JPH0238100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本考案は、自動車等の車輪に装着されるスピン
ドルキヤツプの組付構造に関する。

ｂ 従来技術 第１図の上半部は自動車の車輪の、特に車軸付
近の断面説明図で、１は車軸、２はブレーキドラ
ム、３はホイールデスク、４はホイールキヤツ
プ、５はブレーキドラム２に植設されたホイール
ボルト、６はホイールデスク３とブレーキドラム
２とを締付固定するホイールナツト、７はブレー
キカバーである。

ブレーキドラム２はボス部１０を備え、車軸１
を支承するベアリング１１，１２をそれぞれ嵌設
してあり、さらに外側端面にベアリング部分への
泥水などの浸入を阻止するためスピンドルキヤツ
プ（以下、キヤツプと略記する）１４が嵌設して
ある。

このキヤツプ１４は、ブレーキドラム２側のス
ピンドル挿通穴１５に嵌入する挿入部１６と、ブ
レーキドラム２側の端面に突設した座部１７に当
接せしめるフランジ部１８を周設してある。

このような構造のキヤツプ１４は、保守点検、
修理交換などの際に、ブレーキドラム２から取外
す機会が多い。このキヤツプ２の取外し作業は、
図上Ａで示すようにフランジ部１８の端部と座部
１７との間に工具Ｐの先端を無理にこじ入れてお
こなつている。そのため、この座部１７とキヤツ
プ１４の端面が変形して密封性が低下し、内部に
泥水などが浸入し、ベアリングが破損するなどの
事故が発生していた。よつてキヤツプ１４の交換
頻度が増加するという問題点があつた。

一方、実公昭39−16203号公報に示すように、
盲栓の鍔にドライバの挿入部を設けたものが知ら
れている。しかし、この構造のものは、ドライバ
ーの挿入部が開放穴と連通するため、シール性に
問題があるとともに、特殊工具の使用や複雑な形
状となるためコストがかかるという問題点があつ
た。

ｃ 考案の目的 本考案は前記事情に鑑みてなされたもので、上
記従来構造の欠点を解消し、取外し作業が容易
で、かつシール性が損なわれないスピンドルキヤ
ツプの組付構造を提供しようとするものである。

ｄ 考案の構成 本考案は、ブレーキドラムの端面にスピンドル
キヤツプを嵌着する組付構造において、ホイール
デスクを当接して締付ける前記ブレーキドラムの
端面上であつて、該端面上に設けたスピンドル挿
通穴の周囲に、座部を設けるとともに、上記スピ
ンドルキヤツプに、上記スピンドル挿通穴への挿
入部１６と、上記座部に密着させるフランジ部と
を設け、一方、上記座部のフランジ部との合せ面
に、適当数の溝を設け、該溝は、その先端が上記
スピンドル挿通穴の内壁まで届かず、かつ嵌設し
た上記スピンドルキヤツプのフランジ部の座部と
の合せ面に臨む位置まで形成したことを特徴とす
るスピンドルキヤツプの組付構造である。

ｅ 実施例 以下、本考案の実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。なお、上記従来例と同一部
材については同一符号を付し説明を省略する。

第１図の下半部は本考案に係る実施例を示す断
面説明図で、図上Ｂで示すようにブレーキドラム
２の端面に設けた座部１７に、適度の幅、たとえ
ば幅10mm程度の溝２０を設ける。この溝２０は座
部１７の外周端部に適当間隔を置いて複数個、た
とえば第２図に示すように４ケ処等分に配設す
る。なお、この溝２０の先端はスピンドル挿通穴
１５の内壁に届かないようにキヤツプ１４のフラ
ンジ部１８に当接する座部を残してあり、かつ嵌
設したキヤツプ１４のフランジ部１８の座部１７
との合せ面に溝２０の先端が臨む位置まで形成し
てある。

キヤツプ１４を取外す場合には、ブレーキドラ
ム２の座部１７を設けたこの溝２０に、工具Ｐの
先端を挿入し、キヤツプ１４のフランジ部１８
を、その内側より外側へ押し出せば、キヤツプ１
４は容易に外れる。特に座部１７がブレーキドラ
ムの端面に設けてあるため、工具Ｐと端面との間
に支点となるものが簡単に介設でき、したがつて
テコの原理を応用して極めて容易にキヤツプ１４
を外すことができる。

ｆ 考案の効果 本考案によれば、ドラムの座部に形成した溝
が、スピンドル挿通穴と連通しなくなるので、ス
ピンドルキヤツプのフランジ部に工具挿入部を設
けた従来の構造のように、スピンドルキヤツプの
シール性が損なわれることはない。

また、この溝はドラム端面から隆起した座部に
設けてあるので、これへの工具の係合が容易にな
り、特殊形状の工具を用いなくても、スピンドル
キヤツプを容易に取外すことができる。

さらに、ドラム座部への溝の加工は、比較的安
価に行なえるため、生産コストの低減を図ること
ができるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図の上半分は従来の車輪のスピンドルキヤ
ツプの組付構造を示す断面説明図、同下半分は本
考案に係る同組付構造を示す断面説明図、第２図
は第１図下半分のＣ矢視図で、キヤツプを取除
き、ブレーキドラムの座部のみを示した図であ
る。 １……車軸、２……ブレーキドラム、１４……
スピンドルキヤツプ、１５……スピンドル挿通
穴、１６……挿入部、１７……座部、１８……ス
ピンドルキヤツプのフランジ部、２０……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキドラムの端面にスピンドルキヤツプを
   嵌着する組付構造において、ホイールデスク３を
   当接して締付ける前記ブレーキドラム２の端面上
   であつて、該端面上に設けたスピンドル挿通穴１
   ５の周囲に、座部１７を設けるとともに、上記ス
   ピンドルキヤツプ１４に、上記スピンドル挿通穴
   １５への挿入部１６と、上記座部１７に密着させ
   るフランジ部１８とを設け、一方、上記座部１７
   のフランジ部１８との合せ面に、適当数の溝２０
   を設け、該溝２０は、その先端が上記スピンドル
   挿通穴１５の内壁まで届かず、かつ嵌設した上記
   スピンドルキヤツプ１４のフランジ部１８の座部
   １７との合せ面に臨む位置まで形成したことを特
   徴とするスピンドルキヤツプの組付構造。