JPH031461B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、広幅の建築用板の中間をボルト固着
した構造であつてもそのボルトが外部に露出せ
ず、外観が極めて優美にでき、そのボルトの耐久
性を増加させ、水密性（雨仕舞）を良好にできる
建築用板の中間取付構造に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

既に出願人は、隣接する建築用板相互を嵌合し
て葺成する屋根または壁等の外囲体を良好なる施
工性等の面から種々研究、開発している。ところ
で、その建築用板の幅が狭い場合には、中間部の
強度性は略確保できるが、その狭い幅の建築用板
にて屋根または壁等の外囲体を施工すると、嵌合
箇所が多くなり、その嵌合取付施工が面倒となる
のみならず、その建築用板自体の働き幅の割合が
少なく、ひいてはその外囲体の施工費が割高にな
る不都合が生じている。そこで、その建築用板の
働き幅の割合を高めるために広幅にすると、今度
は強い風圧（負圧）が加わると、その中間部が特
に弱くなると共に板鳴現象が発生する等の欠点が
あつた。それでは、その建築用板の中間部をボル
ト等にて固着すると、そのボルト等が露出し、該
ボルトが早期に腐蝕し、外観が悪くなるのみなら
ず、ボルトの耐久性も低減し、且つそのボルト箇
所から雨水が浸入する等の欠点があつた。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本発明は、主板の中間に膨出条を設け、
該膨出条の略中央を蟻形溝部として屈曲形成した
長尺または適宜の長さの建築用板を構造材に載置
し、その蟻形溝部の底片をボルトにて構造材に固
着し、その蟻形溝部内に両脚部が開いた断面略門
形状の長尺のキヤツプ材を挿入嵌合したり、或い
は前記構成において両脚部の下方を外方に開か
せ、且つ両脚部の中間に開放側が互いに外方を向
く凹部を形成した断面略門形状の長尺のキヤツプ
材を前記蟻形溝部内に挿入嵌合したことにより、
広幅の建築用板の中間をボルト固着した構造であ
つてもそのボルトが外部に露出せず、外観が極め
て優美にでき、そのボルトの耐久性を増加させ、
水密性（雨仕舞）を良好にでき、前記の欠点等を
解消したものである。

〔実施例〕

まず、第１発明について説明する。

第１発明は、第３図に示すように、キヤツプ材
Ｂに凹部９，９を形成しないものを使用した建築
用板Ａの取付構造であり、また、第９図に示した
建築用板Ａは、第１発明、第２発明に共用される
構成部材である。また、他の構成部材、即ち、第
１０図乃至第１３図の嵌合構造も共用されるた
め、それらの部材及び嵌合構造について説明す
る。

１は主板で、成形前は広幅の平坦状をなし、該
主板１の中間に１（図面参照）乃至複数の略台形
状の膨出条２が膨出形成され、該膨出条２の略中
央に蟻形溝部３が屈曲形成されている。具体的に
は、その膨出条２の上面の略中央箇所に下方が広
がる断面Ｕ字状の蟻形溝部３が形成され、該蟻形
溝部３の底片３ａは主板１と同等平面状になるよ
うに形成され、且つその両側の傾斜片３ｂ，３ｂ
は上方にゆくに従つて次第に窄まるように傾斜状
に形成されている。また、その主板１に第９図に
示すような扁平突状を形成することもある。その
主板１の一側（第９図において右側）には被嵌合
部４が、且つ主板１の他側（第９図において左
側）には嵌合部５が夫々屈曲形成されている。即
ち、その被嵌合部４の具体的構成は、主板１の一
側より上方に屈曲し、これに続いて断面が略乙字
状に屈曲され、この上側を断面コ字状の突部４ａ
とし、その下側を断面逆コ字状の凹溝４ｂとして
形成されている。その突部４ａの下片、即ち、凹
溝４ｂの上片は内方に向かつて下り勾配をなして
いる。また、その乙字状にした頂部も内方に向か
つて下り勾配に形成されている。その凹溝４ｂの
底部４ｃの中間には、断面半円状（図面参照）ま
たは逆Ｖ字状の突条４ｄが上側に膨出形成されて
いる。その底部４ｃを主板１と同等平面状になる
ように構成され、その底部４ｃの外端より上側の
略垂直状のまたは外側上向きの傾斜状の側部４ｅ
が屈曲形成され、該側部４ｅの内側または外側に
折返し縁４ｆが設けられている。これら突部４ａ
凹溝４ｂ底部４ｃ突条４ｄ側部４ｅ折返し縁４ｆ
を総称して被嵌合部４と指称する。また、その嵌
合部５の具体的構成としては、主板１の他側より
上方に膨出部５ａが設けられている。該膨出部５
ａは立上り部、頂部、垂下部とからなり、前記乙
字状部のうちの突部４ａの垂下部までの形状と対
照的に構成されている。その膨出部５ａの外端
（垂下部の下端）より一旦外方に張出して内方に
向かう突出条５ｂが形成されている。該突出条５
ｂの幅（上下方向）は、前記凹溝４ｂの幅（上下
方向）よりも少し広がつて形成され、その突出条
５ｂが、隣接の建築用板Ａの凹溝４ｂに弾発的に
嵌合するように構成されている。これら膨出部５
ａ突出条５ｂを嵌合部５と指称する。その被嵌合
部４及び嵌合部５はこれらの形状に限定されるこ
となく、公知の被嵌合部４及び嵌合部５をも包含
する。このような主板１膨出条２蟻形溝部３被嵌
合部４嵌合部５にて長手方向に長尺または適宜の
長さを有した金属性の建築用板Ａがロール成形機
にて一体形成されている。実施例ではその膨出条
２の形状として、嵌合した後の左右の被嵌合部４
嵌合部５の外観と略同等に形成されている。６は
構造物に設けた母屋、胴縁等の構造材である。

Ｂは長尺の金属製のキヤツプ材であつて、上片
７と両脚部８，８とて両側の下方が開いた略門形
状に形成されている。その脚部８，８は第３図に
示すように単に傾斜状に形成されている。そのキ
ヤツプ材Ｂが前記蟻形溝部３に挿入嵌合可能に構
成され、そのキヤツプ材Ｂの両脚部８，８の下端
の開き幅は、蟻形溝部３の両傾斜片３ｂ，３ｂの
下端の開き幅よりも少し広がつており、挿入嵌合
時に弾発嵌合可能に形成されている。その建築用
板Ａが構造材６上に、これに直交する（略直交も
含む）ようにして載置し、その蟻形溝部３の底片
３ａをドリル状のボルト１０にて構造材６に固着
し、そして、その蟻形溝部３内にキヤツプ材Ｂを
挿入嵌合する。次いで、その建築用板Ａの底部４
ｃの突条４ｄに座金１１をドリル条のボルト１２
にて構造材６に固着し、その建築用板Ａの凹溝４
ｂに、隣接の建築用板Ａの突出条５ｂに弾発的に
嵌合し、これらの順次繰返して壁または屋根等の
外囲体を施工する。

特に、壁として施工するのには、建築用板Ａの
長手方向を垂直方向にしたり（第６図参照）、或
いは横方向にすることもある。

その座金１１は水平取付部１１ａの一反より山
形突部１１ｂが形成され、その水平取付部１１ａ
の下面に合成樹脂等のパツキン１１ｃが貼着され
ている。１３は防水性のシール材、１４は発泡合
成樹脂、ロツクウール等の平坦状の断熱材であつ
て、その建築用板Ａの下面に必要に応じて貼着さ
れている（第９図点線位参照）。その断熱材１４
が第１３図に示すように薄材の場合には、その外
側上向きの傾斜状の側部４ｅにて断熱材１４，１
４端箇所相互を弾発的に結合葺成する。

次に、第２発明について、第１図、第２図、第
４図乃至第６図に基づいて説明する。その第２発
明でも、前述の第１発明を構成要件の一部とする
ため、これらについては同一符号を付す。

前記キヤツプ材Ｂが、第１図、第２図、第８図
等に示すように両脚部８，８の中間に開放側が互
いに外方を向く凹部９，９を形成され、他の構成
部は第１発明に使用したキヤツプ材Ｂと同様な構
成を成している。

このキヤツプ材Ｂを使用しての建築用板Ａの中
間取付構造は第１発明と同一である。さらに、隣
接する相互の建築用板Ａ，Ａの嵌合構造の第１発
明の構造と同一である。

なお、第７図は、キヤツプ材Ｂを蟻形溝部３内
に挿入嵌合しない前の構造図である。

〔発明の効果〕

先ず、特許請求の範囲第１項の発明（第１発
明）においては、主板１の中間に膨出条２を設
け、該膨出条２の略中央を蟻形溝部３として屈曲
形成した長尺または適宜の長さの建築用板Ａを構
造材６に載置し、その蟻形溝部３の底片３ａをボ
ルト１０にて構造材６に固着し、その蟻形溝部３
内に両脚部８，８が開いた断面略門形状の長尺の
キヤツプ材Ｂを挿入嵌合したことにより、第１に
ボルト１０による固着の構成であつてもそのボル
ト１０が外部に露出せず、外観が極めて優美にで
き、第２にそのボルト１０の耐久性を増加させ、
第３に雨仕舞を良好にできる等の効果を奏する。

該効果を詳述すると、そのキヤツプ材Ｂにてそ
の底片３ａを固着したボルト１０及びその蟻形溝
部３が被覆され、外観が極めて優美にできる。さ
らに、そのボルト１０が雨水に直接晒されず、そ
こから雨水の浸入しにくゝなり、水密性（雨仕
舞）を良好にでき、且つそのボルト１０等が腐蝕
しにくゝなり、そのボルト１０の耐久性を勝れた
ものにできる。ひいては外囲体の長期の品質保証
が可能である。これは維持管理上でも極めて有効
な効果である。さらに、このような耐久力ある壁
または屋根等の外囲体は、建築業界において近
時、特に要求されており、具体的には、今までの
３年〜５年保証から10年〜20年保証の耐久力が要
求されてきた点を第１発明にて満足させることが
できる。特に、壁にした構造のものが水密性（雨
仕舞）、耐久性等を好適にできる。

また、第１発明では、その蟻形溝部３内に両脚
部８，８が開いた断面略門形状の長尺のキヤツプ
材Ｂを挿入嵌合したことで、風圧、振動等によつ
ても外れにくゝできる。

さらに、その建築用板Ａの働き幅の割合を高め
るために広幅にして、その主板１の中間の蟻形溝
部３の底片３ａをボルト１０にて固着したので、
強い風圧（負圧）が加わつても強度的には十分な
ものにできると共に板鳴現象の発生を防止でき
る。このように働き幅の割合を高めた広幅の建築
用板Ａにて壁または屋根等の外囲体を施工する
と、嵌合箇所が少なくなり、その嵌合取付施工が
簡易且つ迅速にでき、ひいてはその外囲体の施工
費を軽減できる。

また、特許請求の範囲第２項の発明（第２発
明）においては、第１発明の構成において、その
両脚部８，８の下方を外方に開かせ、且つ両脚部
８，８の中間に開放側が互いに外方を向く凹部
９，９を形成した断面略門形状の長尺のキヤツプ
材Ｂを前記蟻形溝部３内に挿入嵌合したことによ
り、その凹部９と蟻形溝部３の傾斜片３ｂとの間
に空隙部が形成され、該空隙部の存在にて雨水の
毛管現象を阻止でき、特に、壁にした構造のもの
ではその空隙部では雨水が流下し、雨水の浸入を
確実に遮断することができ、一層雨仕舞（水密
性）の勝れた外囲体にできる。さらに、雨水の浸
入を遮断したことで、そのボルト１０の耐久性を
格段と勝れたものにできし、ひいては外囲体の一
層長期の品質保証ができる。

また、脚部８の中間に凹部９を形成したこと
で、その脚部８，８の下端側が集中的に蟻形溝部
３の両傾斜片３ｂ，３ｂを弾発することゝなり、
キヤツプ材Ｂを蟻形溝部３内に一層強固な嵌合が
できる。他の構成は第１発明と同様であり、これ
と同等の効果を発揮し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２発明を有した外囲体の斜視図、第
２図は第１図の要部断面図、第３図は第１発明の
要部断面図、第４図、第５図は第２発明の別の実
施例の要部断面図、第６図は第２発明の要部斜視
図、第７図はキヤツプ材取付前の状態の断面図、
第８図はキヤツプ材の斜視図、第９図は建築用板
の斜視図、第１０図は外囲体の嵌合箇所の断面
図、第１１図は第１０図の要部斜視図、第１２
図、第１３図は断熱外囲体の嵌合箇所の断面図で
ある。 Ａ……建築用板、Ｂ……キヤツプ材、１……主
板、２……膨出条、３……蟻形溝部、３ａ……底
片、６……構造材、８……脚部、９……凹部、１
０……ボルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 主板の中間に膨出条を設け、該膨出条の略中
   央を蟻形溝部として屈曲形成した長尺または適宜
   の長さの建築用板を構造材に載置し、その蟻形溝
   部の底片をボルトにて構造材に固着し、その蟻形
   溝部内に両脚部が開いた断面略門形状の長尺のキ
   ヤツプ材を挿入嵌合したことを特徴とした建築用
   板の中間取付構造。 ２ 主板の中間に膨出条を設け、該膨出条の略中
   央を蟻形溝部として屈曲形成した長尺または適宜
   の長さの建築用板を構造材に載置し、その蟻形溝
   部の底片をボルトにて構造材に固着し、両脚部の
   下方を外方に開かせ、且つ両脚部の中間に開放側
   が互いに外方を向く凹部を形成した断面略門形状
   の長尺のキヤツプ材を前記蟻形溝部内に挿入嵌合
   したことを特徴とした建築用板の中間取付構造。