JP3956595B2 - 電動車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば左右一対の前輪および後輪を有し操舵ハンドルの操作で前輪を操舵して車両の進行方向を操舵する電動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、次世代の電動車椅子など電動車両において、障害物等を自動的に回避したい場合、ステアリングをコンピュータにより操縦者(乗車員)の意思にかかわらずに前記障害物を回避する制御が望まれている。従来の乗用車などの車両に使用される電動パワーステアリング(ハンドルシャフトの捻りトルクによりステアリングモーターを制御する機構)を使用して、操舵力を補助するだけでなく前記回避操舵制御に用いることが考えられる。
【0003】
従来の電動車両の操舵機構では、一体または途中がユニバーサルジョイントなどで連結された操舵軸の上部にハンドルが設けられ、また、下部に操舵機構が設けられており、この操舵軸に前記電動パワーステアリングを設けることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電動車両の操舵機構では、前記の構造のため、コンピュータが操舵した場合にステアリングハンドルも回転することになり、ステアリングを握っている操縦者にも力が加わり、障害物を越えたとき等にキックバックがハンドルに伝わり不具合が生じる。一方、操縦者のハンドルへの入力が強くモーターのトルクより大きい場合、前記回避のための操舵制御しようとしてもモーターのトルクに操縦者の操舵力が打ち勝ってしまいステアリングが自動的に操舵できない場合がある。
【0005】
これに対して、モーターのトルクを大きくしたとしても、前記ステアリングを握っている操縦者への力がさらに強くなり、ステアリングの構造を強固にしなければならず、重量が重くなり、コスト上昇をも招く。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みて提案されたもので、操縦者のハンドル入力は回転トルクの大小に関係なく、回転速度、回転角度のみとしてハンドルからのキックバックがなく力の弱い人でもハンドルを通常の操舵力で作動できる電動車両を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。
【0008】
すなわち、本発明は、前輪及び後輪をフレームに懸架し、乗員が一人で単座シートに着座した状態で前方のハンドルを掴んで回動させ、この回動にしたがって左右の前輪を操舵するようにした電動車両において、車体前部の後ろ開き概略π字形状のフロントフレームには上方向にシャーシフレームが立設され、このシャーシフレームに回動可能に軸支されたハンドル回動軸と、モーターの駆動力で前輪の舵取り角度を変化させる操舵機構がそれぞれ機械的に独立して車体に設けられており、前記ハンドル回動軸の回動角を検出する手段と、前記検出回動角に基づき操舵信号を出力するコントローラ部とを有し、出力された操舵信号によりモーターを駆動させて前輪の舵取り角度を変化させる一方、前記操舵機構は、左右前輪間に回動可能に設けられ、モーターの駆動力により回動するステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトおよび左右前輪間に連結されて左右前輪の操舵方向をステアリングシャフトの回動に追従させるステアリングロッドとを有し、前記ハンドルの回動軸とステアリングシャフトの回動軸とが上下にほぼ同一線状に並ぶように配設されると共に、前記操舵機構のステアリングシャフトを回動させるモーターを前記フロントフレームの内側であって上記ハンドル回動軸より前方に配設したことを特徴とする電動車両である。
【0009】
本発明によれば、車体前部に回動可能に軸支されたハンドル回動軸と、モーターの駆動力で前輪の舵取り角度を変化させる操舵機構をそれぞれ機械的に独立して車体に設け、検出したハンドル回動軸の回動角に基づきコントローラ部より操舵信号を出力して前輪の舵取り角度を変化させるので、操縦者のハンドル入力は回転トルクの大小に関係なく、回転速度、回転角度のみとなり、操縦者がハンドルを掴んで回動操作しているときに、モーターによる操舵機構へのトルクはハンドル回動軸に伝わらず、ハンドルを握っている操縦者に操舵機構からモーター駆動力が加わることがない。また、障害物などを乗り越えたときでも操舵機構がハンドル回動軸に繋がっていないので、障害物からのキックバックがハンドル回動軸に伝わることもない。したがって、ハンドルを握り締めたまま場合でも、通常の操舵操作を行い得るので、力の弱い老人などが操縦者となっているときに有効である。一方、操縦者のハンドルへの入力が強い場合でも、その操縦者による入力とは関係無くステアリングが自動的に操舵でき、障害物の回避等のステアリング制御が可能である。したがって、モーターのトルクを大きくする必要が無くなるので、ステアリングの構造を強固にする必要が無く、重量が重くならずコスト上昇を招くことが無い。
【0010】
本発明において、操舵機構は、左右前輪の操舵軸と、左右前輪間に回動可能に設けられモーターの駆動力により回動するステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトおよび左右前輪間に連結されて左右前輪の操舵方向をステアリングシャフトの回動に追従させるステアリングロッドとを有し、前記ハンドルの回動軸とステアリングシャフトの回動軸とが上下にほぼ同一線上に並ぶように配設されたので、従来のステアリング装置でステアリング軸が直線的に配設されているものに、容易に付け変えることができ、機構を簡単コンパクトに構成できる。
【0011】
なお、本発明において、ハンドルの回動軸には、ハンドルを操舵したときに反力を生じさせる弾性体を設けたことが好適である。ハンドル操舵においてハンドルが抵抗無く回転してしまえば、直線走行時に操縦者がしっかりとハンドルを固定しておかなければ中立位置に保持できず、面倒となるが、上記構造とすることより、弾性体の弾性力で操縦者に適度の反力を与えることができ、かつ、中立位置にはハンドルに加える力を解除すれば自動的に戻るので便利である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は実施形態に係る電動四輪車(電動車両)の操舵装置の説明図、図2は該電動四輪車の車体構造の全体説明図(前面部の籠は省略している)、図3は電動四輪車の側面図、図4は電動四輪車の平面図、図5は電動四輪車の車体前部の車体フレームおよびステアリング部の斜め後方から見た構造説明図、図6は同じく、斜め前方から見た構造説明図である。
【0014】
図2〜図4に示すように、実施形態の電動四輪車は、前輪10,10および後輪12,12が共に左右一対の二輪であって、車体は主に前部のフロントボディAと後部のリアボディBとからなる。リアボディBには、乗員が一人で単座シート14に着席して運転するものである。
【0015】
また、前記電動四輪車は、フロントボディAの構造として、図1に詳細に示すように該前輪10,10を車両左右または前方に指向させる操舵部(ステアリング部)Cを有する。該操舵部Cは、車体前部に回動可能に支持部に軸支されたハンドル回動軸60と、ステアリングモーター62の駆動力で前輪10,10の舵取り角度を変化させる操舵機構64がそれぞれ機械的に独立して車体のフロントボディAに設けられており、前記ハンドル回動軸60および前輪操舵機構64を覆う車体に固定された前カバー(フロントカバー)66とを有する。
【0016】
なお、前記操舵機構64には、後述するが、前記ハンドル回動軸60の回動角を検出するハンドル切れ角センサ78と、前記検出回動角に基づき操舵信号を出力するコントローラ80とを有して、コントローラ80は出力した操舵信号によりステアリングモーター62を駆動させて前輪10,10の舵取り角度を変化させるようになっているものである。
【0017】
さらに実施形態の電動四輪車を詳細に説明する。
【0018】
図2〜図4に示すように、電動四輪車の車体前部には、左右の前輪10,10のほぼ中央部かつ上方位置に前輪10,10操舵用のハンドル(ティラーハンドルタイプ)16が設けられている。このハンドル16の下方のフロントボディAを覆う前記前カバー66は、前輪10,10に挟まれた幅方向中央部は前輪よりも前方に突出して車体前端部を覆い、左右側部は前輪10,10を覆うフロントフェンダー(下部がタイヤハウスになる)20,20に繋がり、上部はフロントレッグシールド18が立設して一体に形成されているものである。
【0019】
また、前記フロントボディAの車体左右方向側部には、前記前輪10,10を覆って上方に突出するほぼ弧状のフロントフェンダー20,20がそれぞれ設けられており、前記フロントレッグシールド18の下部は左右のフロントフェンダー20,20の間に位置してかつ前部にはヘッドランプ21を収容するヘッドランプハウス21aが形成される。
【0020】
また、フロントレッグシールド18のフロントフェンダー20,20に隣接する下部左右には前方かつ内側に向けて抉り込み(18a)が形成されていて、フロントフェンダー20上部が広く解放されるようになっている。
【0021】
フロントボディAにおいてフロントレッグシールド18の後面側から後方の車体中央部には足載せ部である平坦なフロア22が形成されており、このフロア22はフロントフェンダー20,20の間の位置に前方に向けてフロントボディA後下部を抉り込んで(符号22aで示すフロア前部)広く形成されている。したがって、延設したフロア前部22aの面積の分だけフロア22が広くなり乗員はそのフロア前部22aに足先を入れることができる。なお、フロア22の側縁部はフロントフェンダー20、20から後方につらなって山脈状に上方に突出している部分22bが形成されている。
【0022】
前記フロントフェンダー20の上部であって、前記フロア前部20aの車体幅方向外側にほぼ位置して乗員が所望に応じて足を乗せるための足乗せ面部20fが形成されている。
【0023】
リアボディBはフロア22から後方に位置して、全体がほぼ矩形であり、前部にバッテリーとモーター駆動部(図示省略)を収納するケース構造体26になっている。ケース構造体26の前部には着脱可能にバッテリー収納部のカバー体26aが設けられ、かつ、該構造体26の後部の車体左右方向側部には、後輪12,12を覆うリアフェンダー28が突出しかつ滑らかに連続して設けられる。前記ケース構造体26上部には、乗員が腰を掛ける前記シート14が固定あるいは回動可能に取り付けられている。
【0024】
前記電動四輪車のフロントボディAおよびリアボディB内には車体への応力を支持するフレームが設けられる。このフレームにおいては、図4に示すように、車体前部には後開き概略πの字形状部のフロントフレーム32が、また、中央部には概略後開きUの字形状のメインフレーム34が設けられており、前記フロントフレーム32はπ字形の基端部分が前方に向きかつ両腕部分先端が後方に向いて、インフレーム34の前端部には溶接固定され、平面視で滑らかに繋がる状態になっている。さらに、メインフレーム34の後部には後方に向けて後輪12,12を支持するリアフレーム36が延びる。
【0025】
フロントフレーム32は、フロントボディA前部、前輪10,10、ハンドル回動軸60、フロントサスペンションなどを支持している。
【0026】
すなわち、フロントサスペンションとして、フロントフレーム32の前部と後部との下側面部は、左右サスペンションアーム68の基端部に二箇所ずつある揺動軸68aを揺動自在に軸支する。また、前記サスペンションアーム68は左右のそれぞれの基端部に前記のように揺動軸68aが2カ所づつあり先端部が一か所の二股形状(ウィッシュボーン形状)になっている。前記サスペンションアーム68の先端部には、前輪10,10を回動自在にかつ左右に揺動可能に軸支する前輪ブラケット68bが設けられる。また、前記サスペンションアーム68の上方にはフロントフレーム32の上部に溶着固定された概略逆L字形状のサスペンションブラケット70の上椀部が位置しており、サスペンショアーム68とサスぺンションブラケット70上腕部間にスプリングとダンパー等からなるクッションユニット72が連結されている。
【0027】
ここで、前輪の指向機構として、図1に示すように、前記操舵機構64下部のタイロッド連結プレート74に前記サスペンションアーム68先端部の前輪ブラケットをタイロッド(ステアリングプッシュロッド)76で連結しており、ステアリングモーター62の回転により、前記タイロッド連結プレート74が揺動するとタイロッド76を介して前輪ブラケットが前輪10,10を揺動させ走向方向を所望方向に指向させる。
【0028】
したがって、ハンドル16の操舵方向に応じて左右の前輪10,10を左右または前方に指向させることができ、乗員の所望方向に電動車両を向けることができる。
【0029】
実施形態では、前記のように前輪10,10及び後輪12,12をフレーム32,34とサスペンションユニットにより懸架し、乗員がシート14に着座した状態で前方のハンドル16を掴んで回動させ、この回動にしたがって前輪を操舵するようにした電動四輪車である。車体前部Aに回動可能に軸支されたハンドル回動軸60と、モーター62の駆動力で前輪の舵取り角度を変化させる操舵機構64がそれぞれ機械的に独立して車体に設けられている。
【0030】
詳細には、図1に示すように、操舵機構64は、左右前輪10,10のハンドル回動軸60と、左右前輪10,10間に回動可能に設けられモーター62の駆動力により回動するステアリングシャフト82と、該ステアリングシャフト82および左右前輪10,10間に連結されて左右前輪10,10の操舵方向をステアリングシャフト82の回動に追従させるタイロッド(ステアリングロッド)76とを有し、前記ハンドル16の回動軸60とステアリングシャフト82の回動軸とが上下にほぼ同一線上に並ぶように配設されたものにしている。
【0031】
前記フロントフレーム32には,上方向に延びるシャーシフレーム84が立設固定されており、このシャーシフレーム84の上部及び中央部には、前記ハンドル回動軸60をベアリング86cなどにより回動自在に軸支する上・下のハンドル軸受け86a・86bが固定され、一方、該シャーシフレーム84の下部にはステアリングシャフト82を回動自在に軸支するステアリング軸受け94a,94bが固定される。また、ハンドル回動軸60の上・下のハンドル軸受け86a・86bの間には前記ハンドル切れ角センサ78にハンドル回動角を入力するセンサギア90が設けられ、前記切れ角センサ78のピニオンをセンサギア90に噛合わせて、ハンドル回動軸60の回転角を前記ハンドル切れ角センサ78で検出するようになっており、前記ハンドル切れ角センサ78の検出信号はコントローラ80に出力される。一方、ハンドル回動軸60の下端部には、下端部がシャーシフレーム84にブラケット92aによって固定されたリターンスプリング92上端部が回転方向に固定され、ハンドル16の操舵に反力を加えてかつ中立位置に復帰できるように付勢している。
【0032】
前記シャーシフレーム84には、前記ブラケット92aの下方に位置して、前記ステアリングシャフト82を回動自在に軸支するボールベアリングからなる上下の軸受け94a、94bが固定される。そして、該上下の軸受け94a、94bの間に位置してステアリングシャフト82中央部には、ステアリングモーター62の駆動力を伝達するステアリングギア96とタイロッド連結プレート74が回転方向に固定される。また、ステアリングシャフト82の上端にはセンサギア98が固定され、このセンサギア98には、ステアリング切れ角センサ100のピニオンが噛合ってステアリングシャフト82の回動角すなわちステアリングの切れ角を検出しコントローラ80にその信号を入力する。
【0033】
以上の構成の実施形態の電動四輪車では、操縦者のハンドル16操作によりハンドル回動軸60が回転し、センサギア90を介して、ハンドル切れ角センサ78を作動させる。このハンドル切れ角センサ78の出力信号は、コントローラ80に送られ、コントローラ80はステアリングモーター62を作動させる。ステアリングモーター62は、ステアリングギア96を介してタイロッド(ステアリングプッシュロッド)76を作動させ、前輪10,10を操舵する。
【0034】
この場合の前輪10,10の操舵量はステアリングシャフト82に取り付けられたステアリングセンサギア98を介してステアリング切れ角センサ100により検出され、この検出信号をコントローラ80に送ることにより、フィードバック制御でハンドル切れ角センサ78の信号に見合った前輪10,10の操舵を行うことができる。
【0035】
ハンドル回動軸60は前記ハンドル軸受け86a、86bで回動自在に設置され、一方、ステアリングシャフト82はステアリング軸受け94a、94bで回動自在に設置されてハンドル回動軸60とステアリングシャフト82とは機械的に独立して作動することができる。
【0036】
また、ハンドル回動軸60の下端部には、リターンスプリング92上端が固定され、一方、リターンスプリング92の下端はブラケット92aを介してシャーシフレーム84に固定されている。前記リターンスプリング92によりハンドル回動軸60の回転方向とは逆のトルクが発生し、操縦者はハンドル16を回動させるときに空回りする感覚ではなく適度の抵抗をもった操舵力を与えることができ、かつハンドル16に力を入れなければ中立位置に自然に戻すことが可能になる。
【0037】
実施形態によれば、車体前部に回動可能に軸支されたハンドル回動軸60と、ステアリングモーター62の駆動力で前輪10、10の舵取り角度を変化させる操舵機構64をそれぞれ機械的に独立して車体に設け、検出したハンドル回動軸60の回動角に基づきコントローラ80より操舵信号を出力して前輪10、10の舵取り角度を変化させるので、操縦者のハンドル入力は回転トルクの大小に関係なく、回転速度、回転角度のみとなり、操縦者がハンドルを掴んで回動操作しているときに、ステアリングモーター62による操舵機構64へのトルクはハンドル回動軸60に伝わらず、ステアリングを握っている操縦者に操舵機構64からモーター駆動力が加わることがない。また、障害物などを乗り越えたときでも操舵機構64とハンドル回動軸60が繋がっていないのでキックバックがハンドル回動軸60に伝わることもなく、ハンドル16を握り締めたまま場合でも、通常の操舵操作を行い得るので、力の弱い老人などが操縦者となっているときに有効である。また、操縦者のハンドル16への入力が強い場合でも、その操縦者による入力とは関係無くステアリングが自動的に操舵でき、車両の各所に備えた障害物用センサー(図示省略)の検出信号の出力に基づいて障害物の自動回避等のステアリング制御が可能である。したがって、モーター62のトルクを大きくする必要が無くなるので、ステアリングの構造を強固にする必要が無く、重量が重くならずコスト上昇を招くことが無い。
【0038】
実施形態において、操舵機構64は、ハンドル回動軸60とステアリングシャフト82の回動軸とが上下にほぼ同一線上に並ぶように配設されたものにするので、従来のステアリング装置でステアリング軸が直線的に配設されているものに対して、容易に付け変えることができる。
【0039】
また、ハンドル回動軸60には、ハンドル16を操舵したときに反力を生じさせるリターンスプリング92を設けたことが好適である。ハンドル16操舵においてハンドル16が抵抗無く回転してしまえば、直線走行時に操縦者がしっかりとハンドル16を固定しておかなければ中立位置に保持できず、面倒であるが、弾性体の弾性力で操縦者へハンドル操作時に適度の反力を与えることができ、かつ中立位置にはハンドルに加える力を解除すれば自動的に戻るので、例えば、旋回走行から直進走行に戻るためにハンドルと中立位置に戻す場合等にハンドルを左右に操作して中立位置を探す必要がないので操縦に不慣れな操縦者でも容易に操縦することができる。
【0040】
前記実施形態では電動車両として電動四輪車を例示した、その他、電動三輪車など種々の電動車両で本発明は、実施可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、上述したように車体前部に回動可能に軸支されたハンドル回動軸と、モーターの駆動力で前輪の舵取り角度を変化させる操舵機構をそれぞれ機械的に独立して車体に設け、検出したハンドル回動軸の回動角に基づきコントローラ部より操舵信号を出力して前輪の舵取り角度を変化させる構成を備えているため、操縦者のハンドル入力は回転トルクの大小に関係なく、回転速度、回転角度のみとなり、操縦者がハンドルを掴んで回動操作しているときに、モーターによる操舵機構へのトルクはハンドル回動軸に伝わらず、ステアリングを握っている操縦者に操舵機構からモーター駆動力が加わることがない。
また、障害物などを乗り越えたときでも操舵機構とハンドル回動軸がつながっていないのでキックバックがハンドル回動軸に伝わることもなく、ハンドルを握り締めたままでも、通常の操舵操作を行い得るので、力の弱い老人などが操縦者となっているときに有効である。
【0042】
また、操縦者のハンドルへの入力が強い場合でも、その操縦者による入力とは関係無くステアリングが自動的に操舵でき、障害物の回避等のステアリング制御が可能である。したがって、モーターのトルクを大きくする必要が無くなるので、ステアリングの構造を強固にする必要が無く、重量が重くならずコスト上昇を招くことが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電動四輪車(電動車両)の操舵装置の説明図である。
【図2】前記電動四輪車の車体構造の全体説明図である。
【図3】前記電動四輪車の側面図である。
【図4】電動四輪車の平面図である。
【図5】電動四輪車の車体前部のカバーを外した状態においての、車体フレームおよびステアリング部の斜め後方から見た構造説明図である。
【図6】同じく、前記車体フレームとステアリング部を前方から見た構造説明図である。
【符号の説明】
10 前輪
12 後輪
16 ハンドル
32 メインフレーム
34 フロントフレーム
60 ハンドル回動軸
62 ステアリングモーター
64 ハンドル操舵機構
78 ハンドル切れ角センサ
80 コントローラ
82 ステアリングシャフト
90 ハンドル回動軸のセンサギア
92 リターンスプリング
96 ステアリングギア
98 ステアリングシャフトのセンサギア
100 スタアリングシャフトの切れ角センサ

Claims (3)

  1. 前輪及び後輪をフレームに懸架し、乗員が一人で単座シートに着座した状態で前方のハンドルを掴んで回動させ、この回動にしたがって左右の前輪を操舵するようにした電動車両において、
    車体前部の後ろ開き概略π字形状のフロントフレームには上方向にシャーシフレームが立設され、このシャーシフレームに回動可能に軸支されたハンドル回動軸と、モーターの駆動力で前輪の舵取り角度を変化させる操舵機構がそれぞれ機械的に独立して車体に設けられており、
    前記ハンドル回動軸の回動角を検出する手段と、前記検出回動角に基づき操舵信号を出力するコントローラ部とを有し、出力された操舵信号によりモーターを駆動させて前輪の舵取り角度を変化させる一方、
    前記操舵機構は、左右前輪間に回動可能に設けられ、モーターの駆動力により回動するステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトおよび左右前輪間に連結されて左右前輪の操舵方向をステアリングシャフトの回動に追従させるステアリングロッドとを有し、
    前記ハンドルの回動軸とステアリングシャフトの回動軸とが上下にほぼ同一線状に並ぶように配設されると共に、前記操舵機構のステアリングシャフトを回動させるモーターを前記フロントフレームの内側であって上記ハンドル回動軸より前方に配設したことを特徴とする電動車両。
  2. 前記ステアリングシャフトを前記シャーシフレームに固定される上下の軸受けで軸支すると共に、上側の軸受けより上側のステアリングシャフトの上端にステアリングの切れ角を検出するためのセンサギヤを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
  3. 前記ハンドルを操舵したときに反力を生じさせる弾性体を、ハンドルの回動軸の下端、かつ、前記センサギヤの上方に設けたことを特徴とする請求項に記載の電動車両。
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