JPH0237668B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気接触端子、特に集積回路ICソケ
ツト等の多接触子型コネクターに使用して複数の
導体部間の良好な電気的相互接続を行う予荷重式
電気接触端子及びその製造方法に関する。

米国特許第4268102号には基板等の相手方接触
面に接触すべき接触部を有する平坦な板金電気接
触端子が示されている。この端子は前記接触面に
設けられたばねを有し、このばねと係合するラツ
チアームが端子ヨーク部に延びており、ヨーク部
は回路板導体にはんだ付けをするためのはんだ付
けタブを有する。ばねアームは比較的長くて撓み
を加えられるが、ラツチアームは比較的短くては
んだ付けタブおよび回路板導体への短い直接導通
路となる。この端子は使用状態に置かれると、ば
ねが撓められて基板上の端子パツドとの電気的接
触のための接触力を生じる。電流の大部分はばね
アームを通らないで、その端部からラツチアーム
を通つてはんだ付けピンすなわちタブに流れる。
米国特許第4268102号に示された端子は、ラツチ
アームを通る短縮された電気通路の故に、端子内
の好ましくない自己インダクタンス使用が最少限
に抑えられて有利である。

米国特許第4268102号に示される型の端子はい
ろいろな状況の下に有利に使用できるが、ばねア
ームの接触面が基板の端子パツドに係合するとき
にばねアームに生じる接触圧の増大が望まれる。
このような型の端子は薄い板金材から極めて小さ
なサイズで生産しなければならないことが多く、
そのような条件下では高い接触力を得ることが特
に困難である。端子の小型のことと板金材が薄い
ことから、発生し得る接触圧が限定されがちであ
る。

本発明は米国特許第4268102号に記載される一
般型式の改良された端子の表現を狙いとするもの
である。本発明の一面によれば、端子のばねアー
ムとラツチアームとは、平坦な索片の型打ちによ
つて、ばねアームの自由端がラツチアームの自由
端と一体に連なる１枚の連続する板金片として製
出される。次にこの平坦な索片がばねアームの自
由端をラツチアームの自由端から分離する一線に
沿つて剪断され、次いでばねアーム自由端がばね
アームを撓ませることによつてラツチアーム側に
変位させられる。両アーム自由端は変位したばね
アームのをその変位位置に保持するラツチとして
作用する縁部を有しており、変位後のばねは予応
力状態を呈している。この端子が使用状態に置か
れるときは、ばねが一段と撓められるが、そのば
ねアームはラツチアームの一側縁に沿つて移動し
ラツチアームと接触しつづける。接触圧は改善さ
れているが、これはばね圧が予め応力を加えられ
ていることと、ばねの増加撓みがばねアームに予
応力がなかつた場合に生ずべき接触力よりも実質
的に大きな接触力を発生させることに基く。この
接触端子が使用状態にあるとき、ばねアームの接
触部から端子のはんだ付けタブまたはその等効部
分に至る電気通路はばねアームの端部を介してラ
ツチアームに通じさらに回路板導体に通じてい
る。この回路通路は端子内の自己インダクタンス
作用を減少する。

次に、本発明の実施例を示す添付図面について
本発明をさらに詳細に説明する。

本発明による電気接触端子２（第１図）は第２
図に示すコネクター１８に用いるものであつて、
基板８の下面６（第４図）の端子パツド４と回路
板１６の上面にある導体１２の端子パツド１０
（第４図）との間の接続路を構成する役をする。

コネクター１８に含まれている四角形のフレー
ムすなわちハウジング部材２０は適当な絶縁材料
から成り、四つの側辺レール２２により構成さ
れ、拡大された隅部２４を有し、中央部が開口し
ている。隅部２４には、本コネクターを回路板に
取付けると共に基板をコネクター内の接触端子に
圧着させるねじ２６用の穴が設けられている。

各側辺レール２２の内面４０には棚面２８が設
けられており、コネクター内に挿置される基板８
の下面周縁を支持する。基板の隅部には、ハウジ
ング隅部のくさび形突起３２を受ける切込み３０
がある。ただし基板の一隅３４は斜切されていて
ハウジング内のばね部材（図示せず）と協働して
他の三隅をくさび状突起３２に押付けることによ
り基板をコネクター内に正確に位置出しする。

ハウジング側辺レールには複数個のスロツト様
の空腔３６が列設され、各空腔にはハウジングの
下面３８（第３図、第４図）および側辺レールの
内面４０から入り込んで、第２図に示すように、
棚面２８に交差して開いており、各端子はその一
部が棚面上方に突出する。

基板８は基板ハウジングの上面とに嵌まる正方
形の金属固締フレームイ４２によつてハウジング
内に保持される。前記ねじ２６はこのフレームの
隅穴からハウジングを貫通し回路板１６のオーバ
ーサイズ穴とプラスチツク絶縁板４４のオーバー
サイズ穴４６とを貫通する。これらのねじ２６は
金属固締板５０のねじ穴４８にねじ込まれ、基板
を接触部に圧締することから生じる応力が回路板
によつて負担されることはない。

個々の各端子２はヨーク部５２を有しここから
はんだ付けタブ５８，５９が延び出ている。はん
だ付けタブ５８はヨーク部から直かに延び出てい
るが、はんだ付けタブ５９はヨーク部の左側縁
（第１図）と一体な連結アーム５７の端から延び
出ている。各個の端子をハウジングに組込むとき
は、一方のはんだ付けタブ５８または５９を端子
から除去して残るはんだ付けタブを回路板穴に挿
入すること第５図に示すごとくである。板状部材
すなわち回路板１６の一面１４の端子パツドは普
通のIL型であり、アーム５７とこれに続くはん
だ付けタブ５９を有する端子はＬ型端子パツドに
接続されること同じく第５図に示すごとくであ
る。状況によつては両はんだ付けタブ５８，５９
とも除去してヨーク部の下縁を回路板上面の端子
域にはんだ付けすることもできる。

ハウジングの各空腔３６は比較的狭く、その平
行な両側壁が端子の側面に隣接し端子は予応力を
加えられ掛止された下記の状態に保持される。各
端子にはそのヨーク部上縁から立上る保持耳７８
によつてそれぞれの空腔に保持されるが、それら
の耳はヨーク部に隣るところで８０に示すように
少し剪断されヨーク部の平面から僅かに外方に成
形されていて端子を空腔内に締まり嵌めさせる。

各端子はそのヨーク部から延び出たラツチアー
ム５４とばねアーム５６とを有する。ばねアーム
５６はヨークから一側方に延び出て反対方向に彎
曲６２する第一部分６０を有する。またこのばね
アームは、６４に示すように、彎曲部６２から端
子左端方向に戻つて６５で緩かに彎曲し６６で折
返されてラツチアーム５４から離れたＵ字形接触
部６６を形成する。このＵ字形接触部の外向き縁
面６７は後述のように端子の接触部となる。端子
端部６８はＵ字形接触部６６からばねアーム自由
端７０まで下行し、この自由端の外向き縁面７２
がラツチアーム５４の第１図で右側縁７９に当つ
ている。ラツチアームの上方自由端７４はばねア
ーム自由端７０の外向き縁面７２の上方に円弧状
に延び上がつており、ばねアームは図示位置から
の左方移動を阻止されている。

第１図に示す状態の端子は、ばねアーム自由端
７０がこのばねアームの通常（ノーマル）位置か
ら図示の掛止位置に変位しているために、応力の
加わる撓み状態にある。ばねアーム自由端の通常
（ノーマル）位置はラツチアーム自由端に隣接し
て該自由端を僅かに乗越える位置であつて、ばね
アームの上部全体が通常（ノーマル）状態では図
示位置よりも上方に変位しているはずである。ま
た、ラツチアームとばねアームとは、ばねアーム
がその通常（ノーマル）位置から変位しているた
めに互に弾力的に押付けられている。

第６図は第１図の端子を製出する索片を示し、
第７第８および第９図はその端子のばねアームが
ハウジング内に挿置されるときに変位位置に移さ
れて予応力を加えられる状況を示す。第６図に示
すように、端子索片ではラツチアームの自由端７
４′がばねアームの自由端７０と一体に連なつて
閉ループ状の部分を形成している。型打ちの後、
両自由端７４′，７０は第６図に示すようにラツ
チアーム上端とばねアームの下端とを画成する切
断線８６に沿つて索片を剪断することにより切離
される。

剪断作業終了後、端子帯条はガイド８８により
送り掛けられてその先頭端子を工具９０，９２
（第７図）に隣る位置に置き、両工具がばねアー
ム自由端を第７図の通常（ノーマル）位置から変
位位置に移動させる。工具９０はばねアームの自
由７０に係合し、第７図の位置から第８図の位置
に概ね円弧状に移動することによつてばねアーム
自由端をラツチアーム側縁７９側に乗越えさせ
る。ばねアーム自由端がこのように右方に移動さ
れるときはもちろんばねアーム全体に若干の応力
が掛かる。次に、工具９２が第８図の位置から第
９図の位置に下方移動してばねアームのＵ字形接
触部６６外向き縁面６７に係合する。ばねアーム
の下方移動は円弧面７２をラツチアームの側縁面
７９に当接させ、ばねアームにその長さに沿つた
応力が加わつてその端部９８が撓み、ばねアーム
の自由端７０はラツチアームの側縁７９に弾力的
に押付けられることになる。ラツチアームにはば
ねアームをその撓み掛止状態に保持する助けとな
る小リツプ９４を上端に設けるのが得策である。
このばねアームは、次いでコネクターに基板が挿
込まれ第４図に示すように端子の接触部に圧着さ
れるときに、側縁７９に沿つてさらに或る距離だ
け下方に移動することができる。

コネクターの使用状態において電流は基板８の
下面の導体部である端子パツド４から接触端子の
ばねアームの第二部分すなわち端部６８を通つて
両アーム端間の電気的界接面を横切りラツチアー
ムの下部に流れる。このようにして端子パツド４
と端子ヨーク５２との間には非常に短い電気通路
が得られること明らかである。電流が各端子のば
ねアームを通して流れることはばねアームが長く
その電気抵抗が高いため阻まれることになる。こ
の短い電気通路はもちろん端子使用時の回路の自
己インダクタンス作用を最小限に抑える。

具体的な端子構成は本発明の要旨を外れないで
広く種々の設計が可能である。接触端子の接触力
に必要なばね特性を生ずるという機械的機能は、
端子の接触部からヨーク部からはその等効部分に
電流を伝えるという電気的機能から切離されてい
るので、ばねアームには端子の使用状態の要求に
応じて任意の形態をとらせることができる。すな
わち、ばねアームは図面に示す形状よりも複雑な
形状にしたり図示のものよりも若干長くしたりす
ることができる。またばねアームによつて発生す
る接触力は、設計者が所要の接触力が得られるよ
うにばねアームを自由に設計できるために、精密
な公差内に管理制御することができる。設計者は
ばねアームの設計に当つて端子の電気的特性を心
配しないで済む。

本発明による端子は、必要に応じてその寸法を
広範囲に選択して製作することができる。その一
つはほぼ図面に示す通りのものであつて、厚さ
0.38mmの板金材から製出されるが、端子の中心間
隔が1.27mmのコネクター用である。このような条
件に用いられる端子としてそのヨーク下縁から折
返し彎曲部までの全高は約3.6mm、接触アームか
ら折返し彎曲部６２までで測つた長さは約5.4mm
である。これらの寸法でも本発明の要旨を沿つた
端子設計で可能な寸法の下限ではない。端子中心
間隔0.5mmのコネクター用に適当と見られる厚さ
約0.17mmの板金材からの端子生産も実用的に全く
可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による接触端子の斜視図、第２
図は第１図に示す型の接触端子を収容するコネク
ターを分解して示す斜視図、第３図は第２図のコ
ネクターの組立状態における同図３−３線による
断面図、第４図は基板をコネクターに組付けたと
きの各部分関係を示す第３図同様の図、第５図は
第３図の５−５線による断面図、第６図は端子索
片の帯条の一部の平面図、第７図は端子のばねア
ームをその掛止位置に移動させる役をする工具部
材に一索片を隣接させて位置出しした状態を示す
側面図、第８図および第９図はばねアームがその
掛止位置に移動される状況を示す第７図同様の図
である。 １６……板状部材、５２……ヨーク部、５４…
…ラツチアーム、５８……タブ、６２……湾曲
部、６６……Ｕ字形接触部、５６……ばねアー
ム、７０，７４……自由端、７９……側縁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 板状部材に取付けられるタブを有するヨーク
   部と、 該ヨーク部の近傍から上記タブと反対方向に形
   成されたラツチアームと、 上記ヨーク部から上記ラツチアームと反対側に
   伸びる折返し湾曲部及び上記タブと反対側の略Ｕ
   字形接触部を有するばねアームと、 を具え、 該ばねアームの上記Ｕ字形接触部の自由端を上
   記ラツチアームの自由端部と接触係合させて上記
   ばねアームに予荷重を与え、上記接触部に力を加
   えることにより上記ばねアームの上記自由端が上
   記ラツチアームの側縁に沿つて摺動することを特
   徴とする予荷重式電気接触端子。 ２ 弾性金属板を、タブを有するヨーク部、該ヨ
   ーク部の一側に離間した湾曲部、上記タブと略対
   向する位置の略Ｕ字形部及び該Ｕ字形部から上記
   ヨーク部の他側へ至る略直線状部より成る閉ルー
   プ状に形成することと、 上記金属板の上記閉ループを上記略直線状部で
   切断し、上記湾曲部及びＵ字形部を含むばねアー
   ムと、上記略線状部の残りの部分を含むラツチア
   ームを形成することと、 上記ばねアームの自由端に力を加えて上記ラツ
   チアームの自由端の側縁に摺動的に係合させ、上
   記ばねアームに予荷重を与えることと、 より成る予荷重式電気接触端子の製造方法。