JPH0246291Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は釣竿におけるリールの取付構造に関す
る。

（従来の技術） 一般に、魚釣用リールを釣竿に固定する場合、
実公昭56−46380号公報に記載されている通り、
釣竿に沿設する長さをもち、かつリールの取付脚
を支持する承面をもつた横断面凹状のシート本体
と、前記取付脚の一端を保持する固定受体と、前
記取付脚の他端を保持する可動押体とから成るリ
ールシートを用いている。

又、このリールシートは、前記シート本体と固
定受体及び可動押体をそれぞれ別個に形成して、
固定受体を、前記シート本体の一端にカシメ止め
により固定し、又、前記可動押体を前記シート本
体の他端側に移動自由に取付けると共に、前記シ
ート本体の両端に設ける固定部を前記釣竿の外面
に巻装する糸により固定し、前記可動押体を固定
受体に対し進出移動させて、これら固定受体と可
動押体との間で前記取付脚を固定する如く構成さ
れている。

（考案が解決しようとする問題点） 所が、この従来の取付構造の場合、前記リール
シートにおける固定受体は、シート本体と別に形
成され、該シート本体に固定されるものであるか
ら、部品点数が多く、加工が煩雑で、コスト高と
なる問題があり、又、リールシートにおけるシー
ト本体は、糸の巻付けで釣竿に固定されるため、
この釣竿への固定強度が低い問題があり、又、前
記シート本体は、その両端に設けた固定部を釣竿
の外周に当接して糸で固定するようになつている
ので、釣竿への固定時、シート本体を釣竿に仮止
めすることができないのであり、このため両面テ
ープを用いて仮止めする必要があつて、固定作業
性が悪かつたのである。

本考案の目的は部品の点数を少なくしてコスト
ダウンを図ることができると共に、リールシート
の釣竿への固定強度を増大でき、更に、この釣竿
への固定時、仮止材を殊更用いることなく仮止め
することができるようにするものである。

（問題点を解決するための手段） しかして、本考案は、釣竿１に沿設する長さを
もち、かつリールの取付脚を支持する承面をもつ
たシート本体２と、前記取付脚の一端を保持する
固定受体３と、前記取付脚の他端を保持する可動
押体４とから成るリールシートＡを介して前記リ
ールを釣竿１に固定する如くしたリールの取付構
造であつて、前記シート本体２を半筒状として、
該シート本体２に前記固定受体３を一体に形成す
ると共に、前記シート本体２の幅方向両側部に、
前記可動押体４を前記シート本体２の長さ方向に
沿つて移動自由に案内するガイド部２２，２２
と、これらガイド部２２，２２から下方に向かつ
て延び、前記釣竿１の外周面に弾性的に嵌合可能
で、かつ、嵌合時、前記シート本体２を釣竿１に
保持可能な長さの嵌合片２３，２３とを設ける一
方、前記固定受体３を、高強度繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグの前記釣竿への巻装により前
記釣竿に固定したものである。

（作用） シート本体２と固定受体３及び可動押体４とか
ら成るリールシートＡにおける前記固定受体３を
シート本体２と一体に形成するから、部品点数を
少なくでき、それだけ加工が簡単で、コストダウ
ンを図ることができるのであり、又、シート本体
２と一体に形成した固定受体３を、高強度の特性
をもつプリプレグを釣竿の外面に巻装して固定す
るから、この固定強度を増大できるのであり、
又、前記シート本体２を半筒状に形成して、その
幅方向両側に、釣竿１の外周面に弾性的に嵌合可
能で、かつ、嵌合時、前記シート本体２を釣竿１
に保持可能な長さの嵌合片２３，２３を設けたか
ら、固定受体を一体に形成したシート本体２の釣
竿への固定時、両面テープなどの仮止材を殊更用
いなくとも適正な固定位置に仮止めすることがで
き、この固定作業能率を向上できるのである。

（実施例） 図において、１はカーボン繊維などの高強度繊
維に合成樹脂を含浸したプリプレグを芯金に巻回
し、加圧焼成して中空に形成した釣竿であり、
又、Ａはこの釣竿１の外面に固定するリールシー
トであり、このリールシート２は、釣竿１に沿設
する長さをもち、かつリールの取付脚Ｂを支持す
る承面２１をもつたシート本体２と、前記取付脚
Ｂの一端部を保持する固定受体３と、前記取付脚
Ｂの他端部を保持する可動押体４とにより構成さ
れている。

しかして、図示した実施例では、前記シート文
体２を半筒状として、該シート本体２の一端部に
前記固定受体３を一体に形成すると共に、前記シ
ート本体２の幅方向両側部に、前記可動押体４を
前記シート本体２の長さ方向に沿つて移動自由に
案内するガイド部２２，２２と、これらガイド部
２２，２２から下方に向かつて延び、前記釣竿１
の外周面に弾性的に嵌合可能で、かつ、嵌合時、
前記シート本体２を釣竿１に保持可能な長さの嵌
合片２３，２３とを設ける一方、前記固定受体３
を、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
５の前記釣竿１への巻装により前記釣竿１の外面
に固定したのである。

以上の構成において、前記シート本体２は、薄
肉金属板を半筒状に成形するのである。又、この
シート本体２に設けるガイド部２２，２２は、シ
ート本体の幅方向両側部を内側に凹入させて形成
するのであり、又、前記嵌合片２３，２３は、釣
竿外面への嵌合時、該釣竿への外面に対応して弾
性変形するようになつている。尚、この嵌合片２
３，２３は、前記承面２１の裏面からの長さが前
記釣竿の半径より長い長さに形成するのが好まし
いが、前記半径より短かい長さであつても、嵌合
片２３，２３の弾性復元力によつて釣竿に仮止め
できる長さであればよい。

又、前記固定受体３は、前記シート本体２の形
成時、該シート本体２と一体に成形するのであつ
て、この固定受体３と前記承面２１との間に貫通
孔２４を設けて、前記取付脚Ｂの一端部を固定受
体３内に挿入できるようにするのである。尚、こ
の固定受体３の遊端は、前記釣竿１の外面に沿つ
て湾曲する半筒状に形成して、釣竿への固体時、
該釣竿の外面に対接させるようにしている。又、
前記固定受体３の内側には、合成樹脂製の緩衝体
６を嵌合している。

又、前記固定受体３を固定するプリプレグ５
は、固定受体３の表面から釣竿１の外面に亘つて
巻装し、この巻装プリプレグの外周にセロフアン
テープを巻付けて加圧し、この加圧状態で加熱炉
で加熱し、前記プリプレグ５の合成樹脂を硬化さ
せて、前記固定受体３を釣竿１に固定するのであ
る。尚、前記セロフアンテープは、前記固定後剥
離するのである。

又、前記可動押体４は、前記ガイド部２２，２
２と係合する１対の係合部４１ａ，４１ａをもつ
た基台４１と、該基台４１に枢支する操作レバー
４２と、この操作レバー４２の操作で前記基台４
１を前記シート本体２に固定する係止体４３とか
ら成り、前記係合部４１ａ，４１ａを、前記シー
ト本体２の遊端から前記ガイド部２２，２２に嵌
め込んで係合させるのである。又、前記基台２の
内側には合成樹脂製の緩衝体７を嵌合している。

尚、前記シート本体２は、前記嵌合片２３，２
３部分を、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
プレグ８で釣竿１の外面に固定するのが好まし
い。この場合、前記嵌合片２３，２３間に亘つて
前記プリプレグ８を添設し、このプリプレグ８の
表面から前記シート本体２の表面に亘つてセロフ
アンテープを巻付けて前記プリプレグ８を加圧
し、この加圧状態で加熱炉で加熱し、前記プリプ
レグ８の合成樹脂を硬化させて、前記嵌合片２
３，２３を釣竿に固定するのである。

又、この場合、前記シート本体２の承面２１部
分における幅方向長さを、前記嵌合片２３，２３
の表面間における間隔よりも小さく形成して、前
記セロフアンテープの巻回により前記プリプレグ
８を加圧できるようにするのである。尚、前記セ
ロフアンテープは、嵌合片２３，２３の固定後、
剥離するのである。

尚、図中９は、前記釣竿１の外面に接着剤など
の固定手段により固定して、前記可動押体４のシ
ート本体２からの脱落を阻止する抜止環である。

本考案は以上の如く構成するもので、リールシ
ートＡを釣竿１に装着する場合、固定受体３と一
体に形成したシート本体２の嵌合片２３，２３を
釣竿１の外面に半径方向外方から嵌合して、これ
ら嵌合片２３，２３により前記シート本体２を釣
竿１に仮止めし、次に前記固定受体３の表面から
釣竿１の外面に亘つて前記プリプレグ５を巻装す
ると共に、前記嵌合片２３，２３間に前記プリプ
レグ８を巻装して、これらプリプレグ５，８によ
り前記固定受体３及びシート本体２を釣竿１に固
定するのである。そして、可動押体４における基
台４１の係合部４１ａ，４１ａを、前記シート本
体２の遊端からガイド部２２，２２に嵌め込ん
で、前記可動押体４をシート本体２に移動自由に
支持する一方、前記抜止環９を釣竿１の外面に挿
嵌して、該抜止環９を接着剤などの固定手段で固
定し、前記可動押体４の脱落を防ぐのである。

しかして、前記固定受体３と一体に形成したシ
ート本体２は、両面テープなどの仮止材を殊更用
いなくとも単に釣竿１に嵌合するだけの簡単な操
作で仮止めすることができ、この仮止め状態で固
定することができるので、この固定を、簡単、容
易に、かつ楽に行なうことができるのであり、
又、釣竿１の外径に対応して前記嵌合片２３，２
３を撓ませることができるので、リールシートＡ
の釣竿に対する適用範囲が広いのである。

しかも、前記固定は、プリプレグで固定するか
ら、糸で固定する場合に比べて固定強度を大幅に
増大できるのである。

又、以上の如くリールシートＡを装着した釣竿
にリールを取付ける場合、該リールにおける取付
脚Ｂの前端部を固定受体３の緩衝体６内に挿入し
て保持すると共に、前記取付脚Ｂをシート本体２
の承面２１に載せ、可動押体４を進出移動させ
て、この可動押体４の緩衝体４により前記取付脚
Ｂの後端部を保持し、該取付脚Ｂの釣竿１の中心
側に押付けて固定するのである。

尚、以上の実施例では、固定受体３と嵌合片２
３，２３とをプリプレグ５，８で釣竿１に固定し
たが、前記嵌合片２３，２３は必らずしも固定す
る必要はない。又、この嵌合片２３，２３をプリ
プレグ８で固定する場合、このプリプレグ８は、
前記固定受体３を固定するプリプレグ５と一体に
形成してもよい。

又、前記シート本体２には、前記固定受体３と
反対側端部の前記釣竿の外面に対接する固定部を
設けて、この固定部を例えば前記プリプレグ８で
固定してもよい。この場合、前記抜止環９は不要
である。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、シート本体２と固定受体
３及び可動押体４とから成るリールシートＡにお
ける前記シート本体２を半筒状として、該シート
本体２に前記固定受体３を一体に形成したから、
部品点数を少なくでき、それだけ加工が簡単で、
コストダウンを図ることができるのである。

しかも、シート本体２と一体に形成した固定受
体３を、プリプレグで釣竿１に固定するから、糸
を巻回して固定する従来のものに比べて固定強度
を大幅に増大でき、耐久性と向上できるのであ
る。

その上、半筒状としたシート本体２の幅方向両
側部に、前記可動押体４を移動自由に案内するガ
イド部２２，２２と、これらガイド部２２，２２
から下方に向かつて延び、前記釣竿１の外周面に
弾性的に嵌合可能で、かつ、嵌合時、前記シート
本体２を釣竿１に保持可能な長さの嵌合片２３，
２３とを設けたから、固定受体を一体に形成した
シート本体２の釣竿への固定時、従来の如く両面
テープなどを用いなくとも単に釣竿に嵌合するだ
けで適正な固定位置に仮止めでき、この仮止め状
態で前記固定受体３を釣竿１に固定できるので、
この固定を、簡単、容易に、かつ楽に行なうこと
ができ、固定作業能率を向上できるのであり、更
に、釣竿の外径に対応して、前記嵌合片２３，２
３を撓ませ得るので、リールシートＡの釣竿１に
対する適用範囲を拡大できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案取付構造の一実施例を示すリー
ルシートのみの分解斜視図、第２図は一部切欠斜
視図、第３図はリールの取付脚を装着した縦断正
面図、第４図は縦断側面図である。 １…釣竿、Ａ…リールシート、２…シート本体、
２１…承面、２２…ガイド部、２３…嵌合片、３
…固定受体、４…可動押体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 釣竿１に添設する長さをもち、かつリールの取
   付脚を支持する承面をもつたシート本体２と、前
   記取付脚の一端を保持する固定受体３と、前記取
   付脚の他端を保持する可動押体４とから成るリー
   ルシートＡを介して前記リールを釣竿１に固定す
   る如くしたリールの取付構造であつて、前記シー
   ト本体２を半筒状として該シート本体２に前記固
   定受体３を一体に形成すると共に、前記シート本
   体２の幅方向両側部に、前記可動押体４を前記シ
   ート本体２の長さ方向に沿つて移動自由に案内す
   るガイド部２２，２２と、これらガイド部２２，
   ２２から下方に向かつて延び、前記釣竿１の外周
   面に弾性的に嵌合可能で、かつ、嵌合時、前記シ
   ート本体２を釣竿１に保持可能な長さの嵌合片２
   ３，２３とを設ける一方、前記固定受体３を、高
   強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグの前記
   釣竿への巻装により前記釣竿に固定したことを特
   徴とする釣竿におけるリールの取付構造。