JPH0310867Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、磁気誘導によつてスプールに制動を
かけるようにした魚釣用リールのバツクラツシユ
防止装置に関する。

〔従来の技術〕

従来上記バツクラツシユ防止装置において、仕
掛け投擲時のスプールの過回転によるバツクラツ
シユを防止するために、スプールと一体に回転す
る非磁性導電体の両側もしくは片側に磁性体を配
設し、磁性体の磁力で非磁性導電体に渦電流を発
生させてスプールの回転に磁気制動をかけるよう
構成したものが知られているが、この装置では、
投擲中、磁性体の調整を行ない得ないので、投擲
前からスプールの回転に磁気制動がかけられてお
り、為に飛距離が伸びない問題点がある。

そこで、上記問題点を解決しようとしたものと
しては実開昭59−178070号公報に開示されたもの
が提案されている。この装置は、スプールの回転
開始から時限設定時間に到達したとき自動的に制
動がかけられる構成である。

しかし、この装置によつても次のような問題点
がある。

仕掛けが、スプール回転開始から所定位置まで
到達するのに要する時間を設定するのは極めて困
難であるだけでなく、投擲の都度、飛距離（経過
時間）もまちまちであるから、仕掛けが時限設定
時間経過後に到達する場合は良いが、時限設定時
間以内に到達した時や、投擲を失敗して仕掛けが
近くに着水した場合等でも一定時間経過しなけれ
ば制動がかゝらず、ためにバツクラツシユが生じ
る問題点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記問題点を解消しようとしたもの
で、スプールの回転を検知するセンサーよりの信
号を基準クロツク回路の信号毎にパルス数をカウ
ントし、このパルス数からスプールの回転速度、
回転加速度を演算し、それらの値が、設定した値
と同じ、又は負になると制動がかかり、０となる
と解除されるよう構成したことによつて、飛距離
や投擲の失販にかゝわらずバツクラツシユを完全
に防止できると共に飛距離を伸ばすことができる
ようにしたのが、その目的である。

〔問題点を解決するための手段〕

即ち本考案は、スプールの回転に連動して回転
する非磁性導電体に渦電流を発生させてスプール
の回転に制御をかける魚釣用リールにおいて、ス
プールの回転を検知するセンサーと、該センサー
よりの信号をパルスカウンターにより基準クロツ
ク回路の信号毎にパルス数をカウントするカウン
ター回路と、該カウンター回路よりのパルス数か
らスプールの回転速度、回転加速度を演算回路で
演算し、その値が予めデーター設定器により設定
した値に達した時に非磁性導電体に渦電流を発生
させる制御手段とを備えて構成し、上記問題点を
解決したのである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述すれ
ば第１図に示したように両軸受型リールのリール
本体１は、左右の側板２，２′を横杆３…にて所
定間隔に固定すると共に、該側板２，２′にカバ
ー４，４′を固定して枠組み形成されている。

上記両側板２，２′間には、スプール軸５の両
端部を上記カバー４，４′の軸承部６に夫々軸受
７を介して支承することによつてスプール８を回
転自在に軸承させてあり、スプール軸５の図にお
いて右側にはピニオン１０が軸方向に摺動自在に
嵌合されて該ピニオン１０は図示しない駆動歯車
を介してハンドル９で回転されるよう構成されて
いると共に、図示しないクラツチ機構によつて上
記ピニオン１０がスプール軸５上を軸方向へ摺動
されることにより、該スプール軸５はハンドル９
と断、続切換えされるよう構成されている。

上記スプール軸５の左側には横向きカツプ形状
とした非磁性導電体１１が固定してあり、該非磁
性導電体１１の周壁１１ａは上記側板２の透孔２
ａからカバー４内に突出させてあり、その周壁１
１ａの外側と内側にはマグネツトリング１２，１
３が上記カバー４内に設けた環状凹部１４内に環
状ヨーク１５，１６を介して夫々配設させてあ
る。

こゝで、上記両マグネツトリング１２，１３の
内、少なくとも一方、即ち図示例では内側のマグ
ネツトリング１３は前記環状ヨーク１５に設けた
アタツチメント１７と一体的に回転可能に設けて
ある。

上記アタツチメント１７には突起１７ａが外側
方向へ突設してあり、この突起１７ａは上記カバ
ー４に設けた孔１８に挿通して所定範囲内で移動
可能に外側へ突出させてある。

又、上記カバー４の外側面には真円の凹所１９
が上記孔１８と連通して設けてあり、該凹所１９
には円盤状の調整カム２０が回転可能に内装させ
てあり、該調整カム２０の裏面にはカム溝２０ａ
が第２図に示した如く直線状に設けてあり、該カ
ム溝２０ａには上記アタツチメント１７の突起１
７ａを摺動自在に係嵌させてある。

こゝで、上記カム溝２０ａは第２図の如く調整
カム２０の中心から半径方向へ長く設けてあり、
該調整カム２０を回転することによつて上記突起
１７ａを回転案内するようにしてある。

更に、上記凹所１９の開口部に嵌着したカバー
２１の裏面にはモーター２２が固定してあり、モ
ーター軸２２ａには上記調整カム２０の中心が固
定させてあり、これにより調整カム２０はモータ
ー２２にて回転されるようにしてある。

又、上記両マグネツトリング１２，１３には、
Ｎ極とＳ極が第２図に示した如く周方向に一定間
隔毎に交互に配置してあるものが用いられらる。

又、上記非磁性導電体１１は、銅材やアルミ材
等の非磁性材で形成されている。

又、上記モーター２２よるマグネツトリング１
３の回転段としては、上述した調整カム２０の他
に、第４図に示した如きギヤ伝達手段としてもよ
い。

この場合は図示の如く、アタツチメント１７の
外周に歯車１７ｂを刻設し、一方、モーター軸２
２ａに歯車２２ｂを設け、該両歯車１７ｂ，２２
ｂを噛合させて形成すると良い。

更に、上記スプール８の一側面にはマグネツト
２３が固定させてあり、該マグネツト２３の回転
域に臨むよう側板２′にはスプール８の回転を検
知する磁気センサー２４が固定させてあり、該磁
気センサー２４は第３図に示したブロツク図のカ
ウンター回路２５のパルスカウンター２６に接続
され、該パルスカウンター２６はラツチ回路２７
と基準クロツク回路２８に夫々接続されている。

又、上記非磁性導電体１１に渦電流を発生させ
る制御手段２９はマグネツトリング１２，１３と
環状ヨーク１５，１６とで構成されている。

第１図において30はCPUを示し、第３図にお
いて３１は演算回路、３２はモーター制御回路、
３３はデーター設定器、３４は表示器、３５はマ
グネツト位置確認回路を夫々示している。

而して上記構成において、スプール８の回転を
磁気センサー２４で検知し、その信号をパルスカ
ウンター２６により基準クロツク回路２８の信号
毎にパルス数をカウントし、そのパルス数からス
プール８の回転速度、又は回転加速度をCPU３
０にて演算し、その回転速度又は回転加速度が予
め設定した値に達した時にCPU３０からモータ
ー２２に制御信号を送つてモーター２２の回転に
より調整カム２０又は歯車２２ｂを回転し、アタ
ツチメント１７に取付けた内側のマグネツトリン
グ１３を回転させ、外側のマグネツトリング１２
との極を変えることによりスプール８にかける制
動力を制御する。

第３図のブロツク図において、カウンター回路
２５は、磁気センサー２４よりの信号をパルスカ
ウンター２６により基準クロツク回路２８の信号
毎にパルス数をカウントし演算回路３１に送る。

つまり、一定時間毎に信号を出す基準クロツク
回路２８の信号と信号との間でのパルスカウンタ
ー２６のパルス数をカウントし、一定時間毎の該
パルス数をラツチ回路２７より演算回路３１に送
る。

演算回路３１では、パルス数からスプール８の
回転速度、回転加速度を演算し、それらの値がデ
ーター設定器３３により設定した値に達した時に
モーター制御回路３２により可逆モーター２２を
作動し、内側のマグネツトリング１３を第２図の
状態に回転させ、渦電流を大としスプール８に制
動をかける。

ラインの繰り出しが止まり、スプール８の回転
が止まつてパルスをパルスカウンター２６が検出
しなくなると、リミツトスウイチ、又はロータリ
ーエンコーダー等よりなるマグネツト位置確認回
路３５よりの信号を受け、モーター制御回路３２
によりモーター２２を逆転させ、マグネツトリン
グ１３を逆回転させ、渦電流が小さな位置へ戻
す。

次に作用例を第５図の投擲時における時間とス
プール回転速度を示したグラフに基づいて説示す
る。

一定時間（例えば0.01秒）内のスプール回転数
の増減を示す値であるスプール回転加速度が設定
値（例えば０又は負の値）になつた図示のＡ点、
例えば0.01秒に1000回転の最高回転数に達し、再
度1000回転を計測又は950回転に減つた時にモー
ター２２によりマグネツトリング１３を渦電流が
大きくなる方向（第２図の状態）に回転させ、ス
プール８の回転に制動をかけバツクラツシユユを
防止する。

ラインの繰り出しが止まり、スプール８の回転
が止まつた図示のＢ点、即ちパルスを検知しなく
なつた時にモーター２２によりマグネツトリング
１３を逆回転し、両マグネツトリング１２，１３
の極Ｎ−Ｎ、Ｓ−Ｓが対向して渦電流が小さくな
る位置まで戻す。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る魚釣用リール
のバツクラツシユ防止装置は構成したものである
から、カウンター回路２５は、磁気センサー２４
よりの信号をパルスカウンター２６により基準ク
ロツク回路２８の信号毎のパルス数をカウントし
て演算回路３１に送り、該演算回路３１でパルス
数からスプール８の回転速度、回転加速度を演算
し、その一定時間毎のパルス数が予め設定した値
と同じか、又は負となるとモーター２２により一
方のマグネツトリングを回転してスプール８の回
転に制動をかけ、パルス数が０になると制動を解
除するので、仕掛け投擲中はスプール８にほとん
ど制動がかゝらないから飛距離を伸ばし得ること
は勿論のこと、飛距離が設定値以下である時や、
投擲を失敗し、仕掛けが近くに着水した場合でも
スプール８に制動がかかるためバツクラツシユは
全く生じなくなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣用リールのバツクラ
ツシユ防止装置の実施例を示した縦断面図、第２
図は同実施例の制動最大時の説明図、第３図は同
実施例のブロツク図、第４図は同実施例における
マグネツトリング回転手段の変形例を示した縦断
面図、第５図は同実施例の投擲時における時間と
スプール回転速度の関係を示したグラフである。 ８……スプール、１１……非磁性導電体、１
２，１３，１５，１６……制御手段（マグネツト
リング、環状ヨーク）、２４……センサー、２５
……カウンター回路、２６……パルスカウンタ
ー、２８……基準クロツク回路、３１……演算回
路、３３……データー設定器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプールの回転に連動して回転する非磁性導電
   体に渦電流を発生させてスプールの回転に制動を
   かける魚釣用リールにおいて、スプールの回転を
   検知するセンサーと、該センサーよりの信号をパ
   ルスカウンターにより基準クロツク回路の信号毎
   にパルス数をカウントするカウンター回路と、該
   カウンター回路よりのパルス数からスプールの回
   転速度、回転加速度を演算回路にて演算し、その
   値が予めデーター設定器により設定した値に達し
   た時に非磁性導電体に渦電流を発生させる制御手
   段とを備えてなることを特徴とする魚釣用リール
   のバツクラツシユ防止装置。