JPH0314138Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、サイクルミシンの送り変換装置に関
するものであり、更に詳しくは、送り変換時に発
生する布押えの針落ちズレ防止に関するサイクル
ミシンの送り変換装置である。

（従来の技術） 従来、この種のミシンの送り変換装置は、本出
願人の先願に係わるものとして、特願昭59−
163703号がある。

この従来技術は、ミシンの布保持腕及び布押え
をして、ミシンのベツド面上でＹ方向（上軸の軸
線方向）とＸ方向（上軸と直角方向）とへ動かす
リンクを、カム板の上面並びに下面に設けた縫製
パターン発生カム溝へ夫々連動させ、これらのリ
ンクの連結の中間に、布保持腕をＸ方向とＹ方向
へ動かす夫々のリンクが設けられている。また他
方に於いて、前記カム板の上下に嵌合する夫々の
伝達部材が設けられており、前記リンクの一端と
夫々の伝達部材の一端とを、ミシンアームに設け
た１つの軸上に、互いに回動可能に嵌合させ、こ
れ等のリンク、並びに伝達部材に、お互いが結合
離脱できる切替手段を設けている。

また、前記カム板の上下のカム溝に対する伝達
部材を、軸方向に保持し、且つ円周方向へ回動可
能に支持した切替部材を設け、該切替部材を選択
上下動させることによつて、１つのカムでタテ、
ヨコの閂止め変換縫いができるようにしたもので
ある。

（考案が解決しようとする問題点） 従来、サイクルミシンに於けるタテ、ヨコ方向
への切替はカム板のスタート位置で行われる。

このとき、布保持腕に固定された布押さえの針
落ちは、布押えの中央に位置し、タテ、ヨコ送り
方向の切替操作を行つても移動しないようにしな
ければならない。

そのためには、カム板の上面と下面のパターン
カム溝の位置、又、一つの軸上に設けられた伝達
部材のピンと結合、離脱する送りリンク体の溝及
び中間部材のノツチ位置、これ等が全て同心状態
にないと切替時に不整合となり嵌合位置がズレ
る。このズレによる動きが布保持腕に連係し、布
保持腕に固定された布押えが移動するため、布押
えの針穴中心に対し針落ちがズレて、針が布押え
に接触し針折れを生ずるおそれがあつた。

したがつて本考案は、送り変換時の針落ちズレ
を防止することを技術的課題とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記技術的課題を解決するために講じた技術的
手段は、送りリンク体の溝部を別体の調整部材に
ノツチとして設け、また、送りリンク体に調整部
材が回動可能に嵌合できる突起を設け、調整部材
と送りリンク体の何れか一方に孔を、他方に突起
の回動中心を中心とする円弧状の長孔を設け、該
長穴と前記孔とを挿通するネジにて前記送りリン
ク体と調整部材とを固定したことである。

上記構成によつて、前記調整部材を送りリンク
体の突起に嵌合し、該調整部材と送りリンクに設
けられた孔、あるいは長穴に挿嵌されたネジを緩
め、孔に対応する長穴の位置を円周方向に回動さ
せて調節することにより、カム板のカム溝、伝達
部材のピン、中間部材のノツチ、調整部材のノツ
チ、これ等の位置がズレなく結合、離脱し得るこ
とができ、針落ちズレを生ずることがない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図ないし第３図に於いて、ミシンの上軸
（図示略）と同期して回転する軸１０に固定され
たカム板１１の上面および下面には、夫々縫いパ
ターンを形成するカム溝１１ａおよび１１ｂが刻
設されている。しかして、ミシンのフレーム４０
に回動可能に保持された軸１２上には、第１伝達
部材１３のボス部１３ａが回動可能に装架されて
おり、第１伝達部材１３の遊端部１３ｂに固定さ
れたコロ１４は、カム溝１１ａと係合している。
軸１２上には、又、第１伝達部材１３のボス部１
３ａの下側に位置するように、中間部材２２がピ
ン３６にて固定されており、更に中間部材２２の
下側には、第２伝達部材２０のボス部２０ａが回
動可能に装架されている。第２伝達部材２０の遊
端部２０ｂに固定されたコロ１９はカム板１１の
溝１１ｂに係合している。又、第１伝達部材１
３、第２伝達部材２０のボス部１３ａ，２０ａの
一端には、切替軸２８に固定された切替部材２９
の爪部２９ａ，２９ｂが嵌合し、軸方向の位置を
保持している。

軸１２上には、更に、送りリンク体１６のボス
部１６ａ，１６ｂが回動可能に装架されており、
ボス部１６ａは第１伝達部材１３のボス部１３ａ
の上方に、ボス部１６ｂは第２伝達部材２０のボ
ス部２０ａの下方に、夫々位置しており、また、
送りリンク体１６のボス部１６ａ，１６ｂに設け
られた突起１６ｃ，１６ｄに、調整部材３０，３
１を回動可能に嵌合せしめ、ネジ３２，３３にて
夫々固定されている。しかして、第１伝達部材１
３のボス部１３ａに植設されたピン１５の上端部
は、調整部材３０のノツチ３０ａに嵌合されてお
り、また、第２伝達部材２０のボス部２０ａに植
設されたピン２１の上端部は、中間部材２２のノ
ツチ２２ａと嵌合されている。かくして第１図示
の状態に於いては、カム溝１１ａにより惹起され
た揺動は送りリンク体１６に、カム溝１１ｂによ
り惹起された揺動は軸１２に、夫々伝達されるよ
うになつている。

ミシンのフレーム４０に固定された、もう一つ
の軸３９上には、送りリンク１７のボス部１７ａ
が回動可能に装架されており、また、送りリンク
１７の一端に設けた長穴１７ｂ内には、滑動可能
に装架されたピン３４の下端に送りリンク体１６
の遊端部に設けられた長穴１６ｆを嵌合してい
る。また送りリンク１７の他端１７ｃは送りレバ
ー２６に嵌合された案内片１８が係合され送りレ
バー２６をガイドしている。

一方、送りリンク体１６のボス部１６ａの上側
に位置するように送りリンク２３のボス部２３ａ
が軸１２上に割り締め固定されており、送りリン
ク２３の遊端部２３ｂに形成された溝２３ｃはピ
ン３５が滑動可能に装架されている。ピン３５は
軸２５に回動可能に装架されたリンク２４のノツ
チ２４ｂに滑動可能に係合している。更に送りリ
ンク２４の他端２４ａには、送りレバー２６の一
端２６ａがピン３７に枢支されており、送りレバ
ー２６の他端２６ｂは保持体２７をネジ３８にて
固定している。

上記構成に於いて、送りカム１１の回転により
軸１２上の第１伝達部材１３は、その先端部のコ
ロ１４を介し、上面のカム溝１１ａから発生する
パターンにより揺動運動をなす。これにより、第
１伝達部材１３のボス部１３ａに植設したピン１
５が軸１２に装架された送りリンク体１６の突起
１６ｃに嵌合せしめた調整部材３０のノツチ３０
ａに嵌合しているため、送りリンク体１６、送り
リンク１７を径由し、送りリンク１７は軸部１７
ａを中心に揺動運動をする。即ちリンク１７の先
端１７ｃはＸ方向へ往復運動をする。

また一方、カム板１１の下面のカム溝１１ｂへ
係合しているコロ１９を持つ第２伝達部材２０
は、前記カム溝１１ｂから発生するパターンによ
り軸１２を中心として揺動運動を行う。このとき
第２伝達部材２０のピン２１が中間部材２２のノ
ツチ２２ａに嵌合しているため、第２伝達部材２
０の揺動運動が軸１２を回動させる。この動きが
軸１２上に固定された送りリンク２３を経由し、
リンク２４に揺動運動を与える。リンク２４は軸
２５を中心として、その先端２４ａが送りレバー
２６をＹ方向へ往復運動をさせる。

かくして、送りレバー２６に取り付けた保持体
２７の先端に第１リンク機構Ｌ１を介してＸ方向
の、第２リンク機構Ｌ２を介してＹ方向運動が伝
達され、両者が合成されて、ヨコ閂止め縫いがで
きることになる。

次に切替軸２８を下方へ押し下げると、切替部
材２９の爪部２９ａ，２９ｂが第１伝達部材１
３、第２伝達部材２０のボス部１３ａ，２０ａに
設けた溝に嵌合しているため、第１伝達部材１
３、第２伝達部材２０は下方へ移動する。従つて
ピン１５は、前記調整部材３０のノツチ３０ａか
ら外れ、中間部材のノツチ２２ａと嵌合する。
又、第２伝達部材２０のピン２１は前記中間部材
のノツチ２２ａから外れ、調整部材３１のノツチ
３１ａに嵌合する。このとき、カム板１１上面に
発生するパターンは、第１伝達部材１３、中間部
材２２、軸１２、送りリンク２３、リンク２４を
経て、リンク２４の先端２４ａが送りレバー２６
にＹ方向の動きを与える。

一方、カム板１１下面に発生するパターンは、
第２伝達部材２０、送りリンク体１６、送りリン
ク１７を経由して、その先端に係合した案内片１
８にＸ方向の動きを与える。即ち、タテ閂止めが
できる。

この場合、第２伝達部材のピン２１と調整部材
３０のノツチ３１ａとの嵌合位置がズレていると
第２伝達部材２０のピン２１の位置にならつて調
整部材３０のノツチ３１ａが円周方向へこじら
れ、このこじれによる動きが軸１２、送りリンク
２３、リンク２４、送りレバー２６を経由して保
持体２７にＹ方向への動きが生じ、保持体２７に
取り付けられた布押え４１への針落ちが変化す
る。この不具合を防止するため、調整部材３１を
固定したネジ３３をゆるめ調整部材３１の孔３１
ｂに沿つて調整部材３１を円周方向に回動せし
め、第２伝達部材２０のピン２１と調整部材３１
のノツチ３１ａがズレなく嵌合できる位置へ合
せ、ネジ３３にて再度固定する（切替軸を下から
上へ動かす場合は調整部材３０、ネジ３２とな
る）。かくして、カテ閂止め、ヨコ閂止め切替時
の布押えに対する針落ちのズレは発生しないよう
になる。

〔考案の効果〕

本考案は、送りリンク体に調整部材を嵌合し、
該調整部材を調整することにより、各部の位置調
整が組付状態にて容易となり、また、これに伴な
い部品の加工精度もラフにすることができ、作業
性の向上、コスト低減に寄与するところが大であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は送り変換装置の詳細拡大断面図、第２
図は調整部材の説明図、第３図は送り変換装置の
外観斜視図である。 １１……カム板、１２……回転軸、１３……第
１伝達部材、１４，１９……コロ、１５……第１
ピン、１６……送りリンク体、２０……第２伝達
部材、２１……第２ピン、２２……中間部材、２
７……保持体、３０……上調整部材、３１……下
調整部材、３２，３３……ネジ、４０……フレー
ム、Ｌ１……第１リンク機構、Ｌ２……第２リン
ク機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ミシンの機枠に回動可能に支持された回転軸
   と、上ボス部と下ボス部を有し前記上ボス部と前
   記下ボス部を介して該回転軸に回動可能に支持さ
   れる送りリンク体と、該送りリンク体の前記上ボ
   ス部の下面に設けられた突起に嵌合されノツチを
   有する上調整部材と、前記送りリンク体の前記下
   ボス部の上面に設けられた突起に嵌合されノツチ
   を有する下調整部材と、上下にカム溝を有し円周
   方向に回動可能にミシン機枠支持されたカム板
   と、一端を一方の前記カム溝に摺動可能に嵌合さ
   れ他端を前記回転軸の上調整部材の下部に回動可
   能に支持された第１伝達部材と、一端を他方の前
   記カム溝に摺動可能に嵌合され他端を前記回転軸
   の下調整部材の上部に回動可能に支持された第２
   伝達部材と、前記第１伝達部材に挿嵌された第１
   ピンと、前記第２伝達部材に挿嵌された第２ピン
   と、前記第１伝達部材と前記第２伝達部材との間
   で前記回転軸に固着され溝部を有する中間部材
   と、 前記第１部材と前記第２伝達部材とを連動させ
   前記第１ピンと前記第２ピンを前記調整部材に設
   けられた前記ノツチあるいは前記中間部材に設け
   られた前記溝部とに選択的に嵌合させる切替部材
   とを有し、 前記上ボス部と前記上調整部材の何れか一方に
   前記回転軸の回動中心を中心とする円弧状の長孔
   が設けられ、前記上ボス部と前記上調整部材の他
   方に前記長孔と同径上に位置する孔が設けられ、
   前記上調整部材は前記送りリンク体に前記長穴と
   前記孔とを挿通するネジにて円周方向に回動調節
   可能に固定されたことと、 前記下ボス部と前記下調整部材の何れか一方に
   前記回転軸の回動中心を中心とする円弧状の長孔
   が設けられ、前記下ボス部と前記下調整部材の他
   方に前記長孔と同径上に位置する孔が設けられ、
   前記下調整部材は前記送りリンク体に前記長穴と
   前記孔とを挿通するネジにて円周方向に回動調節
   可能に固定されたことを特徴とするサイクルミシ
   ンの送り変換装置。