JPH0316740Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は農用トラクタに関し、詳しくは、エン
ジン、ラジエータ夫々に冷却風を供給するための
技術に関するものである。

〔従来の技術〕 従来からの農用トラクタでは運転座席の前方に
配置されたエンジンボンネツト内の前部にラジエ
ータとラジエータフアンとを設け、エンジンの稼
動時にはボンネツト前部から吸入した冷却風をラ
ジエータの側からエンジンの方向に送るよう、冷
却風の流動方向が設定されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このようにボンネツトの前部から冷却
風を吸入する構造では、例えば、この農用トラク
タを芝刈作業に用いる場合等、塵埃が浮遊してい
る環境で作業を行う場合には、地表面近くで浮遊
している塵埃までボンネツト内部に吸入しやすい
ため、この塵埃がラジエータ前面の防塵網等に吸
い付けられる結果、冷却性能を低下させてしまう
こともある。

そして、このように塵埃をボンネツト内に吸入
してしまうと、塵埃を取除くための作業を特別に
行う必要を生ずることになり、又、前述のように
ボンネツト前部から冷却風を吸入する構造では高
温の排風が操縦者の側に送り出されるため作業環
境を悪化させることに繋がるものとなつていた。

本考案の目的は合理的な改良により、塵埃の浮
遊する環境で作業を行う場合でも、ラジエータの
冷却性能を低下させることなく、しかも、操縦者
の作業環境を悪化させることのない農用トラクタ
を構成する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は、運転座席の前方にエンジンを
設けると共に、前記エンジンと運転座席との間に
エンジン冷却用フアン及びラジエータを設け、か
つ、前記ラジエータの前記運転座席側に、前記運
転座席側を向いた面及びその面の左右両端から前
方に延びる両横側面夫々に防塵網を付設した箱形
吸気部を設け、これら防塵網を介して吸入した箱
形吸気部からの冷却風をラジエータに送るよう、
前記エンジン冷却用フアンによる冷却風の流動方
向を設定してある点にあり、その作用、及び、効
果は次の通りである。

〔作用〕

つまり、この構成では箱形吸気部の三面に設け
た防塵網を介して冷却風が吸入されるので、夫々
の防塵網を流通する冷却風の風量の低下を図つ
て、防塵網の内外面における風の圧力差を小さく
できると共に、この部位に防塵網を設けているの
で、地表面近くで浮遊している塵埃は、運転座
席、あるいは、運転座席と箱形吸気部との間に形
成されるステツプ等によつて遮られる結果、防塵
網に対して直接吸い寄せられることが少なく、し
かも、この構成では排風が操縦者の側に送られる
ことがない。

〔考案の効果〕

従つて、冷却風の吸入面積を大きく設定し、か
つ、冷却風の流動方向を前方に向けるという改良
によつて、塵埃が浮遊する環境で作業を行う場合
でも、防塵網には塵埃が吸い付けられ難くなるこ
とからラジエータのみならずエンジンに供給され
る風量を減ずることがなくなり、冷却性能を低下
させず、しかも、操縦者の作業環境も悪化させる
ことの無い農用トラクタが構成されたのである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

フレーム１の前後夫々に車輪２，３を軸架して
走行機体を構成し、その走行機体の前部にエンジ
ン４を塔載すると共に後方に運転座席５を設け、
更に、中間にハンドル６を設け、かつ、フレーム
１の下方に、前後車輪２，３間に位置させて草刈
装置７を設け、前記エンジン４の前部からベルト
式伝動機構８を介して草刈装置７に伝動すると共
に、エンジン４の後部から中間伝動軸９及び油圧
式変速装置１０を介して後部ミツシヨンケース１
１に伝動するように構成し、草刈用トラクタを構
成してある。

前記エンジン４の後部にエンジン冷却用フアン
１２及びラジエータ１３を設け、機体後方から前
方に向かつてエンジン冷却風を吸引するように構
成し、かつ、エンジン４の前部上方にエクアリー
ナ１４を設けると共に、そこへの吸気口１５をハ
ンドル６に近い側に設け、更に、エンジン４の前
部にマフラー１６を設けると共に、その排気口１
７をボンネツト１８の前面に設けてある。

前記油圧式変速装置１０の前部に位置させて、
中間伝動軸９に一体回転自在にフアン１９を取付
け、油圧式変速装置１０を冷却するようにしてあ
る。

油圧式変速装置１０及びフアン１９の上部から
両横側方を覆う状態で、後車輪３，３に対するフ
エンダー部２０ａ，２０ａ及び左右ステツプ部２
０ｂ，２０ｂを一体形成した上部カバー２０を取
付けてある。

前記フレーム１は、左右一対のチヤンネル状枠
体１ａ，１ａで構成され、前記草刈装置７の上方
に位置させると共に前端側をラジエータ１３の後
部に付設された防塵網１３ａの下端近くに位置さ
せた状態で、左右枠体１ａ，１ａにわたつて遮蔽
カバー２１を取付け、かつ、遮蔽カバー２１の後
端と油圧式変速装置１０との間に塵埃除去用の隙
間２２を形成してある。

前記ラジエータ１３は、ボンネツト１８内の後
端側に設けられ、かつ、ラジエータ１３の外周部
の両横側部及び上部夫々に防熱板２３，２３，２
４を付設し、かつ、防熱板２３，２３，２４夫々
のボンネツト１８内面と接触する外周縁にスポン
ジ２５を取付けてある。

前記上側の防熱板２４と防塵網１３ａが一体連
結されると共に、防塵網１３ａの下端側から後方
に突出する状態で、防塵網１３ａの下部に付着滞
留する塵埃を受止めさせる受け皿２６を設け、か
つ、前記防塵網１３ａを上下方向に挿脱自在に取
付けてあり、付着塵埃の除去のために防塵網１３
ａを抜き出す際に、防塵網１３ａに付着した塵埃
が落下しても受け皿２６に受け止めさせ、滞留し
た塵埃と共に容易に取出せるように構成してあ
る。

前記ラジエータ１３及び防熱板２３，２３，２
４の後方に箱形吸気部２７を設け、その箱形吸気
部２７の上部に計器パネル２８を取付けると共
に、箱形吸気部２７の後面、及び、その両端夫々
から前方に連なる両横側面夫々に防塵網２９…を
付設してある。

前記遮蔽カバー２１を設けるに、前記中間伝動
軸９よりも下方に位置させて、カバー２１の横一
側縁を枠体１ａ，１ａの一方に、機体前後方向軸
芯Ｐ周りで揺動自在に枢支連結し、そして、他方
の枠体１ａに、カバー２１の遊端を弾性嵌着する
前後一対の弾性保持部３０，３０を付設し、か
つ、カバー２１の遊端側に連結した開閉操作ロツ
ド３１を、箱形吸気部２７を貫通して上方に突出
させてあり、ロツド３１の押引き操作により、遮
蔽カバー２１を揺動させ、カバー２１に滞留した
塵埃を流下除去できるように構成してある。

フレーム１の前部に、機体左右向き軸芯Ｑ周り
で揺動自在にボンネツト１８が枢支連結され、そ
して、ボンネツト１８の後端の左右夫々に、係止
金具３２を係脱する係止部３３を付設形成してあ
る。

枠体１ａ，１ａ夫々の箱形吸気部２７の前端部
相当箇所近くに前記係止金具３２をバネ３４を介
して取付け、かつ、前記バネ３４を覆うようにパ
イプ３５を前記フレーム１に溶接により一体連設
してあり、ボンネツト１８の閉じ状態では、係止
金具３２，３２夫々を引つ張り出して係止部３３
に係止連結し、そして、ボンネツト１８の開放時
に、前記係止金具３２を、その一部をパイプ３５
内に入れ込ませた状態で固定させ、エンジン４等
に対する保守点検時に係止金具３２，３２がブラ
ついて、他物に引つ掛かることを防止するように
構成してある。

前記ボンネツト１８の前部に、前照灯３６，３
６を取付けると共に排気グリル３７…を形成した
取付板３８がボルト３９…によるステー３８ａ，
１８ａどうしの連結によつて取付けられている。
取付板３８において、それに連設したステー３８
ａ…夫々にナツト４０を溶接すると共に取付板３
８の横側内面と、ナツト４０及びステー３８ａに
よつて形成される空間を利用して、前記箱形吸気
部２７に設けられたバツテリー４１及び計器パネ
ル２８上のスイツチ夫々と前記前照灯３６，３６
とを接続するための電気配線４２，４２を集束す
るワイヤハーネス４３が挿通保持されている。

〔別実施例〕

本考案は、草刈用トラクタに限らず、各種の農
用トラクタに適用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る農用トラクタの実施例を示
し、第１図は一部切欠全体側面図、第２図は要部
の斜視図、第３図は要部の一部切欠背面図、第４
図はボンネツト固定部を示す一部切欠正面図、第
５図はボンネツトの取付板の背面図、第６図は第
５図の要部の一部切欠平面図である。 ４……エンジン、５……運転座席、１２……エ
ンジン冷却用フアン、１３……ラジエータ、２７
……箱形吸気部、２９……防塵網。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 運転座席５の前方にエンジン４を設けると共
   に、前記エンジン４と運転座席５との間にエンジ
   ン冷却用フアン１２及びラジエータ１３を設け、
   かつ、前記ラジエータ１３の前記運転座席５側
   に、前記運転座席５側を向いた面及びその面の左
   右両端から前方に延びる両横側面夫々に防塵網２
   ９を付設した箱形吸気部２７を設け、これら防塵
   網２９を介して吸入した箱形吸気部２７からの冷
   却風をラジエータ１３に送るよう、前記エンジン
   冷却用フアン１２による冷却風の流動方向を設定
   してある農用トラクタ。