JPH0310526B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自動車等のルーフに形成された開口
を、スライデイングルーフにより開閉する装置に
関する。

（従来の技術） この種のスライデイングルーフの開閉装置に
は、スライデイングルーフを、開口を閉塞する閉
塞位置から、後端をルーフの下方に下げて、全体
を後部下向き傾斜する状態とした後、この状態の
まま全体を後方に平行移動させることにより、開
口を開くようにした、いわゆるインナースライデ
イング方式のものがあり、例えば、実開昭58−
85519号公報に記載されている。

また、スライデイングルーフを平行に降下させ
た後、そのままの水平状態で後方に移動させるよ
うにした方式のものは、例えば、特公昭58−
27129号公報に記載されている。

（発明が解決しようとする問題点） 上述したスライデイングルーフ装置の中、前者
のものは、スライデイングルーフの後端を下げた
状態のままで、ルーフとトリム間に設けた収納ス
ペースに収納するために、収納スペースの上下の
幅を水平状態でスライデイングルーフを収納する
場合に比べて大きくしなければならず、自動車の
車内空間が狭くなつてしまうという問題点があつ
た。

また、スライデイングルーフを平行に降下させ
た後、後方に移動させるようにした後者のもの
は、スライデイングルーフの前部を傾斜カムとピ
ンとの係合機構により昇降させるようにするとと
もに、スライデイングルーフの後部をリンク機構
により昇降させるようにし、かつそれらの前後の
機構を別のリンク機構をもつて互いに連係するよ
うにしていたので、装置全体の構造が複雑となる
という問題点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記問題点を解決するためになされ
たもので、スライデイングルーフの収納スペース
を小さくしうるとともに、簡易な構造としたスラ
イデイングルーフの開閉装置を提供しようとする
ものである。

本発明によるスライデイングルーフの開閉装置
は、ルーフに設けた開口を閉じているスライデイ
ングルーフを、その閉塞位置から降下させて沈下
位置とし、次いで収納位置まで水平に移動させて
開口を開き、かつ逆動作により、開口を閉じるよ
うにしたスライデイングルーフの公平装置であつ
て、ルーフの開口縁に沿つて前後方向に設けたガ
イドレールと、該ガイドレールに沿つて移動自在
な索条を備える駆動手段と、下端部が前記ガイド
レールにより前後方向に移動自在に案内されると
ともに、上端部がスライデイングルーフの前部に
それぞれ枢着され、かつ互いに連動して前後に起
倒するように連係され、一方の下端部が、索条の
後方向への移動時に、索条に止着された係合片に
当接して倒伏させられるように、索条に連係され
た１対のアームよりなる前部リンク機構と、 下端部が前記ガイドレールにより前後方向に移
動自在に案内されるとともに、上端部がスライデ
イングルーフの後部にそれぞれ枢着され、かつ互
いに連動して前後に起倒するように連係され、一
方の下端部が、前記索条に止着された連係片に係
合し、索条の前後動により起倒させられるように
した１対のアームよりなる後部リンク機構と、 ガイドレールとスライデイングルーフとの間に
設けられ、スライデイングルーフが沈下位置まで
下降したときだけ、スライデイングルーフの前後
方向の移動を許容し、スライデイングルーフが沈
下位置より上方に位置しているときは、スライデ
イングルーフの昇降のみを許容し、前後動を阻止
する案内機構とを備えてなるものである。

（実施例） 以下、本発明を、図示の一実施例に基いて詳細
に説明する。

１は本発明の装置を備える自動車のルーフで、
２は、ルーフ１の前面に形成された矩形の開口、
３は、この開口２を閉じたり、開いたりするスラ
イデイングルーフである。

４及び５は、スライデイングルーフ３の裏面に
おける前後にそれぞれ設けられたリンク機構、６
は、スライデイングルーフ３の裏面における中央
部に設けられた案内機構で、これらの各機構は、
スライデイングルーフ３の両側に対をなすように
それぞれ設けられているが、以下の説明において
は、その一方のみについて説明する。

まず、第１図に示す、リンク機構４の構造につ
いて述べる。

７はブラケツトで、スライデイングルーフ３か
ら垂下された垂下片７ａを有し、この垂下片７ａ
にはこれと平行をなす取付板８が両者を水平に貫
通する軸９をもつて、枢着されている（第４図参
照）。

軸９の一端には、上端部側面に歯車１０ａを固
着したアーム１０が回転自在に取付けられ、この
アーム１０の下端部には、横長立方体のシユー１
１が枢着されている。

同様に、下端部にシユー１２が枢着され、かつ
上端部側面に前記歯車１０ａと噛合する歯車１３
ａが固着されたアーム１３が軸１４をもつて、取
付板８に枢着されている。

各アーム１０，１３に、それぞれ脚片を掛止さ
せて引張りコイルばね１５が張架され、拡開自在
に連係されたアーム１０，１３は、その拡角度が
小さくなるように常時付勢されている。

なお、リンク機構４が第１図の状態よりも起立
しないように、取付板８の下側には、突片８ａ，
８ａが設けられている。

第７図に示すように、前記シユー１１，１２
は、上面が開口する前後方向をなすガイドレール
１６の案内溝１６ａ内に、前後に摺動自在に収納
され、後方のシユー１２の内方側には、前端が開
口する係合孔１２ａが切設されている。

案内溝１６ａの両側面には、溝内に開口する水
平溝１６ｂが切設され、内方の水平溝１６ｂ内に
は、図示を省略した正逆回転可能なモータ、及び
このモータによつて回転させられるピニオンから
なる駆動手段と噛合されて、前後方向に移動自在
な索条、すなわちギヤードケーブル１７が設けら
れている。

このギヤードケーブル１７の所定の個所には、
係合片１８が固着され、この係合片１８は、後述
するように、第７図中右方に移動したとき、前記
シユー１２の係合孔１２ａに嵌合しうるようにな
つている。

第１図に示す、後方のリンク機構５の構造は、
上述したリンク機構４とほぼ同じ構造であるの
で、簡単に説明する。

互いに噛合する歯車１９ａ，２０ａを上端部側
面に有する１対のアーム１９，２０は、取付板２
１に、それぞれ軸２２，２３をもつて拡開自在に
枢着されている。

取付板２１は、第５図に示すように、軸２２を
もつてスライデイングルーフ３に取付けられたブ
ラケツト２４に枢着されている。

各アーム１９，２０間には、引張りコイルばね
２５が架設され、アーム１９，２０の下端部に
は、案内溝１６ａに摺動自在なシユー２６，２７
が、それぞれ枢着されている。

第５図及び第８図に示すように、後方のシユー
２７は、その内方側において、設けられた孔２７
ａにギヤードケーブルに固着された連係片３２が
嵌合することにより、前記ギヤードケーブル１７
に連結されている。

また、取付板２１には第１図乃至第３図からも
わかるように、下方に垂下する延出部２４ａが連
設され、水平軸３３により、ローラ３４が枢着さ
れている。このローラ３４はスライデイングルー
フ３が下降した際にガイドレール１６の切穴１６
ｃからレール内に入り、案内溝１６ａを前後に走
行することにより、リンク機構５の起立動作を規
制している。

次に、案内機構６について説明する。

第６図に示すように、スライデイングルーフ３
から垂下されたアーム２８の下端部側面には、水
平な軸２９をもつてローラ３０が枢着され、この
ローラ３０を垂直方向に案内する溝３１ａを形成
するように上端部が若干後方に傾斜する前後１対
のガイド板３１，３１が、ガイドレール１６に設
けられている。

溝３１ａの下端は、案内溝１６ａと開口３１ｂ
を介して連通され、案内溝１６ａ内に降下するロ
ーラ３０は、案内溝１６ａ内を前後に走行しうる
ようになつている。

次に、本発明によるスライデイングルーフの開
閉装置の作動について説明する。

第１図に示す、スライデイングルーフ３の閉塞
状態から、図示を省略した駆動手段に通電し、ギ
ヤードケーブル１７を、後方に牽引すると、アー
ム２８のローラ３０が溝３１ａ内において前後方
向の動きが規制されるため、スライデイングルー
フ３は、後方に動かず、係合片１８と係合するシ
ユー１２、及び連係片３２と連結されているシユ
ー２７は、後方に移動する。

そのため、リンク機構４，５のアーム１０，１
３及びアーム１９，２０は、それぞれ引張りコイ
ルばね１５，２５の付勢力に抗して拡開し、平行
に降下しているスライデイングルーフ３は、第２
図に示すように沈下位置となつて、開口２の下端
縁よりも低くなり、かつ案内機構６のローラ３０
は、案内溝１６ａ内に降ろされる。この時、ロー
ラ３４も案内溝１６ａ内に入る。

ギヤードケーブル１７をさらに後方に牽引し続
けると、第２図想像線で示すように、スライデイ
ングルーフ３は、沈下状態のまま後方に移動し、
後方のルーフ１内の収納位置に収納され、かつ開
口２は開かれる。

開口２を閉じるには、上述した動作を逆に行
う。

すなわち、ルーフ１内に収納されたスライデイ
ングルーフ３、ギヤードケーブル１７を前方に移
動させることによつて、第２図に示す沈下位置ま
で移動させる。

リンク機構４，５の引張りばね１５，２５の復
元力によつて、ローラ３０は常時上方に付勢され
ているため、ローラ３０はガイド板３１，３１間
の開口３１ｂに到達すると、溝３１ａ内に導入さ
れる。

スライデイングルーフ３の前後の動きが規制さ
れると、ギヤードケーブル１７の前方への移動
は、それぞれのアーム１０，１３及びアーム１
９，２０の起立動作をさせることとなり、第１図
に示すように、スライデイングルーフ３の上面が
開口２上面と一致した閉塞位置において、ギヤー
ドケーブル１７の移動を停止させる。

また、第３図に示すように、車内の換気のため
に、スライデイングルーフ３をチルト位置とする
には、第１図の閉塞位置から、ギヤードケーブル
１７を前方に移動させる。

前方のリンク機構４は、取付板８の突片８ａ，
８ａにより起立動作不能の為シユー１２と係合片
１８の係合が解かれ、ギヤードケーブルを前方に
移動させてもアーム１０，１３は第１図の状態を
維持する。

一方、後方のリンク機構５のシユー２７は、連
係片３２により、ギヤードケーブルと常に連結さ
れている為そのまま前方に移動され、アーム１
９，２０は起立状態となり、スライデイングルー
フ３の後方のみ、ルーフ１より上方に押し上げら
れて、チルト状態となる。

チルト状態を解除するには、ギヤードケーブル
１７を後方に牽引すると、アーム１９，２０が拡
開し、第１図に示す閉塞状態に復帰する。

このとき、前方の係合片１８は、右方に移動し
て、シユー１２の係合穴１２ａ内に嵌合するよう
な相対位置関係となる。

（変形例） 上述の実施例においては、リンク機構を、取付
板に枢着され、かつ互いに噛合する歯車によつて
連係される拡開自在な１対のアームをもつて構成
したが、これに代わり、例えばＸ字形に組合され
た公知のパンタグラフ機構を使用してもよい。

また、案内機構は、垂下片に枢着したローラ
を、１対のガイド板間の溝、及びガイドレールの
案内溝内を走行させるようにしたが、これに代わ
り、カム及び溝カムを組合せて、同様の動作を行
なわせるようにしてもよい。

（発明の効果） 本発明によれば、駆動手段によつて前後移動自
在な索条を後方に移動すれば、スライデイングル
ーフが沈下した後、平行移動されて、開口が開く
とともにスライデイングルーフがルーフがルーフ
下方に収納され、索条を前方に移動すれば、ルー
フ下方よりスライデイングルーフが引き出された
後、上昇して開口を閉塞することができ、索条の
移動だけで、スライデイングルーフの開閉及びチ
ルト動作を共に行えるため、操作が容易となり、
かつ機構も簡単となる利点がある。

また、スライデイングルーフは、閉塞位置から
平行状態で沈下位置となり、そのままルーフ下に
収納されるため、スライデイングルーフの収納ス
ペースが少なくてすみ、車内空間が広くなる利点
がある。

さらに、スライデイングルーフの前部と後部の
昇降機構を、ほぼ同一構造の簡単なリンク機構を
もつて構成することができ、しかも、それらと駆
動手段における索条との連係関係を若干異ならせ
るだけで、前部と後部の昇降機構の相互の連係を
図る必要がなくなり、装置全体の構造を著しく簡
素化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の装置の一実施例を示すルー
フの要部の縦断面図、第２図は、第１図示のスラ
イデイングルーフの沈下状態を示す縦断面図、第
３図は、第１図示のスライデイングルーフのチル
ト状態を示す縦断面図、第４図は、第１図の−
線に沿う横断面図、第５図は、第１図の−
線に沿う縦断面図、第６図は、第１図の−線
に沿う縦断面図、第７図は、第３図の−線に
沿う横断面図、第８図は、第２図の−線に沿
う横断面図である。 １……ルーフ、２……開口、３……スライデイ
ングルーフ、４，５……リンク機構、６……案内
機構、９，１４，２２，２３……軸、１０，１
３，１９，２０……アーム、１０ａ，１３ａ，１
９ａ，２０ａ……歯車、１１，１２，２６，２７
……シユー、１５，２５……引張りコイルばね、
１６……ガイドレール、１６ａ……案内溝、１７
……ギヤードケーブル、１８……係合片、３０…
…ローラ、３１……ガイド板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ルーフに設けた開口を閉じているスライデイ
   ングルーフを、その閉塞位置から降下させて沈下
   位置とし、次いで収納位置まで水平に移動させて
   開口を開き、かつ逆動作により、開口を閉じるよ
   うにしたスライデイングルーフの開閉装置であつ
   て、 ルーフの開口縁に沿つて前後方向に設けたガイ
   ドレールと、 該ガイドレールに沿つて移動自在な索条を備え
   る駆動手段と、 下端部が前記ガイドレールにより前後方向に移
   動自在に案内されるとともに、上端部がスライデ
   イングルーフの前部にそれぞれ枢着され、かつ互
   いに連動して前後に起倒するように連係され、一
   方の下端部が、索条の後方向への移動時に、索条
   に止着された係合片に当接して倒伏させられるよ
   うに、索条に連係された１対のアームよりなる前
   部リンク機構と、 下端部が前記ガイドレールにより前後方向に移
   動自在に案内されるとともに、上端部がスライデ
   イングルーフの後部にそれぞれ枢着され、かつ互
   いに連動して前後に起倒するように連係され、一
   方の下端部が、前記索条に止着された連係片に係
   合し、索条の前後動により起倒させられるように
   した１対のアームよりなる後部リンク機構と、 ガイドレールとスライデイングルーフとの間に
   設けられ、スライデイングルーフが沈下位置まで
   下降したときだけ、スライデイングルーフの前後
   方向の移動を許容し、スライデイングルーフが沈
   下位置より上方に位置しているときは、スライデ
   イングルーフの昇降のみを許容し、前後動を阻止
   する案内機構 とを備えることを特徴とするスライデイングルー
   フの開閉装置。