JPH0228704Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は釣用リールのブレーキ装置に関し、
一層詳細には、スプール回転時の慣性力に対し、
必要時に必要な大きさのブレーキ力を加えること
ができる釣用リールのブレーキ装置に関する。

魚釣用リール、殊にスプールが回転する両軸受
リール、片軸受リールはスピニングリールに較
べ、糸の巻取りが直線的であつて巻取力が強く、
糸に捩りが加わることもないので、磯釣り、舟釣
り等に広く使用されている。この型のリールはス
ピニングリールと違つて糸を巻き付けてあるスプ
ールが回転するため、投てき時に慣性力が作用
し、スプールが糸の出る速度よりも大きな速度で
回転を続行することがある。これによつて、スプ
ールに整然と巻き付けられている釣糸の内側から
大きな緩みを生じ、いわゆるバツクラツシユ、パ
ーマネントあるいは鳥の巣と称する糸のもつれ現
象を生ずることが多い。

この糸のもつれ現象を防止するために、従来に
おいて遠心力ブレーキ、空気ブレーキ、摩擦ブレ
ーキ等を用いることが提案されている。

しかしながら、遠心力ブレーキと空気ブレーキ
は、重錘の投てき初期におけるスプール高速回転
時にブレーキが特に強く作用して飛距離が伸びな
い欠点がある。しかも、真にスプールに対してブ
レーキ力を必要とする重錘着水時にはブレーキ作
用が弱まつてしまうという欠点がある。また機械
的摩擦ブレーキは摩擦条件の変化が激しく、正確
なブレーキ効果を得ることができないうえ、常に
ブレーキがかかつているため飛距離が出ないとい
う欠点を有する。

一方、経験に頼るいわゆるサミングは、投てき
条件が一定しないため、常に最高の状態で投てき
することに著しく困難をおぼえることは釣人のよ
く知るところである。

このように、従来の釣用リールにおけるいずれ
のブレーキ機構も必要量のブレーキ力を必要時に
のみスプールに負荷するという技術目標を達成し
ていない。

この考案は上記の点に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、魚釣り用リールのスプ
ールと同軸に連繋した非磁性かつ導電性の回転体
と、該回転体に対向して該回転体周縁部近傍から
回転中心部近傍までガイドされて移動可能にリー
ル本体へ配設し、前記回転体に渦電流を生じさせ
る１個又は複数個のマグネツトと、前記リール本
体に対し回動自在に取付けるとともに前記マグネ
ツトに一体のボスに係合し、回動じりげとにより
マグネツトを移動させる渦巻状案内溝を有するブ
レーキ調整ツマミとを備えてなることを特徴とす
る釣用リールのブレーキ装置を提供するにある。

以下、図面に従つて本考案の実施例を説明す
る。

第１図において、両軸受リール１０の、水平を
なすスプール軸１２にスプール１４を嵌着し、該
スプール軸１２の左端近傍に非磁性かつ導電性の
回転体としてアルミニウム製の円板１６を同軸に
嵌着する。スプール軸１２左端は若干肉厚かつ円
盤形状をなすスプール受け１８にベアリング１９
を介して回転自在に固定する。スプール受け１８
上端部からスプール軸１２上方に到る個所に、縦
溝２０を形成し、この縦溝２０にマグネツト保持
板２２を摺動可能に挿入する。この縦溝２０の形
状は第３図に示すごとく、その平面形状を、縦溝
２０の中央部分のみを幅広としてマグネツト保持
板２２を抱持する。マグネツト保持板２２はプラ
スチツク等の非磁性体によつて成り、両軸受リー
ル１０本体の側面板２４方向である左方に水平に
ボス２６を突出して成る。マグネツト保持板２２
の円板１６側には、縦断面がコ字状かつ鋼製の継
鉄２８を下開きに固定し、この継鉄２８の内側下
部に、２個のマグネツト３０，３０′を円板１６
に平行に並設する。マグネツト保持板２２のボス
２６をリール外側から移動・調節可能とするため
に、スプール受け１８の左端部中央を同軸に突出
して、円盤状をなすブレーキ調節ツマミ３２の回
転中心孔を回動可能に軸支する。ブレーキ調節ツ
マミ３２のリール外面側には指でつまんで回動操
作しうる形状のツマミ部３４を形成し、ブレーキ
調節ツマミ３２のリール内面側には、第４図に示
すごとく、180゜の範囲で急激な渦巻形状をなす案
内溝３６を削設し、この案内溝３６内にマグネツ
ト保持板２２のボス２６を摺接する。ブレーキ調
節ツマミ３２の外面外周部分は、リール本体の側
面板２４に摺接し、ブレーキ調節ツマミ３２を回
動自在に固定する。

上記構造の釣用リールのブレーキ装置におい
て、両軸受リール１０のブレーキ調節ツマミ３２
を180゜の範囲内で回動すると、案内溝３６に沿つ
てマグネツト保持板２２のボス２６が駆動され、
マグネツト保持板２２は縦溝２０に案内されてマ
グネツト３０，３０′が円板１６の左端面に沿い、
径方向に平行に、円板１６周縁から円板１６中心
近傍に致る任意の位置に移動・位置決めできる。

本考案に係る釣用リールのブレーキ装置を使用
するには、投てき開始前に釣糸の重量、投てきお
もりの重量、投てき距離、風向き等の条件を考慮
して、最もパーマネントを起しにくいブレーキ力
が得られる位置に調節ツマミ３２を回動セツトす
ることにより、必要なだけのブレーキ力をスプー
ル１４に精密に調節して負荷することができる。
しかも、調整ツマミ３２はリール形状に合わせて
コンパクトに設けることができるため調整操作も
きわめてやり易くなる。

すなわち、制動トルクを発生する渦電流はマグ
ネツトと円板との相対速度に比例し、この相対速
度は円板上のマグネツト位置によつて決まる半径
に比例して増大するため、ブレーキ力を常に最小
限必要な最小量から最大量に至るまで広範囲にわ
たつて微細に調節することができ、しかも必要時
にのみ負荷することが可能となるため、パーマネ
ントを防止しながらリールの飛距離が大となる。

また、従来例にみられる遠心ブレーキは、くり
返し使用することによつて、ブレーキシユーが摩
耗して摩擦係数の変化が起り、常に一定のブレー
キ力が得られないが、本考案によるところに渦電
流を利用したブレーキは、非接触であるためにブ
レーキ力の経時変化がなく、常に安定したブレー
キ力が得られるとともに、構造を比較的単純化し
得るため長期の使用によつても故障が少なく、し
かも安価に構成できる等の著効を奏する。

なお、本考案は上記実施例に限定されるもので
はない。例えば継鉄は必ずしも設けなくともよい
など、考案の精神に反しない範囲で種々改良する
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る釣用リールのブレーキ装置
の一実施例を示し、第１図は両軸リールの部分縦
断面正面図、第２図はスプール受けとマグネツト
保持板の正面図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面
図、第４図はブレーキ調節ツマミの背面図であ
る。 １０……両軸受リール、１２……スプール軸、
１４……スプール、１６……円板、１８……スプ
ール受け、１９……ベアリング、２０……縦溝、
２２……保持板、２４……側面板、２６……ボ
ス、２８……継鉄、３０，３０′……マグネツト、
３２……ブレーキ調節ツマミ、３４……ツマミ
部、３６……案内溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 魚釣り用リールのスプールと同軸に連繋した
   非磁性かつ導電性の回転体と、該回転体に対向
   して該回転体周縁部近傍から回転中心部近傍ま
   でガイドされて移動可能にリール本体へ配設
   し、前記回転体に渦電流を生じさせる１個又は
   複数個のマグネツトと、前記リール本体に対し
   回動自在に取付けるとともに前記マグネツトに
   一体のボスに係合し、回動することによりマグ
   ネツトを移動させる渦巻状案内溝を有するブレ
   ーキ調整ツマミとを備えてなることを特徴とす
   る釣用リールのブレーキ装置。 ２ 回転体がアルミニウム製円板である実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の釣用リールのブレ
   ーキ装置。