JPH0240731B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0240731B2 JPH0240731B2 JP62065772A JP6577287A JPH0240731B2 JP H0240731 B2 JPH0240731 B2 JP H0240731B2 JP 62065772 A JP62065772 A JP 62065772A JP 6577287 A JP6577287 A JP 6577287A JP H0240731 B2 JPH0240731 B2 JP H0240731B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- weather resistance
- film
- less
- sio
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- 229910001220 stainless steel Inorganic materials 0.000 claims description 22
- 239000010935 stainless steel Substances 0.000 claims description 19
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 claims description 18
- 239000002184 metal Substances 0.000 claims description 15
- 229910004298 SiO 2 Inorganic materials 0.000 claims description 13
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 6
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims description 5
- 150000002739 metals Chemical class 0.000 claims description 5
- 229910044991 metal oxide Inorganic materials 0.000 claims description 3
- 150000004706 metal oxides Chemical class 0.000 claims description 3
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 description 13
- 230000007797 corrosion Effects 0.000 description 13
- 238000005260 corrosion Methods 0.000 description 13
- 239000010959 steel Substances 0.000 description 13
- 229910018072 Al 2 O 3 Inorganic materials 0.000 description 10
- 238000000034 method Methods 0.000 description 7
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 7
- 239000011651 chromium Substances 0.000 description 6
- JEIPFZHSYJVQDO-UHFFFAOYSA-N iron(III) oxide Inorganic materials O=[Fe]O[Fe]=O JEIPFZHSYJVQDO-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 5
- 230000003647 oxidation Effects 0.000 description 5
- 238000007254 oxidation reaction Methods 0.000 description 5
- FAPWRFPIFSIZLT-UHFFFAOYSA-M Sodium chloride Chemical compound [Na+].[Cl-] FAPWRFPIFSIZLT-UHFFFAOYSA-M 0.000 description 4
- 229910052804 chromium Inorganic materials 0.000 description 4
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 4
- 238000000137 annealing Methods 0.000 description 3
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 3
- 239000000463 material Substances 0.000 description 3
- 239000002344 surface layer Substances 0.000 description 3
- 230000002411 adverse Effects 0.000 description 2
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 description 2
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 2
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 2
- 238000001035 drying Methods 0.000 description 2
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 2
- 229910052742 iron Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910052750 molybdenum Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910052759 nickel Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910052758 niobium Inorganic materials 0.000 description 2
- 238000005121 nitriding Methods 0.000 description 2
- 239000011780 sodium chloride Substances 0.000 description 2
- 239000003082 abrasive agent Substances 0.000 description 1
- 229910000963 austenitic stainless steel Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000003795 chemical substances by application Substances 0.000 description 1
- -1 chromium carbides Chemical class 0.000 description 1
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 description 1
- 238000000576 coating method Methods 0.000 description 1
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 1
- 239000000470 constituent Substances 0.000 description 1
- 229910052802 copper Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000005034 decoration Methods 0.000 description 1
- 230000002950 deficient Effects 0.000 description 1
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 1
- 239000006185 dispersion Substances 0.000 description 1
- 238000001941 electron spectroscopy Methods 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 238000005530 etching Methods 0.000 description 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 1
- 230000001590 oxidative effect Effects 0.000 description 1
- 230000002265 prevention Effects 0.000 description 1
- 238000001953 recrystallisation Methods 0.000 description 1
- 150000003839 salts Chemical class 0.000 description 1
- 239000007921 spray Substances 0.000 description 1
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 1
- 229910052719 titanium Inorganic materials 0.000 description 1
- XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N water Substances O XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D6/00—Heat treatment of ferrous alloys
- C21D6/004—Heat treatment of ferrous alloys containing Cr and Ni
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Description
(発明の利用分野)
本発明は、耐発さび性に優れ、外装用に適した
BA(光輝焼鈍)仕上げステンレス鋼板の製造方
法に関する。 (従来の技術とその問題点) SUS430、SUS434、SUS304などのステンレス
鋼でBA(光輝焼鈍)仕上げしたステンレス鋼板
は表面光沢が良好で美麗な上、Cl-イオンやSO2
ガスに対して耐食性を有しているため内・外装の
装飾用途にさかんに用いられている。しかし、近
年の大気環境の悪化や使用者の発さびに対する要
求もきびしくなり、さらに耐候性向上の要望が高
まつている。一方同一成分の鋼であつても、BA
仕上げ後の耐候性に差がある場合がみられ、必ず
しも安定した耐候性が得られていないのが現状で
ある。 本出願人は先に、耐候性等の耐食性について
SUS434鋼と同等以上で、しかもコストは
SUS430に近い経済性を具備するフエライト系ス
テンレス鋼を新たに見いだし、特願昭55−152209
としてすでに特許出願してある。この鋼の最も特
徴的な点は、CrとCu量を適正に管理し、用途に
応じて若干量のNi、Mo、NbおよびTiをそれぞ
れ単独あるいは複合して添加することによつて、
耐候性の著しい改善をはかつたことにあつた。こ
の鋼は内・外装用材料として一段と優れたもので
あつた。しかしこの鋼のBA仕上げ材にもやはり
前述したようにBA仕上げにより耐候性に差が見
られる。 BA仕上げ条件と耐候性に関し、特開昭61−
197282には鋼中のSiに着目し、BA炉の雰囲気ガ
ス組成、露点および熱処理温度の制御による耐候
性の改善方法が開示されている。しかしこれは従
来から行われているBA処理条件と重なるところ
もあり、BA仕上げステンレス鋼に形成される皮
膜を記述したに等しく、Siのみへの着目では不充
分で、安定して耐食性皮膜は得られない。また、
後述するように雰囲気ガスの露点をいたずらに低
めることはかえつて耐候性を阻害することにな
る。 (発明の目的) 本発明は、このような問題点を解決するもの
で、BA仕上げによる耐候性の変動が小さく、し
かもすぐれた耐候性を安定して有するBA仕上げ
ステンレス鋼板の製造方法を意図するものであ
る。 (問題点を解決する技術的手段) 本発明者等は、BA仕上げステンレス鋼の耐候
性と皮膜組成の関連を詳細に検討した結果、BA
雰囲気の露点を低めたり、処理温度を高くすると
皮膜中のSiO2が増加し耐候性が向上するが、BA
皮膜中にAl2O3が多量に存在すると耐候性が阻害
されることを見いだし、これを防ぐには鋼中の
Al量をできるだけ低下させるとともに、BA焼鈍
雰囲気の露点および処理温度を適切に制御して
Alの酸化を少くすることが不可欠であることが
明らかになつた。 (発明の構成) 本発明は上述の知見によつてなされたものであ
り、その要旨とするところは、Alを重量%で0.05
%以下に低めたステンレス鋼を、−40℃〜−65℃
の露点に制御したH2ガス中あるいはH2とN2の混
合ガス中で、960℃以上1040℃以下の温度で熱処
理することによつて、皮膜中の金属元素の割合が
金属状態のFeを10%以下に、酸化物状態のAlを
60%以下(Cを除いた原子%)で、他はSiO2と
他の金属および金属酸化物からなる皮膜を形成さ
せることを特徴とする耐候性にすぐれたBA仕上
げステンレス鋼板の製造方法である。 上記の「Cを除いた原子%」とは、金属成分の
うち、Cを除いた残部の金属状態の金属および酸
化物状態の金属の総金属分を100%とすることを
意味する。 「他の金属および金属酸化物」とは、ステンレ
ス鋼の構成元素、例えば、Cr、Ni、Nb、Ti、
Mo、Mnなどの金属元素およびこれらの酸化物
を意味する。 (発明の具体的開示) 次に本発明方法によつて形成される皮膜につい
て述べる。 第1図A,B,C,Dは0.39%のSiと0.04%の
Alを含むSUS444(低C、N、18Cr−2Mo、Nb)
鋼の板を、露点−62℃の75%H2と25%N2の混合
ガス中で温度をかえて処理したときの皮膜組成の
変化をESCA(Electron Spectroscopy of
ChemicalAnalysis)で分析した結果を示す。(右
肩のMは金属状態であることを示す。)縦軸はC
分を除いた成分を原子%で示し、横軸のエツチン
グ時間は表面からの深さを代表するもので、ステ
ンレス鋼の場合、およそ1Å/secの割合でエツ
チングされる。 900℃以上で加熱すると、表層には主として
Al2O3とSiO2が生成することがわかる。しかし
950℃で加熱した皮膜表層にはFe金属分が10原子
%以上みられ、これが初期さびとなり耐候性を悪
くする。加熱温度が高くなるとAl2O3とSiO2が増
加し、同時に表層のFe金属分は著しく減少する。
しかし加熱温度が1050℃ではAl2O3としてのAlが
60原子%をこえて増加するのに対し、SiO2とし
てのSiは10原子%以下に減少する。 第2図は、SUS444鋼の板を上述の雰囲気で処
理した後、Arガスで脱気した30℃の5%NaCl溶
液中で測定したSUS444の孔食電位を示す。測定
はJISG−0577に準じて行つた。〇印は#600の研
摩紙を用いて湿式研摩した試料を示し、●印は75
%H2−25%N2雰囲気中でBA処理した試料を示
す、は数値のばらつきの巾を示す。H2/N2ガ
ス雰囲気中で処理したSUS444の孔食電位は975
℃〜1000℃の処理で極大値を示し、研摩した試片
の孔食電位に比べてすぐれた耐孔食性を有するこ
とがわかる。大多数の発さびは孔食を起点とする
ことから、耐孔食性のすぐれたこれらの処理材は
耐候性にもすぐれることは明らかである。一方、
950℃と1050℃で処理したものは研摩材の孔食電
位と同程度であり、975℃〜1000℃で処理したも
のに比べて耐候性に劣ることがわかる。第1図に
示した皮膜の組成と対比させてみると、950℃で
の処理ではFe金属分が10原子%以上と多いため
発さびが誘発されやすく、処理温度を上げると
Fe金属分は著しく減少するとともにSiO2、Al2O3
が増加しすぐれた耐候性の皮膜が形成される。し
かし、処理温度が105℃ではSiO2としてのSiが10
原子%以下になり耐候性は再び低下する。本発明
方法による皮膜ではSiO2としてのSiを10原子%
以上でAl2O3としてのAlを60原子%以下にするこ
とが必要である。この理由は、10原子%以下の
SiO2としてのSiではAl2O3の欠陥部をカバーしき
れなくなるものと考えられる。 上述の皮膜を形成させるステンレス鋼としては
鋼の結晶構造によらず、フエライト系ステンレス
鋼でもオーステナイト系ステンレス鋼でも構わな
い。皮膜中に存在するSi、Al分は通常、ステン
レス鋼の製造において脱酸剤として添加されるも
のである。Siについては多い方が望ましいが、
AlはAl2O3を形成し、SiO2の耐候性皮膜の形成を
阻害するため出来るだけ少くする必要がある。し
かし脱酸には有効な元素であるため、0.05%を限
度に添加する。素材中のCrはとくに限定する必
要はないがあまり多くなると皮膜中に増加し
SiO2の形成を防げる。また表面光沢の面で悪影
響をおよぼし、加工性も悪くなるので25%以下が
望ましい。また、本発明ではステンレス鋼を950
℃をこえる高温で処理するため、粒界腐食や結晶
粒度の面を考慮する必要がある。この意味でフエ
ライト系ステンレス鋼に本発明を適用するには適
量のNbを添加し、C、Nを固定し、クロム炭化
物の生成に帰因する粒界腐食を抑制するととも
に、再結晶温度を高め結晶粒の粗大化による機械
的性質の劣化を防ぐのが好ましい。 本発明で示したBA仕上げによるすぐれた耐候
性を有し、かつ耐候性の変動が小さい皮膜を形成
させるためには、Alを重量%で0.05%以下に低め
たステンレス鋼を、露点−40℃〜−65℃のH2ガ
スあるいはH2とN2の混合ガス中で、960℃以上
1040℃以下の温度で熱処理することが必要であ
る。 次にこれらの条件について説明すると、露点が
高いと鋼中のFe、Mn、Crが酸化され表面皮膜の
着色がつよく、表面光沢の面で問題がある。露点
を低めることによつてこれら元素の酸化は抑制さ
れ、かわつてSi、Alの酸化が主体となる。しか
し露点をいたずらに下げると酸化はAl分が優先
し、SiO2による耐食性皮膜が損われる。このこ
とから、露点は−40℃から−65℃にする必要があ
る。雰囲気ガスとしては、一般に用いられるH2
ガスあるいはH2とN2の混合ガスなどの非酸化性
ガスを用いる。なお、H2とN2の混合ガスの場
合、N2は窒化を伴いCrの窒化による耐食性への
悪影響が懸念されるので、N2は少い方が望まし
い。 以上の条件でBA処理することによつて耐候性
にすぐれた皮膜を安定して得ることができる。 以下に本発明の実施例をのべる。 第1表にステンレス鋼板のBA処理による皮膜
組成と耐食性試験結果を示す。耐候性試験は、30
℃、10分間の塩水噴霧→30℃、80%RHで60分の
湿潤→40℃、50%RHで30分の乾燥→10分間シヤ
ワ→40℃、35%RHで80分の乾燥を1サイクルと
して、赤さびの発生するまでのサイクル数で評価
した。 供試鋼の主成分によつて耐候性レベルに差はあ
るが、本発明方法によつて製造したBA皮膜はす
ぐれた耐候性を示すことが明らかである。すなわ
ち、0.05重量%以下にAlを低めたステンレス鋼を
露点−40℃〜−65℃のH2ガスあるいはH2とN2の
混合ガス中で960℃以上1040℃以下の温度で処理
することによつて、皮膜中のFeのメタル分およ
びAl2O3の生成を適量に制御した皮膜はすぐれた
耐候性が得られている。逆にFeの金属分の多い
皮膜もしくは大部分がAl2O3からなる皮膜の耐候
性は劣る。
BA(光輝焼鈍)仕上げステンレス鋼板の製造方
法に関する。 (従来の技術とその問題点) SUS430、SUS434、SUS304などのステンレス
鋼でBA(光輝焼鈍)仕上げしたステンレス鋼板
は表面光沢が良好で美麗な上、Cl-イオンやSO2
ガスに対して耐食性を有しているため内・外装の
装飾用途にさかんに用いられている。しかし、近
年の大気環境の悪化や使用者の発さびに対する要
求もきびしくなり、さらに耐候性向上の要望が高
まつている。一方同一成分の鋼であつても、BA
仕上げ後の耐候性に差がある場合がみられ、必ず
しも安定した耐候性が得られていないのが現状で
ある。 本出願人は先に、耐候性等の耐食性について
SUS434鋼と同等以上で、しかもコストは
SUS430に近い経済性を具備するフエライト系ス
テンレス鋼を新たに見いだし、特願昭55−152209
としてすでに特許出願してある。この鋼の最も特
徴的な点は、CrとCu量を適正に管理し、用途に
応じて若干量のNi、Mo、NbおよびTiをそれぞ
れ単独あるいは複合して添加することによつて、
耐候性の著しい改善をはかつたことにあつた。こ
の鋼は内・外装用材料として一段と優れたもので
あつた。しかしこの鋼のBA仕上げ材にもやはり
前述したようにBA仕上げにより耐候性に差が見
られる。 BA仕上げ条件と耐候性に関し、特開昭61−
197282には鋼中のSiに着目し、BA炉の雰囲気ガ
ス組成、露点および熱処理温度の制御による耐候
性の改善方法が開示されている。しかしこれは従
来から行われているBA処理条件と重なるところ
もあり、BA仕上げステンレス鋼に形成される皮
膜を記述したに等しく、Siのみへの着目では不充
分で、安定して耐食性皮膜は得られない。また、
後述するように雰囲気ガスの露点をいたずらに低
めることはかえつて耐候性を阻害することにな
る。 (発明の目的) 本発明は、このような問題点を解決するもの
で、BA仕上げによる耐候性の変動が小さく、し
かもすぐれた耐候性を安定して有するBA仕上げ
ステンレス鋼板の製造方法を意図するものであ
る。 (問題点を解決する技術的手段) 本発明者等は、BA仕上げステンレス鋼の耐候
性と皮膜組成の関連を詳細に検討した結果、BA
雰囲気の露点を低めたり、処理温度を高くすると
皮膜中のSiO2が増加し耐候性が向上するが、BA
皮膜中にAl2O3が多量に存在すると耐候性が阻害
されることを見いだし、これを防ぐには鋼中の
Al量をできるだけ低下させるとともに、BA焼鈍
雰囲気の露点および処理温度を適切に制御して
Alの酸化を少くすることが不可欠であることが
明らかになつた。 (発明の構成) 本発明は上述の知見によつてなされたものであ
り、その要旨とするところは、Alを重量%で0.05
%以下に低めたステンレス鋼を、−40℃〜−65℃
の露点に制御したH2ガス中あるいはH2とN2の混
合ガス中で、960℃以上1040℃以下の温度で熱処
理することによつて、皮膜中の金属元素の割合が
金属状態のFeを10%以下に、酸化物状態のAlを
60%以下(Cを除いた原子%)で、他はSiO2と
他の金属および金属酸化物からなる皮膜を形成さ
せることを特徴とする耐候性にすぐれたBA仕上
げステンレス鋼板の製造方法である。 上記の「Cを除いた原子%」とは、金属成分の
うち、Cを除いた残部の金属状態の金属および酸
化物状態の金属の総金属分を100%とすることを
意味する。 「他の金属および金属酸化物」とは、ステンレ
ス鋼の構成元素、例えば、Cr、Ni、Nb、Ti、
Mo、Mnなどの金属元素およびこれらの酸化物
を意味する。 (発明の具体的開示) 次に本発明方法によつて形成される皮膜につい
て述べる。 第1図A,B,C,Dは0.39%のSiと0.04%の
Alを含むSUS444(低C、N、18Cr−2Mo、Nb)
鋼の板を、露点−62℃の75%H2と25%N2の混合
ガス中で温度をかえて処理したときの皮膜組成の
変化をESCA(Electron Spectroscopy of
ChemicalAnalysis)で分析した結果を示す。(右
肩のMは金属状態であることを示す。)縦軸はC
分を除いた成分を原子%で示し、横軸のエツチン
グ時間は表面からの深さを代表するもので、ステ
ンレス鋼の場合、およそ1Å/secの割合でエツ
チングされる。 900℃以上で加熱すると、表層には主として
Al2O3とSiO2が生成することがわかる。しかし
950℃で加熱した皮膜表層にはFe金属分が10原子
%以上みられ、これが初期さびとなり耐候性を悪
くする。加熱温度が高くなるとAl2O3とSiO2が増
加し、同時に表層のFe金属分は著しく減少する。
しかし加熱温度が1050℃ではAl2O3としてのAlが
60原子%をこえて増加するのに対し、SiO2とし
てのSiは10原子%以下に減少する。 第2図は、SUS444鋼の板を上述の雰囲気で処
理した後、Arガスで脱気した30℃の5%NaCl溶
液中で測定したSUS444の孔食電位を示す。測定
はJISG−0577に準じて行つた。〇印は#600の研
摩紙を用いて湿式研摩した試料を示し、●印は75
%H2−25%N2雰囲気中でBA処理した試料を示
す、は数値のばらつきの巾を示す。H2/N2ガ
ス雰囲気中で処理したSUS444の孔食電位は975
℃〜1000℃の処理で極大値を示し、研摩した試片
の孔食電位に比べてすぐれた耐孔食性を有するこ
とがわかる。大多数の発さびは孔食を起点とする
ことから、耐孔食性のすぐれたこれらの処理材は
耐候性にもすぐれることは明らかである。一方、
950℃と1050℃で処理したものは研摩材の孔食電
位と同程度であり、975℃〜1000℃で処理したも
のに比べて耐候性に劣ることがわかる。第1図に
示した皮膜の組成と対比させてみると、950℃で
の処理ではFe金属分が10原子%以上と多いため
発さびが誘発されやすく、処理温度を上げると
Fe金属分は著しく減少するとともにSiO2、Al2O3
が増加しすぐれた耐候性の皮膜が形成される。し
かし、処理温度が105℃ではSiO2としてのSiが10
原子%以下になり耐候性は再び低下する。本発明
方法による皮膜ではSiO2としてのSiを10原子%
以上でAl2O3としてのAlを60原子%以下にするこ
とが必要である。この理由は、10原子%以下の
SiO2としてのSiではAl2O3の欠陥部をカバーしき
れなくなるものと考えられる。 上述の皮膜を形成させるステンレス鋼としては
鋼の結晶構造によらず、フエライト系ステンレス
鋼でもオーステナイト系ステンレス鋼でも構わな
い。皮膜中に存在するSi、Al分は通常、ステン
レス鋼の製造において脱酸剤として添加されるも
のである。Siについては多い方が望ましいが、
AlはAl2O3を形成し、SiO2の耐候性皮膜の形成を
阻害するため出来るだけ少くする必要がある。し
かし脱酸には有効な元素であるため、0.05%を限
度に添加する。素材中のCrはとくに限定する必
要はないがあまり多くなると皮膜中に増加し
SiO2の形成を防げる。また表面光沢の面で悪影
響をおよぼし、加工性も悪くなるので25%以下が
望ましい。また、本発明ではステンレス鋼を950
℃をこえる高温で処理するため、粒界腐食や結晶
粒度の面を考慮する必要がある。この意味でフエ
ライト系ステンレス鋼に本発明を適用するには適
量のNbを添加し、C、Nを固定し、クロム炭化
物の生成に帰因する粒界腐食を抑制するととも
に、再結晶温度を高め結晶粒の粗大化による機械
的性質の劣化を防ぐのが好ましい。 本発明で示したBA仕上げによるすぐれた耐候
性を有し、かつ耐候性の変動が小さい皮膜を形成
させるためには、Alを重量%で0.05%以下に低め
たステンレス鋼を、露点−40℃〜−65℃のH2ガ
スあるいはH2とN2の混合ガス中で、960℃以上
1040℃以下の温度で熱処理することが必要であ
る。 次にこれらの条件について説明すると、露点が
高いと鋼中のFe、Mn、Crが酸化され表面皮膜の
着色がつよく、表面光沢の面で問題がある。露点
を低めることによつてこれら元素の酸化は抑制さ
れ、かわつてSi、Alの酸化が主体となる。しか
し露点をいたずらに下げると酸化はAl分が優先
し、SiO2による耐食性皮膜が損われる。このこ
とから、露点は−40℃から−65℃にする必要があ
る。雰囲気ガスとしては、一般に用いられるH2
ガスあるいはH2とN2の混合ガスなどの非酸化性
ガスを用いる。なお、H2とN2の混合ガスの場
合、N2は窒化を伴いCrの窒化による耐食性への
悪影響が懸念されるので、N2は少い方が望まし
い。 以上の条件でBA処理することによつて耐候性
にすぐれた皮膜を安定して得ることができる。 以下に本発明の実施例をのべる。 第1表にステンレス鋼板のBA処理による皮膜
組成と耐食性試験結果を示す。耐候性試験は、30
℃、10分間の塩水噴霧→30℃、80%RHで60分の
湿潤→40℃、50%RHで30分の乾燥→10分間シヤ
ワ→40℃、35%RHで80分の乾燥を1サイクルと
して、赤さびの発生するまでのサイクル数で評価
した。 供試鋼の主成分によつて耐候性レベルに差はあ
るが、本発明方法によつて製造したBA皮膜はす
ぐれた耐候性を示すことが明らかである。すなわ
ち、0.05重量%以下にAlを低めたステンレス鋼を
露点−40℃〜−65℃のH2ガスあるいはH2とN2の
混合ガス中で960℃以上1040℃以下の温度で処理
することによつて、皮膜中のFeのメタル分およ
びAl2O3の生成を適量に制御した皮膜はすぐれた
耐候性が得られている。逆にFeの金属分の多い
皮膜もしくは大部分がAl2O3からなる皮膜の耐候
性は劣る。
【表】
* 比較例
** 皮膜中の金属状態の金属元素と酸化物状態の金
属元素の総量(但し、Cを除く)を100%とした
ものであり、表中には金属状態のFeおよび酸化物
状態のSiとAlのみを示した。
** 皮膜中の金属状態の金属元素と酸化物状態の金
属元素の総量(但し、Cを除く)を100%とした
ものであり、表中には金属状態のFeおよび酸化物
状態のSiとAlのみを示した。
第1図A〜Dは、0.39%のSiと0.04%のAlを含
むSUS444鋼板を、露点−62℃の75%H2と25%
N2の混合ガス中で、950℃×30秒、975℃×30秒、
1000℃×30秒および1050℃×30秒の温度で処理し
て生じた鋼板表面の皮膜組成をESCAによつて分
析した図である。第2図は、上述の処理をした鋼
板の孔食電位を、脱気した30℃の5%NaCl溶液
中でJIS G0577に準じて求めた図である。
むSUS444鋼板を、露点−62℃の75%H2と25%
N2の混合ガス中で、950℃×30秒、975℃×30秒、
1000℃×30秒および1050℃×30秒の温度で処理し
て生じた鋼板表面の皮膜組成をESCAによつて分
析した図である。第2図は、上述の処理をした鋼
板の孔食電位を、脱気した30℃の5%NaCl溶液
中でJIS G0577に準じて求めた図である。
Claims (1)
- 1 Al含有量が0.05重量%以下であるステンレス
鋼を、露点が−40℃〜−65℃に制御されたH2ガ
スまたはH2とN2との混合ガスの中で、960℃以
上1040℃以下の温度で熱処理することによつて、
ステンレス鋼表面にCを除いた原子%で、金属状
態のFe10%以下、酸化物状態のAl60%以下を含
有し、残部SiO2と他の金属および金属酸化物か
らなる酸化皮膜を形成せしめることを特徴とする
耐侯性に優れたBA仕上げステンレス鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6577287A JPS63235461A (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 耐候性に優れたba仕上げステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6577287A JPS63235461A (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 耐候性に優れたba仕上げステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63235461A JPS63235461A (ja) | 1988-09-30 |
JPH0240731B2 true JPH0240731B2 (ja) | 1990-09-13 |
Family
ID=13296652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6577287A Granted JPS63235461A (ja) | 1987-03-23 | 1987-03-23 | 耐候性に優れたba仕上げステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63235461A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119856A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Nisshin Steel Co Ltd | 親水性ステンレス鋼板及びその製造方法 |
JP2016196682A (ja) * | 2015-04-03 | 2016-11-24 | 日新製鋼株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼板、カバー部材およびオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5782421A (en) * | 1980-11-10 | 1982-05-22 | Kawasaki Steel Corp | Bright annealing method of mo-containing middle cr concentration ferritic stainless steel |
JPS5811220A (ja) * | 1981-07-08 | 1983-01-22 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 回転リ−ダ用係止ピンの着脱装置 |
JPS5861220A (ja) * | 1981-10-09 | 1983-04-12 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐銹性に優れたフエライトステンレス鋼の製造方法 |
JPS58197282A (ja) * | 1982-05-12 | 1983-11-16 | Nippon Steel Corp | 耐銹性ステンレス鋼およびその製造方法 |
-
1987
- 1987-03-23 JP JP6577287A patent/JPS63235461A/ja active Granted
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5782421A (en) * | 1980-11-10 | 1982-05-22 | Kawasaki Steel Corp | Bright annealing method of mo-containing middle cr concentration ferritic stainless steel |
JPS5811220A (ja) * | 1981-07-08 | 1983-01-22 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 回転リ−ダ用係止ピンの着脱装置 |
JPS5861220A (ja) * | 1981-10-09 | 1983-04-12 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐銹性に優れたフエライトステンレス鋼の製造方法 |
JPS58197282A (ja) * | 1982-05-12 | 1983-11-16 | Nippon Steel Corp | 耐銹性ステンレス鋼およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63235461A (ja) | 1988-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5206705B2 (ja) | 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP4369416B2 (ja) | 酸洗い性に優れたばね用鋼線材 | |
EP3045558A1 (en) | Hot-dip galvanized steel sheet and galvannealed steel sheet of excellent appearance and plating adhesiveness, and manufacturing method therefor | |
JP5513216B2 (ja) | 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP2010126758A (ja) | 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP5811841B2 (ja) | Si含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP6878243B2 (ja) | 耐食性に優れるNb含有フェライト系ステンレス鋼材および製造方法 | |
JP5648237B2 (ja) | 表面品質に優れた亜鉛メッキ鋼板及びその製造方法 | |
JP5444752B2 (ja) | 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JPH07180001A (ja) | 加工性と耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材 | |
JP5667363B2 (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP5513148B2 (ja) | めっき鋼板、およびその製造方法 | |
JPS5861220A (ja) | 耐銹性に優れたフエライトステンレス鋼の製造方法 | |
JP5018257B2 (ja) | 研磨性および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
WO2014091702A1 (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
TWI651417B (zh) | 熱浸鍍鋅鋼材及其製造方法 | |
JPH0240731B2 (ja) | ||
JPS648694B2 (ja) | ||
JP3477957B2 (ja) | 200〜400℃の高温酸化環境下での耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 | |
JP5593770B2 (ja) | 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP6505415B2 (ja) | 加工性と耐食性に優れたFe−Cr−Ni系合金材料の表面処理方法 | |
JP2003277902A (ja) | めっき密着性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP3112195B2 (ja) | 耐酸化性に優れた研磨仕上げフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP4428033B2 (ja) | プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板 | |
JP2952840B2 (ja) | 窒素含有化合物を有する耐銹性に優れたステンレス鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |