JPH0237271B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高周波誘導溶接方式による電縫管製
造装置に関する。

一般に、高周波誘導溶接方式の電縫管製造装置
では、帯状の鋼板（帯鋼）が数段の成形ローラに
より順次略筒状に成形された後、その帯鋼の突合
せが高周波電流の利用により加熱溶接される。こ
のような装置では、通常は銅製コイル（ワークコ
イル）が設けられて、このワークコイルにより帯
鋼の突合せ部に高周波電流が電磁誘導される。こ
の高周波電流の近接効果と表皮効果により、帯鋼
は局部加熱され、溶接温度にまで加熱された後、
スクイズローラと称する加圧ローラによりその突
合せ部が圧着され溶接鋼管となる。

ところで、従来では、溶接効率を高めるため、
鋼管内にいわゆる内部インピーダといわれるフエ
ライトコアをセツトして、側路インダクタンスを
高めるような構成がなされている。このフエライ
トコアにより、帯鋼の突合せ部に高周波電流が集
中されるため、溶接効率が高まることになる。し
かしながら、このような構成であると、鋼管の中
にフエライトをセツトするため、装置の機械的構
造上の大きな制約を受けるだけでなく、製造対象
である鋼管の径の大きさ自体も限定されることに
なる。

また、従来の製造装置では例えば特公昭54−
8539号明細書「鋼管製造装置」に見られるよう
に、スクイズロール、シームガイドローラ等近傍
による部品が電磁誘導されることによる溶接点電
流の弱化、あるいは帯鋼の突き合せ端部に流れる
電流が外周面の円周方向循環電流による溶接能率
の低下等の防止にそれぞれ誘導コイルの両側に外
面インピーダを設けることが考えられる。

しかしながら、上記のような従来の鋼管製造装
置では外面インピーダ自体の構造が冷却水を通流
させ得るようにした円筒状腔部を有する本体ドラ
ム内に軸長方向に一致する多数の棒状フエライト
コアを装填して構成される。

このような外面インピーダでは、構造が複雑で
あるばかりでなく、フエライトコア自体と溶接さ
れるべき帯鋼との間に肉厚の非磁性体の本体ドラ
ムが介在し、加熱効果および溶接能率を殺ぐ欠点
があつた。そこで本発明は、この外面インピーダ
ンスの改良により簡単な構成でより加熱効果、並
びに溶接能率の向上を実施可能とした電縫管製造
装置を提供するものである。

以下図面を参照して本発明の一実施例について
説明する。第１図は本発明に係る電縫管製造装置
の概略的構成を示す斜視図である。図中、１は帯
鋼に高周波電流を誘導するための誘導コイル（以
下ワークコイルと称する）である。２ａ，２ｂ
は、外面インピーダである一体成形により得た鞍
形フエライトコアであり、製造対象である筒状の
帯鋼３の外側で突合せ部（溶接部となる）に対向
して配設される（対向部は帯鋼３の外周湾曲に応
じた曲部Ｒを有している）。一方の鞍形フエライ
トコア２ａは、ワークコイル１とスクイズローラ
４との間に配設され、スクイズローラ４側の形状
が対をなすローラ間の円周に沿う形状に成形され
ている。従つてフエライトコア２ａの一端部は略
テーパ状に形成され、スクイズローラ４間中央近
くまで挿入される。スクイズローラ４は、ワーク
コイル１で誘導された高周波電流により局部加熱
された帯鋼３の突合せ部を加圧して圧着させる機
能を有している。従つて、帯鋼３の圧着点近くま
でフエライトコア２ａが配設されるので加熱効果
は効果的である。また、フエライト２ｂは、例え
ばワークコイル１とシームガイドローラ１０間に
配設される。シームガイドローラ１０は、通常湾
曲に成形される帯鋼３の突合せ部の位置ぎめ及び
各端部の間隙寸法を規定するために設けられてい
る。なお、５はいわゆる内面フエライトコアであ
り、帯鋼３の内部に設けられる。６ａ，６ｂはそ
れぞれフエライトコア２ａ，２ｂの取付台、７は
冷却銅管で冷却水を通しフエライトコア２ａに直
接放水冷却する構成をなしている。

このような構成において、その作用効果を説明
する。ワークコイル１により誘導された高周波電
流により、筒状に成形された帯鋼３は、その突合
せ部が加熱される。この場合、帯鋼３の突合せ部
に対応して鞍形フエライトコア２ａ，２ｂが帯鋼
３外面とは少間隙をなして取付けられている。こ
の結果、高周波電流が突合せ部に集中して高い効
率で局部加熱される。帯鋼３は、その突合せ部が
溶接温度まで加熱され、溶接される。そして、ス
クイズローラ４により、溶接された帯鋼３の突合
せ部は加圧されて圧着される。これにより、溶接
鋼管８が製造されて送り出される。

本発明では、上記のように従来装置に相違し、
一体成形された鞍形のフエライトコア２ａ，２ｂ
が、直接的に帯鋼３の外側に取付けられているた
め、溶接の効率を著しく高めることができ、溶接
に要する電力の軽減を実現できる。特に、外径の
小さい帯鋼においては、従来ではその内部に十分
な側路インダクタンスを得るような内面フエライ
トコア５を配設することが困難で充分なる溶接効
率を得ることはできなかつた。これに対して、本
発明では、帯鋼３の外側に鞍形のフエライトコア
２ａ，２ｂが直接的に配設されているため、十分
な側路インダクタンスを得ることができ、溶接の
効率を高めることができる。また、帯鋼３の外側
に溶接部側に鞍形状に取付ける構造であるため、
帯鋼３がセツトされた状態でもフエライト２ａ，
２ｂの取替えが容易であるなど、装置全体の構造
を簡単化できる。また、フエライトコア２ａの外
面インピーダをスクイズローラ４の円周に沿う形
状に成形することにより、ワークコイル１を溶接
部に近接できる。さらに、フエライトコア２ａ，
２ｂは電磁誘導による自己発熱のため劣化する
が、本発明では従来のように本体ドラムに小パイ
プを取着したような複雑な構成をとるまでもなく
外部の冷却装置（例えば冷却銅管による直接水
冷）により、容易にフエライトコア２ａ，２ｂを
冷却することができる。

更にまた、本発明装置では、図示の通りローラ
側のフエライトコアをローラ４の支柱に一体的に
取着して構成したのでフエライトコアとローラと
の相互位置決めが確実に行ない得るだけでなく、
ワークコイル、フエライトコア、ローラ間の間隔
を小さくでき、溶接効率の向上は勿論、装置全体
の小形化に寄与するものである。

以上詳述したように本発明によれば、電縫管製
造装置において、鞍形状の一体成形により得た新
規なフエライトコアを採用することにより、簡単
な構成でより高い溶接効率で鋼管を製造すること
ができる。しかも、鋼管の外径が小さい場合でも
充分なる加熱効果が得られるため、内面インピー
ダを備えなくても実用可能となり、また任意の径
の鋼管が装置にセツトされた場合でも、その径に
応じて鞍形フエライトを容易に取替えできるな
ど、機械的構造を簡単化できる等実用上の効果大
である。

第２図は、上記実施例において帯鋼３に対して
フエライトコア２ａ，２０を上下に設けた構成で
ある。このような構成においても、上記第１図に
示す実施例の場合と同様の作用効果が得られるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る電縫管装置の
概略的構成を示す斜視図、第２図は本発明の他の
実施例に係る電縫管装置の概略的構成を示す斜視
図である。 １……ワークコイル、２ａ，２ｂ，２０……外
面フエライトコア、４……スクイズローラ、５…
…内面フエライトコア、６ａ，６ｂ……外面フエ
ライトコア取付台、７……冷却銅管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高周波誘導溶接方式により順次筒状成形され
   る帯鋼の突合せ部を局部加熱し、その加熱部をス
   クイズローラ部材で圧着して溶接鋼管を製造する
   電縫管製造装置において、 前記帯鋼の加熱部の近傍に配設されて、高周波
   誘導電流を発生するためのワークコイル部材と、 このワークコイル部材を中間にして前記スクイ
   ズローラ部材とは反対側に配設されるシームガイ
   ドローラ部材と、 少なくとも前記スクイズローラ部材間に前記ス
   クイズローラ部材と共に一体的に配設されて、前
   記帯鋼の突合せ部の外側に位置し、外面インピー
   ダを構成する鞍形フエライトコア部材と、 前記帯鋼の内部に配設される内部インピーダを
   構成する内面フエライトコア部材とを具備したこ
   とを特徴とする電縫管製造装置。