JPH023956Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の分野》 この考案は表皮材が真空貼着されて形成される
自動車用ドアトリムに係り、特に乗員の肘掛け部
であるアームレスト部を改良したドアトリムに関
する。

《従来技術とその問題点》 通常、乗用車のドアパネルの室内側には、ドア
トリムと称する内装材が装着されている。

最近、これらドアトリムを始めとする内装材に
対して、意匠性を向上させた種々のタイプのもの
が提案されている。

例えば、ドアトリムにおいては、アームレスト
等立体形状を必要とする部位には合成樹脂を所望
形状に成形した樹脂製芯材を使用することによ
り、立体形状を強調するとともに、表皮材とし
て、布地と樹脂シートまたはカーペツトと樹脂シ
ート等との組合せ表皮材を用いたものが主流とな
つている。

第３図，第４図において、この種ドアトリムを
例示する。ドアトリム１はほぼフラツト形状をな
すボード芯材２と、アームレスト部３並びにドア
ウエスト部４を一体的に成形してなる樹脂製芯材
５とからトリム芯体６を構成し、これらトリム芯
体６の表面の一部にポリエチレンフオーム等のク
ツシヨン性を有した表皮材７を真空成形加工によ
り一体貼着させるとともに、他の部位には装飾部
材８（ベース芯材表面を布地等で被覆したもの）
を、ドアトリム１表面の適宜箇所にビス止め等に
より装着するようにしている。

そして、アームレスト部３の肘掛け部には凹部
３ａが凹設されており、この凹部３ａ内にポリウ
レタンフオーム等の弾性体からなるアームレスト
パツド９が嵌挿されている。なおこのアームレス
ト部３表面には、上記クツシヨン性表皮材７が真
空貼着されており、第５図に示すように表面は面
一となるように設定されている。

しかしながら、前記表皮材７の真空貼着時、ア
ームレストパツド９の弾性により、このパツド９
が圧縮変形し、樹脂製芯材４とアームレストパツ
ド９との見切り部Ａに段差が生じる。

このため、非常に見栄えの悪いものになるとと
もに、特にこのアームレスト部は乗員の肘等が頻
繁に触れる部分であり、このように表面感触が見
切り部Ａにおいて急激に変化するため、好ましい
感触を乗員に与えることができない等の不具合が
指摘されていた。

《考案の目的》 この考案は上述の事情に鑑みてなされたもの
で、本考案の目的とするところはドアトリムのア
ームレスト構造部に係り、従来の如くアームレス
トパツドの境界部分に生じる表面感触の急激な変
化を避け、表面感触を良好なものにするととも
に、アームレストパツドの境界部分の段差を防止
し、美観上も好ましいアームレスト部構造を提供
することにある。

《考案の構成と効果》 前記目的を達成するために、この考案は、ほぼ
フラツト形状をなすボード芯材の適宜位置に、ア
ームレスト用樹脂芯材４を固定してなるトリム芯
体と、このトリム芯体の表面に真空貼着される装
飾性表皮材とから構成される自動車用ドアトリム
であつて、 前記アームレスト用樹脂芯材の肘掛け部にアー
ムレストパツド嵌挿用の凹部が設けられ、かつこ
の凹部は端縁にいくにつれ深さを徐々に減少させ
たテーパ状に形成されているとともに、上記凹部
形状に対応して、アームレストパツドにテーパ面
が形成されていることを特徴とする。

すなわち、本考案によれば、アームレスト部の
樹脂製芯材には、アームレストパツドを嵌挿する
凹部が形成され、かつこの凹部は端縁にいくにつ
れ深さを徐々に減少させたテーパ面に形成されて
いるとともに、この凹部に嵌挿されるアームレス
トパツドはこの凹部の形状にほぼ等しく成形され
ているものであるから、この凹部内にアームレス
トパツドを嵌挿し、それらの上側から表皮材を真
空貼着した際、アームレストパツドの端縁は厚み
が薄くなつているので、ほとんど圧縮変形するこ
とがないので、アームレストパツドと樹脂製芯材
との境界部分に段差が生じることがなく、見栄え
上良好なものとなる。

さらに、アームレストパツドは端縁すなわち樹
脂製芯材との境界部にいくに従い薄肉に形成され
ているので、アームレストパツドの弾性作用も
徐々に小さいものとなり、アームレストパツドと
樹脂製芯材との見切り部分において急激な表面感
触の変化を与えることなく、良好な表面感触を提
供することができる等の効果を有する。

《実施例の説明》 以下、本考案に係る自動車用ドアトリムの一実
施例について添付図面を参照しながら詳細に説明
する。

第１図はドアトリムの一部破断斜視図、第２図
は同ドアトリムの要部断面図である。

図面において、ドアトリム１０はほぼフラツト
形状をなすボード芯材１１と、このボード芯材１
１上面に固定される樹脂製芯材１２（樹脂製芯材
１２はアームレスト部１３並びにドアウエスト部
１４に配置される）と、上記アームレスト部１３
並びにボード芯材１１の一部の表面に貼着される
ポリエチレンフオーム等のクツシヨン性を具備し
た表皮材１５と、ドアウエスト部１４並びにその
下方と、ドアトリムの下側にそれぞれ装着される
装飾部材１６とから構成されている。

なお上記装飾材１６はベースとなるボード、鉄
板等の基板表面にカーペツト等の装飾性表皮材を
被覆し、かつ基板裏面の取付具をビス等によりド
アトリム１０に固定して取り付けられる。

本願のドアトリム１０にあつては、上記樹脂製
芯材１２のアームレスト部１３において、アーム
レストパツド１７嵌挿用の凹部１８が形成されて
おり、上記凹部１８の底面１９はアームレストパ
ツド１７の端縁が位置する見切り部Ｂに近付くに
つれ徐々に凹部１８の深さを減少させるように底
面１９はテーパ面１９ａを備えるように形成され
ている。さらにこの凹部１８の形状にほぼ一致し
た形状にアームレストパツド１７は成形されて、
すなわち凹部１９のテーパ面１９ａに対応してア
ームレストパツド１７にもテーパ面１７ａが形成
されている。そしてこのアームレストパツド１７
を凹部１８内に嵌挿した状態ではアームレスト部
１３の上面は面一状になつている。

そしてこの状態でその上側に表皮材１５を積層
し、図示しない真空吸引装置により表皮材１５を
樹脂製芯材１２側に真空貼着させる（第２図参
照）。このときアームレストパツド１７はテーパ
面１７ａが形成され、樹脂製芯材１２とアームレ
ストパツド１７との境界部Ｂに近付くにつれアー
ムレストパツド１７はその板厚が非常に薄くなつ
ているので、表皮材１５の真空貼着時、この見切
り部Ｂに段差が生じることがないとともに、この
見切り部Ｂを境界にして表面感触が急激に変化す
ることはないので表面感触上も好ましい。

このように本願ドアトリムにあつては、アーム
レスト部に使用するアームレストパツド並びにこ
のパツドを収納する樹脂製芯材の凹部との形状に
工夫を凝らすことにより、従来生じていたアーム
レストパツド見切り部の段差やこの見切り部の感
触の急激な変化を容易に解消することができ、見
栄え上並びに感触上良好なドアトリムを提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車用ドアトリムを示
す一部破断斜視図、第２図は同ドアトリムの要部
を示す縦断面図、第３図は従来のドアトリムを示
す正面図、第４図は第３図中−線断面図、第
５図は第３図中−線断面図である。 １０……自動車用ドアトリム、１１……ボード
芯材、１２……樹脂製芯材、１３……アームレス
ト部、１４……ドアウエスト部、１５……表皮
材、１６……装飾部材、１７……アームレストパ
ツド、１８……凹部、１９……底面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ほぼフラツト形状をなすボード芯材の適宜位置
   に、アームレスト用樹脂芯材を固定してなるトリ
   ム芯体と、このトリム芯体の表面に真空貼着され
   る装飾性表皮材とから構成される自動車用ドアト
   リムであつて、 前記アームレスト用樹脂芯材の肘掛け部にアー
   ムレストパツド嵌挿用の凹部が設けられ、かつこ
   の凹部は端縁にいくにつれ深さを徐々に減少させ
   たテーパ状に形成されているとともに、上記凹部
   形状に対応して、アームレストパツドにテーパ面
   が形成されていることを特徴とする自動車用ドア
   トリムにおけるアームレスト部構造。