JPH10262521A - 魚釣用リール - Google Patents

魚釣用リール

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JPH10262521A
JPH10262521A JP9077901A JP7790197A JPH10262521A JP H10262521 A JPH10262521 A JP H10262521A JP 9077901 A JP9077901 A JP 9077901A JP 7790197 A JP7790197 A JP 7790197A JP H10262521 A JPH10262521 A JP H10262521A
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JP
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spool
braking
rotation speed
fishing
control means
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JP9077901A
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Mikiharu Kobayashi
幹春 小林
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Daiwa Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の遠心力や磁力を利用したスプール回転速
度制御手段を備えた魚釣用リールに比べ、より自由にス
プール回転速度を制御出来、釣人の種々の望みに適合し
たキャスティングを容易に出来る魚釣用リールを提供す
ることである。 【解決手段】スプールの自由回転状態と駆動状態とを選
択的に設定する回転力伝達手段20を有したリール本体
12と;上記自由回転状態におけるスプール10の回転
速度を制御する制御手段26と;を備え、上記制御手段
スプール及びリール本体に設けられ相対位置を変化され
て制動力を変化させる制動手段14,16と;上記相対
位置を選択的に変化させる位置変化手段28と;速度検
知手段30が検知したスプール回転速度の所望の値で位
置変化手段により上記相対位置を変化させ制動手段がス
プールの回転に対して作用する制動力を変化させ、スプ
ールの回転速度を制御する制動制御手段32と;を備え
たことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スプール自由回
転状態におけるスプールの回転速度を制御するスプール
の回転速度制御手段を備えた魚釣用リールに関係してい
る。
【0002】
【従来の技術】魚釣用リールにおいては、キャスティン
グをする時にスプールが自由回転状態にされる。そして
キャスティングが行われ仕掛けが所望の方向に飛んでい
くと、キャスティング開始直後の初期には仕掛けととも
に釣糸がスプールから高速で引き出されることによりス
プールもまた高速で回転される。その後、仕掛けがスプ
ールから遠ざかるにつれて仕掛けや釣糸に作用する空気
抵抗や風等の圧力の影響により仕掛けや仕掛け近傍の釣
糸の飛行速度はスプールの周速(即ち、スプールから放
出された直後の釣糸の飛行速度)に比べて遅くなり、さ
らに仕掛けが着水すると仕掛けの運動エネルギによる釣
糸の引きもなくなり、仕掛けと魚釣用リールの間の釣糸
に、いわゆるバックラッシュと呼ばれる大きな弛みが生
じる。釣糸のバックラッシュは釣糸自身の絡み合いや釣
竿や魚釣用リールや他の物体に対する釣糸の絡みを生じ
させる原因となり、また仕掛けに所望の動きをさせる為
の障害となる。
【0003】従来、キャスティングにおいてバックラッ
シュを防止する為にはスプールに対し指を接触させて摩
擦制動力を発生させることによりスプールの慣性による
過剰回転を防止することが行われていた。しかしながら
キャスティングによる仕掛けの飛翔距離を延ばしながら
バックラッシュを防止させる為に指により摩擦制動力を
調整することは、キャスティングのベテランでなくては
困難であった。
【0004】この為、近年ではキャスティングのベテラ
ンでなくてもスプール自由回転状態におけるスプールの
回転速度を容易に適度に制御することが出来るスプール
回転速度制御手段が開発されており、このスプール回転
速度制御手段には大別して2つの種類がある。その一方
は例えば実開平3−79665号公報に開示されている
如き自由回転するスプールに対し遠心力を利用して摩擦
力を作用させるものであり、他方は例えば実公平6−8
695号公報や実公平3−10867号公報に開示され
ている如き自由回転するスプールに対して磁力を作用さ
せるものである。
【0005】実開平3−79665号公報に開示されて
いる如き遠心力を利用してスプールに対し摩擦力を作用
させるスプール回転速度制御手段では、スプール軸の一
端部にスプール軸の半径方向に移動自在に半径方向移動
部材が設けられていて、リール本体にはスプール軸の一
端部を覆うように裁頭円錐台形状の凹所が設けられてい
る。スプール軸の一端部の半径方向移動部材は、スプー
ルの回転により半径方向移動部材に発生する遠心力によ
りスプール軸の半径方向の外方に移動されてリール本体
の裁頭円錐台形状の凹所の内周面に摺接し摩擦力を発生
させることにより、スプールの回転速度を制御する。
【0006】実公平6−8695号公報に開示されてい
る磁力を利用したスプール回転速度制御手段では、スプ
ールが一端面からスプールと同心的に突出する導電体製
の円筒突起を備えていて、リール本体には相互に同心的
に配置されて相互間にスプールの円筒突起を同心的に受
け入れる2重の環状部材が設けられている。リール本体
の2重の環状部材の夫々には周方向に所定の間隔で複数
の磁石が配置されていて、スプールとともに導電体製の
円筒突起がリール本体の2重の環状部材の間で2重の環
状部材の夫々の磁石に対して相対的に回転すると渦電流
が発生し、これにより導電体製の円筒突起を伴ったスプ
ールの回転を制動する電磁力が発生される。そして、リ
ール本体の2重の環状部材の中の外側の環状部材は内側
の環状部材に対して周方向に所定の範囲で相対的に移動
自在であり、外側の環状部材をリール本体に設けられた
調整摘みにより周方向に所定の範囲で移動させると、内
側の環状部材の複数の磁石に対する外側の環状部材の複
数の磁石の相対的な位置を周方向に所定の範囲で移動さ
せることが出来、これにより内側の環状部材の複数の磁
石と外側の環状部材の複数の磁石との間に作用する磁力
の大きさを変化させ、ひいてはスプールとともに導電体
製の円筒突起がリール本体の2重の環状部材の夫々の磁
石に対して相対的に回転することにより発生させる渦電
流の大きさを変化させ、これにより導電体製の円筒突起
を伴ったスプールの回転を制動する電磁力の大きさを変
化させてスプールの回転速度を制御する。
【0007】実公平3−10867号公報に開示されて
いる磁力を利用したスプール回転速度制御手段では、上
述した実公平6−8695号公報に開示されている磁力
を利用したスプール回転速度制御手段と同様の構成に加
えて、スプールの回転速度を検知する回転速度検知手段
と、回転速度検知手段が検知した所望の回転速度で外側
の環状部材を周方向に所定の範囲で移動させる磁石移動
手段と、を備えており、上述した実公平6−8695号
公報に開示されている磁力を利用したスプール回転速度
制御手段では調整摘みを介して手動で行っている制動力
調整作業を、回転速度検知手段と磁石移動手段とを利用
して自動で行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述した実開平3−7
9665号公報に開示されている遠心力により発生する
摩擦力を利用したスプール回転速度制御手段では、スプ
ール軸の一端部の半径方向移動部材に作用する遠心力、
即ちスプールの回転速度、が所定の大きさ以上で半径方
向移動部材がリール本体の略裁頭円錐台形状凹所の内周
面に比較的強い押圧力を伴い摺接した時と、スプール軸
の一端部の半径方向移動部材に作用する遠心力、即ちス
プールの回転速度、が所定の大きさ以下で半径方向移動
部材がリール本体の略裁頭円錐台形状凹所の内周面に比
較的弱い押圧力を伴い摺接した時と、では、リール本体
の略裁頭円錐台形状凹所の内周面に対してスプール軸の
一端部の半径方向移動部材が発生させる摩擦制動力がス
プールの回転速度に対し2次的に変化する(遠心力によ
り発生する摩擦力はスプールの回転速度の2乗に比例す
る)ので、スプール回転速度制御手段がスプールに対し
て作用する摩擦制動力が急激に大きく変化する。この
為、キャスティングの終期にスプールの回転速度が低下
して来た時に、仕掛けの飛行速度または移動速度の低下
量と比較してスプールの回転速度の低下量が逆に急激に
少なくなって釣糸の前述したバックラッシュ現象が生じ
易くなる。従来はこのようなキャスティングの終期にお
けるバックラッシュ現象の発生は、釣竿を握った釣人の
手の指でスプールまたはスプールに巻回された釣糸の巻
回面を押さえスプールの回転速度を微妙に制御するとい
ういわゆるサミング操作により回避していたが、適切な
サミング操作の習得には熟練を要している。
【0009】遠心力により発生する摩擦力を利用したス
プール回転速度制御手段ではさらに、キャスティングが
開始されてスプールの回転速度が所定の大きさ以上にな
ると急激に摩擦制動力が大きくなり、スプールの回転速
度が急激に低下し、仕掛けの飛行速度が急激に低下す
る。即ち、仕掛けの飛行距離の低下が生じる。
【0010】即ち、遠心力により発生する摩擦力を利用
したスプール回転速度制御手段では、キャスティングに
よる飛行距離が低下し、またスプール回転速度制御手段
を有していない場合に比べると少なくなっているとはい
えバックラッシュ現象が依然として生じる。
【0011】また、前述した実公平6−8695号公報
や実公平3−10867号公報に開示されている磁力を
利用したスプール回転速度制御手段では、スプールの回
転速度に略比例して制動力が発生され、前述した遠心力
により発生する摩擦力を利用したスプール回転速度制御
手段の如くスプールの所定の回転速度を境に発生される
制動力が大きく変化することはないので、キャステイン
グにおいてバックラッシュ現象の発生を確実に防止する
ことが可能となり、初心者でも安心してキャステイング
を行うことが出来る。
【0012】しかしながら、スプールが回転している間
は常にスプールの回転速度に応じた制動力が発生される
ので、キャステイングの初期においてスプールの回転速
度が上昇する時に釣人が思った程の仕掛けの飛距離の伸
びが得られないばかりでなく、キャステイングの終期に
おいてスプールの回転速度が低下して来た時にも釣人が
思った程の仕掛けの飛距離の伸びが得られない。また、
短い距離のキャステイング(いわゆるショートキャステ
ィング)を行う時にもスプールは自由に回転せずにスプ
ールの回転速度の上昇が遅くまた下降が早いので釣人が
狙いをつける位置に仕掛けを落とすことが難しい。
【0013】この発明は上述した種々の事情の下でなさ
れ、この発明の目的は、上述した如き従来の遠心力を利
用したスプール回転速度制御手段を備えた魚釣用リール
や上述した如き従来の磁力を利用したスプール回転速度
制御手段を備えた魚釣用リールに比べ、釣糸のバックラ
ッシュの防止を図りながら仕掛けの飛距離の向上が可能
となるとともに、釣場の状況や釣人の種々の望みに応じ
てスプールの回転速度を制御する条件を任意に設定する
ことが出来、釣場の状況や釣人の種々の望みに対して幅
広く対応することが出来る魚釣用リールを提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述したこの発明の目的
を達成する為に、この発明に従った魚釣用リールは:釣
糸が解放自在に巻き付けられるスプールと;スプールを
回転自在に保持しており、スプールの自由な回転を許容
しスプールからの釣糸の放出を許容するスプール自由回
転状態とスプールに回転力を伝達しスプールに釣糸を巻
き取らせるスプール駆動状態とを選択的に設定する回転
力伝達手段を有したリール本体と;スプール自由回転状
態におけるスプールの回転速度を制御するスプール回転
速度制御手段と;を備えており、スプール回転速度制御
手段が:スプール及びリール本体の両者に設けられ、選
択的に協働してスプールの回転を制動し、相互間の相対
位置を変化させることにより制動力を変化させる制動手
段と;スプールの回転速度を検知するスプール回転速度
検知手段と;スプール及びリール本体の両者に設けられ
た制動手段の相互間の相対位置を選択的に変化させる位
置変化手段と;スプール回転速度検知手段が検知したス
プールの回転速度の所望の値で位置変化手段によりスプ
ール及びリール本体の両者に設けられた制動手段の相互
間の相対位置を変化させて制動手段がスプールの回転に
対して作用する制動力を変化させ、スプールの回転速度
を制御する制動制御手段と;を備えたことを特徴として
いる。
【0015】ここにおいては制動制御手段により、スプ
ール回転速度検知手段が検知したスプールの回転速度の
所望の値で位置変化手段によりスプール及びリール本体
の両者に設けられた制動手段の相互間の相対位置を変化
させて制動手段がスプールの回転に対して作用する制動
力を変化させることが出来るので、スプールの回転速度
が上昇するキャスティングの初期及びスプールの回転速
度が低下するキャスティングの終期の夫々においてスプ
ールの回転速度の所望の値で制動手段がスプールの回転
に対して作用する制動力を自動的に変化させてスプール
の回転速度を制御することが出来るとともに所望の値の
設定値を変えることにより、釣場の状況や釣人の種々の
望みに適合したキャスティングを容易に行うことが可能
になっている。
【0016】例えば、キャスティング開始直後の初期に
おいてスプールの回転速度が比較的大きな所望の値にな
るまでの間はスプールに対する制動力が小さくなるよう
制動制御手段により制動力を制御してスプールに対する
不必要な制動力の負荷をなくし、しかも上記所望の値を
前述した従来の遠心力を利用して発生される制動摩擦力
のみを利用したスプール回転速度制御手段において急激
に制動摩擦力が高まる時のスプールの回転速度よりも高
く設定すれば、前述した従来の遠心力を利用して発生さ
れる摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手段を
利用した魚釣用リール及び前述した従来の磁力のみを利
用したスプール回転速度制御手段を利用した魚釣用リー
ルの夫々の場合に比べ、スプールからの釣糸の放出速度
を高めることが出来て仕掛けの飛距離を向上させること
が出来る。
【0017】またキャスティング開始直後の初期におけ
るスプールの回転速度の急上昇期を過ぎてスプールの回
転速度が最も大きくなる中間期において、スプール回転
速度検知手段にスプールの回転速度が所望の値を越えて
いることを検知させて制動制御手段により位置変化手段
を介し制動手段がスプールの回転に対して作用する制動
力を変化させてスプールの回転速度を制御させ、スプー
ルに対する制動力を適度に増加させて風圧や重力等の影
響による仕掛けや釣糸の飛行速度の低下に対応してスプ
ールの回転速度を適度に抑制させて釣糸のバックラッシ
現象の発生を防止するよう制御させることが出来る。し
かも、前述した従来の遠心力を利用して発生される摩擦
力のみを利用したスプール回転速度制御手段を利用した
魚釣用リールの場合に比べ、スプールの回転、即ちスプ
ールからの釣糸の放出速度、を釣糸のバックラッシュ現
象の発生防止に必要な以上に大きく低下させないように
することが出来る。即ち、仕掛けの飛距離を不必要に大
きく抑制させないようにすること出来る。
【0018】さらにキャスティングの終期においては、
スプール回転速度検知手段にスプールの回転速度が所望
の値よりも小さくなったことを検知させて制動制御手段
により位置変化手段を介し制動手段がスプールの回転に
対して作用する制動力を変化させてスプールの回転速度
を制御し、前述した従来の遠心力を利用して発生される
摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手段を利用
した魚釣用リールとは異なり、スプールに対して作用す
る制動力の緩和がスプールの減速度の急激な緩和を生じ
させないようスプールの回転速度が充分に低下してから
上記制動力の緩和を行わさせることが出来る。これによ
り、キャスティングの終期において仕掛けの飛翔速度や
スプールからの釣糸の引き出し速度が低下しつつある間
にこれら飛翔速度や引き出し速度に比したスプールの過
剰回転の発生を無くすことが出来るとともに、前述した
従来の磁力のみを利用したスプール回転速度制御手段を
利用した魚釣用リールの場合に比べ、キャスティングの
終了間際におけるスプールの回転の不必要な抑制をなく
すことが出来て、スプールの過剰回転を原因とした釣糸
のバックラッシュ現象やスプールの回転の不必要な抑制
を原因とした仕掛けの飛距離の伸びの低下を防止するこ
とが出来る。
【0019】このように、キャスティング開始直後の初
期から終期までのキャスティングの全体を通した仕掛け
の飛翔距離を、前述した従来の遠心力を利用して発生さ
れる摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手段を
利用した魚釣用リール及び前述した従来の磁力のみを利
用したスプール回転速度制御手段を利用した魚釣用リー
ルの夫々の場合に比べ、増加させることが出来る。
【0020】しかも、本願発明の魚釣用リールでのキャ
スティングの終期におけるスプールに対して作用する制
動力を、前述の従来の遠心力を利用して発生される摩擦
力のみを利用したスプール回転速度制御手段を利用した
魚釣用リールとは異なり、急激な減少を抑制させて緩や
かに減少させることが出来るので、キャスティングの終
期において釣糸のバックラッシュをもたらす釣糸の引き
出し速度に対するスプールの過回転現象を防止出来、キ
ャスティングの終期における釣糸のバックラッシュ現象
の防止の為のスプールの回転速度の指による制御を不要
とすることが出来る。
【0021】なお仕掛けが着水して仕掛けが引っ張る釣
糸の引っ張り速度が急激に減少した後は上記引き出し速
度に対するスプールの過回転現象が生じて釣糸のバック
ラッシュが生じる可能性があるが、仕掛けが着水して釣
糸の引き出し速度が急激に減少した後はスプールの回転
が仕掛けの飛距離の増減とは無関係になるのでスプール
の回転を単に停止させて釣糸のバックラッシュを防止す
れば良く、釣糸のバックラッシュの防止の為のスプール
の回転速度の指による制御が熟練者でなくとも容易であ
る。
【0022】上述した如く構成されたことを特徴とする
この発明に従った魚釣用リールにおいては、前記スプー
ル回転速度制御手段の前記制動手段が、前記スプールま
たは前記リール本体のいずれか一方に設けられた磁石
と、前記スプールまたは前記リール本体のいずれか他方
に設けられた導電体と、を含んでいることが出来る。
【0023】この場合、磁石及び導電体の少なく一方が
他方に対して選択的に接近または離間出来る。前記スプ
ール回転速度制御手段の前記制動手段はまた、前記スプ
ールに前記スプールの半径方向に移動自在に設けられて
前記スプールの回転により発生する遠心力により上記半
径方向の外方に向かい移動する半径方向移動手段と、前
記リール本体に設けられて上記半径方向の外方で前記ス
プールの半径方向移動手段を取り囲み遠心力により上記
半径方向の外方に向かい移動した半径方向移動手段が当
接して摩擦制動力を発生させる環状制動部材と、を含ん
でいることが出来る。
【0024】そしてこの場合、環状制動部材が前記スプ
ールの回転中心線に沿い移動自在であり、環状制動部材
において遠心力により上記半径方向の外方に向かい移動
した半径方向移動手段が当接する内周面をテーパ形状に
傾斜させたり、上記内周面の表面仕上げや材料を上記回
転中心線に沿った方向に変化させたりすることにより、
環状制動部材を上記回転中心線に沿い移動させた時に上
記半径方向の外方に向かい移動した半径方向移動手段と
の間に生じる摩擦制動力を変化させることが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、この発明の種々の実施の形
態に従った魚釣用リールを添付の図面を参照しながら詳
細に説明する。 [第1の実施の形態]まず最初に添付の図1乃至図5を
参照しながら、この発明の第1の実施の形態に従った魚
釣用リールについて詳細に説明する。
【0026】図1はこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの概略的な水平断面図であり;図2は図
1のII−II線に沿った概略的な横断面図であり;図3は
図1のIII −III 線に沿った概略的な横断面図であり;
図4の(A)は図1の魚釣用リールの要部においてスプ
ールが回転していない時とスプールの回転速度がある程
度の大きさに到達するまでの間とスプールの回転速度が
ある程度の大きさから減少した時の状態を示す概略的な
縦断面図であり;図4の(B)は図4の(A)のIV−IV
線に沿った概略的な横断面図であり;図5は図1の魚釣
用リールの要部においてスプールがある程度の回転速度
以上で高速回転している状態を示す概略的な縦断面図で
ある。
【0027】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。図1に示す如く、
この発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールは、
図示しない釣糸が解放自在に巻き付けられるスプール1
0と、スプール10のスプール軸10aの両端部を軸受
13a,13bを介して回転自在に支持しスプール10
を回転自在に保持したリール本体12と、を備えてい
る。
【0028】スプール軸10aの一端部には、スプール
10の一端面とスプール10の一端面から突出したスプ
ール軸10aの一端部(図1では右端部)を回転自在に
支持した軸受13aとの間に例えばアルミニウムや銅等
の導電体14が設けられており、リール本体12におい
てスプール軸10aの一端部を回転自在に支持した軸受
13aが設置されている一方の側壁12aにはスプール
軸10aの一端部の導電体14に対応して複数の磁石1
6が設置されている。
【0029】導電体14は円筒形状をしていて、導電体
14においてリール本体12の一方の側壁12aから遠
い方の端部がスプール軸10aの一端部に固定されて導
電体14の自由端部は一方の側壁12aの複数の磁石1
6に向かいスプール軸10aに対して平行に同心的に延
出している。
【0030】スプール10の他端面から突出したスプー
ル軸10aの他端部(図1では左端部)を回転自在に支
持した軸受13bが設置されている他方の側壁12bに
は,ハンドル18が回転自在に設けられているととも
に、ハンドル18から入力された回転力をスプール軸1
0aの他端部に選択的に伝達するクラッチ付き回転力伝
達手段20も設けられている。クラッチ付き回転力伝達
手段20は、図示しない操作釦を介してクラッチを操作
することにより、スプール軸10aの自由な回転を許容
しスプール10からの上述した図示しない釣糸の放出
(図1に矢印Sで釣糸放出方向を示す)を許容するスプ
ール自由回転状態と、ハンドル18から入力された回転
力をスプール軸10aの他端部を介してスプール10に
伝達しスプール10に上述した図示しない釣糸を図1に
矢印Sで示された釣糸放出方向とは正反対の方向に巻き
取らせるスプール駆動状態と、を選択的に設定可能であ
る。そしてこのようなクラッチ付き回転力伝達手段20
の構成は公知なので、その構成についての説明は省略す
る。
【0031】図1,図2及び図3に示す如く、リール本
体12の一方の側壁12aの複数の磁石16は静止して
いる導電体14に対して磁石16から作用する磁力の大
きさを調整する為の磁力調整手段21を介して一方の側
壁12aに取り付けられている。この実施の形態では、
磁力調整手段21はスプール軸10aに対して同心的に
配置された2重の円環22a,22bを含んでいて、2
重の円環22a,22bの間の円環状の隙間がスプール
軸10aの回転中心線に沿った方向において導電体14
の自由端部と対応している。複数の磁石16は2重の円
環22a,22b上に配置されて2重の円環22a,2
2bにおいて夫々の周方向に所定の間隔で相互に離間し
ている。なお内方の円環22aの複数の磁石16は内方
の円環22aの半径方向の外方を向いた磁極が隣り合う
磁石において相互に異なるよう配置されており、外方の
円環22bの複数の磁石16もまた外方の円環22bの
半径方向の内方を向いた磁極が隣り合う磁石において相
互に異なるよう配置されている。
【0032】内方の円環22aは一方の側壁12aにお
いて上記回転中心線に沿った方向には移動自在であるが
上記回転中心線の回りには回転しないよう支持されてい
るが、外方の円環22bは一方の側壁12aに設置され
ている磁力調整摘み24を一方あるいは他方に回動させ
ることにより内方の円環22aの磁極に対向する外方の
円環22bの磁極を変えて導電体14に作用する磁力の
強弱を調整する。即ち、内方の円環22aの複数の磁石
16の半径方向外端の磁極に対して外方の円環22bの
複数の磁石16の中で内方の円環22aの複数の磁石1
6の半径方向外端の磁極とは異なる磁極の半径方向内端
を対向させて内方の円環22aの複数の磁石16の半径
方向外端の磁極と外方の円環22bの半径方向内端の磁
極とが相互に最大の吸引磁力発生させる吸引磁力相互作
用最大状態と、内方の円環22aの複数の磁石16の半
径方向外端の磁極に対して外方の円環22bの複数の磁
石16の中で内方の円環22aの複数の磁石16の半径
方向外端の磁極と同じ磁極の半径方向内端を対向させて
内方の円環22aの複数の磁石16の半径方向外端の磁
極と外方の円環22bの半径方向内端の磁極とが相互に
最大の反発磁力発生させる反発磁力相互作用最大状態
と、の間で内方の円環22aの複数の磁石16に対して
外方の円環22bの複数の磁石16の相対的な位置を変
えることにより、導電体14に作用する磁力の強弱を調
整し、公知のようにスプール10に対する制動力を調整
することが出来る。
【0033】この実施の形態の魚釣用リールは、図1に
示す如く、スプール10のスプール軸10a上の導電体
14とリール本体12の一方の側壁12aの複数の磁石
16とを制動手段として相互に選択的に協働させて発生
させるスプール10に対する制動力を利用してスプール
10の回転速度を制御するスプール回転速度制御手段2
6を備えている。
【0034】2重の円環22a,22bはリール本体1
2の一方の側壁12aに対してスプール軸10aの回転
中心線に沿った方向に所定の範囲で移動自在であり、ス
プール回転速度制御手段26は、リール本体12の一方
の側壁12aに対して2重の円環22a,22bを上記
回転中心線に沿った方向に所定の範囲で選択的に移動さ
せる為の位置変化手段28を備えている。即ち、位置変
化手段28は、スプール10のスプール軸10a上に上
述した如く制動手段の一部として設けられている導電体
14と、リール本体12の一方の側壁12aの2重の円
環22a,22bに上述した如く制動手段の一部として
設けられている複数の磁石16と、を上記回転中心線に
沿った方向において相互間の相対的な位置を変化させ
る。
【0035】この実施の形態において位置変化手段28
はリール本体12の一方の側壁12aに固定された一端
部と2重の円環22a,22bの少なくとも一方に固定
された他端部とを有したプランジャ・ソレノイド組立体
28aと一方の側壁12aと2重の円環22a,22b
の少なくとも一方との間に介在された例えば圧縮コイル
ばねの如き付勢手段28bとにより構成されているが、
リール本体12の一方の側壁12aに対して2重の円環
22a,22bを上記回転中心線に沿った方向に所定の
範囲で選択的に移動させることが出来る公知の全ての構
成を採用することが出来る。
【0036】スプール回転速度制御手段26はまた、ス
プール10の回転速度を検知する為のスプール回転速度
検知手段30を備えている。この実施の形態においてス
プール回転速度検知手段30は、スプール10の側面に
固定された磁石30aと、リール本体12の他方の側壁
12bに固定された磁石検知器30bと、を備えた公知
のホール素子により構成されているが、スプール10の
自由な回転に影響を及ぼさないのであれば、その他の公
知の回転速度検知手段を自由に使用することが出来る。
【0037】スプール回転速度制御手段26はさらに、
スプール回転速度検知手段30と位置変化手段28とを
使用してスプール回転速度検知手段30が検知したスプ
ール10の回転速度の所望の値でスプール10の回転速
度を制御する制動制御手段32を備えている。この実施
の形態において制動制御手段32は、リール本体12の
上面の一部に配置されてスプール回転速度検知手段30
と位置変化手段28とに電気的に接続されている電子制
御ユニットであり、例えば上記上面に露出させた図示し
ない操作釦または操作摘みを使用して位置変化手段28
を動作させるスプール10の回転速度の所望の値を自由
に設定することが出来る。
【0038】制動制御手段32は、スプール回転速度検
知手段30が検知したスプール10の回転速度の所望の
値で位置変化手段28により、リール本体12の一方の
側壁12aの2重の円環22a,22bをスプール軸1
0aの回転中心線に沿った方向に所定の範囲で移動さ
せ、この結果として、スプール10のスプール軸10a
上に上述した如く制動手段の一部として設けられている
導電体14と、リール本体12の一方の側壁12aの2
重の円環22a,22bに上述した如く制動手段の一部
として設けられている複数の磁石16と、を上記回転中
心線に沿った方向において相互間の相対的な位置を変化
させて、導電体14と複数の磁石16との組み合わせが
スプール10の回転に対して作用する制動力を変化さ
せ、スプール10の回転速度を制御する。
【0039】次には、上述した如く構成されているこの
発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの動作に
ついて説明する。この発明の第1の実施の形態に従った
魚釣用リールを使用する前に制動制御手段32に、リー
ル本体12の上面に露出させた図示しない操作釦または
操作摘みを使用して位置変化手段28を動作させるスプ
ール10の回転速度の所望の値を設定する。
【0040】その後、この発明の第1の実施の形態に従
った魚釣用リールが取り付けられた釣竿をキャスティン
グの為に振ると、水面上の目的地点に向かい飛翔する図
示しない仕掛けにより図示しない釣糸が引っ張られるこ
とによりスプール10が所定の方向に回転を開始する。
【0041】キャスティング開始直後の初期においてス
プール10の回転速度が制動制御手段32に予め設定さ
れた所望の値に到達するまではリール本体12の一方の
側壁12aの複数の磁石16が配置された2重の円環2
2a,22bは、図4の(A)及び(B)に示す如く、
位置変化手段28の付勢手段28bの付勢力によりスプ
ール軸10a上の円筒形状の導電体14の自由端部から
遠ざけられていて、導電体14の自由端部にリール本体
12の一方の側壁12aの複数の磁石16が配置された
2重の円環22a,22bの相互間の円環状の隙間が被
せられない。よって、複数の磁石16の磁力の作用によ
り導電体14に渦電流は生ぜず導電体14を伴って回転
するスプール10に制動力は生じない。また複数の磁石
16の相互からの漏れ磁束により導電体14にわずかに
渦電流が生じたとしても、上記わずかな渦電流により生
じる制動力は非常に小さい。
【0042】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度が上述した如く予め設
定した所望の値に到達するまでは実質的に制動力が作用
しないので、スプール10の初期回転速度を上昇させる
ことが出来、キャスティング開始直後の初期における仕
掛けの飛距離を向上させることが出来る。この間に上昇
されるスプール10の回転速度は、遠心力により発生さ
れる制動力を利用したスプール回転速度制御手段を備え
た従来の魚釣用リールの場合よりも高くなるのは当然で
あり、しかも磁力のみを利用したスプール回転速度制御
手段を備えた従来の魚釣用リールの場合よりも高くな
る。なぜならば、磁力のみを利用したスプール回転速度
制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合には、スプ
ール10の回転が開始された時点からスプール10の回
転速度の上昇に略比例して磁力が発生させる制動力も大
きくなるからである。そしてキャスティング開始直後の
初期においてスプール10の回転速度が所望の値に到達
するまでの図示しない仕掛けの飛距離が、遠心力により
発生する摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手
段を備えた従来の魚釣用リールの場合よりも伸びるのは
いうまでもなく、磁力のみを利用したスプール回転速度
制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合よりも伸び
る。
【0043】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
回転速度検知手段30がスプール10の回転速度の所望
の値を検知することにより制動制御手段32は位置変化
手段28のプランジャ・ソレノイド組立体28aの駆動
を開始させ、制動手段の一部である複数の磁石16が設
置された2重の円環22a,22bをスプール軸10a
の回転中心線に沿い図4の(A)に示す如くスプール軸
10a上の制動手段の一部である導電体14の自由端か
ら離間した非作動位置からスプール10の一端面に向か
い位置変化手段28の付勢手段28bの付勢力に抗して
所定の距離移動させて複数の磁石16と導電体14との
相対位置を変化させ、この結果として図5に示す如く複
数の磁石16の間の円環状の隙間を導電体14の自由端
部に被させる。この時の複数の磁石16の位置は作動位
置である。これにより導電体14の自由端部と複数の磁
石16との重複量を多くさせ、複数の磁石16が発生す
る磁束を横切る導電体14の面積を増加させることが出
来る。
【0044】よって、複数の磁石16の磁力の作用によ
り導電体14に発生する渦電流の大きさは複数の磁石1
6が発生する磁束を横切る導電体14の面積とスプール
10の回転速度とに比例して大きくなり、上記渦電流に
より生じる制動力も複数の磁石16が発生する磁束を横
切る導電体14の面積とスプール10の回転速度とに比
例して大きくなる。
【0045】この際に生じる制動力は、磁力のみを利用
したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リ
ールの場合と同様に、遠心力により発生する摩擦力を利
用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用
リールの場合よりも少ない。従って、上述した如く上記
キャスティングの初期におけるスプールの回転速度が磁
力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備えた従
来の魚釣用リールの場合よりも高くなるので、上記キャ
スティングの初期から中期にかけてのスプールの回転速
度も磁力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備
えた従来の魚釣用リールの場合よりも高くなり、当然の
ことながら遠心力により発生する摩擦力を利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合よりも格別に高くなる。
【0046】即ち、上述したキャスティングの初期から
スプール10の回転速度がある程度の大きさに到達した
後の中期までの図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合や遠心力により発生される摩擦力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合よりも伸びる。
【0047】しかも、後で大きな釣糸のバックラッシュ
を生じさせる原因となるスプール10の過大な回転速度
は、スプール10の導電体14とリール本体12の一方
の側壁12aの複数の磁石16との組み合わせにより上
述した如く生じる適度な制動作用で充分に抑制される。
【0048】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール回転速度検知手段30
がスプール10の回転速度の所望の値を検知することに
より制動制御手段32は位置変化手段28のプランジャ
・ソレノイド組立体28aの駆動を終了させ、制動手段
の一部である複数の磁石16が設置された2重の円環2
2a,22bをスプール軸10aの回転中心線に沿い図
5に示す如く複数の磁石16の間の円環状の隙間が導電
体14の自由端部に被せられた作動位置から図4の
(A)に示す如くスプール軸10a上の制動手段の一部
である導電体14の自由端から離間した非作動位置へと
位置変化手段28の付勢手段28aの付勢力によりリー
ル本体12の一方の側壁12aに向かい所定の距離移動
させて複数の磁石16と導電体14との相対位置を変化
させ、この結果として図4の(A)に示す如く複数の磁
石16の間の円環状の隙間を導電体14の自由端部から
離間させる。これにより導電体14の自由端部に複数の
磁石16が重複しなくなる。
【0049】よって、複数の磁石16の磁力の作用によ
り導電体14に渦電流が発生しなくなるか、または発生
したとしても極めて小さくなり、この際に生じる制動力
は磁力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備え
た従来の魚釣用リールの場合よりは少なく、また従来の
遠心力により発生する摩擦力を利用したスプール回転速
度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合とは異な
り急激な減速度の緩和を発生させることがない。
【0050】従って、上記キャスティングの終期におい
てスプールに生じる回転速度は、磁力のみを利用したス
プール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの
場合よりも高く、しかも遠心力により発生する摩擦力を
利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣
用リールの場合のように回転速度の減少率を急激に低下
させないようにすることが出来る。
【0051】即ち、上述したキャスティングの終期にお
いてスプール10の回転速度が序々に減少してきた時の
図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみを利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合や遠心力により発生する摩擦力のみを利用したスプー
ル回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合
よりも伸びる。
【0052】しかも、仕掛けの飛行速度に対して後で大
きな釣糸のバックラッシュを生じさせる原因となるスプ
ール10の過大な回転速度は上述した如くキャスティン
グの中期において適度に抑制されており、またキャステ
ィングの終期においてスプール10の回転速度の減少率
が遠心力により発生される摩擦力を利用したスプール回
転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合のよ
うに急激に低下しないようにすることが出来るので、図
示しない仕掛けが着水した後に、図示しない仕掛けの着
水により生じる図示しない釣糸の引っ張り速度の急激な
低下とスプール10の回転の慣性により図示しない釣糸
にバックラッシュ現象が生じそうになった場合でも、ベ
テランでなくとも例えば指をスプールまたはスプールに
巻き付けられた釣糸の巻回面に軽く押しつけるだけの比
較的簡単な操作で容易に図示しない釣糸のバックラッシ
ュ現象を防止することが出来、キャスティングにおける
釣糸の放出操作が容易となる。
【0053】なお上述した第1の実施の形態では、キャ
スティングの初期から中期にかけて制動制御手段32が
位置変化手段28の駆動を開始させる時のスプール10
の回転速度の所望の値を20,000r.p.m に設定し、
キャスティングの中期から終期にかけて制動制御手段3
2が位置変化手段28の駆動を終了させる時のスプール
10の回転速度の所望の値を10,000r.p.m に設定
していたが、これらの所望の値は制動制御手段32の前
述した図示しない操作釦または操作摘みにより上述した
第1の実施の形態の魚釣用リールの使用者が自由に設定
することが出来る。
【0054】また位置変化手段28として、制動手段の
一部である複数の磁石16が設置された2重の円環22
a,22bをスプール軸10aの回転中心線に沿って前
述した所定の範囲内の任意の位置に移動させることが出
来る例えばモータとラック・アンド・ピニオン機構との
組み合わせや例えばリニアモータ等の公知の構成を採用
すると、複数の磁石16と導電体14との相対位置を任
意に変化させることが出来、よってキャスティングの初
期から終期まで複数の磁石16と導電体14との間に生
じる制動力を任意に変化させて、より自由にスプール1
0の回転速度を制御出来るようになる。
【0055】[第2の実施の形態]次は、添付の図6の
(A)及び(B)を参照しながら、この発明の第2の実
施の形態に従った魚釣用リールについて詳細に説明す
る。
【0056】図6の(A)はこの発明の第2の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時、又はスプールが比較的低速度で回転して
いる状態を示す概略的な縦断面図であり;そして、図6
の(B)は図6の(A)の魚釣用リールの要部において
スプールの回転速度がある程度の大きさ以上で高速回転
している状態を示す概略的な縦断面図である。
【0057】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第2の実施の形態の変形例に従った魚釣用リールの構成
の大部分は図1乃至図5を参照しながら前述したこの発
明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大
部分と共通である。従って、前述したこの発明の第1の
実施の形態に従った魚釣用リールの構成部材と同じ構成
部材にはこの発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リ
ールにおいて対応する構成部材を指摘していた参照符号
と同じ参照符号を付して、これらの同じ構成部材につい
ての詳細な説明は省略する。
【0058】第2の実施の形態において前述した第1の
実施の形態と異なっているのは:スプール軸10aの一
端部に固定されている導電体14´がスプール軸10a
の一端部の外周面からスプール軸10aの半径方向にお
ける外方に向かい張り出した板形状をしており;リール
本体12の一側壁12aにおいて複数の磁石16´がス
プール軸10aの回転中心線に沿った方向で板形状の導
電体14´と対面するようスプール軸10aの回転中心
線の周囲に等間隔で同心円状に配置されており;リール
本体12の一側壁12aにおいて複数の磁石16´を上
述した如く同心円状に支持している円環22がリール本
体12の一側壁12aに対して上記回転中心線に沿った
方向(長手方向)に移動自在な長手方向移動部材40を
介して一側壁12aに取り付けられていて長手方向移動
部材40が位置変化手段28のプランジャ・ソレノイド
組立体28aの一端部に固定されており;さらに円環2
2が長手方向移動部材40上で磁力調整手段21の磁力
調整摘み24により上記回転中心線に沿った方向(長手
方向)に所定の範囲で選択的に移動自在である、ことで
ある。
【0059】この為に長手方向移動部材40はリール本
体12の一側壁12aに対して上記回転中心線に沿った
方向(長手方向)にのみ移動自在であり、円環22は磁
力調整手段21の磁力調整摘み24から伝達される回転
力により上記回転中心線に対して同心的に一方向または
他方向に回転しながら上記回転中心線に沿った方向(長
手方向)に移動するよう長手方向移動部材40に螺合さ
れている。
【0060】この第2の実施の形態における複数の磁石
16´と導電体14´との組み合わせの動作は、前述し
た第1の実施の形態における複数の磁石16と導電体1
4との組み合わせの動作と同じである。
【0061】即ち、スプール回転速度制御手段26の制
動制御手段32によりスプール回転速度検知手段30に
検知させたスプール10の回転速度の所望の値で位置変
化手段28のプランジャ・ソレノイド組立体28aと付
勢手段28bとの組み合わせを使用して制動手段の一部
である複数の磁石16´を支持した円環22をスプール
軸10aの回転中心線に沿った方向に所定の範囲で移動
させて制動手段の一部である複数の磁石16´と制動手
段の一部である導電体14´との相互間の相対的な位置
を変化させることにより、複数の磁石16´と導電体1
4´との間に生じる制動力を自由に制御することが出
来、釣人はスプール10の回転速度を自由に制御するこ
とが出来る。
【0062】例えばキャスティング開始直後の初期にお
いてスプール10の回転速度が制動制御手段32(図1
を参照)に予め設定されている所望の値に到達するまで
はリール本体12の一方の側壁12aの複数の磁石16
´が配置された円環22は、図6の(A)に示す如く、
位置変化手段28の付勢手段28bの付勢力によりスプ
ール軸10a上の導電体14´から遠ざけられている。
よって、複数の磁石16´の磁力の作用により導電体1
4´に渦電流は生ぜず導電体14´を伴って回転するス
プール10に制動力は生じない。また複数の磁石16´
の相互からの漏れ磁束により導電体14´にわずかに渦
電流が生じたとしても、上記わずかな渦電流により生じ
る制動力は非常に小さい。
【0063】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度が所望の値に到達する
までは実質的に制動力が作用しないので、スプール10
の初期回転速度を上昇させることが出来、キャスティン
グ開始直後の初期における仕掛けの飛距離を向上させる
ことが出来る。この間に上昇されるスプール10の回転
速度は、遠心力により発生される制動力を利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合よりも高くなるのは当然であり、しかも磁力のみを利
用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用
リールの場合よりも高くなる。そしてキャスティング開
始直後の初期においてスプール10の回転速度が所望の
値に到達するまでの図示しない仕掛けの飛距離が、遠心
力により発生する摩擦力のみを利用したスプール回転速
度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合よりも伸
びるのはいうまでもなく、磁力のみを利用したスプール
回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合よ
りも伸びる。
【0064】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
回転速度検知手段30がスプール10の回転速度の所望
の値を検知することにより制動制御手段32(図1を参
照)は位置変化手段28のプランジャ・ソレノイド組立
体28aの駆動を開始させ、制動手段の一部である複数
の磁石16が設置された円環22をスプール軸10aの
回転中心線に沿い図6の(A)に示す如くスプール軸1
0a上の制動手段の一部である導電体14´から離間し
た非作動位置からスプール10の一端面に向かい位置変
化手段28の付勢手段28bの付勢力に抗して所定の距
離移動させて複数の磁石16´と導電体14´との相対
位置を変化させ、この結果として図6の(B)に示す如
く複数の磁石16´を導電体14´に接近させる。この
時の複数の磁石16´の位置は作動位置である。
【0065】よって、複数の磁石16´の磁力の作用に
より導電体14´に発生する渦電流の大きさは導電体1
4´が横切る複数の磁石16´の磁束の密度とスプール
10の回転速度とに比例して大きくなり、上記渦電流に
より生じる制動力も導電体14´が横切る複数の磁石1
6´の磁束の密度とスプール10の回転速度とに比例し
て大きくなる。
【0066】この際に生じる制動力は、磁力のみを利用
したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リ
ールの場合と同様に、遠心力により発生する摩擦力を利
用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用
リールの場合よりも少ない。従って、上述した如く上記
キャスティングの初期におけるスプールの回転速度が磁
力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備えた従
来の魚釣用リールの場合よりも高くなるので、上記キャ
スティングの初期から中期にかけてのスプールの回転速
度も磁力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備
えた従来の魚釣用リールの場合よりも高くなり、当然の
ことながら遠心力により発生する摩擦力を利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合よりも格別に高くなる。
【0067】即ち、上述したキャスティングの初期から
スプール10の回転速度がある程度の大きさに到達した
後の中期までの図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合や遠心力により発生される摩擦力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合よりも伸びる。
【0068】しかも、後で大きな釣糸のバックラッシュ
を生じさせる原因となるスプール10の過大な回転速度
は、スプール10の導電体14´とリール本体12の一
方の側壁12aの複数の磁石16´との組み合わせによ
り上述した如く生じる適度な制動作用で充分に抑制され
る。
【0069】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール回転速度検知手段30
がスプール10の回転速度の所望の値を検知することに
より制動制御手段32(図1を参照)は位置変化手段2
8のプランジャ・ソレノイド組立体28aの駆動を終了
させ、制動手段の一部である複数の磁石16´が設置さ
れた円環22をスプール軸10aの回転中心線に沿い図
6の(B)に示す如く複数の磁石16´が導電体14´
に接近させられた作動位置から図6の(A)に示す如く
スプール軸10a上の制動手段の一部である導電体14
´から離間した非作動位置へと位置変化手段28の付勢
手段28aの付勢力によりリール本体12の一方の側壁
12aに向かい所定の距離移動させて複数の磁石16´
と導電体14´との相対位置を変化させ、この結果とし
て図6の(A)に示す如く複数の磁石16´を導電体1
4´から遠ざける。
【0070】よって、複数の磁石16´の磁力の作用に
より導電体14´に渦電流が発生しなくなるか、または
発生したとしても極めて小さくなり、この際に生じる制
動力は磁力のみを利用したスプール回転速度制御手段を
備えた従来の魚釣用リールの場合よりは少なく、また遠
心力により発生する摩擦力を利用したスプール回転速度
制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合の如き急激
な制動力の減少が生じない。従って、上記キャスティン
グの終期においてスプールに生じる回転速度は、磁力の
みを利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の
魚釣用リールの場合よりも高く、しかも遠心力により発
生する摩擦力を利用したスプール回転速度制御手段を備
えた従来の魚釣用リールの場合のように回転速度の減少
率が急激に低下することがない。
【0071】即ち、上述したキャスティングの終期にお
いてスプール10の回転速度が序々に減少してきた時の
図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみを利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合や遠心力により発生する摩擦力のみを利用したスプー
ル回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合
よりも伸びる。
【0072】しかも、仕掛けの飛行速度に対して後で大
きな釣糸のバックラッシュを生じさせる原因となるスプ
ール10の過大な回転速度は上述した如くキャスティン
グの中期において適度に抑制されており、またキャステ
ィングの終期においてスプール10の回転速度の減少率
が遠心力により発生される摩擦力を利用したスプール回
転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合のよ
うに急激に低下しないので、図示しない仕掛けが着水し
た後に、図示しない仕掛けの着水により生じる図示しな
い釣糸の引っ張り速度の急激な低下とスプール10の回
転の慣性により図示しない釣糸にバックラッシュ現象が
生じそうになった場合でも、ベテランでなくとも例えば
指をスプールまたはスプールに巻き付けられた釣糸の巻
回面に軽く押しつけるだけの比較的簡単な操作で容易に
図示しない釣糸のバックラッシュ現象を防止することが
出来、キャスティングにおける釣糸の放出操作が容易と
なる。
【0073】この第2の実施の形態でも、キャスティン
グの初期から中期にかけて制動制御手段32(図1を参
照)が位置変化手段28の駆動を開始させる時のスプー
ル10の回転速度の所望の値とキャスティングの中期か
ら終期にかけて制動制御手段32が位置変化手段28の
駆動を終了させる時のスプール10の回転速度の所望の
値を、制動制御手段32の前述した図示しない操作釦ま
たは操作摘みにより上述した第2の実施の形態の魚釣用
リールの使用者が自由に設定することが出来る。
【0074】また位置変化手段28として、制動手段の
一部である複数の磁石16´が設置された円環22をス
プール軸10aの回転中心線に沿って前述した所定の範
囲内の任意の位置に移動させることが出来る例えばモー
タとラック・アンド・ピニオン機構との組み合わせや例
えばリニアモータ等の公知の構成を採用すると、複数の
磁石16´と導電体14´との相対位置を任意に変化さ
せることが出来、よってキャスティングの初期から終期
まで複数の磁石16´と導電体14´との間に生じる制
動力を任意に変化させて、より自由にスプール10の回
転速度を制御出来るようになる。
【0075】このように第2の実施の形態に従った魚釣
用リールは前述の第1の実施の形態に従った魚釣用リー
ルと同じ効果を発揮することが出来る。そしてさらに、
磁力調整手段21の磁力調整摘み24を一方向または他
方向に回転させることにより、複数の磁石16´を支持
している円環22を長手方向移動部材40上で上記回転
中心線に沿った方向(長手方向)に所定の範囲で選択的
に移動させると、上述した非作動位置と上述した作動位
置との間でスプール10が同じ回転速度で回転した時に
複数の磁石16´と導電体14´との間に生じる制動力
を変化させることが出来る。
【0076】[第3の実施の形態]次は、添付の図7の
(A)及び(B)を参照しながら、この発明の第3の実
施の形態に従った魚釣用リールについて詳細に説明す
る。
【0077】図7の(A)はこの発明の第3の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時、又はスプールが比較的低速度で回転して
いる状態を示す概略的な縦断面図であり;そして、図7
の(B)は図7の(A)の魚釣用リールの要部において
スプールの回転速度がある程度の大きさ以上で高速回転
している状態を示す概略的な縦断面図である。
【0078】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第3の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図5を参照しながら前述したこの発明の第1
の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分と共
通なので、前述したこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの構成部材と同じ構成部材にはこの発明
の第1の実施の形態に従った魚釣用リールにおいて対応
する構成部材を指摘していた参照符号と同じ参照符号を
付して、これらの同じ構成部材についての詳細な説明は
省略する。
【0079】第3の実施の形態において前述した第1の
実施の形態と異なっているのは:スプール軸10aの一
端部においてスプール軸10aの半径方向における外方
に向かい張り出した支持台座50に複数の磁石16´´
がリール本体12の一側壁12aに対面してスプール軸
10aの回転中心線の周囲に等間隔で同心円状に配置さ
れており;リール本体12の一側壁12aにおいて導電
体14´´がスプール軸10aの回転中心線に沿った方
向で複数の磁石16´´と対面するようスプール軸10
aの回転中心線の周囲に同心円状に配置されていること
であり;リール本体12の一側壁12aにおいて導電体
14´´はリール本体12の一側壁12aに対して上記
回転中心線に沿った方向(長手方向)に移動自在な長手
方向移動部材52を介して一側壁12aに取り付けられ
ていて長手方向移動部材52が位置変化手段28のプラ
ンジャ・ソレノイド組立体28aの一端部に固定されて
おり;さらに、導電体14´´が長手方向移動部材52
上で磁力調整手段21の磁力調整摘み24により上記回
転中心線に沿った方向(長手方向)に所定の範囲で選択
的に移動自在であることである。
【0080】この為に長手方向移動部材52はリール本
体12の一側壁12aに対して上記回転中心線に沿った
方向(長手方向)にのみ移動可能に支持されていて、導
電体14´´は磁力調整手段21の磁力調整摘み24か
ら伝達される回転力により上記回転中心線に対して同心
的に一方または他方向に回転することにより上記回転中
心線に沿った方向(長手方向)に移動するよう長手方向
移動部材52に螺合されている。
【0081】この第3の実施の形態における複数の磁石
16´´と導電体14´´との組み合わせの動作は、前
述した第1の実施の形態における複数の磁石16と導電
体14との組み合わせの動作や前述した第2の実施の形
態における複数の磁石16´と導電体14´との組み合
わせの動作と同じである。
【0082】即ち、キャスティング開始直後の初期にお
いてスプール10の回転速度が制動制御手段32(図1
を参照)に予め設定されている所望の値に到達するまで
はリール本体12の一方の側壁12aの導電体14´´
は、図7の(A)に示す如く、スプール軸10a上の支
持台座50に支持されている複数の磁石16´´から位
置変化手段28の付勢手段28bの付勢力により遠ざけ
られている。よって、複数の磁石16´´の磁力の作用
により導電体14´´に渦電流は生ぜず、複数の磁石1
6´´を伴って回転するスプール10に制動力は生じな
い。また複数の磁石16´´の相互からの漏れ磁束によ
り導電体14´´にわずかに渦電流が生じたとしても、
上記わずかな渦電流により生じる制動力は非常に小さ
い。
【0083】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度が所望の値に到達する
までは実質的に制動力が作用しないので、スプール10
の初期回転速度を上昇させることが出来、キャスティン
グ開始直後の初期における仕掛けの飛距離、ひいてはキ
ャスティング開始直後から終了までの全体における仕掛
けの飛距離、を向上させることが出来る。
【0084】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
回転速度検知手段30がスプール10の回転速度の所望
の値を検知することにより制動制御手段32(図1を参
照)は位置変化手段28のプランジャ・ソレノイド組立
体28aの駆動を開始させ、制動手段の一部である導電
体14´´が設置された長手方向移動部材52をスプー
ル軸10aの回転中心線に沿い図7の(A)に示す如く
スプール軸10a上の制動手段の一部である複数の磁石
16´´から離間した非作動位置からスプール10の一
端面に向かい位置変化手段28の付勢手段28bの付勢
力に抗して所定の距離移動させて複数の磁石16´´と
導電体14´´との相対位置を変化させ、この結果とし
て図7の(B)に示す如く導電体14´´複数の磁石1
6´´に接近させる。この時の導電体14´´の位置は
作動位置である。
【0085】よって、複数の磁石16´´の磁力の作用
により導電体14´´に発生する渦電流の大きさは導電
体14´´が横切る複数の磁石16´´の磁束の密度と
スプール10の回転速度とに比例して大きくなり、上記
渦電流により生じる制動力も導電体14´´が横切る複
数の磁石16´´の磁束の密度とスプール10の回転速
度とに比例して大きくなる。
【0086】この際に生じる制動力は、磁力のみを利用
したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リ
ールの場合と同様に、遠心力により発生する摩擦力を利
用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用
リールの場合よりも少ない。
【0087】即ち、上述したキャスティングの初期から
スプール10の回転速度がある程度の大きさに到達した
後の中期までの図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合や遠心力により発生される摩擦力のみ
を利用したスプール回転速度制御手段を備えた従来の魚
釣用リールの場合よりも伸びる。
【0088】しかも、後で大きな釣糸のバックラッシュ
を生じさせる原因となるスプール10の過大な回転速度
は、スプール10の導電体14´´とリール本体12の
一方の側壁12aの複数の磁石16´´との組み合わせ
により上述した如く生じる適度な制動作用で充分に抑制
することが出来る。
【0089】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール回転速度検知手段30
がスプール10の回転速度の所望の値を検知することに
より制動制御手段32(図1を参照)は位置変化手段2
8のプランジャ・ソレノイド組立体28aの駆動を終了
させ、制動手段の一部である導電体14´´を支持して
いる長手方向移動部材52をスプール軸10aの回転中
心線に沿い図7の(B)に示す如く導電体14´´が複
数の磁石16´´に接近させられた作動位置から図7の
(A)に示す如くスプール軸10a上の制動手段の一部
である複数の磁石16´´から離間した非作動位置へと
位置変化手段28の付勢手段28aの付勢力によりリー
ル本体12の一方の側壁12aに向かい所定の距離移動
させて複数の磁石16´´と導電体14´´との相対位
置を変化させ、この結果として図7の(A)に示す如く
複数の磁石16´´を導電体14´´から遠ざける。
【0090】よって、複数の磁石16´´の磁力の作用
により導電体14´´に渦電流が発生しなくなるか、ま
たは発生したとしても極めて小さくなり、この際に生じ
る制動力は磁力のみを利用したスプール回転速度制御手
段を備えた従来の魚釣用リールの場合よりは少なく、ま
た遠心力により発生する摩擦力を利用したスプール回転
速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合の如き
急激な制動力の減少が生じない。従って、上記キャステ
ィングの終期においてスプールに生じる回転速度は、磁
力のみを利用したスプール回転速度制御手段を備えた従
来の魚釣用リールの場合よりも高く、しかも遠心力によ
り発生する摩擦力を利用したスプール回転速度制御手段
を備えた従来の魚釣用リールの場合のように回転速度の
減速度がが急激に緩和されることがない。
【0091】即ち、上述したキャスティングの終期にお
いてスプール10の回転速度が序々に減少してきた時の
図示しない仕掛けの飛距離が、磁力のみを利用したスプ
ール回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場
合や遠心力により発生する摩擦力のみを利用したスプー
ル回転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合
よりも伸びる。
【0092】しかも、仕掛けの飛行速度に対して後で大
きな釣糸のバックラッシュを生じさせる原因となるスプ
ール10の過大な回転速度は上述した如くキャスティン
グの中期において適度に抑制されており、またキャステ
ィングの終期においてスプール10の回転速度の減速度
が遠心力により発生される摩擦力を利用したスプール回
転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合のよ
うに急激に緩和されないので、図示しない仕掛けが着水
した後に、図示しない仕掛けの着水により生じる図示し
ない釣糸の引っ張り速度の急激な低下とスプール10の
回転の慣性により図示しない釣糸にバックラッシュ現象
が生じそうになった場合でも、ベテランでなくとも例え
ば指をスプールまたはスプールに巻き付けられた釣糸の
巻回面に軽く押しつけるだけの比較的簡単な操作で容易
に図示しない釣糸のバックラッシュ現象を防止すること
が出来、キャスティングにおける釣糸の放出操作が容易
となる。
【0093】この第3の実施の形態でも、キャスティン
グの初期から中期にかけて制動制御手段32(図1を参
照)が位置変化手段28の駆動を開始させる時のスプー
ル10の回転速度の所望の値とキャスティングの中期か
ら終期にかけて制動制御手段32が位置変化手段28の
駆動を終了させる時のスプール10の回転速度の所望の
値を、制動制御手段32の前述した図示しない操作釦ま
たは操作摘みにより上述した第3の実施の形態の魚釣用
リールの使用者が自由に設定することが出来る。
【0094】また位置変化手段28として、制動手段の
一部である導電体14´´を支持した長手方向移動部材
52をスプール軸10aの回転中心線に沿って前述した
所定の範囲内の任意の位置に移動させることが出来る例
えばモータとラック・アンド・ピニオン機構との組み合
わせや例えばリニアモータ等の公知の構成を採用する
と、複数の磁石16´´と導電体14´´との相対位置
を任意に変化させることが出来、よってキャスティング
の初期から終期まで複数の磁石16´´と導電体14´
´との間に生じる制動力を任意に変化させて、より自由
にスプール10の回転速度を制御出来るようになる。
【0095】このように第3の実施の形態に従った魚釣
用リールは前述の第1の実施の形態に従った魚釣用リー
ルと同じ効果を発揮することが出来る。そしてさらに、
磁力調整手段21の磁力調整摘み24を一方向または他
方向に回転させることにより、制動手段の一部である導
電体14´´を支持した長手方向移動部材52をスプー
ル軸10aの回転中心線に沿って前述した所定の範囲内
の任意の位置に移動させると、上述した非作動位置と上
述した作動位置との間で同じ回転数でスプール10が回
転した時に複数の磁石16´´と導電体14´´との間
に生じる制動力を変化させることが出来る。
【0096】[第4の実施の形態]次は、添付の図8の
(A)及び(B),そして図9の(A)及び(B)を参
照しながら、この発明の第4の実施の形態に従った魚釣
用リールについて詳細に説明する。
【0097】図8の(A)はこの発明の第4の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時とスプールの回転速度がある程度の大きさ
に到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度の
大きさから減少した時の状態を示す概略的な縦断面図で
あり;図8の(B)は図8の(A)のVIII−VIII線に沿
った概略的な横断面図であり;図9の(A)は図8の
(A)の魚釣用リールの要部において環状制動部材の位
置をスプール軸の回転中心線に沿った方向において変化
させた後のスプールがある程度の回転速度以上で高速回
転している状態を示す概略的な縦断面図であり;そして
図9の(B)は図9の(A)のIX−IX線に沿った概略的
な横断面図である。
【0098】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第4の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図5を参照しながら前述したこの発明の第1
の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分と共
通である。従って、前述したこの発明の第1の実施の形
態に従った魚釣用リールの構成部材と同じ構成部材には
この発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールにお
いて対応する構成部材を指摘していた参照符号と同じ参
照符号を付して、これらの同じ構成部材についての詳細
な説明は省略する。
【0099】この実施の形態は、前述した第1の実施の
形態と以下の構造が異なっている。即ち、スプール回転
速度制御手段26の制動手段が、スプール軸10aの一
端部に半径方向に移動自在に設けられた半径方向移動制
動片60aと、リール本体12の一方の側壁12aに設
けられスプール軸10aの一端部の外周面をスプール軸
10aの半径方向の外方から取り囲む環状制動部材60
bと、を備えていることである。
【0100】この実施の形態において環状制動部材60
bの内周面62は、スプール軸10aの回転中心線に沿
い一方の側壁12aの内表面に接近した位置からスプー
ル10の一端面に接近するにつれて直径が大きくなるテ
ーパ形状に設定されており、さらに上記回転中心線に沿
い一方の側壁12aの内表面に接近した位置からスプー
ル10の一端面に接近する方向に向かうにつれて摩擦係
数が大きくなるよう設定されている。
【0101】さらにこの実施の形態において半径方向移
動制動片60aは、スプール軸10aの一端部において
スプール軸10aの外周面からスプール軸10aの半径
方向の外方に向かい延出している案内棒60cに貫通さ
れることにより上記半径方向移動を案内される。
【0102】この実施の形態において、スプール軸10
aに設けられ制動手段の一部を構成している半径方向移
動制動片60aとリール本体12の一方の側壁12aに
設けられ制動手段の一部を構成している環状制動部材6
0bとの相互間の相対位置を変化させる為の位置変化手
段28は、環状制動部材60bをリール本体12の一方
の側壁12aに対してスプール軸10aの回転中心線に
沿った方向(長手方向)に移動自在に支持し、環状制動
部材60bとリール本体12の一方の側壁12aとの間
にプランジャ・ソレノイド組立体28a及び付勢手段2
8b´を介在させることにより構成されている。そして
付勢手段28b´は例えば環状制動部材60bとリール
本体12の一方の側壁12aとに固定された両端部を有
する引っ張りコイルばねにより構成されている。
【0103】またこの実施の形態は、スプール10が所
定の回転速度で回転している間において制動手段の一部
を構成している半径方向移動制動片60aとリール本体
12の一方の側壁12aに設けられ制動手段の一部を構
成している環状制動部材60bとの間に生じる摩擦制動
力を調整する為の摩擦制動力調整手段70を備えてい
る。摩擦制動力調整手段70は、リール本体12の一方
の側壁12aに回転自在にのみ支持された摩擦制動力調
整摘み70aと、摩擦制動力調整摘み70aと環状制動
部材60bとの間でリール本体12の一方の側壁12a
及び環状制動部材60bに対して上記回転中心線に沿っ
た方向にのみ移動自在に介在された長手方向移動部材7
0bと、を含んでいる。そして長手方向移動部材70b
は摩擦制動力調整摘み70aの一方向または他方向への
回転により上記回転中心線に沿った方向に移動されるよ
う摩擦制動力調整摘み70aに螺合されている。
【0104】なお、プランジャ・ソレノイド組立体28
aの一端部は環状制動部材60bに固定されていて、他
端部は長手方向移動部材70bを介してリール本体12
の一方の側壁12aに取り付けられている。
【0105】このように構成されているこの発明の第4
の実施の形態に従った魚釣用リールでは、キャスティン
グ開始直後の初期においてスプール10の回転速度が制
動制御手段32(図1を参照)に予め設定されている所
望の値に到達するまではリール本体12の一方の側壁1
2aの環状制動部材60bは、図8の(A)及び(B)
に示す如く、位置変化手段28の付勢手段28bの付勢
力によりスプール10の一端面に向かい付勢されて一方
の側壁12aから最も遠ざけられた位置に配置されてい
る。
【0106】そして、スプール軸10aとともに回転す
る複数の半径方向移動制動片60aに生じる遠心力は弱
く、この為に複数(この実施の形態では4つ)の制動片
60aは環状制動部材60bのテーパ形状の内周面62
においてリール本体12の一方の側壁12aの内表面に
隣接した最も摩擦係数の小さな小径部に図8の(A)及
び(B)に示す如く対向または軽く接触し、環状制動部
材60bのテーパ形状の内周面62と半径方向移動制動
片60aとの間に発生する摩擦制動力も弱い。
【0107】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度が所望の値に到達する
までは実質的に制動力があまり作用しないので、スプー
ル10の初期回転速度を上昇させることが出来、キャス
ティング開始直後の初期における仕掛けの飛距離、ひい
てはキャスティング開始直後から終了までの全体におけ
る仕掛けの飛距離、を向上させることが出来る。
【0108】またスプール10の回転速度がある程度の
大きさに到達したキャスティングの中期になると、スプ
ール回転速度検知手段30がスプール10の回転速度の
所望の値を検知することにより制動制御手段32(図1
を参照)は位置変化手段28のプランジャ・ソレノイド
組立体28aの駆動を開始させ、制動手段の一部である
環状制動部材60bを図8の(A)に示す如くスプール
10の一端面に接近した位置から位置変化手段28の付
勢手段28b´の付勢力に抗してスプール軸10aの回
転中心線に沿い図9の(A)に示す如くリール本体12
の一方の側壁12aに接近した位置へと向かい所定の距
離移動させて環状制動部材60bとスプール軸10a上
の制動手段の一部である複数の半径方向移動制動片60
aとの相対位置を変化させる。
【0109】よって、複数(この実施の形態では4つ)
の制動片60aは環状制動部材60bのテーパ形状の内
周面62においてリール本体12の一方の側壁12aの
内表面から遠ざかった摩擦係数の大きな大径部分に図9
の(A)及び(B)に示す如く接触し、環状制動部材6
0bのテーパ形状の内周面62と半径方向移動制動片6
0aとの間に発生する摩擦制動力が強くなる。
【0110】この際に生じる制動力は、従来の遠心力に
より発生する摩擦力のみを利用したスプール回転速度制
御手段を備えた魚釣用リールの場合よりも少ない。即
ち、上述したキャスティングの初期からスプール10の
回転速度がある程度の大きさに到達した後の中期までの
図示しない仕掛けの飛距離が、従来の遠心力により発生
される摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手段
を備えた魚釣用リールの場合よりも伸びる。
【0111】しかも、後で大きな釣糸のバックラッシュ
を生じさせる原因となるスプール10の過大な回転速度
は、スプール10の複数の半径方向移動制動片60aと
リール本体12の一方の側壁12aの環状制動部材60
bのテーパ形状の内周面62との組み合わせにより上述
した如く生じる適度な制動作用で充分に抑制される。
【0112】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール回転速度検知手段30
がスプール10の回転速度の所望の値を検知することに
より制動制御手段32(図1を参照)は位置変化手段2
8のプランジャ・ソレノイド組立体28aの駆動を終了
させ、制動手段の一部である環状制動部材60bを図9
の(A)に示す如くリール本体12の一方の側壁12a
に接近した位置から位置変化手段28の付勢手段28b
´の付勢力によりスプール軸10aの回転中心線に沿い
図8の(A)に示す如くスプール10の一端面に接近し
た位置へと向かい所定の距離移動させて環状制動部材6
0bとスプール軸10a上の制動手段の一部である複数
の半径方向移動制動片60aとの相対位置を変化させ
る。
【0113】よって、複数(この実施の形態では4つ)
の制動片60aは環状制動部材60bのテーパ形状の内
周面62においてリール本体12の一方の側壁12aの
内表面に接近した摩擦係数の小さな部分に図8の(A)
及び(B)に示す如く接触し、環状制動部材60bのテ
ーパ形状の内周面62と半径方向移動制動片60aとの
間に発生する摩擦制動力を弱める。
【0114】この際に生じる制動力は、従来の遠心力に
より発生する摩擦力のみを利用したスプール回転速度制
御手段を備えた魚釣用リールの場合よりも少ない。従っ
て、キャスティングの終期において、遠心力により発生
する摩擦力を利用したスプール回転速度制御手段を備え
た前述した従来の魚釣用リールの場合の如き急激な制動
力の減少が生じない。この為に、仕掛けの飛翔速度に比
べてスプール10の回転速度が早くなる過回転状態を充
分に抑制し、キャスティングの終期においても釣糸のバ
ックラッシュ現象が発生することを防止することが出来
る。
【0115】しかもキャスティングの終期の最後におい
て半径方向移動制動片60aに生じる遠心力が小さくな
り半径方向移動制動片60aが環状制動部材60bのテ
ーパ形状の内周面62に軽く接触するか離間するように
なると、環状制動部材60bのテーパ形状の内周面62
と半径方向移動制動片60aとの間に発生する摩擦制動
力も弱くなる。
【0116】即ち、上述したキャスティングの終期にお
いてスプール10の回転速度が序々に減少してきた時の
図示しない仕掛けの飛距離が、従来の遠心力により発生
する摩擦力のみを利用したスプール回転速度制御手段を
備えた魚釣用リールの場合よりも伸びる。
【0117】しかも、仕掛けの飛行速度に対して後で大
きな釣糸のバックラッシュを生じさせる原因となるスプ
ール10の過大な回転速度は上述した如くキャスティン
グの中期において適度に抑制されており、またキャステ
ィングの終期においてスプール10の回転速度の減速度
が遠心力により発生される摩擦力を利用したスプール回
転速度制御手段を備えた従来の魚釣用リールの場合のよ
うに急激に緩和されないので、図示しない仕掛けが着水
した後に、図示しない仕掛けの着水により生じる図示し
ない釣糸の引っ張り速度の急激な低下とスプール10の
回転の慣性により図示しない釣糸にバックラッシュ現象
が生じそうになった場合でも、ベテランでなくとも例え
ば指をスプールまたはスプールに巻き付けられた釣糸の
巻回面に軽く押しつけるだけの比較的簡単な操作で容易
に図示しない釣糸のバックラッシュ現象を防止すること
が出来、キャスティングにおける釣糸の放出操作が容易
となる。
【0118】この第4の実施の形態でも、キャスティン
グの初期から中期にかけて制動制御手段32(図1を参
照)が位置変化手段28の駆動を開始させる時のスプー
ル10の回転速度の所望の値とキャスティングの中期か
ら終期にかけて制動制御手段32が位置変化手段28の
駆動を終了させる時のスプール10の回転速度の所望の
値を、制動制御手段32の前述した図示しない操作釦ま
たは操作摘みにより上述した第4の実施の形態の魚釣用
リールの使用者が自由に設定することが出来る。
【0119】また位置変化手段28として、制動手段の
一部である環状制動部材60bを支持した長手方向移動
部材70bをスプール軸10aの回転中心線に沿って前
述した所定の範囲内の任意の位置に移動させることが出
来る例えばモータとラック・アンド・ピニオン機構との
組み合わせや例えばリニアモータ等の公知の構成を採用
すると、リール本体12の一方の側壁12aに設けられ
た制動手段の一部である環状制動部材60bとスプール
軸10aに設けられた制動手段の一部である複数の半径
方向移動制動片60aとの相互間の相対位置を任意に変
化させることが出来、よってキャスティングの初期から
終期まで環状制動部材60bと複数の半径方向移動制動
片60aとの間に生じる制動力を任意に変化させて、よ
り自由にスプール10の回転速度を制御出来るようにな
る。
【0120】このように第4の実施の形態に従った魚釣
用リールは前述の第1の実施の形態に従った魚釣用リー
ルと同じ効果を発揮することが出来る。そしてさらに、
摩擦制動力調整手段70の摩擦制動力調整摘み70aを
一方向または他方向に回転させることにより、制動手段
の一部である環状制動部材60bを支持した長手方向移
動部材70bをスプール軸10aの回転中心線に沿って
前述した所定の範囲内の任意の位置に移動させると、同
じ回転数でスプール10が回転した時に複数の半径方向
移動制動片60aと環状制動部材60bとの間に生じる
制動力を変化させることが出来る。
【0121】なお上述した種々の実施の形態の魚釣用リ
ールの使用者が位置変化手段28を作動させる所望の値
を制動制御手段32に自由に設定出来るようにしたが、
上述した種々の実施の形態の魚釣用リールを工場から出
荷する段階で制動制御手段32に予め複数の上記所望の
値を記憶させておき、後で上述した種々の実施の形態の
魚釣用リールの使用者が釣場の状況や所望のキャスティ
ングに応じて制動制御手段32の前述した図示しない操
作釦または操作摘みにより上述した複数の上記所望の値
から選択するようにしても良い。
【0122】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
この発明に従った魚釣用リールによれば、前述した如き
従来の遠心力を利用したスプール回転速度制御手段を備
えた魚釣用リールや前述した如き従来の磁力を利用した
スプール回転速度制御手段を備えた魚釣用リールに比
べ、釣糸のバツクラッシュの防止を図りながら仕掛けの
飛距離の向上が可能になるとともに、釣場の状況や釣人
の種々の望みに応じてスプールの回転速度を制御する条
件を任意に設定することが出来、釣場の状況や釣人の種
々の望みに対して幅広く対応することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リ
ールの概略的な水平断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った概略的な横断面図であ
る。
【図3】図1のIII −III 線に沿った概略的な横断面図
である。
【図4】(A)は、図1の魚釣用リールの要部において
スプールが回転していない時とスプールの回転速度があ
る程度の大きさに到達するまでの間とスプールの回転速
度がある程度の大きさから減少した時の状態を示す概略
的な縦断面図であり;(B)は、(A)のIV−IV線に沿
った概略的な横断面図である。
【図5】図1の魚釣用リールの要部においてスプールが
ある程度の回転速度以上で高速回転している状態を示す
概略的な縦断面図である。
【図6】(A)は、この発明の第2の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時、又はスプールが比較的低速度で回転している状態
を示す概略的な縦断面図であり;(B)は、図6の
(A)の魚釣用リールの要部においてスプールの回転速
度がある程度の大きさ以上で高速回転している状態を示
す概略的な縦断面図である。
【図7】(A)は、この発明の第3の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時、又はスプールが比較的低速度で回転している状態
を示す概略的な縦断面図であり;(B)は、(A)の魚
釣用リールの要部においてスプールの回転速度がある程
度の大きさ以上で高速回転している状態を示す概略的な
縦断面図である。
【図8】(A)は、この発明の第4の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達す
るまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさか
ら減少した時の状態を示す概略的な縦断面図であり;
(B)は、(A)のVIII−VIII線に沿った概略的な横断
面図である。
【図9】(A)は、図8の(A)の魚釣用リールの要部
において環状制動部材の位置をスプール軸の回転中心線
に沿った方向において変化させた後のスプールがある程
度の回転速度以上で高速回転している状態を示す概略的
な縦断面図であり;(B)は、(A)のIX−IX線に沿っ
た概略的な横断面図である。
【符号の説明】
10 スプール 10a スプール軸 12 リール本体 14,14´,14´´ 導電体(制動手段) 16,16´,16´´ 磁石(制動手段) 20 回転力伝達手段 26 スプール回転速度制御手段 30 スプール回転速度検知手段 30a 磁石(スプール回転速度検知手段) 30b 磁気検知手段(スプール回転速度検知手段) 28 位置変化手段 28a プランジャ・ソレノイド組立体(位置変化手
段) 28b,28b´ 付勢手段(位置変化手段) 32 制動制御手段 60a 半径方向移動制動片(制動手段) 60b 環状制動部材(制動手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釣糸が解放自在に巻き付けられるスプー
    ルと;スプールを回転自在に保持しており、スプールの
    自由な回転を許容しスプールからの釣糸の放出を許容す
    るスプール自由回転状態とスプールに回転力を伝達しス
    プールに釣糸を巻き取らせるスプール駆動状態とを選択
    的に設定する回転力伝達手段を有したリール本体と;ス
    プール自由回転状態におけるスプールの回転速度を制御
    するスプール回転速度制御手段と;を備えており、 スプール回転速度制御手段が、 スプール及びリール本体の両者に設けられ、選択的に協
    働してスプールの回転を制動し、相互間の相対位置を変
    化させることにより制動力を変化させる制動手段と;ス
    プールの回転速度を検知するスプール回転速度検知手段
    と;スプール及びリール本体の両者に設けられた制動手
    段の相互間の相対位置を選択的に変化させる位置変化手
    段と;スプール回転速度検知手段が検知したスプールの
    回転速度の所望の値で位置変化手段によりスプール及び
    リール本体の両者に設けられた制動手段の相互間の相対
    位置を変化させて制動手段がスプールの回転に対して作
    用する制動力を変化させ、スプールの回転速度を制御す
    る制動制御手段と;を備えたことを特徴とする魚釣用リ
    ール。
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