JPH027116Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動三輪車に係り、特にカーブ時にお
ける転倒限界を予知し得るようにして、車体の接
地による転倒を未然に防止するようにした自動三
輪車に関する。

従来から、操舵することができる１つの前輪と
左右２つの後輪とで支持された自動三輪車は、自
立性があるため停車時の取扱いや、低速走行時の
操縦が容易であるという利点がある反面、高速走
行時に特に急カーブする場合には重心移動が円滑
にできないため操縦性が非常に悪くなるという欠
点を有していた。

そこでこの高速走行時における操縦性を二輪車
と同等にするため、前輪およびシートを支える前
フレームを、後輪で支えられた後フレームに前後
方向に延びるロール軸により揺回可能に結合し、
前フレームを左右に傾動させて重心移動を容易と
した自動三輪車が提供されている。

ところで上記のような自動三輪車の場合、高速
で急カーブを曲るとき前フレームを傾け過ぎると
フートレスト等のフレーム側方に突出する部分や
他の部分が接地し、その接地抵抗により車体が急
旋回して転倒する危険がある。

上記危険を未然に避けるため、従来ではフート
レストをフオールデイングタイプとしたり、ある
いはフートレストの先端に突起を設け、最先にこ
の突起が接地するようにし、接地時に路面にこす
る音を発生するようにして車体の傾斜度合いを知
らせるようにしたものがあるが、このように接地
したときの音も聞いて傾斜度合いを知るのでは実
際上転倒防止にはさほど役立たず、また接地する
までにどの程度の傾斜角の余裕があるのかドライ
バーにはわからないという問題がある。

本考案は上記従来技術の問題点に着目し、これ
を改善することを目的としてなされたもので、ド
ライバーに対し前フレームが接地するまでの傾斜
角（バンク角）を常に認識させ、傾斜角の余裕限
界を知らしめて転倒を未然に防止し得るようにし
た自動三輪車を提供するものである。

以下本考案の実施例を図面について説明する。

本考案に係る自動三輪車のフレーム構造は、第
１図にその一例を示すように、前フレーム１と後
フレーム２に分離されており、前後方向に延びる
ロール軸３により揺回可能に結合されている。

前フレーム１には、前部上端のステアリング軸
４により前フオーク５を支持し、この前フオーク
５は下端に１つの前輪６を軸支し、上端にハンド
ル７を備えている。また前フレーム１の上部に
は、ドライバーおよびパツセンジヤが２人跨乗で
きるようにしたタンデムシート８が装備されてい
る。このシートはシングルであつてもよい。

後フレーム２は、左右２つの後輪９で支えら
れ、エンジン１０を搭載して後輪９に伝導機構を
介し駆動するようになされている。こうして後フ
レーム２は常時地面に平行に支えられ、前フレー
ム１はタンデムシート８、ハンドル７、および前
輪６と共に左右に傾動可能となつている。

図において１２はドライバー用フートレストで
あり、このフートレスト１２は前フレーム１の下
部両側から側方へ延びた図示しないステーにより
支持されている。また１３は後輪６のブレーキ用
フートレバー、１４はエンジン１０に連設された
ミツシヨンである。

本考案においては、前記ロール軸３に傾斜角検
出装置１５が設けられている。

第２図は上記傾斜角検出装置１５にボリウム１
６（ボリウムはロータリ型可変抵抗器で車体（前
フレーム１）の傾斜角の変化を抵抗値の変化で計
測し、電流あるいは電圧信号として取り出し得る
ようにしたものである。）を用いた場合の実施例
で、ロール軸３の先端を軸承する前フレーム１の
軸受部１７端にボリウム１６を装着してロール軸
３の軸端に結合し、このボリウム１６により前フ
レーム１と後フレーム２との角度の差を検出して
これを表示するようになされたものである。その
表示手段は、例えば第３図に一例を示すように、
車速を検出して第４図Ａに示すようにその車速に
応じた安全角度電圧ａ信号を関数発生器１８によ
り作り、前記ボリウム１６からの出力は絶対値増
巾器１９により第４図に示すように角度の絶対値
電圧ｂを作り、これら電圧ａ，ｂを比較器２０に
おいて比較し、その車速での安全角度を越えたと
きに警報器２１により警報を発するようにする。

この実施例によれば、単に傾斜角のみでなく、
車速との関係において安全傾斜角を知ることがで
きるので、その安全性を高めるうえで有効であ
る。

第５図に示す実施例は、傾斜角検出装置１５に
角度センサ２２を用いたものであり、この角度セ
ンサ２２による傾斜角の検出角度をメータに表示
するようにして、ドライバーに常に車体の傾き状
態を知らしめるようにしたものである。その表示
手段は、第５図に示すように、角度センサ２２と
して可変抵抗器２３を用いたものである。この可
変抵抗器２３は前フレーム１と後フレーム２との
揺動（傾斜）角度に応じて可変抵抗器２３のリン
グ状コイル上をスライダが摺動し、この摺動に応
じた抵抗値の変化を増巾器２４に送り、増巾器２
４を介しメータ２５（警報器であつてもよい）に
表示するようにされる。このメータ２５はドライ
バーが常に見易い位置に装着される。

以上のように本考案は、前フレームと後フレー
ムとを揺回可能に結合するロール軸に傾斜角検出
装置を設け、この検出装置により車体の傾斜状態
を検出してドライバーに知らしめるようにしたの
で、カーブ時に車体の一部が接地する以前に危険
角度であることを未然に認知させることができ、
そのため接地による転倒事故を未然に防止するこ
とができて、自動三輪車の走行安全性を大巾に高
めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用する自動三輪車の一例を
示す側面図、第２図は本考案における傾斜角検出
装置の一実施例を示す詳細図、第３図は同回路
図、第４図ＡおよびＢは第３図の関数発生器から
出力される車速信号と絶対値増巾器から出力され
る角度信号の出力変化をそれぞれ示す図、第５図
は同他の実施例を示す回路図である。 １……前フレーム、２……後フレーム、３……
ロール軸、６……前輪、９……後輪、１０……エ
ンジン、１５……傾斜角検出装置、１６……ボリ
ウム、１７……軸受部、２１……警報器、２２角
度センサ、２５……メータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 操舵可能な１つの前輪およびシートを備えた前
   フレームと、左右２つの後輪により支えられた後
   フレームとを、前後方向に延びるロール軸により
   揺回可能に結合した車体を有する自動三輪車にお
   いて、前記ロール軸に前フレームと後フレームと
   のなす傾きを検出する傾斜角検出装置を設け、こ
   の検出装置により検出した傾斜角をメータ、警報
   等の表示手段により表示するようにしたことを特
   徴とする自動三輪車。