JPH0246229B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、縫い方向を様々に変化させる必要の
ある、例えば布団綴じ等に主として用いられるミ
シン装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の布団用ミシン装置は、千鳥縫いミシン等
の、ボビンを使用するミシンを用いている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ボビンを使用したミシンでは、ボビンに巻かれ
る糸の量が少ないため、時々作業を中断してボビ
ンに糸を補充するか、あるいは糸を巻き付けたボ
ビンを新しく交換する必要があり、作業能率が悪
い。また、糸の補充、あるいはボビンの交換に際
しては、ボビンをベツド部から取り外すために、
布団を端部の縫い始める位置、あるいは縫い終わ
り位置に戻す必要があり、コンピユータ制御の自
動式ミシン装置の場合、布団の変形等に起因し
て、ミシンを元の状態に正確に戻すことができ
ず、したがつて、糸の縫ぎ目部分が醜くなるとい
う問題点がある。

ところで、ボビンを使用しない環縫いミシン
は、長時間に亙つて縫い作業を継続することがで
きるが、これを360度旋回させることができない
ため、実際上、布団綴じ、あるいはこれに類する
縫い作業をなすことができない。

本発明は、上糸と下糸を長時間補充せずに能率
よく作業を行うことができるとともに、必要があ
れば上糸と下糸の余り量を目視によつて知り得る
ようにできるミシン装置を提供することを目的と
する。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために本発明は、針が取
り付けられた針棒と該針棒を軸方向に移動させる
第１作動機構とを備えた環縫いミシンのアーム部
を、旋回中心に上糸の通し孔が設けられた第１筒
部材を第１支持部材の軸受けに軸支して上記針を
中心に旋回自在に設け、上記アーム部の針と共同
して環縫いをなすルーパと該ルーパを作動させる
第２作動機構とを備えたベツド部を、旋回中心を
上記アーム部の旋回中心に一致させ、かつ上記ア
ーム部に対向した状態で、旋回中心に下糸の通し
孔が設けられた第２筒部材を第２支持部材の軸受
けに軸支して旋回自在に設けるとともに、上記ア
ーム部の第１筒部材に、通し孔を通じて針に供給
される上糸の巻き糸を支持する第１支え台を付設
し、また上記ベツド部の第２筒部材に、通し孔を
通じてルーパに供給される下糸の巻き糸を支持す
る第２支え台を付設する一方、上記アーム部と上
記ベツド部に、それぞれ作動機構を介して針とル
ーパとを相互に同期して作動させる縫い駆動装置
を付設し、更に上記アーム部の第１筒部材とベツ
ド部の第２筒部材に、それらを同期して同方向に
同速度で旋回させる旋回用駆動装置を付設した構
成とした。

〔作用〕

アーム部とベツド部の間に布団等の被縫製物を
配置し、アーム部に設けられた通し孔に１本の糸
を挿通して針の孔に通し、また他の１本の糸をベ
ツド部に設けられた通し孔に挿通してルーパの孔
に通して準備し、縫い駆動装置を作動させる。縫
い駆動装置の動力はそれぞれ作動機構に伝達さ
れ、針棒とルーパが作動して環縫いがなされる。

縫い方向を変換する場合は、旋回用駆動装置を
作動させることによつて、アーム部とベツド部と
を相互に同期して同方向に同速度で旋回させる。

上糸と下糸とは、従来のボビンと違つて巻き糸
として第１、第２支え台に支持されるため、長時
間に亙つて補充する必要がなく、能率よく作業を
行うことができる。また布団を綴じるような場
合、１枚の布団の綴じ始めに上糸と下糸の残り量
を目視によつて確認することができるため、途中
で糸がなくなる不都合を防止することができる。

〔実施例〕

第１図ないし第５図は本発明の一実施例を示す
もので、図中符号１は床面に設置されたフレーム
である。このフレーム１は、上下２本の支持部材
２，３を相互に平行に備える。上方の支持部材２
の中央部には、針４が取り付けられた針棒５と該
針棒５を軸方向（上下方向）に移動させる作動機
構６とを備えたアーム部７が、筒部材８を支持部
材２の台板１５に設けられた軸受け９に軸支して
上記針４を中心に旋回自在に取り付けられ、また
下方の支持部材３の中央部には、上記アーム部７
の針４と共同して２重環縫いをなすルーパ１０と
該ルーパ１０を作動させる作動機構１１とを備え
たベツド部１２が、筒部材１３を支持部材３の台
板２０に設けられた軸受け１４に軸支してその旋
回中心を上記アーム部７の旋回中心に一致させた
状態で、上記アーム部７の直下位置にアーム部７
に対向して旋回自在に取り付けられている。

上記アーム部７の作動機構６は、中心をアーム
部７の旋回中心に一致させて上記筒部材８内に挿
通されて軸受け１６に回転自在に軸支された中空
伝動軸１７と、該中空伝動軸１７の下端に固着さ
れた傘歯車１８と、該傘歯車１８に噛み合わされ
た傘歯車１９と、該傘歯車１９に取り付けられた
クランク軸２１と、上端をクランク軸２１に嵌着
されるとともに、針棒５に固着された固定ピン２
２に下端を嵌着された連接棒２３と、上記固定ピ
ン２２を上下に案内する案内部材２４とから成
り、中空伝動軸１７が回転すると、傘歯車１８，
１９を介してクランク軸２１が回転し、連接棒２
３が上下して針棒５をガイド２５，２６を沿つて
上下させるように構成されている。

また、上記アーム部７には、クランク軸２７を
有する傘歯車２８が前記傘歯車１９に対向し、か
つ前記傘歯車１８に噛み合わせて設けられ、また
下端に布押え２９を取り付けた布押え棒３１がガ
イド３２，３３に沿つて上下自在に設けられると
ともに、ベルクランク３４が枢軸３５により上下
に回動自在に取り付けられている。傘歯車２８と
ベルクランク３４とは、針４の上下に同期して布
押え２９を上下させるためのもので、傘歯車２８
のクランク軸２７に一端のクランク輪３７を嵌着
した揺動腕３６の他端が上記ベルクランク３４の
一端に形成された長孔３９に連結ピン３８で上下
に調節可能に取り付けられるとともに、ベルクラ
ンク３４の他端は、布押え棒３１に止着された止
着部材４０にピン４１で連結されている。なお、
４２，４３は、布押え棒３１にクツシヨン機能を
付与しているクツシヨンバネである。

上記ベツド部１２の作動機構１１は、中心をベ
ツド部１２の旋回中心に一致させて筒部材１３内
に挿通されて軸受け４５に回転自在に軸支された
中空伝動軸４６と、該中空伝動軸４６の上端に固
着された歯車４７と、中間歯車４８と中間傘歯車
４９とを備えた中間歯車４８を歯車４７に噛み合
わせて軸受け５１に垂直に軸支された中間軸５２
と、傘歯車５３と傾斜軸５４とを備え上記傘歯車
５３と中間傘歯車４９に噛み合わせるとともに、
傾斜軸５４に前記ルーパ１０を軸着して軸受け５
５に水平に軸支された回転軸５６とから成り、中
空伝動軸４６が回転すると、歯車４７，４８、中
間軸５２、傘歯車４９，５３を介して回転軸５６
が回転し、ルーパ１０を第４図で左右に揺動させ
る構成とされている。

なお、アーム部７とベツド部１２とは２重環縫
いミシンを構成するが、アーム部７とベツド部１
２の作動機構６，１１の基本構造は周知のもので
ある。

更にまた、符号５７は上糸５８の供給機構であ
り、支持部材２に旋回自在に軸支された旋回軸５
９の上端に、巻き糸５８Ａを支える支え台６０を
取り付け、上記旋回軸５９の下端に取り付けられ
たプーリ６１と、アーム部７の筒部材８に固着さ
れたプーリ６２（第２図と第３図では省略）とに
ベルト６３を巻き掛けて成り、支え台６０に装着
された巻き糸５８Ａを、アーム部７と同期して同
方向に同速度で旋回させることにより、上糸５８
の撚り、あるいは撚り戻しを防止して、上糸５８
を糸ガイド６４と、中空伝動軸１７内に挿入され
て軸受け６５で軸支されたパイプ６６に形成され
た通し孔６７を介して針４に供給する構成とされ
ている。

下糸６８の供給機構６９は、上糸５８の供給機
構５７と基本的に同一である。すなわち、支持部
材３に旋回自在に軸支された旋回軸７０の下端
に、巻き糸６８Ａを支える支え台７１を着脱自在
に取り付け、上記旋回軸７０の上端に取り付けら
れたプーリ７２と、ベツド部１２の筒部材１３に
固着されたプーリ７３（第４図と第５図では省
略）とにベルト７４を巻き掛けて成り、支え台７
１に装着された巻き糸６８Ａをベツド部１２と同
期して同方向に同速度で旋回させることにより、
下糸６８の撚り、あるいは撚り戻しを防止して、
下糸６８を糸ガイド７５と、中空伝動軸４６内に
挿入されて軸受け７６で軸支されたパイプ７７に
形成された通し孔７８を介してルーパ１０に供給
する構成とされている。アーム部７の中空伝動軸
１７は、該中空伝動軸１７に固着されたプーリ８
０、ベルト８１、中間プーリ８２、中間軸８３、
中間プーリ８４、ベルト８５、プーリ８６よりな
る伝動機構８７を介して、縫い駆動装置８８の駆
動軸８９に連絡され、また、ベツド部１２の中空
伝動軸４６は、該中空伝動軸４６に固着されたプ
ーリ９０、ベルト９１、中間プーリ９２、中間軸
９３、中間プーリ９４、ベルト９５、プーリ８９
よりなる伝動機構９７を介して、上記駆動軸８９
に連絡されている。

また、アーム部７の筒部材８は、該筒部材８に
固着されたプーリ９８、ベルト９９、中間プーリ
１００、中間軸１０１、中間プーリ１０２、ベル
ト１０３、プーリ１０４からなる伝動機構１０５
を介して、旋回用駆動装置１０６の駆動軸１０７
に連絡され、同様にベツド部１２の筒部材１３
は、該筒部材１３に固着されたプーリ１０８、ベ
ルト１０９、中間プーリ１１０、中間軸１１１、
中間プーリ１１２、ベルト１１３、プーリ１１４
からなる伝動機構１１５を介して、上記駆動軸１
０７に連絡されている。

次に上記のように構成された本発明に係るミシ
ン装置の作用を説明する。

アーム部７とベツド部１２の間に、布団等の被
縫製物（図示せず）を周知のように支持枠（図示
せず）に支持して配置し、アーム部７の中空伝動
軸１７に設けられた通し孔６７に上糸５８を挿通
して針４の孔に通し、また下糸６８をベツド部１
２の中空伝動軸４６に設けられた通し孔７８に挿
通してルーパ１０の孔に通して準備する。そして
縫い駆動装置８８を作動させるとともに、被縫製
物をアーム部７とベツド部１２に対して移動させ
る。縫い駆動装置８８の動力は伝動機構８７，９
７と中空伝動軸１７，４６を介してそれぞれ作動
機構６，１１に伝達され、針棒５とルーパ１０が
作動して２重環縫いがなされる。

上記において、縫い方向を変換する場合は、旋
回用駆動装置１０６を作動させ、伝動機構１０
５，１１５を介してアーム部７とベツド部１２と
を相互に同期して同方向に同速度で旋回させる。
アーム部７とベツド部１２が旋回する際、支え台
６０，７１に支えられた巻き糸５８Ａ，６８Ａも
それらに同期して同方向に同速度で旋回するので
糸が撚れたり、撚りを戻したりすることはない。

上記以外の実施例、あるいは他の技術事項につ
いて以下に記載する。

(1) 図の伝動機構８７，９７，１０５，１１５に
は、タイミングプーリとタイミングベルトが用
いられているが、全体若しくは一部分を、チエ
ーンやスプロケツト、あるいは各種の歯車等に
替えることもできる。この点は、プーリ６１，
６２，７２，７３、ベルト６３，７４について
も同様である。

(2) 図のような伝動機構を用いずに、アーム部７
の筒部材８と中空伝動軸１７、及びベツド部１
２の筒部材１３と中空伝動軸４６の一若しくは
二以上にパルスモータ等のモータを連結して実
施することもできる。

(3) 場合によつては、図の供給機構５７，６９を
省くこともできる。

(4) 図のものは、一台の環縫いミシンが設けられ
ているに過ぎないが、二台以上の環縫いミシン
を備えた、いわゆる多頭式のミシン装置とする
ことも可能である。

(5) アーム部７とベツド部１２とを糸の供給機構
５７，６９と一諸に支持部材２，３に沿つて第
１図で左右方向の移動自在に取り付け、移動用
駆動装置（図示せず）によつてそれらを同期し
て同方向に同速度で移動させて縫製をなすよう
に構成することもできる。この場合は、前記の
ように、アーム部７とベツド部１２の旋回と駆
動をパルスモータで行うか（パルスモータもア
ーム部７等と一緒に移動する）、あるいは、移
動用駆動装置によつて回転させられる回転シヤ
フトに滑りキーで歯車を取り付け、該歯車を介
してアーム部７やベツド部１２の筒部材８，１
３や中空伝動軸１７，４６を回転させるように
するとよい。

(6) フレーム１を第１図で紙面に垂直な方向に移
動自在に構成することもできる。

(7) 針棒５を中空軸とし、該針棒に上糸５８を通
して針４に送るようにすることもできる。

(8) 環縫いミシンを構成するアーム部７とベツド
部１２の構造は図のものに限られるものではな
く、また他種の環縫いミシンを用いることもで
きる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、針が取り付けら
れた針棒と該針棒を軸方向に移動させる第１作動
機構とを備えた環縫いミシンのアーム部が、旋回
中心に上糸の通し孔が設けられた第１筒部材を第
１支持部材の軸受けに軸支して上記針を中心に旋
回自在に設けられ、上記アーム部の針と共同して
環縫いをなすルーパと該ルーパを作動させる第２
作動機構とを備えたベツド部が、旋回中心を上記
アーム部の旋回中心に一致させ、かつ上記アーム
部に対向した状態で、旋回中心に下糸の通し孔が
設けられた第２筒部材を第２支持部材の軸受けに
軸支して旋回自在に設けられるとともに、上記ア
ーム部の第１筒部材には、通し孔を通じて針に供
給される上糸の巻き糸を支持する第１支え台が付
設され、また上記ベツド部の第２筒部材には、通
し孔を通じてルーパに供給される下糸の巻き糸を
支持する第２支え台が付設される一方、上記アー
ム部と上記ベツド部には、それぞれ作動機構を介
して針とルーパとを相互に同期して作動させる縫
い駆動装置が付設され、更に上記アーム部の第１
筒部材とベツド部の第２筒部材には、それらを同
期して同方向に同速度で旋回させる旋回用駆動装
置が付設された構成とされているので、ボビンを
用いた従来のミシン装置と違つて、縫い糸を補充
することなく長時間に亙つて連続して作業を継続
し、能率を上げることができる。また、糸の消費
量（余り量）を目視できるので、切りのいいとこ
ろで糸を補充して縫い模様等に対する悪影響を簡
単に防止し、より美麗な製品を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は全体構造を示す正面図、第２図と第３図はアー
ム部の断面図、第４図と第５図はベツド部の断面
図である。 ２…支持部材、３…支持部材、４…針、５…針
棒、６…作動機構、７…アーム部、１０…ルー
パ、１１…作動機構、１２…ベツド部、１７…中
空伝動軸、４６…中空伝動軸、５８…上糸、６７
…通し孔、６８…下糸、７８…通し孔、８８…縫
い駆動装置、１０６…旋回用駆動装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 針４が取り付けられた針棒５と該針棒５を軸
   方向に移動させる第１作動機構６とを備えた環縫
   いミシンのアーム部７が、旋回中心に上糸５８の
   通し孔６７が設けられた第１筒部材８を第１支持
   部材２の軸受け９に軸支して上記針４を中心に旋
   回自在に設けられ、上記アーム部７の針４と共同
   して環縫いをなすルーパ１０と該ルーパ１０を作
   動させる第２作動機構１１とを備えたベツド部１
   ２が、旋回中心を上記アーム部７の旋回中心に一
   致させ、かつ上記アーム部７に対向した状態で、
   旋回中心に下糸６８の通し孔７８が設けられた第
   ２筒部材１３を第２支持部材３の軸受け１４に軸
   支して旋回自在に設けられるとともに、上記アー
   ム部７の第１筒部材８には、通し孔６７を通じて
   針４に供給される上糸５８の巻き糸５８Ａを支持
   する第１支え台６０が付設され、また上記ベツド
   部１２の第２筒部材１３には、通し孔７８を通じ
   てルーパ１０に供給される下糸６８の巻き糸６８
   Ａを支持する第２支え台７１が付設される一方、
   上記アーム部７と上記ベツド部１２には、それぞ
   れ作動機構６，１１を介して針４とルーパ１０と
   を相互に同期して作動させる縫い駆動装置８８が
   付設され、更に上記アーム部７の第１筒部材８と
   ベツド部１２の第２筒部材１３には、それらを同
   期して同方向に同速度で旋回させる旋回用駆動装
   置１０６が付設されたことを特徴とするミシン装
   置。