JPH0240652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、屋根の屋根材の伸縮を吸収し、熱応
力や歪の発生を防止できる屋根の棟伸縮修構造を
関する。

〔従来の技術及びその課題〕

近時、端部に立上り部を設けた屋根材をシーム
溶接等により連結した屋根が開発されている。こ
の種の屋根は、水密性、気密性等に優れている。

この種の屋根は、シーム溶接等の抵抗溶接によ
つて製作されることが多い。このため、抵抗溶接
に適した材料である不銹鋼が屡用いられる。

しかるに、不銹鋼は、熱膨張率が非常に大きい
ため、外気温によつて屋根材が伸縮し、特に屋根
材が長大な場合には、その傾向は一層顕著であ
る。

屋根材が伸縮することにより、屋根材には熱応
力や歪が発生する。特にこの屋根においては、断
面係数の比較的大きい継手部が形成されているた
め、この伸縮により、熱応力歪は屋根材の底辺部
に生じ、これによつて板面を変形させる等の欠点
があつた。又、熱応力や歪が生じる結果、屋根の
水密性や耐久性に悪影響を及ぼす等の欠点があつ
た。

〔課題を解決するための手段〕

そこで考案者は、前記課題を解決すべく、鋭
意、研究を重ねた結果、その考案を、左右端に立
上り部を形成した屋根材の立上り部同士を重合さ
せて、その上端付近をシーム溶接して継手部を形
成し、この継手部の棟側を底面部上に折り返し、
この折返し箇所と共にその棟側端を急傾斜状に立
ち上げて棟側端立上り部を形成し、継手部端が互
いに食い違い状になるように他の屋根材の棟側端
立上り部と重合させ、この上端付近をシーム溶接
し、下方側は断面ハ字状に開いてなる棟伸縮継手
を形成した屋根の棟伸縮修構造としたことによ
り、屋根材の伸縮に良好に対応でき、前記課題を
解決したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第６図に
基づいて説明する。

Ａは屋根材であり、スポツト溶接、シーム溶接
等の抵抗溶接可能な板厚の板材（不銹鋼板材等）
からなつている。この屋根材Ａには、底面部１の
幅方向左右端に立上り部２，２が形成されてい
る。この立上り部２は、直ちに直角に立ち上げら
れず、まず角度90度より緩く立ち上げられ、その
後に底面部１に対して垂直になるように形成され
ていることが多い。この立上り部２は、他の屋根
材Ａの立上り部２と重合されて、その上端付近が
シーム溶接され、継手部A₁が形成されている。

この継手部A₁の棟側が底面部１上に折り返さ
れ、この折返し箇所と共に、屋根材Ａ，Ａ，……
の棟側端が急傾斜状に立ち上げられて棟側端立上
り部３が形成されている。ここに急傾斜状とは、
棟と水下側（軒先）を結ぶ屋根の勾配よりも立ち
上げられていることを意味し、必ずしも傾斜が所
謂急角度であること意味しない。又、その棟側端
立上り部３は、鉛直（絶対水平面に対して垂直）
を越えて立ち上げ形成されない（第２図参照）。

この棟側端立上り部３が形成された屋根材Ａ，
Ａ，……が、他の屋根材Ａ，Ａ，……の棟側端立
上り部３と重合され、その上端付近がシーム溶接
されて棟伸縮継手A₂が形成されている。このと
き継手部A₁，A₁，……が互いに突き合わされる
ことなく、食い違い状になるように重合されてい
る（第１図参照）。

又、前記棟伸縮継手A₂が形成された棟の構造
に棟包材Ｂを固着した実施例がある（第３図参
照）。

棟包材Ｂは、屋根の勾配と略等しい傾斜を有す
る断面略へ字状の上面部４と、この上面部４の両
端付近から略垂直に形成された垂下状縁５，５と
からなつている。（第４図参照）。上面部４の傾斜
は必ずしも屋根の勾配と等しくなくともよい。上
面部４の略中央上端には門形状に屈曲した上溝４
ａが形成されている。この上溝４ａに前記棟伸縮
継手A₂の上端が挟持されてスポツト溶接されて
固着される。又、垂下状縁５，５には切欠き部５
ａ，５ａ，……が形成されている。この切欠き部
５ａ，５ａ，……は略逆Ｖ形形状に切り欠き形成
され、棟包材Ｂを棟に固着した際に、前記継手部
A₁，A₁，……と嵌合する。又、前記垂下状縁５，
５の下端は内側に折り返されていることが多い。

図中６は構造材、７は下地材をそれぞれ示す。

〔考案の効果〕

本考案においては、その構成を、左右端に立上
り部２，２を形成した屋根材Ａ，Ａ，……の立上
り部２，２同士を重合させて、その上端付近をシ
ーム溶接して継手部A₁を形成し、この継手部A₁
の棟側を底面部１上に折り返し、この折返し箇所
と共にその棟側端を急傾斜状に立ち上げて棟側端
立上り部３を形成し、継手部A₁端が互いに食い
違い状になるように他の屋根材Ａ，Ａ，……の棟
側端立上り部３と重合させ、この上端付近をシー
ム溶接し、下方側は断面ハ字状に開いてなる棟伸
縮継手A₂を形成した構造としたことにより、以
下の効果を奏する。即ち、第１に熱伸縮を吸収
し、応力や歪の発生を防止でき、第２に棟からの
雨水の浸入を防止でき、第３に構造を簡単にでき
る等の効果を奏する。

以上について詳述すると、まず、本考案の棟伸
縮修構造において、外気温の変化等のより、屋根
材Ａ，Ａ，……がその長手方向に伸縮することが
ある。この伸縮により、棟に形成された棟伸縮継
手A₂が棟と水下側（軒先）を結ぶ方向に引張り
又は圧縮力を受ける。この棟伸縮継手A₂は上端
付近をシーム溶接し、下方側は断面ハ字状に開い
て構成されているため、屋根材Ａ，Ａ，……が外
気温の変化等により、その長手方向に伸縮して
も、この熱伸縮を吸収することができ、屋根材
Ａ，Ａ，……に応力や歪が発生するのを防止する
ことができるという効果を奏する。

第２に、本考案の棟伸縮修構造においては、棟
伸縮継手A₂は、その上端付近がシーム溶接され
て形成されている。このため雨水の浸入を確実に
防止することができ、この部分においても水密
性、気密性等をた完壁にできるという効果を有す
る。

第３に、本考案の棟伸縮修構造は、屋根材Ａ，
Ａ，……の棟側端が立ち上げられて棟側端立上り
部３，３が形成され、これらが重合されてシーム
溶接されているのみの極めて簡単な構造である。
このため製造及び加工等が比較的容易にできると
いう利点もある。

又、棟箇所では継手部A₁端を互いに食い違い
状にしたので、偏平状にした棟側端部立上り部３
の継手部A₁箇所が重ならずシーム溶接を好適に
できる効果もある。

なお、前述のように棟包材Ｂを用いた構造とす
るならば、水密性、気密性を尚一層完壁にするこ
とができる。又、外観も極めて良好にできるとい
う効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は本考案の斜視図、第２図は第１図の断面
図、第３図は他の実施例の断面図、第４図は棟包
材の斜視図である。 Ａ……屋根材、A₁……継手部、A₂……棟伸縮
継手、１……底面部、２……立上り部、３……棟
側端立上り部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右端に立上り部を形成した屋根材の立上り部
   同士を重合させて、その上端付近をシーム溶接し
   て継手部を形成し、この継手部の棟側を底面部上
   に折り返し、この折返し箇所と共にその棟側端を
   急傾斜状に立ち上げて棟側端立上り部を形成し、
   継手部端が互いに食い違い状になるように他の屋
   根材の棟側端立上り部と重合させ、この上端付近
   をシーム溶接し、下方側は断面ハ字状に開いてな
   る棟伸縮継手を形成したことを特徴とする屋根の
   棟伸縮修構造。