JPH0317063Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は電磁連結装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種の電磁連結装置は第２図に示され
るように構成されていた。第２図において、１は
被動軸（図示せず）に接続された中空の軸、２は
該軸１に固着された回転伝達盤たる断面コ字状の
ロータ、３は該ロータの側壁に形成された磁気遮
断用の窓、４はロータ２に隣接して軸１に相対回
転可能に遊嵌された駆動回転部材、４ａは該駆動
回転部材４を構成するハブ部、４ｂは該ハブ部４
ａの外周面に形成され駆動源（図示せず）からの
駆動力を受ける歯車、４ｃはロータ２とギヤツプ
ｇをあけて対向するようにハブ４ａの端面に板ば
ね４ｄを介して取付けられたアマチユア、５はロ
ータ２の側方に配置された励磁装置であつて、メ
タルスリーブ６を介して軸１に相対回転可能に支
持された環状のヨーク５ａ、このヨーク５ａに形
成された溝部５ｂ、この溝部５ｂ内に装着された
励磁コイル５ｃ、該励磁コイル５ｃを巻装したボ
ビン５ｄから構成された励磁装置、７はロータ２
とヨー５ａとの間に挿入されたスペーサ、８，９
はそれぞれハブ４ａおよびヨーク５ａを軸方向に
移動不能にすべく軸１に固着された止め輪を示し
ている。

このような構成の従来の電磁連結装置は次のよ
うに動作する。すなわち、励磁コイル５ｃが付勢
されると、第２図中に示されるように磁束Φが生
じて磁気回路が形成され、アマチユア４ｃは板ば
ね４ｄの弾性力に抗してロータ２に磁気吸着され
る。これにより、駆動源（図示せず）の回転力は
歯車４ｂ、ハブ部４ａ、板ばね４ｄ、アマチユア
４ｃ、ロータ２および軸１を介して被動軸（図示
せず）に伝達され、被動軸が回転される。

また、励磁コイル５ｃの消勢時には磁束Φが消
失し、アマチユア４ｃは板ばね４ｄの弾性力によ
つてロータ２から離間し、ギヤツプｇを保持して
対向するため駆動回転部材４と回転伝達盤たるロ
ータ２との連結は解除され、回転力の伝達経路は
遮断される。

なお、励磁コイル５ｃの付勢時にはヨーク５ａ
もロータ２に磁気吸引されるが、スペーサ７によ
つて軸方向に分離され且つヨーク５ａとロータ２
とはそれぞれスペーサ７に摺接して相対回転を可
能としている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述のような従来の電磁連結装
置では、スペーサ７がロータ２、ヨーク５ａ、軸
１に対してすべて摺動可能とされているため、ス
ペーサ７の両側面および内周面はその摺接によつ
て著しく摩耗する。特に、ヨーク５ａとスペーサ
７との摺接部は構造上摺接面積が小さくその部分
の面圧は大きくなるため摩耗は大となる。そのた
めこの摩耗が促進されると、スペーサ７の肉厚が
薄くなり、ロータ２とヨーク５ａとの距離が短く
なつてヨーク５ａの連れ回りトルクが増大すると
いう欠点があつた。そして、このような摩耗によ
り発生するスペーサの摩耗粉がロータ２の窓３を
通つてアマチユア４ｃとロータ２との連結面に侵
入し、トルク低下を引き起すという問題があつ
た。

また、スペーサ７の摩耗が一層進んで、スペー
サ７が消滅してしまうと、ロータ２とヨーク５ａ
が直接磁気吸着し相対回転不能になるという問題
があつた。

本考案の目的は、かかる従来の問題点を解決す
るためになされたもので、スペーサの異常摩耗お
よびトルク低下を防止し、信頼性が高く且つ生産
性に優れた電磁連結装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の電磁連結装置は、軸と、該軸上に遊嵌
された駆動回転部材と、前記軸に固着された回転
伝達盤と、前記駆動回転部材と前記回転伝達盤と
を連結制御すべく前記回転伝達盤の側方に配置さ
れた励磁装置であつて励磁コイル、該励磁コイル
を巻装するボビンおよび該ボビンを収納するヨー
クからなる励磁装置と、前記ヨークと前記回転伝
達盤とを軸方向に離隔すべく前記ボビンから一体
的に伸長して前記ヨークと前記回転伝達盤との間
に配置されたスペーサとから構成される。

（作 用） このような本考案の電磁連結装置によると、励
磁コイルが付勢されると磁束が生じて磁気回路が
形成され回転伝達盤に駆動回転部材が吸着連結さ
れる。励磁コイルが消勢されたときには磁束が消
失し、駆動回転部材が回転伝達盤から離れその吸
着連結を解除する。また、ヨークと回転伝達盤と
の間に配置されたスペーサは励磁コイルを巻装す
るボビンに一体的に形成されていることからヨー
クと共に不動状態にあり、その摺接面は回転伝達
盤側であるので摩耗の減少が計れる。

（実施例） 以下、本考案の電磁連結装置を添付図面に示さ
れた好適な実施例について更に詳細に説明する。

第１図には本考案の一実施例に係る電磁連結装
置１０が示されている。この実施例の電磁連結装
置１０を示す第１図において第２図に示された従
来の電磁連結装置の構成部分と同一若しくは相当
する部分は同一の参照符号を付してその説明を省
略する。

この実施例における電磁連結装置１０はロータ
２の側方に配置された励磁装置１１を含み、該励
磁装置１１は、メタルスリーブ６を介して軸１に
遊嵌されて軸１に対して相対回転可能に支持され
た環状のヨーク１１ａ、このヨーク１１ａに形成
された溝部１１ｂ、この溝部１１ｂ内に装着され
た励磁コイル１１ｃ、およびこの励磁コイル１１
ｃを巻装したボビン１１ｄから構成されている。
このボビン１１ｄはヨーク１１ａのロータ側端部
においてヨークとロータとの間に介在するように
環状の円盤部を一体的に形成している。この円盤
部がヨーク１１ａとロータ２とを離隔するスペー
サ１１ｅとなる。すなわち、このスペーサ１１ｅ
は中心部に軸１が遊挿し得る大きな開口部を有し
その外周縁がヨーク１１ａのロータ側端部におい
てボビン１１ｄに連続している。このボビン１１
ｄは樹脂等で形成されており、従つてこれと一体
なスペーサ１１ｅも同様な材料で形成されてい
る。

上述のように構成された本実施例の電磁連結装
置１０において、励磁コイル１１ｃの付勢時には
ヨーク１１ａもロータ２に磁気吸引されるが、ヨ
ーク１１ａに固着されたボビン１１ｄに一体的に
形成されたスペーサ１１ｅによつて軸方向に分離
（ヨークのロータへの直接的接触が生じない）さ
れ、ロータ２はスペーサ１１ｅと摺接する。とこ
ろで、スペーサ１１ｅはボビン１１ｄに一体であ
るため、ヨーク１１ａとスペーサ１１ｅとの摺接
はなく、またスペーサ１１ｅは径方向にも拘束さ
れているため中心開口部内周縁と軸１の外周面と
の摺接もない。このため、スペーサ１１ｅについ
てみると、その摺接個所はロータ２に対向する側
面だけとなる。しかし、ロータ２とスペーサ１１
ｅとの摺接面は、その面積を大きくそとることが
できるため面圧を低くすることができる。その結
果、スペーサ１１ｅの摩耗は少なく抑えられ、電
磁連結装置の長期間の使用に耐えると共に摩耗粉
の連結面への侵入によるトルクの低下も防止でき
る。

また、スペーサ１１ｅは、ボビン１ｄと一体的
に形成されるため成形加工等によつて同時形成が
可能で、従来、別部品として製造されていたスペ
ーサは不要となり、実質的には部品点数が減少
し、更に作業工程も簡略化される。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の電磁連結装置に
よれば、ヨークとロータとの間のスペーサをボビ
ンと一体的に形成したので、スペーサの摩耗を少
なく抑えることができ、ヨーク、ロータの連れ回
りトルクの増大およびヨークとロータとの固着等
が完全に防止できる。またスペーサの摩耗粉の発
生も少なくなるためトルク低下も防止できる等、
信頼性が高く、長期間の使用に耐え、しかも生産
性に優れた電磁連結装置を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る電磁連結装置
を中心軸線より上半分を破断して示す正面図、第
２図は従来の電磁連結装置を示す第１図と同様な
正面図である。 １…軸、２…回転伝達盤（ロータ）、４…駆動
回転部材、４ａ…ハブ、４ｂ…歯車、４ｃ…アマ
チユア、４ｄ…板ばね、１０…電磁連結装置、１
１…励磁装置、１１ａ…ヨーク、１１ｃ…励磁コ
イル、１１ｄ…ボビン、１１ｅ…スペーサ。 なお、図中同一符号は同一部分又は相当する部
分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸と、該軸上に遊嵌された駆動回転部材と、前
   記軸に固着された回転伝達盤と、前記駆動回転部
   材と前記回転伝達盤とを連結制御すべく前記回転
   伝達盤の側方に配置された励磁装置であつて励磁
   コイル、該励磁コイルを巻装するボビンおよび該
   ボビンを収納するヨークからなる励磁装置と、前
   記ヨークと前記回転伝達盤とを軸方向に離隔すべ
   く前記ボビンから一体的に伸長して前記ヨークと
   前記回転伝達盤との間に配置されたスペーサとを
   含む電磁連結装置。