JPH031220Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、割刃に取付けられて、被削材の送り
込みに従い上昇する構造の木工用丸鋸盤の接触予
防装置に関するものである。

〔考案の背景〕

従来技術よりなるこの種の丸鋸盤の接触予防装
置を図を用いて説明する。第１図に見るように接
触予防装置すなわちフード１は、熱可塑性樹脂で
成形され、切屑飛散防止壁２が成形加工上、定板
面に対し垂直に設けられるので、フードの内寸法
より狭い材料を切削しようとする場合は、被削材
がこの壁に当たり切削を妨げる。この時は、フー
ドを手で上げながら送材するが、手が丸鋸刃に近
づき、且つ、送材が片手操作となるので不安定に
なり極めて危険であつた。また、第２図に見るよ
うに、フードの後端が割刃３にまたがつて、フー
ドの傾きを規制するフード倒れ防止壁４を有する
構造となつているが、フードの幅以上の材料を矢
印Ｂ方向よりいれ、丸鋸刃により切られてゆく場
合、割刃３の上部に設けてある支持腕１１により
フード１が上昇し材料に乗り上がつた状態とな
る。このため、成形加工上の抜きテーパーが有り
フード下部にて割刃とのスキマが大きくなるた
め、フードは確実に保持されず、フード支持座５
を支点として傾き、フードの切屑飛散防止壁２が
丸鋸刃に接触して破損する等の不具合が生じてい
た。

更にフード製作のための射出成形型はフードが
一体構造であるため極めて大型になり、しかして
高価なものとなり、安価な丸鋸盤を供給するには
障害があつた。

また、実公昭52−31987号にはテーブル上に露
出する丸鋸周面の鋸刃に沿つて安全カバーを移動
できる構成が示されているが、安全カバーは可動
リンク構造を持ち構成が複雑であり、かつ安全カ
バー上部に大きな支持フレームを要しているの
で、コンパクトな構成ができない。

さらに実開昭53−11694には丸鋸を完全に被覆
し、かつカバーの側面にカバー揺れ止めを設けて
いて、かつ木材が丸鋸機の進行に対して上下に可
動できる可動カバーを設けて作業者へのおが屑飛
散を防止する構成が示されているが、安全カバー
は平行リンク機構で吊り下げられ前部に可動カバ
ーを持つという複雑な構成であり、安価なカバー
供給は期待できない。

一方特公昭47−594号には丸鋸刃における手指
防止体を木材を丸鋸機に挿入する際に上動する被
覆カバーと関係なく降下させて作業者の手指がそ
れ以上進行するのを防ぐ構成が示されているが、
構成が非常に複雑であり、安全カバーの倒れ防止
構造が非常に複雑である。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上記した従来の技術の欠点を
なくし、この種の接触予防装置の安全性をより確
実なものとし、併せてより安価な丸鋸盤を供給す
ることである。

〔考案の概要〕

本考案は、逆Ｕ字形フードと、フード内側の切
屑飛散防止壁、及びフード内側倒れ防止壁を別体
として構成し、フード製作上の制約条件に影響さ
れずにフードの材料挿入側前端部を斜辺に形成で
き、かつフード倒れ防止壁がテーパー無しで割刃
に接触できる点に着目し、フード、切屑飛散防止
壁、フード倒れ防止壁等の形状、構造を工夫した
ものである。

本考案よりなる一実施例を図を用いて説明す
る。第３図は接触予防装置の部分断面側面図、第
４図は第３図のＣ方向矢視図、第５図は第３図の
Ｄ−D′線断面図、第６図はフード支持部材の斜
視図、第７図は第３図のＥ方向矢視図、第８図は
第３図において材料を切断している状態を示す部
分断面側面図である。

図において、定盤６上に任意高さに突出した丸
鋸刃７、丸鋸刃は図示されない昇降フレームに回
動自在に支持され、昇降フレームは定盤６下部に
て傾斜フレーム８に保持されている。割刃３は傾
斜フレームに固定された割刃ホルダ９、割刃シヤ
フト１０により、該丸鋸刃７の後方にあつて同一
平面内に取付けられている。割刃３は丸鋸刃７の
厚さに対しわずかに厚い板材で形成してある。こ
の割刃３は丸鋸刃７により切断されながら切り進
められてきた材料を丸鋸刃７の刃面から分離させ
る部材であつて、丸鋸刃７により刻まれた材料の
切断溝に割刃３が入り込まされることにより前記
分離を行う。割刃上部には支持腕１１が揺動自在
に取り付けられ、この支持腕にフード１が２個に
分割されたフード支持部材１２を介して、支軸１
３、ワツシヤ１４、ピン１５により揺動自在に保
持されている。フード前方すなわち材料挿入側
は、材料送り込みに従い材料に接して自ら上昇す
る斜辺１６を形成し、この斜辺に沿つて第４図に
見るように２個に分割された切屑飛散防止壁２が
該フード１の内側に取り付けられている。フード
後方即ち材料送り出し側には２個に分割されたフ
ード倒れ防止壁４が取り付けられ割刃３の両側面
に接しあるいは近接している。

更に、フード１は可透視樹脂板からＵ字形に曲
げて形成され、又切屑飛散防止壁２、フード倒れ
防止壁４およびフード支持部材１２は、射出成形
された樹脂材からなり、各々２個の同一形状部品
を対置して、フード内に収納しネジ等の手段によ
り固定したものである。

以上の構成において、フード１の内寸法より幅
の狭い材料を切断しようと思えば、材料は、斜辺
１６に沿つて配置された切屑飛散防止壁２に当た
り、フードは、材料送り込みに従い上昇する。ま
たフード倒れ防止壁４は、第７図に見るようにテ
ーパーを有しないので、その上下方向で均等に割
刃３に接し、あるいは近接して、フードの傾きを
防止する。

上記フードは、製作上、成形金型を必要とせず
熱可塑性樹脂板を折り曲げて製作でき、またフー
ド内に取付けられる上記構成部品は、第４、５、
７図に見るように２分割して同一部品を対置する
こととしたので成形金型は極めて単純小型で安価
なものとなる。

フード支持部材１２は、第５図のようにフード
内上方に取り付けられるが、取り付け作業を容易
にするため、第６図に見るようにボス２個１７に
突起１８を設け、２個を対置した時に、一体的に
連結され、あたかも１個の部品のごとく簡単に組
立できるよう、配置したものである。

さらに実用上の問題として、切削された木材の
端材が丸鋸刃に当たつて反発したり、あるいは、
木材の端部及び節部が欠けて飛散し、上記、切屑
飛散防止壁およびフード倒れ防止壁を破損するこ
とがあるが、この場合でも、フード全体を交換す
る必要はなく、上記破損壁を交換するのみで充分
であり、補修が容易でより経済的である。

本考案による一実施例として、Ｕ字形に折り曲
げたフードについて言及したが、このフードは２
枚の側板および天板に分割しても同様の構成とな
ることは容易に理解できる。この場合、天板の材
質は樹脂に限らず金属板であつても、側方から切
削点を観察できるので実用上問題にならない。

また、フード内に収納されるそれぞれの部品は
２個に分割されることとしたが、若干の経済性を
無視すれば、単体構造でもよく、また更に３個以
上の複数個から成るとしても構わない。

更に、切屑飛散防止壁、フード支持部材および
フード倒れ防止壁はネジ等によつてフード内に取
り付けることとしたが、接着等の手段によつて固
定されることとしても良い。この場合、上記構成
品の交換補修は不可能となるが、前記した作用、
効果は同じである。

〔考案の効果〕

本考案によれば、フードと切屑飛散防止壁及び
フード倒れ防止壁を別体として、分割構造とした
ので、フード内寸法より狭い材料でも安全に切削
することができ、又フードの倒れ防止をより確実
なものとできるので、この種の丸鋸盤の接触予防
装置の安全性を増し、またより安価な丸鋸盤を供
給することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術よりなるフードの側面図、第
２図は第１図のＡ方向矢視図、第３図は本考案よ
りなる一実施例を示す部分側断面図、第４図は第
３図のＣ方向矢視図、第５図は第３図のＤ−
D′線断面図、第６図は第５図のフード支持部材
の斜視図、第７図は第３図のＥ方向矢視図、第８
図は第３図において材料を切断している状態を示
す部分断面側面図である。 図において、１はフード、２は切屑飛散防止
壁、３は割刃、４はフード倒れ防止壁、６は定
盤、７は丸鋸刃、１１は支持腕、１２はフード支
持部材、１６は斜辺である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 定盤上に突出した丸鋸刃と、丸鋸刃と同一平面
   上でかつ丸鋸刃の後方に位置する割刃と、割刃前
   方に取り付けられた支持腕と、支持腕に揺動自在
   に軸支されるとともに、前記丸鋸刃と割刃を覆う
   Ｕ字形断面を有する可透視樹脂板のフードを有す
   る木工用丸鋸盤において、 前記フード前縁に、被削材送り込みに従いフー
   ドを上昇させる斜辺を設け、斜辺に沿つてフード
   内壁に切屑飛散防止壁をフードと別体で形成して
   固定し、フード後方に上記割刃の左右両面に接触
   するフード倒れ防止壁をフードと別体で形成して
   固定したことを特徴とする木工用丸鋸盤の接触予
   防装置。