JPH0240343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、自動２輪車のユニツトスイング式
エンジンなどに用いられる小型エンジンのバラン
サ駆動装置に関する。

（従来の技術） 往復運動するピストンによるクランク軸のアン
バランスな回転を調整するために、クランク軸に
連動するバランサウエイトを用いることが多い
が、２サイクルエンジンでは、クランク室を独立
の密閉室にする必要上、バランサ軸はクランク室
の外側に軸装し、クランク軸上のバランサドライ
ブギアとバランサ軸上のバランサドリブンギアと
を噛合せて１：１の速度で駆動する。

この場合、第２図に示すように、バランサウエ
イト８ａをクランク室の外側方に位置させて、バ
ランサ軸７ａを可及的にクランク軸５に近付ける
ことができるようにして、バランサドライブ、ド
リブンギア１１，１０ａの径の縮小を図つたもの
がある。バランサドリブンギア１０ａとバランサ
ウエイト８ａとは並列させて、兼用のキー１６に
よりバランサ軸７ａに固定している。

３はクランクホイール、４はクランクベアリン
グ、６はオイルシールである。

このような構造では、バランサドリブンギア１
０ａとバランサウエイト８ａが並設されているの
で、バランサ軸７ａが長くなり、これらをオイル
バス形式にする場合のオイル室１３ａの容積が大
きくなり、エンジン横幅の増大を招く。

こうした不利を防ぐために、バランサウエイト
の外周にバランサドリブンギアを形成することに
よつてバランサ軸を短縮させたものがある（特開
昭58−77950号公報）。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、上記のような現状に鑑みてなされ
たもので、バランサ機構周りのスペースを縮小し
てエンジンを小型化すると共に、デツドスペース
を有効に利用して他の機能を加えた小型エンジン
のバランサ駆動装置を提供することを目的とす
る。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的をもつて、この考案の小型エンジン
のバランサ駆動装置は、クランク室の外側にクラ
ンク軸と平行なバランサ軸を軸装し、左右に分配
したバランサウエイトをクランク室を挟むように
上記バランサ軸の両端部に固定し、クランク室外
に突出したクランク軸端上のバランサドライブギ
アと、一方のバランサウエイトの外周に形成した
バランサドリブンギアとを噛合せたバランサ駆動
装置において、クランク室の外周に上記バランサ
ウエイトの回転軌跡外径を超えないように突出す
る独立の小室を形成し、上記バランサ軸をこの小
室に貫通して軸支すると共に、クランク室および
小室の一側に被着したカバーにより上記バランサ
ドライブギアとバランサドリブンギアを形成した
バランサウエイトとを密封してオイルを充填し、
かつ上記バランサ軸をシールドベアリングにより
軸支することにより、小室内を密閉してオイルを
貯溜し、この小室を潤滑用オイルのオイルタンク
とした構成になるものである。

（作用） このように構成したので、バランサ機構による
クランク室側方への突出量が少く、バランサ駆動
ギアの潤滑のために密封するオイル室の容積が小
さく、封入オイル量の減量、エンジン横幅のコン
パクト化ができる。

一方、左右のバランサウエイトに挟まれた部分
のデツドスペースに小室が形成され、クランク室
の外周を増大させることなく、エンジン各部潤滑
用のオイルタンクをバランサ軸周りに配置でき
る。

（実施例） 以下この考案の実施例を示す図に就いて説明す
る。

第１図は自動２輪車用の小型２サイクルエンジ
ンの縦断面図で、シリンダ１に連設されたクラン
ク室２は吸入、圧縮機能を持つために密閉される
と同時に、圧縮比を大きくする関係上、クランク
ホイール３が容積一杯に収容されて回転する。４
はクランク軸５のボールベアリング、６はオイル
シールを示す。

次にバランサ軸７はクランク室２の外側でクラ
ンク軸５と平行に軸支され、両側にバランサウエ
イト８，９を固定して備える。このバランサウエ
イト８，９は、クランク軸５とバランサ軸７の軸
間距離を成可く小さくするためクランク室５の横
幅の両側方に位置する。

一方のバランサウエイト８は一部が円形に形成
され、その外周にバランサドリブンギア１０を供
え、クランク室２から突出したクランク軸５に固
定したバランサドライブギア１１と噛合う。バラ
ンサドリブンギア１０とバランサドライブギア１
１とのギア比は１で、バランサ軸７はクランク軸
５と同速に駆動される。

上記バランサドライブギア１１、バランサドリ
ブンギア１０を形成したバランサウエイト８など
の一連の回転系は、カバー１２によつて独立した
オイル室１３に収められ、オイルバス形式で潤滑
される。

両バランサウエイト８，９に挟まれたクランク
室２の外装部には、バランサウエイト８，９の回
転軌跡外径を超えないように突出した小室１５が
形成されている。上記バランサ軸７は、この小室
１５を貫通してシールベアリング１４によつて軸
支される。

これにより小室１５内は密封され、中に潤滑オ
イルが充填される。すなわち小室１５はオイルタ
ンクとして利用され、内部の潤滑オイルはエンジ
ン各部の潤滑用に供給される。

このように構成されているので、このバランサ
駆動装置では、バランサウエイト８，９が左右に
分配されて、クランク室２を挟むことで、バラン
サ軸７とクランク軸５の軸間距離を短く設定で
き、かつバランサドライブ、ドリブンギア１１，
１０の径を縮小できる。

同時にバランサドリブンギア１０はバランサウ
エイト８の外周に形成したので、オイル室１３の
容量が縮減でき、エンジン横幅を拡大しない。

このようにした上で、さらに、バランサ軸７周
りにオイルタンクが配置でき、デツドスペースの
有効利用が可能である。

〔考案の効果〕

以上の通り、この考案に係る小型エンジンのバ
ランサ駆動装置は、クランク室の外側にクランク
軸と平行なバランサ軸を軸装し、左右に分配した
バランサウエイトをクランク室を挟むように上記
バランサ軸の両端部に固定し、クランク室外に突
出したクランク軸端上のバランサドライブギア
と、一方のバランサウエイトの外周に形成したバ
ランサドリブンギアとを噛合せたバランサ駆動装
置において、クランク室の外周に上記バランサウ
エイトの回転軌跡外径を超えないように突出する
独立の小室を形成し、上記バランサ軸をこの小室
に貫通して軸支すると共に、クランク室および小
室の一側に被着したカバーにより上記バランサド
ライブギアとバランサドリブンギアを形成したバ
ランサウエイトとを密封してオイルを充填し、か
つ上記バランサ軸をシールドベアリングにより軸
支することにより、小室内を密閉してオイルを貯
溜し、この小室を潤滑用オイルのオイルタンクと
したもので、バランサ機構周りのスペースを縮小
してエンジン横幅を縮小し、かつデツドスペース
を有効に利用して、この部分にオイルタンクを配
置できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す小型エンジン
のバランサ駆動装置の縦断面図、第２図は従来の
バランサ駆動装置を例示するバランサ軸の一部の
縦断面図である。 ２……クランク室、４３…クランクホイール、
５……クランク軸、７……バランサ軸、８，９…
…バランサウエイト、１０……バランサドリブン
ギア、１１……バランサドライブギア、１３……
オイル室、１４……シールドベアリング、１５…
…小室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク室の外側にクランク軸と平行なバラン
   サ軸を軸装し、左右に分配したバランサウエイト
   をクランク室を挟むように上記バランサ軸の両端
   部に固定し、クランク室外に突出したクランク軸
   端上のバランサドライブギアと、一方のバランサ
   ウエイトの外周に形成したバランサドリブンギア
   とを噛合せたバランサ駆動装置において、クラン
   ク室の外周に上記バランサウエイトの回転軌跡外
   径を超えないように突出する独立の小室を形成
   し、上記バランサ軸をこの小室に貫通して軸支す
   ると共に、クランク室および小室の一側に被着し
   たカバーにより上記バランサドライブギアとバラ
   ンサドリブンギアを形成したバランサウエイトと
   を密封してオイルを充填し、かつ上記バランサ軸
   をシールドベアリングにより軸支することによ
   り、小室内を密閉してオイルを貯溜し、この小室
   を潤滑用オイルのオイルタンクとしたことを特徴
   とする小型エンジンのバランサ駆動装置。