JPH0259639B2 - - Google Patents

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JPH0259639B2
JPH0259639B2 JP58194379A JP19437983A JPH0259639B2 JP H0259639 B2 JPH0259639 B2 JP H0259639B2 JP 58194379 A JP58194379 A JP 58194379A JP 19437983 A JP19437983 A JP 19437983A JP H0259639 B2 JPH0259639 B2 JP H0259639B2
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Koji Nakatsugawa
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Furukawa Circuit Foil Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔発明の技術分野〕 本発明は印刷回路用銅箔とその製造方法に関
し、更に詳しくは、銅箔と樹脂基板の間にしみの
発生がなく、加熱前後で接着力が強く維持され、
しかもエツチング時にエツチング残やアンダーカ
ツトを起すことのない印刷回路用銅箔とその製造
方法に関する。 〔発明の技術的背景とその問題点〕 印刷回路はラジオ、テレビジヨン、電算機、電
話交換器などの各種電気機器の回路として広く用
いられているが、最近、この分野における著しい
技術上の進歩に伴つて印刷回路板に要求される品
質がますます高度化してきている。 現在、印刷回路としては、銅張積層板が広く用
いられているが、これには次のような問題があ
る。すなわち、まず、銅箔と樹脂基板との接合面
にしばしば褐色の“しみ”が発生して、これが回
路板の外観を損なうのみならず、基板樹脂の誘電
特性に悪影響を及ぼすということである。そし
て、銅箔をエツチング除去した時点では上記しみ
が認められない場合でも、回路板が加工工程に空
気中で加熱されると上記しみが生成してくること
がある。最近、このような僅かな褐色のしみであ
つても嫌悪されている。しかも、上記した加熱処
理時には、銅箔と基板樹脂との接着力低下の現象
が認められ、このことも実用上の問題点の1つに
なつている。 このような褐色のしみ又は接着力の低下の原
因、機構は完全に解明されていないが、主とし
て、銅箔と基板樹脂との間の化学反応に基づくも
のと考えられている。 これらの問題を解決するために、現在まで、以
下のような方法が対策として提案されている。 まず、英国特許第1211494号明細書及びそれに
対応する特公昭53−43555号公報では、銅箔の樹
脂基板との接合予定面(以下、銅箔の被接合面と
いう)に、ニツケル、コバルト、クロム又はステ
ンレススチールを0.2〜1.0g/m2鍍金して薄い層
を形成する方法が開示されている。 また、特公昭51−35711号公報では、銅箔の被
接合面に、インジウム、亜鉛、スズ、ニツケル、
コバルト、銅−亜鉛合金又は銅−スズ合金を
10.16×10-8cm(4マイクロインチ)以上の厚み
で電着する方法が開示されている。 特公昭53−39376号公報では、銅箔の被接合面
に、亜鉛、真ちゆう、ニツケル、コバルト、クロ
ム、カドミウム、スズ又は青銅を鍍金する方法が
開示されている。 更に特公昭49−16863号公報では、銅箔の被接
合面に、銅より卑な金属、例えばアルミニウム、
クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニツケル、亜
鉛、カドミウム、スズ、鉛、インジウム又はそれ
らの銅合金若しくは他の合金、例えば銅−亜鉛、
銅−カドミウム、銅−スズ、スズ−亜鉛の層を形
成する方法が開示されている。 これら先行技術において、銅箔の被接合面に形
成される層は、いずれも銅箔と基板樹脂との間の
化学反応を抑制するためのものである。 しかしながら、これらの層は単に上記した機能
だけを有するものでは実用に供することはできな
い。すなわち、所望の回路形成にあつては銅箔の
エツチング除去工程が不可欠であるが、その際、
該層は銅箔と一緒に除去されることが必要であ
る。また、該層が銅箔よりもエツチングが速くて
いわゆるアンダーカツトを起こすようでは好まし
くなく、更には回路板の製造工程における各種の
薬品処理時に侵蝕されて印刷回路を剥落させるよ
うではいけないからである。 このような点から考えると、上記した金属又は
合金のうち、ニツケル、スズ、コバルト、銅−ス
ズ合金などは、常用されるエツチング液の1つで
ある過硫酸アンモニウム溶液ではエツチングされ
ないか又はエツチングが困難である。最近では、
一層エツチング力の弱いアルカリエツチング液が
多用され始めていることからして上記のものは実
用的ではない。 一方、亜鉛の層の場合には、過硫酸アンモニウ
ム溶液や塩化第二銅溶液を用いたエツチング時に
アンダーカツトが起り、また、回路板の製造工程
における塩酸含有溶液での処理時に同じくアンダ
ーカツトが起るという問題がある。このことは、
回路幅がますます狭くなるという最近の傾向の中
では致命的な欠点である。 更に、真ちゆうの層の場合には、その層形成
(鍍金)時、現在青化物浴を用いる以外には実用
的な方法がないので、作業環境悪化、公害問題な
どを引起す危険性があつて好ましくない。 さて、前記したニツケル層の形成において、該
ニツケル層が過硫酸アンモニウム溶液によつても
エツチングできるようにする方法が提案されてい
る。例えば、英国特許公開第2010910Aでは、ニ
ツケル層にイオウを0.05〜10.0重量%含有させる
ことにより、銅箔とニツケル層とが同じエツチン
グ液でエツチングできる旨開示されている。しか
しながら、発明者の追試によれば、上記ニツケル
層では過硫酸アンモニウム溶液を用いた場合のエ
ツチング性は充分改善されておらず、また、塩化
第二銅溶液によるエツチング性はかえつて損われ
るものであつた。 また、特開昭56−155592号公報では電気鍍金リ
ン含有ニツケル層が、特開昭56−155593号公報で
は表面をクロム酸含有溶液中で陰極電解処理した
電気鍍金ニツケル層が提案されている。 これらの層は、褐色のしみの発生、銅箔−基板
樹脂間の接着力低下を抑制し、かつ、過硫酸アン
モニウム溶液でエツチングしたとき銅箔と略同じ
速さでエツチングされるが、しかし、未だ次のよ
うな問題を有している。 すなわち、これらニツケル層がその効果を発揮
する充分な厚みにおいては、最近多用されている
アルカリエツチング液を用いた場合、そのエツチ
ング除去の速さが充分に大きくなく、また、銅箔
エツチング後の樹脂基板の表面は一応清浄である
が、しかし、その表面は加熱保持すると変色する
程に僅少な汚れを残しているということである。
したがつて、この改善は強く望まれているところ
である。 さて、印刷回路用の銅箔には樹脂基板への積層
との関係から大きくいつて2種類ある。その1つ
は、銅張積層板の最外層に用いられるものであ
り、他のものは、多層板の内部に用いられるもの
である。前者においては、銅箔の片面のみが被接
合面であり、他の面は完成した印刷回路板の表面
に露出する面でここに後工程でエツチングレジス
ト、半田レジストインクの印刷、半田付処理など
が行なわれる。後者においては、銅箔の両面が被
接合面である。そして、従来の印刷回路用銅箔
は、樹脂基板に積層する際に行なう加熱処理によ
り、回路パターンを形成する銅箔の所謂非処理面
が酸化変色し、そのままでは外観が悪いだけでな
く研摩処理を施さないとレジストインク類の密着
性や半田濡れ性が悪い等の欠点があつた。また、
酸化変色しない場合でも、最近の高速半田付けに
おいては、半田濡れ性が不充分であるなどの欠点
が指摘されていた。したがつて、銅箔表面に他の
金属層を形成するような処理を施す場合には、得
られた層が銅箔非処理面の外観、レジストインク
類の密着性、半田濡れ性等の所要特性を損うもの
であつてはならず、むしろ改善するものであるこ
とが望まれていた。 〔発明の目的〕 本発明は、上記した各問題点を解消し、被接合
面ではエツチング残の発生がなく基板樹脂との間
にしみを発生することがなく、加熱処理前後にお
いて樹脂基板との接着力低下を起さず、しかもア
ンダーカツトを起さず、また非処理面では積層時
に酸化変色せず、半田濡れ性にも優れ、しかも防
錆力もある印刷回路用の銅箔とその製造方法の提
供を目的とする。 〔発明の概要〕 本発明の印刷回路用銅箔は、少なくとも樹脂基
板と接合させる銅箔表面に金属質薄層が形成され
ている印刷回路用銅箔において、該薄層がリン含
有ニツケル層を有し、かつ、該薄層の表面にはク
ロメート処理が施されていることを特徴とし、そ
の製造方法は、少なくとも樹脂基板と接合させる
銅箔表面に、少なくともリン含有ニツケル層を有
する金属質薄層を形成し、ついで該薄層の表面に
クロメート処理を施すことを特徴とする。 以下に本発明を詳細に説明する。 まず用いる銅箔としては、通常、印刷回路用銅
箔として用いられるものであればいかなるもので
あつてもよく、例えば電解銅箔、圧延銅箔等が挙
げられ、また仮基体をもつた極薄銅箔であつても
よい。なお、銅箔表面の接着性を向上させるため
に、例えば、酸洗いエツチングのような粗面化処
理、または、米国特許第3220897号明細書に記載
の電着的粗面化処理、米国特許第3293109号明細
書に記載の電着的粗面化処理など、を施したもの
であつてもよい。 この銅箔の被接合面には、リン含有ニツケル層
を有する金属質の薄層が形成され、この薄層の表
面、すなわち、樹脂基板と直接接合する表面には
後述するクロメート処理が施される。 薄層としては、リン含有ニツケル層それ自
体、例えば、亜鉛とリン含有ニツケルとの合金
のように、亜鉛と共存するリン含有ニツケルの
層、リン含有ニツケル層と亜鉛層とから成る複
合層のいずれかである。の態様においては、リ
ン含有ニツケル層と亜鉛層との順序は格別限定さ
れない。とくに、リン含有ニツケル層の上に亜鉛
層を積層した複合層は効果が大きいので有用であ
る。 この薄層、とりわけリン含有ニツケル層は接合
面におけるしみの発生、接着力低下を抑制し、ア
ンダーカツトを阻止するために有効な層である
が、その表面に後述するクロメート処理を施すと
効果は一層顕著になり、また銅箔エツチング除去
後の樹脂基板を空気中で加熱しても変色するとい
う現象は起らなくなる。 更には、このリン含有ニツケル層の上に亜鉛層
を形成して複合層とし、この亜鉛層の表面にクロ
メート処理を施すと、加熱時における銅箔と樹脂
基板との間の接着力低下が一層顕著に抑制される
ので好ましい。 銅箔の他の表面、すなわち、樹脂基板と接合す
ることはなく印刷回路板の露出面となる表面に
は、上記したような薄層を形成してもよいが、該
薄層を形成することなく単に亜鉛層を形成し該亜
鉛層の表面をクロメート処理してもよい。 このような上記したリン含有ニツケル層の厚み
は0.001〜0.03μmであることが好ましく、更に
は、0.002〜0.015μmであることが好ましい。厚
みが0.001μm未満になると上記したような効果が
発揮されず、また、0.03μmを超えてもそれは特
性的な面からいえば不必要な厚みであるのみなら
ず、銅箔の純銅分、電気伝導度を低下させるとと
もに、該層の形成時に工業的には不経済となり、
しかもエツチング力の弱いアルカリエツチング液
でエツチングする際にその処理時間を徒らに長く
するので好ましくない。 また、リン含有ニツケル層において、含有され
るリンはアルカリエツチング液のような弱いエツ
チング液を用いても該層を容易にエツチング除去
するために有効でかつ接着力低下を抑制する成分
である。このリン成分は、該層内に均一に分散し
て含有されていることが必要であるが、その含有
量はニツケル成分に対し0.02〜25重量%であるこ
とが好ましく、とくに0.05〜10重量%であること
が好ましい。リン含有量が0.02重量%未満の場合
には、この層が容易かつ完全にエツチング除去さ
れるという効果が減少し、また25重量%を超えて
もそれは特性上不必要であるのみならず、不経済
であり、しかもこの層を電気鍍金法で形成すると
きに適用する電流密度が著しく低下するという不
利益を生ずる。 このリン含有ニツケル層は、銅箔の被接合面
に、電気鍍金法を適用して形成されることが好ま
しい。いわゆる化学鍍金法でも形成できるが、そ
の場合に形成された層にはアルカリエツチング液
のようにエツチング力の弱いエツチング液を用い
たエツチング除去が困難なものもあるからであ
る。 電気鍍金法におけるニツケル鍍金浴としては、
例えば現在工業的に使用されている硫酸ニツケル
を主成分とするものの外、塩化物浴、スルフアミ
ン酸浴などを用いた通常のニツケル鍍金液に、例
えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸二ナトリウ
ム、リンタングステン酸ナトリウム、メタリン酸
ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸ニツケ
ル、亜リン酸ニツケルのようなリン化合物を溶解
して建浴したものが用いられる。また、鍍金時の
条件、例えば浴温、電流密度などは通常のニツケ
ル電鍍法のそれでよく格別限定されるものではな
い。 本発明の銅箔は、上記したリン含有ニツケル層
に後述するクロメート処理を施してもよいが、そ
の前に該リン含有ニツケル層の上に亜鉛層を形成
し更にこの亜鉛層表面にクロメート処理を施した
ものが好ましい。 この亜鉛層の形成は、亜鉛含有溶液中への浸漬
又は亜鉛電鍍法を適用して行なえばよい。電鍍法
を適用する場合、電鍍浴としては、アルカリ浴、
酸性浴のいずれを用いてもよいが、添加剤なしの
単純組成で、安価、毒性の少ない浴から良好な亜
鉛層を形成できるということからして、アルカリ
浴が好ましい。もち論、光沢剤などの各種添加剤
を加えてもよい。浴温は通常、室温でよいが、加
熱下で行なつてもよい。電鍍時には既に形成され
ているリン含有ニツケル層を陰極とする。このと
きの電流密度は0.1〜10A/dm2程度でよい。こ
の電鍍時には、使用する全電流量はあまり大きく
ないので短時間の通電よりも比較的小さい電流で
数秒間通電することが好ましい。この場合、電流
密度は0.1〜1A/dm2程度がよい。単なる浸漬処
理の場合には浸漬の時間は数秒〜数十秒程度でよ
く、それも処理装置の他の工程との関係から適宜
選定すればよい。 リン含有ニツケル層の表面に形成される亜鉛層
の場合には、その厚みが0.0006〜0.015μmである
ことが好ましい。0.0006μm未満では亜鉛層形成
の効果が発揮されず、また、0.015μmを超える
と、銅箔−樹脂基板間の接着力が塩酸浸漬時に低
下し、更には銅箔エツチング除去後の樹脂基板の
表面が空気加熱時に変色する場合がある。 上記した亜鉛層厚みは、銅箔の被接合面に形成
する亜鉛層の厚みであるが、銅箔の被接合面では
ない面、すなわち、回路印刷板の露出面に形成す
る亜鉛層の場合、その厚みは0.0005〜0.003μm程
度であることが好ましい。厚みが0.0005μm未満
の場合には樹脂基板との積層時に酸化変色が起り
易くなる。また、0.003μmを超えると、亜鉛鍍金
による着色が肉眼でも観察されて外観を悪くし、
更には積層後半田濡れ性も悪くなつて好ましくな
い。 本発明にあつては、銅箔の被接合面、非処理面
(印刷回路板の露出面を構成する面)を問わず、
そこに形成されている薄層の最外表面にクロメー
ト処理を施す。 クロメート処理の方法としては、該薄層を形成
した銅箔を、クロメート処理液中に浸漬する方
法、銅箔を陰極として電解する方法のいずれであ
つてもよい。被接合面に対してはとくに、後者の
方法が好ましい。 この陰極電解クロメート処理は、通常の金属ク
ロム、黒色金属クロムなどを電鍍する方法ではな
く、「金属表面技術」23巻、9号、1972年、525頁
や同15巻、8号、1964年、303頁に記載されてい
るように、希薄なクロム酸又は重クロム酸の水溶
液中で陰極電解するという方法であつて、被処理
面にクロムの酸化物又は水和酸化物を析出させる
というものである。 本発明で用いるクロム酸処理液とは、クロム酸
単独の水溶液の外、クロム酸のアルカリ金属塩又
はアンモニウム塩の水溶液である。該処理液の濃
度は、クロム酸(CrO3)に換算して0.3〜20g/
であることが好ましく、とくに、0.8〜12g/
であることが好ましい。濃度が0.3g/未満
の場合には、クロメート処理の効果が充分に達成
されず銅箔エツチング除去後の空気中加熱時にし
みの発生することがある。また、20g/を超え
ると、取扱い、排水処理などの点で不都合を生じ
る。 処理液は酸性、アルカリ性のいずれであつても
よいが、酸性の場合にはアルカリ性の場合に比べ
て、処理後の表面皮膜(クロメート皮膜)は耐食
効果に優れ、樹脂基板との接合性を良好にし、銅
箔エツチング除去後の空気中加熱時の変色を抑制
するという効果が得られるが、しかし、一方では
半田濡れ性の低下、エツチング速度が遅くなると
いう不都合な問題も生ずる。 陰極電解処理時の電流密度は0.2〜20A/dm2
好ましくは1〜10A/dm2であり、処理時間は1
〜60秒、好ましくは1〜20秒である。また、浴温
は常温であつてもよいし60℃程度の温度であつて
もよい。電解処理時、その電流が小電流であるこ
とが好ましく、電流値を大きくすると強固なクロ
メート皮膜を形成することができて防錆効果は向
上するものの、一方では、該皮膜が堅牢でありす
ぎてエツチング除去に長い時間を必要とし、ま
た、活性度の高い半田フラツクスを用いなければ
充分な半田づけができないなどの問題を招く。 〔発明の実施例〕 実施例 1 硫酸ニツケル六水塩240g/、塩化ニツケル
六水塩45g/、ホウ酸30g/、次亜リン酸ナ
トリウム5g/のニツケル鍍金浴を建浴した。
浴温は50℃に保持した。この電解浴を用い、厚み
35μmの電解銅箔の被接合面に電流密度1A/dm2
で2秒間電鍍処理を施した。なお、このとき、銅
箔の他の面(非処理面)には電流を流さず、単な
る浸漬処理と等しい状態にした。 約6重量%のリンを含有するニツケル層が形成
された。該層の外観は無光沢で灰色がかつた鮭肉
色であり、また見掛け面積当りのニツケル電着量
は厚み0.007μmに相当する量であつた。 つぎに、上記銅箔を水洗し、このリン含有ニツ
ケル層の上に、硫酸亜鉛七水塩24g/、水酸化
ナトリウム85g/の電解液を用いて室温で電流
密度0.4A/dm2で2秒間電鍍処理を施した。同
時に、他の面、すなわち銅箔の非処理面に電流密
度0.4A/dm2で3秒間電鍍処理を施した。 リン含有ニツケル層上の見掛け面積当りの亜鉛
電着量は厚み0.002μmに相当する量であり、また
銅箔の他の面における亜鉛電着量は厚み0.003μm
に相当する量であつた。また全体の外観はやや灰
色が増したという程度でありほとんど変化はなか
つた。 ついで全体を水洗し、全体を浴温55℃、3g/
のクロム酸水溶液に浸漬した。銅箔の被接合面
側を陰極とし電流密度3A/dm2で5秒間電解処
理した。また、銅箔の他の面(亜鉛層のみが形成
されている面)には電流を流さず約6秒間の単な
る浸漬処理と等しい状態にした。 両面とも外観変化は認められず亜鉛の溶解もほ
とんど観察されなかつた。 実施例 2 ニツケル鍍金浴が、硫酸ニツケル六水塩284
g/、ホウ酸30g/、次亜リン酸ナトリウム
1g/であつたこと、浴温は常温であつたこ
と、銅箔の被接合面側には亜鉛層形成のための処
理を全く行なわなかつたこと、を除いては実施例
1と同様の処理を施した。リン含有ニツケル層中
のリン含有量は約1重量%であつた。 実施例 3 クロム酸水溶液の温度が常温であつたこと、亜
鉛層形成時の浸漬時間が10秒であつたことを除い
ては実施例1と同様の処理を施こした。 実施例 4 ニツケル鍍金液が、硫酸ニツケル六水塩284
g/、ホウ酸30g/、次亜リン酸ナトリウム
15g/で、かつ、硫酸を加えてPH2.5にした浴
であつたこと、この浴温は室温であつたこと、1
g/のクロム酸水溶液を用いたことを除いては
実施例1と同様の処理を行なつた。なお、リン含
有ニツケル層中のリン含有量は約7重量%であつ
た。 実施例 5 クロム酸水溶液が無水クロム酸3g/の水溶
液で苛性ソーダを加えてPH13に調整したものであ
つたこと、その液温は室温であつたこと、亜鉛層
形成時の浸漬時間が10秒であつたことを除いて
は、実施例1と同様の処理を行なつた。 比較例 1 ニツケル鍍金液が次亜リン酸ナトリウムを含ま
ない液であつたことを除いては実施例1と同様の
処理を行なつた。 比較例 2 亜鉛層の形成処理及びクロメート処理を施さな
かつたことを除いては実施例1と同様の処理を行
なつた。 比較例 3 リン含有ニツケル層を形成しなかつたこと、亜
鉛層を形成しなかつたことを除いては実施例1と
同様の処理を行なつた。 比較例 4 リン含有ニツケル層を形成しなかつたこと、ク
ロメート処理を施さなかつたことを除いては実施
例1と同様の処理を行なつた。 比較例 5 クロメート処理を施さなかつたこと、を除いて
は実施例1と同様の処理を行なつた。 比較例 6 リン含有ニツケル層を形成しなかつたことを除
いては実施例1と同様の処理を行なつた。 以上11種類の銅箔につき、アルカリエツチング
液によるエツチングの可否、ガラス−エポキシ基
板を積層して接合したときの諸特性を測定した。
結果を一括して表に示した。 なお、エツチングの可否は、JMF社製のアル
カリエツチング液の原液を50℃で撹拌しそこに各
銅箔を浸漬して、10分間で35μm銅箔がエツチン
グ除去されるか否かを観察する方法で判定した。
【表】
〔発明の効果〕
表の結果から明かなように、ガラス−エポキシ
樹脂基板に積層後、銅箔と基板樹脂との接合面で
は褐色のしみは見られず、また剥離抗力は積層後
充分な値を示し、しかも300℃で3分、180℃で5
時間、150℃で10日の空気中加熱、又は沸騰水中
2時間の浸漬処理の後でも接着力が殆んど劣化し
ない。 また、エツチングに際し、塩化第二鉄溶液、塩
化第二銅溶液、過硫酸アンモニウム溶液、アルカ
リエツチング溶液のいずれによつても箔のエツチ
ングしたい部分は、容易且つ完全に除去され、清
澄な基板樹脂表面がえられる。しかも銅箔−基板
樹脂接合面へのエツチング液の侵入(アンダーカ
ツト)は見られない。また、塩酸含有溶液による
処理工程を想定した塩酸テストでも銅箔−基板樹
脂接合面への塩酸による侵食は見られなかつた。 更には、銅箔をエツチングしたばかりでは褐色
のしみが認められなくても該樹脂基板を空気中加
熱すると褐色のしみの発生しやすいガラス−エポ
キシ樹脂基板を用いた場合ですら、空気中加熱後
の樹脂基板表面には褐色しみの発生が認められな
かつた。 またポリイミド基板に銅箔を積層した場合、従
来銅箔エツチング除去後の基板面にみられた緑褐
色のしみも、本発明により処理された銅箔を用い
た場合には全く認められなかつた。 また、ポリエステル樹脂を用いた基板に積層し
た場合にも、基板面にはしみが発生せず、また接
着力の加熱劣化も殆んど認められなかつた。 さらに、接着剤を介してフエノール樹脂系の基
板に銅箔を積層するときの剥離抗力が向上し、と
くに、フエノール樹脂系の難燃性基板に銅箔を積
層したときの剥離抗力は著しく向上した。銅箔の
表面に形成される各薄層の厚みは従来の同種の銅
箔−樹脂基板間の接触阻止層の厚みより遥かに小
さくしかもより優れた特性を発揮しているので、
本発明の場合銅箔の銅純分を低下させることが少
なくなり、従つてまた電気伝導度を低下させるこ
とも少なくなるという利点があり、特に銅箔の厚
みが小さくなる方向に進んでいるこの技術分野に
おいては有益なことである。 以上のように、本発明の銅箔は従来の銅箔の表
面品質上の欠陥を解消し、品質の向上、不良率の
減少、研摩工程の排除など品質上又は経済上の効
果は大きい。そして、本発明の製造方法において
は、材料銅箔を一連の処理工程内を走行させるこ
とにより各薄層形成を連続的に実施することがで
き、工業的量産に適するものである。 すなわち(a)両面とも電気鍍金リン含有ニツケル
層を施こす箔の生産に当つては材料銅箔をまずニ
ツケル電鍍液の槽内を走行させて連続的に両面に
ニツケル鍍金し、ついで水槽内で表面を水洗し、
つづいて亜鉛浸漬槽若しくは亜鉛電鍍槽中を走行
させて亜鉛層形成の処理を施したのち水洗し、し
かるのちにクロム酸処理槽内を走行させて陰極的
に電解クロメート処理を施して水洗乾燥すること
ができる。また、(b)片面のみの場合には材料銅箔
をニツケル電鍍液の槽内を走行させて連続的に実
質上片面のみにニツケル鍍金を施し、次の亜鉛電
鍍槽では実質上他の面のみに電気鍍金し、しかも
この面を次のクロメート槽で実質上電流を流さな
いで単なる浸漬となるように処理し、上記ニツケ
ルを鍍金した他の面のみに電流を流して電解クロ
メート処理を施したのち水洗乾燥することができ
る。 以上のように本発明はその工業的価値が極めて
大である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 少なくとも樹脂基板と接合させる銅箔表面に
    金属質薄層が形成されている印刷回路用銅箔にお
    いて、該薄層がリン含有ニツケル層を有し、か
    つ、該薄層の表面にはクロメート処理が施されて
    いることを特徴とする印刷回路用銅箔。 2 該薄層が、表面にクロメート処理を施したリ
    ン含有ニツケル層である特許請求の範囲第1項記
    載の印刷回路用銅箔。 3 該リン含有ニツケル層に亜鉛が共存している
    特許請求の範囲第1項又は第2項記載の印刷回路
    用銅箔。 4 該薄層が、リン含有ニツケル層と亜鉛層との
    複合層であり、かつ、その表面にはクロメート処
    理が施されている特許請求の範囲第1項記載の印
    刷回路用銅箔。 5 樹脂基板と接合させる銅箔表面には、表面を
    クロメート処理したリン含有ニツケル層が形成さ
    れ、かつ、樹脂基板と接合させない銅箔表面に
    は、表面をクロメート処理した亜鉛層が形成され
    ている特許請求の範囲第1項記載の印刷回路用銅
    箔。 6 樹脂基板と接合させる銅箔表面にはリン含有
    ニツケル層と亜鉛層とがこの順序で形成され、樹
    脂基板と接合させない銅箔表面には亜鉛層が形成
    され、かつ両亜鉛層の表面にクロメート処理が施
    されている特許請求の範囲第1項又は第4項記載
    の印刷回路用銅箔。 7 少なくとも樹脂基板と接合させる銅箔表面
    に、少なくともリン含有ニツケル層を有する金属
    質薄層を形成し、ついで該薄層の表面にクロメー
    ト処理を施こすことを特徴とする印刷回路用銅箔
    の製造方法。 8 樹脂基板と接合させる銅箔表面に、リン含有
    ニツケル層を有する金属質薄層を形成し、樹脂基
    板と接合させない銅箔表面には、亜鉛層を形成
    し、かつ、両薄層の表面にクロメート処理を施す
    特許請求の範囲第7項記載の印刷回路用銅箔の製
    造方法。 9 該薄層が、リン含有ニツケル層、亜鉛を含む
    リン含有ニツケル層又はリン含有ニツケル層と亜
    鉛層との複合層のいずれかである特許請求の範囲
    第7項又は第8項記載の印刷回路用銅箔の製造方
    法。 10 該リン含有ニツケル層の形成が電気鍍金法
    で行なわれる特許請求の範囲第7項〜第9項のい
    ずれかに記載の回路印刷用銅箔の製造方法。
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