JP4428033B2 - プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形性に優れ、特に自動車車体の素材として好適な溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
近年、自動車車体の材料として塗装後耐食性と溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が多く使用されている。最近では、自動車の燃費向上と排気ガス低減の必要性から自動車車体の軽量化が求められ、同時に衝突安全性の面から自動車車体の高強度化も併せて要望されており、このため自動車車体の素材として高強度鋼板を下地とした合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用が増加している。一方、自動車用部品は形状が複雑なものが多く、また製造においては高い生産性が要求されることから、プレス成形により加工される場合が多い。このため自動車車体の材料には良好なプレス加工性が求められる。
高強度鋼板において良好なプレス成形性を実現するために必要とされる材料特性は、延性とりわけ伸びフランジ性である。しかし、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、同等の強度レベルを持つ冷延鋼板と比較して伸びフランジ性が劣ることが知られている。そのため、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は冷延鋼板よりもプレス成形性に劣るという問題があった。
このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板の問題を解決するため、従来より様々な検討がなされてきた。最も多く提案されてきた解決手段は、鋼板自体の伸びフランジ性を向上させる方法である。
例えば、特許文献1には、鋼板成分と熱延条件及び連続溶融亜鉛めっきラインにおける熱処理条件を規定することにより、良好なプレス加工性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法が提案されている。また、特許文献2には、連続溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍条件を最適化し、鋼板組織を制御することで良好な伸びフランジ性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法が提案されている。
特開平2−290955号公報 特開平8−134591号公報
しかし、これらの方法では、鋼板自体の伸びフランジ性は改善されるものの、合金化溶融亜鉛めっきに伴う伸びフランジ性の低下を防止することはできず、最終製品の伸びフランジ性は十分なものではない。
これに対して特許文献3には、合金化溶融亜鉛めっきに伴う伸びフランジ性の低下に着目し、これを制御する方法が提案されている。この方法は、めっき皮膜中のFe濃度を最適化することで、下地鋼板表面の結晶粒界へのZnの侵入欠陥数を60個/mm以下とし、鋼板とめっき皮膜との密着力を一定範囲内に規定することによって、伸びフランジ性の改善を図ろうとするものである。しかしながら、後述するように本発明者らの知見によれば、この方法によっても伸びフランジ性を十分に改善することはできない。
特開平7−286253号公報
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、下地鋼板が本来有している優れた伸びフランジ性が損なわれることなく、優れた伸びフランジ性を示す溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
本発明者らは、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が冷延鋼板と較べて相対的に伸びフランジ性に劣る原因とその対策について調査検討を行ない、その結果、以下のような事実を知見した。
(1) 溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が、同等の強度を持つ冷延鋼板に較べて伸びフランジ性に劣る主な原因は、めっき金属であるZnの鋼板結晶粒界への侵食である。すなわち、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板に加工を加えると、Znに侵食された部分(結晶粒界)が起点となって鋼板に亀裂が発生及び伝播し、Znによる侵食のない場合に較べてより早く破断に至るため、伸びフランジ性が低下する。図2は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材鋼板面の結晶粒界に生じたZn侵食部分(写真中の矢印部分)の断面拡大写真(SEMによる断面拡大写真)である。
(2) Zn侵食部分が伸びフランジ性に影響を及ぼすに当たり、最も支配的な因子はZn侵食部分の最大深さであり、Zn侵食部分が深いほど伸びフランジ性が低下する。一方、Zn侵食部分の密度は下地鋼板の結晶粒径に依存するが、伸びフランジ性とは相関が認められない。
また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜中のFe濃度は伸びフランジ性の直接的な決定因子ではない。めっき皮膜と鋼板の間のFe−Zn合金化反応が進行するとZn侵食部分の深さが大きくなり、伸びフランジ性は低下する。したがって、見掛け上ではめっき皮膜中のFe濃度が増加すると伸びフランジ性が低下するが、伸びフランジ性の低下はZn侵食部分の深さに依存したものである。したがって、特定の方法によりZnによる鋼板結晶粒界の侵食を抑制し、高い伸びフランジ性を維持しつつ、Fe−Zn合金化反応を進行させることが可能である。
(3) Znによる鋼板結晶粒界の侵食深さが小さい溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るには、以下のような方法が有効である。
(a) 鋼板にBを添加すると結晶粒界が強化され、その結果、Znによる鋼板結晶粒界の侵食を抑制することができる。
(b) Znの鋼板結晶粒界への侵食は粒界酸化部で起こることから、鋼板表面の粒界酸化深さが小さい下地鋼板を用いることにより、Znの鋼板結晶粒界への侵食深さを小さく抑えることができる。
(c) スラブ加熱時にスラブ表層の内部に酸化が起こり、このとき生成した内部酸化物が酸洗、冷圧、再結晶焼鈍を経た後も鋼板表層の結晶粒界に存在していると結晶粒界が脆弱になり、その結果、Znによる鋼板結晶粒界の侵食が促進される。したがって、スラブ加熱時の内部酸化物の生成を抑えることにより、Znによる鋼板結晶粒界の侵食を抑制することができる。スラブ表層の内部酸化物の生成は、スラブ加熱温度と加熱時間を制御することで抑制することができる。
(d) 酸洗後の熱延鋼板表面を研削することにより、上記内部酸化物の一部を除去することができ、これによってもZnによる鋼板結晶粒界の侵食を抑制することができる。
(e) 溶融亜鉛めっき時の浴中Al濃度を低くすることにより、鋼板結晶粒内の合金化反応を促進し、鋼板結晶粒界における選択的な合金化反応の進行を抑制することにより、Znによる鋼板結晶粒界の侵食を抑制することができる。
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1]めっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さ(但し、めっき鋼板の板厚断面において、幅10mmの任意の部分に生じたZnの結晶粒界中への侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値)が2.0μm以上30μm以下であることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
[2]上記[1]のめっき鋼板において、めっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さ(但し、めっき鋼板の板厚断面において、幅10mmの任意の部分に生じたZnの結晶粒界中への侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値)が2.0μm以上10μm以下であることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
[3]上記[1]又は[2]のめっき鋼板において、母材鋼板が、Bを0.0001〜0.01mass%含有することを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっきや合金化処理に伴う伸びフランジ性の低下が少ないため、従来製品に較べて優れた伸びフランジ性を示し、プレス成形性が極めて優れている。このためプレス成形が行われる種々の用途に供されるめっき鋼板として、とりわけ自動車車体用鋼板として極めて有用である。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さ(めっき皮膜と母材鋼板との界面からの板厚方向での深さ)を30μm以下、好ましくは10μm以下としためっき鋼板である。ここで、Znの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さとは、めっき鋼板の板厚断面において、幅10mmの任意の部分に生じたZnの結晶粒界中への侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値と定義する。
先に述べたように溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板の伸びフランジ性を支配する因子はZnの鋼板面結晶粒界への侵食深さであり、この侵食深さ(上記定義による侵食深さ)を30μm以下、好ましくは10μm以下に規制することにより、優れた伸びフランジ性を得ることができる。
図1は、溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、Znの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さと伸びフランジ性(後述する実施例で定義されるΔλ)との関係を調べた結果を示している。この試験では、種々の化学成分を有する鋼(特に、鋼中Si量の異なる鋼)を素材とし、熱延条件(加熱温度、仕上げ温度、巻き取り温度)を調整して作製した、粒界酸化の程度が異なる母材鋼板を用いて、連続溶融亜鉛めっきラインにて溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造し、伸びフランジ性の評価を行った。同時に、同じ素材の鋼板から連続溶融亜鉛めっきラインの入側にてサンプルを切断採取し、このサンプルに対して実験室において連続溶融亜鉛めっきライン相当の焼鈍処理を施したもの(実験室焼鈍処理材)について、同様の伸びフランジ性の評価を行った。
各供試材の伸びフランジ性の評価は、穴拡げ率の測定によって行い、穴拡げ率λ(%)は下式により求めた。
λ={(割れ発生時の穴径d−初期穴径do)/初期穴径do}×100
測定に用いたポンチは先端角度60°の円錐ポンチとし、初期穴径は10mmとした。
めっきを行わなかった実験室焼鈍処理材と溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の伸びフランジ性を比較することにより、めっき皮膜の存在に起因する伸びフランジ性の低下量を見積もることができる。溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率をλG、これに対応する実験室焼鈍処理材の穴拡げ率をλSとし、下式で定義される伸びフランジ性の低下量Δλを用いて、伸びフランジ性の低下量を評価した。
Δλ={(λS−λG)/λS}×100(%)
一方、母材鋼板面の結晶粒界中へのZnの侵食深さは、以下の方法で求めた。溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の板厚断面を幅10mmにわたって走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察されたZn侵食部分の中から深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値を求め、この値をZnの結晶粒界中への侵食深さとした。なお、Zn侵食部分の断面形態は楔型をしていることが多く、先端位置を決定しにくい。そこで、図4に示すようにZn侵食部分の幅が0.5μmとなる位置を先端とした。
図1によれば、母材鋼板面の結晶粒界中へのZnの侵食深さが浅いほど、伸びフランジ性が改善されることが判る。具体的には、侵食深さが30μm以下において伸びフランジ性の低下量Δλは30%未満となり、実用上、冷延鋼板とほぼ同等に扱える溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。また、図1によれば、さらに良好な伸びフランジ性を得るためには、侵食深さは10μm以下が好ましいことが判る。このため、本発明ではめっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さを30μm以下、好ましくは10μm以下とする。
なお、概して溶融亜鉛めっき鋼板の方が合金化溶融亜鉛めっき鋼板よりも伸びフランジ性の低下量は小さかった。これは、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、合金化処理の過程でZnの鋼板面結晶粒界への侵食が進行するためであると考えられる。しかしながら、溶融亜鉛めっき鋼板においても、Znの侵食深さが深い場合には、Znの侵食深さが浅い合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比べて伸びフランジ性の低下量は大きかった。すなわち、溶融亜鉛めっき或いは合金化溶融亜鉛めっきというめっき種の違いに拘りなく、伸びフランジ性はZnの鋼板面結晶粒界への侵食深さにより一義的に決まることが判った。
次に、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材鋼板(めっき下地鋼板)の好ましい成分組成について説明する。
Cは鋼板の強度を確保するための基本的な成分である。また、必要に応じて、Si、Mnなどの他成分との組合せにより鋼板の焼入性を高め、鋼板を二相組織とすることも可能である。Cが0.0005mass%未満では鋼板の強度が不十分であるが、0.2mass%を超えるCの過剰な添加は溶接性及び加工性を劣化させる。このためC量は0.0005〜0.2mass%とすることが適当である。
Siはフェライト相の形成を促進し、鋼板組織を安定させる効果がある。また、固溶強化によってフェライト相の強度を上げ、鋼板の強度を増加させる。特に、二相組織鋼の場合は、フェライト相と硬質相の強度差を減少させるため、鋼板内の強度分布を均一にし、伸びフランジ性を向上させる効果がある。その反面、SiはFeと比較して易酸化性元素であるため、過剰に添加すると鋼板表面に酸化物を形成し、溶融亜鉛めっきのめっき性及び合金化処理性を劣化させる。Siを1.5mass%を超えて添加するとめっき性及び合金化処理性が著しく劣化する。このためSi量は1.5mass%以下とすることが適当である。一方、上記のSiの効果を得るにはSi量は0.1mass%以上とすることが好ましい。
Mnは、固溶強化、結晶粒の細粒化による強化によって鋼板の強度と靭性を向上させるのに有効な元素である。しかし、2.5mass%を超える添加は鋼板組織にマンガンバンドを形成し、伸びフランジ性を劣化させる。このためMn量は2.5mass%以下とすることが適当である。一方、上記のMnの効果を得るにはMn量は0.5mass%以上とすることが好ましい。
Pは鋼の強度を向上させる効果があるが、反面、鋼板の加工性、めっき密着性及びめっき皮膜の合金化処理性を劣化させる元素でもある。Pを0.1mass%を超えて添加すると、鋼板の加工性、めっき密着性及びめっき皮膜の合金化処理性が劣化するため、Pは0.1mass%以下とすることが適当である。
Sは、加工性を確保する観点から0.05mass%以下とすることが望ましい。
Znの鋼板結晶粒界への侵食深さを小さくするためには、Znによる結晶粒界の侵食を抑制することができる元素を母材鋼板に添加することが好ましく、特に、Bを0.0001〜0.01mass%の範囲で添加することが有効である。Bは、鋼板の結晶粒界に偏析してZnの侵食を妨げ、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板の伸びフランジ性を向上させる。このような効果を得るためにはBを0.0001mass%以上、またその効果をより確実に得るためには0.001mass%以上添加することが適当である。一方、Bは0.01mass%を超えて添加しても効果が飽和する。
その他、Znによる結晶粒界の侵食を抑制できる元素としては、結晶粒界に偏析しやすく、結晶粒界へのZn侵食の障害となる働きをする元素であればよく、N,C,Pなども適量が添加されれば同様の効果を発揮する。
以上の元素の他に、必要に応じて、Ti、Nb、Cr、V、Alなどの元素の1種以上を、それぞれTi:0.5mass%以下、Nb:0.3mass%以下、Cr:1mass%以下、V:0.1mass%以下、Al:3mass%以下の範囲で添加してもよい。これらの元素は、鋼板組織を以下のように適正化する作用を有する。例えば、Cr、V、Alはオーステナイトを安定化させ、残留オーステナイトの生成を容易にするため、高度の延性が要求される場合に添加される。一方、Ti、Nbは炭化物を生成して鋼板結晶粒を微細化する作用を有するため、結晶粒微細化により強度を向上させる場合に添加される。このように、鋼板にはその用途や目的とする特性に応じて任意の成分を添加してもよい。
溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき金属であるZnの鋼板面結晶粒界への侵食深さを30μm以下、好ましくは10μm以下にするには、上述した母材鋼板へのBなど添加に加えて、以下のような方法が有効である。
まず、Znによる鋼板結晶粒界の侵食は粒界酸化部で起こることから、Znの鋼板結晶粒界中への侵食深さを小さく抑えるためには、鋼板表面の粒界酸化深さが小さい母材鋼板(下地鋼板)を用いることが好ましい。具体的には、鋼板表面の粒界酸化深さ(板厚方向での深さ)が30μm以下、好ましくは10μm以下の母材鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことが好ましい。
鋼板表面の粒界酸化深さが小さい鋼板を得るためには、鋼板が表面の酸化を生じやすい状態にある期間に、粒界酸化を抑制する条件にする必要がある。製造工程の中で、鋼板表面が最も酸化する状態となっているのは熱延工程であり、このため、特にスラブ加熱条件、さらには仕上げ圧延条件、巻き取り条件にも注意を払うことが好ましい。
特に、Znの鋼板結晶粒界への侵食深さを小さく抑えるためには、熱間圧延されるスラブの加熱条件を下式を満足するように制御することが好ましい。
(T−1170)×M≦17000
但し T:スラブ加熱炉の最高到達雰囲気温度(℃)
M:スラブがスラブ加熱炉内において1170℃以上の雰囲気温度で加熱される時間(分)
先に述べたようにスラブ加熱時に生成した内部酸化物が鋼板表層の結晶粒界に存在していると結晶粒界が脆弱になり、Znによる結晶粒界の侵食が促進される。これに対してスラブ加熱条件を低温・短時間にすれば結晶粒界での内部酸化物の生成を抑制することができ、結晶粒界中へのZnの侵食を抑制することができる。
表1の鋼種aのスラブを、スラブ加熱炉内の雰囲気温度とスラブ加熱時間を種々変化させ加熱し、これを熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延を経て、連続溶融亜鉛めっきラインに通板して溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。これらのめっき鋼板について、図1の場合と同様の方法で母材鋼板面の結晶粒界中へのZnの侵食深さを調べ、スラブ加熱条件との関係を調べた。その結果、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材鋼板面における結晶粒界中へのZnの侵食深さの程度は、スラブ加熱炉の雰囲気温度と加熱時間の積(T−1170)×M(但し、T:スラブ加熱炉の最高到達雰囲気温度(℃)、M:スラブがスラブ加熱炉内において1170℃以上の雰囲気温度で加熱される時間(分))で整理することができることが判った。図3はその結果を示すもので、結晶粒界中へのZnの侵食深さ(図3のグラフ中の数値)を30μm以下とするためには、(T−1170)×M の値を17000以下とすることが有効であることが判る。また、図3によれば、(T−1170)×M の値を10000以下、より好ましくは5000以下とすることにより、結晶粒界中へのZnの侵食深さをさらに小さくできることが判る。
また、Znの鋼板面結晶粒界中への侵食深さを小さく抑えるには、酸洗後の熱延鋼板表面を片面当り0.3g/m以上研削することも有効である。すなわち、スラブ加熱時に上記のような内部酸化物が生成した場合でも、酸洗後の熱延鋼板表面を研削することによって内部酸化物の一部が除去され、母材鋼板面における結晶粒界中へのZn侵食深さを小さくすることができる。この場合、研削量が多いほど効果があり、片面当りの研削量が0.3g/m未満では明確な効果は認められない。
さらに、溶融亜鉛めっき条件についても、母材鋼板面における結晶粒界中へのZn侵食深さを小さくするのに有効な条件が存在する。すなわち、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度を、めっき後に合金化処理を行う場合(すなわち、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合)には0.14mass%以下とし、また、めっき後に合金化処理を行わない場合(すなわち、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合)には0.16mass%以下とすることが有効である。このように溶融亜鉛めっき時の浴中Al濃度を低くすることにより、鋼板結晶粒内の合金化反応が促進され、母材鋼板−めっき界面において均一な合金化反応を生じさせることができる。この結果、鋼板結晶粒界における選択的な合金化反応が抑制され、全体として鋼板結晶粒界中へのZnの侵食深さを浅くすることができる。
めっき浴中のAl濃度が、めっき後に合金化処理を行う場合に0.14mass%を超え、また、めっき後に合金化処理を行わない場合に0.16mass%を超えると、鋼板結晶粒内の合金化反応が十分に進行せず、母材鋼板−めっき界面における合金化反応を十分に均一化することができない。この結果、鋼板結晶粒界で選択的な合金化反応を生じ、鋼板結晶粒界におけるZn侵食深さが部分的に大きくなってしまう。
以上、母材鋼板面における結晶粒界中へのZn侵食深さを小さくするために有効な方法を述べたが、Znの鋼板結晶粒界中への侵食深さを30μm以下、好ましくは10μm以下とするには上記方法を適宜組み合わせて実施することが好ましい。
本発明のめっき鋼板の母材鋼板(下地鋼板)は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれでもよい。通常用いられる母材鋼板は、鋼スラブを加熱して熱間圧延した後、酸洗し、必要に応じて冷間圧延することにより製造される。鋼の溶製・鋳造条件、上記した以外の熱間圧延条件、酸洗条件、冷延条件などに特別な制約はない。
この母材鋼板を連続式溶融亜鉛めっきラインにおいて溶融亜鉛めっきし、必要に応じて合金化処理することにより、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
また、上記した以外の溶融亜鉛めっき条件、合金化処理条件などにも特別な制約はなく、通常行われている方法でよい。また、めっき鋼板の板幅、板厚、めっき皮膜の付着量、皮膜中Fe濃度も特に制約はない。また、溶融亜鉛めっき前の母材鋼板にFe、Ni等のプレめっきを行い、合金化反応の均一化を図るようにしてもよい。
[実施例1]
表1に示す鋼種a〜dを溶製してスラブに鋳造し、このスラブを表2に示す条件で加熱して熱間圧延し、板厚2.6mmの熱延板とした。この熱間圧延では、仕上圧延温度を870℃、巻取温度を600℃とした。熱間圧延後、酸洗し、一部の鋼板については鋼板表面をブラシで研削した。この熱延板の一部はそのまま溶融亜鉛めっき用の下地鋼板(母材鋼板)とし、残りは冷間圧延を施して板厚1.0mmの冷延板とし、これを溶融亜鉛めっき用の下地鋼板(母材鋼板)とした。
連続式溶融亜鉛めっきラインにおいて、前記下地鋼板に焼鈍・還元、溶融亜鉛めっき及び合金化処理を順次施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
上記焼鈍・還元の雰囲気は15%H−85%Nとし、均熱温度は850℃、均熱時間は60秒とした。めっき浴温度は465℃とし、鋼板両面に溶融亜鉛めっきを施した後、ガスワイピングにより皮膜付着量を片面当たり60g/mに調整した。溶融亜鉛めっき後、高周波誘導加熱炉を用いて皮膜中のFe濃度が9〜11mass%になるように合金化処理を行った。合金化処理後、室温まで冷却し、コイルに巻き取った。
このようにして製造した供試材の伸びフランジ性を評価した。この伸びフランジ性の評価は穴拡げ率の測定によって行い、穴拡げ率λ(%)は下式により求めた。
λ={(割れ発生時の穴径d−初期穴径do)/初期穴径do}×100
この試験の測定に用いたポンチは先端角度60°の円錐ポンチであり、初期穴径は10mmとした。穴拡げ率は鋼板の強度レベルにより異なるため、伸びフランジ性の評価は以下の方法で行った。
酸洗後、連続式溶融亜鉛めっきラインでめっきする前に各供試材から下地鋼板のサンプルを採取し、実験室においてこれらサンプルをめっきすることなく連続式溶融亜鉛めっきラインと同じ条件で熱処理した後、穴拡げ率を測定した。これらのラボ作製材は、それらに相当する合金化溶融亜鉛めっき鋼板と板厚及び材質が同等であり、したがって、このラボ作製材と合金化溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率を比較することにより、めっき皮膜の存在に起因する伸びフランジ性の低下量を見積もることができる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率をλG、これに対応するラボ作製材の穴拡げ率をλSとし、下式で定義される伸びフランジ性の低下量Δλを用いて、各めっき鋼板の伸びフランジ性を評価した。
Δλ={(λS−λG)/λs}×100(%)
このΔλが30%以下であれば、合金化溶融亜鉛めっきによる伸びフランジ性の低下量は十分小さく、実用上問題ないと考えられる。
製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、めっき鋼板の母材鋼板面における結晶粒界中へのZnの侵食深さを測定した。結晶粒界中へのZnの侵食深さは以下の方法で求めた。製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板の板厚断面を、幅10mmにわたって走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察されたZn侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選んでその平均値を求め、この値をZnによる侵食深さとした。なお、Zn侵食部分の断面形態は楔型をしていることが多く、先端の位置を決定しにくいため、図4に示すようにZn侵食部分の幅が0.5μmとなる位置を侵食部分の先端とした。
また、製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板の引張強度を測定した。この測定は、圧延方向と直角をなす方向から切り出したJIS−5号引張試験片を用いて行った。
表2及び表3に、各供試材の製造条件、結晶粒界中へのZnの侵食状況及び特性評価の緒果を示す。
表2及び表3において、No.1〜15は本発明例である。いずれもΔλは30%以下であり、めっき皮膜の合金化処理に伴う伸びフランジ性の低下が抑制され、伸びフランジ性の良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。
No.1〜15の本発明例のうち、No.1は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用いているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.2は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.3は、酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.4は、めっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.5は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.6は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.7は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.8は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.9は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.10は、酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、且つめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.11は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、しかも酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.12は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、さらにめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.13は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、しかもめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.14及びNo.15は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、また酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、さらにめっき浴中のAl濃度が0.14mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
一方、No.16〜No.19は比較例であり、これらはいずれもZn侵食深さが30μm超であるためΔλが30%を超えている。
[実施例2]
表1に示す鋼種a〜dを溶製してスラブに鋳造し、このスラブを表2に示す条件で加熱して熱間圧延し、板厚2.6mmの熱延板とした。この熱間圧延では、仕上圧延温度を870℃、巻取温度を600℃とした。熱間圧延後、酸洗し、一部の鋼板については鋼板表面をブラシで研削した。この熱延板の一部はそのまま溶融亜鉛めっき用の下地鋼板(母材鋼板)とし、残りは冷間圧延を施して板厚1.0mmの冷延板とし、これを溶融亜鉛めっき用の下地鋼板(母材鋼板)とした。
連続式溶融亜鉛めっきラインにおいて、前記下地鋼板に焼鈍・還元、溶融亜鉛めっきを順次施し、溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
上記焼鈍・還元の雰囲気は15%H−85%Nとし、均熱温度は850℃、均熱時間は60秒とした。めっき浴温度は465℃とし、鋼板両面に溶融亜鉛めっきを施した後、ガスワイピングにより皮膜付着量を片面当たり60g/mに調整した後、室温まで冷却し、コイルに巻き取った。
このようにして製造した供試材の伸びフランジ性を評価した。この伸びフランジ性の評価は穴拡げ率の測定によって行い、穴拡げ率λ(%)は下式により求めた。
λ={(割れ発生時の穴径d−初期穴径do)/初期穴径do}×100
この試験の測定に用いたポンチは先端角度60°の円錐ポンチであり、初期穴径は10mmとした。穴拡げ率は鋼板の強度レベルにより異なるため、伸びフランジ性の評価は以下の方法で行った。
酸洗後、連続式溶融亜鉛めっきラインでめっきする前に各供試材から下地鋼板のサンプルを採取し、実験室においてこれらサンプルをめっきすることなく連続式溶融亜鉛めっきラインと同じ条件で熱処理した後、穴拡げ率を測定した。これらのラボ作製材は、それらに相当する溶融亜鉛めっき鋼板と板厚及び材質が同等であり、したがって、このラボ作製材と溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率を比較することにより、めっき皮膜の存在に起因する伸びフランジ性の低下量を見積もることができる。溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率をλG、これに対応するラボ作製材の穴拡げ率をλSとし、下式で定義される伸びフランジ性の低下量Δλを用いて、各めっき鋼板の伸びフランジ性を評価した。
Δλ={(λS−λG)/λs}×100(%)
このΔλが30%以下であれば、溶融亜鉛めっきによる伸びフランジ性の低下量は十分小さく、実用上問題ないと考えられる。
製造された溶融亜鉛めっき鋼板について、めっき鋼板の母材鋼板面における結晶粒界中へのZnの侵食深さを測定した。結晶粒界中へのZnの侵食深さは以下の方法で求めた。製造された溶融亜鉛めっき鋼板の板厚断面を、幅10mmにわたって走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察されたZn侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選んでその平均値を求め、この値をZnによる侵食深さとした。なお、Zn侵食部分の断面形態は楔型をしていることが多く、先端の位置を決定しにくいため、Zn侵食部分の幅が0.5μmとなる位置を侵食部分の先端とした(図4)。
また、製造された溶融亜鉛めっき鋼板の引張強度を測定した。この測定は、圧延方向と直角をなす方向から切り出したJIS−5号引張試験片を用いて行った。
表4に、各供試材の結晶粒界中へのZnの侵食状況及び特性評価の緒果を示す。なお、各供試材の製造条件は、合金化処理を行わない以外は実施例1と同じであり、表2に示される製造条件とした。
表4において、No.1〜15は本発明例である。いずれもΔλは30%以下であり、溶融亜鉛めっきに伴う伸びフランジ性の低下が抑制され、伸びフランジ性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。
No.1〜15の本発明例のうち、No.1は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用いているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.2は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.3は、酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.4は、めっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.5は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.6は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.7は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.8は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.9は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.10は、酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、且つめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.11は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、しかも酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削しているため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.12は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、さらにめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.13は、スラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、且つ酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、しかもめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
No.14及びNo.15は、Bを0.0001mass%以上含有する下地鋼板を用い、且つスラブ加熱条件が好ましい範囲にあり、また酸洗後の熱延鋼板表面を0.3g/m以上研削し、さらにめっき浴中のAl濃度が0.16mass%以下であるため、Zn侵食深さが30μm以下となり、Δλが30%以下となっている。
一方、No.16〜No.19は比較例であり、これらはいずれもZn侵食深さが30μm超であるためΔλが30%を超えている。
Figure 0004428033
Figure 0004428033
Figure 0004428033
Figure 0004428033
溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、母材鋼板面の結晶粒界中へのZn侵食深さと伸びフランジ性との関係を示すグラフ 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材鋼板面の結晶粒界に生じたZn侵食部分のSEMによる断面拡大写真 スラブ加熱条件と母材鋼板面の結晶粒界中へのZn侵食深さとの関係を示すグラフ 実施例におけるZn侵食深さの測定方法を示す説明図

Claims (3)

  1. めっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さ(但し、めっき鋼板の板厚断面において、幅10mmの任意の部分に生じたZnの結晶粒界中への侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値)が2.0μm以上30μm以下であることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. めっき金属であるZnの母材鋼板面における結晶粒界中への侵食深さ(但し、めっき鋼板の板厚断面において、幅10mmの任意の部分に生じたZnの結晶粒界中への侵食部分のうち深さの大きい順に10点を選び、その10点の平均値)が2.0μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 母材鋼板が、Bを0.0001〜0.01mass%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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