D(D:血液チヤンバー
    の最大巾)の円形領域内に存在させるように形成
    され、かつ少なくとも前記血液チヤンバーが、可
    塑剤を含有するポリ塩化ビニル層とポリウレタン
    層とより構成され、その血液接触面がポリウレタ
    ン層となるように0.2乃至1.5mm厚のポリ塩化ビニ
    ル層に1μm乃至300μmのポリウレタン層が一体
    に積層され成形されることを特徴とする血液ポン
    プ。
JP56134562A 1981-08-27 1981-08-27 血液ポンプ Granted JPS5836560A (ja)

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