JPH0313417Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はオールテレインクレーン車など、運
転席と操縦席にそれぞれステアリングハンドルを
備えた車両のステアリング切換装置に関する。

（従来の技術） オールテレインクレーン車は、車体に設けた運
転席と、これとは別にクレーンと一体に水平回動
する操縦席とを備えている。

この場合、工事現場等においてクレーン等の操
作中に車体を移動させる必要が生じた時に、いち
いち運転席に移らなくても良いように、操縦席に
もステアリングハンドルを備えたものが、本出願
人により、実願昭57−196480号（実開昭59−
102568号参照）として提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところでこのように２つのステアリングハンド
ルを持つ場合、走行安全性を確保するうえから、
いずれか一方でステアリング操作をしているとき
は、他方からステアリング操作が行えないように
する必要がある。そのため前記出願においては、
ステアリング操作するときにパワーステアリング
の油圧回路を切り換えて、一方からのみステアリ
ング操作が可能となるようにしていた。

しかしながらこの油圧回路の切り換えは、一方
のステアリング操作中に他方から行うことも可能
であつたため、運転者の意志に反して操舵の切り
換えが行なわれてしまうこともある。

本考案はこのような問題を解決することを目的
とする。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は、車体に設けた運転席と、車体
に対して水平回動するクレーンの操縦席を備えた
車両において、運転席と操縦席にそれぞれ設けた
ステアリングハンドルと、このハンドルに連動し
て油圧源からの圧油の流れを切換える手段と、こ
の圧油の供給を受けて前記ハンドルの回転に対応
して車輪の方向を変える油圧シリンダと、この油
圧シリンダに対して前記運転席と操縦席の切換手
段とを選択的に回路接続する電磁切換弁と、この
電磁切換弁に両方向から駆動電流を供給するそれ
ぞれの電源回路と、前記運転席と操縦席とにそれ
ぞれ設けられ前記各電源回路を開閉するキースイ
ツチ回路と、一方の電源回路がONになると他方
の電源回路をOFFにする回路切換手段とを備え、
キースイツチ操作と操舵切換とを連動させるよう
にした。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図において、１は車体に設けた運転席、
２は車体に対して水平回動するクレーンの操縦席
を示す。

１０は運転席側のステアリングハンドル、２０
は操縦席側のステアリングハンドルで、それぞれ
パワーステアリングの切換弁１１，２１が連動し
ている。

これら切換弁１１，２１はハンドルの回転方向
に応じて、油圧ポンプ３０からの圧油の方向を切
り換えるもので、これに応じて左右の前輪３１，
３２を転向させる油圧シリンダ３３，３４を駆動
する。

いずれか一方のステアリングハンドル１０また
は２０の操作に基づいてのみ前記油圧シリンダ３
３，３４を駆動するために、パワーステアリング
の油圧回路を切り換える電磁切換弁４０，４１，
４２が備えられる。

電磁切換弁４０は油圧ポンプ３０からの圧油を
前記切換弁１１または２１に振り分けるもので、
また電磁切換弁４１と４２はそれぞれ切換弁１
１，２１と油圧シリンダ３３，３４との接続を切
り換えるものである。

尚、この実施例では後輪３５，３６を転向させ
るための油圧シリンダ３７，３８も備えてあり、
必要に応じて前輪、後輪の同時転向もできるよう
になつている。電磁切換弁４４はこのためのもの
で、中立位置からいずれかに切り換わると油圧シ
リンダ３７，３８にも圧油が送り込まれる。

また、４５は操縦席２が180度回転して反対方
向を向いたときに、ステアリングハンドル２０の
操作感覚が正反対にならないように、前記切換弁
２１からの油圧の方向を反転させるものである。

このようなパワーステアリングの油圧回路にお
いて、前記電磁切換弁４０〜４２の切り換えを行
うために、運転席１と操縦席２に設けたキースイ
ツチ１２，２２によつて作動させられるリレース
イツチ１３，２３が備えられる。

これらリレースイツチ１３，２３はキースイツ
チ１２，２２のONにより励磁されて接点を閉じ
る常開リレーであり、それぞれ電磁切換弁４０〜
４２の左右のソレノイドに対する電源回路１４，
２４の途中に介装され、電源５０からの電流を供
給したり遮断したりする。

そしてこのリレースイツチ１３，２３とキース
イツチ１２，２２との間には、いずれか一方のリ
レースイツチ１３または２３がONのときに他方
の回路を遮断する遮断リレー１５，２５が介装さ
れる。この遮断リレー１５，２５は常開リレーで
あつて、一方の遮断リレー１５のリレーコイルは
他方のリレースイツチ２３がONのときに励磁さ
れ、その接点を開くようになつており、同様にし
て遮断リレー２５のリレーコイルはリレースイツ
チ１３がONのときに励磁されて接点を開く。

以上のように構成され、次にその作用について
説明すると、例えば運転席１からステアリング操
作する場合、キースイツチ１２をONにすると、
常閉の遮断リレー１５を介してリレースイツチ１
３が励磁され、その接点をとじる。

これにより、電源回路１４に電流が供給され、
電磁切換弁４０〜４２のそれぞれ図中左方のソレ
ノイドが励磁されて、各電磁切換弁４０〜４２が
切り換わる。

この結果、油圧ポンプ３０からの圧油は運転席
側のステアリングハンドル１０に連動する切換弁
１１によつてのみ油圧シリンダ３３，３４に対す
る供給が制御される。このとき仮に操縦席側のス
テアリングハンドル２１を操作して、その切換弁
２１が切り換つたとしても、この切換弁２１には
圧油が送り込まれず、かつ切換弁２１と油圧シリ
ンダ３３，３４の間が遮断されるため、操縦席側
からの操舵は全く不能となる。

一方、このような運転席側からの操舵中に操縦
席２のキースイツチ２２をONにしたとする。し
かしこの場合、遮断リレー２５が電源回路１４を
介して励磁され、その接点を開いているため、キ
ースイツチ２２をONにしたにも拘わらずリレー
スイツチ２３は励磁されず、電源回路２４は
OFFの状態に保持される。したがつて運転席側
からの操舵中に誤つて操縦席側のキースイツチ２
２を作動させても、電磁切換弁４０〜４２が切り
換わるようなことがなく、操縦席２からは一切ス
テアリング操作することができないのである。

このことは運転席側のキースイツチ１２を
OFFにして、操縦席側のキースイツチ２２をON
にしたときにも全く同様に行なわれるのであり、
この場合には、運転席１からのステアリング操作
が一切不能となるのである。

このように一方でステアリング操作していると
きは、他方からの誤操作に基づく妨害を受けるこ
とがなく、安全に走行することができる。

またキースイツチ１２，２２の操作に連動して
ステアリング操作も可能となるので、油圧回路の
切替えを別途行う必要がなく、操作性に優れると
ともに、誤操作の危険も全くない。

次に第２図に基づいて電磁切換弁４０〜４２の
制御回路の他の実施例を説明する。

第２図の実施例は、遮断リレー１５，２５のリ
レーコイルを電源回路１４，２４からではなく、
キースイツチ１２，２２のONにより直接に励磁
されるように接続したものである。これによれ
ば、遮断リレー１５，２５の小型化がはかれる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、運転席または操
縦席のいずれか一方でステアリング操作している
ときは、他方からのステアリング操作は一切不可
能となり、走行安全性が極めて高く、またキース
イツチの操作と油圧回路の切替えを連動させたの
で、操作性に優れるとともに油圧回路の切り忘れ
など誤操作の危険も全くない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す回路図、第２図
は他の実施例の要部の回路図である。 １……運転席、２……操縦席、１０，２０……
ステアリングハンドル、１１，２１……切換弁、
１２，２２……キースイツチ、１３，２３……リ
レースイツチ、１４，２４……電源回路、１５，
２５……遮断リレー、３０……油圧ポンプ、３
１，３２……前輪、３３，３４……油圧シリン
ダ、４０，４１，４２……電磁切換。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に設けた運転席と、車体に対して水平回動
   するクレーンの操縦席を備えた車両において、運
   転席と操縦席にそれぞれ設けたステアリングハン
   ドルと、このハンドルに連動して油圧源からの圧
   油の流れを切換える手段と、この圧油の供給を受
   けて前記ハンドルの回転に対応して車輪の方向を
   変える油圧シリンダと、この油圧シリンダに対し
   て前記運転席と操縦席の切換手段とを選択的に回
   路接続する電磁切換弁と、この電磁切換弁に両方
   向から駆動電流を供給するそれぞれの電源回路
   と、前記運転席と操縦席とにそれぞれ設けられ前
   記各電源回路を開閉するキースイツチ回路と、一
   方の電源回路がONになると他方の電源回路を
   OFFにする回路切換手段とを備え、キースイツ
   チ操作と操舵切換とを連動させたことを特徴とす
   る車両のステアリング切換装置。