JPH029926Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はワークをほぞ切加工するためのほぞ
切機における安全カバーの改良に関する。

従来のほぞ切機では、例えば第１図、第２図に
示すように、フレームｆ上のブラケツトｂにピン
着された後カバー板ｃ１と、この後カバー板ｃ１
の前端に蝶着された前カバー板ｃ２とで丸鋸刃ｍ
の上方および前方を覆蓋していたが、この場合に
はワークＷの切断加工時に前カバー板ｃ２がその
上下動に伴つてワークＷの上面に摺接して傾動さ
れかつ後カバー板ｃ１が前カバー板ｃ２に追従し
て傾動するため、両カバー板ｃ１，ｃ２の傾動途
中でワークＷの先端縁が前カバー板ｃ２の内面に
当接して前カバー板ｃ２が不正傾動したり、とく
に、両カバー板ｃ１，ｃ２の上動時に後カバー板
ｃ１の前端がワークＷに対し突合せ状に当接して
後カバー板ｃ１の傾動が抑制され、後カバー板ｃ
１が後方へ押圧されて後カバー板ｃ１やブラケツ
トｂが破損したり、ワークＷを損傷する等の危険
があつた。

本考案の目的は上記理由にかんがみ、ワーク切
断加工時の傾動動作を円滑化してほぞ切作業の安
全性を高めうるほぞ切機の安全カバーを提供する
ことである。

続いて、本考案の第１実施例を第３図〜第６図
にしたがつて説明すると、図中、１はほぞ切機Ｈ
のベース、２はベース１の前端に設置されたバイ
スヘツド、３はワークＷをクランプするためにバ
イスヘツド２の上端に対設されたバイス、４，４
はベース１の後端両側に立設された左右１対の支
柱であつて、その上端には連結板５が横架されて
いる。

６は両支柱４に対し上下のスライド可能に装架
されたフレームであつて、ハンドル７で昇降操作
される。

８，８はフレーム６上に対しワークＷの先端付
近両側をワークＷの幅方向に沿つて切断するため
に可転軸支された左右１対の横鋸刃、９，９はワ
ークＷの先端付近両側をワークＷの長手方向に沿
つて切断するために両横鋸刃８にそれぞれ対設さ
れてフレーム６上に可転軸支された左右１対の縦
鋸刃であつて、それぞれフレーム６とともに上下
動してワークＷの先端付近両側を同時に切断する
ことができる。

１０，１０は安全カバーＡのアームであつて、
フレーム６上の中央部付近に左右並置され、その
上端はそれぞれ内方に対しＬ型状に曲折されてい
る。

１１は両縦鋸刃９の上方付近を覆蓋するために
両アーム１０の上端に対しピン１２，１２を介し
て上方への一方的傾動可能に支持された後カバー
板であつて、平面方形状の上片１１ａと、上片１
１ａの両側に垂下された両側片１１ｂ，１１ｂと
で縦断面がほぼ型状に形成され、後カバー板１
１の下傾を規制するために上片１１ａの後端付近
が両アーム１０の上端縁上に載置されていて、両
側片１１ｂの前端には若干前方へ延出された突出
部１１ｃ，１１ｃが形成されるとともに、上片１
１ａの前端中央部には挿通口１３が型状に開設
されている。

１４は両横鋸刃８の上方付近と前方付近とを覆
蓋するために後カバー板１１の前端に蝶番等を介
して前方への傾動可能でワークＷの上面との摺接
可能に連結された前カバー板であつて、この前カ
バー板１４には後端付近が後カバー板１１の両側
片１１ｂの両突片１１ｃ上に載置された状態で水
平状に設置された上片１４ａと、この上片１４ａ
の前端縁から直角に垂下された前片１４ｂとが連
設され、前片１４ｂの下端付近は前片１４ｂの下
端縁をワークＷの上面に摺接させるために前方へ
曲折されている。前カバー板１４はフレーム６の
上下動に伴つて後カバー板１１とともに上下動
し、フレーム６が下動したときには、前カバー板
１４はその下動途中で前カバー板１４の下端縁が
ワークＷの上面に摺接しててワークＷで押上げら
れ、カバー板１１，１４の連結支点Ｒを中心とし
て前上方へ傾動しながら下動し、フレーム６が上
動したときには前カバー板１４は自重で後下方へ
傾動しながら上動する。

１５は前カバー板１４の内面に取着された摺接
片であつて、この摺接片１５は前後カバー板１
１，１４が上下動して連結支点ＲがワークＷ先端
の上端縁Ｗ１に接近したときにこの上端縁Ｗ１に
摺接してこの上端縁Ｗ１と連結支点Ｒとの間に挿
入されるように前カバー板１４の上部から連結支
点Ｒの若干下方に向つて傾斜状に延出され、この
摺接片１５の上端付近は後カバー板１１の挿通口
１３を通じて後カバー板１１の上方へ突出されて
いる。ワークＷの切削加工時に連結支点Ｒがワー
クＷの上端縁Ｗ１に接近したときにはこの上端縁
Ｗ１に摺接した状態で上端縁Ｗ１と連結支点Ｒと
の間に挿入された摺接片１５によつて連結支点Ｒ
付近とワークＷとの当接動作が規制される。すな
わち、前カバー板１４の上片１４ａの後端付近内
面とワークＷの上端縁Ｗ１との当接動作、および
後カバー板１１の前端縁とワークＷの上端縁Ｗ１
の当接動作が規制される。

続いて、上記した構成をもつ実施例の作用と効
果を説明する。

本例では後カバー板１１の前端に前方への傾動
可能でワークＷの上面との摺接可能に連結された
た前カバー板１４の内面には両カバー板１１，１
４が上下動して連結支点ＲがワークＷ先端の上端
縁Ｗ１に接近したときにこの上端縁Ｗ１に摺接し
てこの上端縁Ｗ１と連結支点Ｒとの間に挿入され
るように前カバー板１４の上部から連結支点Ｒの
下方付近に向つて傾斜状に延出された摺接片１５
を取着してある。

このため、ワークＷの切断加工に際し、各鋸刃
８，９をフレーム６とともに上下動したときに各
鋸刃８，９の覆蓋状態を両カバー板１１，１４の
上下動および傾動によつて確保しうるとともに、
両カバー板１１，１４の上下動に伴つて摺接片１
５がワークＷ先端の上端縁Ｗ１に摺接して後カバ
ー板１１の前端を上下方向へ円滑に誘導し、かつ
両カバー板１１，１４とワークＷ先端の上端縁Ｗ
１との対接を規制しうる結果、連結支点Ｒが円弧
動途中で後カバー板１１に対する押圧力の死点と
なつて後カバー板１１がワークＷで突合せ状に押
圧され、後カバー板１１やアーム１０が破損する
危険を未然に防止して後カバー板１１の傾動動作
を円滑化しうるとともに、ワークＷの先端が下動
中の前カバー板１４の内面に当接して前カバー板
１４が不正傾動する不具合を未然に防止しうる効
果がある。

次に、本考案の第２実施例を第７図にしたがつ
て説明すると、本例では摺接片１５Ａの前端を前
カバー板１４Ａの前片１４ｂの上端付近の内面に
固着する一方、摺接片１５Ａの後端付近を、前カ
バー板１４Ａの上片１４aAの後端付近の下面に
取着された支持片１７の下面に固着し、摺接片１
５Ａを前カバー板１４Ａの上部から連結支点Ｒの
若干下方に向つて傾斜状に延出してある。１８は
ワークの切断部位を透視するために前カバー板１
４Ａの上側片１４aAに開設した開口部１９の下
面に並着された透明の蓋板である。

なお、第２実施例の作用と効果については第１
実施例とほぼ同様であるため、その説明を省略す
る。

本考案は前記したように構成してあるので、ワ
ークの切断加工時に前記両カバー板の連結支点付
近がワーク先端の上端縁に突当たつて後カバーが
破損したり、前カバー板が不正傾動する不具合を
解消して両カバー板を円滑に傾動させ、切断作業
の安全性性を高めうる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のほぞ切機の安全カバーを示す側
面図、第２図は同じく作動状態を示す側面図、第
３図〜第６図は本考案の第１実施例を示すもの
で、第３図はほぞ切機の全体斜視図、第４図は安
全カバーの平面図、第５図は同じく側面図、第６
図は安全カバーの作動状態を示す側面図、第７図
は第２実施例の安全カバーの側面図である。 ６……フレーム、８，９……鋸刃、１１，１１
Ａ……後カバー板、１４，１４Ａ……前カバー
板、１５，１５Ａ……摺接片、Ｒ……連結支点、
Ｗ……ワーク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下動可能に装設されたフレームにはワーク先
   端付近の両側を幅方向に沿つてそれぞれ切断する
   ための左右１対の横鋸刃と、ワーク先端付近の両
   側を長手方向に沿つてそれぞれ切断するために前
   記両横鋸刃にそれぞれ対設された左右１対の縦鋸
   刃とがそれぞれ可転軸支されたほぞ切機におい
   て、前記両縦鋸刃の上方付近を覆蓋するために前
   記フレームに上方への傾動可能に支持された後カ
   バー板の前端には前記両横鋸刃の上方付近と前方
   付近とを覆蓋する前カバー板を前方への一方的傾
   動可能でワークの上面との摺接可能に連結し、こ
   の前カバー板の内面には前記両カバー板が上下動
   して前記連結支点がワーク先端の上端縁に接近し
   たときにこの上端縁に摺接してこの上端縁と前記
   連結支点との間に挿入されるように前記前カバー
   板の上部から前記連結支点の下方付近に向つて傾
   斜状に延出された摺接片を取着したことを特徴と
   するほぞ切機の安全カバー。