JPH0235485Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、熱転写リボンをカセツトに収納する
とともに、このカセツトを印字ヘツドとともにキ
ヤリツジに装着するようにした熱転写プリンタの
改良に関するものである。更に詳しくは、ヘツド
アツプ時に生じる熱転写リボンのたるみにより印
字不良を発生することのない熱転写プリンタに関
するものである。

一般に、カセツト式の熱転写リボンを使用した
熱転写プリンタでは、キヤリツジの移動に合わせ
て熱転写リボンを巻き取る必要があり、印字ヘツ
ドのアツプダウンに連動させてリボンの巻取りを
行なつている。また、このような熱転写プリンタ
においては、機構を簡素化するために、熱転写リ
ボンの巻取り用に単独の動力源を用意することは
せず、キヤリツジの駆動力を利用して熱転写リボ
ンの巻取りをも行なつている場合が多い。しかし
ながら、熱転写リボンの巻取りにキヤリツジの駆
動力を利用した装置では、キヤリツジリターン時
などのように、印字ヘツドをヘツドアツプ状態と
した時には、熱転写リボンの巻取り部とキヤリツ
ジの駆動系とが切り離され、熱転写リボンに巻取
り力が働かなくなつて、熱転写リボンが僅かでは
あるがたるんでしまうことがある。このため、印
字ヘツドをダウンさせた際、印字ヘツドと記憶紙
との間に挾まれた熱転写リボンがしわになること
があり、このような時には、ヘツドダウン後の最
初の印字がかすれ、印字不良となつてしまう。

本考案は、上記のような問題点を解決し、新た
な機構を付加することなく、従来のままの機構で
熱転写リボンのたるみによる印字不良を防止する
ことのできる熱転写プリンタを簡単な構成で実現
することを目的としたものである。

本考案の熱転写プリンタは、熱転写リボンのた
るみによる印字不良が、ヘツドダウン後の最初の
印字部分に限られることに着目し、印字ヘツドを
ダウンさせて印字を行なう際には、その印字開始
位置より少なくとも１字分以上手前に印字ヘツド
をダウンさせ、印字ヘツドをその分だけ空送りし
て、所定の印字開始位置から印字を開始するよう
にしたものである。

以下、図面を用いて本考案の熱転写プリンタを
説明する。

第１図は本考案の熱転写プリンタの一実施例を
示す構成図である。図において、１はキヤリツ
ジ、２はキヤリツジ１に設けられた印字ヘツド、
３はカセツト式の熱転写リボン、４はキヤリツジ
１の摺動軸、５はキヤリツジ１の一部に設けられ
たストツパ、６はヘツドダウン時にアツプダウン
バーにより押し上げられ、印字ヘツド２をプラテ
ンに押し当てるとともに、アツプダウンバーに沿
つて転がり、キヤリツジ１の移動に伴つて使用済
みの熱転写リボン３をカセツト内のリールに巻き
取るローラ、７はキヤリツジ１の移動範囲にわた
つて配置され、ローラ６を介して印字ヘツド２の
アツプダウンを制御するアツプダウンバー、８は
アツプダウンバー７の駆動軸、９はプラテンであ
る。キヤリツジ１は摺動軸４を中心にそのモーメ
ントがヘツドアツプの方向に働くように構成され
ており、アツプダウンバー７によりローラ６が押
し上げられた時にヘツドダウンの状態となる。第
１図ａはヘツドダウンの状態を示している。この
状態で、キヤリツジ１が移動すると、ローラ６は
アツプダウンバー７に押されたまま回転しながら
移動し、ヘツドダウンの状態を維持するととも
に、使用済みの熱転写リボン３をカセツト内に巻
き取つて行く。

また、第１図ｂはヘツドアツプの状態を示すも
のである。図に示されるように、ヘツドアツプの
状態では、アツプダウンバー７がローラ６を押さ
なくなり、キヤリツジ１が右側に倒れて、印字ヘ
ツド２がプラテン９から離れる。この時、キヤリ
ツジ１の一部に設けられたストツパ５がアツプダ
ウンバー７の駆動軸８に当たるので、キヤリツジ
１はそれ以上倒れることはなくなり、その状態で
支持される。駆動軸８はキヤリツジ１の摺動軸４
と平行に配置されているので、キヤリツジ１がど
の位置でヘツドアツプの状態となつても、キヤリ
ツジ１を支持することができる。なお、この状態
において、キヤリツジ１が移動しても、ローラ６
は回転しないので、熱転写リボン３は巻き取られ
ない。

このように、アツプダウンバー７の状態を制御
することにより、キヤリツジ１の角度を変え、印
字ヘツド２のアツプダウンを制御することができ
る。また、印字ヘツド２のアツプ状態では、熱転
写リボン３を巻き取らずにキヤリツジ１を移動さ
せることができ、ヘツドダウンの時のみ熱転写リ
ボン３をキヤリツジ１の移動に合わせて巻き取る
ことができる。

なお、このような装置においては、アツプダウ
ンバー７をローラ６から離し、ヘツドアツプの状
態とすると、それまで熱転写リボン３に働いてい
た巻取り力がなくなるため、熱転写リボン３にた
るみを生じることになる。

このため、そのままの状態で印字ヘツド２をダ
ウンさせると、熱転写リボン３は、第２図ａに示
すように、印字ヘツド２とプラテン９（記録紙）
との間に挾まれる際、しわになることがある。し
たがつて、この状態から印字を開始すると、熱転
写リボン３と記録紙とがうまく密着せず、文字が
かすれて、印字不良となつてしまう。

そこで、本考案の熱転写プリンタでは、印字ヘ
ツド２を直接印字開始位置にダウンさせるのでは
なく、例えば、印字開始位置より１字分だけ手前
に印字ヘツド２をダウンさせ、そこから印字開始
位置まで印字ヘツド２を空送りして、熱転写リボ
ン３におけるしわの部分を巻き取つてから印字を
開始するようにしている。すなわち、印字ヘツド
２をダウンさせた際に、熱転写リボン３が第２図
ａのような状態になつたとしても、その位置から
印字ヘツド２を１字分だけ空送りして、印字開始
位置まで移動させたとすると、熱転写リボン３は
第２図ｂの如くなり、記録紙との密着性を良くし
て、印字開始時から良好な印字を得ることができ
る。

第３図にこのような印字ヘツド２のアツプダウ
ン動作と印字動作との関係を示す。いま、１行目
の印字中において、キヤリツジリターンが指令さ
れたとすると、キヤリツジ１はその位置で印字ヘ
ツド２をアツプ状態とし、２行目の行頭に向つて
移動する。この時、キヤリツジ１は図中の行頭位
置よりも左側に余計に移動し、印字ヘツド２を行
頭よりも１字分だけ手前にダウンさせる。その
後、印字ヘツド２を１字分だけ空送りして行頭ま
で移動させ、そこから２行目の印字を開始する。
このため、ヘツドダウン時に前記したような熱転
写リボン３のしわが生じても、印字ヘツド２が空
送りにより行頭（印字開始位置）に達するまでに
は、このしわの部分が巻き取られてしまい、印字
開始時に印字不良を生じてしまうことがない。

第４図は上記のような印字動作の流れを示すフ
ロー図である。図はキヤリツジリターンが指令さ
れた後、次の行の印字を開始するまでの流れを示
したものである。図において、キヤリツジリター
ン動作によりキヤリツジ１を移動させる位置は、
前記したように、印字ヘツド２を行頭より１字分
だけ手前にダウンさせるための位置である。

さて、上記のフロー図はキヤリツジリターンを
行なう際の動作を示したものであるが、印字ヘツ
ド２をアツプダウンさせるのは、キヤリツジリタ
ーン時に限られるものではなく、同じ行を印字す
る際にも、印字スピードを上げる目的などのため
に、印字ヘツド２がアツプダウンされることがあ
る。このような時には、印字ヘツド２のダウン位
置をその印字開始位置に合わせて変更する必要が
あり、第５図にその一般化したフロー図を示す。

第５図は印字開始位置に一般性を持たせた場合
を例示したものである。図に示すフロー図では、
ヘツドアツプの状態によるキヤリツジ１の移動指
令とともに、次の印字開始位置が指示される。し
たがつて、まず印字開始位置が取り込まれ、これ
をもとにして印字ヘツド２をダウンさせる位置が
決定される。この際、求められるダウン位置は印
字開始位置の１字分だけ手前の位置である。その
後のキヤリツジ１の移動、および印字ヘツド２の
ダウン動作は、前記した場合と同様である。この
ように、印字開始位置が指定されれば、それに応
じた印字ヘツド２のダウン位置が求められ、１字
分の空送りが行なわれて、熱転写リボン３のしわ
が取り除かれた後に、印字ヘツド２が印字開始位
置に準備される。なお、次の印字開始位置として
行頭が指定された場合には、前記した第４図のキ
ヤリツジリターンの場合と全く同様な動作を行な
う。

このように、印字ヘツド２のダウン位置を印字
開始位置の手前に選び、印字ヘツド２を空送りし
て所定の印字開始位置まで移動させるようにする
と、特別な機構部分を使用することなく、キヤリ
ツジ１および印字ヘツド２の駆動系の簡単な変更
だけで、印字不良を防止することができる。

なお、上記の説明においては、印字ヘツド２の
空送り量を１字分以上として説明したが、この空
送り量は１字分以上に限られるものではなく、例
えば、印字ヘツド２の構造上、１字分以下の空送
りで、熱転写リボン３のしわを除去することがで
きるものであれば、１字分以下の空送りでも同様
な効果を得ることができる。

以上説明したように、本考案の熱転写プリンタ
では、熱転写リボンのたるみによる印字不良が、
ヘツドダウン後の最初の印字部分に限られること
に着目し、印字ヘツドをダウンさせて印字を行な
う際には、その印字開始位置より少なくとも１字
分以上手前に印字ヘツドをダウンさせ、印字ヘツ
ドをその分だけ空送りして、所定の印字開始位置
から印字を開始するようにしているので、新たな
機構を付加することなく、従来のままの機構で熱
転写リボンのたるみによる印字不良を防止するこ
とのできる熱転写プリンタを簡単な構成で実現す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の熱転写プリンタの一実施例を
示す構成図、第２図〜第５図は本考案の熱転写プ
リンタの動作を説明する説明図およびフロー図で
ある。 １……キヤリツジ、２……印字ヘツド、３……
熱転写リボン、４……摺動軸、５……ストツパ、
６……ローラ、７……アツプダウンバー、８……
駆動軸、９……プラテン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤリツジの駆動力を利用して熱転写リボンの
   巻取りを行なうとともに印字ヘツドのアツプダウ
   ンに連動して熱転写リボンの巻取り力を断続しヘ
   ツドダウンの時にのみ熱転写リボンの巻取りを行
   なうようにした熱転写プリンタにおいて、前記印
   字ヘツドをダウンさせて印字を行なう際には、そ
   の印字開始位置より手前に前記印字ヘツドをダウ
   ンさせ、前記印字ヘツドをその分だけ空送りして
   所定の印字開始位置まで移動させるようにしてな
   る熱転写プリンタ。