JPH0239513B2 - - Google Patents

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JPH0239513B2
JPH0239513B2 JP57096099A JP9609982A JPH0239513B2 JP H0239513 B2 JPH0239513 B2 JP H0239513B2 JP 57096099 A JP57096099 A JP 57096099A JP 9609982 A JP9609982 A JP 9609982A JP H0239513 B2 JPH0239513 B2 JP H0239513B2
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JP
Japan
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general formula
compound
trioxabicyclo
octane
hydrogen
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JP57096099A
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JPS58213780A (ja
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Takeshi Endo
Koji Kusumoto
Takeshi Nakahara
Haruo Nishida
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Publication of JPS58213780A publication Critical patent/JPS58213780A/ja
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は新規な化合物である、一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2及びR3
はそれぞれ同種又は異種の水素原子又はアルキル
基を示す)で示される4―アルキル―1―ヒドロ
キシアルキル―2,6,7―トリオキサビシクロ
〔2,2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エステ
ルを提供するものである。また本発明は、上記新
規化合物を製造する方法をも同時に提供するもの
である。 以後2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,
2,2〕オクタン化合物をビシクロ化合物と略記
する。 従来ビシクロ化合物の不飽和カルボン酸エステ
ルは、わずかに数種知られているのみであり、例
えば一般式 (但し、Rは低級アルキル基を示す)で示され
る1―アルキル―4―ヒドロキシメチル―2,
6,7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オク
タン不飽和カルボン酸エステルが公知である。更
に上記一般式(A)で示されるビシクロ化合物の不飽
和カルボン酸エステルは、重合硬化時の体積収縮
率が小さい重合性モノマーとしてその有用性が注
目されている。しかしながら、この不飽和カルボ
ン酸エステルの応用に関しては、従来公知の重合
硬化触媒が例えば三フツ化ホウ素の如き、取り扱
い上あるいは人体への為害作用等の点で問題があ
るため、又は重合活性が低ため工業的に有用な用
途が見出されるに至つていない。 本発明者等は、重合硬化時に於ける体積収縮率
が小さい重合性モノマーについて鋭意研究を重ね
てきた結果、前記一般式(A)で示される公知の重合
性モノマーに比べて、はるかに重合活性が高い新
規なビシクロ化合物の不飽和カルボン酸エステル
を合成することに成功した。そして更に上記新規
化合物が接着剤として著しく良好な性質を有する
事をも確認し、ここに本発明を完成し提案するに
至つた。即ち、本発明は一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2及びR3
はそれぞれ同種又は異種の水素原子又はアルキル
基を示す)で示される、4―アルキル―1―ヒド
ロキシアルキル―2,6,7―トリオキサビシク
ロ〔2,2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エス
テルである。 また本発明は、一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2は水素
原子又はアルキル基を示す)で示される4―アル
キル―1―ヒドロキシアルキル―2,6,7―ト
リオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタンと、 一般式 (但し、R3は水素原子又はアルキル基を示し、
Xはハロゲン原子を示す)で示される不飽和カル
ボン酸ハライドとを反応させ、前記一般式()
で示される、4―アルキル―1―ヒドロキシアル
キル―2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,
2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エステルの製
造方法をも提供するものである。 本発明の化合物は前記一般式()即ち、 で示される化合物である。該式中のR1,R2及び
R3のアルキル基は上記化合物の製造上の経済的
な制限のために、一般に低級なアルキル基、例え
ば炭素数1〜3のものが好適である。特にR3
水素原子又はメチル基が工業的には有用である。 本発明の上記一般式()で示される化合物は
構造的に前記一般式(A)と一見類似するようにみえ
るが、両者は後述する実施例及び比較例から明ら
かなように全く異なるものである。即ち、両者は
例えば後述する第3級アミンを触媒とする重合特
性の比較からも明らかなように、重合硬化速度が
著しく違うし、製造方法に於いても異なる。また
両者はその使用分野に於いて著しい効果の差異を
有する。例えば、本発明の前記一般式()で示
される化合物は、例えば、上記第3級アミン触媒
で重合することにより前記一般式(A)で示される化
合物に比べて重合速度が速いばかりでなく、接着
強度に関しても大きな差異があり、例えば、新鮮
抜去牛歯の象牙質に対して接着強度27.6Kg/cm2
いはそれ以上の物性を発揮するので、歯科材料と
して特に有用な化合物となる。 本発明の前記一般式()で示される化合物
は、その重合硬化時の体積収縮率〔(1―化合物
の比重/重合硬化物の比重)×100〕が非常に低い
値となる。例えば、4―エチル―1―ヒドロキシ
メチル―2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,
2,2〕オクタンメタクリル酸エステルを、ジメ
チル―p―トルイジンを使用して重合硬化させた
時の体積収縮率は3.93%で、N,N,3,5―テ
トラメチルアニリンで重合硬化させた時の重合収
縮率は2.55%であつた。 また、本発明の前記一般式()で示される化
合物は、一般に室温で液状を呈し、R1,R2及び
R3の差異によりそれぞれ個有の沸点を有する。
又該化合物は、一般にメチレンクロライド,クロ
ロホルム,アセトン,ジオキサン,ベンゼン,ト
ルエン,ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に可
溶である。 本発明の前記一般式()で示される化合物
は、次のような測定によつて該化合物である事を
確認できる。 (1) 赤外吸収スペクトル(IR) ビシクロオルソエステル構造
【式】 と不飽和カルボン酸エステルのカルボニル基と二
重結合の存在が確認できる。ビシクロオルソエス
テル構造に由来する吸収帯は1000cm-1から1200cm
-1の間に数本現われる。又、不飽和カルボン酸エ
ステルのカルボニル基の吸収は1720cm-1に、二重
結合に基づく吸収は1635cm-1から1640cm-1の間に
それぞれ現われる。 (2) 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル 重水素化クロロホルム溶媒中でテトラメチルシ
ランを基準として測定すると、δ(ppm)=3.8〜
4.2の位置に、ビシクロ環内の6コのメチレン水
素に由来する一重線の吸収ピークが現われる。 又前記一般式()中のR1,R2及びR3の種類
の違いは、R1,R2及びR3中の水素に由来する吸
収ピークの位置および多重度、ならびに吸収ピー
ク面積の相対比の観測と解析により判別できる。
例えば、R1がメチレン基,R2がエチル基,及び
R3がメチル基の場合には、R1のメチレン基水素
に由来する一重線吸収ピークがδ(ppm)=4.15に
又R2中のメチレン水素基に由来する四重線吸収
ピークがδ(ppm)=1.25に、R2中のメチレン水素
に由来する三重線吸収ピークがδ(ppm)=0.83
に、さらに、R3のメチル基水素に由来する一重
線吸収ピークがδ(ppm)=1.97の位置に観測され
る。以上四種の吸収ピークの面積を測定し、その
比率を算出すると、その値はそれぞれの基に結合
した水素の数の比と一致する。 又、本発明の前記一般式()と公知の前記一
般式(A)との最も特徴的な違いは、ビシクロオルソ
エステル環に隣接する炭素上の水素の吸収ピーク
位置に現われる。即ち、本発明の一般式()の
場合には、水酸基とビシクロオルソエステル環に
はさまれたアルキレン基(R1)のビシクロオル
ソエステル環に隣接する炭素上の水素の吸収ピー
クは一般式(A)の対応する水素の吸収ピークより低
磁場側に観測される。又一般式()のR2で示
されるアルキル基のビシクロオルソエステル環に
隣接する炭素上の水素の吸収ピークは一般式(A)の
対応する水素の吸収ピークより逆に高磁場側に観
測される。例えば、本発明の前記一般式()の
化合物に於いて、R1がメチレン基,R2がエチル
基及びR3がメチル基である化合物と、公知の前
記一般式(A)のRがエチル基である化合物を比較す
ると、一般式()におけるR1のメチレン基水
素はδ(ppm)=4.15に、一方、一般式(A)の対応す
る水素は、δ(ppm)=3.95にそれぞれ吸収ピーク
が観測される。更に一般式()におけるR2
メチレン水素はδ(ppm)=1.25に、一方、一般式
(A)の対応する水素はδ(ppm)=1.70にそれぞれ吸
収ピークが観測される。 (3) 質量分析 質量分析の手段として、電界脱離法(FDと略
す)と化学イオン化法(CIと略す)のいずれの
方法を用いる事によつても、本発明の一般式
()で示される化合物の分子量が確認できる。
該化合物の分子量をMとすると、FD法によりM+
の位置に分子イオンピークが観測され、CI法で
は(M±1)+の位置に擬分子イオンピークが観測
される。 (4) 元素分析 炭素および水素の分析結果を一般式()から
算出される理論値と比較する事により確認でき
る。 以上説明した種々の測定方法により、本発明の
前記一般式()で示される化合物が確認でき
る。又、本発明の化合物の確認に際しては、予め
構造を確認した化合物について測定した標準チヤ
ートを準備しておき、それとの比較によつて化合
物を確認する方法を採用することができる。 本発明に於ける前記一般式()で示される化
合物の製造方法は特に限定されるものでなく、如
何なる方法を採用してもよい。工業的に好適な方
法の一例を具体的に例示すれば、次の通りであ
る。 前記一般式()、即ち
【式】(但し、R1はアル キレン基を示し、R2は水素原子又はアルキル基
を示す)で示される4―アルキル―1―ヒドロキ
シアルキル―2,6,7―トリオキサビシクロ
〔2,2,2〕オクタンと 前記一般式()、即ち
【式】(但 し、R3は水素原子又はアルキル基を示し、Xは
ハロゲン原子を示す)で示される不飽和カルボン
酸ハライドとを反応させて、一般式()で示さ
れる4―アルキル―1―ヒドロキシアルキル―
2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕
オクタン不飽和カルボン酸エステルを製造する方
法が好適に採用される。 前記一般式()で示される本発明に於ける原
料化合物は、それ自身新規化合物であり、又その
製造方法は特に限定されず、如何なる方法も採用
する事ができる。工業的に有利な代表的な該製造
方法を例示すれば次のとおりである。 即ち、一般式 HO―R1―COOH …(B) で示されるヒドロキシカルボン酸と 一般式 (HOCH23C―R2 …(C) で示されるトリメチロールアルカンとを脱水反応
させることにより、前記一般式()を製造する
方法が好適である。但し、上記一般式(B)及び(C)に
於けるR1及びR2は、前記一般式()に於ける
R1及びR2と同様である。該反応に際しては原料
であるヒドロキシカルボン酸とトリメチロールア
ルカンとを適当な溶媒、例えばベンゼン,トルエ
ン,キシレン等の溶媒中で酸触媒、例えばp―ト
ルエンスルホン酸,硫酸等の存在下に反応させる
ことにより、反応中間体である、一般式 で示される化合物が製造される。上記反応は一般
に不活性ガス例えば窒素ガス雰囲気下に溶媒の還
流下で行なうのが好適である。又、反応の進行は
溶媒と共沸して溜去してくる水の量を計測する事
により知ることが出来る。 次いで、上記中間体即ち前記一般式(D)で示され
る化合物は、p―トルエンスルホン酸,硫酸等の
存在下に加熱し、減圧下に脱水反応を行なうこと
により、前記一般式()で示される本発明の原
料となる。上記脱水反応は、一般に1〜0.03mm
Hg程度の減圧下、140〜220℃の温度範囲が好適
に採用される。前記一般式()で示される原料
化合物は、上記減圧下の脱水反応によつて一般に
白色結晶固体として、反応液から分離する事が出
来、必要に応じてメチレンクロライドの様な溶媒
より再結晶させて精製する事ができる。また本発
明の原料である前記一般式()で示される新規
化合物は、次の様な測定によつて該化合物である
事を確認できる。 (5) 赤外線吸収スペクトル(IR)の測定 前記一般式()で示される化合物のIRを測
定することにより、ビシクロオルソエステル構造
【式】と水酸基(―OH)の存在が確 認できる。前者に由来する吸収帯は1000cm-1
1200cm-1に数本あらわれ、後者に由来する吸収帯
は3300cm-1〜3400cm-1にあらわれる。 (6) 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル(1H―
NMR)の測定 重水素化クロロホルムあるいは重水素化ジメチ
ルスルホキシド溶媒中で前記一般式()で示さ
れる化合物の1H―NMRを測定すると、δ(ppm)
=3.8〜4.2の位置にビシクロ環内の6コのメチレ
ン水素に由来する一重線の吸収ピークが現われ
る。 又、前記一般式()中のR1及びR2の種類の
違いは、R1,R2中の水素に由来する吸収ピーク
の位置及び多重度ならびに吸収ピーク面積の相対
比の観測と解析により判別できる。例えば、R1
がメチレン基でR2がエチル基の場合にはR1のメ
チレン基水素に由来する一重線吸収ピークがδ
(ppm)=3.55に又R2中のメチレン水素に由来する
四重線の吸収ピークがδ(ppm)=1.30の位置にそ
れぞれ観測される。さらにR2中のメチレン基水
素に由来する三重線吸収ピークがδ(ppm)=0.85
の位置に観測される。以上三種の吸収ピークの面
積を測定し、その比率を算出するとその値は、そ
れぞれの基に結合した水素の数の比と一致する。 (7) 質量分析 質量分析の手段として電子衝撃法(EIと略
す)、電解脱離法(FDと略す)、化学イオン化法
(CIと略す)のいずれの方法によつても前記一般
式()で示される化合物の分子量が確認でき
る。該化合物の分子量をMとすると、EI法では
M+又は(M+1)+の位置に、FD法ではM+の位
置に分子イオンピークが観測され、CI法では
(M±1)+の位置に擬分子イオンピークが観測さ
れる。 (8) 元素分析 炭素及び水素の分析結果を一般式()から算
出される理論値と比較する事により確認できる。 以上に示した(5)〜(8)の測定方法により、本発明
の化合物の原料である前記一般式()で示され
る化合物が確認できる。 又、前記一般式()で示される原料化合物
は、特に限定されるものではなく、公知の化合物
がそのまま使用できる。一般に好適に使用される
代表的な不飽和カルボン酸ハライドを挙げると、
例えばメタクリル酸クロライド,メタクリル酸ブ
ロマイド,アクリル酸クロライド,アクリル酸ブ
ロマイド等のメタクリル酸又はアクリル酸のハラ
イド化合物である。 前記一般式()及び()で示される原料化
合物は、例えばベンゼン,ジオキサンのような原
料化合物を溶解し、原料及び生成物と反応しない
溶媒中で脱ハロゲン化水素反応を行なうことによ
つて前記一般式()で示される本発明の化合物
となる。該脱ハロゲン化水素反応は公知の手段が
採用され、例えば、トリエチルアミン等の三級ア
ミン或いは他の塩基の存在下に実施すればよい。
脱ハロゲン化水素反応の反応条件は特に限定され
る事なく、溶媒の沸点までの温度、或いは減圧か
ら高圧まで必要に応じて選択できるが、一般には
大気圧下、室温(20〜30℃)で充分に反応が進行
する。また各原料の仕込みは一般に前記一般式
()で示される化合物を、前記一般式()で
示される化合物より少なく、また触媒として使用
する塩基は、前記一般式()で示される化合物
より過剰に使用するのが好ましい。 前記反応で生成した一般式()で示される目
的化合物は、反応液より副生した塩,溶媒及び過
剰の塩基を除去した後、必要に応じて減圧蒸留又
はヘキサン,ヘプタン等により抽出操作を行う事
によつて精製することができる。 本発明の前記一般式()で示される化合物
は、ビシクロオルソエステル環と不飽和結合の両
者を有する。一般に不飽和結合のみを有する化合
物は、その重合に於いて、数+%に及ぶ体積収縮
を伴う。一方、ビシクロオルソエステル環を有す
る化合物はその開環重合に於いて、体積収縮をほ
とんど伴わないがビシクロオルソエステル環単独
では、重合度の低いものしか得られず、そのため
に得られる重合体は一般には液状であり、固体状
のものでも物理的強度が低いという欠点を有して
いる。 一方、本発明の前記一般式()で示される化
合物に於いては、不飽和結合とビシクロオルソエ
ステル環の両方を同時に有し、いずれも重合硬化
反応に関与するために、生成する重合硬化体は、
充分な物理的強度を有し、かつ、重合時の体積収
縮が著しく小さいという特性を発揮するのであ
る。この点に関しては後述する実施例及び比較例
に示した様な第3級アミンを触媒として重合硬化
せしめる事により明確となる。 上記本発明の化合物()は成型材料,複合材
料,接着剤,注型材料,及び塗料等に使用した場
合に、前記したような極めて優れた特性を示す有
用な化合物である。また、医療用樹脂組成物とし
ても有用であり、特に歯科用材料として有用であ
る。この様な医療用材料として用いる際には例え
ば、為害性が無い事、操作性が優れ重合硬化速度
が速い事、及び歯質との接着性が優れている事等
の特性が必要とされる。しかるに、本発明の化合
物は、まず液体であり、重合触媒として口腔内で
も使用し得る第3級アミンを用いる事ができ、更
に重合硬化速度が速いため、極めて操作性に富ん
でいる。さらに本発明の化合物は、重合硬化時の
体積収縮率が小さいために、充填材及び接着剤と
して用いた場合に、封鎖性あるいは密着性に優
れ、最適の材料を提供し得るものである。例え
ば、4―エチル―1―ヒドロキシメチル―2,
6,7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オク
タンメタクリル酸エステルを用いて歯質接着剤と
しての性能を評価した結果、牛歯象牙質に対して
市販品よりはるかに高い接着強度を示す。この事
からも本発明の化合物が実用上有用な材料である
事が明らかである。 本発明を更に具体的に説明するために以下実施
例,用途例及び比較例を挙げるが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。 実施例 1 水分定量受器、冷却器、塩化カルシウム管を取
り付けた500c.c.ナス型フラスコにグリコール酸
22.82g(0.3mol)、トリメチロールプロパン
40.25g(0.3mol)及びベンゼン150c.c.を投入し、
95℃で2時間撹拌を行なつた。その後p―トルエ
ンスルホン酸0.1gを反応液中に加え、ベンゼン
還流を行つた。約2時間で5.4ml(約0.3mol)の
水が溜出した。反応系の撹拌を止め、室温まで、
空冷した後、エバポレーターによりベンゼンを除
去した。その後、精溜装置を用いて、0.2mmHg/
170〜180℃の条件下で減圧蒸留を行ない、116
℃/0.2mmHgの溜分を得た。これをメチレンクロ
ライドで再結晶した白色固体34.18gを得た。収
率は65.5%であつた。 この様にして得られた白色固体の物性値及び
種々の測定値は次の通りであつた。 1 融 点 60〜61℃ 2 赤外吸収スペクトル (その結果は第1図として添付する) 3350cm-1 (νOH) 1100、1090、1050及び1020cm-1
【式】 3 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル(その結果
は第2図として添付する) 測定溶媒:重クロロホルム 標 準:テトラメチルシラン
【表】 4 質量分析スペクトル EI法 m/e=175(M+1)+ 5 元素分析
【表】 以上の測定結果より前記白色固体は構造式
【式】である事 が確認できた。 次に撹拌機、滴下ロートを取り付けた500c.c.セ
パラブルフラスコに上記の反応で得た4―エチル
―1―ヒドロキシメチル―2,6,7―トリオキ
サビシクロ〔2,2,2〕オクタン32.74g、
(0.188mol)、トリエチルアミン50g(0.50mol)
及びベンゼン200c.c.を投入した。これを0℃で撹
拌しながら、メタクリル酸クロライド26.13g
(0.25mol)を滴下斗より反応液中に滴下して
加えた。滴下終了後、反応液は0℃で約2時間撹
拌し、さらに室温で15時間撹拌した。その後反応
液を過し、反応中に生成したトリエチルアミン
塩酸塩を除去した。液中のベンゼン及び過剰の
トリエチルアミンをエバポレーターを用いて除い
た後、ヘキサンを加え、抽出操作を行ないさらに
ヘキサン層を濃縮する事により淡黄色の液体
13.61gを得た。収率は29.9%であつた。 このようにして得られた淡黄色液体の物性値及
び種々の測定値は次の通りであつた。 1 沸 点 95℃/0.07mmHg 2 比 重 1.1519(20℃) 3 赤外吸収スペクトル(その結果は第3図とし
て添付する) 1720cm-1 (νC=O) 1635cm-1 (νC=C) 1280cm-1
【式】) 1160、1105、1060、1020及び1000cm-1
【式】 4 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル(その結果
は第4図として添付する) 測定溶媒:重クロロホルム 標 準:テトラメチルシラン
【表】 5 質量分析 FD法 m/e=242(M+) 6 元素分析
【表】 以上の測定結果より、前記淡黄色液体は、構造
である事が確認された。 実施例 2 水分定量受器、冷却管、塩化カルシウム管を取
り付けた500c.c.ナス型フラスコに乳酸31.9g
(0.35mol)トリメチロールプロパン40.86g
(0.3mol)及びトルエン150c.c.を投入し、90〜100
℃で10分間撹拌を行つた。その後p―トルエンス
ルホン酸0.1gを反応液中に加え、トルエン還流
を行なつた。約2.5時間で6.3ml(0.35mol)の水
が溜出した。反応系の撹拌を止め、室温まで空冷
した後エバポレーターにより、トルエンを除去し
た。その後、精溜装置を用いて、0.13mmHg/170
〜190℃の条件下で減圧蒸留を行ない102〜106.5
℃/0.13mmHgの溜分を得た。この溜分は室温ま
で冷却する事により、白色固体へと変化した。こ
の白色固体の収量は、44.25gであり、収率は
78.5%であつた。 このようにして得られた白色固体の物性値及び
種々の測定値は次の通りであつた。 1 融 点 66〜68℃ 2 赤外吸収スペクトル(その結果は第5図とし
て添付する) 3400cm-1 (νOH) 1125、1070、1015及び990cm-1
【式】 3 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル(その結果
は第6図として添付する) 測定溶媒:重ジメチルスルホキシド 標 準:テトラメチルシラン
【表】 4 質量分析 CI法 m/e=189(M+1)+ 5 元素分析
【表】 以上の測定結果より、前記白色固体は、構造式 である事が確認できた。 次に撹拌機、滴下斗を取り付けた500c.c.セパ
ラブルフラスコに上記反応で得た4―エチル―1
―(1―ヒドロキシエチル)―2,6,7―トリ
オキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン41.05g
(0.218mol)トリエチルアミン50g(0.50mol)
及びベンゼン200c.c.を投入した。これを0℃で撹
拌しながらメタクリル酸クロライド26.13g
(0.25mol)を滴下ロートより反応液中に滴下し
て加えた。滴下終了後、反応液は0℃で約2時間
撹拌し、さらに室温で20時間撹拌した。その後、
反応液を過し、反応液中に生成したトリエチル
アミン塩酸塩を除去した。 エバポレーターにより、液中のベンゼン及び
過剰のトリエチルアミンを除いた後、ヘキサンに
より抽出操作を行なつた。このヘキサン層を濃縮
する事によつて淡黄色の液体が、25.74g得られ
た。収率は46.1%であつた。 この様にして得られた淡黄色液体の物性値及び
種々の測定値は次の通りであつた。 1 沸 点 121℃/0.21mmHg 2 赤外吸収スペクトル(その結果は第7図とし
て添付する) 1720cm-1 (νC=O) 1640cm-1 (νC=C) 1170、1100、1025及び1000cm-1
【式】 3 1H―核磁気共鳴吸収スペクトル(その結果
は第8図として添付する) 測定溶媒:重クロロホルム 標 準:テトラメチルシラン
【表】 4 質量分析 CI法、 m/e=257(M+1)+ 5 元素分析
【表】 以上の種々の測定結果より、前記淡黄色液体は
構造式が である事が確認できた。 実施例 3〜7 原料として、R1およびR2が表1に示した様な
アルキル基をもつヒドロキシカルボン酸
(HOR1COOH)およびトリメチロールアルカン
〔(HOCH2)―3CR2〕を用い実施例1と同様な方法
でそれぞれ対応するビシクロ化合物を合成した。
得られた化合物はそれぞれ前記したビシクロ化合
物の確認法に従い構造を確認した。 次いでこれらのビシクロ化合物と、R3が表1
に示した水素あるいはアルキル基である不飽和カ
ルボン酸ハライド(
【式】、Xはハロ ゲン原子)とを実施例1と同様な方法で反応さ
せ、それぞれ対応するビシクロ化合物の不飽和カ
ルボン酸エステルを合成した。 このようにして得られた化合物の元素分析結果
および質量分析の結果は表1に示した如くであ
り、それぞれ、前記一般式()から予測される
計算値とよく一致した。さらに赤外吸収スペクト
ルおよび1H―核磁気共鳴吸収スペクトルの測定
により前記した特性吸収帯および水素の吸収ピー
クを確認した。
【表】 用途例1及び比較例1 実施例―1で確認された4―エチル―1―ヒド
ロキシメチル―2,6,7―トリオキサビシクロ
〔2,2,2〕オクタンメタクリル酸エステル0.5
g(2.87×10-3mol)をガラス製の重合用アンプ
ル中に投入した。これに表2に示す第3級アミン
を上記化合物に対して5mol%加え、次にこれを
封管した後、70℃油浴中で重合反応を行ない、そ
の重合硬化時間、及び硬化に伴なう体積収縮率を
求め、それらの結果を同じく表2のNo.1〜4に示
した。尚、重合硬化時間は、加熱開始から、封管
中の反応物が流動しなくなるまでの時間とした。
又、体積収縮率は、モノマーと重合硬化物の比重
を、それぞれ測定し、その値を基に算出した。 又、比較のために下記構造式 で示される、1―エチル―4―ヒドロキシメチル
―2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,2,
2〕オクタンメタクリル酸エステルを前記4―エ
チル―1―ヒドロキシメチル―2,6,7―トリ
オキサビシクロ〔2,2,2〕オクタンメタクリ
ル酸エステルの代りに用いた以外は、全て同様に
実施し結果を表2のNo.5〜8に示した。但し比較
例の場合には得られた重合体は寒天状であり、体
積収縮率を求める事が不可能であつた。
【表】
【表】 用途例 2 実施例1で得たビシクロ化合物の不飽和カルボ
ン酸エステルを用いて以下に示した組成のA液及
びB液を調製し歯質への接着強度を測定した。 A{4―エチル―1―ヒドロキシメチル―2,6,
7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オク
タンメタクリル酸エステル ……49.8重量部 エタノール ……49.8 〃 過酸化ベンゾイル ……0.4 〃 } B{エタノール ……98.9重量部 ジメチル―P―トルイジン ……1.1 〃 } 接着強度の測定は以下の方法で行つた。まず新
鮮抜去牛歯の表面をエメリーペーパー(#320)
で研摩し、平滑な象牙質を露出させた。次いで研
摩面を37%オルトリン酸水溶液で一分間処理し、
30秒間水洗した後窒素ガスを吹きつけて表面を乾
燥した。そして内径6mm、厚さ2mmの孔の空いた
板状ワツクスを乾燥表面に両面テープにて取り付
けた。次に前記A液およびB液を2:1の割合に
混合し、板状ワツクスでかこまれた歯質表面に塗
布し、窒素ガスで乾燥した。その上に市販の歯科
用複合レジン修復材(ジヨンソン&ジヨンソン社
製、商品名アダプテイク)を処方に従つて充填し
た。一時間放置後、板状ワツクスを取り除き、さ
らに37℃の水中に一昼夜浸漬した後、引張り強度
を測定した。測定には東洋ボールドウイン社製テ
ンシロンを用い、引張り速度は2mm/分とした。
その結果得られた接着強度は27.6Kg/cm2であつ
た。 又、比較のために下記構造式 で示される1―エチル―4―ヒドロキシメチル―
2,6,7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕
オクタンメタクリル酸エステルを前記4―エチル
―1―ヒドロキシメチル―2,6,7―トリオキ
サビシクロ〔2,2,2〕オクタンメタクリル酸
エステルの代わりに用いて、以下に示した組成の
C液およびD液を調製し、同様に実施した。その
結果得られた接着強度は、17.5Kg/cm2であつた。 C{1―エチル―4―ヒドロキシメチル―2,6,
7―トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オク
タンメタクリル酸エステル ……49.8重量部 エタノール ……49.8 〃 過酸化ベンゾイル ……0.4 〃 } D{エタノール ……98.9重量部 ジメチル―P―トルイジン ……1.1 〃 } 更に、公知の歯科用接着剤である下記液E及び
Fを調製し、上記と同様に実施した処、得られた
接着強度は11.5Kg/cm2であつた。 E{Bis―グリシジルメタアクリラート
……21.5重量部 トリエチレングリコールジメタアクリラート
……28.1 〃 エタノール ……50.0 〃 過酸化ベンゾイル ……0.5 〃 } F{エタノール ……99.0重量部 ジメチル―P―トルイジン ……1.0 〃 }
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は、実施例1で得られた白色
固体及び淡黄色液体の赤外吸収スペクトル、又第
2図及び第4図はそれぞれの1H―核磁気共鳴吸
収スペクトルの測定結果である。又第5図及び第
7図は、実施例2で得られた白色固体及び淡黄色
液体の赤外吸収スペクトルであり、更に又、第6
図及び第8図は、それぞれの1H―核磁気共鳴吸
収スペクトルの測定結果である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2及びR3
    はそれぞれ同種又は異種の水素原子又はアルキル
    基を示す)で示される4―アルキル―1―ヒドロ
    キシアルキル―2,6,7―トリオキサビシクロ
    〔2,2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エステ
    ル。 2 一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2は水素
    原子又はアルキル基を示す)で示される4―アル
    キル―1―ヒドロキシアルキル―2,6,7―ト
    リオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタンと 一般式 (但し、R3は水素原子又はアルキル基を示し
    Xはハロゲン原子を示す)で示される不飽和カル
    ボン酸ハライドとを反応させる事を特徴とする 一般式 (但し、R1はアルキレン基を示し、R2及びR3
    はそれぞれ同種又は異種の水素原子又はアルキル
    基を示す)で示される、4―アルキル―1―ヒド
    ロキシアルキル―2,6,7―トリオキサビシク
    ロ〔2,2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エス
    テルの製造方法。
JP57096099A 1982-06-07 1982-06-07 4−アルキル−1−ヒドロキシアルキル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン不飽和カルボン酸エステル及びその製造方法 Granted JPS58213780A (ja)

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