JPH0311575Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はデイーゼルエンジンの副燃焼室または
燃焼室内を予熱するためのグロープラグに関し、
特に発熱体としてのセラミツクヒータおよび外部
接続端子間に介在される金属導体による接合部の
信頼性を向上させ得るようにしたデイーゼルエン
ジン用グロープラグの改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に、デイーゼルエンジンは低温時の始動性
が悪いため、副燃焼室または燃焼室内にグロープ
ラグを設置し、これに電流を流して発熱させるこ
とで、吸気温度を上昇させあるいは着火源として
用い、エンジンの始動性を向上させる方法が採用
されている。

ところで、この種のグロープラグとして近年で
は、従来一般的であつたシース型に比べ速熱性な
どの面で優れてなるセラミツクヒータ型のものが
盛んに採用されるようになつてきており、その一
例がたとえば特開昭57−41523号公報あるいは特
開昭60−9085号公報や特開昭60−14784号公報等
に示されている。そして、このセラミツクヒータ
型グロープラグによれば、従来のシース型に比べ
て熱伝達効率や発熱特性の面で優れ、さらに加熱
時において短時間で赤熱して温度立上り特性を大
幅に向上させ得るとともに、速熱型としての性能
を発揮し得る等の効果を期待し得るものであつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述したセラミツクヒータ型の
グロープラグによれば、ホルダ先端部に発熱体と
して保持されているセラミツクヒータとこれに所
定間隔おいて対向するようにしてホルダ後端側に
保持されている外部接続端子とを電気的に接続す
るために用いられている金属導線による接合部で
の信頼性を確保し得ないといつた問題があり、何
らかの対策を講じることが望まれている。

すなわち、上述したセラミツクヒータを用いて
なるグロープラグにあつては、このヒータと外部
接続端子とを、たとえば鉄、ニツケル等からなる
フレキシブルワイヤ等、ある程度の柔軟性をもつ
金属導線で接続し、これにより端子側に加わる
種々の振動や締付けトルク等の機械的外力からヒ
ータを強度的に保護し得るような構成が一般に採
用されている。そして、このような金属導線は、
通常、その一端がターミナルキヤツプ等を介して
ヒータ後端部にろう付け等で接合固定されるとと
もに、他端が外部接続端子先端部にスポツト溶接
等で接合固定されるが、この場合において金属導
線のスポツト溶接部が部分的に押しつぶされて線
形が細くなり、これが原因して金属導線の断線等
を生じる等の問題を招く虞れがあり、この金属導
線によるヒータと端子との接合部での信頼性を確
保し得ないものであつた。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した問題点を解決するために本考案に係る
デイーゼルエンジン用グロープラグは、ホルダ先
端部に保持されているＵ字状を呈する導電性セラ
ミツク材からなる棒状セラミツクヒータと、ホル
ダ後端側に絶縁状態で保持されている外部接続端
子とを電気的に接続するために帯状板材からなる
金属導体を用い、かつこの金属導体の両端部を、
セラミツクヒータの後方で他方側よりも延設して
形成した一方のリード部先端の電極取出し端に設
けた平坦部と、外部接続端子の先端側に形成した
接続端に設けた平坦部とに、同時にろう付け接合
させることにより電気添接続状態が得られるよう
に構成したものである。

〔作用〕

本考案によれば、セラミツクヒータ後端側の電
極取出し端と、外部接続端子先端側の接続端と
に、帯状板材からなる金属導体のそれぞれの端部
を位置合せして載置し、かつそれぞれの接合部分
を同時にろう付けすることで、簡単かつ適切に接
合固定し得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係るデイーゼル
エンジン用グロープラグの一実施例を示すもので
あり、まず、第１図を用いて全体を符号１０で示
すグロープラグの概略構成を簡単に説明すると、
このグロープラグ１０は、先端側が発熱部として
機能する棒状セラミツクヒータ１１と、このセラ
ミツクヒータ１１を先端部において保持する略管
状を呈する金属製ホルダ１２とを備え、このホル
ダ１２後端部には合成樹脂材などからなる絶縁ブ
ツシユ１３を介して外部接続端子１４が同心状に
嵌合保持されている。なお、図中１３ａは絶縁ブ
ツシユ１３外周部に一体的に嵌装され組付時にブ
ツシユ１３を所要の機械的強度をもつてホルダ１
２側に一体化せしめるための金属製パイプであ
る。また、１５ａ，１５ｂ，１５ｃは前記外部接
続端子１４後端側のねじ部に螺合された絶縁リン
グ、固定用ナツト、外部リード締付け用ナツト
で、図示せぬバツテリからのリード線などをナツ
ト１５ｂ，１５ｃ間で挟持することにより外部接
続端子１４をバツテリ端子に電気的に接続する。
一方、前記ホルダ１２はその外周ねじ部１２ａが
図示しないエンジンのシリンダヘツド側のねじ孔
に螺合されることで電気的にアース接続されると
同時に、ヒータ１１の先端を副燃焼室または燃焼
室内に突出して配置させるものである。

また、本考案によれば、ホルダ１２先端に保持
される棒状セラミツクヒータ１１として、肉厚が
薄くなるように小径に形成されたＵ字状発熱部２
０およびその両端から後方に平行して延設される
一対のリード部２１，２２を有し、かつこれらを
導電性セラミツク材で一体に形成することで全体
が略々Ｕ字状を呈するように構成し、さらに一方
のリード部２１外周面に導電層として金属メタラ
イズ層２３（ニツケルメツキ層がその表面に積層
して形成される）を、他方に絶縁層として絶縁コ
ーテイング層２４（ニツケルメツキ層がその表面
に積層して形成される）を形成した状態で、この
部分を銀ろう付け等でホルダ１２に接合して保持
させるような構造を有するものを用いた場合を示
している。なお、２５はヒータ１１の長手方向に
沿うスリツトである。

そして、上述した一方のリード部２１は、その
外周面の金属メタライズ層２３を介してホルダ１
２側に電気的にアース接続されるとともに、他方
のリード部２２の後端部から前記一方のリード部
２１よりも後方に延設して形成された電極取出し
端２６のスリツト２５側に面する平坦部分に対し
前記外部接続端子１４側から後述する帯状を呈す
る金属導体３０の先端が電気的に陽極接続され、
これによりヒータ１１内を電流が流れるものであ
る。ここで、図中２７は前記電極取出し端２６部
分に形成された金属メタライズ層で、勿論その表
面には上述したと同様にニツケルメツキ層が形成
されており、これに前記金属導体３０がろう付け
接合されるものである。

また、上述したようなセラミツクヒータ１１
は、周知のように、金属導体３０を介して外部接
続端子１４と接続された状態でホルダ１２内に嵌
込まれ、リード部２１，２２外周面がそれぞれ導
電層２３および絶縁層２４を介してろう付け等で
固着されることにより、グロープラグ１０として
組立てられるものである。

ここで、上述したように略々Ｕ字状を呈するセ
ラミツクヒータ１１を形成する導電性セラミツク
材としては、たとえば窒化ケイ素等を主成分とす
るサイアロン（SiAION）に導電性を付与したセ
ラミツク材を用いるとよいものであるが、これに
限定されないことも勿論である。

さて、本考案によれば、上述した構成によるセ
ラミツクヒータ型のグロープラグ１０において、
ホルダ１２先端部に保持されているセラミツクヒ
ータ１１と、ホルダ１２後端側に絶縁状態で保持
されている外部接続端子１４とを、第２図および
第３図からも明らかなように、対向するそれぞれ
の端部（ヒータ電極取出し端２６の平坦部および
外部接続端子１４先端側の接続端１４ａに設けた
平坦部）に対し同時にろう付け接合された帯状を
板材からなる金属導体３０により、電気的に接続
するようにしたところに特徴を有している。

すなわち、セラミツクヒータ１１に対し外部接
続端子１４を接続するにあたつて、外部接続端子
１４に加わる種々の振動や締付けトルク等の機械
的外力からヒータ１１を強度的に保護することが
必要とされ、従来はある程度柔軟性を有するフレ
キシブルワイヤ等といつた線径が0.8mm程度の金
属導線を用い、この導線をターミナルキヤツプを
介してヒータ１１側にろう付け接合し、またスポ
ツト溶接で端子１４側に接合固定していることか
ら生じる問題、つまりターミナルキヤツプを必要
とし、さらにスポツト溶接部がつぶれて断線等を
生じ易いといつた不具合を、上述したような帯状
板材からなる金属導体３０を用いることで解消し
得るようにしたものである。

ここで、上述した帯状金属導体３０としては、
所要の柔軟性を確保し得るように、板厚が0.1〜
0.5mm、幅が１〜４mm程度の大きさをもつて、た
とえば鉄、銅、ニツケル、ステンレス鋼等による
薄板状から打抜き成形したものを用いるとよいも
のである。

また、本実施例では、上述した帯状金属導体３
０の両端部に、銀ろう材を予め付着することでろ
う材付着部３１，３１を形成し、これらを前記セ
ラミツクヒータ１１後端側の電極取出し端２６
と、外部接続端子１４先端側の接続端１４ａとの
平坦部にそれぞれ位置合せして載置し、かつそれ
ぞれの接合部分を、第３図に示すように、対をな
す電極３２，３２，３３，３３で挟み込んた状態
で＋，−電圧をかけることにより、同時にろう付
けすることで、簡単かつ適切に接合固定し得るも
のである。なお、上述したようなろう付け方法と
しては、抵抗ろう付けに限定されず、レーザ等で
の加熱によるろう付けであつてもよいものであ
り、また上述したろう材付着部３１，３１を形成
せずに、ろう付け時において接合部材間に、ろう
箔等を介在させて加熱するようにしてもよいこと
は容易に理解されよう。

そして、上述したような帯状金属導体３０によ
るろう付け接合によれば、従来のような断線等と
いつた問題はなくなり、ヒータ１１と外部接続端
子１４との接合部の信頼性を大幅に向上させ得る
ものであり、またヒータ１１側の電極取出し端２
６に直接ろう付け接合するためにターミナルキヤ
ツプも不要で、さらに二個所の接合部分を同時に
ろう付けできるため、作業性やコスト面から優れ
ている等といつた利点を奏するものである。

なお、本実施例では、帯状金属導体３０の先端
が接合されるヒータ１１側の電極取出し端２６を
半円柱状に形成し、その平坦面に導体３０を接合
させるようにしているが、その接合部分の形状等
については種々の変形例が考えられるものであ
る。また、本実施例におけるセラミツクヒータ１
１によれば、その長手方向に沿つて形成されたス
リツト２５により、ホルダ１２内部空間がヒータ
１１が臨むエンジン燃焼室等と連通された状態と
なるものであり、これにより燃焼室内での爆発時
における燃焼圧のエンジン外部への洩れ防止を図
ることが必要とされるため、ホルダ１２後端部開
口部分で外部接続端子１４に一体的に設けられた
絶縁ブツシユ１３の外方端側に、たとえばアスベ
スト、ゴム等による密閉用シート２８を介在させ
てこの部分を機械的にシールするような構成を採
用した場合を示している。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造等を、適宜変形、変更する
ことは自由である。たとえばセラミツクヒータ１
１しては、上述した実施例構造に限定されず、
種々の変形例が考えられるものである。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、ホルダ先
端部に保持されているＵ字状を呈する導電性セラ
ミツク材からなる棒状セラミツクヒータと、ホル
ダ後端側に絶縁状態で保持されている外部接続端
子とを電気的に接続するために帯状板材からなる
金属導体を用い、かつこの金属導体の両端部を、
セラミツクヒータ後端側で他方側よりも延設して
形成した一方のリード部先端の電極取出し端に設
けた平坦部と、外部接続端子の先端側に形成した
接続端に設けた平坦部とに、同時にろう付け接合
させることにより電気的接続状態が得られるよう
に構成したので、簡単な構成にもかかわらず、従
来のような断線等といつた問題を生じることはな
く、ヒータと外部接続端子との接合部の信頼性を
大幅に向上させ得るものであり、またヒータ側の
電極取出し端に直接ろう付け接合するためにター
ミナルキヤツプも不要で、さらに二個所の接合部
分を同時にろう付けできるため、作業性やコスト
面から優れている等といつた実用上種々優れた効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るデイーゼルエンジン用グ
ロープラグの一実施例を示す縦側断面図、第２図
はその要部を拡大して示す概略分解斜視図、第３
図は要部とする帯状を呈する金属導体のセラミツ
クヒータおよび外部接続端子に対する接合状態を
説明するための概略図である。 １０……デイーゼルエンジン用グロープラグ、
１１……棒状セラミツクヒータ、１２……中空状
ホルダ、１４……外部接続端子、２０……導電性
セラミツク材による発熱部、２１，２２……導電
性セラミツク材によるリード部、２３……金属メ
タライズ層（導電層）、２４……絶縁コーテイン
グ層（絶縁層）、２６……電極取出し端、２７…
…金属メタライズ層（導電層）、３０……帯状を
呈する金属導体、３１……ろう材付着部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一端を外部に突出させた状態で中空状ホルダ
   先端部に保持されている棒状セラミツクヒータ
   と、前記ホルダ後端側に絶縁状態で保持されて
   いる外部接続端子と、これら棒状セラミツクヒ
   ータ後端側と外部接続端子先端側とを電気的に
   接続する帯状板材により形成されている金属導
   体とを備えてなり、前記セラミツクヒータは、
   Ｕ字状発熱部およびその両端から後方に平行し
   て延設される一対のリード部を導電性セラミツ
   ク材にて一体に形成することで構成されるとと
   もに、リード部の一方が他方側よりも後方に延
   設されることにより平坦部を有する電極取出し
   端が形成され、かつ前記外部接続端子の先端側
   に平坦部を有する接続端子が形成されており、
   前記帯状板材による金属導体の両端部が、前記
   電極取出し端の平坦部と接続端の平坦部に同時
   にろう付け接合されることにより、前記セラミ
   ツクヒータと外部接続端子とが電気的に接続さ
   れていることを特徴とするデイーゼルエンジン
   用グロープラグ。 (2) セラミツクヒータと外部接続端子とを接続す
   る帯状板材からなる金属導体の両端部には、予
   めろう材が付着して設けられていることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載のデ
   イーゼルエンジン用グロープラグ。