JPH0312791Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は昇降装置、特に停電時に作動可能な昇
降装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のエレベータとその駆動機構より成る昇降
装置に於いては電気モータ等より成る駆動機構に
よつてエレベータを昇降させていたが停電時には
使用不能となり種々の不便を伴うものであつた。
このような欠点を除くため実開昭60−47782号公
報に示す昇降装置が提案されている。

この装置では停電時にエレベータ駆動モータを
回すために、昇降路に設けた一本の鉛直回転軸を
エレベータかご内からと各階から手動操作で回転
させ、更にこの回転を駆動モータに伝えるもので
ある。

〔考案が解決しようとする課題〕

然しながら上記の昇降装置では３階以上の多数
階の場合、かご内からの手動力の鉛直回転軸への
伝達点は、最上階から最下階までのエレベータか
ごの位置により変わる。これに対して各階からの
手動力の伝達点は固定しているので、移動するか
ご内からの手動力の伝達点と交錯する場合があ
り、階数が多くなるほどこれを解決するための構
造が複雑になる難点がある。中間の階が無い場合
は問題ないので１、２階用としては有効に利用で
きる。

本考案の目的は以上の如き欠点を取り除いた昇
降装置を得るにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の昇降装置は複数の階間を昇降するエレ
ベータと、前記エレベータを昇降せしめる駆動モ
ータと、各階に設けた手動操作用の回転軸を有す
る階操作箱と、前記エレベータの側壁に設けた手
動操作用の回転軸を有する本体操作箱と、最下の
フロアーに設けた下方プーリと、最上階の天井近
くに設けた上方プーリと、このプーリ間に懸架し
た伝動索と、前記駆動モータと伝動索を連結せし
める伝動機構とより成り、前記プーリ間に懸架さ
れた伝動索の一方の走行路側が本体操作箱の回転
軸に連結したプーリに巻回され、前記伝動索の他
方の走行路側が階操作箱内の回転軸に連結したプ
ーリに巻回されており、前記操作箱の回転軸を回
転することにより前記駆動モータを回転し、前記
エレベータを手動で昇降できるようにしたことを
特徴とする。

〔作用〕

本考案の昇降装置においては、停電時手動回転
ハンドルをエレベータ本体の側壁に設けた手動回
転軸又は各階にある階操作箱の手動回転軸に係合
させて回転すれば、伝導索及び巻取りドラムを介
してエレベータ昇降用駆動モータが回転されてエ
レベータが昇降するようになる。

〔実施例〕

以下図面によつて本発明の実施例を説明する。

第１図、第２図において、１は１階フロアー、
２は１階天井、３は２階フロアー、４は２階天
井、５は３階フロアー、６は３階天井、７は各階
の側壁、８は１階と３階の間を昇降するエレベー
タ本体で、箱型をして出入り口に直角な左右側壁
及び天井と床とで構成され開放した前部には本体
内ドア９が設けられている。１０は１階のドア、
１１は２階のドア、１２は３階のドア、１３と１
４は左右一対の案内柱、１５はエレベータ本体８
の側壁の上下部に固設されたコロ支持金具、１６
はこのコロ支持金具１５の先端に設けた案内コロ
で、この案内コロ１６は前記案内柱に嵌合して回
動し、エレベータ８の鉛直昇降の案内をする。

第３図〜第６図に示すように、１階フロアー１
にはエレベータ駆動モータ１７を設け、このモー
タ軸はスプロケツト１８と電磁クラツチ２１を中
間に介装して減速機２２の入力軸と連結し、この
減速機の出力軸２５は巻取りドラム２３に連結す
る。昇降ワイヤ２８の一端をドラム２３に巻付け
られるように固定し、他端を３階天井６に設けた
滑車３０を通つてエレベータ本体８の天井部に固
定する。通電時には電磁クラツチ２１は作動せず
スプロケツト１８と減速機入力軸は離間するよう
にしているが、停電時には前記電磁クラツチ２１
が作動し減速機入力軸とスプロケツト１８が一体
となるようにする。

更に第６図に示すように１階フロアー１の上で
両端を軸受２７で支えた中心軸２６にスプロケツ
ト１９と下方プーリ２４を固設し、チエーン２０
によりスプロケツト１９，１８を連結する。

又上方プーリ３２を、下方プーリ２４の鉛直上
方で３階天井６の近くの案内柱１３の上端部に設
け、この両プーリに伝動索３１を懸架する。

次に第４図、第７図〜第９図に示すように、エ
レベータ本体８の外側面に本体操作箱３３を取り
付けて、その中に手動回転軸３５を回転自在に支
承して設け、この手動回転軸３５の先端部分を四
角断面にしてエレベータ本体８の側壁に設けた孔
内に覗かせ、他端に設けたベベルギヤ３４と噛み
合うベベルギヤ３６を介して、ロープ巻き付けプ
ーリ３７と連動するようにし、更にこのプーリ３
７に伝動索３１を滑りのないように張りをかけて
巻回する。

また第１０図〜第１２図に示すように、各階の
通路の側壁７に階操作箱４０を取り付け、その中
に手動回転軸４２を回転自在に支承して設け、こ
の手動回転軸４２の先端部分を四角断面にして此
の取り付け側壁７に設けた孔内に覗かせ、他端に
はロープ巻き付けプーリ４１を固設し、更にこの
プーリ４１に伝動索３１を滑らないように張りを
かけて巻回する。この際プーリ３７とプーリ４１
は、第５図に示すように伝動索３１の緊張側、と
弛緩側の走行路のいずれかに分けて巻回して、エ
レベータ昇降とともに動くプーリ４１と固定位置
のプーリ３７が交錯しないようにする。停電時に
は第１３図に示すような手動回転ハンドル３９
を、前記手動回転軸３５，４２の先端部分に係合
させて回転し、前記プーリ３７，４１を手動で回
転できるようにする。

本考案装置は上記のような構成であるから、通
電時には駆動モータ１７の駆動により減速機２２
を介して、巻取りドラム２３を回転させて昇降ワ
イヤ２８の巻き上げまたは巻き降ろしにより本体
８を昇降させる。

停電時にエレベータに乗つている人が本体８を
昇降させるには、手動回転ハンドル３９をエレベ
ータ本体８の側壁の手動回転軸３９に係合させて
回転し、ベベルギヤ３４，３６を介してロープ巻
き付けプーリ３７を回して、ついで伝動索３１を
介して下方プーリ２４を回し、更にスプロケツト
１９、チエーン２０を介してスプロケツト１８を
回す。電磁クラツチ２１により減速機２２の入力
軸とスプロケツト１８は一体となつているので前
記入力軸が回り、更に減速機出力軸２５を介して
巻取りドラム２３が回り、昇降ワイヤ２８を巻取
り又は巻き戻ししてエレベータを昇降させる。

停電時にエレベータの外にいる人は手動回転ハ
ンドル３９で各階にある階操作箱４０の手動回転
軸２４を回すことによりロープ巻き付けプーリ４
１を回して、あとは前記と同じ経過によりエレベ
ータを昇降させる事が出来る。

上記の実施例は電動機を駆動して巻取りドラム
を回して昇降ワイヤに懸吊したエレベータを昇降
させたが、昇降ワイヤを使用しない電動機駆動の
他の形式のエレベータにも同じく実施出来る。

また上方プーリ３２は３階天井６に設けても良
い。

尚、１階と最上階では、伝動索を駆動させる代
わりに、上方プーリ３２及び下方プーリ２４を直
接駆動しても良い。

第１４図〜第１９図は前記実施例における伝動
索３１をロープからチエーンに変えた本考案の他
の実施例を示し、この例に於いてはロープ巻き付
けプーリ３７，４１の代わりに夫々アイドルスプ
ロケツト５０，５２、スプロケツト５１の組及び
アイドルスプロケツト５７，５９、スプロケツト
５８の組を用いるがその作用効果は前記実施例と
同様である。

〔考案の効果〕

上記のように本考案昇降装置によれば、従来停
電時使用出来なかつたエレベータを停電時におい
ても使用出来、又上方のプーリ間に架けた伝動索
の一方の走行路側にかご内からの手動力を伝達
し、他方の走行路側に各階からの手動力を伝達す
るようにしたので、かご内からと各階からの力の
伝達点が交錯する恐れはまつたくなく、従来の欠
点を取り除き得る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案昇降装置の説明用縦断側面図、
第２図はその説明用正面図、第３図は駆動部分側
面図、第４図は本体操作箱部分の横断平面図、第
５図は駆動部分正面図、第６図は昇降駆動装置の
説明図、第７図は本体操作箱の正面図、第８図は
本体操作箱の平面図、第９図は本体操作箱の側面
図、第１０図は階操作箱の側面図、第１１図は階
操作箱の平面図、第１２図は階操作箱の正面図、
第１３図ｄ，ｂは手動回転ハンドルの側面図及び
正面図、第１４図は本考案の他の実施例に於ける
本体操作箱の正面図、第１５図は本体操作箱の平
面図、第１６図は本体操作箱の側面図、第１７図
は階操作箱の側面図、第１８図は階操作箱の平面
図、第１９図は階操作箱の正面図である。 １……１階フロアー、２……１階の天井、３…
…２階のフロアー、４……２階の天井、５……３
階のフロアー、６……３階の天井、７……各階の
側壁、８……エレベータ本体、９……本体内ド
ア、１０……１階ドア、１１……２階ドア、１２
……３階ドア、１３，１４……案内柱、１５……
コロ支持金具、１６……案内コロ、１７……駆動
モータ、１８，１９……スプロケツト、２０……
チエーン、２１……電磁クラツチ、２２……減速
機、２３……ロープ巻き取りドラム、２４……下
方プーリ、２５……出力軸、２６……中心軸、２
７……軸受、２８……昇降ワイヤ、３０……滑
車、３１……伝動索、３２……上方プーリ、３３
……本体操作箱、３４，３６……ベベルギヤ、３
５，４２……手動回転軸、３７，４１……ロープ
巻き付けプーリ、４０……階操作箱、５０，５
２，５７，５９……アイドルスプロケツト、５
１，５８……スプロケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数の階間を昇降するエレベータと、前記エ
   レベータを昇降せしめる駆動モータと、各階に
   設けた手動操作用の回転軸を有する階操作箱
   と、前記エレベータの側壁に設けた手動操作用
   の回転軸を有する本体操作箱と、最下のフロア
   ーに設けた下方プーリと、最上階の天井近くに
   設けた上方プーリと、このプーリ間に懸架した
   伝動索と、前記駆動モータと伝動索を連結せし
   める伝動機構とより成り、前記プーリ間に懸架
   された伝動索の一方の走行路側が本体操作箱の
   回転軸に連結したプーリに巻回され、前記伝動
   索の他方の走行路側が階操作箱内の回転軸に連
   結したプーリに巻回されており、前記操作箱の
   回転軸を回転することにより前記駆動モータを
   回転し、前記エレベータを手動で昇降できるよ
   うにしたことを特徴とする昇降装置。 (2) 前記伝動索が鎖であり、前記伝動索を懸架す
   るプーリが鎖車である実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の昇降装置。