JPH0315086Y2 - - Google Patents

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JPH0315086Y2
JPH0315086Y2 JP828286U JP828286U JPH0315086Y2 JP H0315086 Y2 JPH0315086 Y2 JP H0315086Y2 JP 828286 U JP828286 U JP 828286U JP 828286 U JP828286 U JP 828286U JP H0315086 Y2 JPH0315086 Y2 JP H0315086Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
産業上の利用分野 本考案はテニス、バトミントン、スカツシユな
どのラケツトに張設されるガツトや釣糸などに使
用されるストリングに関するものである。 従来の技術 テニスなどのラケツトに張設されるストリング
としては、従来の天然シープ、鯨筋に代り、現在
ではポリアミド、ポリエステルなどの合成高分子
を素材とするストリングが大部分を占めている
が、その耐久性において経糸、緯糸の摩擦による
切断が問題となつている。そしてこの切断は次の
２つの原因によるものと考えられている。 １ ラケツトにストリングを張設するとき、経糸
を張つた後、緯糸を張るのに急激に緯糸を引張
ることにより経糸にＵ字形に緯糸による切れ込
みが生じ、ときには、経糸の直径の約半分も傷
が入ることがある。この状態でプレイすると短
時間で経糸が切断する。 ２ 代球時にラケツトを横振りにする打ち方が多
いが、この場合には経糸が目ずれして緯糸で摩
擦を受け易く、このため経糸に切り傷が入り易
い。そして経糸の同一部分の損傷により経糸が
切断する。 そこで従来はストリング表面に耐摩耗剤とし
てシリコンオイルやワツクスなどを塗布した
り、あるいは溶液コーテイングや溶融コーテイ
ングによる表面樹脂加工を施し、その上から耐
摩耗剤を塗布したりしている。 考案が解決しようとする問題点 ところでプレイ中の打球による摩擦は瞬間的か
つ強力的なものであるために、そのときに発生す
る摩擦熱は静電気発生とともに瞬間的にかなりの
ものと見られる。このため、ストリング表面に局
部的に溶融が起こり、一打球毎にテニスコート表
面の微細な砂やごみ状物を球がストリング表面に
運び、またストリング表面の耐摩耗剤を球が打球
毎に取り去ることによりストリングの摩耗は促進
されていく。ストリングの切断防止のための耐久
性の向上は如何にストリング表面の耐摩擦性を向
上させ、摩耗を防止するかにかかつており、スト
リング表面の摩擦係数が小さくなるように平滑性
に優れた高融点の樹脂を使用することによりその
効果は向上するものであるが、テニスストリング
の主たる素材として使用されているポリアミドに
対して接着性が良くて、しかも高融点であるよう
な樹脂はなく、ストリング表面の耐摩耗性の向上
についての改良は困難であつた。実公昭59−
25415号公報に記載の考案はストリング表層部に
金属粉末を混入しているが、金属粒子が分散状態
であつてストリング表面に均一に付着しておら
ず、耐摩耗性の向上に問題がある。 本考案はこのような問題点を解決するもので、
表面に、優れた耐摩耗性を備えたストリングを提
供することを目的とするものである。 問題点を解決するための手段 この問題点を解決するために本考案は、合成高
分子を素材とするストリング表面に金属被膜を形
成したものである。 作 用 この構成により、ストリング表面の融点が非常
に高くなり、耐摩耗性の向上が図れる。 実施例 以下、本考案の実施例について、図面に基づき
説明する。 先ず第１図において、１は下地となるストリン
グで、その素材はポリエステルやポリアミドなど
が主体で、その他フロロカーボン、アラミド、ポ
リオレフインなどの合成高分子繊維が使用され
る。またこのストリング１としてはモノフイラメ
ントストリングを使用する。２はこのような構成
のストリング１の表面に設けられた金属被膜であ
る。また、第２図に示すように、ストリング１と
してモノフイラメントまたはマルチフイラメント
で作られた芯糸３の周りをモノフイラメントまた
はマルチフイラメントから成る外周糸４で覆つた
ストリングを使用することも可能で、このストリ
ング１の表面に金属被膜２を形成する。 金属被膜２をストリング１の表面に形成する方
法としては金属真空蒸着による方法と化学メツキ
による方法があり、以下これらの方法について述
べる。 Γ 金属真空蒸着成形方法 先ず前記ストリング１を必要に応じ真空乾燥し
た後、真空蒸着機中に設置する。この準備として
ストリングを整経機にてビームに巻き、これを送
りビームとする。ストリングが蒸着ゾーンを通る
ときにストリングは僅かに回転し、蒸着の金属付
着がより均一になるようにビーム巻取前のボビン
を回転し、ストリングに５〜10T／Ｍの撚りを与
えておき、送りビームに巻取り、蒸着ゾーンを通
り引取ビームに向かうときにストリングが回転を
しながら通過するようにして蒸着成形を行なう。
この成形時における真空度は２×10-4mmHg程
度であり、蒸着に使用される金属としてはAl，
Cr，Cu，Ni，Ti，Ag，Auなどであり、その内
Al，Cuなどは熱伝導性が良いので摩擦熱を蓄積
せず、耐熱性、耐帯電性であり有効である。ま
た、金属被膜２の厚さは1000Å以下の場合が多
く、必要に応じて約100Åの場合もある。この方
法によれば下地となるストリング１を乾燥状態に
して金属被膜を形成するので、成形後ストリング
が吸湿して強度低下を来たすようなことがない。
特にストリング１がポリアミドで作られている場
合は非常に効果がある。 Γ 化学メツキ法 この方法による場合、ストリング１の素材とな
るポリエステルモノフイラメントは固有粘度0.8
のものを使用し、末端カルボキシル基が90のもの
を使用した。メツキ方法は脱脂、増感、活性化を
行ない、Ni，Cr，Cu，Coなどの金属を付着させ
る。この方法では蒸着による方法よりも厚い金属
被膜を形成でき、約1μ（10000Å）に成形できる
が、必要に応じて数μの厚さも可能である。上記
真空蒸着による方法と化学メツキによる方法にお
いて、着色を要するときは着色剤の添加された樹
脂溶液を金属被膜上にコートすれば良い。また、
耐摩耗性ならびに平滑性向上のために、金属被膜
の上に平滑剤をコートするようにしても良い。 次に上記の方法にて金属膜が形成されたストリ
ングと金属被膜を有さないストリングについて、
摩擦力の測定を行なつた。なお、試料として、Ａ
はポリエステルモノフイラメントのストリング
を、Ｂはポリアミドを素材とし、φ1.0mmの芯糸に
φ0.16mmの巻糸を22本スパイラル状に巻付けたス
トリングを使用する。また、これらＡ，Ｂのスト
リングに対して、金属被膜なしのもの（Ａ−１，
Ｂ−１）、Alを使用して厚さ0.1μに真空蒸着した
もの（Ａ−２，Ｂ−２），Niを使用して厚さ1μに
化学メツキしたもの（Ａ−３，Ｂ−３）を用意し
た。これらの試料の摩擦力は次表の通りである。
【表】
【表】 摩擦力の測定は第３図に示す方法で行なつた。
第３図において、まず前後両端部上面に溝５と突
条部６を適当間隔おきに有する台盤７上において
溝５内および突条部６上で前後間にそれぞれスト
リング８…を11本張設する。この各ストリング８
に対して直交するようにストリング９を位置せし
め、このストリング９を前記溝５内に位置するス
トリング８の下を通らせ、突条部６上のストリン
グ８の上を通らせる。前記溝５の底面と突条部６
の上面との高低差を５mmとし、また前記ストリン
グ８の張設長さを20cmとする。また、前記各スト
リング８の張力は70ポンドでウエイトシヤフトな
どにより調整し、前記ストリング９の一端に３Kg
のウエイト１０を取り付けて荷重を掛け、他端側
をモータ１１に取り付けたアーム１２の先端に途
中にカウンター１３を介在させて連結しておく。
この状態でモータ１１によりアーム１２を１回／
秒で回転させてストリング９を振幅20cmで引張動
作を繰り返す。このようにしてストリング９とス
トリング８を摩擦させ、ストリング８が１本でも
切れたときの引張回数を読む。 考案の効果 以上のように本考案によれば次のような効果が
得られる。 １ ストリングの表面が従来の合成高分子から金
属に代わることにより、表面の融点が格段に高
くなり、耐摩耗性が飛躍的に向上する。 ２ 従来のストリング表面の保護被膜としてオー
バーレイする樹脂の厚さは20〜30μであるが、
金属被膜はそれの1/10〜1/1000程度に薄くする
ことができ、耐摩耗性の効果も樹脂に大きく勝
り、ストリングの最近の課題であるスリム化、
軽量化に有効である。 ３ 従来のストリング表面の保護被膜としての樹
脂層は分子配列的に無配向であるためストリン
グへの強度寄与は皆無であるが、金属被膜は強
度寄与が存在する。 ４ 金属被膜は光線を完全に遮断するため、スト
リング主素材の合成高分子の紫外線劣化を完全
に保護することができる。 ５ 金属被膜は合成高分子よりも硬度が高いの
で、切断初期の微細な傷が入りにくい。 ６ 金属被膜は厚さが非常に薄いもので良く、下
地のストリング表面の模様的な状態をそのまま
表現できる。特にモノフイラメントストリング
の場合、異形断面の形状をそのまま表現でき
る。これに対し従来の樹脂被膜の場合である
と、下地のストリング表面の凹部が樹脂で埋め
られ、でき上がつたものがどうしても円形に近
いものとなる ７ 金属被膜は厚さが非常に薄いもので良いの
で、フレキシビリテイは充分にあり、膜厚を変
えることにより硬さの調節もできる。 ８ 本考案によるストリングはテニス、バトミン
トン、スカツシユなどのラケツトに張設される
ガツトの他、釣糸などとして多用途に使用する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
第１図および第２図は本考案の第１および第２
実施例におけるストリングの拡大断面図、第３図
は摩擦力測定方法を示す斜視図である。 １……ストリング、２……金属被膜。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 合成高分子を素材とするストリング表面に金属
    被膜を形成したストリング。
JP828286U 1986-01-23 1986-01-23 Expired JPH0315086Y2 (ja)

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