JP3469062B2 - 魚釣用リール - Google Patents

魚釣用リール

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JP3469062B2 JP27456397A JP27456397A JP3469062B2 JP 3469062 B2 JP3469062 B2 JP 3469062B2 JP 27456397 A JP27456397 A JP 27456397A JP 27456397 A JP27456397 A JP 27456397A JP 3469062 B2 JP3469062 B2 JP 3469062B2
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幹春 小林
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、魚釣用リールに
関係しており、特にスプールが自由回転する時の回転速
度を摩擦制動力を利用して制御する魚釣用リールに関係
している。 【0002】 【従来の技術】魚釣用リールにおいては、キャスティン
グをする時にはスプールが自由回転状態にされる。そし
てキャスティングが行われ仕掛けが所望の方向に飛んで
いくと、キャスティング開始直後の初期には仕掛けとと
もに釣糸がスプールから高速で引き出されることにより
スプールもまた高速で回転される。その後、仕掛けがス
プールから遠ざかるにつれて仕掛けや釣糸に作用する空
気抵抗や風等の圧力の影響により仕掛けや仕掛け近傍の
釣糸の飛行速度はスプールの周速(即ち、スプールから
放出された直後の釣糸の飛行速度)に比べて遅くなり、
さらに仕掛けが着水すると仕掛けの運動エネルギによる
釣糸の引きもなくなり、仕掛けと魚釣用リールの間の釣
糸に、いわゆるバックラッシュと呼ばれる大きな弛みが
生じる。釣糸のバックラッシュは釣糸自身の絡み合いや
釣竿や魚釣用リールや他の物体に対する釣糸の絡みを生
じさせる原因となり、また仕掛けに所望の動きをさせる
為の障害となる。 【0003】従来、キャスティングにおいてバックラッ
シュを防止する為にはスプールに対し指を接触させて摩
擦制動力を発生させることによりスプールの慣性による
過剰回転を防止することが行われていた。しかしながら
キャスティングによる仕掛けの飛翔距離を延ばしながら
バックラッシュを防止させる為に指により摩擦制動力を
調整することは、キャスティングのベテランでなくては
困難であった。 【0004】この為、近年ではキャスティングのベテラ
ンでなくてもスプールが自由回転する時の回転速度を容
易に適度に制御することが出来るスプール回転速度制御
手段を備えた魚釣用リールが開発されており、例えば実
開平3−79665号公報や特開平5−58455号公
報には自由回転するスプールに対し遠心力を利用して摩
擦力を作用させるものが開示されている。 【0005】実開平3−79665号公報に開示されて
いる如き遠心力を利用してスプールに対し摩擦力を作用
させるスプール回転速度制御手段を備えた魚釣用リール
では、スプール軸の一端部にスプール軸の半径方向に移
動自在に制動片が設けられていて、リール本体にはスプ
ール軸の一端部を覆うように裁頭円錐台形状の凹所が設
けられている。スプール軸の一端部の制動片は、スプー
ルの回転により制動片に発生する遠心力によりスプール
軸の半径方向の外方に移動されてリール本体の裁頭円錐
台形状の凹所の内周面に摺接し摩擦力を発生させること
により、スプールの回転速度を制御する。 【0006】特開平5−58455号公報に開示されて
いる如き遠心力を利用してスプールに対し摩擦力を作用
させるスプール回転速度制御手段を備えた魚釣用リール
では、スプール軸の一端部にスプール軸の半径方向に移
動自在に第1の制動片が設けられていて、リール本体に
はスプール軸の一端部をスプール軸に対して同心的に覆
うように円筒部材が回転自在に設けられている。円筒部
材の外周面にも円筒部材の半径方向に移動自在に第2の
制動片が設けられていて、円筒部材の外周面を円筒部材
に対して同心的に覆う円形状の凹所がリール本体に設け
られている。 【0007】スプール軸の一端部の第1の制動片は、ス
プールの比較的低い回転速度により第1の制動片に発生
する比較的小さな遠心力によりスプール軸の半径方向の
外方に移動されてリール本体の回転自在な円筒部材の内
周面に摺接し摩擦制動力を発生させることにより、スプ
ールの比較的低い回転速度を制御する。スプールの回転
速度が比較的高くなり第1の制動片と円筒部材の内周面
との間に生じる摩擦力が大きくなると、円筒部材もスプ
ールとともに回転を開始し、円筒部材の第2の制動片
は、スプールの比較的高い回転速度により第2の制動片
に発生する比較的大きな遠心力によりスプール軸の半径
方向の外方に移動されてリール本体の円形状の凹所に摺
接し摩擦力を発生させることにより、スプールの比較的
高い回転速度を制御する。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】前述した実開平3−7
9665号公報に開示されている遠心力により発生する
摩擦力を利用したスプール回転速度制御手段を備えた魚
釣用リールでは、スプール軸の一端部の制動片に作用す
る遠心力、即ちスプールの回転速度、が所定の大きさ以
上になり制動片がリール本体の略裁頭円錐台形状凹所の
内周面に比較的強い押圧力を伴い摺接した時と、スプー
ル軸の一端部の制動片に作用する遠心力、即ちスプール
の回転速度、が所定の大きさ以下の間に制動片がリール
本体の略裁頭円錐台形状凹所の内周面に比較的弱い押圧
力を伴い摺接した時と、では、リール本体の略裁頭円錐
台形状凹所の内周面に対してスプール軸の一端部の制動
片が発生させる摩擦制動力がスプールの回転速度に対し
2次的に変化する(遠心力により発生する摩擦力はスプ
ールの回転速度の2乗に比例する)ので、スプール回転
速度制御手段がスプールに対して作用する摩擦制動力が
急激に大きく変化する。この為、キャスティングの終期
にスプールの回転速度が低下して来た時に、仕掛けの飛
行速度または移動速度の低下量と比較してスプールの回
転速度の低下量が逆に急激に少なくなって釣糸の前述し
たバックラッシュ現象が生じ易くなる。従来はこのよう
なキャスティングの終期におけるバックラッシュ現象の
発生は、釣竿を握った釣人の手の指でスプールまたはス
プールに巻回された釣糸の巻回面を押さえスプールの回
転速度を微妙に制御するといういわゆるサミング操作に
より回避していたが、適切なサミング操作の習得には熟
練を要している。 【0009】遠心力により発生する摩擦力を利用したス
プール回転速度制御手段ではさらに、キャスティングが
開始されてスプールの回転速度が所定の大きさ以上にな
ると急激に摩擦制動力が大きくなり、スプールの回転速
度が急激に低下し、仕掛けの飛行速度が急激に低下す
る。即ち、仕掛けの飛行距離の低下が生じる。 【0010】即ち、遠心力により発生する摩擦力を利用
したスプール回転速度制御手段では、キャスティングに
よる飛行距離が低下し、またスプール回転速度制御手段
を有していない場合に比べると少なくなっているとはい
えバックラッシュ現象が依然として生じる。 【0011】また、前述した特開平5−68455号公
報により既に知られている2段階に摩擦力を利用したス
プール回転速度制御手段を備えた魚釣用リールでは、実
開平3−79665号公報に開示されている遠心力によ
り発生する摩擦力を1段階で利用したスプール回転速度
制御手段を備えた魚釣用リールに比べると、スプールの
所定の回転数における摩擦制動力の変動によるスプール
の回転速度の変動がもたらす仕掛けの飛行距離の低下や
バックラッシュ現象の発生といった欠点はより少なくな
っているが完全には無くすことが出来ず、また複数の制
動ユニットを結合して順次作用させる構造なので構造が
複雑であり、このようなスプール回転速度制御手段を備
えた魚釣用リールの外形寸法を大きくしてしまうばかり
でなく、製造コストも上昇させてしまう。 【0012】この発明は上述した種々の事情の下でなさ
れ、この発明の目的は、キャスティングの初期において
はスプールの回転速度の上昇を大きくすることが出来て
仕掛けの飛距離を増大させることが出来、キャスティン
グの中期においてはスプールの回転速度を適度に制御し
て釣糸のバックラッシュ現象の発生を防止することが出
来、またキャスティングの終期においてはスプールの回
転速度の制動の急激な緩みを原因とする釣糸のバックラ
ッシュ現象の発生を防止することが出来、さらには構造
が簡易である魚釣用リールを提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段】上述したこの発明の目的
を達成する為に、この発明に従った魚釣用リールは:釣
糸が解放自在に巻き付けられるスプールと;スプールを
回転自在に保持しており、スプールの自由な回転を許容
しスプールからの釣糸の放出を許容するスプール自由回
転状態とスプールに回転力を伝達しスプールに釣糸を巻
き取らせるスプール駆動状態とを選択的に設定する回転
力伝達手段を有したリール本体と;スプールに設けら
れ、スプールとともに回転し、スプールの回転中心線に
沿って移動自在である移動部材と;移動部材に設けら
れ、スプールの半径方向に移動自在であり、スプールの
回転に伴い発生する遠心力によりスプールの半径方向の
外方に向かい移動する制動片と;リール本体に設けら
れ、移動部材の移動にともなう上記回転中心線に沿った
方向における制動片の移動の範囲内で上記半径方向の外
方から制動片に対向し、遠心力により上記半径方向の外
方に向かい移動した制動片と摺接して摩擦制動力を生じ
させる環状制動部材と;スプールの回転に伴い発生する
遠心力により移動部材を上記回転中心線に沿った一方向
に移動させる移動部材駆動手段と;移動部材を上記回転
中心線に沿った他方向に付勢する付勢手段と;移動部材
の移動にともなう上記回転中心線に沿った方向における
制動片の移動により、制動片と環状制動部材との間に生
じる摩擦制動力の大きさを変化させる摩擦制動力変化手
段と;を備えたことを特徴としている。 【0014】ここにおいては、スプールの回転速度の増
減に応じた移動部材駆動手段による移動部材の移動にと
もなう上記回転中心線に沿った方向における制動片の移
動により、摩擦制動力変化手段が制動片と環状制動部材
との間に生じる摩擦制動力の大きさを変化させるので、
キャスティング開始直後の初期には発生する上記摩擦制
動力の大きさを小さく設定してスプールの回転速度の上
昇を大きくすることが出来て仕掛けの飛距離を増大させ
ることが出来、キャスティング開始直後の初期における
スプールの回転速度の急上昇期を過ぎてスプールの回転
速度が最も大きくなる中期になるとスプールに対する摩
擦制動力が適度に増加されて風圧や重力等の影響による
仕掛けや釣糸の飛行速度の低下に対応してスプールの回
転速度を適度に抑制させてバックラッシュ現象の発生を
防止することが出来、またキャスティングの終期におい
てスプールの回転速度が比較的小さくなってきた時には
上記摩擦制動力が適度に低下するよう調整してスプール
からの釣糸の放出速度の低下に比べてスプールの回転速
度の低下が急激に緩められることを防止出来てバックラ
ッシュ現象を発生させるスプールの過回転を防止するこ
とが出来る。 【0015】この為に、キャスティングの終期における
釣糸のバックラッシュの防止の為のスプールの回転速度
の指による微妙な制御が殆ど不要となる。なお仕掛けが
着水して仕掛けが引っ張る釣糸の引っ張り速度が急激に
減少した後は上記引っ張り速度に対するスプールの過回
転現象が生じて釣糸のバックラッシュが生じる可能性が
あるが、仕掛けが着水して釣糸の引っ張り速度が急激に
減少した後はスプールの回転が仕掛けの飛距離の増減と
は無関係になるのでスプールの回転を単に停止させて釣
糸のバックラッシュを防止すれば良く、釣糸のバックラ
ッシュの防止の為のスプールの回転速度の指による制御
が熟練者でなくとも容易である。 【0016】上述した如く構成されたことを特徴とする
この発明に従った魚釣用リールにおいては、前記移動部
材駆動手段と前記摩擦制動力変化手段とを、前記環状制
動部材において前記制動片と摺接する表面をスプールの
回転中心線に対して傾斜させることにより構成すること
が出来る。 【0017】そしてさらに、前記環状制動部材において
前記制動片と摺接する表面の摩擦係数をスプールの回転
中心線に沿った方向に変化させることにより前記摩擦制
動力変化手段を構成することも出来る。 【0018】また、前記環状制動部材をスプールの回転
中心線に沿った方向に選択的に移動自在とし、スプール
の回転中心線に沿った方向において前記制動片が摺接す
ることが出来る前記環状制動部材の表面の距離を規制す
ることも出来る。 【0019】また、前記環状制動部材において前記制動
片と摺接する表面を円形状とし;前記環状制動部材にお
いて前記制動片と摺接する表面の摩擦係数をスプールの
回転中心線に沿った方向に変化させることにより前記摩
擦制動力変化手段を構成し;さらに前記移動部材駆動手
段を、前記移動部材に設けられ前記半径方向に移動自在
な半径方向移動部材と、スプールに設けられて前記移動
部材の移動にともなう前記回転中心線に沿った方向にお
ける上記半径方向移動部材の移動範囲で前記半径方向の
外方から前記移動部材に対向し前記回転中心線に対して
傾斜したテーパ形状内周面と、により構成することが出
来る。なおここでテーパ形状内周面は、スプールの表面
に直接形成することが出来るし、スプールとは別体に形
成された後にスプールに固定される追加部材に形成する
ことも出来る。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の種々の実施の形
態従った魚釣用リールを添付の図面を参照しながら詳細
に説明する。 [第1の実施の形態]まず最初に添付の図1乃至図3の
(A)及び(B)を参照しながら、この発明の第1の実
施の形態に従った魚釣用リールについて詳細に説明す
る。 【0021】図1はこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの概略的な水平断面図であり;図2は図
1の II-II線に沿った概略的な横断面図であり;図3の
(A)は図1の魚釣用リールの要部においてスプールが
回転していない時とスプールの回転速度がある程度の大
きさに到達するまでの間とスプールの回転速度がある程
度の大きさから減少した時の状態を実線で示し、スプー
ルがある程度の回転速度以上で高速回転している状態を
2点鎖線で示す概略的な縦断面図であり;そして図3の
(B)は図3の(A)の III-III線に沿った概略的な横
断面図である。 【0022】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。図1に示す如く、
この発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールは、
図示しない釣糸が解放自在に巻き付けられるスプール1
0と、スプール10のスプール軸10aの両端部を軸受
13a,13bを介して回転自在に支持しスプール10
を回転自在に保持したリール本体12と、を備えてい
る。 【0023】スプール10の一端面とスプール10の一
端面から突出したスプール軸10aの一端部(図1では
右端部)を回転自在に支持した軸受13aが設置されて
いるリール本体12の一方の側壁12aとの間には、ス
プール10が自由回転する時の回転速度を摩擦制動力を
利用して制御するスプール回転速度制御機構14が設置
されている。 【0024】スプール10の他端面から突出したスプー
ル軸10aの他端部(図1では左端部)を回転自在に支
持した軸受13bが設置されている他方の側壁12bに
は、ハンドル18が回転自在に設けられているととも
に、ハンドル18から入力された回転力をスプール軸1
0aの他端部に選択的に伝達するクラッチ付き回転力伝
達手段20も設けられている。クラッチ付き回転力伝達
手段20は、図示しない操作釦を介してクラッチを操作
することにより、スプール軸10aの自由な回転を許容
しスプール10からの上述した図示しない釣糸の放出
(図1に矢印Sで釣糸放出方向を示す)を許容するスプ
ール自由回転状態と、ハンドル18から入力された回転
力をスプール軸10aの他端部を介してスプール10に
伝達しスプール10に上述した図示しない釣糸を図1に
矢印Sで示された釣糸放出方向とは正反対の方向に巻き
取らせるスプール駆動状態と、を選択的に設定可能であ
る。そしてこのようなクラッチ付き回転力伝達手段20
の構成は公知なので、その構成についての説明は省略す
る。 【0025】スプール回転速度制御機構14は、図2,
図3の(A),及び図3の(B)に示す如く、スプール
軸10aの一端部にスプール軸10aとともに回転しス
プール軸10aの回転中心線に沿った方向(長手方向)
に移動自在に設けられた移動部材14aと、移動部材1
4aにスプール軸10aの半径方向に移動自在に設けら
れスプール10の回転にともない発生する遠心力により
上記半径方向の外方に向かい移動する複数の制動片14
bと、を備えている。なおこの実施の形態では、複数の
制動片14bはスプール軸10aの周方向に等間隔に2
つ設けられているが、上記周方向に等間隔に2つ以上設
置することも出来る。また、この実施の形態では、複数
の制動片14bは、スプール軸10aの一端部の外周面
からスプール軸10aの直径方向に一直線状に突出した
1対の案内棒14cに貫通されることにより上記半径方
向における移動を案内されているが、スプール軸10a
の一端部の外周面から上記半径方向の外方に向かい張り
出した支持部材に形成した上記半径方向の外方に向かい
延出する案内溝に係合させることにより上記半径方向に
おける移動を案内されることも出来る。 【0026】スプール回転速度制御機構14はさらに、
リール本体12の一方の側壁12aの内表面においてス
プール軸10aの一端部を囲むよう設けられた環状制動
部材14dを備えている。環状制動部材14dは、スプ
ール軸10aの一端部における移動部材14aの移動に
ともなうスプール軸10aの回転中心線に沿った方向に
おける制動片14bの移動の範囲内で上記半径の外方か
ら制動片14bに対向しており、環状制動部材14dの
内周面15は上記回転中心線に沿いスプール10の一端
面からリール本体12の一方の側壁12aの内表面に向
かうにつれて直径が序々に拡大されるテーパ形状をして
いる。 【0027】スプール回転速度制御機構14はまた、ス
プール軸10aの一端部において上記回転中心線に沿い
移動部材14aをリール本体12の一方の側壁12aの
内表面から遠ざかる方向に付勢する付勢手段14eを備
えている。付勢手段14eに関してより詳細に説明する
と、この実施の形態では、スプール軸10aの一端部に
おいてリール本体12の一方の側壁12aの軸受13a
に隣接した位置には係止部材14fが固定されており、
スプール軸10aの一端部において係止部材14fと移
動部材14aとの間に巻装された圧縮コイルばねが付勢
手段14eを構成している。 【0028】なおこの実施の形態では、環状制動部材1
4dはリール本体12の一方の側壁12aと一体に形成
されているが、環状制動部材14dをリール本体12の
一方の側壁12aとは独立して形成した後にリール本体
12の一方の側壁12aに固定することも出来る。 【0029】そして、付勢手段14eにより付勢された
移動部材14a上の複数の制動片14bは、環状制動部
材14dのテーパ形状の内周面15の最小開口部位と上
記半径方向において対向している。 【0030】次には、上述した如く構成されているこの
発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの動作に
ついて説明する。この発明の第1の実施の形態に従った
魚釣用リールが取り付けられた釣竿をキャスティングの
為に振ると、水面上の目的地点に向かい飛翔する図示し
ない仕掛けにより図示しない釣糸が引っ張られることに
よりスプール10が所定の方向に回転を開始する。 【0031】キャスティング開始直後の初期においてス
プール10の回転速度がある程度の大きさに到達するま
ではスプール軸10aとともに回転する移動部材14a
上の複数の制動片14bに生じる遠心力は弱く、複数の
制動片14bが遠心力により環状制動部材14dのテー
パ形状の内周面15に押し付けられることにより発生す
る摩擦制動力も弱い。しかも内周面15は傾斜している
ので、同じ遠心力により、即ちスプール10が同じ回転
速度で回転した時に、制動片14bが従来の如き円筒状
の内周面に押し付けられた場合に比べると、発生する摩
擦制動力は弱い。 【0032】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度がある程度の大きさに
到達するまでにスプール10の回転速度が上昇出来る値
が上述した従来の場合に比べて大きくなり、キャスティ
ング開始直後の初期における仕掛けの飛距離、ひいては
キャスティング開始直後から終了までの全体における仕
掛けの飛距離、を上述した従来の場合に比べて向上させ
ることが出来る。 【0033】また、複数の制動片14bが遠心力により
環状制動部材14dのテーパ形状の内周面15に押し付
けられることにより複数の制動片14bを移動部材14
aとともにテーパ形状の内周面15の大径部に向かい移
動させる移動部材駆動力が発生する。 【0034】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達して複数の制動片14bに生じる遠心力の一部
から創出される複数の制動片14bを移動部材14aと
ともにテーパ形状の内周面15の大径部に向かい移動さ
せる移動部材駆動力が付勢手段14eの付勢力に打ち勝
つまでは、移動部材14aはスプール軸10aの一端部
上で上記回転中心線に沿いリール本体12の一方の側壁
12aの内表面に向かい移動することが出来ない。 【0035】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
軸10aとともに回転する移動部材14a上の複数の制
動片14bが遠心力によって環状制動部材14dのテー
パ形状の内周面15に押し付けられることにより発生す
る摩擦制動力は、前述した初期に比べ、大きくなる。し
かし、内周面15は傾斜しているので、同じ遠心力によ
り、即ちスプール10が同じ回転速度で回転した時に、
制動片14bが従来の如き円筒状の内周面に押し付けら
れた場合に比べると、発生する摩擦制動力は弱い。 【0036】この為に、キャスティングの上述した如き
中期においてスプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達した後でもスプール10の回転速度が上昇出来
る値が上述した従来の場合に比べて大きくなり、キャス
ティングの中期における仕掛けの飛距離、ひいてはキャ
スティング開始直後から終了までの全体における仕掛け
の飛距離、を上述した従来の場合に比べて向上させるこ
とが出来る。しかも、上述した如くして発生した摩擦制
動力は、仕掛けの飛翔速度に比べてスプール10の回転
速度が早くなる過回転状態を充分に抑制し、キャスティ
ングの中期において釣糸のバックラッシュ現象が発生を
防止することが出来る。 【0037】また、複数の制動片14bが遠心力により
環状制動部材14dのテーパ形状の内周面15に押し付
けられることにより複数の制動片14bを移動部材14
aとともにテーパ形状の内周面15の大径部に向かい移
動させる移動部材駆動力が発生する。 【0038】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達して複数の制動片14bに生じる遠心力の一部
から創出される複数の制動片14bを移動部材14aと
ともにテーパ形状の内周面15の大径部に向かい移動さ
せる移動部材駆動力が付勢手段14eの付勢力に打ち勝
つと、複数の制動片14b及び移動部材14aは図3の
(A)に実線で示す如き環状制動部材14dのテーパ形
状の内周面15の小径部の近傍から図3の(A)に2点
鎖線で示す如き環状制動部材14dのテーパ形状の内周
面15の大径部の近傍までスプール軸10aの一端部上
で上記回転中心線に沿いリール本体12の一方の側壁1
2aの内表面に向かい序々に移動する。 【0039】ここにおいては、複数の制動片14bが遠
心力により押圧される環状制動部材14dのテーパ形状
の内周面15が、スプール10の回転に伴い複数の制動
片14bに発生する遠心力により複数の制動片14bと
ともに移動部材14aを上記回転中心線に沿いリール本
体12の一方の側壁12aの内表面に向かい移動させる
移動部材駆動手段を構成している。 【0040】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール軸10aとともに回転
する移動部材14上の複数の制動片14bに生じる遠心
力が弱くなると、複数の制動片14bが遠心力により環
状制動部材14dのテーパ形状の内周面15に押し付け
られることにより発生する摩擦制動力が弱まり、同時に
複数の制動片14bに生じる遠心力の一部から創出され
る複数の制動片14bを移動部材14aとともにテーパ
形状の内周面15の大径部に向かい移動させようとする
移動部材駆動力が付勢手段14eの付勢力に打ち勝つこ
とが出来なくなり、移動部材14aは複数の制動片14
bを伴ってスプール軸10aの一端部上で上記回転中心
線に沿いリール本体12の一方の側壁12aの内表面か
ら離れる方向に図3の(A)に2点鎖線で示す如き環状
制動部材14dのテーパ形状の内周面15の大径部の近
傍から図3の(A)に実線で示す如き環状制動部材14
dのテーパ形状の内周面15の小径部の近傍まで序々に
移動する。そしてこの移動の間に複数の制動片14bは
環状制動部材14dのテーパ形状の内周面15に摺接し
たままである。 【0041】従って、キャスティングの終期において、
遠心力により発生する摩擦力を利用したスプール回転速
度制御手段を備えた前述した従来の魚釣用リールの場合
の如き急激な制動力の減少が生じない。この為に、仕掛
けの飛翔速度に比べてスプール10の回転速度が早くな
る過回転状態を充分に抑制し、キャスティングの終期に
おいても釣糸のバックラッシュ現象が発生を防止するこ
とが出来る。 【0042】なお上述した実施の形態では、移動部材1
4aの移動に伴う上記回転中心線に沿った方向における
複数の制動片14bの移動により、複数の制動片14b
と環状制動部材14dのテーパ形状の内周面15との間
に生じる摩擦制動力の大きさを変化させる摩擦制動力変
化手段を、環状制動部材14dのテーパ形状に傾斜した
内周面15が構成していることは明らかである。 【0043】そして、上述した第1の実施の形態では、
環状制動部材14dのテーパ形状の内周面15の傾斜を
変えたり、内周面15の材質や表面仕上げを変えたり、
複数の制動片14bの個数や材料や重量や形状を変えた
り、さらには付勢手段14eの付勢力を変える、ことに
より、スプール回転速度制御機構14がスプール10の
回転の増減に応じて発生させる制動力を調整することが
可能である。 【0044】[第2の実施の形態]次は、添付の図4の
(A)及び(B)を参照しながら、この発明の第2の実
施の形態に従った魚釣用リールについて詳細に説明す
る。 【0045】図4の(A)はこの発明の第2の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時とスプールの回転速度がある程度の大きさ
に到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度の
大きさから減少した時の状態を実線で示し、スプールが
ある程度の回転速度以上で高速回転している状態を2点
鎖線で示す概略的な縦断面図であり;そして図4の
(B)は図4の(A)のIV-IV 線に沿った概略的な横断
面図である。 【0046】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第2の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図3の(A)及び(B)を参照しながら前述
したこの発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リール
の構成の大部分と共通である。従って、前述したこの発
明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの構成部材
と同じ構成部材にはこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールにおいて対応する構成部材を指摘してい
た参照符号と同じ参照符号を付して、これらの同じ構成
部材についての詳細な説明は省略する。 【0047】この実施の形態において前述した第1の実
施の形態と異なっているのは、リール本体12の一方の
側壁12aの内表面に設けられている環状制動部材14
d´のテーパ形状の内周面15´の傾斜が、スプール軸
10aの回転中心線に沿い一方の側壁12aの内表面か
ら遠い位置から上記内表面に接近するにつれて内周面1
5´の直径が小さくなるように設定されていることであ
り、また付勢手段14eがスプール軸10aの一端部上
でスプール10の一端面と移動部材14a´との間に介
在されていることである。 【0048】この為に、この発明の第2の実施の形態に
従った魚釣用リールにおいては、スプール10が回転し
ていない時とスプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達するまでの間とスプール10の回転速度がある
程度の大きさから減少した時には、図4の(A)に実線
で示す如く、移動部材14a´は付勢手段14eの付勢
力によりスプール軸10aの一端部上でリール本体12
の一方の側壁12aの内表面に隣接した係止部材14f
に当接されていて、移動部材14a´上の複数の制動片
14bは環状制動部材14d´のテーパ形状の内周面1
5´においてリール本体12の一方の側壁12aの内表
面に隣接した小径部に対向または軽く接触している。 【0049】またスプール10の回転速度がある程度の
大きさ以上になった時には、図4の(A)に2点鎖線で
示す如く、移動部材14a´は付勢手段14eの付勢力
に抗してスプール軸10aの一端部上でリール本体12
の一方の側壁12aの内表面に隣接した係止部材14f
から離れてスプール10の一端面に接近されていて、移
動部材14a´上の複数の制動片14bは環状制動部材
14d´のテーパ形状の内周面15´においてスプール
10の一端面に隣接した大径部に接触している。 【0050】そして、この発明の第2の実施の形態に従
った魚釣用リールは前述したこの発明の第1の実施の形
態に従った魚釣用リールと同じ効果を発揮することが出
来る。 【0051】ここにおいても、複数の制動片14bが遠
心力により押圧される環状制動部材14d´のテーパ形
状の内周面15´が、スプール10の回転に伴い複数の
制動片14bに発生する遠心力により複数の制動片14
bとともに移動部材14a´を上記回転中心線に沿いリ
ール本体12の一方の側壁12aの内表面に向かい移動
させる移動部材駆動手段を構成している。 【0052】また、移動部材14a´の移動に伴う上記
回転中心線に沿った方向における複数の制動片14bの
移動により、複数の制動片14bと環状制動部材14d
´のテーパ形状の内周面15´との間に生じる摩擦制動
力の大きさを変化させる摩擦制動力変化手段を、環状制
動部材14d´のテーパ形状に傾斜した内周面15´が
構成していることは明らかである。 【0053】そして、環状制動部材14d´のテーパ形
状の内周面15´の傾斜を変えたり、内周面15´の材
質や表面仕上げを変えたり、複数の制動片14bの個数
や材料や重量や形状を変えたり、さらには付勢手段14
eの付勢力を変える、ことにより、スプール回転速度制
御機構14がスプール10の回転の増減に応じて発生さ
せる制動力を調整することが可能である。 【0054】[第3の実施の形態]次は、添付の図5の
(A)及び(B),そして図6の(A)及び(B)を参
照しながら、この発明の第3の実施の形態に従った魚釣
用リールについて詳細に説明する。 【0055】図5の(A)はこの発明の第3の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時とスプールの回転速度がある程度の大きさ
に到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度の
大きさから減少した時の状態を実線で示し、スプールが
ある程度の回転速度以上で高速回転している状態を2点
鎖線で示す概略的な縦断面図であり;図5の(B)は図
5の(A)の V-V線に沿った概略的な横断面図であり;
図6の(A)は図5の(A)の魚釣用リールの要部にお
いて環状制動部材の位置をスプール軸の回転中心線に沿
った方向において変化させた後のスプールが回転してい
ない時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達
するまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさ
から減少した時の状態を実線で示し、スプールがある程
度の回転速度以上で高速回転している状態を2点鎖線で
示す概略的な縦断面図であり;そして図6の(B)は図
6の(A)の VI-VI線に沿った概略的な横断面図であ
る。 【0056】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第3の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図3の(A)及び(B)を参照しながら前述
したこの発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リール
の構成の大部分と共通である。従って、前述したこの発
明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの構成部材
と同じ構成部材にはこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールにおいて対応する構成部材を指摘してい
た参照符号と同じ参照符号を付して、これらの同じ構成
部材についての詳細な説明は省略する。 【0057】この実施の形態において前述した第1の実
施の形態と異なっているのは、環状制動部材14d´´
がリール本体12の一方の側壁12aにおいてスプール
軸10aの回転中心線に沿った方向に選択的に移動自在
に設置されていることであり、また環状制動部材14d
´´のテーパ形状の内周面15´の傾斜が、前述した第
2の実施の形態の場合と同様に、スプール軸10aの回
転中心線に沿い一方の側壁12aの内表面から遠い位置
から上記内表面に接近するにつれて内周面15´の直径
が小さくなるように設定されていることであり、また付
勢手段14eが、前述した第2の実施の形態の場合と同
様に、スプール軸10aの一端部上でスプール10の一
端面と移動部材14a´との間に介在されていることで
ある。 【0058】この為に、この発明の第3の実施の形態に
従った魚釣用リールにおいては、スプール10が回転し
ていない時とスプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達するまでの間とスプール10の回転速度がある
程度の大きさから減少した時には、図5の(A)に実線
で示す如く、移動部材14a´は付勢手段14eの付勢
力によりスプール軸10aの一端部上でリール本体12
の一方の側壁12aの内表面に隣接した係止部材14f
に当接されていて、移動部材14a´上の複数(この実
施の形態では4つ)の制動片14bは環状制動部材14
d´´のテーパ形状の内周面15´においてリール本体
12の一方の側壁12aの内表面に隣接した小径部に対
向または軽く接触している。 【0059】またスプール10の回転速度がある程度の
大きさ以上になった時には、図5の(A)に2点鎖線で
示す如く、移動部材14a´は付勢手段14eの付勢力
に抗してスプール軸10aの一端部上でリール本体12
の一方の側壁12aの内表面に隣接した係止部材14f
から離れてスプール10の一端面に接近されていて、移
動部材14a´上の複数の制動片14bは環状制動部材
14d´´のテーパ形状の内周面15´においてスプー
ル10の一端面に隣接した大径部に接触している。 【0060】そして、この発明の第3の実施の形態に従
った魚釣用リールは前述したこの発明の第1の実施の形
態に従った魚釣用リールと同じ効果を発揮することが出
来る。 【0061】ここにおいても、複数の制動片14bが遠
心力により押圧される環状制動部材14d´´のテーパ
形状の内周面15´が、スプール10の回転に伴い複数
の制動片14bに発生する遠心力により複数の制動片1
4bとともに移動部材14a´を上記回転中心線に沿い
リール本体12の一方の側壁12aの内表面に向かい移
動させる移動部材駆動手段を構成している。 【0062】また、移動部材14a´の移動に伴う上記
回転中心線に沿った方向における複数の制動片14bの
移動により、複数の制動片14bと環状制動部材14d
´´のテーパ形状の内周面15´との間に生じる摩擦制
動力の大きさを変化させる摩擦制動力変化手段を、環状
制動部材14d´´のテーパ形状に傾斜した内周面15
´が構成していることは明らかである。 【0063】そして、環状制動部材14d´´のテーパ
形状の内周面15´の傾斜を変えたり、内周面15´の
材質や表面仕上げを変えたり、複数の制動片14bの個
数や材料や重量や形状を変えたり、さらには付勢手段1
4eの付勢力を変える、ことにより、スプール回転速度
制御機構14がスプール10の回転の増減に応じて発生
させる摩擦制動力を調整することが可能である。 【0064】また複数の制動片14bをスプール軸10
aの外周面に接近した位置に選択的に固定可能とし、上
記半径方向に選択的に移動自在とすることによってもス
プール回転速度制御機構14がスプール10の回転の増
減に応じて発生させる摩擦制動力を調整することが可能
である。 【0065】この実施の形態ではさらに、環状制動部材
14d´´をリール本体12の一方の側壁12aにおい
てスプール軸10aの回転中心線に沿った方向に選択的
に移動させることによって、スプール回転速度制御機構
14がスプール10の回転の増減に応じて発生させる摩
擦制動力を調整することが可能である。即ち、スプール
10の所定の回転速度において複数の制動片14bが当
接する環状制動部材14d´´のテーパ形状の内周面1
5´における上記回転中心線に沿った方向の位置を変化
させることが出来、上記回転中心線に沿った方向におい
て複数の制動片14bが当接する環状制動部材14d´
´のテーパ形状の内周面15´の距離を規制することに
より、スプール回転速度制御機構14がスプール10の
回転の増減に応じて発生させる摩擦制動力を調整するこ
とが可能である。そして、リール本体12の一方の側壁
12aにおいてスプール軸10aの回転中心線に沿った
方向に選択的に移動可能な環状制動部材14d´´は、
摩擦制動力変化手段を構成していることが明らかであ
る。 【0066】環状制動部材14d´´をリール本体12
の一方の側壁12aにおいてスプール軸10aの回転中
心線に沿った方向に選択的に移動させる為にこの実施の
形態では、環状制動部材14d´´が一方の側壁12a
において上記回転中心線に沿った方向に移動自在である
とともに上記回転中心線の回りには回転しないよう支持
されていて、環状制動部材14d´´には一方の側壁1
2aにおいて上記回転中心線に沿った方向には移動せず
上記回転中心線の回りには回転するよう支持されている
調整摘み22に螺合されている。 【0067】このような構成であれば調整摘み22を一
方または他方に回動させることにより、環状制動部材1
4d´´をリール本体12の一方の側壁12aにおいて
スプール軸10aの回転中心線に沿った方向に選択的に
移動させることが出来る。 【0068】図6の(A)には、上述した第3の実施の
形態において、環状制動部材14d´´が図5の(A)
に示された位置からスプール10の一端面に向かいより
接近した位置に移動された後に、スプール10が回転し
ていない時とスプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達するまでの間とスプール10の回転速度がある
程度の大きさから減少した時の状態が実線で示されてお
り、スプールがある程度の回転速度以上で高速回転して
いる状態が2点鎖線で示されている。そして図6の
(B)には、図6の(A)の VI-VI線に沿った概略的な
横断面が示されている。 【0069】[第4の実施の形態]次は、添付の図7の
(A)及び(B)を参照しながら、この発明の第4の実
施の形態に従った魚釣用リールについて詳細に説明す
る。 【0070】図7の(A)はこの発明の第4の実施の形
態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回転
していない時とスプールの回転速度がある程度の大きさ
に到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度の
大きさから減少した時の状態を実線で示し、スプールが
ある程度の回転速度以上で高速回転している状態を2点
鎖線で示す概略的な縦断面図であり;図7の(B)は図
7の(A)の VII-VII線に沿った概略的な横断面図であ
る。 【0071】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第4の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図3の(A)及び(B)を参照しながら前述
したこの発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リール
の構成の大部分と共通である。従って、前述したこの発
明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの構成部材
と同じ構成部材にはこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールにおいて対応する構成部材を指摘してい
た参照符号と同じ参照符号を付して、これらの同じ構成
部材についての詳細な説明は省略する。 【0072】この実施の形態において前述した第1の実
施の形態と異なっているのは、環状制動部材14dのテ
ーパ形状の内周面15に、スプール軸10aの回転中心
線に沿った方向において摩擦係数が異なるテーパ形状リ
ング30が固定されていることである。例えばテーパ形
状リング30における摩擦係数の変化は、スプール10
の一端面から遠ざかるに従い大きくなるよう設定され
る。これは、スプール10の回転速度が速くなり、複数
の制動片14bに生じる遠心力が大きくなると複数の制
動片14bが移動部材14aとともに付勢手段14eの
付勢力に抗してスプール軸10aの回転中心線に沿った
方向においてスプール10の一端面から遠ざかる方向に
移動して行くからである。即ち、スプール10の回転速
度が速くなるに従い、スプール回転速度制御機構14が
スプール10の回転の増減に応じて発生させる摩擦制動
力が大きくなる。 【0073】そして、この発明の第4の実施の形態に従
った魚釣用リールは前述したこの発明の第1の実施の形
態に従った魚釣用リールと同じ効果を発揮することが出
来る。 【0074】ここにおいても、複数の制動片14bが遠
心力により押圧される環状制動部材14dのテーパ形状
の内周面15が、スプール10の回転に伴い複数の制動
片14bに発生する遠心力により複数の制動片14bと
ともに移動部材14aを上記回転中心線に沿いリール本
体12の一方の側壁12aの内表面に向かい移動させる
移動部材駆動手段を構成している。 【0075】また、移動部材14aの移動に伴う上記回
転中心線に沿った方向における複数の制動片14bの移
動により、複数の制動片14bと環状制動部材14dの
テーパ形状の内周面15との間に生じる摩擦制動力の大
きさを変化させる摩擦制動力変化手段を、環状制動部材
14dのテーパ形状に傾斜した内周面15に固定されて
いるテーパ形状リング30が構成していることは明らか
である。 【0076】そして、環状制動部材14dのテーパ形状
に傾斜した内周面15に対してテーパ形状リング30を
着脱自在に固定するよう構成し、スプール軸10aの回
転中心線に沿った方向における摩擦係数の変化が異なる
テーパ形状リング30を複数作成し、この中から使用す
るテーパ形状リング30を選択して環状制動部材14d
のテーパ形状に傾斜した内周面15に着脱自在に固定す
れば、摩擦制動力変化手段が発生させる摩擦制動力の変
化を種々に変化させることが可能となる。 【0077】[第5の実施の形態]次は、添付の図8の
(A)及び(B),そして図9の(A)及び(B)を参
照しながら、この発明の第5の実施の形態に従った魚釣
用リールについて詳細に説明する。 【0078】図8の(A)は、この発明の第5の実施の
形態に従った魚釣用リールの要部においてスプールが回
転していない時とスプールの回転速度がある程度の大き
さに到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度
の大きさから減少した時の状態を示す概略的な縦断面図
であり;図8の(B)は図8の(A)の VIII-VIII線に
沿った概略的な横断面図であり;図9の(A)は、この
発明の第5の実施の形態に従った魚釣用リールの要部に
おいてスプールの回転速度がある程度の大きさ以上にな
った時の状態を示す概略的な縦断面図であり;図9の
(B)は図9の(A)のIX−IX線に沿った概略的な横断
面図である。 【0079】なおこれらの断面図においては、図を明解
にする為に断面の輪郭線のみを示し断面よりも遠くの断
面でない輪郭線は適宜省略している。また、この発明の
第5の実施の形態に従った魚釣用リールの構成の大部分
は図1乃至図3の(A)及び(B)を参照しながら前述
したこの発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リール
の構成の大部分と共通である。従って、前述したこの発
明の第1の実施の形態に従った魚釣用リールの構成部材
と同じ構成部材にはこの発明の第1の実施の形態に従っ
た魚釣用リールにおいて対応する構成部材を指摘してい
た参照符号と同じ参照符号を付して、これらの同じ構成
部材についての詳細な説明は省略する。 【0080】この実施の形態において前述した第1の実
施の形態と異なっているのは、リール本体12の一方の
側壁12aの内表面に設けられている環状制動部材14
d´´´の内周面15´´がスプール軸10aの回転中
心線沿い平行に延出した円筒形状をしていることであ
り、環状制動部材14d´´´の内周面15´´にスプ
ール軸10aの回転中心線に沿った方向において摩擦係
数が異なる円筒形状リング40が固定されていることで
あり、移動部材14aにおいてスプール10の一端面に
隣接した位置に移動部材駆動手段50が設置されている
ことである。 【0081】移動部材駆動手段50は、移動部材14a
においてスプール10の一端面に隣接した位置でスプー
ル軸10aの周方向に等間隔に離間して配置されスプー
ル軸10aの半径方向に移動自在な複数の半径方向移動
部材50aを含んでいる。 【0082】より詳細に説明すると、この実施の形態に
おいて移動部材駆動手段50は、スプール10の一端面
に隣接した位置からスプール軸10aの半径方向の外方
に向かい張り出した支持台50bと、支持台50bにお
いてスプール軸10aの周方向に等間隔に離間した複数
の位置で上記半径方向の外方に向かい延出した複数の案
内孔50cと、を含んでおり、複数の半径方向移動部材
50aは支持台50bの複数の案内孔50cに係合し複
数の案内孔50cに沿って上記半径方向にのみ移動自在
に支持されている。 【0083】また円筒形状リング40における摩擦係数
はスプール軸10aの回転中心線に沿った方向において
スプール10の一端面から遠ざかるに従い大きくなるよ
う設定されている。 【0084】この発明の第5の実施の形態に従った魚釣
用リールが取り付けられた釣竿をキャスティングの為に
振ると、キャスティング開始直後の初期においてスプー
ル10の回転速度がある程度の大きさに到達するまでは
スプール軸10aとともに回転する移動部材14a上の
複数の制動片14b´に生じる遠心力は弱く、複数の制
動片14b´が遠心力により環状制動部材14d´´´
の円筒状の内周面15´´の円筒形状リング40に押し
付けられることにより発生する摩擦制動力も弱い。 【0085】しかも内周面15´´の円筒形状リング4
0において複数の制動片14b´が押し付けられる位置
の摩擦係数は円筒形状リング40において最も小さく、
これによっても上述した如くして発生される摩擦制動力
は弱くなっている。 【0086】この為に、キャスティング開始直後の初期
においてスプール10の回転速度がある程度の大きさに
到達するまでにスプール10の回転速度が上昇出来る値
が前述した従来の場合に比べて大きくなり、キャスティ
ング開始直後の初期における仕掛けの飛距離、ひいては
キャスティング開始直後から終了までの全体における仕
掛けの飛距離、を前述した従来の場合に比べて向上させ
ることが出来る。 【0087】また、複数の半径方向移動部材50aが遠
心力によりスプール10の一端面の周囲でリール本体1
2の一方の側壁12aの内表面に向かうにつれて拡径す
るテーパ形状の内周面10bに押し付けられることによ
り複数の半径方向移動部材50aを移動部材14aとと
もにリール本体12の一方の側壁12aの内表面に向か
い移動させる移動部材駆動力が発生する。 【0088】しかしながらスプール10の回転速度があ
る程度の大きさに到達して複数の半径方向移動部材50
aに生じる遠心力の一部から創出される複数の半径方向
移動部材50aを移動部材14aとともにリール本体1
2の一方の側壁12aの内表面に向かい移動させる移動
部材駆動力が付勢手段14eの付勢力に打ち勝つまで
は、移動部材14aはスプール軸10aの一端部上で上
記回転中心線に沿いリール本体12の一方の側壁12a
の内表面に向かい移動することが出来ない。 【0089】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
軸10aとともに回転する移動部材14a上の複数の半
径方向移動部材50aが遠心力によってスプール10の
一端面の周囲のテーパ形状の内周面10bに押し付けら
れることにより創出される複数の半径方向移動部材50
aを移動部材14aとともにリール本体12の一方の側
壁12aの内表面に向かい移動させる移動部材駆動力が
付勢手段14eの付勢力に打ち勝ち、移動部材14aは
図8の(A)に実線で示す如きスプール10の一端面の
近傍から図9の(A)に実線で示す如くリール本体12
の一方の側壁12aの内表面に向かい序々に移動する。 【0090】スプール10の回転速度がある程度の大き
さに到達したキャスティングの中期になると、スプール
軸10aとともに回転する移動部材14a上の複数の制
動片14b´が遠心力によって環状制動部材14dの円
筒形状の内周面15´´の円筒形状リング40に押し付
けられることにより発生する摩擦制動力は、前述した初
期に比べ、大きくなる。しかも、移動部材14aと共に
スプール10の一端面の近傍からリール本体12の一方
の側壁12aの内表面に向かい移動する複数の制動片1
4b´が当接する円筒形状リング40における摩擦係数
は大きくなる。この為に発生した摩擦制動力は、仕掛け
の飛翔速度に比べてスプール10の回転速度が早くなる
過回転状態を充分に抑制し、キャスティングの中期にお
いて釣糸のバックラッシュ現象が発生を防止することが
出来る。 【0091】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール軸10aとともに回転
する移動部材14上の複数の半径方向移動部材50aが
遠心力によってスプール10の一端面の周囲のテーパ形
状の内周面10bに押し付けられることにより創出され
る複数の半径方向移動部材50aを移動部材14aとと
もにリール本体12の一方の側壁12aの内表面に向か
い移動させる移動部材駆動力が付勢手段14eの付勢力
よりも弱くなると、移動部材14aは図9の(A)に実
線で示す如くリール本体12の一方の側壁12aの内表
面に接近した位置から図8の(A)に実線で示す如きス
プール10の一端面に接近した位置に向かい付勢手段1
4eの付勢力より序々に押し戻される。 【0092】キャスティングの終期においてスプール1
0の回転速度が減少し、スプール軸10aとともに回転
する移動部材14上の複数の複数の制動片14b´に生
じる遠心力が弱くなると、複数の制動片14b´が遠心
力により環状制動部材14d´´´の円筒形状の内周面
15´´の円筒形状リング40に押し付けられることに
より発生する摩擦制動力が弱まる。しかも、移動部材1
4aとともにリール本体12の一方の側壁12aの内表
面に接近した位置からスプール10の一端面に接近した
位置に向かい移動する複数の制動片14b´が当接する
円筒形状リング40における摩擦係数は小さくなる。 【0093】従って、キャスティングの終期において、
遠心力により発生する摩擦力を利用したスプール回転速
度制御手段を備えた前述した従来の魚釣用リールの場合
の如き急激な制動力の減少が生じない。この為に、仕掛
けの飛翔速度に比べてスプール10の回転速度が早くな
る過回転状態を充分に抑制し、キャスティングの終期に
おいても釣糸のバックラッシュ現象が発生を防止するこ
とが出来る。 【0094】なお上述した実施の形態では、移動部材1
4aの移動に伴う上記回転中心線に沿った方向における
複数の制動片14b´の移動により、複数の制動片14
bと環状制動部材14dの円筒形状の内周面15´´と
の間に生じる摩擦制動力の大きさを変化させる摩擦制動
力変化手段を、円筒形状リング40が構成していること
は明らかである。 【0095】そして、環状制動部材14dの円筒形状の
内周面15´´に対して円筒形状リング40を着脱自在
に固定するよう構成し、スプール軸10aの回転中心線
に沿った方向における摩擦係数の変化が異なる円筒形状
リング40を複数作成し、この中から使用する円筒形状
リング40を選択して環状制動部材14d´´´の円筒
形状の内周面15´´に着脱自在に固定すれば、摩擦制
動力変化手段が発生させる摩擦制動力の変化を種々に変
化させることが可能となる。 【0096】また、上述した第5の実施の形態では、複
数の半径方向移動部材50aが押し付けられるスプール
10の一端面の周囲のテーパ形状の内周面10bの傾斜
を変えたり、内周面10aの材質や表面仕上げを変えた
り、複数の半径方向移動部材50aの個数や材料や重量
や形状を変えたり、さらには付勢手段14eの付勢力を
変えたり、また複数の制動片14b´の個数や材料や重
量や形状を変えたりする、ことにより、スプール回転速
度制御機構14がスプール10の回転の増減に応じて発
生させる制動力を調整することが可能である。 【0097】またスプール10の一端面の周囲のテーパ
形状の内周面10bは、スプール10とは別体に形成し
た部材に形成した後に、この別体形成部材をスプール1
0の一端面の周囲に固定することにより構成しても良い
し、複数の半径方向移動部材50aの移動を上記半径方
向に案内する為の案内手段は複数の制動片14b´の為
の案内棒14cの如き案内棒により構成して、この案内
棒に半径方向移動部材50aを貫通させるようにしても
良い。 【0098】なお、本発明は、上述した第1〜第5の実
施の形態の構成に限定されることは無く、以下のように
種々変更することが可能である。例えば第3の実施の形
態(図5及び図6参照)の変形例として、図10
(A),(B)に示すように、スプール10の高速回転
時に、制動片14bが環状制動部材14d´´の内周面
15´に接触する接触面積を増大させる接触片14gを
環状制動部材14d´´の延出端(即ち、テーパ形状の
内周面15´の大径部の内側)に突設しても良い。な
お、接触片14gは、環状制動部材14d´´の延出端
を所定の長さだけ内側に折り曲げて形成しても良い(第
1の変形例)。 【0099】このような構成によれば、スプール10の
高速回転時、制動片14bは、テーパ形状の内周面15
´及び接触片14gの内面14g´の双方に接触する。
このため、制動片14bに接触する接触面積が増大し
て、制動片14bに働く摩擦力が増加する。この結果、
高速回転時において、充分な摩擦力即ちブレーキ力を短
時間に且つ集中的に制動片14bに利かせることができ
る。 【0100】従って、接触片14gを環状制動部材14
d´´の延出端に突設すれば、環状制動部材14d´´
の長さ寸法(即ち、スプール軸10aの回転中心線方向
に沿った長さ寸法)を短くしても、制動片14bに対す
る充分な制動力を働かせることが可能となる。そして、
環状制動部材14d´´の長さ寸法を短くすることによ
って、環状制動部材14d´´の外径寸法Wを小径化す
ることができるため、回転速度制御機構14全体の小型
化が可能となり、その結果、魚釣用リールのコンパクト
化が実現される。 【0101】また、この第1の変形例に適用した環状制
動部材14d´´は、付勢ばね60によって、常時、図
10(B)の実線で示した状態に付勢されており、調整
摘み22を回動操作することによって、付勢ばね60の
付勢力に抗して、環状制動部材14d´´を同図の2点
鎖線で示された状態に移動させることができるようにな
っている。従って、第3の実施の形態と同様に、制動片
14bに働く摩擦制動力を調整することが可能となる。 【0102】なお、この第1の変形例に適用した接触片
14gは、第3の実施の形態だけに留まらず、上記全て
の実施の形態に適用することが可能であり、接触面積を
増大させて制動片14bに働く摩擦力を増加する目的に
応じて、スプール10の高速回転時に充分な摩擦力即ち
ブレーキ力を短時間に且つ集中的に制動片14bに利か
せることが可能な位置に配置することが可能である。 【0103】また、第1の変形例(図10参照)の部分
的な改良として、図11(A),(B)に示すように、
第1の変形例に適用した接触片14gの代えて、例えば
第4の実施の形態(図7参照)に適用したテーパ形状リ
ング30を環状制動部材14d´´の内周面15´に設
けても良い(第2の変形例)。 【0104】このようなテーパ形状リング30によれ
ば、スプール10の回転速度が速くなるに従って、制動
片14bに働く摩擦制動力を大きくすることができるた
め、高速回転時において、充分な摩擦力即ちブレーキ力
を短時間に且つ集中的に制動片14bに利かせることが
できる。 【0105】従って、この変形例も、第1の変形例と同
様に、環状制動部材14d´´の長さ寸法を短くして、
その外径寸法Wを小径化することができるため、回転速
度制御機構14全体の小型化が可能となり、その結果、
魚釣用リールのコンパクト化が実現される。 【0106】また、この第2の変形例の部分的な改良と
して、環状制動部材14d´´を図7に示すような形状
(即ち、スプール軸10aの回転中心線に沿ってスプー
ル10の一端面からリール本体12の一方の側壁12a
の内表面に向かうにつれて直径が序々に拡大されるテー
パ形状)にしても同様の作用効果を実現できる。 【0107】なお、他の構成作用効果は、第1の変形例
と同様であるため、その説明を省略する。また、例えば
第5の実施の形態(図8及び図9参照)の変形例とし
て、図12及び図13に示すように、環状制動部材14
d´´´に設けられた円筒形状リング40に接触する制
動片14b´の接触面積を目的に応じて変化させて、所
望の制動力を発揮させるように構成しても良い。 【0108】具体的には、図12(A),(B)に示さ
れた回転速度制御機構14には、円筒形状リング40に
対する接触面積が小さくなるように、接触部の面積が他
の部分よりも小径化した制動片14b´が設けられてい
る(第3の変形例)。 【0109】このような構成において、円筒形状リング
40に対する制動片14b´の接触面積が小さくなって
いるため、制動片14b´が円筒形状リング40に押し
付けられているときに生じる摩擦制動力は、比較的弱い
ものとなる。 【0110】従って、この第3の変形例によれば、比較
的弱い摩擦制動を必要とする場合に最適な魚釣用リール
を提供することが可能となる。また、図13(A),
(B)に示された回転速度制御機構14には、円筒形状
リング40に対する接触面積が大きくなるように、接触
部の面積が他の部分よりも大径化した制動片14b´が
設けられている(第4の変形例)。 【0111】このような構成において、円筒形状リング
40に対する制動片14b´の接触面積が大きくなって
いるため、制動片14b´が円筒形状リング40に押し
付けられているときに生じる摩擦制動力は、比較的強い
ものとなる。 【0112】更に、この第4の変形例に適用した制動片
14b´は、遠心力が作用する方向に向かって外形寸法
が拡大されているため、スプール軸10aの回転に伴っ
て遠心力が作用すると、遠心力が作用する方向に制動片
14b´の重心が変位する。 【0113】このため、制動片14b´に作用する遠心
力が、重心変位の影響を受けて大きくなり、制動片14
b´と円筒形状リング40との間の摩擦力は、更に増大
することになる。従って、この第4の変形例によれば、
比較的強い摩擦制動を必要とする場合に最適な魚釣用リ
ールを提供することが可能となる。 【0114】 【発明の効果】以上詳述した如く、この発明に従った魚
釣用リールによれば、キャスティングの初期においては
スプールの回転速度の上昇を大きくすることが出来て仕
掛けの飛距離を増大させることが出来、キャスティング
の中期においてはスプールの回転速度を適度に制御して
釣糸のバックラッシュ現象の発生を防止することが出
来、またキャスティングの終期においてはスプールの回
転速度の制動の急激な緩みを原因とする釣糸のバックラ
ッシュ現象の発生を防止することが出来、さらには構造
が簡易である。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の第1の実施の形態に従った魚釣用リ
ールの概略的な水平断面図である。 【図2】図1のII−II線に沿った概略的な横断面図であ
る。 【図3】(A)は、図1の魚釣用リールの要部において
スプールが回転していない時とスプールの回転速度があ
る程度の大きさに到達するまでの間とスプールの回転速
度がある程度の大きさから減少した時の状態を実線で示
し、スプールがある程度の回転速度以上で高速回転して
いる状態を2点鎖線で示す概略的な縦断面図であり;
(B)は、(A)の III-III線に沿った概略的な横断面
図である。 【図4】(A)は、この発明の第2の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達す
るまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさか
ら減少した時の状態を実線で示し、スプールがある程度
の回転速度以上で高速回転している状態を2点鎖線で示
す概略的な縦断面図であり;(B)は、(A)のIV−IV
線に沿った概略的な横断面図である。 【図5】(A)は、この発明の第3の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達す
るまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさか
ら減少した時の状態を実線で示し、スプールがある程度
の回転速度以上で高速回転している状態を2点鎖線で示
す概略的な縦断面図であり;(B)は、(A)の V-V線
に沿った概略的な横断面図である。 【図6】(A)は、図5の(A)の魚釣用リールの要部
において環状制動部材の位置をスプール軸の回転中心線
に沿った方向において変化させた後のスプールが回転し
ていない時とスプールの回転速度がある程度の大きさに
到達するまでの間とスプールの回転速度がある程度の大
きさから減少した時の状態を実線で示し、スプールがあ
る程度の回転速度以上で高速回転している状態を2点鎖
線で示す概略的な縦断面図であり;(B)は、(A)の
VI-VI線に沿った概略的な横断面図である。 【図7】(A)は、この発明の第4の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達す
るまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさか
ら減少した時の状態を実線で示し、スプールがある程度
の回転速度以上で高速回転している状態を2点鎖線で示
す概略的な縦断面図であり;(B)は、(A)の VII-V
II線に沿った概略的な横断面図である。 【図8】(A)は、この発明の第5の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールが回転していな
い時とスプールの回転速度がある程度の大きさに到達す
るまでの間とスプールの回転速度がある程度の大きさか
ら減少した時の状態を示す概略的な縦断面図であり;
(B)は、(A)の VIII-VIII線に沿った概略的な横断
面図である。 【図9】(A)は、この発明の第5の実施の形態に従っ
た魚釣用リールの要部においてスプールの回転速度があ
る程度の大きさ以上になった時の状態を示す概略的な縦
断面図であり;(B)は、(A)の IX-IX線に沿った概
略的な横断面図である。 【図10】(A)は、本発明の第1の変形例に係る魚釣
用リールの主要な構成を示す図、(B)は、摩擦制動力
を調整している状態を示す図。 【図11】(A)は、本発明の第2の変形例に係る魚釣
用リールの主要な構成を示す図、(B)は、摩擦制動力
を調整している状態を示す図。 【図12】(A)は、本発明の第3の変形例に係る魚釣
用リールの主要な構成を示す図、(B)は、スプール高
速回転時の状態を示す図。 【図13】(A)は、本発明の第4の変形例に係る魚釣
用リールの主要な構成を示す図、(B)は、スプール高
速回転時の状態を示す図。 【符号の説明】 10 スプール 10a スプール軸 10b 内周面(移動部材駆動手段) 12 リール本体 14 スプール回転速度制御機構 14b 制動片(移動部材駆動手段) 14b´ 制動片 14d,14d´ 環状制動部材(移動部材駆動手段) 14d´´ 環状制動部材(移動部材駆動手段;摩擦制
動力変化手段) 14d´´´ 環状制動部材 15,15´ 内周面(摩擦制動力変化手段) 20 回転力伝達手段 22 調整摘み(摩擦制動力変化手段) 30 テーパ形状リング(摩擦制動力変化手段) 40 円筒形状リング(摩擦制動力変化手段) 50 移動部材駆動手段 50a 半径方向移動部材(移動部材駆動手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 89/00 - 89/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 釣糸が解放自在に巻き付けられるスプー
    ルと;スプールを回転自在に保持しており、スプールの
    自由な回転を許容しスプールからの釣糸の放出を許容す
    るスプール自由回転状態とスプールに回転力を伝達しス
    プールに釣糸を巻き取らせるスプール駆動状態とを選択
    的に設定する回転力伝達手段を有したリール本体と;ス
    プールに設けられ、スプールとともに回転し、スプール
    の回転中心線に沿って移動自在である移動部材と;移動
    部材に設けられ、スプールの半径方向に移動自在であ
    り、スプールの回転に伴い発生する遠心力によりスプー
    ルの半径方向の外方に向かい移動する制動片と;リール
    本体に設けられ、移動部材の移動にともなう上記回転中
    心線に沿った方向における制動片の移動の範囲内で上記
    半径方向の外方から制動片に対向し、遠心力により上記
    半径方向の外方に向かい移動した制動片と摺接して摩擦
    制動力を生じさせる環状制動部材と;スプールの回転に
    伴い発生する遠心力により移動部材を上記回転中心線に
    沿った一方向に移動させる移動部材駆動手段と;移動部
    材を上記回転中心線に沿った他方向に付勢する付勢手段
    と;移動部材の移動にともなう上記回転中心線に沿った
    方向における制動片の移動により、制動片と環状制動部
    材との間に生じる摩擦制動力の大きさを変化させる摩擦
    制動力変化手段と;を備えたことを特徴とする魚釣用リ
    ール。
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