JPH0241023B2 - - Google Patents

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JPH0241023B2
JPH0241023B2 JP55157335A JP15733580A JPH0241023B2 JP H0241023 B2 JPH0241023 B2 JP H0241023B2 JP 55157335 A JP55157335 A JP 55157335A JP 15733580 A JP15733580 A JP 15733580A JP H0241023 B2 JPH0241023 B2 JP H0241023B2
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atomic
oxygen
barrier layer
layer
photoconductor
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Takao Kawamura
Masazumi Yoshida
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Kyocera Corp
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Priority to US06/562,733 priority patent/US4489149A/en
Publication of JPH0241023B2 publication Critical patent/JPH0241023B2/ja
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/08Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic
    • G03G5/082Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic and not being incorporated in a bonding material, e.g. vacuum deposited
    • G03G5/08214Silicon-based
    • G03G5/08221Silicon-based comprising one or two silicon based layers

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はグロー放電分解法により生成されるア
モルフアスシリコンを光導電体層とする電子写真
感光体に関する。
従来技術 電子写真感光体としては既に様々な形態のもの
が提案されているが、この中でも近年、半導体分
野でその研究開発が進められつつあるグロー放電
分解法により生成されるアモルフアスシリコン
(amorphous silicon、以下a−Siと略す)の感
光体への応用が注目されてきている。これはa−
Siが従来のセレンやCdS感光体等と比して環境汚
染性、耐熱性、摩耗性、光感度特性等において一
段と優れているためで、a−Siを光導電体層とし
た感光体としては特開昭54−86341号公報で提案
されているところである。
そして実際に本願発明者がa−Siの電子写真用
光導電体としての応用を研究した結果、従来の感
光体が欠如していた無公害性、耐熱性、表面硬
度、摩耗性等に対し理想的な特性を有することを
見い出した。しかしながら、その反面、a−Si光
導電体層は通常のグロー放電分解法ではその暗体
積抵抗が最大でも約1010Ω・cm以上にならず、カ
ールソン方式による作像に最低限要する所定の表
面電位にまで帯電できず、結局、そのままでは帯
電−画像露光−現像−転写−清掃−除電の工程に
よるカールソン方式に適する感光体としては使用
できないという問題に遭遇した。
もつともa−Siは、半導体分野においてW.E
SpearとP.G.Le Comberとにより1976年発行の
philosophical Magazine(Vol.33、No.6)の第
935頁乃至第949頁の“Electronic properties of
substitutionally doped amorphout Si and Ge”
題名の下に研究発表されているように、不純物を
含有しない純粋な形態ではその構造欠陥がドナー
レベルを形成し通常はN型半導体として作用し、
また周期律表第Vb族不純物、通常は燐(化学記
号P)を添加することによつてより強いN型半導
体に、逆に第b族不純物、通常は硼素(化学記
号B)を添加することによつてP型半導体となる
とともに、夫々の添加量に応じてa−Siの暗抵抗
が変化する。現に上記研究発表の中にはa−Siの
原料であるSiH4に対しB2H6をモル比10-4から
10-5(200〜20ppm)添加すれば暗抵抗が1011Ω・
cm程度まで向上する旨のデータが示されている。
しかしながらそれ以上の硼素の添加は暗抵抗の急
激な低下を招くものである。これはa−Siが一般
に結晶Siと比して不純物添加効率が低く、特に電
子写真用光導電体として用いる場合、その添加効
率が一層低いものとなるためである。現に前述し
た特開昭54−86341号公報では第b族不純物添
加量は10-3乃至10-6atomic%(B2H6/SiH4モル
比で5×10-6乃至5×10-9または0.01乃至10ppm
に相当)が好適であるとしW.E.Spearらの半導体
分野における添加量と比して更に微量なものとな
つている。従つて電子写真用光導電体としてのa
−Siでは第b族不純物添加による電気伝導度
(暗抵抗)の制御はわずかで暗抵抗向上に大幅に
は寄与しないとされているのが実情である。この
ことより微量から多量に渡る不純物の添加が可能
であつて広範囲の電気伝度の制御が容易なa−Si
を光導電体層とする感光体の開発が望まれている
ところである。
またこれと相俟つて暗抵抗としてカールソン作
像方式に必要とされる約1013Ω・cm以上のa−Si
光導電体層の開発が強く望まれている。このこと
より特開昭54−145539号公報ではa−Siに酸素を
0.1乃至30atomic%含有させて暗抵抗の向上を図
ることが提案されている。しかしながら本願発明
者が実際に0.1atomic%以上の酸素をa−Siに含
有させ電子写真特性全般について調べたところ、
暗抵抗はカールソン方式に充分以上に向上するも
のの、酸素含有量が大となればなるほど光感度特
性が著しく低下し、最低0.1atomic%の酸素含有
でも光感度は可視光領域において従来の感光体と
比してやや劣ることが確認された。
更に導電性基板上に直接a−Si光導電体層を形
成し、それを作像表面層とする感光体は、製造安
定性及び再現性が低く同一の製造方法で製造して
も各感光体間に電子写真特性のばらつき、特に電
荷受容能力及び暗体積抵抗にかなりのばらつきが
生じ、結局、a−Si光導電体層を導電性基板上に
直接積層した構成の感光体は実用化に向けて製造
安定性及び再現性に大きな問題があつた。
発明の目的 本発明は以上の事実に鑑みて成されたもので、
環境汚染性、耐熱性、表面硬度、摩耗性等につい
て優れた特性を有することに加えて、電荷受容能
力及び暗抵抗をカールソン方式による作像を実用
可能ならしめる程度に著しく向上且つ安定ならし
め、光感度特性を含む電子写真特性全般において
も優れ且つ微量から多量に渡る不純物の添加が可
能であつて広範囲の電気伝導度の制御が容易なグ
ロー放電分解法により生成されるa−Si光導電体
層を作像表面層とする電子写真感光体を提供する
ことを目的とする。
発明の要旨 本発明の要旨は導電性基板上に、厚さが0.2乃
至5ミクロンで0.05乃至1atomic%の酸素を含有
するアモルフアスシリコン障壁層と、その上に厚
さが5乃至60ミクロンで10-5乃至5×10-2atomic
%の酸素、10乃至40atomic%の水素並びに10乃
至20000ppmの周期律表第b族不純純物を含有
するアモルフアスシリコン光導電体層を積層して
なることを特徴とする電子写真感光体にある。
以下、本発明につき詳細に説明する。
発明の概要 まず、本発明に係るa−Si光導電体層につき説
明すると、光導電体層一般はそれを作像表面層と
しカールソン方式により作像する場合には少なく
とも1013Ω・cm以上の暗抵抗が必要とされてい
る。ところが従来の製造方法により得られるa−
Siの抵抗は最大で1010Ω・cmに満たないことが確
認された。
即ち、グロー放電分解法により生成されるa−
Siは前述した通り、同期律表第b族(好ましく
は硼素)または第Vb族不純物(好ましくは燐)
を添加することによつてP型ともN型半導体とも
なる。そしてa−Si膜の形成にあたつてはシラン
ガス、即ちSiH4ガスを原料として使用し、硼素
を添加する場合はジボランガス(B2H6ガス)を、
燐を添加する場合はPH3ガスを併用し、何れも水
素、アルゴン、ヘリウム等をキヤリアーガスとし
て使用する。従つてa−Si膜はその純粋な形態に
おいても少なくとも水素を含有し、硼素、燐を添
加した場合でも同様である。ところが後述する実
験例からも明らかな様に、これら原料を用いて形
成されるa−Si膜はその暗抵抗が最大でも1010
Ω・cmに満たず、一般に約1013Ω・cm以上の暗抵
抗が必要とされるカールソン作像方式用感光体に
は実用できないものであることが確認された。
この様に暗抵抗が不充分に低い原因はa−Siが
非晶質であるが故に多くのダングリングボンド
(dangling bond)が存在するためと推測される。
このダングリングボンドとは一般に結合をつくら
ないで遊んでいる電子、あるいは共有結合の切れ
た態を意味する。そしてa−Si膜の場合、その表
面付近はもとより内部においても多くのSi原子が
結合を作らず余つてぶらぶらしている状態、即ち
ダングリングボンドの状態にあると考えられる。
この点につき詳述すると、a−Siは一般に結晶
Siと比して上述した周期律表第b族あるいは第
Vb族の不純物添加の影響が極めて少なく、P型
もしくはN型への原子価制御による電気伝導度制
御が因難とされている。この原因の一つは上述し
た極めて多くのダングリングボンドに基づく局在
準位がバンドギヤツプ(若しくはmobilitygap)
中に存在するために、ドナーあるいはアクセプタ
ーから供給される電子あるいは正孔がこれらの局
在準位に捕えられ、フエルミ準位をわずかしか移
動できないので、原子価制御に基づく電気伝導度
制御が非常に困難とされていた。現に蒸着やスパ
ツタリングで作成したa−Si、即ち水素原子を含
まないa−Siではダングリングボンドが高密度に
存在するため不純物添の効果が極めて少ない。と
ころがグロー放電分解法により生成されるa−Si
膜は原料としてSiH4、B2H6ガス等を用いる関係
上、水素原子が膜中に混入てダングリングボンド
と結合し、これらをつぶすため局在準位が減少し
て不純物添加による原子価制御に基づく電気伝導
度制御がある程度可能となる。
もつとも従来ではSiH4、B2H6、PH3ガスのキ
ヤリアーガスとしては多くはアルゴン或いはヘリ
ウムが用いられていたためその効果は不充分であ
つた。本発明ではこの観点に立つて、まず少なく
ともSiH4のキヤリアーガスとして水素を用い、
これによりa−Si膜中に約10乃至40atomic%の
水素を混入させれば、これら水素原子がかなり多
くのダングリングボンドと結合し良好な電気伝導
度制御が可能となることを見い出した。しかしな
がら、これだけではなおa−Si膜の暗抵抗が不充
分に低いことは、なお多くのダングリングボンド
が存在するか、水素原子の結合が弱く不安定であ
るためと考えられる。特に水素原子との結合はa
−Si膜自体が高温度への基板加熱を要するグロー
放電分解法によつて作成されることにより、容易
に破壊乃至は放出され、不安定なものである。
このことより、本願発明者は暗抵抗向上の解決
策を深求た結果、a−Si光導電体層に上記水素を
約10乃至40atomic%混入させることに加え適量
の酸素を含有すれば、暗抵抗が著しく向上するこ
とを見い出した。この酸素の含有は、上述したダ
ングリングボンドをほとんど解消、即ち酸素原子
がダングリングボンドを有すSiと強く結合すると
認められ、これが暗抵抗の向上に寄与していると
と考えられる。後述する実験例からも明らかな様
に、水素及び酸素を含有するa−Si光導電体層は
含有しないものと比してその暗抵抗が102倍から
107倍程度と大幅に向上しており、値にして1013
Ω・cm以上のものが得られる。しかしながらこれ
とは逆に酸素の含有はその量が大となる程a−Si
層の光感度の低下を生じ、一定量以上の酸素含有
では良好な光導電性を示されなくなることが確認
された。このことよりa−Si光導電体層への酸素
の含有は後に詳述する通り、約5×10-2乃至
10-5atomic%の量であることが必要である。酸
素の含有はそれ自体をSiH4ガスとともに、但し
それとは独立してグロー放電反応管に送り込むよ
うにするのであるが、酸素は含有効率が非常に高
いため最大でも含有せんとすべき量の約1.1倍か
ら2倍程度、例えば10-2atomic%の酸素を含有
させる場合にはO2/SiH4のモル比で0.55×10-4
至1×10-4の比率で酸素を送り込めばよい。もつ
とも同一範囲にO2/SiH4の比率を保つ限りは空気
あるいはH2、Ar、He等の不活性ガスをキヤリア
ーとした酸素でもよい。
酸素原子はその大きな電気陰性度によりダング
リングボンドの電子を容易にとり込んで、これを
有効に解消するので、上述のように約5×10-2
至10-5atomic%とかなり微量であつてもその効
果は極めて大きく、更にその結合の強さによつて
より一層耐熱性、その他の安定性、耐久性も向上
する。尚、上述の様に酸素の含有量を最大でも5
×10-2atomic%以下とするのは光感度が大幅に
低下するためであるが、これはダングリングボン
ドを補償してなお過剰の酸素がSiO2の結合を作
り始めるためと考えられる。SiO2結晶はバンド
ギヤツプが約7eVもあり、可視光では光導電性を
示さないためである。また逆に10-5atomic%よ
り酸素が少ないときはダングリングボンドを充分
に解消することはできず、暗抵抗にて1013Ω・cm
以上のa−Si光導電体層を得ることはできない。
以上のように約10乃至40atomic%の水素及び
5×10-2乃至10-5atomic%の酸素を含有させたa
−Si膜のダングリングボンドは殆んど解消され、
mobility gap中の局在準位が極めて少ないもの
となつているので、アモルフアス半導体とは言
え、原子価制御によるフエルミ準位の制御が従来
に無く極めて容易になつている。つまり3価や5
価の不純物の添加効率が大幅に向上している。特
にアクセプターとなり得る硼素のような3価不純
物は、酸素含有量にも一部依存するが最低でも約
10ppm、最大では実に20000ppmまで含有するこ
とができ、暗抵抗にして1013Ω・cm以上のa−Si
の実現に大きく貢献しており、従来には見られな
かつた不純物添加効率の高い電気伝導度の制御が
容易なa−Si光導電体層の実現を可能としたもの
である。
本発明に係る酸素、水素及び第b銑不純物を
含有したa−Si光導電体層は作像表面層として形
成されるのであるが、その厚さは約5乃至60ミク
ロンとするのが好ましい。また第b族不純物、
好ましくは硼素の含有量を約10乃至20000ppmと
するのは、10ppm以下では約1013Ω・cmの暗抵抗
が得られないためで、また20000ppm以上では暗
抵抗が急激に低下するためである。尚、a−Siへ
の第b族不純物の含有、例えば硼素の含有は、
SiH4ガスとともにB2H6ガスをグロー放電反応管
に送り込むことによつて行われるが、その含有効
率は酸素と比して低いので含有せんとすべき量の
約5倍から15倍程度のB2H6を送り込むことが必
要とある。
また本発明に係るa−Si光導電体層は可視光領
域をその長波長端、特に写真赤外までも完全に含
む分光感度特性を示し、酸素の添加量を上述の範
囲内、特に5×10-2atomic%以上とならない限
りにおいては従来のSe系感光体やポリビニルカ
ルバゾールTNFを含有した感光体よりかなり高
感度でその暗減衰、光減衰特性も極めて良好であ
る。
更に本発明のa−Si層は表面硬度(ヴツカース
硬度)が約1800乃至2300Kg/mm2とSe−As感光体
(As5%)の約30乃至40倍、アルミニウムの約18
乃至23倍と非常に硬く、実にサフアイアと同等の
硬度である。従つてトナー像の転写として圧力転
写が容易に実施できることはもとより清浄手段と
して金属ブレードの使用が可能となる。また、a
−Siの結晶化温度は約700℃と非常に高いので熱
転写も可能とし全体として耐久性が非常に優れて
いる。
ところが上記a−Si光導電体層は、導電性基板
上に直接形成した場合にその製造再現性が不安定
であることが確認された。即ち、同一の製造条件
の下にa−Si光導電体層を直接導電性基板上に形
成してなる感光体を多数作成し、各感光体の電子
写真特性全般につき調べたところ、特に電荷受容
能力と暗抵抗にかなりのばらつきが認められ、い
くつかの感光体ででは所望の表面電位にまで帯電
できないという事態に遭遇した。従つて製造再現
性の不安定性に基づく電荷受容能力のばらつきを
事実上最小限とすることが必要である。また、こ
れに加えa−Si光導電体層自体、1013Ω・以上の
暗抵抗を有するとしても導電性基板からの電荷注
入による電荷受容能力の低下は避けられず、更に
はa−Si光導電体層の厚さを例えば10ミクロン以
下の様に薄層としたときには、その暗抵抗がかな
り高くと充分な表面電位にまで荷電できない。
このことより、本発明では上述のa−Si光導電
体層と導電性基板間にグロー放電分解法により生
成され、その厚さが約0.2乃至5ミクロンで約
0.05乃至0.5atomic%の酸素を、但し膜厚が約0.2
乃至0.4ミクロンと薄層のときは最大約1atomic%
までの酸素を含有するa−Si障壁層を形成するこ
とによつて、a−Si光導電体層の製造再現性の不
安定性に基づく電荷受容能力のばらつきを最小限
におさえ、且つ基板からの電荷の注入を有効に阻
止してa−Si光導電体層を高電位に帯電する。こ
のa−Si障壁層は更に従来では高電位に帯電する
ために数10ミクロン以上は必要とされていたa−
Si光導電体層の厚さを10ミクロン以下、最低で5
ミクロン以上あれば充分な電位にまで帯電できる
ことを保証している。
a−Si障壁層は、酸素を約0.05乃至0.5atomic
%含有することによりその絶縁性が著しく向上
し、優れた障壁作用を示す。酸素の含有量を約
0.05atomic%以上とするのは、それ以下ではa−
Siの抵抗がさほど向上せず障壁作用を果さず電荷
受容能力のばらつきを是正することができないた
めで、また0.5atomic%以下とするのはそれ以上
では残留電位が高くなりコントラストの優れた画
像が得られなくなるためである。この残留電位の
上昇は、a−Si光導電体層中で発生するキヤリア
担体がa−Si障壁層との界面あるいは障壁層中に
多数トラツプされることにより生じるのである
が、酸素含有量を約0.05乃至0.5atomic%とする
ことにより、また更には層の厚さを後述する通り
約0.2乃至5ミクロンとすることにより、残留電
位は実用上問題ない程度となる。
尚、上述において酸素の含有量は最大
0.5atomic%と説明したが、a−Si障壁層の膜厚
を約0.2乃至0.4ミクロンと薄層とするときに限つ
て酸素は最大約1atomic%まで含有することがで
き、残留電位も一定値以下に維持されることが確
認された。
a−Si障壁層の厚さは約0.2乃至5ミクロン程
度であることが望ましく、これは0.2ミクロン以
下では最早、障壁層として働かずa−Si光導電体
層の電荷受容能力の均一化を図ることができない
ためで、また5ミクロン以上では残留電位が一定
値以上となり整流作用を持たなくなるためであ
る。尚、a−Si障壁層は、上記a−Si光導電体層
の説明からも推測できるように、酸素に加えて周
期律表第b族不純物(好ましくは硼素)を最大
20000ppmまで、更には水素を約10乃至40atomic
%含有させてもよい。これはそれらの添加により
a−Si障壁層の暗抵抗が幾分ながらも向上するた
めで酸素含有量を増大させることなく障壁層に最
低限必要な暗抵抗が確保できる。また、導電性基
板としてはアルミニウム、ステンレス等が使用で
きるが、生地のアルミニウムを用いればa−Si障
壁層との付着性が良好で長期に反復使用でも剥離
やクラツクが生じないことが確認された。
実施例 以下、本発明に係る電子写真感光体を製造する
ためのグロー放電分解法について説明するが、上
述の通り本発明では障壁層、光導電体層ともグロ
ー放電分解法により生成されるので単一の製造装
置で、しかも簡単な製造条件の下に迅速に感光体
を製造できるという優れた製造上のメリツトを有
する。
第1図はa−Si障壁層及光導電体層を生成する
ためのグロー放電分解装置を示し、図中の第1、
第2、第3、第4タンク1,2,3,4には夫々
SiH4、PH3、B2H6、O2ガスが密封されている。
またSiH4、PH3、B2H6ガス何れもキヤリアーガ
スは水素である。これらガスは対応する第1、第
2、第3、第4調整弁5,6,7,8を開放する
ことにより放出され、その流量マスフローコント
ロラー9,10,11,12により規制され、第
1乃至第3タンク1,2,3からのガスは第1主
管13へと、また第4タンク4からの酸素ガスは
それらとは別に第2主管14へと送られる。尚、
15,16,17,18は流量計、19,20は
止め弁である。第1、第2主管13,14を通じ
て流れるガスは反応管21へと送り込まれるが、
この反応管の周囲には共振振動コイル22が巻回
されておりそれ自体の高周波電力は100watts乃
至数kilowattsが、または周波数は1MHz乃至数
10MHzが適当である。反応管21内部にはその上
にa−Si膜が形成される例えばアルミニウムや
NESAガラスのような基板23がモータ24によ
り回動可能であるターンテーブル25上に載置さ
れており、該基板23自体は適当な加熱手段によ
り約50乃至300℃、好ましくは約150乃至250℃の
温度に均一加熱されている。また反応管21の内
部はa−Si膜形成時に高度の真空状態(放電圧:
0.5乃至20Torr)を必要とすることにより回転ポ
ンプ26と拡散ポンプ27に連結されている。
以上の構成のグロー放電分解装置において、ま
ずa−Si障壁層の形成に際しては拡散ポンプ27
で反応管21内を10-4から10-6Torr程度の真空
に引き、続いて回転ポンプ26に切換えて真空度
を約10-2乃至10-4Torrとして第4タンク4より
酸素を導入し、マスフローコントローラー12を
調節してその分圧を所定値に保つ。これに続いて
第1タンク1よりSiH4ガスを、また必要に応じ
て第2タンク2よりB2H6ガスを導入する。そし
て反応管21の内部が0.5乃至2.0Torr程度の真空
状態、基板温度が50乃至300℃、共振振動コイル
の高周波電力が100W乃至KW、また周波数が1
乃至数10MHzに設定されていることに相俟つてグ
ロー放電が起こり、ガスが分解して基板上に所定
量の酸素を含有したa−Si障壁層あるいはそれに
加えて適量の硼素を含有したa−Si障壁層が約
0.5乃至1.5ミクロン/60分の早さで形成される。
a−Si障壁層が形成されると、グロー放電を一
旦中断し続いてa−Si光導電体層の形成を開始す
る。この際にもやはり同様に第1及び第4タンク
1,4よりSiH4ガスとO2ガスを、更には第2タ
ンク2よりB2H6ガスまたは第3タンク3より
PH3ガスを導入し、a−Si障壁層形成時とほぼ同
一の条件の下にグロー放電を行い、a−Si障壁層
上に酸素及び水素、更には適量の燐または硼素を
含有したa−Si光導電体層が形成される。
以下、実験例につき説明するが、まず実施例
1、2ではa−Si障壁層形成による電荷受容能力
及び残留電位の特性について、実験例3乃至6で
はa−Si光導電体層の暗抵抗及び分光感度特性に
ついて、そして実験例7では作像実験による画質
の特性について説明する。
実験例 1 この実験例では基板とa−Si光導電体層間にa
−Si障壁層を形成するとともに、その酸素含有量
を変えて感光体の初期表面電位と残留電位を測定
した。
上述した第1図に示すグロー放電分解装置でも
つて、まず拡散ポンプ27により反応管21の内
部を10-5Torr程度の真空に引き、続いて回転ポ
ンプ26に切換え真空度を約10-3Torrとして、
この状態でマクフローコントロラー12を調節し
その分圧を0.03Torrとし第4タンク4より酸素
を導入した。これな伴つて第1タンク1より水素
をキヤリアーガスとするSiH4ガス(水素に
SiH410%)を、また第2タンク2よりSiH4に対
しそのモル比が10-4に相当するB2H6ガスを放出
した。尚、このときの反応管の全圧は0.7Torrに
保つ。一方、基板温度は200℃に保ち、共振振動
コイル22の高波電力を300watts、周波数を4M
Hzにしてグロー放電を行い、約1ミクロン/60分
の早さでa−Si膜を形成し、30分経過時にグロー
放電を中断した。これによりアルミニウム基板上
には厚さが0.5ミクロンで酸素を0.05atomic%、
また硼素を20ppm含有するa−Si障壁層が形成さ
れた。
続いて、マスフローコントロラー12を絞つて
酸素分圧を約0.005TorrとするとともにSiH4
B2H6ガスの分圧は同一のままとして再度グロー
放電を8時間行つて厚さ8ミクロンのa−Si光導
電体層を形成した。このa−Si光導電体層は約
0.01atomic%の酸素と20ppmの硼素を含有し、そ
の暗抵抗は後述の験例でも述べる通り、約3×
1013Ω・cmである。
この感光体とは別に、同様の方法によりa−Si
障壁層の酸素含有量を変化させた以外は同一の構
成の感光体を6種類作成した。即ち、a−Si障壁
層形成時に酸素用マスフローコントロラー12を
調節し、その分圧を夫々0.05、0.09、0.22、0.35、
0.50、0.70Torrと変化させた以外は同一条件の下
にグロー放電を行つて、基板上に厚さ0.5ミクロ
ンで酸素含有量が夫々0.08、0.16、0.3、0.4、0.5
及び0.6atomic%で硼素を20ppm含有するa−Si
障壁層と、その上に0.01atomic%の酸素と20ppm
の硼素を含有する厚さ8ミクロンのa−Si光導電
体層からなる5種類の感光体を作成した。また、
これらとは別に基板上に直接a−Si光導電体層を
形成した感光体を作成した。この感光体はa−Si
障壁層に酸素が一切含有されていないものに相当
する。尚、各層の残素含有量はスパークソース質
量分析法により、また硼素含有量はイオンマイク
ロアナライザーにより測定した。
次に上記各感光体を±5.6KVの電圧源に接続さ
れたコロナチヤージヤで正及び負極性に均一帯電
して初期表面電位を測定し電荷受容能力を調べる
とともに、続いて0.3mw・sec/cm2の光量で均一照
射して減衰後の残留電位を測定した。これらの測
定結果は第2図に示す通りで、図中、横軸はa−
Si障壁層の酸素含有量を、左縦軸は初期表面電位
を、右縦軸は残留電位を示し、またカーブA,B
は夫々正帯電及び負帯電時の初期表面電位と酸素
含有量の関係を、カーブC,Dは夫々正及び負帯
電時の残留電位と酸素含有量の関係を示す。
第2図から明らかな様に、a−Si障壁層に酸素
を一切含有しない感光体、即ちa−Si障壁層が形
成されていない感光体は正、負帯電時とも残留電
位がほとんど現われないもののa−Si光導電体層
の膜厚が8ミクロンと薄層であることにも起因し
て、初期表面電位は正帯電時で400、負帯電時
で−360と低い。ところがa−Si障壁層に
0.05atomic%の酸素を含有する感光体の場合、特
に負帯電時にはカーブBで示される様に初期表面
電位は著しく向上し実に−560となり、また正
帯電時にも幾分ながらも向上しており、酸素含有
によりa−Si光導電体層が薄層でもカールソン方
式による作像を可能ならしめる程度に高電位に帯
電されることを保証している。更に酸素含有量が
0.08atomic%となると初期表面電位は負帯電時で
−600、正帯電時で+470まで向上し、しかも
残留電位は±10乃至20と低く優れたコントラス
トの画像が得られることを保証している。
a−Si障壁層の酸素含有量が夫々0.16、0.3、
0.4、0.5、0.6atomic%の感光体の場合、負帯電時
で初期表面電位が約620乃至−670の近辺で飽
和しているのに対し、正帯電時には0.16atomic%
の酸素含有で+600まで向上しそれ以上の酸素
含有で負帯電時と同様にほぼ+620乃至+675で
飽和傾向を示している。一方、残留電位は酸素含
有量が0.16atomic%のときで−20及び+35、
0.3atomic%で−75及び+90、0.4atomic%で
−110と+125、0.5atomic%で−145及+
160、そして0.6atomic%のときで−180と+
205と酸素含有量の増大に伴つて高くなる。も
つとも残留電位が±100以上の領域では初期表
面電位が±600以上と高いこと、更には残留電
位が最高で±150程度あつても充分にコントラ
ストの優れた画像が得られることが確認されたの
で、a−Si障壁層に含有する酸素の量は約0.05乃
至0.5atomic%とするのが好ましい。即ち、a−
Si障壁層に含有する酸素の量が約0.05atomic%以
下の時は層自体が基板からの電荷の注入を充分に
阻止する機能を持たず、逆に残素の量が約
0.5atomic%以上の時は残留電位が±150以上と
なつてコントラストの優れた画像が得られなくな
ることより、酸素含有量は約0.05乃至0.5atomic
%とするのが好適である。尚、正帯電時にa−Si
障壁層の酸素含有量が約0.08atomic%以下では初
期表面電位がさほど向上しない理由は層自体の整
流性によるのと考えられる。
実験例 2 この実験例では0.08atomic%の酸素を含有する
a−Si障壁層の厚さを変えて、感光体の初期表面
電位及び残留電位との関係を測定した。即ち、実
験例1で作成した厚さ0.5ミクロンで酸素を
0.08atomic%を含有するa−Si障壁層を有する感
光体以外に、a−Si障壁層がなく基板上にa−Si
光導電体層を直接形成した感光体、酸素含有量が
何れも0.08atomic%でa−Si障壁層の厚さを1ミ
クロン、2.4ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、
5ミクロン及び6ミクロンとした感光体を作成し
た。次にこれら各感光体を実験例1と同一の条件
の下に帯電、露光して初期表面電位と残留電位を
測定した。
これらの測定結果は第3図に示される通りで、
図中、横軸はa−Si障壁層の膜厚を、左縦軸は初
期表面電位を、右縦軸は残留電位を示し、またカ
ーブE,Fは夫々正及び負帯電時の初期表面電位
と膜厚の関係を、カーブG,Hは夫々正及び負帯
電時の残留電位と膜厚の関係を示す。この図から
明らかな様に、a−Si障壁層が形成されていない
感光体の場合、初期表面電位は正帯電時で400、
負帯電時で−360と低いが、厚さ0.5ミクロンの
a−Si障壁層(酸素含有量0.08atomic%)を形成
した場合、特に負帯電時に初期表面電位の著しい
向上が見られ実に−600ともなる。また正帯電
時にも470と高くなつている。この様に厚さ0.5
ミクロンのa−Si障壁層の介在により初期表面電
位がカールソン方式による作像を可能ならしめる
程度に向上するということは、それ以下の厚さで
あつても同様に初期表面電位を向上することを意
味し、第3図からみて約0.2ミクロン以上の厚さ
があれば最低限の初期表面電位を保証する。一
方、膜厚を1ミクロンとしたときは初期表面電位
は夫々+475及び−625と幾分ながらも向上す
るが、これに伴つて残留電位も高くなり25及び
−20となる。膜厚を更に厚くすることにより初
期表面電位は幾分は向上するがほぼ飽和傾向を示
す反面、残留電位は高くなり、現に膜厚2.4ミク
ロンで初期表面電位が−500及び−630、残留
電位が+50及び−40、3ミクロンで初期表面
電位が505及び−650、残留電位が70及び−
60、4ミクロンで初期表面電位が+530及び
−670、残留電位が+110及び−95、5ミク
ロンで初期表面電位が550V及び−680、残留電
位が+155及び−145、そして6ミクロンで初
期表面電位が+570及び700に対し残留電位が
+210及び−185ともなる。上述の通り、残留
電位が約±150以下であれば充分にコントラス
トの優れた画像が得られるので第3図の結果から
も明らかな様にa−Si障壁層の膜厚は最大5ミク
ロン程度までとすることができ、またその最少厚
さも前述の通り約0.2ミクロン以上あればよい。
次に上記各種感光体とは別にa−Si障壁層とし
て厚さを0.3ミクロン、酸素含有量を1atomic%と
した以外は同じ構成の感光体を作成した。この感
光体を同様の方法により帯電、露光し初期表面電
位と残留電位を測定した。その結果は第3図にお
いて測定値J,K,L,Mとして示す通りで、
J,Kは夫々正及び負帯電時の初期表面電位を、
L,Mは夫々正及び負帯電時の残留電位を示す。
即ち、測定結果によれば初期表面電位は夫々+
630及び−660と作像可能な充分に高い値が得
られているとともに、残留電位も±150程度と
コントラストの良好な画像が得られることを保証
している。このことは、a−Si障壁層を例えば
0.3ミクロン程度の薄層としたときは酸素の含有
量を0.5atomic%以上とすることができることを
意味し、上述の測定値からも明らかな様に
1atomic%の酸素を含有しても残留電位が最大限
度の約±150となるので薄層としたときに限つ
て1atomic%までの酸素を含有することができ
る。尚、ここでいう薄層とは0.3ミクロンに限ら
ず、約0.2乃至0.4ミクロン程度であれば同様に酸
素を最大1atomic%まで含有できる。
実験例 3 この実験例では水素は含有するが酸素は一切含
有しないa−Si光導電体層の暗抵抗を測定した。
尚、本実験例及び後述する実験例4乃至6におけ
るa−Si光導電体層は全て厚さ0.5ミクロンで酸
素を0.05atomic%及び硼素を20ppm含有するa−
Si障壁層上に形成したもので、下記ではa−Si光
導電体層の製造条件のみについて述べる。まず、
上述した第1図に示すグロー放電分解装置によ
り、第1タンク1より水素キヤリアーガスとした
SiH4ガスを放出し(水素にSiH410%)、これを分
解してa−Si障壁層上に厚さ20ミクロンの純粋な
a−Si光導電体層を形成した。尚、製造条件とし
て放電圧を1.5Torr、基板温度を200℃高周波電
力を300watts、周波数を4MHz、層形成速度を1
時間当り1ミクロンに設定した。
次に同一条件の下で硼素を各々約20、200、
2000ppm含有する厚さが20ミクロンのa−Si光導
電体層をa−Si障壁層上に形成した。尚、これら
含有量はB2H6/SiH4のモル比で夫々10-5、10-4
10-3に相当するが、前述した通り硼素のa−Si光
導電体層への含有効率は1/5から1/15であるので、
ここではB2H6/SiH4のモル比を含有すべき硼素
の約10倍とした。硼素の含有量は日立イオンマイ
クロアナライザーを使用して測定した。
同様にSiH4とPH3の混合ガスを送り込んでグ
ロー放電分解し、夫々10、100、1000ppmの燐を
含有する厚さ20ミクロンのa−Si光導電体層を形
成した。
次にこれらa−Si膜と暗抵抗値との関係を測定
したところ第4図の実線Nで示される様な結果が
得られた。尚、図において硼素及び燐の含有量は
ppmで示し、括弧内にB2H6/SiH4、PH3/SiH4
モル比で示す。但しモル比はその含有効率が100
%であることを前提とする。
第4図の結果より、純粋なa−Si光導電体層で
その暗抵抗は実線Nで示される様に109Ω・cmに
満たず、また燐を10ppm含有した場合でも実質向
上せず、それ以上の燐を含有した時は急激に暗抵
抗が低下、即ち100ppmの燐含有では約4×107
Ω・cm、1000ppm含有で約8×106Ω・cmとなる。
一方、a−Siに硼素を含有したときは、約
200ppmの硼素含有で約6×109Ω・cmと最も高抵
抗となる。しかしこの添加量を境にそれ以上の硼
素を含有したときは暗抵抗が急激に低下、即ち
2000ppmで107Ω・cm以下までに低下する。この
ことより、酸素を一切含有しない、但し水素を含
有するa−Si光導電層は硼素あるいは燐の添加に
かかわらずその最大暗抵抗は1010Ω・cmに満た
ず、結局、通常は1013Ω・cm以上程度の暗抵抗を
要するカールソン方式に適する電子写真用光導電
体層として使用できないことを裏付けている。現
に、硼素200ppmを含有するa−Si光導電体層に
対しコロナ帯電してもその表面電位は正、負何れ
の極性時にも数10にも満たなかつた。
実験例 4 この実験例では酸素及び水素を含有したa−Si
光導電体層の暗抵抗を測定した。
実験例3と同一条件の下に、但し第4タンク4
よりO2/SiH4のモル比が約0.75×10-7の比にある
酸素を反応管へ放出せしめ、これにより夫々厚さ
20ミクロンの約10-5atomic%の酸素を含有した
a−Si光導電体層、並びにそれに加えて硼素を
20、200、2000ppm含有したa−Si光導電体層、
また燐を10、100、1000ppm含有したa−Si光導
電体層の計7種類を作成した。尚、水素は何れか
らも約18乃至22atomic%含有されていることが
確認された。
次にこれら各a−Si膜の暗抵抗を測定したとこ
ろ、第4図の実線Oによつて示される結果が得ら
れた。
第4図の実線Oの結果より、硼素、燐が一切ド
ープされておらず酸素及び水素のみを含有するa
−Si光導電体層はれ自体で約5×1011Ω・cmの暗
抵抗があり、酸素を含有せず、水素のみの場合と
比して約1000倍暗抵抗が向上している。暗抵抗は
燐の含有によつて幾分低下し、その添加量が増大
する程低下する。しかし、1000ppmの燐を含有し
たa−Si膜でも1011Ω・cm以上の暗抵抗があり、
酸素の含有が暗抵抗向上に著しく寄与しているこ
とが裏付けられている。一方、水素、酸素に加え
硼素を含有するa−Si膜は20ppmの硼素含有で暗
抵抗が約2×1012Ω・cm、200ppm含有で1013
Ω・cmに近い約8×1012Ω・cm、2000ppmで1.5
×1013Ω・cmまで向上しており、酸素を
10-5atomic%と200ppm以上の硼素を含有するa
−Si光導電体層はそれを作像表面層としても充分
にカールソン方式による作像を可能ならしめてい
る。つまり、実験例3における酸素を含有せず同
量の硼素を含有するa−Si光導電体層と比して見
ても、硼素20ppm、200ppmで何れも1000倍以上、
また2000ppmの硼素素含有では実に106倍以上ま
で暗抵抗が向上している。
尚、a−Si光導電体層の暗抵抗は約2000ppm以
上の硼素含有でレベル化し約20000ppmまでは実
質変化せず、それ以上の硼素含有で急激に低下す
ると認められる。
次に上記と同様の方法で、但し酸素の含有量を
約10-2atomic%とした厚さ20ミクロンのa−Si
光導電体層並びにそれに加えて硼素を20、200、
2000ppm含有したa−Si光導電体層、また燐を
10、100、1000ppm含有したa−Si光導電体層の
計7種類を作成した。そしてこれら各a−Si膜光
導電体層の暗抵抗を測定したところ、第4図の実
線Pによつて示される結果が得られた。
酸素の含有量が約1/1000である実線Oの結果と
比して、大体において約10倍暗抵抗が向上してい
る。特に20ppmの硼素を含有するa−Si光導電体
層は2×1012Ω・cmの暗抵抗が3×1013Ω・cm
に、200ppmの硼素含有で8×1012Ω・cmから8
×1013Ω・cmに、2000ppmの硼素含有で1.5×1013
Ω・cmから1.5×1014Ω・cmまで向上している。
このことより暗抵抗にして約1013Ω・cm以上を
要するカールソン方式に実用可能なa−Si光導電
体層は酸素を10-5乃至10-2atomic%含有する範囲
内において硼素を約20ppmから最大約20000ppm
まで混入することができる。もつとも後述の実験
例から明らかな様に、本発明では酸素を最大約5
×10-2atomic%まで含有でき、その場合には幾
分実線Pよりは暗抵抗の向上が見込まれ、約
10ppmの硼素含有でも1013Ω・cm程度の暗抵抗に
なるので約10乃至20000ppmまでの硼素を含有す
ることができる。
実験例 5 ここでは酸素含有量によるa−Si光導電体層の
暗抵抗及び明抵抗の変化を測定した。実験例3と
同一条件の下に、但し硼素の含有量を何れも
200ppmとし酸素を夫々1atomic%、10-1atomic
%、5×10-2atomic%、10-2atomic%、
10-3atomic%、10-4atomic%、10-5atomic%、
10-6atomic%、10-7atomic%含有する計9種類
のa−Si光導電体層をa−Si障壁層上に形成し
た。そしてこれら各a−Si光導電体層の暗抵抗と
明抵抗を測定したところ第5図に示す様な結果が
得られた。
第5図において、実線Qは暗抵抗を、実線Rは
明抵抗を示し、これからも明らかな様に酸素含有
量が高い程暗抵抗は高く1atomic%含有で1015
Ω・cm、10-1atomic%で約8×1014Ω・cmにもな
る。ところがそれと共に明抵抗も高く暗抵抗との
比は最大でも103程度としかならない。つまり良
好な光導電体として機能していない。これは一般
に良好なコントラストの高い像を得るには最低で
も3桁から3.5桁(暗抵抗/明抵抗の比が103
上)以上の差が必要とされているためである。も
つとも酸素を10-1atomic%含有するものは3桁
余りの差があるが、これとて後述の実施例から明
らかとなるように従来の感光体と比して分光感度
の点で何ら改善されていない。従つて酸素を
100-1atomic%以上含有するa−Siは高感度でな
いか光導電体として使用し得ないものである。
これに対し酸素含有量が5×10-2atomic%と
微量となると暗抵抗は4×1014Ω・cmと幾分低下
するが、明抵抗は1011Ω・cm以下となり約3.5桁
の差がとれ良好な画像再現が保証される。更に酸
素含有量が10-2、10-3、10-4、10-5atomic%のa
−Si光導電体層は何れも暗抵抗がカールソン方式
に要する1013Ω・cm以上またはそれに近く、しか
も明抵抗との差も4桁から4.5桁程度もあり非常
に優れた光導電性を示している。ところが酸素の
含有量が更に微量の10-6atomic%となると暗抵
抗は3×1011Ω・cmまで低下し、また10-7atomic
%では5×1010Ω・cmまで低下しカールソン方式
には使用できないものとなつてしまう。従つて本
発明では酸素の含有量は約5×10-2乃至
10-5atomic%とするのが重要で、この範囲にお
いて実験例2からも明らかな様に硼素を10乃至
20000ppm含有する。これにより暗抵抗にして
1013Ω・cm以上で優れた光導電性を示すa−Si膜
が得られる。
実験例 6 ここでは実験例5と同一条件の下に、但し硼素
含有量は何れも200ppmとし、酸素を夫々
10-1atomic%、5×10-2atomic%、10-2atomic
%含有する厚さ40ミクロンのa−Si光導電体層を
a−Si障壁層上に作成し、各々の分光感度特性を
測定した。測定にあたつては夫々を−400に負
帯電させ、光照射はモノクロメーターを使用して
波長域400乃至900nm間を順次可変していき表面
電位が半減するに必要な光エネルギーとの関係を
測定した。この結果は第6図に示す通りで、カー
ブS,T,Uは夫々酸素を10-1、5×10-2
10-2atomic%含有するa−Siの分光感度特性を
示す。尚、参考までに従来のSe、Se−Te(Te10
%)、ポリビニルカルバゾールにTNFを含有た
(モル比1:1)有機感光体の分光感度特性カー
ブW,X,Yとして示す。
第6図の結果から明らかな様に、a−Si光導電
体層は酸素の含有量が少ない程、分光感度は高
い。つまり酸素を10-1atomic%含有するa−Si
光導電体層の分光感度特性(カーブS)はピーク
波長650nmでも最大0.04程度で、前記有機感光体
よりも400乃至600nm波長域においてかなり低く、
従来と比して何ら改善されていない。これに対
し、酸素を5×10-2atomic%含有する場合の分
光感度(カーブT)はカーブSと比して実に5〜
6倍程度も高くなつており、従来の感光体(カー
ブW,X,Y)何れよりも特に長波長領域におい
て優れており実用に充分なものである。このこと
からしても、本発明ではa−Si光導電体層に含有
する酸素の量を0.05atomic%以下とするのが重要
である。更に酸素の含有量が10-2atomic%と微
量となると分光感度(カーブU)は酸素を5×
10-2atomic%含有する場合(カーブT)の4〜
5倍となり従来には見られない高感度の感光体が
実現されている。
実験例 7 ここでは実験例1、2及び実験例6で作成した
各感光体に対し作像実験を行つた。まず、実験例
1、2で作成した感光体に対しては+5.6KV、−
5.6KVの電圧源に接続されたコロナチヤージヤで
夫々正と負に帯電し次いで0.3mw・sec/cm2の光量
で画像露光して、2成分現像剤で現像した後転写
紙に転写て画質を調べた。
その結果、a−Si障壁層が形成されていない感
光体から得られた画像は、正負何れの帯電時でも
表面電位が低い関係上、鮮明でなく全体として滲
んだ画像となつた。一方、厚さが0.5ミクロンで
酸素を0.6atomic%含有するa−Si障壁層を有す
る感光体及び厚さが6ミクロンで酸素を
0.08atomic%含有するa−Si障壁層を有する感光
体から得られた画像はカブリが現われ不鮮明であ
つた。これに対し、厚さが何れも0.5ミクロンで
酸素含有量が夫々0.05、0.08、0.16、0.3、0.4、
0.5atomic%のa−Si障壁層を有する感光体及び
酸素含有量が何れも0.08atomic%で厚さが1、
2.4、3、4、5ミクロンのa−Si障壁層を有す
る感光体からは何れも非常に鮮明な画像が得ら
れ、本発明による優れた効果が確認された。尚、
酸素含有量が0.05atomic%の感光体からは正帯電
時に他と比して幾分劣つた画像が得られたが実用
上問題な程度であつた。また、厚さ0.3ミクロン
で酸素を1atomic%含有するa−Si障壁層を有す
る感光体に対しても同様の作像実験を行つたとこ
ろコントラストの優れた鮮明な画像が得られた。
次に実験例6で作成した各感光体を−5.6の
電圧源に接続されたコロナチヤージヤで帯電し、
次いで画像露光して磁気ブラシ現像したところ、
酸素を0.1atomic%含有する感光体を除いては何
れにも高コントラスで良好な画像が得られた。
尚、表面電位は酸素0.05、0.01atomic%含有で−
800となつた。また露光強度は0.05atomic%で
15μw/cm2、0.01atomic%含有で3μw/cm2とした。
これを酸素0.05atomic%、0.01atomic%含有する
感光体に対し、10000回繰り返したところ、最後
まで画質の変化はほとんど認められず、明暗減衰
も低下しなかつた。
発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明に係る
電子写真感光体は、導電性基板上に、厚さが約
0.2乃至5ミクロンで約0.05乃至1atomic%の酸素
を含有するアモルフアスシリコン障壁層と、その
上に厚さが約5乃至60ミクロンで約10-5乃至5×
10-2atomic%の酸素、約10乃至40atomic%の水
素並びに約10乃至20000ppmの周期律表第b族
不純物を含有するアモルフアスシリコン光導電体
層を積層してなるのであるから、a−Si光導電体
層自体、環境汚染性、耐熱性、表面硬度、摩耗性
等について優れた特性を有することに加えて、電
荷受容能力及び暗抵抗をカールソン方式による作
像を実用可能ならしめる程度に著しく向上されて
おり、しかも光感度性においても優れ且つ微量か
ら多量に渡る不純物の添加が可能であつて広範囲
の電気伝導度の制御が容易である等、優れた効果
を有する。またa−Si障壁層はa−Si光導電体層
の電荷受容能力を一段と向上且つ安定ならしめて
おり、更には従来では高電位に帯電するためには
数10ミクロン以上は必要とされていたa−Si光導
電体層の厚さを5ミクロン以上の薄層でも充分な
電位にまで帯電できることを保証する等優れた効
果を有する。しかも感光体全体として見ても製造
が容易で、従来には見られない電子写真特性全般
において優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る電子写真感光体を製造す
るためのグロー放電分解装置の概略図、第2図は
アモルフアスシリコン障壁層における酸素含有量
と初期表面電位及び残留電位の関係を示すグラフ
図、第3図はアモルフアスシリコン障壁層の膜厚
と初期表面電位及び残留電位の関係を示すグラフ
図、第4図は酸素を含むアモルフアスシリコン及
び酸素を含まないアモルフアスシリコンに硼素及
び燐を添加した場合の暗抵抗の変化を示す図、第
5図は酸素含有量によるアモルフアスシリコン光
導電体層の暗抵抗、明抵抗の変化を示す図、第6
図は酸素含有量によるアモルフアスシリコン光導
電体層の分光感度特性を示す図である。 1…SiH4ガスを密封した第1タンク、2…
PH3ガスを密封した第2タンク、3…B2H6ガス
を密封した第3タンク、4…O2ガスを密封した
第4タンク、9,10,11,12…マスフロー
コントロラー、21…反応管、22…共振振動コ
イル、23…基板。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 導電性基板上に、厚さが0.2乃至5ミクロン
    で0.05乃至1atomic%の酸素を含有するアモルフ
    アスシリコン障壁層と、その上に厚さが5乃至60
    ミクロンで10-5乃至5×10-2atomic%の酸素、10
    乃至40atomic%の水素並びに10乃至20000ppmの
    周期律表第b族不純物を含有するアモルフアス
    シリコン光導電体層を積層してなることを特徴と
    する電子写真感光体。 2 アモルフアスシリコン光導電体層に含有する
    第b族不純物は硼素であることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載の電子写真感光体。
JP55157335A 1980-05-08 1980-11-08 Electrophotographic receptor Granted JPS5781268A (en)

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DE19813117037 DE3117037A1 (de) 1980-05-08 1981-04-29 Elektrophotografisches, lichtempfindliches element
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