JPH0313084B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、傾動して開閉可能な開閉体を有する
自動車用サンルーフ装置に関する。

「従来の技術」 従来の自動車用サンルーフ装置としては、例え
ば特開昭56−57516号公報に開示されたものがあ
る。

すなわち、同公報には開閉体はその開閉体の先
端部のやや後方で開閉体上面より下位にて枢支さ
れることにより傾動可能にされたものが開示され
ている。

「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような従来の自動車用サン
ルーフ装置では、全閉状態から開閉体を開く際、
開閉体の前端縁がルーフの開口部に対し相対的に
やや近接しながら下方に摺動し、両者の間に介装
されたシール部材を圧迫したり摩擦したりし、シ
ール部材が疲労あるいは永久変形しやすくて、シ
ール性を低下させたり開閉時にきしみ音を発生し
て不快であつたりするという問題点があつた。

本発明は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、開閉体の開閉時にシール部材が
悪影響を受けないようにして上記問題点を解決し
た自動車用サンルーフ装置を提供することを目的
としている。

「問題点を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本発明の要旨とす
るところは、傾動して開閉可能な開閉体を有する
自動車用サンルーフ装置において、 前記開閉体の前端側が該前端より前方で車体外
側に仮想中心を有する円弧軌跡に沿つて昇降可能
なよう、ルーフの開口部に装着されるベースに立
設した前支持部と、該開閉体の前端から下方に突
設された支持ブラケツトとの一方に、車体外側に
仮想中心を有する半径の異なる一対の案内支持溝
を設け、他方に該一対の案内支持溝にそれぞれ摺
動可能に嵌合する係合ピンを設けて、前記前端側
を案内支持し、 前記円弧軌跡の仮想中心と同心にて前記開閉体
の他端側を変位させるよう、前記ベースに枢着さ
れた回転駆動されるピニオンと、該ピニオンに噛
合し、前記開閉体に装着され、前記仮想中心を中
心とした円弧状ラツクとを有する昇降手段を他端
側に設けたことを特徴とする自動車用サンルーフ
装置に存する。

「作用」 しかして、開閉体が傾動して開閉するときの仮
想中心が開閉体上方で、さらに開口部前方にあ
り、開閉体を開くと、開閉体の端面は車体開口部
の端縁に摺動することなく接離し、シール部材が
圧迫されたまま摩擦されることがなく、疲労した
り永久変形することがないものである。

「実施例」 以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明す
る。

図は本発明の一実施例を示している。

第３図に示すように、サンルーフ装置は、自動
車のルーフ１０の開口部１１を開閉すべく、開閉
体２０が傾動して開閉可能に装着され、本実施例
では傾動して開いてからさらにルーフ１０の外側
に摺動開閉可能にされている。開口部１１の前端
部に設けられているのは風の巻込みや風切音を防
止するためのデフレクタ１２である。

第１図〜第４図に示すように、ルーフ１０の開
口部１１の両側縁部に沿つてレール溝１３が設け
られ、開閉体を駆動するギヤードケーブル１４が
縦方向に移動可能に配設されている。

開閉体２０は、全閉状態において開口部１１の
内端面に密接するシール部材２１が外周に設けら
れ、レール溝１３に嵌合してその内部を前後に移
動可能なベース３０の上に支持されている。この
ベース３０は開口部１１の両側に対称に設けられ
ている為、以後、自動車の前方からみて右側につ
いてのみ説明する。

ベース３０の前部には前支持部３１が立設さ
れ、その前支持部３１には開口部１１の上方部前
方を仮想中心とする円弧状の案内支持溝３２，３
３が穿設されており、開閉体２０の前端から下方
に突設された支持ブラケツト２２に設けられた係
合ピン２３，２３が案内支持溝３２，３３に係合
している。

ベース３０の後部には昇降機構４０が設けられ
ている。昇降機構４０は、ベース３０の側部に略
水平に架設された枢軸４１の外側寄りにピニオン
４２が固結され、ピニオン４２に噛合する円弧状
ラツク４３が設けられており、円弧状ラツク４３
はその仮想中心が案内支持溝３２，３３の仮想中
心と一致し、ベース３０の後部に立設された支持
部材４４に円弧摺動可能に支持されている。円弧
状ラツク４３の上端は開閉体２０の後端部に枢着
されている。

枢軸４１の内端にはギヤードケーブル１４の歯
に噛合するピニオン４５が固結されている。

さらにベース３０にはレール溝１３との係脱手
段５０が設けられている。すなわち、係脱手段５
０はベース３０に固設された台座にロツクピン部
材５１と動作ピン部材５２とが内外に進退可能に
支持されており、ロツクピン部材５１の外端はレ
ール溝１３の外壁の切欠１３ａに係脱するローラ
５１ａが枢着され、動作ピン部材５２はばね５２
ａで内方に突出するよう付勢され、その外端は被
押動端５２ｂをなしている。ロツクピン部材５１
と動作ピン部材５２との間には両端部がそれらに
係合するバタフライ状の連動部材５３が中心をベ
ース３０に枢支されて配設されている。

ギヤードケーブル１４には連結ブロツク１５が
固設されている。連結ブロツク１５はロツクピン
部材５１の内端である連結端５１ｂに係脱する凹
部１５ａおよび動作ピン部材５２の被押動端５２
ｂに係合可能な押動端１５ｂを有している。

次に作用を説明する。

第１図および第４図に示す全閉状態では、係脱
手段５０のロツクピン部材５１のローラ５１ａが
レール溝１３の切欠１３ａに係合してベース３０
はその位置に係止されている。この状態からギヤ
ードケーブル１４を右方に移動するよう駆動する
と、ギヤードケーブル１４により昇降機構４０の
ピニオン４５が回動され、それによりピニオン４
２が回動され、円弧状ラツク４３が上方に突出さ
れる。円弧状ラツク４３上端部は円弧軌跡に沿つ
て上昇し、したがつて開閉体２０の後部も円弧軌
跡に沿つて上昇する。この開閉２０後部の上昇に
従い、開閉体２０の前部は係合ピン２３，２３が
前支持部３１の案内支持溝３２，３３に案内され
て少し上昇し、上昇に従つてシール部材２１が開
口部１１の内端から離れるように移動する。

開閉体２０が傾動開閉の全開間際まで来ると、
ギヤードケーブル１４とともに移動している連結
ブロツク１５は係脱手段５０に近接し、第５図に
示すように、押動端１５ｂが動作ピン部材５２の
被押動端５２ｂに当接する。連結ブロツク１５が
さらに移動すると、押動端１５ｂの斜面が動作ピ
ン部材５２の被押動端５２ｂの斜面を押し動作ピ
ン部材５２を第５図において下方に移動させる。
動作ピン部材５２が下方に移動すると連動部材５
３が反転され、ロツクピン部材５１が動作ピン部
材５２とは逆に第５図において上方に移動し、連
結端５１ｂが連結ブロツク１５の凹部１５ａの嵌
合し、開閉体２０は傾動開閉の全開状態になると
共にベース３０とレール溝１３の切欠１３ａとの
係合がはずれ、開閉体２０の前後移動規制は解除
される。

ギヤードケーブル１４がこの状態からさらに移
動すると、ギヤードケーブル１４とベース３０と
は第６図に示すように、係脱手段５０を介して一
体となつて移動し、ルーフ１０の後部上面に摺動
し、開口部１１の前部が開いて第７図に示した状
態になり、さらに摺動して全開することができ
る。

開閉体２０を閉じるときは、ギヤードケーブル
１４を前記とは反対方向に移動させ、開閉体２０
が摺動して全開した状態から第７図に示す状態を
経て、傾動して全開した状態まで開閉体２０を閉
じる。すると、係脱手段５０のロツクピン部材５
１のローラ５１ａがレール溝１３の切欠１３ａに
対応する位置になつて嵌入し、連結ブロツク１５
の凹部１５ａの斜面が連結端５１ｂを押すととも
にばね５２ａの弾撥力も加わつてローラ５１ａを
さらに切欠１３ａに押込む、これにより係脱手段
５０は連結ブロツク１５から外れ、レール溝１３
に係止される。

ギヤードケーブル１４がさらに移動すると、そ
の歯により昇降機構４０のピニオン４５が回動さ
れ、枢軸４１を介してピニオン４２が回動される
ことにより円弧状ラツク４３が下降させられる。
開閉体２０は前記傾動させて開いたときとは反対
に傾動して閉じ、前記仮想中心を中心にして閉じ
るからシール部材２１は開口部１１の内縁にこす
れることなく最終的に圧接してシールする。

「発明の効果」 本発明に係る自動車用サンルーフ装置によれば
ベースの前支持部と開閉体の前端とを、極率半径
の異なる一対の案内支持溝と、それらに嵌合する
係合ピンとにより、開閉体の前端側が車体外側の
仮想中心を中心にして変位するよう案内支持し、
昇降手段でも、仮想中心に一致するよう円弧状ラ
ツクとピニオンにより開閉体を昇降させて傾動開
閉するようにしたから、開閉体の前端側が確実に
支持されるとともに、昇降手段の近傍での昇降変
位と開閉体の全端部の変位との仮想中心が一致し
て開閉体が円滑に傾動開閉し、傾動する際に、シ
ール部材が車体の開口部の内縁にこすれることが
なく、無理な動きをしないのでシール部材が疲労
したり永久変形せず、開閉体のシール性が低下し
たり、がたついたりすることがない。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示しており、第１図は
サンルーフ装置の要部縦断面図、第２図は第１図
−線断面図、第３図はサンルーフ装置を備え
た自動車の斜視図、第４図はサンルーフ装置の要
部平面図、第５図は傾動全開間際の係脱手段近傍
の平面図、第６図は傾動全開してから開閉体が摺
動して開いている状態の平面図、第７図は同じく
縦断面図である。 １０……ルーフ、１１……開口部、２０……開
閉体、２１……シール部材、２２……支持ブラケ
ツト、２３……係合ピン、３０……ベース、３
２，３３……案内支持溝、４０……昇降機構、４
２，４５……ピニオン、４３……円弧状ラツク、
５０……係脱手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 傾動して開閉可能な開閉体を有する自動車用
   サンルーフ装置において、 前記開閉体の前端側が該前端より前方で車体外
   側に仮想中心を有する円弧軌跡に沿つて昇降可能
   なよう、ルーフの開口部に装着されるベースに立
   設した前支持部と、該開閉体の前端から下方に突
   設された支持ブラケツトとの一方に、車体外側に
   仮想中心を有する半径の異なる一対の案内支持溝
   を設け、他方に該一対の案内支持溝にそれぞれ摺
   動可能に嵌合する係合ピンを設けて、前記前端側
   を案内支持し、 前記円弧軌跡の仮想中心と同心にて前記開閉体
   の他端側を変位させるよう、前記ベースに枢着さ
   れた回転駆動されるピニオンと、該ピニオンに噛
   合し、前記開閉体に装着され、前記仮想中心を中
   心とした円弧状ラツクとを有する昇降手段を他端
   側に設けたことを特徴とする自動車用サンルーフ
   装置。