JPH026392Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、時計体と振り子とを一体的に構成し
て、磁力を駆動源として総体振動を行う総体振り
時計の改良に関する。

（従来技術） 従来、この種総体振り時計は、先端にマグネツ
トを設けるバランサを揺動可能に時計体に取り付
け、その時計体内には前記バランサのマグネツト
の揺動軌跡線上に適宜極性に励磁可能な駆動コイ
ルを配設して構成するものが知られている。そし
て、その総体振動にあたつては、たとえばバラン
サが揺動してマグネツトおよび駆動コイルの磁極
が重合したとき、それら磁極相互の吸引・反発に
よりバランサを一方向に揺動させ、その反動によ
つて時計全体の重心移動をさせて時計全体を反対
方向に揺動させ、これにより総体振りを行うよう
にしてある。

しかし、このような従来の総体振り時計では、
総体振動にあたつて磁力を駆動源とすることか
ら、その磁力によるバランサに対する吸引力ない
し反発力が微妙に影響して自由振動ないし小きざ
みな振動を生じ、バランサがそのバランスを失つ
てスムーズな時計全体の重心の移動がなされず、
安定した総体振動が得られない欠点があつた。

（考案の目的） したがつて、本考案は、総体振り時計におい
て、磁力を駆動源として総体振動させるにあたつ
ても、簡易な構成の下にバランサの不要な振動の
発生を防止して、安定した時計の総体振動を得る
ことを目的とする。

（考案の構成） この目的を達成するため、本考案は、先端にマ
グネツトを設けるバランサを時計体に揺動自在に
取り付け、その時計体内にあつて、前記バランサ
のマグネツトの揺動軌跡線上に適宜極性に励磁可
能な駆動コイルを取り付け、前記バランサが揺動
してそのマグネツトおよび前記駆動コイルの磁極
が重合したとき、それら磁極相互の吸引・反発に
よつて前記バランサを一方向に揺動させ、その反
動によつて時計全体を反対方向に揺動させて総体
振動を行う総体振り時計において、前記バランサ
の揺動角度を規制するストツパと、前記バランサ
のマグネツトの両側でそれぞれ該マグネツトを吸
引可能な極性の磁性体からなる制御板とを前記時
計体に取り付けてなることを特徴とする。

（実施例） 以下、図面に示す本考案の一実施例に基づいて
本考案を詳細に説明する。

第１図は、本考案の総体振り時計の一実施例と
しての総体振り機構の概略正面図である。図中符
号２は時計全体を示す。符号４は時計体であり、
該時計体４に振り子６が一体的に組み付けられ
る。時計体４は、その下端に突設された突起８が
支持台（図示省略）のアーム１０上面に形成され
た支持溝１２上に載せられ、総体振り動作可能な
状態で保持される。

時計体４には、逆Ｔ字型のバランサ１４が支持
軸１４ａを支点として上端を揺動自在に取り付け
られる。このバランサ１４は、図示の如く静止状
態において中心線Ｙ−Ｙ線上に位置決められる。
そして、バランサ１４は、その下端に図中左右そ
れぞれにＮ極・Ｓ極をもつマグネツト１６（第１
図中破線で示す）が固着される。

他方、時計体４は、その内部にあつてバランサ
１４のマグネツト１６の揺動軌跡線上に駆動コイ
ル１８が組み込まれる。この駆動コイルは、その
内側に他の検出コイル（図示省略）が設けてあ
り、これらが一体に構成されている。そして、こ
れらコイルは別途駆動回路に接続される。したが
つて、駆動コイル１８は、後述の如くバランサ１
４が揺動してマグネツト１６が検出コイル上を通
過すると、これを検知してその信号をいつたん駆
動回路に送つて後、該駆動回路を介して今度は駆
動コイル１８に電流が流れ、通過するマグネツト
１６の極性に応じてこれに反発する極性に磁化さ
れるように構成されている。

さらにここで、時計体４には、第１図に示す如
く、バランサ１４のマグネツト１６の両側を挾ん
で一対の制御板２０，２２が取り付けられる。こ
の制御板２０，２２は磁性体からなる。各制御板
は、バランサ１４のマグネツト１６の極性に対応
して吸引し合う極性にて形成される。すなわち、
図示の例では図中左側の制御板２０がＳ極に、右
側の制御板２２がＮ極に設定されている。これに
よつて、後述する如く、バランサ１４の揺動時に
マグネツト１６が制御板２０又は２２に近接した
位置にくると、適宜強さの吸引力をマグネツト１
６に及ぼして、バランサ１４の自由振動や微振動
等の不要な振動の発生を防止することができる。

そしてさらに、時計体４には、第１図に示すよ
うに、バランサ１４の支持アーム部１４ｂを間に
挾んで一対のストツパ２４，２６が取り付けられ
る。該ストツパは、バランサ１４の揺動によつて
マグネツト１６が制御板２０又は２２に近接して
も吸着されない範囲にバランサ１４の揺動角度を
規制しうるように設置される。このようにストツ
パ２４，２６は、バランサ１４の揺動角度を調整
して、制御板２０，２２がマグネツト１６を吸着
してしまうのを防止する。

次に、本考案に係る総体振り時計の揺動動作を
第２図および第３図に基づいて説明する。

まず、第２図に示すように、振り子６が矢印Ａ
方向に移動すると、マグネツト１６によつて前記
検出コイルから前記駆動回路に信号が送られて
後、その駆動回路を介して駆動コイル１８に電流
が流れ、駆動コイル１８上を通過するマグネツト
１６の磁性に反発するＮ極が駆動コイル１８に励
磁される。したがつて、マグネツト１６が反発し
てバランサ１４は、第２図ｂ方向に揺動する。こ
れによつて、図示の如く時計全体は重心位置が移
動するため、振り子６はバランサ１４と反対方向
たるＡ方向へ揺動する。さらに、第３図に示す如
く、今度はバランサ１４がａ方向に揺動して駆動
コイル１８上をマグネツト１６が通過すると、前
記したと同様に駆動コイル１８の磁極がマグネツ
ト１６の磁性と反発するＳ極に励磁される。する
とバランサ１４はさらにａ方向に揺動し、その反
動によつて時計全体の重心位置が移動して振り子
６がＢ方向に揺動することとなる。そして、特
に、バランサ１４がａ，ｂ各方向に揺動し、マグ
ネツト１６が制御板２０，２２に近接するとき
は、前述した如くこの制御板からマグネツト１６
に向けて吸引力が吸ぼされており、これにより、
バランサ１４の不要な振動が解消されて、バラン
サ１４はスムーズにかつバランスよく揺動してい
る。そして、以後一定周期でこの揺動運動が繰り
返され、時計全体の安定した総体振動が持続され
ることとなる。

前記した実施例では、駆動源としての磁力に反
発力を用いたが、マグネツトの固着変更により磁
力の吸引力を利用する構成にあつても本考案は容
易に適用される。また、前記実施例では駆動コイ
ル１個によつて構成したが、本考案はバランサの
揺動をスムーズにする限り、設置される駆動コイ
ルの個数に関係なく広く適用されるのは勿論であ
る。

（考案の効果） 本考案によれば、磁力を駆動源として総体振動
を行う総体振り時計において、時計体に磁性体か
らなる制御板を設けて、バランサの揺動に際して
吸引力を作用させるから、バランサの自由振動や
微振動等の不要な振動の発生を防いで、時計全体
の極めて安定した総体振動を得ることができる。
しかも、この安定した総体振動を得るにあたつ
て、何ら複雑な構造を用いることなく、極めて簡
易な構造の下に実現しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の総体振り時計における総体振
り機構を説明する正面図。第２図および第３図は
それぞれ総体振り動作を説明する動作説明図。 ２……時刻全体、４……時計体、６……振り
子、１４……バランサ、１６……マグネツト、１
８……駆動コイル、２０，２２……制御板、２
４，２６……ストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端にマグネツトを設けるバランサを時計体に
   揺動自在に取り付けると共に、その時計体内にあ
   つて、前記バランサのマグネツトの揺動軌跡線上
   に適宜極性に励磁可能な駆動コイルを取り付け、
   前記バランサが揺動してマグネツトおよび前記駆
   動コイルの磁極が重合したとき、それら磁極相互
   の吸引・反発によつて前記バランサを一方向に揺
   動させ、その反動によつて時計全体が反対方向に
   揺動して総体振動を行う総体振り時計において、
   前記バランサの揺動角度を規制するストツパと、
   前記バランサのマグネツトの両側でそれぞれ該マ
   グネツトを吸引可能な極性の磁性体からなる制御
   板とを前記時計体に取り付けてなる総体振り時
   計。