JPH0311408Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、主室と副室とが形成されたタンク本
体の主室に、副室側の燃料を吸引するジエツトポ
ンプが設けられた燃料タンクの燃料移送装置の改
良に関する。

従来の技術 従来、燃料タンクの移送装置としては、第４図
に示した構造のものが提案されている（特開昭62
−68129号公報参照）。すなわちタンク本体１には
底壁２の略中央部に内部方向に膨出する膨出部３
が形成されており、これによつて該膨出部３の両
側にはタンク本体１の略下半部に主室４と副室５
とが隔成されている。前記主室４内には、フイー
ドパイプ６とリターンパイプ７とが配設されてお
り、前記フイードポンプ６の一端部には、前記底
壁２の近傍に位置するフイルタ８が装着されてい
るとともに、他端部は、タンク本体１外部のフイ
ードポンプを介して燃料供給装置（図外）に連通
されている。該燃料供給装置には、前記リターン
パイプ７の一端が連通されており、該リターンパ
イプ７の他端にはジエツトポンプ９が設けられて
いる。該ジエツトポンプ９には、下端部に絞り部
１０を有するチヤンバ１１が設けられており、該
チヤンバ１１内には前記リターンパイプ７の端末
部に形成された小径部１２が突設されているとと
もに、前記絞り部１０には噴射ノズル１３が連設
されている。又前記チヤンバ１１の側壁には移送
パイプ１４が連通接続されており、該移送パイプ
１４の一端開口部１５は前記副室５の底壁２近傍
に位置している。

かかる構造において、前記フイードポンプを駆
動すると主室４内の燃料は、フイードパイプ６を
介してタンク本体１外部の燃料供給装置に送出さ
れる。該燃料供給装置において残余した余剰燃料
はリターンパイプ７を経由して主室４内に帰還す
る。このときリターンパイプ７の端末部には小径
部１２が設けられていることから、前記フイード
ポンプの吐出圧により余剰燃料は小径部１２より
絞り部１０、噴射ノズル１３に向けて噴射され
る。このためチヤンバ１１内の小径部１２周囲に
負圧が発生し、この負圧により副室５側の燃料は
移送パイプ１４を介してチヤンバ１１内に吸引さ
れ、前記余剰燃料とともに噴射ノズル１３から主
室４側に噴出されるのである。

考案が解決しようとする問題点 しかしながらこのような従来の装置において前
記噴射ノズル１３は直下を指向し、副室４に底面
１６に対して直交する方向に垂設されている。よ
つて噴射ノズル１３から噴出された余剰燃料と副
室５内の燃料は矢印で示したように前記底面１６
に撃突し、しかる後に噴流となつて反転し、噴射
ノズル１３内部に向かつて逆流する。このため逆
流した燃料により、噴射ノズル１３から噴射され
る前記燃料の円滑な流出が阻害され、その結果チ
ヤンバ１１内の圧力低下が不充分となつてしま
う。このためチヤンバ１１内の負圧により副室５
内の燃料を吸引するジエツトポンプ９の吸引能力
が低下し、副室５側から主室４側への燃料移送が
遅延してしまうおそれがあつた。

本考案はこのような従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、前記噴射ノズル１３からの燃料
噴射が円滑に行い得るようにすることによつてジ
エツトポンプ９の吸引能力を最大限に発揮させる
ことを可能にした燃料タンクの燃料移送装置を提
供するものである。

問題点を解決するための手段 前記問題点を解決するために本考案にあつて
は、タンク本体に主室と副室とが形成され、前記
主室に燃料をタンク本体外部のエンジンに付設さ
れた燃料供給装置に送出するフイードパイプと、
前記燃料供給装置の余剰燃料を帰還させるリター
ンパイプとが配設され、該リターンパイプの端部
に前記余剰燃料の噴出に伴つて負圧を生じさせる
ジエツトポンプが設けられ、該ジエツトポンプに
前記負圧によつて副室側の燃料を主室側に吸引移
送する移送パイプが連通接続された構造におい
て、ジエツトポンプを構成するリターンパイプ下
端の小径部と、移送パイプが接続され上記小径部
を囲むチヤンバと、チヤンバの下端に設けられた
絞り部とこれに連なる噴射ノズルとの軸線が前記
主室の底面に対して傾斜配置され、かつ、上記噴
射ノズルは、燃料を上記主室の底面に対して傾斜
した状態で噴射させる噴射口を備え、該噴射ノズ
ルの噴射口が上記主室の底面に近接されている。

作 用 前記構成において、燃料供給装置から、余剰燃
料がリターンパイプを介して主室内に帰還する
と、ジエツトポンプに余剰燃料の噴出に伴つて負
圧が生じ、該負圧によつて副室側の燃料は移送パ
イプを介して主室側に吸引される。このときジエ
ツトポンプを構成する小径部、チヤンバ、絞り部
及び噴射ノズルの軸線が前記主室の底面に対して
傾斜配置され、かつ噴射ノズルは燃料を主室の底
面に対して傾斜した状態で噴射させる噴射口を備
え、該噴射ノズルの噴射口が主室の底面に近接さ
れていることから前記噴射ノズルから主室内に噴
射される余剰燃料と副室側の燃料とは、主室の底
面に撃突して噴流となつたり、噴射ノズル内に逆
流することなく、前記底面に沿つて層流を形成し
つつ流れる。したがつて噴射ノズルから主室への
燃料噴出が円滑となり、ジエツトポンプの負圧発
生作用は促進される。

実施例 以下本考案の一実施例について図面に従つて説
明する。すなわち第１図に示したように、タンク
本体１には底壁２の略中央部に、内部方向に膨出
する膨出部３が形成されており、これによつて該
膨出部３の両側にはタンク本体１の略下半部に主
室４と副室５とが隔成されている。前記主室４に
はフイードパイプ６とリターンパイプ７とが配設
されており、前記フイードパイプ６の一端部には
前記底壁２の近傍に吸込口１７が設けられたフイ
ードポンプ１８が取り付けられているとともに、
他端部はエンジン１９に付設された燃料供給装置
（図示せず）に連通されている。該エンジン１９
に付設された燃料供給装置には、リターンパイプ
７の一端が連通されており、該リターンパイプ７
の他端部には前記主室４の底面１６に対して所定
角度θ（例えば45゜）屈曲した斜状部２０が形成さ
れている。該斜状部２０には、下端部に噴射ノズ
ル１３と有するジエツトポンプ９が設けられてお
り、これによつて噴射ノズル１３は第２図に示し
たように水平状である主室４の底面１６に対し前
記所定角度θをもつて傾斜配置され、その噴射口
１３ａから噴射される燃料が主室４の底面１６に
対して傾斜した状態で噴出されるようになつてい
る。また、上記噴射口１３ａは主室４の底面１６
に近接されている。前記ジエツトポンプ９の内部
構造は、第４図に示したものと同様であつて、チ
ヤンバ１１、絞り部１０、及びリターンパイプ７
の端末部に設けられた小径部１２等からなる。し
たがつて、小径部１２、チヤンバ１１、絞り部１
０及び噴射ノズル１３の軸線が主室４の底面１６
に対して傾斜配置されることとなる。前記チヤン
バ１１にはエルボ２１を介して移送パイプ１４が
連通接続されており、該移送パイプ１４にも前記
リターンパイプ７の斜状部２０と水平状に屈曲さ
れた斜状部２２が設けられているとともに、移送
パイプ７の一端開口部１５は前記副室５の底壁２
近傍に位置している。

以上の構成に係る本実施例において、エンジン
１９を始動させると、これに伴つてフイードポン
プ１８が稼動し、主室４内の燃料は、フイードパ
イプ６を介してエンジン１９に付設された燃料供
給装置に送出される。該燃料供給装置において残
余した余剰燃料はリターンパイプ７を経由し、噴
射ノズル１３より主室４内に帰還し、第４図をも
つて既説したようにジエツトポンプ９内のチヤン
バ１１に生ずる負圧により副室５側の燃料は移送
パイプ１４を介してジエツトポンプ９から主室４
側に移送される。このとき前記小径部１２、チヤ
ンバ１１絞り部１０及び噴射ノズル１３の軸線は
主室４の底面１６に対して所定角度をもつて傾斜
されているため噴射ノズル１３の噴射口１３ａに
至るまでの燃料はジエツトポンプ９内でロスなく
流れ、かつ、噴射ノズル１３は、燃料を主室４の
底面１６に対して傾斜した状態で噴射させる噴射
口１３ａを備えているため噴射ノズル１３の噴射
口１３ａから主室４内に噴射される前記余剰燃料
と副室５内の燃料とは、第１図に矢示したように
前記底面１６に沿つた層流を形成する。したがつ
て噴射ノズル１３から噴出された前記燃料が、前
記底面１６に撃突したり、撃突後噴流となつて噴
射ノズル１３内に逆流する現象が生ずるようなこ
とはなく、前記層流によつて噴射ノズル１３から
主室４内への燃料噴出が円滑に行なわれることと
なる。また、噴射ノズル１３の噴射口１３ａが主
室４の底面１６に近接されているため、噴射口１
３ａと移送パイプ１４の一端開口部とが燃料内に
位置している時間を長くできるので、移送パイプ
１４内に燃料がいわゆる呼び水となつて残り、ジ
エツトポンプ９の吸上能力が向上すると共に噴射
口１３ａからの燃料が主室４内の液面と衝突する
ことがなく、異音の発生を防止できる。この結果
前記チヤンバ１１内の圧力低下が促進され、該チ
ヤンバ１１内の負圧によつて副室５内の燃料を吸
収するジエツトポンプ９の吸引能力を最大限に発
揮させるとができ、副室５から主室４への燃料移
送を遅延なく行うことが可能となるのである。

第３図本考案の他の実施例をすものであり、リ
ターンパイプ７と移送パイプ１４の主室４側端部
は共に垂直状に成形され、ジエツトポンプ９自体
は垂直方向に配設されている。一方タンク本体１
の底壁２には、ジエツトポンプ９の噴射ノズル１
３と対向する部位に、該噴射ノズル１３に対し前
記所定角度θをもつて傾斜した傾壁２３が設けら
れている。かかる実施例においては、傾壁２３を
設けることにより、噴射ノズル１３は傾壁２３が
形成する主室４の底面１６に対して前記所定角度
θをもつて傾斜配置される結果となり、前記実施
例と同様に噴射ノズル１３から主室４への燃料噴
射が円滑に行われる。しかもこの実施例において
は、噴射ノズル１３を有するジエツトポンプ９自
体は垂直状に配設されていることから、前記噴射
ノズル１３から噴出する燃料に重力が有効に作用
し、これによつて燃料噴出速度がより一層高めら
れ、ジエツトポンプ９の吸引能力を向上させるこ
とも可能となるのである。

考案の効果 以上説明したように本考案は、リターンパイプ
を介して帰還した余剰燃料の噴出に伴つて負圧を
生じさせ、該負圧によつて副室側の燃料を主室側
に吸引するジエツトポンプが設けられた構造にお
いて、ジエツトポンプを構成する小径部、チヤン
バ、絞り部及び噴射ノズルの軸線は、主室の底面
に対して所定角度をもつて傾斜され、かつ噴射ノ
ズルは燃料を主室の底面に対して傾斜した状態で
噴射させる噴射口を備え、該噴射口は主室の底面
に近接されている構造とした。よつて前記噴射ノ
ズルに至るまでの燃料がスムーズに流れ、噴射ノ
ズルから主室内に噴射されている余剰燃料と副室
側の燃料とが、前記底面に衝突して反転し噴射ノ
ズル内に向かう噴流が生ずるようなことはなく、
主室内に層流を形成しつつ流れる。また、噴射ノ
ズルの噴射口が主室の底面に近接されているた
め、噴射口と移送パイプの一端開口部とが燃料内
に位置している時間を長くできるので、移送パイ
プ内に燃料がいわゆる呼び水となつて残る。この
ため噴射ノズルから主室内への燃料噴出が円滑に
行われ、その結果ジエツトポンプの負圧発生作用
を促進させることができる。したがつてジエツト
ポンプの吸引能力を最大限に発揮させることが可
能となり、副室から主室への燃料移送を迅速かつ
確実に行うことを可能にする。

しかも、燃料の温度上昇に伴つてにジエツトポ
ンプ内に発生したベーパ（蒸発ガス）を噴射ノズ
ルから噴出することができるので、移送パイプ側
にベーパの侵入が阻止されて副室側の燃料が吸引
されなくなることを防止できる。

加えて第３図に示した実施例にあつては噴射ノ
ズルが設けられたジエツトポンプ自体は垂直状に
配設されていることから前記噴射ノズルから噴出
する燃料に重力を有効に作用させることができ
る。よつてジエツトポンプの吸引能力を最大限に
発揮させるに止まらず、吸引能力の向上を図るこ
とも可能にするものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概念図、第２
図は同実施例に係るジエツトポンプの断面図、第
３図は本考案の他の実施例を示す概念図、第４図
は従来の燃料タンクの燃料移送装置を示す概念図
である。 １……燃料タンク、４……主室、５……副室、
６……フードパイプ、７……リターンパイプ、９
……ジエツトポンプ、１０……絞り部、１１……
チヤンバ、１２……小径部、１３……噴射ノズ
ル、１３ａ……噴射口、１４……移送パイプ、１
６……底面、２３……傾壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タンク本体に主室と副室とが形成され、前記主
   室に燃料をタンク本体外部に送出するフイードパ
   イプと、タンク本体外部の余剰燃料を帰還させる
   リターンパイプとが配設され、該リターンパイプ
   の端部に前記余剰燃料の噴出に伴つて負圧を生じ
   させるジエツトポンプが設けられ、該ジエツトポ
   ンプに前記負圧によつて副室側の燃料を主室側に
   吸引移送する移送パイプが連通接続された構造に
   おいて、ジエツトポンプを構成するリターンパイ
   プ下端の小径部と、移送パイプが接続され上記小
   径部を囲むチヤンバと、チヤンバの下端に設けら
   れた絞り部とこれに連なる噴射ノズルとの軸線が
   前記主室の底面に対して傾斜配置され、かつ上記
   噴射ノズルは、燃料を上記主室の底面に対して傾
   斜した状態で噴射させる噴射口を備え、該噴射ノ
   ズルの噴射口が上記主室の底面に近接されている
   ことを特徴とする燃料タンクの燃料移送装置。