JPH0246324B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本願発明は次に述べる問題点の解決を目的とす
る。

（産業上の利用分野） この発明は工作機械において、ドリル等の工具
又は加工を施すべき被工作物を保持するようにし
た保持具に関するものである。

（従来の技術） 工具又は被工作物を装着する締着筒を先細に形
成し、これにはめ合する回動筒と締着筒との間に
これら軸線と交差しないが前記軸線に対し適宜の
傾斜角をなすようにした多数のローラを広範囲に
わたり配列し、回動筒を回動させることによりロ
ーラが自転しつつ螺施公転し、締着筒の収縮を行
なわせるようにした保持具は、工具又は被工作物
に大きな撓み力が加わつた場合、上記締着筒が撓
んで工具又は被工作物が偏心を起こし、その結果
工作精度が悪化する問題点があつた。

そこで回動筒の後端面が締着完了時点で本体側
に形成する受止部に圧接するようにすると、回動
筒は受止部に一体化して回動筒に囲まれる締着筒
の撓みは防止できる。しかし、回動筒を回して回
動筒と受止部との圧接面を一体化させる時、両者
の接触面の摩擦抵抗が徐々に増加する関係から、
手加減が難しく、過締め操作が大きな角度に亘つ
て行われ、両者の噛合現象を発生させる。この噛
合があると、本体から回動筒を外すときに、回動
筒の戻り回動が困難になり、保持具を破壊する問
題点があつた。

これらの問題点を解決する為に上記回動筒の後
端面と、本体の受止部との間に環状弾性部材を介
設すると、（例えば実公昭59−14085号公報参照）、
上記問題は解消する。しかし、上記環状弾性部材
が介在していると、回動筒を回して締付け操作を
する時、弾力的反撥力が徐々に強くなるものの、
回動筒は環状弾性部材を圧縮しながら幾らでも廻
り過ぎる欠点がある。即ち、作業員は適切な回動
量の終点が分からないので廻し過ぎて回動筒を破
壊する欠点がある。さらに回動筒の後端面が環状
弾性部材に当たつた後においてもぐるぐる回す
と、そこの摩擦抵抗が徐々に大きくなり、大事な
回動筒による締着筒の締具合の手応えが判断でき
なくなる大きな問題点もあつた。

この為作業者は締め過ぎないように途中でやめ
ると、環状弾性部材は充分に押し縮められず、同
時に締着筒の締りも悪く、切削作業時は環状弾性
部材が縮んで工具の芯振れ、或は工具の抜脱が生
じる問題点もある。

（発明が解決しようとする問題点） この発明は上記三つの従来の各問題点を除き、
回動筒を硬質材同士の圧接によつて本体と一体状
態にすることができて、工具又は被工作物の芯振
れを強固に防止することができ、その上回動筒を
回して締め操作をする場合に、回動筒を締め終わ
る間際までは作業員の手に感じる締り具合が軽快
であつて、しかも終点位置を明確に手応えで知る
ことができるようにし、その上構成は比較的簡易
となる保持具を提供しようとするものである。

本願発明の構成は次の通りである。

（問題点を解決する為の手段） 本願発明は、本体１の一端には半径方向に弾性
変形可能な締着筒３を一体連接状に備えており、
しかも該締着筒３の内部は先端側が開口した被保
持物の差込孔４となつている一方、外周面は上記
本体１側に近い程太くなるテーパー面となつてお
り、更に上記締着筒３の周囲には硬質材製の回動
筒１７を配設すると共に、締着筒３の外周面と回
動筒１７の内周面との間には、回動筒１７を回す
ことによつてそれを締着筒３の軸線方向へ移動さ
せ得るようその締着筒３の軸線に対し夫々ねじれ
の位置の関係にある多数のローラ２４を介在させ
て、上記回動筒１７を回動させてそれを締着筒３
の太径の側へ移動させることにより締着筒３を収
縮させて被保持物を締着するようにしてある保持
具に於て、上記本体１における締着筒３側の周囲
には、回動筒１７の後側の端面２０に対向させる
受止面９を備える環状の受止部８を一体材で形成
具備させ、上記受止部８には夫々上記受止面９と
外周面とに開口する弾性ローラ存置用の凹部１０
を複数箇所等分に設置すると共に、上記凹部１０
の夫々には上記本体１半径方向に平行する軸線を
回転中心とする弾性ローラ１２を各１ケ宛回転自
在に納め、かつ上記凹部１０における受止面９側
の開口寸法は弾性ローラ１２の直径より小さくし
て上記弾性ローラ１２の一部のみが受止面９より
突出可能な寸法に形成し、凹部１０の外周面側の
開口寸法は弾性ローラ１２の直径より大きくして
上記弾性ローラ１２の出入を自在の寸法に形成
し、しかも上記弾性ローラ１２は常時は夫々上記
受止面９よりも僅かに回動筒１７側に突出させ、
かつ弾力性は回動筒１７の端面２０により加圧さ
れたときにはその加圧力に坑しながら凹部１０内
に押込まれる程度の弾力性を備えており、さらに
上記回動筒１７の端面２０と上記受止面９との間
にはカバーリング１３における座金状の硬質の介
在部１４を回動自在に介設させると共に上記カバ
ーリング１３における包囲部１５は上記弾性ロー
ラ１２の周囲を覆う位置に配置し、更に上記本体
１の受止部８における受止面９の位置は、上記回
動筒１７の回動によつて被保持物を締着し終えた
状態において、上記回動筒１７の端面２０が介在
部１４を介して上記受止面９に圧接一体化する位
置に設定する手段を講じたものであつてその作用
は次の通りである。

（作用） 被保持物の元部を締着筒３の差込孔内に挿入し
回動筒１７を回動させると、その回動筒１７は締
着筒３における太径部の側へ移動する。その結果
締着筒３は内方向へ押縮められ、締着筒３の内周
面が被保持物の外周面に圧接して被保持物を保持
する。この場合、回動筒１７の後端面が本体の受
止部８に近ずくと、まず受止部８の受止面９に配
置された弾性ローラ１２に接し、弾性ローラ１２
の回転を利用して軽快に回転する（この状態では
上記後端面と受止面は接触しないので両者間の摩
擦抵抗はない）。回動筒１７の回動が終わる間際
には、上記弾性ローラ１２は凹部１０に押し込ま
れるので、上記後端面２０と受止面９が圧接し、
急激な摩擦抵抗が発生する。これにより作業員に
終点であることを手応えの急増で知らせる。回動
筒１７が本体に備わつた受止部８に圧接すると、
上記被保持物を保持した状態においてその被保持
物に大きな撓み力が加わつても、本体に対して一
体化したと同様の状態となつている回動筒によつ
て締着筒の撓みが防止され、その結果被保持物の
芯振れが防止される。また凹部１０からの弾性ロ
ーラ１２の着脱は外周からできるが、常時は包囲
部１５により保護される。

（実施例） 以下本願の実施例を示す図面について説明す
る。第１図乃至第９図において、１は本体、２は
その元部に備わつた連結部で、工作機のスピンド
ルに取付けるようにした部分である。３は本体１
の一端に一体に連接具備された締着筒で、半径方
向に弾性変形可能に構成してあり、内部には被保
持物を挿入する為の差込孔４が形成されている。
５は締着筒３の内周面の締着面を示し、そこには
多数の溝６が図示される如く締着筒３の軸線に対
し斜めに形成されている。７は締着筒３の外周面
を示し、連結部２の側が太くなるテーパ状に形成
してある。８は本体１の外周側に備えられた環状
の受止部、９は受止面を夫々示す。１０は受止部
８に形成された存置用凹部で、受止部８の周囲に
複数箇所設けられている。この凹部１０における
受止面９側の入口部１１は図示される如くやや狭
幅に形成されている。１２は各凹部１０に存置さ
せた弾性ローラで、弾力性のある金属材料を用い
てリング状に形成してある。１３はカバーリング
で、受止部８の周囲を包囲する包囲部１５と受止
面９に面して位置する介在部１４とから構成して
あり、サークリツプ１６で本体１に対し回動自在
に取付けてある。次に１７は締着筒３の外周側に
配設した回動筒で、その内周面１８は前記外周面
７と平行なテーパ状に形成してある。又外周面に
は周知のスパナ掛溝１９が形成してある。２０は
端面でカバーリング１３における介在部１４と対
向する圧接面となつている。次に締着筒３と回動
筒１７との間に配設された部材について説明す
る。２１は案内筒で、複数の案内孔２２が形成さ
れており、各案内孔２２には多数のローラ２４が
夫々回動自在に位置させてある。上記案内孔２２
の案内縁２３は案内筒２１の中心軸線３１に対し
第９図に示される如く角度αのねじれの位置の関
係となつている。２５は防塵用のゴムシール、２
６はシール押え用のリング、２７は抜止用のサー
クリツプを夫々示す。

次に上記構成の保持具を用いて被保持物として
例示する刃具３２を保持する操作について説明す
る。先ず刃具３２の元部を差込孔４の内部に差し
込む。次に回動筒１７を第２図において時計回り
方向に回動させる。すると上記多数のローラ２４
は案内縁２３に押されて上記中心軸線３１とはね
じれの位置の関係となつた状態で回転する為、上
記回動筒１７を回動させることにより、多数のロ
ーラ２４は夫々外周面７と内周面１８の間で転が
りながら、外周面７に沿つて螺施状に受止部８の
側に向けて進行する。これにより回動筒１７も同
方向に進行する。このように回動筒１７が受止部
８の側に向けて進行すると、締着筒３は回動筒１
７によりローラ２４を介して押し縮められること
となり、締着筒３は減径する。その結果締着面５
は刃具３２の外周面に密着し、これを強く締付け
る。

上記のように回動筒１７を回動させながら受止
部８の側へ移動させる過程において、回動筒１７
の端面２０は先ずカバーリング１３における介在
部１４に接触する。上記回動筒１７の回動を更に
続けるとカバーリング１３は回動筒１７と一体と
なつて回動し、その介在部１４は受止面９に向け
て順次移動する。この移動の場合、弾性ローラ１
２は第６図に示されるように順次回転しながら弾
性変形する。そしてやがて介在部１４が受止面９
に圧接する状態となつたところで回動筒１７の回
動操作を停止させる。この状態においては端面２
０は介在部１４を介して受止部８の受止面９に圧
接した状態となる。

上記のようにして刃具３２を締着した状態でも
つて工作機を作動させ、刃具３２を被工作物の工
作に使用する。この状態において刃具３２の先端
部に矢印３３方向の大きな力が加わつても、締着
筒３は多数のローラ２４を介して回動筒１７に対
し上記矢印３３方向には一体となつており、更に
回動筒１７における端面２０は硬質材形成の介在
部１４を介して受止面９に圧接し本体１に対し一
体状態となつているため、締着筒３が上記の方向
に傾き移動することが阻止される。従つて、刃具
３２は上記矢印３３方向に移動することが防止さ
れる。その結果、刃具３２による被工作物の加工
精度が極めて高く保持される。

上記のように回動筒１７を回して締着筒３を収
縮させる場合、案内筒２１における案内孔２２は
第７図、第９図に示される如く大きく形成してそ
こに多数本のローラ２４が納めてあるから、ロー
ラ１本宛に加わる荷重は小さく、更にローラ２４
や締着筒３の局部的疲労も軽減される。またロー
ラ１本当りの荷重を一定にした場合には締着筒３
により大きな収縮力を与えることができ、被保持
物の把持力を増大させることができる。

更に、ローラ２４は第７図の如く配列して、締
着筒３の外周面７において多数のローラ２４が転
がりながら移動する軌跡を相互にずらしてある
為、上記外周面７においてローラ２４の当らない
面がなく、従つて外周面７の不均一摩耗を防止し
て長期間の機能確保が可能となる。

更に、上記受止部８は第４図において想像線で
示される箇所で分断して、符号８′で示される受
止部と符号１０′で示されるローラ保持部とを
別々に構成してもよい。

次に本願の異なる実施例を示す図面について説
明する。

第１０図は本体における連結部の構造及び被保
持物の夫々異なる例を示すもので、連結部２ｅは
工作機械の固定部４３（例えば定盤）に対し取付
ねじ４１で固定できるようにしてあり、また被保
持物としては被工作物（例えば歯車の材料）４２
が取付けてある。

なお、機能上前図のものと同一又は均等構成と
考えられる部分には、前図と同一の符号にアルフ
アベツトのｅを付して重複する説明を省略した。
（また、次図以降のものにおいても順次同様の考
えでアルフアベツトのｆ，ｇ…を順に付して重複
する説明を省略する。） 第１１図乃至第１６図は案内筒における案内孔
の形状及びそこに納めるローラの数や寸法の種々
異なる例を示すものである。

（発明の効果） 以上のように本発明にあつては、被保持物を保
持したいとき、被保持物の元部を締着筒３の差込
孔４に差込み、回動筒１７を回してそれを締着筒
３の太径の側に移動させると、締着筒３が押し縮
められてその内周面５により被保持物の元部を締
着してそれを保持できるは勿論の事、 上記の如く被保持物を締め終わり回動筒１７の
端面２０が受止部８の受止面９に圧接した状態に
おいては、上記被保持物に上記締着筒３の半径方
向に向けて大きな力が加わつても、硬質材製の回
動筒１７の端面２０がやはり硬質材製の受止部８
に圧接している為（硬質物同士の圧接によつて回
動筒１７は本体１に一体化した状態となつている
為）、その回動筒１７によつて締着筒３の撓みが
阻止され、その結果、被保持物の上記方向への横
振れを頑強に防止できる効果がある。

更にその上本願発明にあつては、前述の如く回
動筒１７を回して締操作をする場合においては、
締操作の終わりに近ずいても上記端面２０が介在
部１４を介して回動自在の弾性ローラ１２に接触
し、介在部１４を受止面９に当てることなく回動
筒１７を軽く回すことのできる特長がある。この
介在部１４と受止面９の摩擦抵抗を発生させるこ
となく回動筒１７を回すことのできる特長は、や
がて回動筒１７が適切な締め状態となつて停止さ
せねばならないときに、上記端面２０が第５図の
如く介在部を介して受止面９に接触することによ
りそこで急激に大きな摩擦抵抗を発生させ、それ
によつて上記回動筒１７の回動操作の負荷を急激
に大きくできる特長であり、その結果、締付の作
業者にとつて締操作が終わりであることを「手」
にはつきりと感じとらせて適切な締め状態を容易
に達成できる効果を生じさせる。

しかもこの場合、大きな手応えがあつた後の過
締めはほんの僅かで止まる。従つて噛合現象の発
生は生じ難く介在部１４の存在による座金効果も
伴つて回動筒１７の緩め操作は極めて楽々とで
き、保持具の破壊は予め防止される効果がある。

さらに上記の如く受止部８の凹部１０に弾性ロ
ーラ１２を回転自在に備えさせる構成であつて
も、それの点検、交換に当たつては、外周面の大
きな開口部から上記弾性ローラ１２を出し入れす
ることができる利点があり、その上、開口部が大
きく形成してあつても、通常は第１図、第５図の
如く上記介在部１４に連なる包囲部１５で囲まれ
てその脱落は防止される構造上の効果もあり、上
記した有用性ある保持具を簡易な構成で可能なら
しめた効果もある。

【図面の簡単な説明】

図面は本願の実施例を示すもので、第１図は半
断面図、第２図は第１図の右側面図、第３図は
−線断面図、第４図は−線断面図、第５図
は被保持物を締着した状態を示す半断面部分図、
第６図は第５図の状態における第４図と同様の
図、第７図は案内筒及びローラの正面図、第８図
は−線断面図、第９図は案内孔とローラの関
係を示す拡大図、第１０図は連結部の構造の異な
る例を示すと共に異なる被保持物を保持した状態
を示す半断面図、第１１図乃至第１６図は夫々案
内筒とローラとの関係の異なる例を示す図。 １……本体、３……締着筒、４……差込孔、１
７……回動筒、２４……ローラ、８……受止部、
１２……弾性ローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 本体１の一端には半径方向に弾性変形可能な
   締着筒３を一体連接状に備えており、しかも該締
   着筒３の内部は先端側が開口した被保持物の差込
   孔４となつている一方、外周面は上記本体１側に
   近い程太くなるテーパー面となつており、更に上
   記締着筒３の周囲には硬質材製の回動筒１７を配
   設すると共に、締着筒３の外周面と回動筒１７の
   内周面との間には、回動筒１７を回すことによつ
   てそれを締着筒３の軸線方向へ移動させ得るよう
   その締着筒３の軸線に対し夫々ねじれの位置の関
   係にある多数のローラ２４を介在させて、上記回
   動筒１７を回動させてそれを締着筒３の太径の側
   へ移動させることにより締着筒３を収縮させて被
   保持物を締着するようにしてある保持具に於て、
   上記本体１における締着筒３側の周囲には、回動
   筒１７の後側の端面２０に対向させる受止面９を
   備える環状の受止部８を一体材で形成具備させ、
   上記受止部８には夫々上記受止面９と外周面とに
   開口する弾性ローラ存置用の凹部１０を複数箇所
   等分に設置すると共に、上記凹部１０の夫々には
   上記本体１半径方向に平行する軸線を回転中心と
   する弾性ローラ１２を各１ケ宛回転自在に納め、
   かつ上記凹部１０における受止面９側の開口寸法
   は弾性ローラ１２の直径より小さくして上記弾性
   ローラ１２の一部のみが受止面９より突出可能な
   寸法に形成し、凹部１０の外周面側の開口寸法は
   弾性ローラ１２の直径より大きくして上記弾性ロ
   ーラ１２の出入を自在の寸法に形成し、しかも上
   記弾性ローラ１２は常時は夫々上記受止面９より
   も僅かに回動筒１７側に突出させ、かつ弾力性は
   回動筒１７の端面２０により加圧されたときには
   その加圧力に坑しながら凹部１０内に押込まれる
   程度の弾力性を備えており、さらに上記回動筒１
   ７の端面２０と上記受止面９との間にはカバーリ
   ング１３における座金状の硬質の介在部１４を回
   動自在に介設させると共に上記カバーリング１３
   における包囲部１５は上記弾性ローラ１２の周囲
   を覆う位置に配置し、更に上記本体１の受止部８
   における受止面９の位置は、上記回動筒１７の回
   動によつて被保持物を締着し終えた状態におい
   て、上記回動筒１７の端面２０が介在部１４を介
   して上記受止面９に圧接一体化する位置に設定し
   てあることを特徴とする保持具。