JPH0250340B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は２個の可変プーリ間にＶ字形または台
字形断面のベルトを張架せしめ、該ベルトがそれ
ぞれの可変プーリに接触する点の半径位置を変化
させることによつて２個の可変プーリ軸間の回転
速度比を変換せしめる型式のベルト式無段変速機
を用いた自動変速装置の改良に関する。

原動機に連結せしめた入力軸と、被駆動部分に
連結せしめた出力軸とにそれぞれ固定フランジを
固定し、両軸に可動フランジをそれぞれ軸方向に
摺動自在に設けて、入力軸側にプライマリ・プー
リを、また出力軸側にセカンダリ・プーリをそれ
ぞれ形成せしめ、両プーリにＶベルトを張架せし
めるとともに両軸上に在る可動フランジを、対応
する固定フランジに向けて近接する方向にスプリ
ング等の力で付勢せしめた無段変速機は公知であ
る。

近時Ｖベルトの断面と同様の、プーリを構成す
る固定フランジおよび可動フランジの円錐面状の
係合面と係合すべき傾斜した側面を有する金属ブ
ロツクを、前記側面に開口せしめたスリツトに挿
入した金属ベルトにより多数連綴した係合ベルト
が開発されて無段変速機の耐久性を増すことがで
きるようになつたので、前記各プーリの可動フラ
ンジを液圧サーボにより固定フランジに向けて押
圧せしめて伝達トルクを増大せしめ、大出力の原
動機を具備する車輛における無段変速機として使
用する試みがなされている。

ところで前記のベルト式無段変速機は、セカン
ダリ・プーリに連結される出力軸の回転方向を、
プライマリ・プーリに連結される入力軸の回転方
向と逆方向にすることができないから、車輌用の
無段変速装置に使用する場合には、後進用の逆転
用ギヤトレーンを組合せる必要がある。

本発明は逆転用ギヤトレーンを前記ベルト式無
段変速機の入力軸側に配設したコンパクトな車輌
用のベルト式無段自動変速装置を提供することを
目的とする。

本発明はかかる無段変速機の入力軸側は原動機
の出力軸と連結すべくし、かつ前記プライマリ・
プーリの固定フランジを支承する軸を前記入力軸
と切り離した中間軸として、入力軸とプライマ
リ・プーリの固定フランジとを回転自在とし、両
者をクラツチにより結合したときは正転方向回転
の無段変速を、両者を逆転用歯車装置例えば遊星
歯車装置により連結したときは逆転方向の動力伝
達を、それぞれ達成させ、自動車用無段式自動変
速機として使用し得るものを提供するとともに、
前記クラツチは中間軸と入力軸との間に構成さ
せ、コンパクトなベルト式無段自動変速装置を得
ようとするものである。

以下図面に示す実施例に基いて本発明を説明す
る。

第１図は本発明をフルカン継手を具備する自動
車の自動変速装置を実施した一実施例の概要図、
第２図はその要部断面図を示す。図において、原
動機１の出力軸はフルカン継手２のポンプインペ
ラ３に連結され、フルカン継手２のタービンラン
ナ４は変速装置の入力軸７に連結されている。な
お、タービンランナ４または入力軸７に摺動自在
のピストン５に摩擦板６を環状に固着したクラツ
チプレートがフルカン継手２のハウジングとの間
に直結クラツチを形成している。

変速装置はプラネタリギヤ８とベルト式変速機
９とから成る。ベルト式変速機９はプライマリ・
プーリ１０、セカンダリ・プーリ１１およびベル
ト１２とから成り、そのプライマリ・プーリ１０
は変速装置の中間軸１３にその固定フランジ１４
を同心的に一体に設け、可動フランジ１５を前記
中間軸１３上にその軸方向に摺動自在に設け、そ
のセカンダリ・プーリ１１は出力軸１６にその固
定フランジ１７を同心的に一体に設け、可動フラ
ンジ１８を前記出力軸１６上にその軸方向に摺動
自在に設ける。ベルト１２は前記プライマリ・プ
ーリ１０およびセカンダリ・プーリ１１のＶ字状
係合面に係合する傾斜面１９，１９を両側面に形
成し、該傾斜面に開口するスリツト２０を穿設し
た金属製ブロツク２１を多数厚さ方向に並べ、前
記スリツト２０に挿入した無端の金属バンドで連
綴した無端Ｖベルト状のものであつて（例えば特
開昭54−52253号公報等により公知となつている
ものである）、このベルト１２はプライマリ・プ
ーリ１０およびセカンダリ・プーリ１１間に掛け
渡される。

中間軸１３には前記可動フランジ１５の外周に
固着した環状部材１５１と液密的に係合するシリ
ンダ２２が固定され、該シリンダ２２のシリンダ
室２３に圧力液体を供給することにより可動フラ
ンジ１５を固定フランジ１４に近接する方向に摺
動させる液圧サーボを構成し、ベルト１２を構成
する金属ブロツク２１を可動フランジ１５と固定
フランジ１４との間に挾着する。また出力軸１６
には前記可動フランジ１８に溶着した円筒部材１
８１と液密的に係合するシリンダ２４が固定さ
れ、該シリンダ２４と可動フランジ１８間にコイ
ルスプリング２５を弾発せしめるとともに、前記
シリンダ２４のシリンダ室２６に圧力液体を供給
することにより、可動フランジ１８を前記コイル
スプリング２５の弾力とともに固定フランジ１７
に近接する方向に摺動させる液圧サーボを構成
し、ベルト１２を構成する金属ブロツク２１を可
動フランジ１８と固定フランジ１７との間に挾着
する。中間軸１３上に形成したプライマリ・プー
リ１０におけるシリンダ２２の可動フランジ１５
側の受圧面積を、出力軸１６上に形成したセカン
ダリ・プーリ１１におけるシリンダ２４の可動フ
ランジ１８側の受圧面積より大とする。

両シリンダ室２３，２６の圧力液体をドレイン
せしめると、セカンダリ・プーリ１１側にはコイ
ルスプリング２５の弾力が作用し、プライマリ・
プーリ１０側には何の力も作用しないので、セカ
ンダリ・プーリ１１の可動フランジ１８は固定フ
ランジ１７に近接し、ベルト１２をセカンダリ・
プーリ１１の直径方向最外側位置に位置せしめ、
プライマリ・プーリ１０においてはベルト１２は
最も中間軸１３の軸心に近接した位置をとる。こ
の状態が中間軸１３より出力軸１６に伝達される
回転速度の減速率が最も大で、トルク比が最も大
なる状態である。

中間軸１３を入力軸７に連結し、前記液圧サー
ボシリンダ室２３，２６に圧力液体を導入する
と、ベルト１２はプライマリ・プーリ１０、セカ
ンダリ・プーリ１１のそれぞれの固定および可動
プーリ間に挾着されつつ、入力軸７の回転を出力
軸１６に伝達するとともに、プライマリ・プーリ
１０の可動フランジ１５側の受圧面積が大である
ために、前記シリンダ室２３，２６に同一液圧を
導入した場合にはプライマリ・プーリ１０の可動
フランジ１５がベルト１２を軸方向に押圧する力
がセカンダリ・プーリ１１の可動フランジ１８の
軸方向押圧力より大であるため、該ベルト１２は
中間軸１３の半径方向外方に向けて押し出され、
プライマリ・プーリ１０と係合する有効半径を拡
大するとともに、セカンダリ・プーリ１１側では
該プーリ１１と係合する有効半径を減少する。こ
の傾向は中間軸１３から出力軸１６へ伝達される
回転速度の減速率を減少し、トルク比を低下する
無段変速が行われることを示す。そしてベルト１
２が両プーリ１０，１１において定位置を維持す
るためには可動フランジ１５，１８に作用する圧
力がつり合うことが必要であるから、プライマ
リ・プーリ１０側のシリンダ２３に供給する液圧
をセカンダリ・プーリ１１側のシリンダ２６に供
給する液圧より低下せしめると、上記のつり合つ
た位置で変速比（トルク比）が所定値に維持され
る。

出力軸１６に固定された歯車２７はカウンタ軸
２８上の歯車２９と噛合し、該歯車２９と一体の
歯車２９１は差動歯車装置３０の筐体に設けた歯
車３１と噛合して減速歯車トレーンを形成し、出
力軸１６の回転は減速せしめられて前記差動歯車
装置３０を介して自動車の車軸３２，３３に伝達
される。

入力軸７と中間軸１３とは変速装置のハウジン
グ１００内に同心的に配設され、中間軸１３の一
端は入力軸７の一端に形成された中空軸７１中に
挿入されて軸受１０１により入力軸７に支承さ
れ、中間軸１３の他端はハウジング１００に軸受
１０２により回転自在に支承される。前記入力軸
７は前記軸受１０１と軸方向に関し近接した位置
または同位置で該軸７の外周部において、ハウジ
ング１００に軸受１０３により回転自在に支承せ
しめられる。

プラネタリギヤ８は入力軸７に同心的に、かつ
中空軸７１上に配設されたサンギヤ８１、ダブ
ル・プラネタリピニオン８２，８２、リングギヤ
８３および前記プラネタリピニオン８２，８２を
回転自在に支承するプラネタリキヤリヤ８４とか
ら成る。サンギヤ８１は中空軸７１と一体に形成
され、プラネタリピニオン８２，８２は相互に噛
合するとともに、その一方はサンギヤ８１に、他
方はリングギヤ８３と噛合している。リングギヤ
８３は該ギヤ８３と一体に固着したドラム８５と
変速装置のハウジング１００との間に多板式ブレ
ーキ８６を具え、ハウジング１００に設けられた
シリンダ８７およびピストン８８よりなる液圧サ
ーボの作動により、ハウジング１００に係止また
は回転自在に制御される。プラネタリキヤリヤ８
４は中間軸１３に固着された固定フランジ１４の
外周部に固着されたハブ８９にスプライン係合せ
しめられ、中間軸１３と一体に回転せしめられ
る。入力軸７の中空軸７１の一端にはクラツチハ
ブ７２が固着されており、該クラツチハブ７２と
前記固定フランジ１４のハブ８９との間に多板式
クラツチ９０が構成されており、前記固定フラン
ジ１４の背面とハブ８９とにより形成されるシリ
ンダ９１と該シリンダ９１中で滑動するピストン
９２とよりなる液圧サーボの作動により前記多板
式クラツチ９０が作動され、中間軸１３を入力軸
７に係脱自在に接続する。

第２図に特に明らかなようにプライマリ・プー
リ１０およびセカンダリ・プーリ１１はそれぞれ
の可動フランジ１５，１８には中間軸１３、出力
軸１６に摺動する筒状基部１５２，１８２が一体
に形成されており、該筒状基部１５２，１８２は
一部において中間軸１３、出力軸１６の外周面に
対し液密に接触せしめられるとともに、一部にお
いて前記軸１３，１６の外周面に軸方向に刻設し
た長溝１３１，１６１に挿置された球体９３，９
４により支承せしめられる。

プライマリ・プーリ１０の液圧サーボのシリン
ダ２３へはハウジング１００内の油路１０５、中
間軸１３の軸孔１３２、中間軸１３に穿設した油
孔１３３、長溝１３１および筒状基部１５２に穿
設した油孔１５３を介して圧力流体が供給または
これと反対経路に排流せしめられ、セカンダリ・
プーリ１１の液圧サーボのシリンダ２６には、ハ
ウジング１００内の油路１０６、出力軸１６の軸
孔１６２、出力軸１６に穿設した油孔１６３、長
溝１６１および筒状基部１８２に穿設した油孔１
８３を介して圧力流体が供給され、またはこれと
反対経路で排流される。

多板式ブレーキ８６を作動せしめる液圧サーボ
のシリンダ８７へはハウジング１００内の油路１
０７および油孔１０９を介して圧力流体が供給ま
たは排流され、多板式クラツチ９０を作動せしめ
る液圧サーボのシリンダ９１へは、ハウジング１
００内の油路１０８、中間軸１３の軸孔１３２、
中間軸１３に穿設した油孔１３４を介して圧力流
体が供給またはこれと反対の経路で排流せしめら
れる。なお図中９９は軸孔１３２，１６２に挿入
された塞栓である。

なお図面にはフルカン継手を具備した実施例の
みを示したが、前記フルカン継手に代えてポンプ
インペラ、タービンランナおよび一方向クラツチ
によりハウジングに支承されたステータとから成
るトルクコンバータを用いることもでき、この場
合周知のようにポンプインペラを原動機の出力側
に、タービンランナを変速装置の入力軸に、それ
ぞれ連結するものである。また前記流体継手のみ
ならず原動機の出力側と入力軸との間に乾式また
は湿式のクラツチ等の通常の継手を構成すること
もできる。

第３図および第４図は逆転用ギヤトレーンの変
形例を設けた他の実施例を示す。

第３図に示すギヤトレーンは、中間軸１３に同
心的に配設されたサンギヤ８１、ダブル・プラネ
タリピニオン８２，８２、リングギヤ８３および
前記プラネタリピニオン８２，８２を回転自在に
支承するプラネタリキヤリヤ８４とから成るプラ
ネタリギヤ８であつて、そのプラネタリキヤリヤ
８４は入力軸７に固定するとともに、該キヤリヤ
８４と固定フランジ１４のハブ８９との間にシリ
ンダ９１およびピストン９２とよりなる液圧サー
ボの作動により係脱せしめられる多板式クラツチ
９０を構成せしめ、かつリングギヤ８３とハウジ
ング１００との間にシリンダ８７およびピストン
８８とよりなる液圧サーボの作動により係脱せし
められる多板式ブレーキ８６を構成せしめたもの
である。

第４図に示すギヤトレーンは入力軸７に同心的
にかつ中空軸７１上に配設したサンギヤ８１′、
前記サンギヤ８１′とリングギヤ８３′とに噛合す
る少くとも１つのプラネタリピニオン８２′およ
び該プラネタリピニオン８２′を回転自在に支承
するプラネタリキヤリヤ８４′とから成り、リン
グギヤ８３′を固定フランジ１４のハブ８９に一
体に回転すべく係止し、リングギヤ８３′と固定
フランジ１４のハブ８９との間にシリンダ９１お
よびピストン９２とから成る油圧サーボにより固
定フランジ１４にサンギヤ８１′を係脱せしめる
多板式クラツチ９０を構成せしめ、かつプラネタ
リキヤリヤ８４′とハウジング１００との間にシ
リンダ８７およびピストン８８とから成る液圧サ
ーボの作動により係脱せしめられる多板式ブレー
キ８６を構成せしめたものである。

以上の構成よりなるベルト式無段自動変速装置
においては、原動機に連結すべくされた入力軸と
同一軸上に配置された中間軸は、その一端を前記
入力軸に回転自在に支承されるとともに、その他
端をハウジングに回転自在に支承されており、出
力軸は前記入力軸と中間軸に対し平行に前記ハウ
ジングに軸架され、前記中間軸上には該軸に同心
的に固定された固定フランジと該フランジに対し
軸方向に摺動自在の可動フランジとでプライマ
リ・プーリを構成し、前記出力軸上には該軸に同
心的に固定された固定フランジと該フランジに対
し軸方向に摺動自在の可動フランジとでセカンダ
リ・プーリを構成し、かつ前記プライマリ・プー
リとセカンダリ・プーリ間にベルトを掛け渡して
両プーリに対する有効駆動半径位置を変えること
により中間軸と出力軸との間の回転速度比を変換
すべくしたベルト式無段変速機を形成するととも
に、前記入力軸と前記中間軸との間をクラツチに
より係脱自在とし、前記入力軸上にはプラネタリ
ギヤ等の逆転用ギヤトレーンを設け、該ギヤトレ
ーンの入力側は前記入力軸に、該ギヤトレーンの
出力側は前記中間軸に係合せしめ、該ギヤトレー
ンの逆転作動のためのブレーキを該ギヤトレーン
の構成部分と前記ハウジングとの間に形成せしめ
たものであるから、正転の際には前記入力軸の端
部と中間軸上のプライマリ・プーリの固定フラン
ジとの間のクラツチを係合せしめ、逆転用ギヤト
レーンの作動用ブレーキを解放することによつ
て、入力軸と中間軸とが直結され、原動機の駆動
トルクは入力軸から直接プライマリ・プーリに伝
達され、ベルト式無段変速機を介して出力軸に駆
動トルクを伝達する無段自動変速装置を構成で
き、また前記クラツチを解放して前記入力軸と中
間軸との直結を解き前記ブレーキを作動せしめる
と、入力軸の回転は逆転ギヤトレーンを介してプ
ライマリ・プーリに反対方向の回転として伝達さ
れるので、出力軸には前記と逆方向の回転を伝達
する。このように本発明によれば逆転用ギヤトレ
ーンをベルト式無段変速機の入力軸側に配設した
コンパクトなベルト式無段自動変速装置を提供す
ることができる。

そして本発明において前記入力軸の端部と中間
軸上のプライマリ・プーリの固定フランジとの間
をクラツチにより係脱自在とするときは該クラツ
チを係合または解放せしめるための液圧サーボ等
の諸機構は前記固定フランジに設けることがで
き、入力軸および中間軸の軸方向長さを短縮せし
めることができ、前記クラツチを液圧作動式とす
る場合にも液圧サーボのシリンダは前記固定フラ
ンジに設けることができるから、設置も容易であ
るとともに作動用圧力液体の供給も中間軸の軸孔
および固定フランジに穿設した通路を介して直接
シリンダに供給でき、中間軸の外周に別体の液圧
サーボを設ける場合に比して構成を極めて簡易と
することができる。

また前記逆転用ギヤトレーンをダブル・プラネ
タリピニオンとサンギヤおよびリングギヤとから
成るプラネタリギヤを用いるときは、逆転用ブレ
ーキを作動せしめたときは所要の減速比の逆転回
転が得られ、自動車用自動変速機として高トルク
の後進段を構成することができ、かつ前記プラネ
タリギヤを逆転用ギヤトレーンに用いる場合に
は、ダブル・プラネタリピニオンを回転自在に支
承するプラネタリキヤリヤを中間軸に係合せしめ
サンギヤを入力軸に係止せしめるとともに、リン
グギヤをハウジングにブレーキにより係脱自在に
する必要があるが、サンギヤは入力軸と一体的に
形成することができ、プラネタリキヤリヤは入力
軸より半径方向に離間した位置にあるので、前記
プライマリ・プーリの固定フランジに同心的に中
間軸と同心的に円環状ハブを形成せしめ、前記プ
ラネタリキヤリヤを前記円環状ハブにスプライン
係合せしめることにより極めて容易にプラネタリ
ギヤの出力側を前記プライマリ・プーリの固定フ
ランジに係合させることができ、しかも該固定フ
ランジと入力軸の端部との間に設けるクラツチの
液圧サーボのシリンダは前記円環状ハブを利用し
て構成でき、該クラツチを多板式のものとすると
きは、前記円環状のハブの直径方向内方に入力軸
の自由端に形成したクラツチハブを位置せしめる
ことによつてクラツチ用の摩擦板を両ハブの間に
支承せしめ、前記固定フランジに円環状ハブを利
用して形成した液圧サーボによりクラツチを作動
せしめるように構成することができて、極めてコ
ンパクトな構造とすることができる。

さらに、前記中間軸と同一軸上に配設する入力
軸には中空軸部を形成して中間端の端部を前記中
空軸部内で回転自在に支承するときは、入力軸上
に配設する前記プラネタリギヤ等の逆転用ギヤト
レーンは入力軸の中空軸部上に配設することによ
つてプライマリ・プーリを具備する軸の軸方向全
長を短縮し得られるとともに、入力軸の中空軸部
内で中間軸を支承する軸受を中間軸の先端部付近
に設け、該軸受の直径方向外方位置の近くに前記
入力軸をハウジングに支承する軸受を設けること
により、中間軸の他端をハウジングに支承する軸
受とともに３個の軸受で中間軸および入力軸をハ
ウジングに支承することができ、軸方向長さの短
縮とともに軸受による支承も簡易な構造とするこ
とができる。

そして本発明は前記中間軸と出力軸との間を、
中間軸上に形成した軸方向に可変のプライマリ・
プーリ、出力軸上に形成した軸方向に可変のセカ
ンダリ・プーリおよび該プライマリ・プーリおよ
びセカンダリ・プーリ間に掛け渡され、両プーリ
に対する有効駆動半径位置を変えることにより中
間軸と出力軸との間の回転速度比を無段的に変換
すべくしたベルト式無段変速機を具備するもので
あるから、正転の際には前記入力軸と前記中間軸
との間に設けたクラツチを、また逆転の際には逆
転ギヤトレーン作動用のブレーキを、それぞれ
徐々に係合せしめることによつて始動せしめるこ
とにより、入力軸の回転速度およびトルクを無段
的に変速および変換して出力軸に伝達するもので
あり、逆転用ギヤトレーンの存在により特に自動
車用無段自動変速装置として極めて有効なもので
ある。

また本発明において原動機の出力側と入力側と
の間にトルクコンバータまたはクラツチ等の継手
を介在連結せしめると、一層自動車用無段自動変
速機として有効である。

なお本発明における逆転用ギヤトレーンは図示
したプラネタリギヤに限るものでなく、差動歯車
装置として知られている傘歯車の組合せのギヤト
レーンを用いるなど、同一軸上に配設された回転
自在の２軸間にブレーキの作動により逆転を生ぜ
しめ、ブレーキ不作動のときには両軸とともに回
転し得る機構であれば周知の機構が応用できるも
のであることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図はその一実施例の概要図、第２図はその要部
断面図、第３図および第４図は他の実施例の概要
図をそれぞれ示すものである。 なお図中、１は原動機、２はフルカン継手、７
は入力軸、７１はその中空軸部、７２はそのクラ
ツチハブ、１３は中間軸、１６は出力軸、８はプ
ラネタリギヤ、８１はそのサンギヤ、８２はその
プラネタリピニオン、８３はそのリングギヤ、８
４はそのキヤリヤ、９はベルト式無段変速機、１
０はそのプライマリ・プーリ、１１はそのセカン
ダリ・プーリ、１２はそのベルト、１４，１７は
その固定フランジ、１５，１８はその可動フラン
ジ、８６はブレーキ、８７はシリンダ、８８はピ
ストン、８９は円環状ハブ、９０はクラツチ、９
１はシリンダ、９２はピストン、１００はハウジ
ングをそれぞれ示すものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ハウジングと、 原動機の出力側に連結すべくされた入力軸と、 前記入力軸と同一軸上に配設され、一端を前記
   入力軸に回転自在に支承せしめるとともに、他端
   を前記ハウジングに回転自在に支承せしめた中間
   軸と、 前記ハウジングに前記入力軸および中間軸に平
   行に軸架された出力軸と、 前記中間軸に同心的に固定された固定フランジ
   と該フランジに対し軸方向に摺動自在に設けた可
   動フランジとよりなるプライマリ・プーリと、前
   記出力軸に同心的に固定された固定フランジと該
   フランジに対し軸方向に摺動自在に設けた可動フ
   ランジとよりなるセカンダリ・プーリと、前記プ
   ライマリ・プーリおよびセカンダリ・プーリ間に
   張架されて両プーリに対する有効駆動半径位置を
   変えることにより中間軸と出力軸との間の回転速
   度比を変換すべくしたベルトとよりなるベルト式
   無段変速機と、 前記入力軸と前記中間軸との間に設けたクラツ
   チと、 前記入力軸または中間軸上に配設せられた逆転
   用ギヤトレーンであつて、該ギヤトレーンの入力
   側は前記入力軸に連係せしめられ、出力側は前記
   中間軸に連係せしめられ、該ギヤトレーン作動用
   のブレーキを該ギヤトレーン構成部分と前記ハウ
   ジングとの間に形成した逆転用ギヤトレーンとよ
   りなることを特徴とするベルト式無段自動変速装
   置。 ２ 前記クラツチは前記入力軸の端部と前記中間
   軸に固定したプライマリ・プーリとの間に設けら
   れ、前記クラツチを係脱せしめる液圧サーボのシ
   リンダは前記プライマリ・プーリの固定フランジ
   の前記無端ベルトの係合面の背面に形成されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   のベルト式無段自動変速装置。 ３ 前記逆転用ギヤトレーンは、前記入力軸に同
   心的に固定的に設けたサンギヤと、該サンギヤに
   噛合する少くとも１個の第１のプラネタリピニオ
   ンと、該プラネタリピニオンと噛合しかつサンギ
   ヤと同心的に配置されたリングギヤとも噛合する
   少くとも１個の第２のプラネタリピニオンと、前
   記第１および第２のプラネタリピニオンを回転自
   在に支承するプラネタリキヤリヤとよりなる遊星
   歯車装置であり、前記プラネタリキヤリヤは前記
   プライマリ・プーリの固定フランジに一体に回転
   すべく係止され、前記遊星歯車装置のリングギヤ
   は前記ブレーキにより前記ハウジングに係脱自在
   にされていることを特徴とする特許請求の範囲第
   ２項に記載のベルト式無段自動変速装置。 ４ 前記プライマリ・プーリの固定フランジにプ
   ラネタリキヤリヤを一体に回転すべく係止する手
   段は、前記固定フランジに同心的に形成された円
   環状のハブと、前記プラネタリキヤリヤとに形成
   されたスプライン嵌合手段であり、前記クラツチ
   は前記円環状のハブに支承された摩擦板と前記入
   力軸の自由端に形成されたクラツチハブに支承さ
   れた摩擦板と、前記固定フランジに設けられ、か
   つ前記円環状のハブに摺動自在にされたピストン
   を含む液圧サーボとよりなることを特徴とする特
   許請求の範囲第３項に記載のベルト式無段自動変
   速装置。 ５ 前記逆転用ギヤトレーンは、前記中間軸に同
   心的に固定的に設けたサンギヤと、該サンギヤに
   噛合する少くとも１個の第１のプラネタリピニオ
   ンと、該プラネタリピニオンと噛合し、かつサン
   ギヤと同心的に配置されたリングギヤとも噛合す
   る少くとも１個の第２のプラネタリピニオンと、
   前記第１および第２のプラネタリピニオンを回転
   自在に支承するプラネタリキヤリヤとから成る遊
   星歯車装置であり、前記プラネタリキヤリヤは入
   力軸に固着されるとともに該プラネタリキヤリヤ
   は前記プライマリ・プーリの固定フランジに前記
   クラツチにより係脱自在とされ、前記リングギヤ
   は前記ブレーキによりハウジングに対し係脱自在
   とされていることを特徴とする特許請求の範囲第
   ２項に記載のベルト式無段自動変速装置。 ６ 前記逆転用ギヤトレーンは、前記入力軸に同
   心的に固定的に設けたサンギヤと、該サンギヤに
   同心的に配設されたリングギヤと、前記サンギヤ
   およびリングギヤに噛合する少くとも１個のプラ
   ネタリピニオンと該プラネタリピニオンを回転自
   在に支承するプラネタリキヤリヤとからなる遊星
   歯車装置であつて、前記リングギヤは前記プライ
   マリ・プーリの固定フランジに一体に回転すべく
   係止され、前記サンギヤは前記プライマリ・プー
   リの固定フランジに前記クラツチにより係脱自在
   とされ、前記プラネタリキヤリヤは前記ハウジン
   グに前記ブレーキにより係脱自在とされているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載のベ
   ルト式無段自動変速装置。 ７ 前記入力軸には中間軸を支承する中空軸部が
   形成され、該中空軸部内で中間軸を回転自在に支
   承する軸受は、前記ハウジングが前記入力軸を回
   転自在に支承する軸受に近接した位置に在らしめ
   たことを特徴とする特許請求の範囲第２項または
   第３項または第５項または第６項に記載のベルト
   式無段自動変速装置。