JPH0237634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のシート支持装置に関する。

（従来技術） 自動車のシート支持装置に関し、フロアの左右
方向の中央部に設けたトンネル部と側縁のサイド
シルとの間で略水平にしたフロアパネルに、フロ
ントシートを前後動可能に支持するシートスライ
ダの足部を固定する技術は一般に知られている。
ところで、後部座席の乗員はその足をフロントシ
ートの下にもつてくることがあるが、上記技術の
場合、シートスライダの左右の取付間隔が狭く後
席乗員にとつての足元のスペースを広くとること
が難しい。

これに対し、特開昭55−19608号公報に記載さ
れている如く、上記シートスライダをフロアのト
ンネル部側壁に装着するという技術がある。これ
の場合上記足元スペースは広くすることが可能で
あるものの、シートからの荷重がシートスライダ
とシートブラケツトとの結合部ないしトンネル部
側壁との結合部に対し剪断方向に主として作用す
ることになり、シートスライダの取付強度確保の
ためシートブラケツトの形状等を荷重分散の点か
ら別途工夫することになる。

（考案の目的） 本考案は、自動車のフロントのシート支持にお
いて、後席乗員のための足元スペースを広く確保
することができるようにするとともに、比較的簡
単な構造でもつてシート取付強度を確保できるよ
うにしようとするものである。

（考案の構成） 本考案においては、フロアパネルのトンネル部
側壁と、このトンネル部に被せるトンネルレイン
フオースメントの側壁との間に、トンネルレイン
フオースメントの側壁を傾斜させることにより空
隙を形成し、この空隙においてシートブラケツト
をフロアパネルとトンネルレインフオースメント
との間に挟着し、シートスライダの足部をこのト
ンネルレインフオースメントとシートブラケツト
に対して固定するようにしている。

従つて、シートスライダの足部がトンネル側壁
部分に固定されるため、後席乗員の足元スペース
を広く確保することができるとともに、上記トン
ネル側壁部分は傾斜しているため、常時および事
故時にシート側から加わる荷重の一部は分力とし
てこの側壁部分に対して垂直に作用する関係で取
付ボルトに加わる剪断方向の成分が少なくなり、
また、荷重はトンネルレインフオースメントを介
してフロアパネルに広く分散され、大荷重に対し
ては空隙があることからこの側壁部分の撓みでも
吸収される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図に示す自動車のシート支持装置におい
て、１はフロントシート２の下のフロアパネルで
あつて、左右方向の中央部にプロペラシヤフトな
どを配設するための車室側に突出したトンネル部
３が形成され、また、フロアパネル１の側端はサ
イドシル４に接合されている。フロントシート２
はその両側下部において左右のシートスライダ
５，６により車体に対して支持されている。

シート支持構造について具体的に説明するに、
両シートスライダ５，６は、フロントシート２の
下面に結合された可動部材７，７と、足部８，９
を介して車体に固定されたレール１０，１０との
嵌合によりフロントシート２を前後動可能に支持
している。左シートスライダ５の足部８はフロア
パネル１とサイドシル４との間に架設した左シー
トブラケツト１１に固定され、右シートスライダ
６の足部９はトンネル側壁部分に固定されてい
る。

すなわち、フロアパネル１のトンネル部３には
板状のトンネルレインフオースメント１２が被せ
て接合されていて、フロアパネル１のトンネル部
側壁１３は、第２図に示す如く右シートスライダ
６の固定部よりも前方ａにおいては傾斜して立上
がつているものの、この固定部から後方ｂにおい
てはその立上り角度が大きくなつている。一方、
第１図に示すようにトンネルレインフオースメン
ト１２（第２図には図示せず）の側壁１４は、そ
の前側から上記固定部までがフロアパネル１と同
様に傾斜して立上り、これにより、第３図にも示
す如く上記固定部においてフロアパネル１のトン
ネル部側壁１３とトンネルレインフオースメント
１２の側壁１４との間に空隙１５が形成されてい
る。そして、この空隙１５において、板状のシー
トブラケツト１６がフロアパネル１とトンネルレ
インフオースメント１２との間に挟着されてい
る。この場合、シートブラケツト１６は、トンネ
ルレインフオースメント１２の側壁１４に倣つて
傾斜した傾斜壁１７と、上記フロアパネル１のト
ンネル部側壁１３およびフロントシート２下側の
水平部においてこのフロアパネル１とトンネルレ
インフオースメント１２とで挟着されたフランジ
部１８とをもつ。そして、右シートスライダ６の
足部９は、重ね合わされたトンネルレインフオー
スメント１２の側壁１４とシートブラケツト１６
の傾斜壁１７に対してボルト部材１９にて固定さ
れている。

上記構造において、右シートスライダ６の足部
９がトンネル側壁部分に固定されているため、フ
ロアパネル１のフロントシート２下の水平部に固
定する場合に比べて、左右のシートスライダ５，
６の取付位置の間隔が広くなる。つまり、後席乗
員の足をおくスペースが広くなる。また、右シー
トスライダ６の足部９の取付部が傾斜しているた
め、フロントシート２からの荷重は、傾斜面に対
して垂直の方向や剪断方向等に分散され、さらに
はトンネルレインフオースメント１２を介してト
ンネル部３およびそのまわりのフロアパネル１に
分散される。また、シートブラケツト１６の傾斜
壁１７とフロアパネル１との間に空隙１５を残し
ていることから、上記荷重はトンネルレインフオ
ースメント１２の側壁１４およびシートブラケツ
ト１６の傾斜壁１７の撓みによつても吸収され
る。従つて、例えばフロントシート２にシートベ
ルトアンカを結合する構造において、大きな衝撃
荷重がシートベルトアンカを介してシートブラケ
ツト１６側に伝わつてもシートスライダ６の足部
９の外れやトンネルレインフオースメント１２の
剥離等によるフロントシート２の車体からの外れ
が防止される。

また、シートブラケツト１６がフロアパネル１
とトンネルレインフオースメント１２との空隙１
５に設けられているため、シートスライダ６の足
部９を固定するボルト部材１９がこの空隙１５内
に収められ、フロアパネル１の下に突出すること
がない。

なお、本考案は、フロントシート２のトンネル
部側での支持に関するが、必要に応じてサイドシ
ル側においてもシートブラケツトを傾斜して設
け、その傾斜部分にシートスライダ足部を固定す
ることにより、足元スペースの拡大と荷重分散を
図るようにしてもよい。

（考案の効果） 本考案によれば、傾斜したトンネルレインフオ
ースメントの側壁とフロアパネルのトンネル部側
壁との間に空隙を設けてこのトンネルレインフオ
ースメントとフロアパネルとにシートブラケツト
を挟着したから、後席乗員のために広い足元スペ
ースを確保することが可能になるとともに、シー
ト側からの荷重分散性に優れ、シートスライダの
取付強度の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はシート
支持構造の縦断面図、第２図はシートブラケツト
とフロアパネルトンネル部の関係を示す斜視図、
第３図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。 １……フロアパネル、２……フロントシート、
３……トンネル部、６……シートスライダ、９…
…足部、１２……トンネルレインフオースメン
ト、１３……トンネル部側壁、１４……側壁、１
５……空隙、１６……シートブラケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロアパネルの左右方向中央部に車室側へ突出
   したトンネル部をもち、このトンネル部にトンネ
   ルレインフオースメントが被せられた自動車にお
   いて、トンネルレインフオースメントはフロアパ
   ネルのトンネル部側壁に対し空隙を存して傾斜し
   て立上がつた側壁を備え、上記空隙においてフロ
   アパネルとトンネルレインフオースメントとの間
   にシートブラケツトが挟着され、傾斜したトンネ
   ルレインフオースメントの側壁とシートブラケツ
   トに対してフロントシートを前後動可能に支持す
   るシートスライダの足部が固定されていることを
   特徴とする自動車のシート支持装置。