JPS6328764Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、幅広の建築用板の中間溝部をボルト
固着した構造であつても、簡単なる施工でキヤツ
プ材が被嵌ができ、そのボルトを露出させない外
囲体の中間取付構造に関する。

〔従来の技術及びその問題点等〕

従来より、壁材または屋根材等の建築用板は、
種々存在している。ところで、その建築用板の幅
が狭い場合には、中間部の強度性は略確保できる
が、その狭い幅の建築用板にて屋根または壁等の
外囲体を施工すると、接続箇所が多くなり、その
接続取付施工が面倒となるのみならず、その建築
用板自体の働き幅の割合が少なく、ひいてはその
外囲体の施工費が割高になる問題点が生じてい
る。

そこで、その建築用板の働き幅の割合を高める
ために幅広にすると、今度は強い風圧（負圧）が
加わると、板厚にも関係するが、一般にその中間
部が特に弱くなると共に板鳴現象が発生する等の
問題点があつた。それでは、その建築用板の中間
部をボルト等にて固着すると、そのボルト等が露
出し、該ボルトが早期に腐蝕し、外観が悪くなる
のみならず、ボルトの耐久性も半減し、且つその
ボルト箇所から雨水が浸入する等の問題点がある
ため、その溝部にキヤツプ材を被嵌することもあ
るが、そのキヤツプ材を簡易且つ迅速に取付施工
ができ、しかも強固に取付け得ることが要望され
ている。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本考案は、問題点を解決すべく、鋭
意、研究を重ねた結果、その考案を、底部の両側
に設けた立上り部に、上方が開口する内側立上り
片、外側立上り片を各々形成し、その内側立上り
片、外側立上り片の少なくとも一方の対向する内
面側に膨出する係止突起を複数設けた吊子を、建
築用板の中間に形成した溝部内に挿入載置し、吊
子の底部と溝部の底辺部とをボルトにて構造材に
固着し、断面門形状のキヤツプ材に設けた両脚部
を内側立上り片、外側立上り片内の係止突起に係
止し、キヤツプ材の幅を溝部の幅と略同等となる
ようにした外囲体の中間取付構造としたことによ
り、幅広の建築用板の中間溝部をボルト固着し、
そこにキヤツプ材を被嵌するのに簡単にでき、し
かも強固に取付けができボルト露出も防止し、前
記の問題点等を解消したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第８図に基
づいて説明する。

Ａは金属製の適宜の長さの吊子であつて、底部
１の両側に立上り部２，２が設けられ、該立上り
部２，２各々に上方が開口する内側立上り片２ａ
外側立上り片２ｂが形成されている。その内側立
上り片２ａ、外側立上り片２ｂ少なくとも一方
（勿論両方の場合も多い）の対向する内面側に係
止突起３，３，…が複数設けられている。即ち、
第１図乃至第３図、第５図に示すようにその内側
立上り片２ａ、外側立上り片２ｂの対向する内面
側に係止突起３，３，…が複数設けられていた
り、或いは第４図、第６図に示すようにその内側
立上り片２ａ、外側立上り片２ｂの一方の内面側
に係止突起３，３，…が複数設けられることもあ
る。その係止突起３の実施例では、プレス加工に
て下向き傾斜状に切り起されて複数の係止突起
３，３，…が設けられている。その吊子の第１の
実施例では、第１図乃至第４図等に示すように、
底部１の両側に立上り部２，２が設けられ、該立
上り部２，２の中間１箇所または２箇所を縦に切
り込み、上側が開口する内側立上り片２ａ，２ａ
と外側立上り片２ｂ，２ｂが形成されている。そ
の第１図の場合の吊子Ａでは、立上り部２，２の
中間２箇所を縦に切り込み、その立上り部２の長
手方向の両端部片を内側立上り片２ａ，２ａと
し、その中間片を外側立上り片２ｂとしている。
また、その両端部片を外側立上り片２ｂ，２ｂと
し、その中間片を内側立上り片２ａとすることも
ある。また、その第３図の場合の吊子Ａでは、立
上り部２，２の中間１箇所を縦に切り込み、その
立上り部２の長手方向の一端片（第３図において
手前側）を内側立上り片２ａとし、その他端片を
外側立上り片２ｂとしている。また、その一端片
（第３図において手前側）を外側立上り片２ｂと
し、その他端片を内側立上り片２ａとすることも
ある。

また、その吊子Ａの第２の実施例では、第５
図、第６図に示すように底部１の両側に立上り部
２，２が設けられ、該立上り部２，２の上端より
に外側下方に内側立上り片２ａ，２ａが折返さ
れ、該内側立上り片２ａ，２ａの下端より外側上
方に外側立上り片２ｂ，２ｂが折返されている。

Ｂは長手方向に長尺または適宜の長さを有した
金属製の建築用板であつて、その平坦状の主板４
の中間に１乃至複数（図面参照）の断面略Ｕ字状
等の溝部５が屈曲形成されている。即ち、該溝部
５は底辺部５ａと両側の側部５ｂ，５ｂとで形成
されている。その建築用板Ｂの両側には接続部
６，７が各々屈曲形成されている。その建築用板
Ｂの具体的実施例では、第８図等に示すように両
側に段部付等の垂下状部６ａ，７ａ、水平取付部
６ｂ，７ｂと、必要応じて端部立上り縁６ｃ，７
ｃ等による断面略Ｌ形状の接続部６，７が隣接す
る建築用板Ｂ，Ｂ相互を単に重合接合できるよう
に形成されている。この場合、その接続部６，７
の水平取付部６ｂ，７ｂと溝部５の底辺部５ａと
は同等平面状になるように構成されている。ま
た、図示しないが、建築用板Ｂの別の実施例で
は、幅方向の一側に凹溝等を形成した接続部６が
設けられ、その他側には突出条等を形成した接続
部７が設けられ、隣接する建築用板Ｂ，Ｂ相互の
接続部６，７が弾発嵌合可能に構成されている。

Ｃは長尺の金属製のキヤツプ材であつて、上面
部８と両脚部９，９とで断面略門形状（第７図、
第８図参照）に形成されている。１０は母屋、胴
縁等の構造材、１１，１２はボルトである。

前記建築用板Ｂが構造材１０上に、これに直交
する（略直交も含む）ようにして載置され、その
溝部５内に吊子Ａを挿入載置して該吊子Ａの底部
１を溝部５の底辺部５ａと共にドリル状のボルト
１１にて構造材１０に固着され、そして長尺のキ
ヤツプ材Ｃの両脚部９，９が吊子Ａの両側の内側
立上り片２ａと外側立上り片２ｂとの間に挿入さ
れ両脚部９，９が係止突起３，３，…に係止固定
されている。次いで、重合式の建築用板Ｂの場合
は、第８図に示すように、その接続部６，７の水
平取付部６ｂ，７ｂ相互が重合されその間隔内に
前記中間の構成と同様に吊子Ａがドリル状のボル
ト１２にて構造材１０に固着され、そのキヤツプ
材Ｃの両脚部９，９が吊子Ａの両側の内側立上り
片２ａと外側立上り片２ｂとの間に挿入され両脚
部９，９が係止突起３，３，…に係止固定されこ
れらが順次繰返されて壁または屋根等の外囲体を
葺成施工されている。また、嵌合式の建築用板Ｂ
の場合は、その建築用板Ｂの一側の接続部７の凹
溝に、隣接の建築用板Ｂの他側の接続部６の突出
条を弾発的に嵌合され、これらが順次繰返されて
壁または屋根等の外囲体が施工されている。

〔考案の効果〕

本考案においては、底部１の両側に設けた立上
り部２，２に、上方が開口する内側立上り片２
ａ、外側立上り片２ｂを各々形成し、その内側立
上り片２ａ、外側立上り片２ｂの少なくとも一方
の対向する内面側に膨出する係止突起３，３，…
を複数設けた吊子Ａを、建築用板Ｂの中間に形成
した溝部５内に挿入載置し、吊子Ａの底部１と溝
部５の底辺部５ａとをボルト１１にて構造材１０
に固着し、断面門形状のキヤツプ材Ｃに設けた両
脚部９，９を内側立上り片２ａ、外側立上り片２
ｂ内の係止突起３，３，…に係止し、キヤツプ材
Ｃの幅を溝部５の幅と略同等となるようにした外
囲体の中間取付構造としたことにより、第１にボ
ルト１１による固着の構成であつてもそのボルト
１１が外部に露出せず、外観が極めて優美にで
き、第２にそのボルト１１の耐久性を増加させる
ことができ、第３にキヤツプ材Ｃを簡易且つ迅速
に取付けることができ、しかも強固に固着できる
等の効果を奏する。

これらの効果を詳述すると、そのキヤツプ材Ｃ
にて、吊子Ａ及びその溝部５を固着したボルト１
１が被覆され、外囲体の中間部の外観を極めて優
美にできる。さらに、そのボルト１１が雨水に晒
されず、そこから雨水が浸入しにくゝなり、壁等
の外囲体として構成した場合には水密性（雨仕
舞）を良好にでき、且つそのボルト１１等が腐蝕
しにくゝなり、そのボルト１１の耐久性が格段と
勝れたものにできる。ひいては外囲体の長期の品
質保証が可能となる。これは維持管理上でも極め
て有効な効果である。さらに、このような耐久力
ある壁または屋根等の外囲体は、建築業界におい
て近時、特に要求されており、具体的には、今ま
での３年〜５年保証から10年〜20年保証の耐久力
が要求されてきた点を本考案にて満足させること
ができる。

また、本考案においては、キヤツプ材Ｃをその
吊子Ａに取付けるのに両脚部９，９を吊子Ａの両
側の内側立上り片２ａと外側立上り片２ｂ間に単
に挿入することのみのワンタツチにて取付が完了
でき、極めて簡易且つ迅速の取付施工ができる。

しかも、挿入した後は、そのキヤツプ材Ｃの両
脚部９，９に係止突起３，３，…が食い込むよう
になつて係止し、強い風圧や振動等によつてもキ
ヤツプ材Ｃが容易に外れなくなり、キヤツプ材Ｃ
の強固な取付ができる。

さらに、その建築用板Ｂの働き幅の割合を高め
るために幅広にして、その主板４の中間の溝部５
の底辺部５ａをボルト１１にて固着したので、強
い風圧（負圧）に加わつても強度的には十分なも
のにできると共に板鳴現象の発生を防止できる。
このように働き幅の割合を高めた幅広の建築用板
Ｂにて壁または屋根等の外囲体を施工すると、接
続箇所が少なくなり、その接続取付施工が簡易且
つ迅速にでき、ひいてはその外囲体の施工費を軽
減できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は吊子の斜視図、第２図は第１図の断面
図、第３図は吊子の別の実施例の斜視図、第４図
は第３図における突片を内側立上り片にのみに設
けた断面図、第５図は吊子のさらに別の実施例の
斜視図、第６図は第５図における突片を外側立上
り片にのみに設けた断面図、第７図は本考案の断
面図、第８図は本考案を使用して葺成施工した外
囲体の斜視図である。 Ａ……吊子、Ｂ……建築用板、Ｃ……キヤツプ
材、１……底部、２……立上り部、２ａ……内側
立上り片、２ｂ……外側立上り片、３……係止突
起、５……溝部、５ａ……底辺部、９……脚部、
１０……構造材、１１……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底部の両側に設けた立上り部に、上方が開口す
   る内側立上り片、外側立上り片を各々形成し、そ
   の内側立上り片、外側立上り片の少なくとも一方
   の対向する内面側に膨出する係止突起を複数設け
   た吊子を、建築用板の中間に形成した溝部内に挿
   入載置し、吊子の底部と溝部の底辺部とをボルト
   にて構造材に固着し、断面門形状のキヤツプ材に
   設けた両脚部を内側立上り片、外側立上り片内の
   係止突起に係止し、キヤツプ材の幅を溝部の幅と
   略同等となるようにしたことを特徴とした外囲体
   の中間取付構造。